【安価】そうして比企谷八幡は安価で行動を始める (986)
比企谷「……あー、今日も暇っつーか毎日が暇だ」
比企谷「撮り溜めしてたアニメはもう全部見ちまったし、これからどうすっかな……」
↓2 自由安価
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比企谷「うっし、本格カレーでも作るか」
比企谷「えーっと、今の俺ん家にカレーの材料は……」ガサゴソ
↓2 自宅にカレーの材料はある? 『ある』か『ない』かどちらか選択 『ない』場合は買い出し
比企谷「うっう〜! もやしですー!(裏声)」
比企谷「——って、ばっか、バカなに言ってんだ俺は。もやし見つけたぐらいで喜んでどうすんだっつーの」
比企谷「……ってか、もやししかねーのかよ。どうなってんだよ俺ん家の台所事情」
↓2 もやしだけで作る? それとも買い出しに行く?
比企谷「まあ、もやしだけでもいちおうカレーは作れるか」
比企谷「えっと、まずはもやしは5分ほど水にさらして……」
比企谷「その間にあーだこーだやって………」
比企谷「…………」
比企谷「…………」
比企谷「(……やること少なすぎなんだが、これ料理番組だったら絶対に視聴率取れねーぞ?)」
〜数十分後〜
比企谷「————ほい、完成っと」
比企谷「……んー、出来上がったのはいいけどどうすっかな」
比企谷「量は大盛り二人前ぐらいだな。並盛にすれば三人前にはなるけど……」
↓2 一人で全部食べる 家族に振る舞う
比企谷「……せっかくだし、ここは家族に振る舞うとしますか」
比企谷「母ちゃーん、おやじー、小町ー、昼メシ出来たぞー」
…………
比企谷「あれ? おっかしいな、たしか今日は家族みんな家にいるハズなんだが……?」
比企谷「母ちゃーん、おやじー、小町—、昼メシだぞー」
…………
比企谷「おーい、メシだぞー」
…………
…………
比企谷「——って誰も返事しねーのかよ! いつまで惰眠を貪るつもりだあいつら!?」
<<お兄ちゃんうるさ〜い ちょっと静かにし…………ZZZ
比企谷「……、小町の声が聞こえてきたと思ったら徐々に聞こえなくなってくし……」
比企谷「クソッ! こんな真昼間まで惰眠を貪るような奴らに俺が丹精込めて作ったモヤシカレーは食わせねぇ! 絶対にだ!!」
比企谷「……でも、1人でこの量は食いきれるかどうかは怪しいトコだよな……」
↓2 カレーをどうする?
比企谷「……そうだ! このカレーを家族の顔にぶちまけるのはどうだ!?」
比企谷「これまでに深々と降り積もった積年の恨み、発散する対象がなく行き場をなくした俺の怒り……!」
比企谷「じゃあいつぶちまけるの?」
比企谷「——今でしょッ!!」
比企谷「うぉぉぉおおおおおおお!!!」ドダダダダッ
父「グゴー……ZZZ」
比企谷「(ターゲット補足。対象に目立った動きはない——今が好機!!)」
比企谷「……ふっふっふ、ほーら俺様特製カレー?だ! たんとおたべー!」
父「……」ガバッ
比企谷「——な、なに!?」
父「……」ガシッ ——バキッ!
比企谷「ぐはっ!?」
比企谷「(くっ! 今の反撃でカレーが俺の方にぃぃぃぃあああああああッッッ!!!!???)」バッシャアアアア
比企谷「あのあと母親にも思いっきり殴られた。…………あー、クソ痛ぇ……っ」ズキズキ
比企谷「食べ物は粗末にしちゃダメ、絶対」キリッ
比企谷「そして家から追い出された。『22時になるまで帰ってくるな』だとさ、逆の意味の門限を設定しやがった」
比企谷「財布と携帯はあるが、財布の中身は800円しか入ってねぇ……くそっ! 親父に母ちゃん……、もっとオラに小遣い分けてくれ!!」
↓2 これからどうする?
比企谷「……なんて言っても、金は貰えるわけでもないし、財布を叩いてもお金は増えない」
比企谷「こうなりゃ働くしかねぇ! 『働いたら負け』がモットーの俺が働く日が来るとは……!」
比企谷「あ、なんか急に働きたくなくなってきた」
比企谷「…………、ハロワを見るだけにしとくか」
比企谷「うんと——」
↓2 検索結果で出てきた即日即金日雇のバイト
『【ファミリーレストラン ゲスト】 緊急応募! 当店のスタッフ一名がインフルエンザを発症してしまい、現在スタッフが不足しております。接客業経験者求む! 面接3分 履歴書必要なし 即日即金日雇い 時給2000円 住所千葉県○○』
比企谷「面接3分って、おい、そんな緩くていいのか? 俺が前にやったバイトの面接、たしか30分くらいかかったぜ?」
比企谷「うーん……、」
比企谷「つーか、別に金のかからない方法で時間を潰すとかすればいいんじゃねぇの?」
比企谷「俺の信条的に『働いたら負け』だし、バイトはまた今度だな、うん」
比企谷「……、誰かにメールでもしてみるか?」
↓2 誰かにメールする? する場合は相手の名前も同時に
比企谷「大志にでもメールしてみるか」
比企谷「んっと、内容は……」
↓2 メールの内容
比企谷「『小町のことについて話がある 姉の目を盗んで来るが良い』——っと」
(数分後)
比企谷「——お、返信きたな。えっとなになに?『了解です。ところでオレどこに行ったらいいんですかねお兄さん?』……。」
比企谷「『だからお前にお兄さんと呼ばれる筋合いはないと言ってるだろ とりあえず前にお前の姉の件で決着つけたマックに来い』っと」
比企谷「さて、俺も向かうとするか」
比企谷「(集合場所に向かいつつ具体的な話の内容について考えとくか)」
↓2 具体的に話す内容
比企谷「(んー、そうだな……。小町の学校での様子について聞いてみるとするか)」
比企谷「(あいつ、俺が中学時代に残した数々の伝説を必死になって無関係と言い張ってるみたいだし、いろいろ苦労してんじゃねーの?)」
比企谷「……って、あれ? 俺の前方歩いてるのってもしかして……」
↓2 誰が歩いてた? 人違いの場合は大志の元へ向かいます
比企谷「…………平塚先生?」
平塚「うー……ひっく、……ひっく、…………まだまだ飲むぞ〜! 次の店はどこがいいかな〜!?」フラフラ
比企谷「一升瓶握りしめて千鳥足で歩いてる様子はもうどうみてもおっさんにしか見えないけど……、あの後ろ姿は平塚先生だよなぁ」
比企谷「(つーかなにしてんだよこんな真昼間から酒に溺れて。またなんかあったのか……?)」
警察「あー、そこの君ちょっといいかね?」
平塚「はい〜? なんれすか〜?」
比企谷「(おいおい職務質問されてんじゃねぇか。俺だってまだ職務質問されたことないんだぞ?)」
比企谷「(いや、普通はされるもんじゃねぇけど)」
警察「君、職業は?」
平塚「こ〜こ〜のせんせい〜」
警察「そうか。ちなみにどこの高校の職員かな?」
平塚「えっと〜……うんとね〜…………………どこだっけ?」
警察「……、」
比企谷「(うわぁ、見てらんねぇ……)」
↓2 酔いつぶれた平塚先生をどうする?
比企谷「(……いや、待てよ? もしここで俺が——颯爽登場! して平塚先生を引き取れば、先生に貸しを作ることができるんじゃないか?)」
比企谷「(…………よし、そうと決まれば早速行動だ)」
比企谷「(先生に貸しが出来れば、今後の学校生活が多少は楽になるはず……!)」
比企谷「(まぁ楽しくはならんのだが……)」
比企谷「あ、あのー」
警察「ん? なんだい君は?」
比企谷「え、えっとですね。俺はその、こちら女性の……」
比企谷「(平塚先生って俺にとってなんだ?)」
↓2 八幡にとっての平塚先生とは?
比企谷「指導する『奉仕部』という部活の部員でして、彼女はそこで俺たちの顧問を務めているんです」
警察「……、」
比企谷「(やべぇ、なんでか知らんがめっちゃ睨んどる)」
比企谷「え、えっとですね、つまり、その……ひ、ひひ引き取りにきました!」ガシッ
平塚「ふぇ? ひきがや……か?」
比企谷「ウチの顧問が大変ご迷惑をおかけしましたすいません失礼します!!」ダダダッ
平塚「お〜、なんだなんだ〜? 私をどこに連れて行くんだひきがや〜?」タッタッタッ
比企谷「ちょっ、なんでアンタは俺の苗字を呼ぶんだ!? わざわざ警察に名前を記録されないように配慮したのに、台無しじゃねぇか——特に俺が!!」
警察「コラ、待ちたまえ! まだ話は終わってないぞ!?」ダダダッ
比企谷「やっべ、そりゃ普通は追いかけてくるよな……っ」
平塚「ひきがや〜、おんぶしろおんぶ〜」
比企谷「アンタはさっさと酔いから醒めろよ!? そんなだらしない女だから結婚できな」
平塚「………………あ゛?」
比企谷「いはずがないですよねきっともうすぐ白馬に乗った王子様が先生を迎えに来てくれるはずですだから滅殺のラストブリットだけはやめてくださいお願いしますいやホントマジで真面目に許し——ひでぶッ!?」バキッ
(数十分後)
比企谷「(なんとか警察からは逃げ切った。だが平塚先生から逃亡中に右肩を本気で殴られた)」
比企谷「(なにこの理不尽、神様はどこまで俺のことが嫌いなの?)」
比企谷「(や、世界中のほぼ9割9分9厘の人間や動物から嫌われてるけどさ、それでも理不尽だろこの結果は)」
↓2 この後はどうする? 以下から選択
� 大志の元へ向かう �平塚先生に付き合う
比企谷「(平塚先生は近くの喫茶店で少し休んでから自宅に帰るそうだ)」
比企谷「(……去り際にこっちをチラチラと振り返るのやめてくんねぇかな。三歩歩いては振り返るとか、どんだけ俺に引き留めてほしいんだよ)」
比企谷「——っと、いっけね。大志の存在をすっかり忘れてた、早くマックに行かねーとな」タッタッタ
【マクドナルド】
大志「あ、お兄さん、こんちわっす」
比企谷「おう大志、待たせたな」
大志「いえいえ、全然。俺も今来たトコっすから」
比企谷「そうか、ならよかった」
比企谷「よかったんだが……、お前に『お兄さん』と言われる筋合いはないと何度も言ってるだろこの野郎」
大志「べ、別にいいじゃないすかそれくらい」
比企谷「いいや駄目だ。俺を『兄』と呼んでいいのはこの世で俺の妹である小町だけだ。例外は…………戸塚だけ認める」
大志「戸塚……って、この前いた小柄な方ですよね?」
大志「……あれ? でも戸塚さんって男……ですよね? ………………あれ? 本当に男でしたっけ?」
比企谷「……大志、お前の気持ちは痛いほどよく分かる。身に染みるほどよく分かるんだ——だが戸塚は男だ! ……くっ!」
大志「なんでそんな泣きそうな顔してんすか……」
比企谷「ば、ばっか、ばかお前泣いてねぇよ、これはアレだ目にゴミが入っただけだっての!」
大志「ゴミが目に入ったら涙出るじゃないすか。ほら、やっぱり泣いてるんじゃないすか」
比企谷「黙れ小僧! 貴様には1つの借りがあることを忘れるなよ!?」
大志「は、はぁ……、すんません」
比企谷「…………よし、では早速本題に入るとするか」
大志「(今までのはなんだったんだ……?)」
比企谷「大志、お前は中学校で小町の普段の様子をよーく見ているはずだ。それは間違いないな?」
大志「っ、な、なんでそれを……?」
比企谷「ふん、それは俺もかつて通った道だからな。……あれは、俺がちょうどお前と同じ年くらいの頃の話——って、ばか、今はそんな話はどうでもいいんだよ、勝手に話を脱線させんな」
大志「話を脱線させたのお兄さんじゃないすか」
比企谷「貴様また性懲りもなく……!」
大志「あー、すんません。やっぱ反射的に言っちゃうんすよね……」
比企谷「……『反射的に』、だと? …………まさかお前、妄想の中ではすでにお前と小町は結婚しているとでもいうのか!?」
比企谷「俺はお兄さんではなく『お義兄さん』だとお前は言いたいのか!? となると川崎が誕生日的に考えて俺の『義妹』になるのかそれは………………ないな」
大志「……だ、大丈夫っすか? なんか今日のお兄さん、前と様子がだいぶ違うんすけど……?」
比企谷「ははは、大丈夫大丈夫。大丈夫だから次『お兄さん』って呼んだら殺すからな?」
大志「(……か、帰りたい、俺すっげー帰りたい……)」
比企谷「まぁ、とにかく学校での小町の様子を教えろ。話はそれからだ」
大志「は、はぁ……。えっと、学校での比企谷さんは」
↓2 学校での小町はどんな感じ?
大志「普段は大人しいんですが、会話の中に『オタガヤ』とか『キモガヤ』ってワードが出てくると、なんか必死になって自身との関連を否定してますね」
比企谷「こ、小町ェ……ッ」
大志「ただ、『お兄さん』について話を尋ねられると、とっても楽しそうに『お兄さん』について話すんすよ」
大志「『昨日は勉強教えてもらったんだー』とか、『お兄ちゃんはとっても残念な豆知識知ってるんだよ—』とか、そんな感じの話をそれはもう楽しそうにです」
比企谷「こ、小町……!」
大志「他には……そうっすね、特にこれといって目立った点はないっす。比企谷さんはとにかくとってもいい人っすね、いろんな人の悩みの相談に乗ったりしてるし、先生からの期待もたぶんそこそこあると思うっす」
比企谷「そうか……、学校での小町はそんな感じなんだな」
大志「はいっす」
比企谷「……よし、よーくわかったぜ、サンキューな大志」
大志「いえいえ、どういたしましてっす」
比企谷「そしてさっきの会話中に俺を『お兄さん』と呼んだから今からお前を殺すからな?」ニコッ
大志「」
(数分後)
比企谷「大志の脳天に120%のフルパワーでチョップをお見舞いして大志とは別れた」
比企谷「さて、このあとはどうすっかな」
↓2 このあとの行動
川崎「ねぇ、ちょっとあんた」
比企谷「ん? 誰だ……って川崎? どうしたんだお前こんな所で?」
比企谷「(……まぁ、川崎がここにいる理由は大体察しがつくけどな。……大志のアホ、姉の目を盗んで来いってメールしただろうが)」
川崎「……別に、あたしがここにいる理由なんてどうでもいいじゃん」
比企谷「どうでもよくはねぇと思うけどな……」
川崎「……、」ジトッ…
比企谷「…………あー、ハイハイ、どうでもいいですね、どうでもいいことにしますよ」
比企谷「で、俺に呼びかけるって事はなんかあんだろ?」
川崎「……まぁ、うん。それであんたに……話、あるからちょっと付き合ってよ」
比企谷「……へいへい、こちとら夜まで暇なんで、いくらでも付き合ってやるよ」
川崎「じゃあ場所移動するから、ついてきて」
比企谷「へーい」
↓2 川崎に連れられて移動した場所は?
【近所の公園】
川崎「そこ、座って」
比企谷「おう」
川崎「……いや、『座って』とは言ったけどさ、…………なんで地面に正座なの?」
比企谷「なんでって……、そりゃお前さっきのでご立腹なんだろ? 俺が大志の脳天チョップしたから」
比企谷「あいにく俺のプライドはバーゲンを開催できるほど低価格なんでな」
比企谷「『相手が怒ったら土下座』、社会に出たら役立つから覚えておいて損はないぞ」
川崎「……あんた、希望の職種専業主夫じゃなかったっけ? そもそもあんた自身、社会との関係希薄じゃん。実用する機会の前に人と会う機会あんの?」
比企谷「おお、よく覚えてんな。確かに俺は専業主夫を希望——っておい、さらっとどころかがっつり酷いこと言うなよお前。俺はちゃんと社会に出てるよ、ただ社会が俺を認知しないだけだっての!」
川崎「腐った目をしてるってのは認知されてるじゃん。あとシスコンなのも」
比企谷「はっ、ブラコンのお前に言われる筋合いはねぇよ」
川崎「なっ!? あ、あたしがブラコンなわけないじゃん何言ってんのッ!? ついに脳味噌まで腐ったわけ!?」カァァァ
比企谷「そうやってムキなって物事を否定することは、それに肯定することと同義なんだよ。ソースは俺」
川崎「くっ……!」
比企谷「まぁいいや、それより早く本題に入ろうぜ。話があるってのは大志のことでいいんだろ?」
川崎「……、」コクッ
比企谷「そうか。んで、お前は俺に何を聞きたいわけ?」
川崎「…………う、うん。あたしは……」
↓2 川崎が比企谷に聞きたいこととは?
川崎「その、あたし、今度料理作ってみようと思うんだ、……家族に」
川崎「この間まで家族に心配かけたし、そのお詫びみたいな感じなんだけど……」
比企谷「ふむふむ、そんで?」
川崎「でも、今まで誰かに振舞ったことなんてなくて、他人が好みの味つけとか全然わかんなくて……それで、その…………味見を…………」
川崎「……、」
比企谷「……えーっと、つまりアレか?」
比企谷「お前は他人の好みの料理について聞きたい、もしくは自分で作った料理の味見をしてもらいたい、ってことでいいのか?」
川崎「…………うん」
比企谷「そうか。……そんじゃあ、これは奉仕部の部員である俺への頼み事か? それとも奉仕部を介さない、普通の俺への頼み事か?」
川崎「えっと……」
↓2 どちらの頼み事? 以下から選択
�奉仕部である比企谷八幡への頼み事 �知り合いである比企谷八幡への頼み事
川崎「奉仕部じゃないあんたでお願い」
比企谷「りょーかい。…………、本当にそれでいいんだな?」
川崎「……なんか含みのある言い方するね。なんか裏でもあんの?」
比企谷「いいや別にぜんぜん。俺個人に頼んでも、あんまりお前には協力できそうにないなーとか考えただけだよ」
川崎「……なんで?」
比企谷「だってよ、奉仕部の俺の場合なら同じ部活の繋がりで、雪ノ下や由比ヶ浜に好みの味付け聞いたり味見を頼んだり出来るけどさ、知り合いである俺の場合だと、お前は俺にしか協力を要請出来ないんだぜ?」
川崎「……、二人はあんたの友達じゃないの?」
比企谷「残念だったな、俺に友達はいない。自慢じゃないが、俺には『体育ペア勢』しか家族以外の繋がりがないんだ」
川崎「自慢っていうか自虐でしょそれ」
比企谷「ほっとけ。……んで、本当にさっき返答でいいんだな?」
川崎「う……、そう言われると考えが揺らぐ……」
↓2 描写不足で誤解が発生している可能性があるので再安価 どちらの頼み事? 以下から選択
�奉仕部である比企谷八幡への頼み事 �知り合いである比企谷八幡への頼み事
川崎「揺らぐ……けど、やっぱりあたしはあんた個人にお願いしたい」
比企谷「……、その考えが再び揺らぐ可能性は?」
川崎「あるわけないじゃん」
比企谷「お前が俺を味見役にしないで、市販のレトルトで家族への料理を済ませる気は?」
川崎「ないよ、ちゃんと手作りで振る舞うつもり」
比企谷「…………くっ!」
川崎「……ねぇ、なんでそんな嫌そうな顔してんの?」
比企谷「いや、だってほらあれだよ」
比企谷「(クソっ、頼まれた以上『やっぱ付き合うのが面倒くさくなった』なんて面と向かって言えるわけねぇじゃねぇか……っ)」
比企谷「(……こうなりゃ適当にモノ言ってどうにかこの面倒から逃げきる——!)」
比企谷「お前まず料理とか出来んの? 俺お前がエプロン付けてる姿がまったく想像できないんだが……」
川崎「……はぁ」
比企谷「(まるでゴミクズを見下すような目で俺を見ながらため息をこぼされた)」
比企谷「(……だが甘いな、俺は雪ノ下からそんな目線を普段から浴びてるから痛くも痒くもねぇぜ! …………自分で考えてて悲しくなってきた…………)」
川崎「……あのさぁ、忘れてるかもしんないけど、あたしあの店とかでバイトする前まではよく家族に料理作ってたからね?」
比企谷「そうなの? じゃあ俺の味見役とか必要ねぇじゃん。前までは作ってたんだろ?」
川崎「そうだけど……、半年近く作ってないから料理の感覚忘れちゃってるし……」
比企谷「んなもんへーきへーき、昔の感覚はそうそう忘れるもんじゃねーから大丈夫だって」
川崎「…………だったらさ、その確認の為に、あ、あんたにあたしが料理作ってもいい……?」
比企谷「なん……だと……?」
比企谷「(……おいおいまじかよ、女子の手料理なんか滅多に食えねぇぞ?)」
比企谷「(そんな幸福が俺の目の前にちらつくなんて…………)」
比企谷「(————絶対になにか裏があるに決まってる!)」
↓2 川崎沙希からのお誘い 比企谷八幡はこのお誘いに……
(以下の選択肢を多数決 先に3票集まった方で話が進みます)
�乗る �だが断る
比企谷「(決まってるハズなんだが……、川崎なら大丈夫…………か?)」
川崎「……、…………ダメ?」
比企谷「(可愛らしく小首かしげるとかどこで覚えたそんな小癪な小技……!)」
比企谷「(……くっ、そんな見え透いた手に俺は——)」
比企谷「だ、……………………ダメじゃ…………ない」
比企谷「(……、乗るしかないだろ。俺もそこまで非道な人間じゃねぇよ)」
川崎「……ん、わかった」
川崎「それじゃああたし、今から材料買いに行くからさ。……荷物持ち、やってくれるよね?」
比企谷「荷物持ちなら別に構わんが……って、は? なにそんな急になのか? 俺はてっきりまた日を改めてだと思ったんだが……」
川崎「それじゃダメ。また日を改めると、あんたたぶん何かと理由こねて逃げるでしょ?」
比企谷「……、」
比企谷「(実際そう考えてたからぐうの音も出ねぇ……)」
川崎「じゃあ決まり。……途中で逃げ出したりしたら、この前あんたが私のスカートの中をガン見したのを周りに言いふらすから」
比企谷「」
比企谷「(……やべぇ、そんなことされたら俺もう学校いけない……! 今後戸塚に会えなくなるとか余生が生き地獄に変貌しちまうッ!?)」
川崎「うーん、この辺だとどこの店がいいかな……。……ねぇ、あんたの家で行きつけの店とかある?」
比企谷「……行きつけの店? そうだな……」
↓2 比企谷家の行きつけの店はどこ?
そんなコミュ力要求されそうなところが行きつけなはずがない
安価下
店って飲食店?それとも食材売ってるとこ?
一応安価は企業用スーパーで
>>79さん 選択制にすればよかったですね、すみません
>>80さん 川崎は食材を買いに行きたいんで店は食材を売ってるトコですね 商店街とか八百屋とかスーパーとかです
というわけでまた再安価です
↓2 どちらが比企谷家行きつけ(小町と母親が買い物に行く店という意味)の店? 以下から選択
�スーパー �商店街(八百屋や精肉屋が立ち並んでる)
比企谷「ウチは基本スーパーだな。この近辺の店で言えばセイミヤとかイオンだな」
川崎「へー、あんたの家もセイミヤ行くんだ。……あたしも昔、母さんと一緒に買い物行ったっけ」
比企谷「……あ、ちなみに川崎、『セイミヤ』ってのは千葉と茨城にしか展開してないんだぜ?」
川崎「……え、そうなの?」
比企谷「ああ、そうなんだよ。あれ店の中に百均とか服屋とかドラッグストアあるから、結構便利な店なんだけどなぁ」
川崎「……、でもそれって、イオンとかと変わんないよね」
比企谷「そうなんだよなぁ……。あれでゲーセンでもあればもっと客足伸びると思うんだが……」
川崎「あたしは食材の値段が安くて安全なら、店の施設なんてどうでもいいんだけどね」
比企谷「身も蓋もない事言うなよお前……」
川崎「……で、結局行くのはどっち? 現在の距離で言えばイオンの方が近いけど」
比企谷「じゃあイオンにしようぜ。荷物持ちすること考えたら、あんまり遠くへは行きたくねぇし」
川崎「……わかった。じゃあイオンね」
川崎「それであんた……、その、…………何食べたい?」
比企谷「ん? ……ああ、料理のことか。そうだな」
↓2 比企谷八幡が食べたい料理は?
比企谷「肉じゃがが食べてぇ」
川崎「肉じゃが、ね。……うん、わかった」
川崎「……、じゃあ行こっか」
比企谷「おう」
【イオン・食料品売場】
川崎「……ねぇ、肉じゃがの材料ってなんだっけ?」
比企谷「ん? ……ちょい待ち、えーっと、まずは牛肉、……じゃがいも、糸こんにゃく、……玉ねぎ、……人参、か?」
川崎「……、なんで糸こんにゃくだけ一瞬で出てくんの?」
比企谷「俺は肉じゃがの中で肉に次いで糸こんにゃくが好きだからだ! 異論がある奴は肉じゃが食うな!」
川崎「なにその極論……。って、あんたの家って肉じゃが牛肉なの? あたしの家は豚肉なんだけど」
比企谷「いや、ウチは肉が牛か豚かは特に決まってないぞ? ただ小町の気分で変わるけど、基本は牛が多いな」
川崎「ふーん、そういうもんなんだ」
比企谷「おう、まあ料理なんて料理人の気分が大きく影響するしな」
比企谷「テキトーに作ればそこそこのしか出来ねぇけど、一所懸命に作ればその分美味しいモンが出来るだろ?」
川崎「……、」コクッ
比企谷「ほら昔からよく言うじゃねぇか、『料理の最高のスパイスは愛情』とか寒い台詞。だからあれあながち間違いじゃないんだぜ?」
川崎「……………愛情、ね」
比企谷「ああ、作り手の気持ちが込められた料理は絶対にうまい、俺が保証する」
比企谷「(由比ヶ浜の木炭クッキーは例外だがな)」
川崎「……ぷっ、あんたに保証されても、逆に不安材料にしかならないんだけど」
比企谷「……、」
比企谷「(……なんでこう、俺の周りの女は俺に対してこうも手厳しいのだろうか)」
比企谷「(だから神様、どうして俺だけ人生ラブアンドベリーなんだよって間違えたよ、なんだよ人生ラブアンドベリーって、着せ替え出来る人生ってそれステータスのとっかえひっかえ=金持ちの女をとっかえひっかえ=ヒモってそれ俺の理想の生き方じゃねぇかよくやった神様褒めてつかわす!)」
川崎「……なんか変な事考えてない?」
比企谷「——はっ!? ああ、すまん、トリップしてた」
川崎「……次トリップしたら通報するからね?」
比企谷「マジかよ、妄想膨らませただけで逮捕されてたら、今頃全国の刑務所はすし詰め状態だろ……」
比企谷「——って、やっべ、隠れろ川崎!」グイッ
川崎「っ!? ちょ、なにすんのいきなり!!?」
比企谷「(なんか反射的に隠れちまったが、なんであいつがこんな所にいんだよ……?)」
↓3 比企谷八幡が店内で見つけた人物とは? 以下から選択
�雪ノ下雪乃 �由比ヶ浜結衣 �雪ノ下陽乃 �材木座義輝
はるのんの人気に嫉妬、戸塚くんはテニススクールに行ってます
陽乃「ふんふふ〜ん♪」
比企谷「(やべぇな、ここで陽乃さんと鉢合わせするのはマジでヤバイ)」
比企谷「(俺が川崎といる現場を陽乃さんに見られたら、またあの底冷えする悪寒を味わうことを考えたら急に胃が痛くなってきた……っ)」
川崎「……ちょ、ちょっとあんた、大丈夫? なんか顔色が青ざめていってるけど……」
比企谷「……はっ、お前が俺の様子を心配するレベルなら、全然大丈夫じゃねぇよ」
比企谷「(…………どうする? このまま川崎と一緒にいるのは高確率でマズイ事になる気がするが……)」
↓2 雪ノ下陽乃に睨まれたヒキガエル この後どうする?
比企谷「(……仕方ねぇ、ここは戦略的撤退だな)」
比企谷「川崎、ちょっと買い物は後回しだ。今俺は猛烈にコーヒーが飲みてぇ」
川崎「は?」
比企谷「(いきなり何いってんのこの馬鹿? みたいな感じの視線を向けられた)」
比企谷「(だが細かいことはいちいち気にしていられない。……多少強引だが、川崎の手首を握ってこの場を後にするか)」ギュッ
川崎「! ち、ちょっ! ま、またそうやって強引に!?」
陽乃「……、」クルッ
直下判定 コンマが8以下の場合逃亡成功 8以上の場合陽乃に見つかる ゾロ目の場合は……
陽乃「(……気のせい、か)」
【喫茶店】
比企谷「すいません、アイスコーヒーと……川崎、お前はどうする?」
川崎「……、何もいらない」ムスッ
比企谷「りょーかい。えっと、そんじゃアイスコーヒー1つお願いします」
店員「かしこまりました。ではしばらくお待ち下さいませ」
比企谷「(ふぅ……、あっぶなかったぜマジで……)」
川崎「……ねぇ、あんたなんかあたしに言うことないの?」
比企谷「ん? お前に言うこと? えーっと…………、肌スベスベして綺麗だったぜ?」
川崎「110に電話しな「すみません冗談です許してください!」……、そんだけ?」
比企谷「へ? そんだけってどういう……?」
比企谷「(やべぇ、一難去ってまた一難かよ。今日は厄日だな、戸塚にも会えねぇし……はぁ)」
川崎「……その、い、いきなり女子の手首を掴んで走りだすとか、な、なに考えてんだしあんた……っ」////
比企谷「(ああ、そういや終始無言のままこの喫茶店まで逃げてきたんだっけか。陽乃さんから逃げるのに必死ですっかり説明を忘れてたぜ)」
比企谷「(まぁ流石に説明の1つくらいしとかねぇとマズイよな。……でもこいつに、あの人のことをなんて言って伝えたらいいんだ?)」
↓2 川崎にどう説明する? 以下から選択
�雪ノ下の姉がいたと真実を伝える �同じクラスの生徒がいたと虚偽を伝える(校内で噂にならないために云々)
比企谷「(……よし、ここは優しい嘘をつくことにするか。そもそもこいつ、雪ノ下のことが苦手みたいだし、あんまり関わらせないほうがいいだろ)」
比企谷「なに考えてんだって言われてもな……、同じクラスの人間がいたらそりゃ普通逃げるだろ」
川崎「お、同じクラスの人間……?」
比企谷「ああ、名前は覚えてねぇけどクラスん中で見覚えのある奴見つけてさ。慌てて隠れたのもそのためだ」
比企谷「……だってお前嫌だろ? 俺と一緒にいるのを知人に見られるなんて、辱め以外の何物でもねぇじゃん」
比企谷「(…………あれ? この嘘川崎には優しいかもしんねぇが、俺には超厳しくね?)」
比企谷「(や、別にいいけどさ、罵詈雑言とか聞き慣れて過ぎてもはや感覚も麻痺してるけどさ、でも……ねぇ?)」
比企谷「(——誰か俺に優しくしてくださいお願いしますッッッ!!)」
川崎「……、」ウーン…
比企谷「(なんだか思案顔の川崎、…………もしかして嘘ってばれたか?)」
直下判定 コンマが8の場合はバレない それ以外の場合はバレる ゾロ目の場合は……、
コンマ8てのはxx.8xの意味なのか?
発見。ところで、大志と小町は塾は同じだが学校別ではなかったっけ
>>103さん 2013/03/17(日) 22:00:48.22 の場合だと 右側の22 でこの場合はゾロ目になります そして8以外なので嘘がバレます
ちなみのゾロ目の場合はラッキーチャンスです 八幡に幸福が訪れますが、それはまた後ほど
川崎「……ねぇ、あんたのその発言ダウトでしょ」
比企谷「な、なんでだよ」
川崎「だって、あんた初めてあたしと学校の屋上で出会った時、完璧に初対面の人にする対応だったし」
比企谷「ぐぬっ……」
川崎「それから推測すると、あんたって絶対クラスメイトの顔覚えてないことになるよね?」
比企谷「そ、そんなことは……っ! ……、」
比企谷「(……駄目だ、俺がクラスん中で顔を覚えてんのは、戸塚と由比ヶ浜とコイツと、葉山と三浦と海老名さんと、金髪お調子者の富山と鈍重優柔不断の山本と童貞風見鶏の犬岡だけだ……ってあれ? 意外と顔覚えてるのと、最後の三人の名前がなんかしっくりこないぞ? ……まぁいっか、別に。それより童貞風見鶏はとても語呂がいいなと思いました。まる)」
川崎「……そうなってくると、あんたの発言には矛盾が生じる。……本当にさっき見つけたのはあたし達のクラスメイトだった?」
比企谷「ぐっ、ぐぬぬぬ……っ!」
比企谷「(ヤバイもうダメだ、なんなんだよその推理力。探偵事務所のアルバイトでもしてたのかよこいつ……っ)」
川崎「ねぇ、どうなの?」
比企谷「…………、」
比企谷「(……あーもういいや、優しい嘘なんていらなかったんだ。真実だけ告げればもう俺は楽になれ——」
戸塚「あれ? 八幡?」
比企谷「(——と、ととと戸塚ぁぁぁぁあああああああああ!!!??)」
>>104さん 指摘感謝します てっきり二人は同じ中学だと今の今まで勘違いしてました……っ
比企谷「と、戸塚?」
戸塚「うん、ぼくだよ八幡。えっと、一緒にいるのは川崎さん、だよね? こんにちは」ニコッ
川崎「……あ、うん、どうも」ペコッ
比企谷「な、なぜ戸塚がここに? ——はっ! まさか俺に会い(愛)に来てくれたのか!?」
川崎「……なんか別の意味が見え隠れした気がするんだけど?」
戸塚「ううん、違うよ。ぼくはテニススクールの帰りで、ここに寄ったのはただの偶然」
比企谷「そ、そっか。ただの偶然かー」
比企谷「(……いやー、陽乃さんに遭遇してよかったわホント、遭遇しなきゃ今日は戸塚と巡り会えなかったわー)」
戸塚「それにしても、二人が一緒にいるなんて珍しいね」
戸塚「……あっ、も、もしかしてぼく、二人の邪魔しちゃったかな……?」
川崎「っ! ば、バカじゃないの!? ち、違うから! コイツとはそ、そんなんじゃないし!」////
比企谷「そうだぞ戸塚、俺は俺を養ってくれる人じゃないと結婚を前提に付き合わないからな」
戸塚「そ、そうなんだ。は、八幡は色々とよく考えてるんだね」
比企谷「まぁな」
比企谷「(顔を真赤にして誤解を解こうとする川崎と、俺の発言に苦笑いで返す戸塚。たまにはこんな休日を過ごすのも悪くはないな)」
>>107さん 2013/03/17(日) 21:23:10.51 ID:0JP2Fe5Eo この場合だと 右側の51の1で8以下になるので逃亡成功です
でも今後は以後とか以下だとややこしくなるので 1〜7なら逃亡成功 8〜0なら逃亡失敗 みたいに設定しますね
ゾロ目の定義は>>106を参照にしてください
それととりあえず話に一区切りがついたんですが、今後の話の進行はどうしますか?
このまま八幡の主人公で進めるか、それとも別のキャラにスポットを当てて新しい話を開始するか、皆さんはどちらがいいですか?
日付が変わる頃にまた来ます それまでみなさんで話し合ってもらいたいです
みなさんの意見を踏まえて、このまま八幡の主人公で話を進めたいと思います。
それで話は>>109の続きからか それともリセットして新たなお話にするか 安価で決めます
↓3 以下から選択
�>>109の続きから �>>1からリスタート
比企谷「……あー、今日も暇っつーか毎日が暇だ」
比企谷「撮り溜めしてたアニメはもう全部見ちまったし、これからどうすっかな……」
↓2 自由安価
比企谷「暇だから鏡の前で雪ノ下の物真似の練習でもするか」
比企谷「……こほんっ、んんっ…………よし」
比企谷「『私は手加減してあげるから安心してもらっていいわ。その安いプライドを粉々にしてあげる(裏声)』」キリッ
比企谷「………、いや、何してんだよ俺。いくらなんでも血迷いすぎだろ、さすがにねぇわ」ハァ…
比企谷「うーん……、」
比企谷「そうだ、暇潰しといったら他人の時間でも潰すとするか」
比企谷「よし、誰かにメールしよう」
↓2 誰にメールする?
比企谷「よし、戸塚にメールしよう」カチカチ
比企谷「……でも、なんてメールすればいいんだ?」
↓2 戸塚に送るメールの内容
遅くなりました、再開します
比企谷「……よし、ここは俺の直感に頼って文面を考えてみるか」
比企谷「……、」
比企谷「……、」
比企谷「……、————っ! 見えたッ!」カチカチカチカチッ
hachiman's mobile
『FROM 戸塚
TITLE nontitle
MESSAGE 好きだ
結婚を前提に養ってくれ』
比企谷「……、待て待て、これマジで送るのか?」
↓2 戸塚に告白する? 以下から選択
�当たって砕けろ! �告白はしない
比企谷「……いいや、ここで引いたら男が廃る」
比企谷「俺は禁断の領域に踏み込むぞ! 戸塚ーッ!!」ピッ
hachiman's mobile
『————送信完了』
比企谷「……、」
比企谷「(やっちまったなー、これが原因で戸塚に軽蔑されなきゃいいけどなー)」
比企谷「……、」ハァ…
比企谷「……さてと、戸塚から返信がくるまで何をして時間を潰すかな」
(安価を3つ終えると戸塚から返事がきます)
↓2 何をして時間を潰す?
比企谷「うーん、ちょっと小腹が空いたし、飯でも作るかな」
比企谷「小腹を満たすには……」
↓2 何を作る?
比企谷「パスタでも作るか。うん、それがいい」
比企谷「両親は小町と一緒に出かけてるし、誰かに振る舞う必要もねぇ。ここはいっちょ豪勢にいくとしますかね」
比企谷「(ちなみになぜ俺が1人でお留守番しているのかというと、俺は百戦錬磨の自宅警備員だからだ)」
比企谷「(自宅警備員はいついかなる時があっても、他人の自宅への侵入を見過ごしてはならない。ゆえに俺はこうして家の中にいるのだ、家族の家を迫り来る魔の手から俺が守るために! ……やべぇ、俺献身的すぎて涙が出てくる。…………けっして置いていかれて悲しいから流れたわけじゃないよ?)」
比企谷「……んー、ひと通り材料はあるけど、どんなパスタ作るか迷うな」
比企谷「ミートソース、ボンゴレ、カルボナーラ…………どれにすっかな」
↓3 どのパスタを作る? 以下から選択
�ミートソース �ボンゴレ �カルボナーラ
このパスタの選択で戸塚からの返信後、各パスタに対応した(完全にこじつけですが)キャラからメールが来ます
すいません なんか変な書き込みがあったので再安価をとります
↓3 どのパスタを作る? 以下から選択
�ミートソース �ボンゴレ �カルボナーラ
このパスタの選択で戸塚からの返信後、各パスタに対応した(完全にこじつけですが)キャラからメールが来ます
ボンゴレ
安価に荒らしのレスがきたら無視すればいいと思う(提案
>>149さん 了解です 皆さんも荒らしのレスがきたらスルーでお願いします
ちなみにパスタに対応したキャラはこちらになります
ミートソース → 材木座義輝 (ミートは日本語で肉、肉といえばポッチャリ、本編でポッチャリなのは在薬師さん)
ボンゴレ → 雪ノ下陽乃 (アサリは二枚貝、本編で二面性の強烈さに定評があるのははるのん)
カルボナーラ → 由比ヶ浜結衣 (カルボナーラは別名「炭焼のパスタ」といわれる、そして本編で炭といえばゆいゆいさん)
比企谷「よし、ミートソースでいいか」
比企谷「えーっと、合い挽き肉にホールトマト、玉ねぎにんにく、ケチャップその他諸々……」テキパキ
比企谷「……、」テキパキ
比企谷「フライパンに油敷いて、玉ねぎとか肉炒めてホールトマトぶち込んで……」
(数十分後)
比企谷「……茹でたパスタとミートソースをよくなじませて——ほい、完成っと」
比企谷「んじゃさっそく、いただきます」パクパク
比企谷「……、」モグモグ
比企谷「……、」モグモグ
<<キョウカラハジマルワタシノBrand new birthday〜
比企谷「! と、ととと戸塚からの返信キターッ! 呑気に飯食ってる場合じゃねぇ!!」ガバッ
比企谷「……、」ゴクッ…
比企谷「……おうふっ、…………やべぇ、めっちゃくちゃ緊張してきたぞ」
比企谷「…………ああラブコメの神よ、今回こそ俺に微笑んでくれ……っ!」
↓3 戸塚からの返信の内容は?
hachiman's mobile
『FROM 戸塚
TITLE Re
MESSAGE メールありがと八幡
正直あまりにも突然の告白で、まだぼくの心臓はどきどきしてるんだ 本当にびっくりしたんだからね?
えっと、それでさっきのメールの返事なんだけどね
ぼくも、八幡のこと、…………好き、だよ
だから、これからぼくらは『体育ペア勢』じゃなくて、『恋人どうし』だね、えへへっ
将来的に八幡を養うのはちょっと大変かもしれないけど、でもぼく、八幡のために頑張るからね
追伸 今度から八幡は、ぼくの事を『戸塚』じゃなくて『彩加』って呼ぶこと
ちゃんと名前で呼んでくれないと、ぼく怒るからね? 』
比企谷「」
比企谷「」
比企谷「」
比企谷「へんじがない、ただのしかばねのようだ。——って死んでる場合じゃねぇ!!」
比企谷「ちょ、マジかよ!? え、嘘だろこれ実はドッキリでしたとか戸塚に届いたメールに別の誰かがイタズラで返信したとかそんなんじゃなくてマジでガチでッ!?」
<<キョウカラハジマルワタシノBrand new birthday〜
比企谷「! ……ま、またメール! さっきのメールの続きだと考えると…………まさかっ!?」カチカチ
hachiman's mobile
『FROM 材木座
TITLE nontitle
MESSAGE ふむ、我が同胞八幡よ。此度はラノベの原稿の添削を依頼し』
比企谷「削除削除削除削除削除削除削除削除削除削除削除削除削除削除——ってああ!? 間違えてさっきの戸塚のメール消しちまったじゃねぇかッ!?」
比企谷「あ、あんのクソ中二病……! 許さない! 絶対にだ!!」
比企谷「……くっ! だが今はそれより戸塚——じゃなかった、彩加に返信しねぇと」カチカチ
↓3 彩加に返信する内容とは?
勘違いさせてスマン
彩加は結婚相手であって恋人じゃないんだ
>>149さん そうだったんですか、これは大変失礼しました その点は各自で補完していただけると助かります
hachiman's mobile
『FROM 戸塚
TITLE 彩加
MESSAGE 明日会おう そこでじっくり今後について話しあおうぜ』
比企谷「……これでよし、っと」
比企谷「とりあえず食器を洗って自室に戻るか」
比企谷「ごちそうさまでした」ペコッ
【八幡の部屋】
比企谷「(食器を洗い終わって自室に戻ると同時に彩加からメールが届き、その内容は『わかった。でも場所はどうするの?』と書かれていた」
比企谷「彩加と会う場所か、……一体どこがいいんだ?」
↓2 話し合う場所
レス番間違えました >>157さんでした、すみません
↓2 話し合う場所はどこ?
比企谷「んー、奉仕部の部室でいいか。『場所は奉仕部部室』……っと」カチカチ
比企谷「(その数分後、『奉仕部の部室だね、うん、わかった。それじゃあこれからぼくテニススクールだから、また明日 ばいばい』と返ってきた)」
比企谷「はぁ……、メールでも可愛いなぁ彩加は。彩加マジ天使、異論は認めん!」
比企谷「(奉仕部の女二人にも彩加の言動を見習ってもらいたいだぜ、ホントに、いや冗談抜きで)」
比企谷「……さて、また暇になっちまったな」
↓2 これからどうする?
比企谷「あ、そうだ。このウルトラハッピーなビッグニュースを雪ノ下の奴に知らせてやんねぇとな」カチカチ
hachiman's mobile
『FROM 雪ノ下
TITLE nontitle
MESSAGE 彩加と付き合うことになった』
比企谷「……、なんかこのまま進むのは嫌な予感しかしねぇんだが」
↓2 雪ノ下にメールを送信しますか? 以下から選択
�送信する �送信しない
とりあえずFROMじゃなくてTOじゃないの?
返信にしたって八幡にメールが来るわけないし(本編覚えてない)
比企谷「……いや、別に大丈夫だろう。そんなのはきっと杞憂に違いない」」
比企谷「それに俺には今や、聖天使サイカエルがついているんだからな!!」カチカチッ
hachiman's mobile
『————送信完了』
比企谷「……ふっ、ミッションコンプリ—『キョウカラハジマルワタシノBrand new birthday〜』……なん……だと?」
」
比企谷「(俺は恐る恐る携帯を開く。そして携帯の液晶画面に表示される宛名は、我らが奉仕部部長の名前だった)」
比企谷「(……おい、なんだこの異常な返信速度、お前神速のインパルスでももってんのかよ?)」
hachiman's mobile
『FROM 雪ノ下
TITLE Re
MESSAGE このメールに本文はありません』
比企谷「…………って、あれ? 本文が……ない?」
比企谷「……、なんか逆に怖くなってきたぞ……っ」ブルッ…
比企谷「とりあえずなんか返信した方がいいのか?」
↓2 雪ノ下に返信する? 以下から選択
�返信する �返信しない
比企谷「……、いちおう返信しとくか」カチカチ
↓2 返信の内容
>>169さん 原作の5巻の章の間の掛け合いを参考にしてるんでなんも言えねぇ、です
比企谷「やられたらやり返す、でいいだろ」カチカチッ
hachiman's mobile
『FROM 雪ノ下
TITLE Re
MESSAGE >>このメールに本文はありません』
比企谷「ま、これでまた返信が来たら何か考えねぇとな」
比企谷「……、」
比企谷「…………ちょっと、トイレ」スタスタ
【雪ノ下の住むマンション】
yukinoshita's mobile
『FROM 八幡
TITLE Re
MESSAGE >>このメールに本文はありません』
雪ノ下「……これは、比企谷くんが私に喧嘩を売っているという解釈でいいのかしら?」
雪ノ下「(突然比企谷くんからメールが送られてきて、いざ内容を確認してみたら、誰かが戸塚くんと付き合うことになったという事後報告)」
雪ノ下「(……、少し比企谷くんを問い詰める必要があるようね)」カチカチ
↓2 雪ノ下は比企谷に何を尋ねる?
原作では、たしかまだゆきのんと八幡は互いのメアド知らない。
7巻ではさすがに交換したかな?
>>179さん 細かいことを気にし(ry です あと7巻は明日発売ですね
限定版と通常版と妄言録買って読むんで明日の更新は遅くなりそうです
とりあえず再安価
↓2 雪ノ下は比企谷に何を尋ねる?
恋人として付き合うということ?本気?
>>183さんのコメント 海老名さんの場合は『付き合う』じゃなくて『突き合う』ですよねうわなにするやめ(ry
雪ノ下「……とりあえずこんなところかしら」
yukinoshita's mobile
『FROM 八幡
TITLE Re
MESSAGE 恋人として付き合うということ?本気?』
雪ノ下「(……、……えいっ)」カチカチッ
『————送信完了』
雪ノ下「……、」ハァ…
雪ノ下「……、」
雪ノ下「……、」ソワソワ
雪ノ下「……、」ソワソワ
雪ノ下「(…………、返信まだかしら)」ソワソワ
(雪ノ下が送信を完了してからわずか15秒間の出来事である)
【八幡の部屋】
比企谷「はー、スッキリした」
比企谷「……お、メール返ってきてんじゃねぇか」
比企谷「えー、なになに? ……『恋人として付き合うということ?本気?』だと?」
比企谷「……、そりゃあお前……、」カチカチッ
↓2 比企谷は本気? それとも冗談? 以下から選択
�『本気』と書いて『マジ』と読む �『大嘘憑き』とかいて『オールフィクション』と読む
【雪ノ下の住むマンション】
yukinoshita's mobile
『FROM 八幡
TITLE Re
MESSAGE 本気だよ 笑いたきゃ笑えよ、お前に嘲笑されるのなんてとっくの昔に慣れてる』
雪ノ下「……っ、」
雪ノ下「(……まさか、比企谷くんの腐った目が彼の大脳にまで侵食するとは思わなかったわ)」アタマヲナヤマス
雪ノ下「(そして遂に正常な判断が下せなくなってしまったのね、可哀想に……)」
雪ノ下「(比企谷くんが戸塚くんに特別な感情を向ける場面はこれまでに何度か遭遇していたけれど、まさかそれが彼への恋情だったなんて……)」ハァ…
雪ノ下「(私は一体どうすれば……、)」ギリッ…
↓2 このメールを受けて雪ノ下はどうする?
雪ノ下「(……、ここは私1人で懊悩していても妙案は浮かびそうにないわね)」
雪ノ下「(私本位としては非常に不本意なのだけれど、ここは由比ヶ浜さんに報告してみるのがよさそうね)」カチカチッ
yukinoshita's mobile
『FROM 由比ヶ浜
TITLE nontitle
MESSAGE 比企谷くんと戸塚くんが付き合うことになったわ』
『————送信完了』
雪ノ下「(…………さて、一体どんな返事が返ってくるのかしら)」
【由比ヶ浜の部屋】
由比ヶ浜「——あ、ゆきのんからメールだ。めっずらしー」カチカチッ
由比ヶ浜「えー、なになに……?」
yuigahama's mobile
『FROM ゆきのん
TITLE nontitle
MESSAGE 比企谷くんと戸塚くんが付き合うことになったわ』
由比ヶ浜「え?」
由比ヶ浜「……あ、あれー? お、おっかしいなぁ、あたし目疲れてんのかなー……?」ゴシゴシ
由比ヶ浜「さ、彩ちゃんとヒッキーが付き合うなんて、そんなのありえないって」アハハ…
yuigahama's mobile
『FROM ゆきのん
TITLE nontitle
MESSAGE 比企谷くんと戸塚くんが付き合うことになったわ』
由比ヶ浜「……、」ゴシゴシゴシ
yuigahama's mobile
『FROM ゆきのん
TITLE nontitle
MESSAGE 比企谷くんと戸塚くんが付き合うことになったわ』
由比ヶ浜「……、」ゴシゴシゴシゴシ
yuigahama's mobile
『FROM ゆきのん
TITLE nontitle
MESSAGE 比企谷くんと戸塚くんが付き合うことになったわ』
由比ヶ浜「…………っ、」ゴシゴシゴシゴシゴシゴシ
由比ヶ浜「……あ、あれ……? お、おかしいよこのメール……っ」ゴシゴシゴシゴシ
由比ヶ浜「あの二人が付き合うなんて、……っ、そん、なの、あるわけ……ない……っ」グスッ ポロッ…
【八幡の部屋】
比企谷「……あり? なんかパタッと返信こなくなったぞ?」
比企谷「……、」ウーン…
比企谷「まぁ、身近の人物から突然同性愛者だったって事実を打ち明けられたら、さすがの雪ノ下でも困惑するわな」
比企谷「——っ!」ブルッ…
比企谷「(な、なんだ……? なんか今猛烈な寒気を感じたぞ?)」
比企谷「(……あの背筋がぞくっとして全身に悪寒が走る感覚で思い出したんだが、俺これ陽乃さんにバレたらかなりやべぇんじゃねぇの?)」
比企谷「(……や、それでも雪ノ下と付き合うとかそういった話は願い下げなんだが……)」
↓3 このあと比企谷はどうする? 奉仕部ガールズサイドに視点移動も可
雪ノ下「(……、由比ヶ浜さんから返信がないわ。もしかして寝ているのかしら?)」
雪ノ下「……、」
雪ノ下「……、」ソワソワ
雪ノ下「……、」ソワソワ イライラ…
雪ノ下「(……このまま由比ヶ浜さんの返信を待っていても埒があかないわね)」
雪ノ下「ここはもう私が単身で比企谷くんの家へ乗り込んで、早急に彼を真人間に戻すのは厳しいにしても以前の彼に戻さないと駄目だわ」
雪ノ下「……、こ、これはあくまで奉仕部の部長として行動するのであって、決して比企谷くんと戸塚くんが付き合うのが許せないとか、そういうのではないから」
雪ノ下「私は平塚先生に比企谷くんの更生を直々に依頼されたのだから、これは誠に遺憾ながら義務なのよ」
雪ノ下「哀れな目の腐った子羊には、甲斐甲斐しい私が救いの手を差し伸べてあげないといけないの」
雪ノ下「……、」
雪ノ下「…………、1人で一体誰に弁明をしているのかしら私は」ハァ…
【比企谷家前】
雪ノ下「(——それで結局、小町さんにメールで比企谷くんの自宅の場所を訪ねてハイヤーで赴いたのはいいのだけれど……)」
雪ノ下「(男の人の家に来たのは初めてで、勝手がよくわからないのはどうしたらいいのよ……)」
↓3 雪ノ下はどうする?
比企谷母「……あら? そこにいるあなたは…………どちら様かしら?」
雪ノ下「? ……あ、これは失礼しました」
雪ノ下「はじめまして、私はあなたの家の息子の比企谷くんと同じ部活動に所属している雪ノ下雪乃と申します」ペコッ
雪ノ下「比企谷くんには日頃から迷惑をかけられて困り果てているのですが、どうしたら彼の手綱を握ることが出来るのでしょうか?」
比企谷母「……まぁ、そうなの? うちの腐った息子があなたにご迷惑を……。…………ごめんなさいね、うちの息子、本当にどうしようもなくて……」
雪ノ下「(この女性が比企谷くんと小町さんのお母さん……。想像していたのとはだいぶ印象が違うわね)」
小町「あ、雪乃さんこんにちは〜! 本当にうちに来たんですね!」
雪ノ下「あら小町さん、こんにちは。さっきは本当に助かったわ、ありがとう」
小町「いえいえ、そんなお気になさらず! 前にも言いましたけど、うちの兄が多大なご迷惑をおかけしてるんで、これくらいは……」ガサッ…
雪ノ下「……小町さん、その紙袋はもしかして、今まで家族でお出かけしていたのかしら?」
小町「コレですか? はい、その通りですよ雪乃さん、さすがですね。小町と両親二人の水入らずでスカイツリーを見てきたんです!」
雪ノ下「(比企谷くんはその中で水に該当するのね。…………あまりの不憫さに少し同情するわ)」
小町「特別展望台から地上を見ると本当に人がゴミのようでして、思わず『バルス』って叫んじゃいましたよ!」ニコニコ
比企谷父「なんだ小町、こちらの女性と知り合いなのか?」
小町「うん。っていうか、この人お兄ちゃんの(むぐっ!?」
比企谷母「(みなまで言わないで大丈夫よ小町、今の会話でだいたい分かったから)」ヒソヒソ
小町「(むー?」
比企谷母「雪ノ下さん、せっかくウチまで足を運んだのだから、今日はゆっくりしていくといいわ」
雪ノ下「よろしいんですか?」
比企谷母「ええ、なんなら泊まっていっても構わないわよ?」
雪ノ下「っ! そ、そこまでは流石に……、」
比企谷母「ふふっ、冗談よ。 …………半分本気だったけれどね」
雪ノ下「?」
比企谷母「……さて、立ち話もあれだから、積もる話はうちの中でしましょうか。どうぞあがって」
雪ノ下「はい、お邪魔します」
雪ノ下「(リビングに通されたあと、1時間近く私と比企谷くんの関係について根掘り葉掘り聞かれたわ……)」ゲンナリ…
雪ノ下「(その最中にタイミングを見計らって比企谷くんの部屋の位置を尋ねると、どうやら彼の部屋は二階の一番奥にあるようね)」
雪ノ下「(……さて、ようやく本題に切り込めるわ)」
【比企谷家二階・八幡の部屋の前】
雪ノ下「(そして比企谷くんの部屋の前まで来たのだけれど……、一体どうやって部屋に入るのが正解なのかしら?)」
↓3 どうやって部屋に入る?
雪ノ下「(……ここは比企谷くんが一番心を開いている小町さんのふりをして、扉を開けさせるのが得策かしら)」
雪ノ下「(……小町さんのふり小町さんのふり小町さんのふり……)」ブツブツ…
雪ノ下「…………こほんっ」
雪ノ下「お兄ちゃーん、小町お土産もってきたよー(裏声)」コンコン
<<おー、サンキュー小町 部屋ん中にもってきてけれー
雪ノ下「はーい(裏声)」
雪ノ下「(……これ、もし録音でもされてたら一生モノの黒歴史よね)」ハァ…
——ガチャ
比企谷「今回は珍しいな小町、お前が直接俺にお土産持ってくることなんて滅多にな、い…………なんでお前がうちにいんの?」
雪ノ下「どうも。ごきげんいかがかしら、同性愛に目覚めた腐った目を持つオニイチャン?」ゴゴゴゴゴ…ッ
比企谷「」
比企谷「(……やべぇ、なんかかつてないほどご立腹の雪ノ下サンがそこに君臨してるんですがそれは……)」
↓3 比企谷はどうする?
比企谷「…………ま、まぁまぁMAXコーヒーでもどうぞ」スッ
雪ノ下「……あなた、完全に私をおちょくってるわね? しかもそれあなたの飲みかけじゃない、なぜ新品を渡さないのよバカなの?」
比企谷「(駄目だ、火に灯油を注いでしまった。雪ノ下の怒りが烈火のごとく燃え上がる)」
雪ノ下「……いいわ。あなたがそんな態度をとるなら、こちらにだって考えがあるわ」
↓3 雪ノ下の考えとは?
みなさんのコメントがあると、より一層書く意欲が湧いてきます
とりあえず今日買ってきた7巻を読みながら進めていきますのでよろしくお願いします
雪ノ下「比企谷くん、とりあえずさっきのメールの件に関連する全体の流れを、あなたの知っている限りすべて包み隠さず私に報告しなさい」
比企谷「……、嫌だと言ったら?」
雪ノ下「……そうね、もし比企谷くんが私の要求を拒むのなら、まずはこの部屋を隅々まで調べ尽くして、そのあと発掘したすべての物にあなたの名前を記入して、学校の正面玄関に飾っておくわ」
比企谷「お前は社会的に俺を抹殺するつもりか!?」
雪ノ下「いいえ、すべては比企谷くんの返答次第よ」
比企谷「そうだとしても俺が拒否した際の対応策がエグすぎる……っ!」
雪ノ下「……。比企谷くん、もしもあなたが望むのなら、社会的抹殺に加えて精神的抹殺も加えてもいいのよ?」
比企谷「ちょ、待て待て雪ノ下、お前は一体俺をどんなキャラだと思い込んでんだ!?」
雪ノ下「比企谷くんのことは……えっと、自意識過剰の卑屈偏屈捻くれ変態シスコンドMホモ野郎、って思っているわ。…………違うの?」
比企谷「(もう誰だよこんな死に体にロケランぶっ放すような情け容赦ない残酷非道な人間生み出したの……っ!)」ナミダメ
雪ノ下「比企谷くん、すべて吐き出せばスッキリするわよ?」ニコッ
比企谷「……、」ハァ…
比企谷「(最初からこの笑顔を浮かべて教えてほしいって頼んでくれたら、俺は精神に大怪我を負わずに済んだんだけどなぁ……)」
〜事情説明中〜
比企谷「————以上だ」
雪ノ下「……そう、それが一連の流れなのね」
比企谷「ああ、そうだよ」
比企谷「……で、それを聞いてお前は一体何がしたいんだ?」
比企谷「人の恋路を邪魔したいのか? それとも茶々入れか?」
比企谷「そもそも、まずお前が1人で俺の家に乗り込んできた理由はなんなんだよ?」
雪ノ下「……、そんなの決まってるじゃない」
雪ノ下「私は、」
↓3 雪ノ下が比企谷の元へ乗り込んできた理由とは?
雪ノ下「私は、あなたを調教するためにここに乗り込んできたのよ」
比企谷「……、」
比企谷「……………………へ?」ポカーン
比企谷「(…………ちょ、……調教? 調教っていま言ったかこいつ?)」
比企谷「よ、よーし、そこから一歩も動くなよー雪ノ下。お前にもう少し質問させてくれ」
比企谷「(なにがよしなのかは俺も知らんが、とりあえず雪ノ下の発言の真意を確かめなければ……っ)」
雪ノ下「……、何かしら?」
比企谷「まず『調教』ってどういう意味だ?」
雪ノ下「……調教——調教(ちょうきょう、Training)とは、人間・動物に対して行われる訓練を指す単語ね」
(以下読み飛ばし推奨)
雪ノ下「一般的には、サーカスにおいて、猛獣や動物を見世物にする際に行われる訓練を指し、その調教を行う人間を調教師と呼ぶの。これは、衆人環視でも暴れないように人に馴れさせることや、人間の命令を聞くようにするために行われるそうよ」
雪ノ下「また、人に馴れやすい家畜の一部にも行われることがあるのよ。近年では競争馬、ドッグショーにおける犬、または水族館のアシカやイルカショーの曲芸などで行われているわ。ペットの犬が言うことを聞かない場合などに、専門の調教——この場合、躾ということが多い——を行うことがあるわね」
雪ノ下「他には牛が45センチ四方の碁盤に乗る高等調教もあるそうよ。人に従順に育てるための高度な調教技術の一つで、大正時代から伝わるとされてるわ」
雪ノ下「しかし動物の意思と反することや、手法の苛烈さから、これらの動物の処遇に関して動物虐待と指摘する向きもあるわね」
雪ノ下「……どう? まだ続きを聞きたいかしら?」
比企谷「結構です、願い下げです、どうかお引き取り下さいユキペディアさん」
雪ノ下「またその呼び方……。…………まぁいいわ、それよりまだ質問はあるのかしら?」
比企谷「そ、そうだな……。えっと、」
↓3 比企谷から雪ノ下への質問は?
比企谷「質問はない、帰れ」ビシッ
雪ノ下「……っ、」
比企谷「? な、なんだよ……?」
比企谷「(雪ノ下の気分が沈んだ……? ちとキツく言い過ぎたか?)」
雪ノ下「……いえ、なんでもないわ」
比企谷「そ、そうか、ならさっさと——」
雪ノ下「けれども比企谷くん、残念ながらその命令は聞き入れられないわ」
比企谷「——……帰らねぇの?」
雪ノ下「ええ、帰らないわ。私はあなたを調教するまで、帰るつもりは毛頭ないのよ」
比企谷「帰るつもりは毛頭ない……って、まさかお前うちに泊まるつもりか?」
雪ノ下「時と場合によってはそうなるわね」
比企谷「着替えとかはどうすんだよ?」
雪ノ下「別に1日くらい着替えなくても平気よ」
比企谷「女子としてその発言はどうなんだよ……」
雪ノ下「……あら、一年中目を腐らせている不衛生極まりないあなたに言われる筋合いはないと思うのだけれど?」
比企谷「う、うるせぇ! こちとら好きで腐らせてるんじゃねぇよ!!」
雪ノ下「……ふぅん。それなら私がその目を調教しても、一向に構わないという解釈をしてもいいのかしら?」
比企谷「へ? ………………あっ!」
雪ノ下「…………さて、どこをどう調教すれば、比企谷くんの目は輝きを取り戻すのかしらね」
↓3 比企谷の何を調教する? (R−18系はあまりオススメしません)
雪ノ下「…………ねぇ比企谷くん、…………『八柱霊園』って、聞いたことあるかしら?」
比企谷「ッ! ちょ、ゆ、ゆゆゆ雪ノ下さん!? な、なんでいきなりその名前を出すんでしょうかねぇッ!?」
比企谷「(おいばか、ばっかお前雪ノ下! お前の一言で以前深夜にネットで見た怖い話思い出しちゃったじゃねぇかよ!?)」
雪ノ下「いえ、そこに比企谷くんを拉致……こほんっ。 連れて行って、置き去りにしようと考えたのよ」
雪ノ下「心霊スポットを利用して、ショック療法……とでも言うのかしら? とにかくその方法で、本能に深く刻まれるほど恐ろしい体験と遭遇することで、文字通り比企谷くんの腐りの源である本能を完膚無きまでズタボロにするのよ」ニコッ
比企谷「な……、なんて悍ましい計画企ててんだよお前…………っ!」ガクガク
比企谷「(つーかお前自体幽霊とか苦手じゃねぇか! 肝試しであげた雪ノ下の悲鳴はとても可愛いなぁと思いました。まる)」
雪ノ下「ふふっ、想像以上に怖がってもらえてなによりだわ」
雪ノ下「……でも、心霊現象という非科学的な事象に確実性は保証できないのがこの計画のネックね。残念だけど、実行には移せそうにないわ」
比企谷「ほっ……、助かったぜ」
雪ノ下「(——その後も色々と比企谷くんの調教方法を考えたのだけれど、どれもピンと来なかったわ)」
雪ノ下「(ふと部屋の窓から外を見ると、藍色と茜色とが入り混じる黄昏時だった。……これは自宅へ帰るべきなのかしら?)」
↓3 雪ノ下は自宅に帰るべき? 以下から選択
�帰るべき �比企谷家に泊まるべき �そんなことより外へ散歩にいこうぜ!
比企谷「おい雪ノ下、お前そろそろ家に帰らなくていいのか? なんなら近くまで送ってくけど?」
雪ノ下「いいえ、結構よ。私、今日はあなたの家に泊まるつもりだから」
比企谷「え、マジかよ…………」
雪ノ下「……、なぜあなたはそんな露骨に嫌そうな顔をするのよ? 比企谷くんは私みたいな美少女と一緒に寝泊まりできるのが嬉しくないのかしら?」
比企谷「……はっ、残念だったな。うちの美少女枠はすでに小町の名前が埋まってんだ、つまり——お前の席はねぇから!」
比企谷「(つーか自分で自分を可愛いとか美少女とか言う女は、ほぼ九割は性格がブスなんだよ)」
比企谷「(残りの一割はヤンデレとかその他例外な)」
雪ノ下「そう、なら実力行使で奪うまでよ。…………比企谷くんの席を、ね」ガシッ
比企谷「っ!」ギュッ
比企谷「(……な、何をするつもりだ雪ノ下……ッ!?)」
↓3 雪ノ下の実力行使とは?
雪ノ下「比企谷くん、あなたの家族内におけるカーストは最下層でいいのよね?」
比企谷「おい雪ノ下、お前何勝手に決めつけてんだよ。俺がファミリーカーストで最下層なわけねぇだろ、うちの最下層はカマクラだっつぅの」
雪ノ下「……なるほど、そもそも比企谷くんはヒエラルキーに属していないのね」
比企谷「おーい、どっからそんな結論引っ張ってきたんだ雪ノ下ー? つーか今日のお前容赦なさすぎてもう涙すらでねぇよ、枯れ果てたわ」
雪ノ下「…………そうなると、比企谷くんの家のカーストの最高層に位置しているのは、比企谷くんのお父さん……ではないわね、おそらくお母さんでしょうね」ブツブツ
比企谷「……ふっ、その推測は誤りだぞ雪ノ下。ウチのカーストの最高位に君臨しているのは小町だ。この家ではあいつが一番偉い、小町マジお姫様」
雪ノ下「そして兄は計測不能…………いえ、きっともうこの世にはいないのね、ご冥福をお祈りするわ」
比企谷「誰かー、こいつの頭叩くハリセン持ってこーい。とりあえず八万発叩くから、強化プラスチック製ので頼むー」
雪ノ下「……そう、なら私はコレで迎撃するわね」バチチッ
比企谷「ん? それって…………おまっ、ちょ、スタンガ——ッッ!?」ビリビリビリビリッ
雪ノ下「(面倒な比企谷くんを護身用のスタンガン(特注品)で気絶させ、その間に彼のご両親に今日は泊まっていく旨を伝えるとあっさり認められた)」
雪ノ下「(そして1日お世話になるお礼に、夕食を小町さんと一緒に作ってご両親に振る舞うと、『ぜひ息子の嫁に来てくれ』と懇願されたわ)」
雪ノ下「……、」
雪ノ下「(…………私は、比企谷くんの事をどう思っているのかしら)」
↓4 雪ノ下雪乃にとっての比企谷八幡とは? 以下から選択
�赤の他人以上友達未満 �本音で語り合える知り合い �同じ部活動の仲間 �一緒にいて居心地のよい人 �かけがえのない人
【風呂】
雪ノ下「(比企谷くんは、目は腐ってて、思考は捻くれてて、物事を穿った捉え方でしか見れなくて、卑屈で最低で陰湿で、一言で表すならダメ人間)」
雪ノ下「(……でも、彼の腐った目は裏に隠された真実を見抜き、一般人には思いもつかない方法で他人を救って、誰も傷つかない世界をつくる為に自分を真っ先に生贄として捧げることが出来る優しい心を持っている)」
雪ノ下「(比企谷くんは、決して自分の信条を曲げない。誰よりも卑屈で最低で陰湿だけど、それがブレることは決してない)」
雪ノ下「(私の掲げる理想とは正反対だけど、彼の呆れるほどの愚直さは私ととてもよく似ている)」
雪ノ下「(だから比企谷くんと一緒にいるのはとても居心地がいい。……けれど、ベクトルが正反対で似ているから互いに反発する)」
雪ノ下「(…………『同族嫌悪』というものね。だから私と比企谷くんは口喧嘩が絶えないし、友達にはなれない)」
雪ノ下「(そして友達になれないということは、逆説的に言えば友達以外にはなれるということ)」
雪ノ下「(…………いえ、これはただのこじつけよね。 ……それに比企谷くんは、もう戸塚くんと恋人同士。私の入り込む余地など残されていない)」
雪ノ下「……、」ブクブク
雪ノ下「…………はぁ、ダメね、一体何を考えているのよ私は」
小町『雪乃さーん。着替え、ここに置いておきますねー』
雪ノ下「! え、ええ、わざわざありがとう小町さん、助かるわ」
小町『いえいえ、どういたしまして! では雪乃さん、ごゆっくり〜♪』
雪ノ下「(……ごゆっくりとは言われても、そろそろ上がらないとまずいわよね)」
雪ノ下「(……、湯あたりしないようにそろそろあがるとしましょう)」ザバッ
——ガラッ
雪ノ下「ッ!?」
↓4 突如開けられた脱衣所の扉(風呂場じゃないです、念のため)、それを開いたのは誰? 以下から選択
�脱衣所の近くの洗面台に顔を洗いにきた比企谷八幡
�着替えの忘れ物をして再び置きにきた比企谷小町
�小町とメールして雪ノ下が比企谷家に来ていることを知って慌ててやって来た由比ヶ浜結衣
�なぜか突然比企谷家を訪ねてきた雪ノ下陽乃
由比ヶ浜「ずるいよゆきのん! あたしに黙ってヒッキーの家に泊まるとかそんなの卑怯だよ卑怯!!」
雪ノ下「ゆ、由比ヶ浜……さん?」
由比ヶ浜「あたしがゆきのんから送られてきたメールでガチへこみしてる時に、ゆきのんは……ゆきのんは……っ!」
雪ノ下「お、落ち着いて由比ヶ浜さん。そ、そして一度深呼吸して、落ち着いたら回れ右をしてそこの扉を閉めてもらえないかしら?」
雪ノ下「(……そうしないと、服がいつまでたっても着れないのよ)」
由比ヶ浜「え? ……う、うん、わかった」
由比ヶ浜「すぅーっはぁ〜っ……、すぅーっはぁ〜っ……、すぅーっ、はぁ〜…………、」クルッ ピシャッ
由比ヶ浜「言われたとおりにやったよゆきのん」
雪ノ下「ええ、ありがとう、助かったわ由比ヶ浜さん」ガラッ
由比ヶ浜「! ほわぁ……、ゆきのん、やっぱり肌キレーだねー」スベスベ
雪ノ下「ゆ、由比ヶ浜さん。……、いくら私がタオルを巻いてるからといっても、その…………あ、あんまりジロジロ見ないで頂戴」
雪ノ下「…………すごく、恥ずかしい……のだけれど……っ」////
由比ヶ浜「ゆ……ゆきのんっ!」ダキッ
雪ノ下「ちょ、ゆ、由比ヶ浜さん!?」アセアセ
【廊下】
比企谷「…………、扉の向こうで何やっとるんだあいつらは」ハァ…
比企谷「(だからなんでこの世界はこうもラブコメがまちがってんの? 俺は彩加と、雪ノ下は由比ヶ浜とって、ラブコメの神様はホモかレズかのどっちかしかいねぇのかよ)」
比企谷「(つーかなんでノーマルが希少種になってんの? 完全にバグってんじゃんこの『人生』という名のクソゲー、会社はお詫びはよ)」
↓3 このあとはどうする? (内容はお任せします)
比企谷「————はっ!?」ガバッ
比企谷「……ゆ、夢だった…………のか?」カパッ カチカチッ
比企谷「…………、」カチカチッ
比企谷「……うん、夢だな。だって俺のアドレス帳に雪ノ下の名前が入ってねぇもん」
比企谷「……、」ハァ…
↓3 比企谷八幡はこれからどうする?
店員「お待たせしました、こちらがアイスコーヒーになります」
比企谷「あ、ども」ペコッ
戸塚「あ、すみません。ぼく、アイスコーヒーを1つ、お願いします」
店員「かしこまりました。ではしばらくお待ち下さいませ」
戸塚「……えへへっ」
比企谷「ん? どうした戸塚?」
戸塚「え? ううん、なんでもないよ」
比企谷「そうか? ならいいけど……」
戸塚「……、」ニコニコ
川崎「……、」
比企谷「……、」
比企谷「(……やべぇ、戸塚と一緒なら普通に会話で盛り上がれるんだが、今は目の前に川崎がいてなかなか思うように会話が出来ねぇ)」
比企谷「(……、なんか無難な話題ねぇかな……?)」
↓3 比企谷八幡は二人にどんな話題を提供する?
比企谷「(あ、そうだ。雪ノ下の愚痴でもこぼすか。雪ノ下なら何かと話題になりやすいし、うってつけだろう)」
比企谷「なぁ、お前らって雪ノ下についてどう思う?」
戸塚「雪ノ下さん? ……えっと、雪ノ下さんはとっても綺麗だよね」
比企谷「そうだな、あいつは確かに綺麗だな。……まあ可愛さは戸塚のほうがダントツだけどな!」
戸塚「むぅ……、八幡、ぼく男だよ? ……その、可愛いとか、あんまり言われたくないなぁ……」シュン…
比企谷「わ、悪い戸塚! そんなつもりじゃなかったんだが……」
比企谷「(ぐあああっ!? 戸塚の好感度が下がっちまったじゃねぇか俺のバカ!)」
川崎「……、あたし雪ノ下は苦手」
比企谷「あー、お前雪ノ下と初めて会った時、嫌悪感丸出しだったよな」
比企谷「(しかもこいつと雪ノ下が口論やってただけなのに、なぜか無闇に俺を傷つけてきやがって……っ)」
戸塚「……あ、それってぼくと材木座くんが行けなかったお店での話、かな?」
比企谷「ああ、そういやそうだったな。あの時戸塚はホテルん中にいなかったんだよなぁ」
比企谷「(ところで材木座くんって誰? 初めて聞く名前なんだけど?)」
比企谷「……くそっ、雪ノ下がキチンと服装を指定していれば、戸塚と一緒に100万ドルの夜景を見ることができたのに……っ!」ギリッ…
川崎「……あの店から見える夜景、100万ドルも価値ないけど。せいぜい10万ドルくらいじゃないの?」
比企谷「ちょ、おまっ! そんなロマンのないこと言うんじゃねぇよ! もうちょい夢見たっていいだろ!?」
川崎「……、残念だけど、あたしは現実しかみてないから。…………夢なんて、結局お金があればなんでも叶えられちゃう程度のものじゃん」
戸塚「か、川崎さん……」
比企谷「……、」
比企谷「(……やべ、もしかして俺、川崎の地雷踏み抜いた?)」
↓3 気持ちが沈んでしまった川崎にフォローを入れよう (フォローの内容は自由です)
比企谷「(ここは何かフォローいれねぇと……!)」
比企谷「(えっと、金で買えないものといえば…………『愛』だな。よし——)」
比企谷「川崎!」
川崎「っ、な、なに……?」
比企谷「愛してるぜ!」
川崎「っ!?」////
川崎「…………は、はあっ!? え、ちょ、い……意味わかんないし!!」
戸塚「……は、八幡って、けっ、結構大胆……なんだね」
比企谷「そ、そうか?」テレテレ
比企谷「(……あれ? なんか俺その場の流れでとんでもないこと言っちゃったパターン?)」
比企谷「(頭空っぽにして叫んだから何言ったか覚えてねぇや、どうすっかな)」
↓3 比企谷八幡はどうする?
八幡はって安価に第三者安価おkなのがこのスレの凄いところ
>>281さん
よほどぶっ飛んだ安価じゃなければだいたい無理矢理合わせてやります。
けどR-18系統は書いた事がないので、あまり安価には書いてほしくないと本音をポロリ……。
ROCK YOU!!がハマリすぎてヤバイ だがまだ7巻は読み終わってない、あと半分が遠い……。
てなわけで、本日もいきます。 よろしくおねがいします。
雪ノ下「……そうね、公衆の面前で周囲への騒音を顧みずにプロポーズをするなんて、行動が大胆を通り越してもはや蛮行ね。原始人でももう少し沈着な求愛をするわよ?」
比企谷「ゆ、ゆゆゆ雪ノ下!? な、なぜお前がここにいる!?」
雪ノ下「……別に、偶然この店の前を歩いていたら、非常に耳障りだけどどこか聞き覚えのある声が私の耳に届いたものだから、その確認をしに足を運んだだけよ」
比企谷「(噂をすればなんとやらってやつか。……って、ん? ……あれ、俺プロポーズなんてしたっけ?)」
雪ノ下「それで、川崎さん。あなたは比企谷くんの求愛、どんな返事をするつもりなのかしら?」
戸塚「(……あれ? なんだか雪ノ下さん、ちょっと不機嫌そう)」
川崎「あ、あたしは……、」
↓3 川崎は雪ノ下の問いかけにどう答える?
川崎「あ、あたしは…………………………くない、って思う」
雪ノ下「え? ごめんなさい川崎さん、聞こえなかったからもう一度言ってもらえるかしら?」
川崎「…………くない」
雪ノ下「聞こえないわ」
川崎「……悪くない」
雪ノ下「……、それは比企谷くんの求愛を受け入れるという解釈でいいのかしら?」
川崎「……っ、」コクッ
戸塚「(川崎さん、顔真っ赤だ。普段クールな川崎さんでも、やっぱりこういう話は恥ずかしいんだね)」
雪ノ下「……、そう」
雪ノ下「よかったわね比企谷くん、川崎さんはあなたの求愛を受け入れてくれるそうよ?」
比企谷「え? ……マジで?」
比企谷「(ちょっと待て、一旦落ち着こう。COOLだ……、COOLになるんだ俺……)」
比企谷「(……えっと、どうやら俺が頭を空っぽにして叫んだ内容は川崎へのプロポーズらしい)」
比企谷「(それを店の外で聞いた雪ノ下がここにやってきて、そしてその返事を川崎に催促した)」
比企谷「(そして川崎は、俺のプロポーズを拒絶せずに受け入れると返した、と)」
比企谷「…………、」
比企谷「(——ハハッ、ヒッキーだよ!)」
比企谷「(…………もう笑うしかねぇ……ッ、なにやってんだよ俺の馬鹿! ついさっきまで俺は『俺を養ってくれる人じゃないと結婚を前提に付き合わない』とか言ってたじゃねぇか!?)」
↓3 比企谷八幡はどうする? 以下から選択
�「あ、俺急用を思い出したから帰るわ」と言って退散
�「さっきのは冗談だったんだが……」と事情を説明
�「すまん、さっきのあれ、まだ続きあったんだが……」と、嘘をつく
比企谷「(……くっ、仕方ねぇ。ここは比企谷八幡の最終奥義『土田喜屋武(ドタキャン)』を披露するしかないようだな……っ)」スッ
比企谷「あ、俺急用を思い出したから帰るわ」スタスタ
雪ノ下「ダウト」ガシッ
比企谷「ぐぇ」ギュウッ
比企谷「(俺が回れ右して颯爽と帰ろうとしたところ、即座に雪ノ下が手を伸ばし、俺の上着の襟首部分を掴んで止める。おかげでへんなうめき声が出てしまった)」
雪ノ下「自身が場の空気に耐えられなくなった時、突然『急用が出来た』と言い残して去る人の急用は九割が嘘よ。ソースは比企谷くん」
比企谷「ッ!? お、俺そんな、の、言った覚え、ねぇ、ぞ……?」
比企谷「(あーダメだ、首締められてるから思うように話せねぇ……っ)」
戸塚「ゆ、雪ノ下さんっ! そのままだと八幡がとても苦しそうだよっ!?」
雪ノ下「っ!」パッ
比企谷「——っ、ゲホッ、ゲホッ! …………と、戸塚……サンキュ」
戸塚「は、八幡、……大丈夫?」
比企谷「……ああ、平気だ」
比企谷「(戸塚の心配している表情prpr)」
雪ノ下「あ、……ご、ごめんなさい比企谷くん。ついうっかり……」シュン…
比企谷「……あー、いいんだよそんなに落ち込まなくて。つーかここから逃げ出そうとした俺が、元を辿れば悪いんだし」
比企谷「(そして大体教室で起きた事件の犯人は、元を辿らなくても俺が強制的に犯人にされる)」
比企谷「(結局誰だったんだよ、俺の机の中に女子のリコーダー入れた馬鹿は。アレのせいで俺の周囲からの評価が急成長して大変だったんだぞ!マイナス方向に)」
比企谷「(まぁその時点で既に評価はマイナスだったんですけどね。いまさら10や20のマイナスじゃ驚かねぇよ)」
↓4 比企谷八幡はこの状況をどう対処する?
比企谷「(……あー、もういいか。なんか過去の事を思い出してたらもう乗るしかねぇじゃん、このビッグウェーブに)」
比企谷「(だってそもそも、いまだかつてこんな状況にまで発展した試しがねぇからな)」
比企谷「(かつての俺はサーフボードに乗ろうとしたものの、上手く乗れずに転覆して溺死。……おい、波どころかサーフボードにすら乗れないってどういうこと? しかも死んでんじゃん。……まぁ実際に玉砕しまくりだったけどさ……っ)」
比企谷「(——だが今は違う! 多少予定は狂ったが、俺にもついに春が来た!)」
比企谷「(クソ寒かった氷河期さようなら! ようこそ春風! そして春風で散りゆく菊門……っておい誰だ、俺の脳内に海老名さんの毒牙を仕向けたのは!?)」
川崎「……ね、ねぇ、その…………あんた」
比企谷「……ん? なんだ川崎?」
川崎「……あ、あんた、あたしのこと…………あ、愛してるんでしょ?」
比企谷「あ、ああ、愛してるぞ」
雪ノ下「……、」
比企谷「(いまさらそんな気はこれっぽっちもないとは言えんな。あと『これっぽっち』と『コレはぼっち』って似てるよな。……人を指示語で呼ぶんじゃねぇよクソが……っ)」
川崎「だ、だったら! ……あ、あたしのこと、『川崎』じゃなくて、その…………名前で呼んで」
川崎「……さ、『沙希』って…………呼んで……っ」
比企谷「さ……さ…………あー、」
↓3 このあと比企谷八幡の口から出た言葉は? 以下から選択
�「『沙希』」
�「『サキサキ』、じゃダメか?」
�「お前の名前を呼ぶのは俺と二人っきりの時だけがいいんだが……ダメか?」
比企谷「沙希」
川崎「〜〜っ」////
比企谷「(……ヤバイ、名前呼んだだけで顔真っ赤とかチョロすぎだろ川崎ェ……)」
比企谷「(これで俺が突然抱きしめたりしたらどうなんの? 気絶すんの? 耳元で名前呼んだら腰抜けちゃうの?)」
↓3 比企谷八幡はどうする?
比企谷「(……モノは試しだな)」
比企谷「なあ沙希、ちょっとこっちに来てくれ」
川崎「……う、うん」////
比企谷「(……よし、こっちに来た。そんでその流れで——)」
比企谷「沙希」ギュウッ
川崎「っ!」////
戸塚「(わ、わわわっ!)」
雪ノ下「……、」ジトッ…
比企谷「…………好きだ」ボソッ…
川崎「〜〜〜〜っ!!」////
比企谷「…………お前しか、考えられない」ボソッ…
川崎「————(気絶)」
比企谷「…………お前なしでは——って、……あれ? 沙希さん? 沙希さーん?」ペチペチ
川崎「————(気絶)」
比企谷「(へんじがない、どうやらきぜつしているようだ)」
比企谷「(……やべぇ、まさか本当に気絶するとは思わなかった。こいつ今まで誰からも愛されたことがなかったのか?)」
比企谷「(…………なにそれ俺と同じじゃん。プロデューサーさん! 同類ですよっ! 同類っっ! もしくは私達、仲間だもんげ! ……、もんげってなんだよもんげって)」
↓4 このあとはどうする?
比企谷「……? あれ? そういえば……」
比企谷「(気絶している時って呼吸してるんだっけ? ……あれ、してないんだっけ?)」
比企谷「(いちおう口元に耳を近づけて…………、)」シーン…
比企谷「……、」シーン…
比企谷「……、」シーン…
比企谷「……………きゅ、」
比企谷「——————きゅ、救急車ぁ!!」
雪ノ下「っ!?」
戸塚「え、ええっ!?」
比企谷「おい嘘だろなんで呼吸止まってんの!? なにこれどういうこと!?」
戸塚「え、えっと、えっと……は、八幡っ! とりあえず……じ、人工呼吸しないと……!」
比企谷「え、あ、そ、そうだな! えっと……、」
比企谷「(まず床に寝かせて、気道確保して、口を開ける。そして額の当てた親指と人差し指で鼻をつまんで、開かれた口に息を静かに吹き込む——って無理無理無理無理無理無理っ!!)」
戸塚「は、八幡はやくっ! その一瞬の躊躇いが生死の境目なんだよっ!?」
比企谷「……くっ! ……ええい、————ままよ!」ガバッ
雪ノ下「——っ、」
雪ノ下「(私の目の前で寝かされた川崎さんの顔に、その上から比企谷くんの頭が覆いかぶさる)」
雪ノ下「(そして彼はゆっくりと、彼女の機能が停止した肺へと息を送り込む)」
雪ノ下「(彼は一体どんな表情で、彼女へ一分も洩らさないように息を吐き出しているのだろうか)」
雪ノ下「(ただ、この光景を目撃した私の表情は、きっと酷く醜く歪んでいて——そして、今にも泣き出しそうな苦悶に満ちた表情だったでしょうね)」
雪ノ下「(そんな思考が脳内を右から左へ駆け抜けた直後、私の左頬を一筋の雫が撫でた)」
雪ノ下「(その雫を皮切りに、今度は右頬を大粒の雫が伝い、そして店の床へと落ちていく)」
雪ノ下「(私は慌てて顔を両手で覆い隠すが、その行為に抗うように私の指の僅かな隙間から雫はこぼれ落ちていく)」
雪ノ下「(そうして気がつけば、私は地面へ両膝をついて泣き崩れていた)」
雪ノ下「(こんな感情、私は知らない。溢れる涙の意味と正体不明な感情は、教科書には載っていない)」
雪ノ下「(誰も私には、教えてくれない)」
ゆきのんを泣かせた悪い子は誰だー!? 俺だ俺だ俺だ俺だ俺だ俺だーっ!!
SS書いててこんなに悩んだのは初めてです。みなさん良い経験をありがとうございます。
とりあえず7巻読み終わりました。海老名さんの株がうなぎ登りの巻でしたが、それより自分はラーメンを食べた帰り道の二人がやばかったです。
そして話に一区切りがついたこのスレですが、この後どうしましょうか?
ぶっちゃけこの流れの続きを書くとなると、たぶん一週間ぐらい悩むと思うんですが……。(個人的に話のリセット推奨)
八幡だけに今日の午後8時くらいまでみなさんで話し合っていただけると助かります。 では、ちょっくら7巻のドラマCD聞いてきますね。
みなさんゆきのん好き過ぎじゃないですかね……、いやまぁたしかにゆきのんは可愛いですけど
とりあえずお話はリセットでいきます
そして主人公もリセット(というかゆきのん推し)希望があるので、ここは第一回俺ガイル総選挙(仮)の開幕を提案したいのですが、いかがですか?
その総選挙の詳細としては【↓10までの定められた範囲のコメに書き込まれたキャラ名で、一番多かった人物が主人公になる】という具合です。
みなさんの意見を伺いたいです、どうでしょうか?
了解しました。少々おまちください
※最終チェック用に書き込んだだけです まだ総選挙開始ではありません
【第一回 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。真の主人公選抜総選挙】
《候補者一覧》
・比企谷八幡 ・葉山隼人 ・川崎沙希 ・カマクラ
・雪ノ下雪乃 ・三浦優美子 ・川崎大志 ・サブレ
・由比ヶ浜結衣 ・海老名姫菜 ・平塚静
・戸塚彩加 ・戸部翔 ・雪ノ下陽乃
・材木座義輝 ・大和 ・相模南
・比企谷小町 ・大岡 ・城廻めぐり
・鶴見瑠美
《ルールと投票上の注意点》
・この書き込みから↓10までが有効票となります
・有権者は総選挙で当選させたいキャラを3名まで選択し、下記のように書き込んでください
1 比企谷八幡 2 雪ノ下雪乃 3 由比ヶ浜結衣
・上記は数字が小さい順にそれぞれ3ポイント獲得、2ポイント獲得、1ポイント獲得、という意味です
・その結果、総獲得ポイントが多い上位3名が順番に主人公となります
・同率一位(二位、三位)の場合はその同票者同士で再選挙となります(その際のルールは基本同じです)
・キャラ名無記入の場合は無効票となります
・個人の連続コメントは禁止です
このような感じになりましたがよろしいでしょうか?
※漢字のミスがあったので訂正と調整 まだ開始ではありません
【第一回 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。真の主人公選抜総選挙】
《候補者一覧》
・比企谷八幡 ・雪ノ下雪乃 ・由比ヶ浜結衣 ・戸塚彩加 ・材木座義輝 ・比企谷小町
・葉山隼人 ・三浦優美子 ・海老名姫菜 ・戸部翔 ・大和 ・大岡
・川崎沙希 ・相模南 ・城廻めぐり
・鶴見留美 ・川崎大志 ・雪ノ下陽乃 ・平塚静
・カマクラ ・サブレ
《ルールと投票上の注意点》
・この書き込みから↓10までが有効票となります
・有権者は総選挙で当選させたいキャラを3名まで選択し、下記のように書き込んでください
1 比企谷八幡 2 雪ノ下雪乃 3 由比ヶ浜結衣
・上記は数字が小さい順にそれぞれ3ポイント獲得、2ポイント獲得、1ポイント獲得、という意味です
・その結果、総獲得ポイントが多い上位3名が順番に主人公となります
・同率一位(二位、三位)の場合はその同票者同士で再選挙となります(その際のルールは基本同じです)
・キャラ名無記入の場合は無効票となります
・個人の連続コメントは禁止です
※確定版です まだ選挙開始ではありません 総選挙は本日21時30分から開始します
【第一回 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。真の主人公選抜総選挙】
《候補者一覧》
・比企谷八幡 ・雪ノ下雪乃 ・由比ヶ浜結衣 ・戸塚彩加 ・材木座義輝 ・比企谷小町
・葉山隼人 ・三浦優美子 ・海老名姫菜 ・戸部翔 ・大和 ・大岡
・川崎沙希 ・相模南 ・城廻めぐり
・鶴見留美 ・川崎大志 ・雪ノ下陽乃 ・平塚静
・カマクラ ・サブレ
《ルールと投票上の注意点》
・この書き込みから↓10までが有効票となります
・有権者は総選挙で当選させたいキャラを3名まで選択し、下記のように書き込んでください
1 比企谷八幡 2 雪ノ下雪乃 3 由比ヶ浜結衣
・上記は数字が小さい順にそれぞれ3ポイント獲得、2ポイント獲得、1ポイント獲得、という意味です
・その結果、総獲得ポイントが多い上位3名が順番に主人公となります
・同率一位(二位、三位)の場合はその同票者同士で再選挙となります(その際のルールは基本同じです)
・キャラ名無記入の場合は無効票となります
・個人の連続コメントは禁止です
【第一回 やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。真の主人公選抜総選挙】
《候補者一覧》
・比企谷八幡 ・雪ノ下雪乃 ・由比ヶ浜結衣 ・戸塚彩加 ・材木座義輝 ・比企谷小町
・葉山隼人 ・三浦優美子 ・海老名姫菜 ・戸部翔 ・大和 ・大岡
・川崎沙希 ・相模南 ・城廻めぐり
・鶴見留美 ・川崎大志 ・雪ノ下陽乃 ・平塚静
・カマクラ ・サブレ
《ルールと投票上の注意点》
・この書き込みから↓10までが有効票となります
・有権者は総選挙で当選させたいキャラを3名まで選択し、下記のように書き込んでください
1 比企谷八幡 2 雪ノ下雪乃 3 由比ヶ浜結衣
・上記は数字が小さい順にそれぞれ3ポイント獲得、2ポイント獲得、1ポイント獲得、という意味です
・その結果、総獲得ポイントが多い上位3名が順番に主人公となります
・同率一位(二位、三位)の場合はその同票者同士で再選挙となります(その際のルールは基本同じです)
・キャラ名無記入の場合は無効票となります
・個人の連続コメントは禁止です
選挙開始 ↓10まで有効
《結果発表》
第1位 雪ノ下雪乃 15ポイント
雪ノ下「……まあ、当然の結果よね」グッ
第3位(同票) 比企谷八幡 11ポイント
比企谷「おい、なんで俺選挙で3位なのに学校では友達できねぇんだよ」
第3位(同票) 海老名姫菜 11ポイント
海老名「ぐ腐腐腐……、これで隼人×ヒキタニの妄想が渋る……!」ダラー…
第4位 平塚静 5ポイント
平塚「ふむ、まあこの辺りが妥当だろうな」
第6位(同票) 比企谷小町 4ポイント
小町「うわー、お兄ちゃん意外と人気者ー」
第6位(同票) 材木座義輝 4ポイント
材木座「な、なぜだ八幡! なぜ貴様がこの剣豪将軍たる我を差し置いてその席に座すことを許されているのだー!?」
第7位 三浦優美子 3ポイント
三浦「海老名、とりあえずヨダレ拭けし」
以下、時間の都合により割愛
というわけで、まずはゆきのんが主人公ですよ主人公! ゆきのん大勝利ー!
今回は八幡と海老名さんが同票になりましたが、上位3名に収まっているので再選挙はおこないません
それで主人公の順番が 雪乃→八幡→海老名 になってるんですが、主人公が切り替わるタイミングは総獲得ポイント数でよろしいでしょうか?
皆さんの意見を伺いたいです
(今回の場合、雪乃が15レス分 八幡と海老名が11レス分になります)
わかりました、ではそれでいきます
【奉仕部部室】
雪ノ下「……、」ペラ… ペラッ…
雪ノ下「(今日も奉仕部への依頼はない。部室には比企谷くんと小町さんが各々の時間を過ごしている)」
比企谷「……っ」プルプル…
雪ノ下「(今日の比企谷くんの不愉快さは絶好調ね、また下卑た目をして笑いを堪えているわ)」
由比ヶ浜「…………ZZZ」
雪ノ下「「由比ヶ浜さんは雑誌を広げたまま眠っているわね、寝不足かしら?)」
雪ノ下「(……、もうすぐ部活動終了の時間ね)」チラッ
↓3 雪ノ下はどうする?
<<ジジッ… キーン コーン カーン コーン
比企谷「……んー、もう帰りか。結局今日も誰一人として依頼に来なかったな」
雪ノ下「ええ、そうね」パタンッ
由比ヶ浜「……ZZZ」
比企谷「……、なぁ雪ノ下」
雪ノ下「なにかしら」
比企谷「俺ら、ここで部活している意味あんの?」
雪ノ下「……、それはどういう意味かしら?」
比企谷「いや、どういう意味もなにも、ただこの特別棟の四階っつー辺鄙な場所に来るのも一苦労だろ?」
比企谷「そしてこれまでに解決してきた依頼は、すべてこの部室以外で解決してきた」
比企谷「つまり、この部室は俺たち奉仕部には必要がないわけだ。っていうか、ここに歩いてくるのが面倒くさい」
雪ノ下「……はぁ、わざわざ論理的に話していくものだから、なにかまた最低なことでも想像したのかと思ったら、ただの愚痴じゃない。私にこれ以上ヘンな警戒をさせないで頂戴」
比企谷「警戒っておま……、普段からどんな印象を俺に抱いてんだよ……?」
雪ノ下「下卑て腐った目を持つ変態」
比企谷「うぉぉ……、一瞬の迷いもなく断言出来るって逆にすげぇな」
雪ノ下「……初対面の時あなたが私に向けた全身を舐め回すような視線、いまでも悪夢としてそれを思い出てしまうのだから、本当に困ったものだわ……」
比企谷「……はっ、今も昔も慎ましすぎるお前の胸や身体になんか俺が欲情するかよ」
雪ノ下「あら、じゃああの時は私の辛辣な言葉で比企谷くんは興奮を感じていたのね? …………余計不潔だわ、この変態」
比企谷「はっはっはー、昔に比べて切れ味が鋭くなってきたな雪ノ下ー。…………いつか絶対に泣かしてやる……っ!」グスッ…
雪ノ下「あなたが私に泣かされてるじゃない……」ハァ…
↓3 このあと雪ノ下はどうする?
比企谷「ち、ちげぇよこれはアレだ! 目に燃えるゴミが入っただけだし!」
雪ノ下「……、燃えないゴミが目に入ったらどうなるのよ」
比企谷「目が見えなくなるな。ソースは先々週あたりのジャ○プの読み切り漫画な」
雪ノ下「……あら、それはよかったじゃない。ならさっそく目に燃えないゴミを入れてあげるべきよね、その腐った目のためにも、……ね?」ニコッ
比企谷「……っ、だからお前は俺に微笑むタイミングが完全にまちがっていると何度言えば分かるんだよ……っ」ハァ…
雪ノ下「……、」スッ カチャカチャ
比企谷「お、この時間帯にやるのは初めてじゃねぇか? 雪ノ下の放課後ティータイム。でも部活が始まる前に今日は飲まないとか言ってなかったか?」
雪ノ下「……、気が変わったのよ。比企谷くんも飲むかしら?」カチャカチャ
比企谷「いや、いい。俺は猫舌だから熱いのは苦手だ。それにもう時間もあんまりねぇし、冷ましてのんびり飲んでる暇もねぇしな」
雪ノ下「っ! …………猫」ボソッ… パラパラパラ…
比企谷「おーい雪ノ下ー、茶葉がティーポットに入らずに外へ溢れてんぞー」
雪ノ下「あ、……っ、」ジロッ
比企谷「おい待て雪ノ下、なぜ俺を睨む。俺は悪くないだろ」
雪ノ下「…………比企谷くん、罰として私の淹れる紅茶を飲みなさい、これは部長命令でもあるわ」
比企谷「こんな些細なことで部長権限振りかざすなよ……」
雪ノ下「はいこれ、淹れたてでとても熱いけれど、比企谷くんなら一気飲み、余裕よね?」ニコッ
比企谷「……お前は人の話を聞く癖をつけろよ、マジで」
雪ノ下「あら、私は由比ヶ浜さんや平塚先生の話はよく聞いているわよ?」
比企谷「おいやめろ、言外に俺を人として見ていないって言うんじゃねぇよ。俺だってれっきとした人だぞ?」
雪ノ下「…………え?」
比企谷「おい、なんなんだよその驚愕に満ちた表情は。紅茶ぶちまけるぞ?」
雪ノ下「……ふっ、やれるものならやってみなさい。その代償に、あなたが平塚先生に何をされるか分かったものじゃないけれどね」
比企谷「ぐ、ぐぬぬぬ……っ」
雪ノ下「(……さて、そろそろ部室を出ないと完全下校時刻を過ぎてしまうわ)」
↓3 もうそろそろで完全下校時刻を知らせるチャイムが鳴りそうだ 雪ノ下はこのあとどうする?
由比ヶ浜を起こし『2人』で帰る。
雪ノ下「由比ヶ浜さん起きて、下校の時間よ」
由比ヶ浜「……ん、…………ほぇ?」パチッ
雪ノ下「……由比ヶ浜さん、あなた口から涎が垂れているのだけれど……。もう少し女子としての自覚を持ちなさい……」ハァ…
由比ヶ浜「っ!」ゴシゴシ
由比ヶ浜「ちょ、ちょっとゆきのん! そ、そういうのはもっとビブラートに包んで言ってよねっ!?」
雪ノ下「由比ヶ浜さん、ビブラートじゃなくてオブラートよ」
比企谷「震えるような音色出してどうすんだよ……」
由比ヶ浜「う、うぅぅ〜……っ」
雪ノ下「……まぁいいわ。それより急いで帰り支度を整えて由比ヶ浜さん、もうすぐ完全下校時刻になってしまうのよ」
由比ヶ浜「え? ……うっそもうこんな時間っ!? あたしどんだけ寝てたのっ!?」
雪ノ下「口よりもまず手を動かして由比ヶ浜さん、……じゃないと置いて帰るわよ?」
由比ヶ浜「! え、ちょっ、ま、待ってよゆきのん置いてかないで! す、すぐ準備するからっ!」
雪ノ下「……、」ハァ…
雪ノ下「それじゃあ比企谷くん、もう会うことはないでしょうけどお元気で」スタスタ
比企谷「おい雪ノ下、その挨拶後半が全部間違ってる。別に俺はこの学校を去ったりしねぇから」
雪ノ下「……、」スタスタ
比企谷「シカト!? ……ちょ、お前こっちは話をあわせてやったのに、それは流石に失礼すぎんぞ!?」
由比ヶ浜「ちょ、ヒッキーどいて! そこ通れない! あーあと、じゃあねまた明日! ——ま、待ってよゆきのんーっ!」
タッタッタッ
比企谷「……お、おう。じゃあな由比ヶ浜——って、もう聞こえねぇか」
比企谷「…………はぁ、俺も帰ろ」トボトボ
↓3 このあと雪ノ下はどうする?
状況描写をキャラと共に書くとなんだか読みにくくなると思うので、今回から状況に合わせて地の文を使うことになりました。予めご了承ください。
由比ヶ浜「それでねー、その時さいちゃんがさー」ペラペラ
雪ノ下「………………あ」ピタッ
由比ヶ浜「あれ? どーかしたのゆきのん?」
雪ノ下「……部室に本を置いてきてしまったわ」
由比ヶ浜「ゆきのんが忘れ物? めずらしいねー」
雪ノ下「そうかしら? 私だって人間よ、物を忘れることぐらいあるわ」
由比ヶ浜「ふーん、そっかー」
雪ノ下「……それで申し訳ないのだけれど、私はこれから本を取りに学校へ戻るわ」
雪ノ下「だから今日はもう一緒に帰れないわ。……ごめんなさいね、由比ヶ浜さん」
由比ヶ浜「そ、そんなことで謝んないで大丈夫だよゆきのん」
由比ヶ浜「たしかに今日一緒に帰れなくなっちゃったのは残念だけど、ここまでは一緒に帰れたもん。だから今日一緒に帰ったことには変わりないってっ!」ニコッ
雪ノ下「由比ヶ浜さん……」
雪ノ下「……そうね。それじゃあ由比ヶ浜さん、また明日」
由比ヶ浜「うんっ! じゃーねーゆきのん!」
由比ヶ浜さんと別れたあと奉仕部の部室へと引き返した私だったけれど、部室はすでに施錠されていた。
私は仕方なく職員室へ足を運び、まだ残っていた先生に事情を説明して鍵を借り、部室を開け忘れた本を無事回収。
完全下校時刻を過ぎたこともあり、特別棟は電気が消えて視界が薄暗くなっていた。
——そして、私が視界の悪い階段を慎重な足取りで降りている時だった。
比企谷「…………あれ? 雪ノ下?」
雪ノ下「ひゃぅっ!」ガッ—
比企谷「ッ! ——雪ノ下ッッ!!」ダッ
なんの前触れもなく自身を呼ぶ声に驚いてしまった私は、その反動で階段を踏み外してしまった。
そして僅かな浮翌遊感が私の身体を支配し、その宙に浮く感覚は次第に重力に引かれて私を地面へ倒そうとする。
この直後に襲い来るであろう痛みを予想して私は強く目を瞑った。しかし、
雪ノ下「……………?」
いつまでたっても鈍い痛みが私を襲い掛かってくることはなかった。
そしてその代わりに、私は私の下に何か柔らかくてゴツゴツした、奇妙な触感のする物体を感じていた。
恐る恐る両目を開くと私の視界が映したのは、私のとてもよく知る人物で、頭頂部から寝癖のように伸びた短髪が特徴的な——
比企谷「よ、……よぉ雪ノ下、怪我…………ねぇ……か? ……っ」ガクッ…
雪ノ下「っ、——ひ、比企谷くんっ!?」
目の腐っている、男子生徒だった。
雪ノ下「……ど、どうしたらいいのかしら……」
↓3 雪ノ下を庇って気絶してしまった八幡、雪ノ下はどうする?
起きるまで膝枕。それにたして、頭を撫でる。
雪ノ下「と、とりあえず比企谷くんから降りないと……っ」スクッ
比企谷「…………、」
雪ノ下「(私を庇った時に頭を打ったのかしら……? 反応が全くないわ……)」
私は比企谷くんを仰向けにして、彼の頭を私の膝の上へと乗せた。
そして私は右耳に髪をかけ、その耳を彼の口元へ寄せて呼吸を確認する。
比企谷「…………、」スゥ… スゥ…
雪ノ下「(……よかった、呼吸はしているのね)」
その事実に私はほっと胸を撫で下ろした。
雪ノ下「(……あ、そういえば鞄の中に、ミネラルウォーターがあったわね)」
比企谷くんの無事——厳密に言えば気絶しているので無事ではないが——が確認出来てことにより、私の心にも余裕が生まれ、ふと通学用の鞄の中に入っていた物を思い出す。
雪ノ下「(それにハンカチ……、どこへしまったかしら……。…………あ、あった)」
それに加えて私は鞄から、パンダのパンさんが可愛らしくあしらわれたハンカチを取り出した。
そして既に開けて緩くなっているペットボトルのキャップを軽く捻り、中身のミネラルウォーターをハンカチに染み込ませ、それを比企谷くんの額にそっと置いた。
雪ノ下「……比企谷くんもこうして見ると、普通の男の子ね」
両目を閉じ、静かに呼吸をしている比企谷くんの表情を見て、私は無意識の内に彼の髪を撫でていた。
ゆっくり、流れに逆らうことなく、同じ方向へ髪を撫でる。
髪質で言えば犬っ毛と猫っ毛の中間あたりだろうか、曲がったり真っ直ぐだったり、捻くれ者である彼自身を象徴しているような髪質だ。
髪質がその人間の性格を象徴しているなら、私は愚かなほど真っ直ぐになるわね……、などと思考を巡らせていると、膝上で彼がわずかに身じろぐ。
比企谷「…………っ、」
どうやら比企谷くんが意識を取り戻したようだ。
↓3 雪ノ下はどうする?
撫でながら、若干たどたどしくも謝る
比企谷「…………雪、ノ下……?」
私を下から見上げるように——当たり前だが——比企谷くんが問いかける。
普段は私よりわずかに身長の高い彼を見上げることが常であるため、この状況は私にとってとても新鮮ではあるが、それと同じくらいどこか気恥ずかしく感じた。
雪ノ下「……あ、あの、比企谷くん。その……えっと、……ご、…………ごめん、なさい」
その照れ隠しなのか、私は比企谷くんの髪を撫でつつ、若干たどたどしくなりながらも謝罪の言葉を口にする。
雪ノ下「(…………は、恥ずかしい……っ)」
羞恥を一度意識してしまったせいか、その考えはなかなか頭から離れず、さらにそれは私の顔を非常に熱くさせる。
きっと鏡を見たら、私の顔は茹で蛸のように真っ赤だろう。
だけど今の私の表情は、きっとこの薄暗がりで彼には鮮明に映っていないはずだ。…………切実にそうである事を願いたい。
↓3 この次に雪ノ下はどうする? (八幡の行動でも可)
八幡が、ゆきのんの顔が紅いことに気付き、大丈夫か?とゆきのんのひたいに手を当てる。
比企谷「……雪ノ下」
雪ノ下「な、なにかしら?」
比企谷「…………お前、顔が紅いけど……大丈夫か?」
そう私に尋ねた彼は、右手で私の額にゆっくりと手をあてた。
雪ノ下「っ!?」
彼が伸ばした手は、私の手より大きく、長く、少しだけ硬くて、とても冷たかった。
その冷たさは、私の火照った顔を程良く冷ましてくれる。
私の顔の熱が冷めていくと同時に、先程まで正常に働かなかった思考が戻ってくきた。
——ちゃんと謝らないと……
——見られてしまったのね……
——これ以上彼を心配させてはいけない……
——もっと気丈に、冷静に、沈着に、完璧に……
様々な考えが頭を過ぎっては流れていく。
だがその無数の思考の流星群の中で、私は一際輝く星を捉える
——手が冷たい人間は、心が暖かい人間
比企谷「…………雪ノ下?」
彼は心配そうな目で私を見つめている。
今の彼の両目は、普段の彼が常時灯している、あの真っ黒で淀んで生気を失った瞳ではない。
雪ノ下「(——真っ直ぐで澄んでいて、それにとても……優しい目)」
雪ノ下「……ええ、大丈夫よ、あなたが私を守ってくれたから。…………優しいのね、比企谷くんは」
私は比企谷くんへそう言って、私が出来うる限り最大限の微笑みを浮かべながら、再び彼の髪を優しく撫でた。
↓4 このあと雪ノ下(八幡でも可)はどうする?
一緒に帰る。若干罵倒しながら(照れ隠し)
そしてその後、私と比企谷くんは一緒に校舎の外へ出た。
けれど私は、比企谷くんの隣には並んで歩かない。
彼の隣に並び立つには、まだ私では時期尚早だと感じているからだ。
私と比企谷くんが並び立つ手段。それは私が彼のペースに合わせるのか、それとも彼が私のペースに合わせるのか。
どちらが正しいのかなんて、私には当分理解できない難問だ。
だから私は、比企谷くんの3歩後ろから彼の背中を追う。
近過ぎず遠過ぎず、付かず離れずの間隔を私が心がけながら歩いていると、突然比企谷くんが声をあげた。
比企谷「……あーくそっ、銀魂見逃した……っ!」
雪ノ下「ぎん……たま? ……比企谷くん、何かしら、そのそこはかとなく不潔そうな単語は」
比企谷「ちょ、不潔そうってお前……。確かにちょっぴり卑猥なネタが多いアニメだけどよ、あれ結構面白いんだぜ?」
雪ノ下「そうなの? でもあなたが『銀魂』という番組を面白いと言っても、それは比企谷くんの腐った目が捉えたあなたの主観でしかないのよ?」
雪ノ下「他人の賛同を得たければ、あなたの主観だけでなく客観の意見も述べなさい。そうしなければ、私はそう簡単に賛同なんて出来ないわ」
比企谷「ぐっ、また腐った目とか言ったなお前……っ!」
雪ノ下「だって、事実また腐っているんだもの。腐っているものを腐っていると言って何が悪いのかしら?」
そう、つい先程まで真っ直ぐで澄んでいて、それにとても優しい目をしていた比企谷くんの双眸は、あろうことか再び腐ってしまったのだ。
どうやらあの目は、ある条件下では腐らなくなる仕様らしい。開放条件が非常に面倒ね……。
比企谷「……いいだろう、お前がそこまで言うなら俺だって本気を見せてやる……!」
比企谷「まず『銀魂』ってアニメは原作が週刊少年ジャンプで連載しててだな——」
それから比企谷くんは、『銀魂』という作品について熱く語りはじめた。
主人公の坂田銀時が俺に似てるだとか、途中から銀魂の制作スタッフが作る『イクシオンサーガDT』はマジで最高とか、そんな私は微塵も興味がないものを一生懸命に力説している。
雪ノ下「(……前に私が比企谷くんにパンさんについて説明した時も、彼から見た私はこんな感じだったのかしら?)」
そう思い返すと、再び顔が熱くなっていくのを感じる。 …………もはやちょっとした黒歴史ね、あの時の私は軽率だったわ……。
そんな消し去りたい感情を紛らわす為に、私は比企谷くんに声をかける。
↓3 雪ノ下はなんと声をかける?
そのぎん…だま?とかいう漫画。そんなに面白いと言うのなら、単行本でも読ませて見なさい。あなたの腐った目よりは客観的に判断できる自信があるわよ?
雪ノ下「比企谷くん、あなたが俗に言うオタクであることは理解したわ」
雪ノ下「……でもひとつ聞かせて。なぜあなたはそこまでのオタクなのに、オタクコミュニティに属さずぼっちになっているの?」
比企谷「……。なんでって、そりゃ……」
↓4 八幡がぼっちを貫く理由
俺はオタクじゃあないし…
俺はぼっちであることに誇りを持ってるからだ。
比企谷「…………怖い、からだよ」
私の問いかけに、比企谷くんはそう力なく呟いた。
雪ノ下「……怖い?」
比企谷「…………ああ、俺は怖いんだ。……人と別れる事が、怖い。……そしてそれがどんな最悪な結末を招くのかが分からないのが、怖い」
雪ノ下「(——これは……、比企谷くんの今の性格を形成した原因を突き止められるかもしれない……っ)」
雪ノ下「……、続けて」
私が続きを促すと、比企谷くんは小さく頷いて沈痛な面持ちで再び語りはじめた。
比企谷「さっき俺は人と別れる事が怖いと言ったな、あれは具体的に言えばこういう意味なんだ」
比企谷「人と別れる為には、まず人と出会わなければならない。学校、職場、地域、ネット、その他にもいろんな出会いの場所があるが、今は割愛するな」
比企谷「それで、それらの場所で運良く波長の合う人間と巡り会い、仲良くなれたと仮定する」
比企谷「そしてさらに、その波長が合う人間とは、数十年付き合う程の仲にまでなったとする」
比企谷「そうして不謹慎な話だが、その波長の合う長年付き合った人間が死んでしまった場合、残された俺はどうなる?」
雪ノ下「……、どうしようもない孤独感に苛まれることになるのではないのかしら?」
比企谷「ああ、流石は雪ノ下。……そう、その通りだ」
比企谷「他人と同じ時間を共有するということは、それはもうその他人が俺の生活の一部に組み込まれているという意味になる」
比企谷「機械で例えるなら、『俺』という名のロボットの動力部分を、その他人が動かしているようなもんだな」
比企谷「だが、動力部分が破損してしまえば、『俺』という名のロボットは動かなくなる」
比企谷「仮にそれを屈強な精神でなんとか動かなくなるのを防げたとしても、その無理は必ずどこかで不具合を生む」
比企谷「そして動けなくなったり、不具合を起こしたロボットを待つ未来は破壊されるだけ」
比企谷「そんな結末が容易に想像できるから、俺はわざわざその道を歩みたくない」
比企谷「俺が普段の生活で基本的に家から出ないのも、それが深く関係してる。家に閉じ篭っていれば、誰にも干渉されないですむ」
比企谷「——だから俺は、孤高を貫く。最初から何も持っていなければ、失うものや壊されるものは何もないんだからな」
雪ノ下「……、」
↓4 八幡の考えを聞いた雪ノ下はどうする?
それは違うぞ!!
確かに人と別れるのは辛いわ。それが何年、何十年と付き合ってきた人ならなおさらね…
だけど、そのあとに残るものはある。動力炉が他人によって動かされてるのなら、その人との思い出で動かせばいいじゃない。
それにね、あなたのことを支える人はもうすでにいるんじゃないかしら?壊れかけたなら、助けてもらえばいい。そして、相手が壊れかけたなら支えてあげれば良いじゃない。
ごめんなさい 安価指定したんですけどどれもいいんで、全て使う荒技いきます
雪ノ下「……、」ギュッ…
私は、黙って比企谷くんの両手を包み込むように握った。
比企谷「……雪ノ下?」
その突然の行為に、彼は私を見て心底不思議そうに眉をひそめる。
雪ノ下「……比企谷くん、それは義務を放棄して権利を主張する行為でしょうに。そこまで頑なになる理由が他にあるのではないの?」
比企谷「…………、」
比企谷くんは、口を一文字に結んだまま開こうとしない。
私の問いかけに、彼は答えようとしない。
ただ言外に、その質問に答えるつもりはないとでも言うように、彼は視線を私から逸らす。
雪ノ下「……っ、——比企谷くん!」
そんな彼を、私はぎゅっと抱きしめる。
このまま彼を見逃せば、もう誰もこの少年の事を救ってやれないと私は直感で感じたから。
誰も彼を救えないと言うのなら、私が彼に救いの手を差し伸べるまでのこと。
比企谷「ッ!? ちょ、ゆ、ゆゆ雪ノ下おまっ——!?」
予期せぬ私からの抱擁に、比企谷くんはジタバタともがくが、そこまで強くは抵抗していない。
おそらく彼自身も、既に気がついているのだろう。自分自身がこのままではいけない事を。
……だが、彼の掲げる信条がそれを阻害している。
かつての彼は、私にこう言っていた。
「変わるなんてのは結局、現状から逃げる為に変わるんだろうが」
「本当に逃げてないなら変わんないで、そこで踏ん張るんだよ」
「逃げてるのはどっちだよ」
「どうして今の自分や過去の自分を肯定してやれないんだよ」
これが比企谷八幡という人間が掲げる唯一無二の絶対理念であり、同時にこれが彼を未来へと進むの妨害する巨大な壁だ。
雪ノ下「……比企谷くん、確かに人と別れるのは辛いわ。それが何年、何十年と付き合ってきた人ならなおさらね……」
雪ノ下「だけど、そのあとに残るものはある。動力炉が他人によって動かされてるのなら、その人との思い出で動かせばいいじゃない」
雪ノ下「それにね、あなたのことを支える人はもうすでにいるんじゃないかしら?」
雪ノ下「壊れかけたなら、助けてもらえばいい。そして、相手が壊れかけたなら支えてあげれば良いじゃない。」
比企谷「……、」
↓4 雪ノ下の考えを聞いた八幡はどうする?
黙って涙を流す。
そして、数分後に「…悪かった」と一言言う。
比企谷「…………ない」
雪ノ下「? ……比企谷くん?」
比企谷「……わからない……ワカラナイ……わからないんだ」
今の私の顔は丁度比企谷くんの胸元あたりにあり、ここからではよく彼の表情は伺えない。
だが彼の口にする言葉は心ここにあらずといった雰囲気で、私は背中に冷ややかな汗が張り付いているのを感じていた。
比企谷「本来なら、俺は奉仕部に入る予定はなかったんだ。小学・中学時代に学んだ経験を生かして、高校生活は波風立てることなく平穏無事に過ごそうと計画していた。まあ入学式の日に交通事故にあって三週間も休んでせいで、ぼっちが確定したがな」
雪ノ下「……っ」
比企谷「けどそれはまだいいんだ、どうせ交通事故で入院しようがしまいが、俺が結局ぼっちになる因果は変わらん」
比企谷「だが二年生になって平塚先生から書くように指示を受けたあの『高校生活を振り返って』という題目のレポート。あの紙切れが確実に俺の信条を揺さぶり俺の人生を狂わせた」
比企谷「あのレポートで俺は自宅以外の『奉仕部』という居場所を得てしまい、その結果俺はお前や由比ヶ浜、戸塚に材木座や平塚先生、川崎、大志、葉山、三浦、海老名さん、戸部、大和、大岡、めぐり先輩、相模、陽乃さん、鶴見達と出会ってしまった」
比企谷「奉仕部に入部しなけりゃ、全員俺と関わりを持つことがなかった奴らが大半だ。だって俺はぼっちなのだから、誰かと進んで馴れ合うような真似は絶対にしないからな」
比企谷「だが俺は奉仕部に入部したがゆえに、こんな心の底から欲しくない繋がりを手にしてしまった」
比企谷「そして俺は今まで孤独だったから、それを簡単に手放せなくなった」
比企谷「それは俺の異常な記憶力がそれを物語ってる。……俺は捨てられないんだよ! 楽しかった思い出、最悪な思い出、思い出しただけで悶絶死する自信がある過去だろうが、それをやったのは紛れもない俺自身なんだ!!」
比企谷「でももうそのキャパシティは限界なんだよ……っ! ……忘れたくない俺の過去、正当化したい俺の信条、けどその過去を奉仕部で手にした新しい思い出が塗り替えちまうんだ……!!」
比企谷「教えてくれよ雪ノ下! 俺は一体何者で何を信条に生きてきたんだ!? そして何を持ってこれからを生きていきゃいいんだよ!!」
雪ノ下「……っ」
今にも泣き出しそうな表情で、比企谷くんは内に秘めていた悩みを大声で叫ぶようにして私へ打ち明ける。
話の内容は支離滅裂で無茶苦茶過ぎて、おそらく比企谷くんも自分が何を言っているのかを理解していないでしょうね。
でも私は、彼が一体何を望んでいるのかを理解した。
彼は、自分自身を誰かに救ってもらいたいのだ。
堕ちる所まで堕ち、その結果辿り着いた深淵から必死に手を伸ばしているのだ。
俺の居場所はここじゃない、ここにいるのは間違っている、だけど元の居場所へ戻る方法が分からない。
そんな悩める子羊を救うのは、奉仕部の部長である私しかいない。……いや、————同じような境遇を味わった、私にしか出来ない。
↓5 比企谷八幡を絶望の淵から救済せよ 雪ノ下雪乃の救済方法とは?
雪ノ下「…………比企谷くん、泣きたい時には泣いていいのよ」
雪ノ下「今あなたがこの場でみっともなく泣き喚いても、私はそれを咎めるつもりは微塵もないわ」
優しく、諭すように、私は比企谷くんへ語りかける。
比企谷「雪ノ、下……っ」
彼の背中に回していた両腕を、彼の後頭部へとゆっくり移動させる。
抱きしめている比企谷くんの身体は小刻みに震えており、今にもその場に崩れ落ちてしまいそうな危うさがある。
雪ノ下「ほら、泣きなさい。周りに泣き顔を晒すのが怖いなら、私が隠してあげるから」
両腕を自身の胸元に引き寄せる。
雪ノ下「……比企谷くん、あなたはさっき私に『俺は一体何者で何を信条に生きてきたんだ』って尋ねたわね?」
私が彼の耳元で優しく言葉を紡ぐと、彼は小さく首を縦に動かす。
話を聞ける程度には落ち着いているようね、安心したわ。
雪ノ下「それに『そして何を持ってこれからを生きていきゃいいんだよ』って。……その問いに、今から答えてあげる」
雪ノ下「まず、あなたは比企谷八幡という総武高校二年F組に所属し、同時に奉仕部に入部している男子生徒」
雪ノ下「あなたのこれまでに掲げてきた信条は『押して駄目なら諦めろ』、『千里の道も諦めろ』という具合に、とにかく思考がマイナス方向——……いえ、過去に囚われてると言い換えてもいいわね。そんな信条を掲げては、度々考え方の異なる私と衝突を繰り返していたわよね」
雪ノ下「次にあなたの精神面や生活面だけど、自身を取り巻く環境の変化を恐れ、他人とは常に一定の距離をとっている」
雪ノ下「必要以上に踏み込まず、また必要以上に踏み込ませない」
雪ノ下「しかし一度相手に心を開いてしまえば、好意を持つ相手には異常ともいえる愛情を注ぎ、逆に嫌悪感を抱く相手には情け容赦なく糾弾する、もしくは関わりを持たない」
雪ノ下「それに加えて、自身には何も関係ないと感じる人間には、心無い言葉を平気でかける傾向がある。……そうね、あなたなら好きでもなんでもない女子に、その場のノリで告白する事があるかもしれないわね」
比企谷「ごふっ——!?」
雪ノ下「? どうしたのかしら比企谷くん?」
比企谷「……い、いや、気にせず続けてくれ雪ノ下……っ」
雪ノ下「そう? ならいいのだけれど……」
とにかく、まだ彼の質問には答え終わっていない。
私は言葉を続ける、比企谷くんの存在をここに証明するために。
ごめんなさい、今から学校へ行くので少し停止します
今日が終業式なんで、たぶん遅くても15時くらいからは再開できると思います。
それでは
雪ノ下「……それで、さっきまでの話が私と比企谷くんが初めて出会い、それから大体二学期の初旬までのあなたの言動を鑑みて、私なりに纏めてみた結果よ」
雪ノ下「孤高を貫き、己が正義を振りかざし、理解される事を望まず、理解することを諦めていた男の子。それが比企谷八幡という人間よ」
雪ノ下「……ただ、これはあくまで私の主観が捉えた事象であるため、あなたがその通りに行動していたという確証はないのだけれど」
比企谷「……、」
比企谷くんは私の話を耳にしても、まだ何も答えないし応えない。
比企谷くんが本当に聞きたいことは、おそらくこれから私が彼に差し伸べる啓示について。
『奉仕部』という居場所が、今まで積み重ねて築き上げた彼のアイデンティティを揺さぶり、亀裂を生じさせ、着実に彼の心を蝕んでいる。
その進行を止めるには、『奉仕部』という居場所を統治するこの私が、責任をもって対処しなければならない。
そして彼に対する処方箋は、全部で3つ。
——1つ目は、彼が『奉仕部』という居場所から距離を取る。……つまり比企谷くんが『奉仕部』を退部ないしは休部すること。
——2つ目は、彼の社会や物事に対する考え方を抜本的に改革する。……つまり私が平塚先生に依頼された事案を解決すること。
——3つ目は、私が彼にとってかけがえのない存在になってあげる。……つまり私が彼と今の関係を越えた別の関係を結ぶこと。
雪ノ下「……比企谷くん、そろそろこの話は終わりにしましょう」
雪ノ下「私がこれから、あなたの抱える苦悩に引導を渡してあげる」
雪ノ下雪乃が比企谷八幡に渡す苦悩の処方箋はどれ?
(以下の選択肢より多数決、先に3票集まった選択肢で先に進みます)
�退部のすゝめ �解決新書 �こころ
雪ノ下「比企谷くん、人はみな完璧ではないわ。弱くて、心が醜くて、すぐに嫉妬し蹴落とそうとする。不思議なことに優れた人間ほど生きづらいのよ、この世界は」
それは、かつての私が彼に言った言葉。
出会って間もない頃、二人きりの部室で繰り広げた彼との些細な口喧嘩で紡いだ言葉。
比企谷「……、そうだな。……出る杭は打たれるんじゃなくて、出る杭は抜いて捨てられる。捨て置かれ雨風に晒され、いずれ朽ち果てる」
比企谷くんは顔を上げ、私の両肩を軽く押して距離をとった。
どうやらもう完全に落ち着いたようだ。 ……目元、真っ赤になったままよ?
雪ノ下「あなたの場合は私と違って、逆に深く打たれすぎてもう顔が出せないのよね。誰にも届かない場所にあなたはいる」
比企谷「……俺は誰にも届かない場所にいるんじゃねぇよ、誰も見向きもしない場所にいるだけだ」
雪ノ下「あら、それは違うわよ比企谷くん。だって私は、——あなたのことをずっと見ていたもの」
比企谷「っ!」
比企谷「……、」
雪ノ下「……、」
そして訪れる、しばしの沈黙。
——私は、彼との間に流れるこの沈黙は嫌いではない。
——むしろ、どこか心地いいと、そう感じている。
——少しだけ、自分の鼓動が速くなるのを感じた。心臓の刻む律動が少しでも前に、少しでも先へ進みたいと、そう言っている気がした。
——なら。
——なら、私と彼は。
比企谷「……なぁ雪ノ下。俺と」
雪ノ下「ごめんなさい、それは無理」
比企谷「っだぁ! まだ最後まで言ってねぇだろ」
雪ノ下「言わなくても分かるわよ。どうせ友達になろうとか言うのでしょう?」
雪ノ下「でも残念だけど、私があなたと友達になることなんてありえないわ」
比企谷「そうかよ……」
雪ノ下「そうよ。虚言は吐かないもの」
雪ノ下「……でも、友達以上にならなってあげられる」
そう呟いた私は彼の元へ駆け寄り、少しだけ背伸びをして彼の左頬に唇を当てた。
比企谷「………………………へ?」
突然の出来事に脳の処理が追いつかないのか、比企谷くんはその場で呆然と立ち尽くしている。
私はそんな比企谷くんを追い抜いて、半身で振り返った。
雪ノ下「…………ま、また明日……っ」
比企谷「…………お、おう。じゃ、じゃあな」
胸の奥底から止め処なく溢れだす羞恥心を紛らわす為に、私は走ってこの場を去ろうとした。
だが私は深刻な体力不足のため、仕方なく早歩きで自宅へ帰った。
帰りを急ぐ自宅には、彼がプレゼントしてくれたパンダのパンさんが待っている。
久しぶりに、パンさんと楽しい会話ができそうだ。
ゆきのん続投の希望が多いですが、一応多数決をとりたいと思います
以下より多数決 先に3票集まった選択肢で主人公を決めます
�ゆきのん続投 �八幡視点で続き �海老名さんでニューゲーム
ゆきのん大人気! というわけでゆきのん続投決定です
ただまだ主人公が控えているので、次で一区切りがついたら主人公を変えたいと考えています
とりあえず>>439の続きからです
【雪ノ下の部屋】
雪ノ下「……、どうしたらいいのかしら……っ」
自宅に着いてからすぐに夕食と入浴を済ませた私は、現在自室で明日の授業の予習と復習をしていた。
しかしつい数時間前に比企谷くんへキスをした光景が何度もフラッシュバックしてしまい、その度に顔全体が熱を帯びていく。
端的に言えば、勉強が手に付かない。
雪ノ下「(…………別れ際にはまた明日とは言ったものの、とてもじゃないけど直視出来る自信がないわ……っ)」
↓3 雪ノ下はどうする?
雪ノ下「(……仕方ない、ここは比企谷くんと明日奉仕部で顔を会わせた際のシミュレーションをやっておくべきね)」
そう決断すると、私は勉強を一度切り上げてベットの上に寝転がる。
ついでにパンさんのぬいぐるみを抱きかかえながら、私は仮想世界へ旅立つ。
比企谷『……よ、よぉ雪ノ下』
雪ノ下『え、ええ、こんにちは比企谷くん』
普段では絶対にありえないほどぎこちない私達の挨拶。
互いに目を合わせることができず、私達はあらぬ方向に視線を向ける。
比企谷『……、』
雪ノ下『……、』
比企谷『雪ノ下』
雪ノ下『比企谷くん』
言葉が出会い頭でぶつかる。
比企谷『……ぷっ』
雪ノ下『……ふふっ』
自然と漏れだす小さな笑い声。
比企谷『…………いやー、昨日は驚いたぜ。まさかお前が俺にキスするなんて、微塵も想像してなかった』
比企谷『あのあと家に帰ったんだが、お前の触れた唇の感触が頭から離れなくてよ……。……俺、実は今日一睡もしてねぇんだ』
雪ノ下『……っ。……わ、私も、あなたにき……キスした光景が、頭から離れなくて……、きょ、今日の授業が全然頭にはいってこなかったわ』
比企谷『そ、そうなのか?』
雪ノ下『え、ええ、そうなの』
比企谷『……、』
雪ノ下『……、』
比企谷『……な、なぁ雪ノ下』
雪ノ下『……な、なにかしら……?』
比企谷『その、……き、昨日の続き…………しねぇか?』
雪ノ下「〜〜〜〜っ!!」
開放条件を満たした状態の比企谷くんが浮かべる爽やかな笑顔で現実世界に引き戻される。
興奮冷めやらぬせいか、顔が燃えるように熱い。そしてその熱が全身を伝わり、身体が火照っている気がする。
ただ興奮が徐々に治まってくると、その直後に間髪入れずに猛烈な後悔と自責の念に駆られる。
雪ノ下「(…………何をしているのよ、私は……っ)」
ベットの上で膝を抱えて丸くなる。
そんな私を、パンさんが心配そうに(※この世界の闇を見透かしてきたような仄暗い瞳)こちらを見てきた。
雪ノ下「(…………本当に何をしているのかしら…………)」
↓3 雪ノ下はどうする?
雪ノ下「(…………本当に、……私……は…………)」
視界が徐々に暗くなり、意識が段々遠のいていく。
早足で自宅に帰ってきて疲れてしまったのだろう。
迫り来る睡魔に抗いもせず、私はそれを受け入れて深い眠りに落ちていった。
比企谷『雪ノ下』
比企谷くんが、ゆっくりと私に向かって歩いてくる。
彼の手に握られているのは、私が普段から使用している純白の櫛だ。
比企谷『お前の髪、梳かしてやるから後ろ向いてくれ』
雪ノ下『……だ、大丈夫よ比企谷くん。それくらい、自分一人で出来るわ』
比企谷『まぁまぁ、いいからいいから』
彼はそう言って私の髪留めをいともたやすく解き、髪留めを近くの机の上に置いた。
比企谷『……綺麗だな、お前の髪』
そう言いながら、比企谷くんは手櫛で私の髪の絡まりをほどいていく。
比企谷『…………ま、まぁお前は存在すべてが神秘的で美しいけどよ』
雪ノ下『——っ、……そ、そうかしら。…………えっと、その、……ありがとう』
使い古された言葉、小学生でも思いつきそうなよくある台詞でも、好きな人から言われるだけで気持ちの昂ぶりが抑えられない。
雪ノ下『……ひ、比企谷くんも素敵よ、あなたのそのどんよりとした瞳。……見ているだけで吸い込まれそう』
雪ノ下「——っ!」ガバッ
雪ノ下「(……待ちなさい私、それはどう考えても褒め言葉ではないでしょう……?)」
私は比企谷くんをよくわからない褒め方をした時点で目を覚ました。
ふと部屋の時計を見ると、時刻はまだ早朝の4時過ぎである。
普段学校へ登校するのに家を出る時間は大体7時過ぎくらいなので、まだ時間的猶予がかなりある。
雪ノ下「(……二度寝はまず論外として、身支度を整える30分を抜きに考えると残り2時間半。……暇ね)」
↓3 雪ノ下はどうやって時間を潰す?
雪ノ下「……、お腹空いたわね。何かあったかしら」
私は自分の部屋を出てリビングを通りキッチンへ向かう。
冷蔵庫の中身を見ると、食材があまり入っていないことに気がついた。
雪ノ下「(…………どうしましょう?)」
↓3 雪ノ下はどうする? 以下から選択
�とりあえず冷蔵庫の中身を全て使って朝食を食べる
�近くのコンビニに買いに行く
�以前由比ヶ浜と一緒に言ったファミレスで朝食
雪ノ下「(……、ここは残った食材で朝食を済ませてましょうか)」
私は冷蔵庫の中にあった食材を全て取り出し、朝食のメニューを思い浮かべる。
雪ノ下「(卵はスクランブルエッグにして……、中途半端に余っている野菜はジューサーで野菜ジュースにして……、それから——)」
あれこれ考えながら、私は慣れた手つきで朝食の準備にとりかかる。
一人暮らしを初めてかれこれ一年半。
元々高かった料理スキルはまた一段と腕に磨きがかかり、そこらの飲食店の料理よりは美味しい一品を作れると自負している。
ただ惜しむらくは、そのスキルを披露する相手がいないということだが……。
そんな考え事をしながら、私は朝食を作り上げる。
出来上がった料理をパンダのパンさんがあしらわれた食器に盛り付け、それをテーブルへ運びイスに座る。
雪ノ下「いただきます」
両手を合わせて一礼し、出来立ての料理を口へ運ぶ。 ……うん、今日も満点の出来ね。
雪ノ下「ごちそうさまでした」
朝食を食べ終え、食器を洗浄機にかけて時間を確認すると5時過ぎだった。時間はまだ余っている。
雪ノ下「(……えっと、次は)」
↓3 雪ノ下はどうする? 以下から選択
�腹ごなしに外へ早朝の散歩へ �勉強する
雪ノ下「(……そうね、まだ時間の余裕があることだし、少し腹ごなしに散歩へ行こうかしら)」
私は自室に戻って部屋着から別の服に着替える。
雪ノ下「(……、散歩の時はどんな服を着ればいいのかしら?)」
↓3 散歩する時の服装はどれが最適? 以下より選択
�無難に制服 �学校のジャージ �動きやすい私服
雪ノ下「……、動きやすい私服でいいわね」
私はクローゼットからレギンス、ショートパンツ、ロングTシャツ、ロングカーディガンを取り出しそれに着替える。
着ていた部屋着は畳んでベットの上に置き、自宅の鍵と携帯電話を掴んで部屋の外から玄関へ向かう。
靴を履き複数個の鍵を解錠し家の外へ出て、鍵を締めてエレベーターへ向かう。
エレベーターを利用して地上15階から1階へ降り、エントランスを通ってマンションの外へ。
雪ノ下「(まだ早朝だから歩行者も少ないわね、帰宅時もこれくらいなら自宅まで帰りやすいのだけれど。……あら?)」
↓4 雪ノ下が散歩を始めると、そこには見知った顔が それは誰? 以下より選択
�平塚静 �葉山隼人 �雪ノ下陽乃
葉山「……、」タッタッタ
雪ノ下「(あれは…………葉山くん?)」
前方からこちらへ走ってくるのは葉山隼人だった。
片耳にイヤホンをかけ、ジャージ姿で走っていることから早朝ランニングだろうか。額にはうっすらと汗が浮かんでいる。
だけど彼はまだ私の存在には気がついておらず、ただ前を見据えて走っている。
雪ノ下「(…………、そのまま気づかずに通り過ぎてくれないかしら)」
直下判定 コンマが偶数の場合は気づかれる コンマが奇数の場合は気づかれない
葉山「……、」タッタッタッ
雪ノ下「……、」
葉山「……あ」
葉山くんがこちらに視線を向ける。
……どうやら気づかれてしまったようね、……面倒な事にならなければいいけれど。
雪ノ下「……、」
葉山「やあ、おはよう雪ノ下……さん」
雪ノ下「……ええ、おはよう葉山くん」
葉山「今日はどうしたんだ? こんな朝早くに珍しいね」
雪ノ下「……別に、ただの散歩よ」
葉山「そっか。俺は日課の早朝ランニング、この時間は人通りが少なくて走りやすいんだ」
雪ノ下「……そう、それはよかったわね」
葉山「ああ、今日は気温も湿度も丁度いいし、走るには最適なんだ。今度雪ノ下さんも一緒にどうかな?」
雪ノ下「遠慮しておくわ。私、体力にだけは自信がないの。……それはあなたも知っているでしょう?」
雪ノ下「…………それとも、わざと……?」
葉山「……、」
葉山「……っ、雪ノ下。俺は君に——」
雪ノ下「やめて」
葉山「……っ」
雪ノ下「……いまさらそんな言い訳、聞きたくないのよ……っ」
雪ノ下「…………朝から気分を悪くさせないで、……非常に不愉快だわ」
葉山「……、すまない雪ノ下。……でも、やっぱり俺は——」
私はそこから先の彼の言葉を耳にしないように、両手で両耳を塞いで走りだした。
後ろで私を呼び止めるような声が聞こえた気がするが、気のせいと割り切って走る速度を上げる。
——最悪な一日の幕開けを予感しながら、私はマンションへと戻った。
マンションに戻った私は一度シャワーを浴び、それから制服に着替えて学校へ向かう準備をした。
気まぐれでテレビをつけると、ニュース番組が丁度占いコーナーを放映していた。
『——残念ながら最下位は獅子座のあなた! やることなすこと超アンラッキー、周囲の人間に大きく振り回されて人生が大きく変わりそう』
『……そんなあなたのラッキーアイテムは紅い髪飾り! これがあれば多少の困難は乗り越えられそう! ——では今日も元気にいってらっしゃい!』
雪ノ下「……最下位だけわかっても、意味がないじゃない」
私ははぁと溜め息をついてテレビを消し、通学鞄を肩に引っ掛けて戸締りやガスの元栓を確認し、靴を履いて家の外へ出た。
↓3 自宅から学校までの通学路で知人に遭遇した? した場合はそのキャラ名を記入、遭遇していなければ昼休みまで話がスキップします
雪ノ下「(……慣れないことをしたせいかしら、なんだか疲れが……)」
私は自宅を出て最寄り駅まで徒歩で向かい、それから京葉線に乗って総武高校方面へと向かう。
しかし今朝の散歩や葉山くんとの遭遇で、精神的疲労が早くもピークを迎えている。
雪ノ下「(……今日は厄日になりそうだわ。そしてこれで姉さんに会うようならもう完全に——)」
陽乃「あれっ、雪乃ちゃん?」
雪ノ下「(…………厄日ね)」
私はこめかみに手をあてて頭を悩ませる。
今日はとことんついていない。朝一番に葉山くんに出会い、次に姉さんに出会う。
もし神が存在しているなら、私に試練を与えているようにしか思えない。
陽乃「わー、雪乃ちゃんだ♪ なんでなんで〜? なんで雪乃ちゃんがここにいるの〜?」
雪ノ下「……姉さん、年甲斐もなく公共の場で騒がないで」
雪ノ下「……見ればわかるでしょう? 学校に向かうために電車に乗ったら、偶然意図せず姉さんと同じ電車に乗りあわせていただけの話よ」
陽乃「ふぅん、そっかー。……でも雪乃ちゃん、睡眠不足はお姉ちゃんあんまり感心しないなー。眼の下に薄く隈が出来てるの気づいてる?」
雪ノ下「……、」
陽乃「やだぁ、雪乃ちゃんつめたーいっ!」
陽乃「いいよもうっ、お姉ちゃん自分で推理して、雪乃ちゃんの可愛いお顔に隈が出来ちゃった原因突き止めちゃうんだからっ!」
人差し指を私に向け、腰に空いている手を当てポーズを決める姉さん。……はやく駅に着かないかしら……っ。
陽乃「う〜ん……、」
私に向けていた人差し指を、今度は自分の額付近に持っていって頭を悩ませている姉さん。……お願いだから、早く、駅に着いて……っ。
陽乃「えっと〜……、」
そして姉さんははっと天啓を得たかのような表情を浮かべてこう言った。
陽乃「あ、わかった! 比企谷くんの事を考えてたら眠れなくなった——とかっ!?」
雪ノ下「……っ、違う。見当違いも甚だしいわね」
陽乃「えー、そんなー……。自信あったんだけどなぁ」
そう言った直後、姉さんの目が一瞬だけ薄く細められる。
それは言外に『なんで誤魔化すの?』と言っている気がした。
雪ノ下「……、」
陽乃「——あ、もうすぐわたし降りなきゃ。それじゃあね雪乃ちゃん! なにか困ったことがあったらいつでも連絡してよねっ♪」
姉さんはウインク混じりにそう言って停車した電車から降りた。
雪ノ下「…………ハァ」
姉さんがいなくなった事により、どっと疲れが襲いかかってきた私は堪らず車内の壁に寄りかかる。
それと同時に、ポケットに入れていた携帯が小刻みに振動する。どうやらメールが届いたようだ。
↓3 誰からのメール? 以下から選択
�比企谷小町 �由比ヶ浜結衣 �雪ノ下陽乃 �平塚静
雪ノ下「……小町さんから? ……、珍しいわね」
↓3 小町からのメールの内容は?
yukinoshita's mobile
『FROM 小町
TITLE 雪乃さん
MESSAGE 兄を末永くよろしくお願いします』
雪ノ下「——っ」
画面に表示された文字を目で追い読み終えた直後、昨日の光景がフラッシュバックする。
それにより再び湧き出す羞恥心を消し去ろうと、私は頭を左右に大きく振る。
小町さんがこのメールを送ってきたということは、彼は昨日の出来事を彼女に話したのだろう。
雪ノ下「(……これは小町さんへ返信、するべきよね)」
……しかし、これは一体どう返信したものだろう。
いくら昨日の私が彼にキスをしたといっても、ただそれだけで将来が確定してしまう(私が比企谷くんを養う)ものなのだろうか?
人から告白された回数は数百回を超えるが、人と付き合った回数は一度もない私にはこの問題は解決出来ない。
だから、ひとまずこの問題を解消してみることにした。
↓3 小町へなんと返信する?
今更ですが、このSSは原作の6巻と7巻の狭間のお話という設定です。
安価次第では原作でカットされた体育祭をやる可能性もありますが、他スレで俺ガイルの体育祭を書くというスレがあったのでネタが被る可能性が……。
とりあえず3月25日発売のビッグガンガンの表紙を飾るゆきのんが可愛すぎて世界がヤバい
【比企谷家】
komachi's mobile
『FROM 雪ノ下
TITLE 小町さん
MESSAGE 末長くとはどういうことかしら?
私はあなたのお兄さんによろしくされるような事は何もないのだけれど?』
小町「……あっれー? ねーねーお兄ちゃん、雪乃さんにメールしたらこんなの返ってきちゃったんだけど?」
比企谷「……、マジで? …………、じゃあ昨日のアレは夢だったのか?」
小町「んー……、この文面から考えるとそうなんじゃないの?」
小町「だってお兄ちゃんは、雪乃さんが階段から転げ落ちそうになってたのを庇って気絶しちゃったんでしょ?」
小町「その時に強く頭を打ってたら、記憶がこんがらがったりする可能性は十分あると思うよ?」
比企谷「そ、そうか…………」
比企谷「……まぁいいや。小町、とりあえずなんか適当に返事返しといてくれ」
小町「ほーい」カチカチ
【電車内】
yukinoshita's mobile
『FROM 小町
TITLE nontitle
MESSAGE ごめんなさい雪乃さん、どうやら兄の勘違いでした ><』
雪ノ下「(……これで解消完了ね)」
私は小町さんに『了解』とだけ本文に打ち込んでメールを送信した。
そして画面から顔をあげて窓の外へ視線を向けると、もうすぐ総武高校の最寄り駅へ到着することに気がついた。
暫くすると電車は停止し、中に溜め込んでいた乗客を外へ吐き出していく。
私はその吐き出された人の合間を縫うように改札口を目指して歩く。
改札口を出たあとは総武学校へ向かって歩くこと数分、学校へ到着。
下駄箱で上履きに履き替え教室へ向かう。
教室にはすでに何人か生徒がいて、各自自主学習に取り組んでいる。
雪ノ下「(……どうしようかしら)」
↓3 雪ノ下はどうする? 以下より選択
�周囲に倣って勉強 �大人しく読書 �クラスメイトから話しかけられる
雪ノ下「(……、ここは無難に読書ね)」
自分の席について鞄から本を取り出し読書に耽る。
……やっぱりパンダのパンさんの原作は最高ね。
雪ノ下「(これを読んでいない人間は、人生の半分は損をしていると言っても過言はないわ)」
その後私は、先生が朝のSHRで教室に入ってくるまで読書を続けた。
——そして午前中の授業が終了して昼休み。
雪ノ下「……、」
私は鞄から弁当箱を取り出し、それを持って奉仕部の部室へと向かう。
教室を出て特別棟へと繋がる二階の渡り廊下を歩いていると、前方からこちらに向かって人が歩いてくる。
↓3 こちらに向かって歩いてきたのは誰?
こちらに向かって歩いてくるのは、奉仕部の顧問を務める平塚先生だった。
平塚先生は私の顔を見ると破顔し、気さくに話しかけてきた。
平塚「おや、雪ノ下じゃないか。君は今日も部室で昼食かね?」
雪ノ下「はい。教室はその……少し居心地が悪いので」
平塚「……おや? 雪ノ下、君はクラス内で孤立はしていなかったはずでは?」
雪ノ下「はい、周囲から目立ってはいますが、孤立はしていませんね」
雪ノ下「私はどこぞの目の腐った誰かさんとは違って、クラスの中にちゃんと居場所がありますから」
平塚「あ、相変わらず辛辣だな君は……」
私の発言に思わず苦笑いを浮かべる平塚先生。
だが実際のところ事実なので仕方がない、……多少意味合いは違うが。
平塚「……まぁいい。それで、なぜ雪ノ下は教室で居心地が悪いと感じているんだ?」
雪ノ下「……っ、そ、それはどうしても言わなければいけないことですか……?」
平塚「ん? いやいや、そんなことはないぞ。君自身が言いたくない事なら、私は無理強いはしないよ」
平塚「私は救いの手を求められたら差し伸べるが、求められなければ差し出さずに見守る主義なんだ」
平塚「誰も彼もが自身の救済を望んでいるとは限らない」
平塚「中には身の回りで生じた問題に対して自己犠牲を顧みず、全て自分自身の手で解決してみせようと躍起になる人間もいる。……まぁ誰とは言わないがな」
雪ノ下「……、」
平塚「……雪ノ下、君は奉仕部の部長だ。先日の文化祭でだいぶ無茶をしたあいつの事、少し気にかけてやってはくれないか」
平塚「ただ気にかけるだけでいい、無理に距離を詰める必要もない。ただ、優しく見守ってあげるだけでいいんだ」
平塚「心優しい君なら出来るはずだよ雪ノ下、私はそう確信している」
雪ノ下「……了解しました、任せて下さい」
平塚「うむ、大いに期待しているぞ」
軽く会釈をして、私は平塚先生と別れた。
そして私は奉仕部の部室へ辿り着き、扉を開けて部室の中へ入る。
校内の喧騒が届かないこの部室は静寂に包まれていた。
雪ノ下「(……やはりここが一番落ち着くわね。誰にも邪魔されることなく食事が出来る場所というのは、この現代社会において貴重よね)」
膝の上に弁当箱を広げて箸を手に持つ。
弁当箱の中身は白米が8割を占めており、残りの2割は今朝の朝食の残りだ。
今日食材を買い忘れると、明日の昼食は白米オンリーになってしまう。 ……それだけは絶対に避けなければ……っ。
雪ノ下「いただきます」
私は小さく首だけ会釈をして、食前の常套句を口にする。
そして白米を口へ運ぼうとしたその時だった。
——奉仕部の部室の扉が、突然開いた。
そしてそこに立っていたのは、
↓3 そこに立っていたのは誰? 以下より選択
�比企谷八幡 �由比ヶ浜結衣 �葉山隼人
そこに立っていたのは、比企谷くんだった。
比企谷「よう雪ノ下。……昼メシ、一緒に食っていいか?」
雪ノ下「あら、比企谷くん。あなた、どうしてここに? いつもの場所はどうしたのかしら?」
比企谷「や、それがなんか先日の文化祭で生まれたであろう初々しいカップル(笑)に占領されちまってよ」
比企谷「訓練を積み重ねたプロのぼっちである俺も、流石にそこで何食わぬ顔でメシ食える状況じゃなくなってさ、気まずくなってここに移動したんだ」
雪ノ下「つまり居場所を追われた、と。……校内一の嫌われ者は大変ね」
比企谷「うるせぇ、ほっとけっつーの」
雪ノ下「……ええ、放っておくわよ。あなたがそれを望むならね」
比企谷「……。……とりあえずメシ、食わせてもらうぞ」
そう言って、比企谷くんは長机を挟んだ対角線上の椅子に腰掛ける。
彼がいつも座る定位置だ。
そして今のこの距離が、私と彼の心の距離を如実に表していた。
雪ノ下「どうぞご勝手に。由比ヶ浜さんは三浦さん達と一緒に昼食を食べるようだから、今日はここには誰もこないわ」
比企谷「そうかよ。……ま、こんな辺鄙な所に好き好んでやってくる物好きなんかいねぇよな、俺とお前以外は」
雪ノ下「……あら、それは由比ヶ浜さんは物好きではないと言いたいのかしら?」
比企谷「ああ、あいつはお前がここにいるから来ているだけで、お前がここにいなきゃたぶんあいつは来ねぇよ」
雪ノ下「……驚いた。意外と私達のことをよく見ているのね」
比企谷「おうよ、伊達で人間観察やってるわけじゃねぇからな」
比企谷「(そのうち全身骨格まで見えるようになるレベル。スケスケだぜ!)」
雪ノ下「あなたのそれは習性でしょうに……、もしくは悪趣味」
比企谷「う、うるせぇ! いいんだよ別に! 俺が楽しけりゃ!」
私の的確な反論にそう言い返し、彼は昼食を口へ掻き込む。 ……喉に詰まらせてもしらないわよ?
↓3 雪ノ下はどうする?
雪ノ下「(……喉が渇いたわ。紅茶でも淹れましょう)」
喉の渇きを感じた私は、湯沸かしポットの電源を入れる。
このポットでお湯(カップ2杯分)が沸騰するまでに要する時間は僅か1分。
それまで手持ち無沙汰になった私は、比企谷くんに話題をもちかける。
↓3 雪ノ下はどんな話題を提供する?
雪ノ下「ねぇ比企谷くん」
比企谷「ん? なんだよ雪ノ下、どうかしたのか?」
雪ノ下「あなた、今まで異性と付き合った経験あるかしら?」
比企谷「……おい、お前は鬼か雪ノ下。人のトラウマ穿り返して楽しい? ねぇ、楽しい?」
比企谷「つーかそんなもん、普段の俺の言動を鑑みれば察しがつくだろうが。言わせんな恥ずかしい」
雪ノ下「……つまり恋愛経験ゼロの童貞、と」
比企谷「ちょ、おまやめろ! せめてDTと言えDTと! そっちの方がまだなんか格好いいから童貞はやめてくれよぉ……っ」
雪ノ下「な、何も泣かなくたっていいじゃない……」
比企谷「な、泣いてねぇよ! これは心の汗なんだよ! 決して涙なんかじゃねぇ!」
雪ノ下「あ、お湯が沸騰したわね」
比企谷「そこでスルーすんのかよ…………」
比企谷くんが何かぶつぶつと呟いているが、気にしないことにした。
私はカップとソーサーと紙コップを用意し、茶葉を入れて置いたガラス製のティーポットに沸騰したお湯を注ぎ込む。
それから数十秒待って、出来上がった紅茶をカップと紙コップにそれぞれ注ぐ。
そしてそれらを持って、私は比企谷くんの隣に移動する。
雪ノ下「はい、これ。あなたの分よ」
比企谷「え、おお、……サンキュ」
雪ノ下「どういたしまして」
比企谷くんに微笑んで、私は一度長机にカップを置き反対側に移動する。
そして自分の椅子を持って、再び比企谷くんの隣へ。
↓3 この次の雪ノ下の行動は?
比企谷「……おい、なぜ俺の隣に移動してくる。勘違いしちゃうからその思わせぶりな行動やめろ」
雪ノ下「……、」
比企谷「またシカトかよ……」
雪ノ下「……ね、ねぇ比企谷くん。私いま、あなたに紅茶を淹れてあげたわよね?」
比企谷「あん? ……まぁ、俺は一言も頼んでもないけどそうだな」
雪ノ下「そうよね。……なら、あなたはその礼として今日の放課後、私の買い物に付き合いなさい」
比企谷「……は?」
雪ノ下「ちなみにこれは既に決定事項であり異論反論抗議質問口応えは認めないわ、いいから黙って大人しく従いなさい」
比企谷「おーい、それどっかで聞いたことあんぞ雪ノ下ー。具体的に言えばウチのアラサー教師が言ってたぞー」
雪ノ下「……放課後私の買い物に付き合いなさい、これは部長命令よ」
比企谷「だからこんな些細なことで部長権限振りかざすなよ……」
比企谷「つーか放課後って部活動の時間じゃねぇから部長命令意味ねぇだろ」
雪ノ下「……っ、」
どうにも彼は私の提案に乗り気ではないようだ。
こうなったらアプローチの方法を変えてみることにする。
↓4 雪ノ下は比企谷にどうアプローチする?
雪ノ下「(……そういえば、この前由比ヶ浜さんに教えてもらった特別な方法があったわね。あれなら……!)」
雪ノ下「え、えっと、その…………比企谷くん……」
比企谷「な、なんだよ……」
私は比企谷くんの制服の裾を摘んで、上目遣いを意識し、若干涙目になって言葉を紡ぐ。
雪ノ下「……ねぇ比企谷くん、…………………ダメ?」
ついでに小首も傾げてみる。これは由比ヶ浜さん曰く奥の手なのだとか。
比企谷「っ! …………お、お前、それは……反則、だろ……っ」
右腕で朱色に染まった自身の顔を隠す比企谷くん。
どうやら由比ヶ浜さん直伝の技が、彼のハートにクリティカルヒットしたようね。
あと普段こういった手段をとらない人がこの類いの技を使うと、『ぎゃっぷもえ』が凄いらしい。
……『ぎゃっぷもえ』って、『格差』と『燃える』を組み合わせた、よくわからない造語なのだけれどそれは……。
その後、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴り響き、私達はそれぞれの教室へと帰っていった。
午後の授業も集中して取り組み、帰りのSHRも滞り無く進む。
最後に教壇に立つ担任へ日直が号令をかけてクラスメイト全員が礼をし、担任が教室から出て行くのを確認すると、彼女彼らもそれに続くように教室から去っていく。
私も鞄を肩に引っ掛けて奉仕部の部室へと向かう。
辿り着いた部室には既に比企谷くんと由比ヶ浜さんがいて、各々の時間を過ごしていた。
↓3 雪ノ下はどう過ごす?
雪ノ下「比企谷くん、ちょっといいかしら?」
比企谷「っ、な、なんだよ雪ノ下……っ」
由比ヶ浜「(……あれ? ここ最近は見なくなったのに、久しぶりにヒッキーがキョドってる)」
由比ヶ浜「(……、カメラまわしとこっと)」●REC
雪ノ下「……ひ、比企谷くんは、その、………………す、好きな人、とか……い、いないのかしら?」
比企谷「っ! ……や、やめろぉ! お前もうその表情禁止! 俺の理性が色々と限界だから! いやマジでッ!?」
由比ヶ浜「(あ、今の前に私がゆきのんに教えたやつだ。……は〜、やっぱりゆきのんがやると威力がすごいなぁ〜)」
由比ヶ浜「——って、ちょ、ちょっとヒッキー今のセリフどういう意味!?」
由比ヶ浜「ま、まさかひ、ヒッキーはゆきのんのことが……っ!」
比企谷「そ、そそそんなわけねぇだろ!? な、なーに勘違いしてんだよ由比ヶ浜! お前と雪ノ下を比べたら、お前のほうがマシだって!」
雪ノ下「……っ、」
由比ヶ浜「……そ、それって本気で言ってるのヒッキー? …………嘘、じゃない……?」
比企谷「ああ、勿論だ。お前が俺の地雷を無自覚で踏み抜かなければな……」
由比ヶ浜「ちょ、ヒッキー遠い目すんの禁止! そ、そりゃああたしが悪いのは分かるけど、ヒッキーだって、その………………」
雪ノ下「……、」
比企谷「(……なんだろう、凄絶な悪寒がする……っ)」
↓3 雪ノ下はどうする?
雪ノ下「……比企谷くん、ちょっとこっちに来なさい」
比企谷「う、うっす」
雪ノ下「由比ヶ浜さん、わざわざ足を運んでもらった所申し訳ないけれど、今日はもう部活は終了するわ」
雪ノ下「それとこれから私、とても重要な用事があるから今日は一緒に帰れそうにないの。ごめんなさい」
由比ヶ浜「ゆ、ゆきのん……? な、なんか様子がおかしいというか、その……こ、怖いんだけど……っ」
雪ノ下「……、ごめんなさい由比ヶ浜さん。詳しい事は明日また改めて説明するから、…………今日は帰ってもらえないかしら」
由比ヶ浜「……っ、……う、うん、わかった」
由比ヶ浜「じゃ、じゃあねゆきのん、ヒッキー、また明日……っ」
そう言って由比ヶ浜さんは帰って行った。
部室に残されたのは私と比企谷くん。
私は部室の鍵を内側から施錠すると、比企谷くんへ向き直る。
雪ノ下「……比企谷くん、あなたさっきのセリフはどういう意味かしら?」
比企谷「さ、さっきのセリフ? ……どれだよ、多くてわかんねぇよ」
雪ノ下「『お前と雪ノ下を比べたら、お前のほうがマシだって!』」
比企谷「……そ、それがどうかしたのかよ」
雪ノ下「……………昨夜、左頬、唇」
比企谷「! 雪ノ下……、やっぱりお前覚えてたんだな!?」
雪ノ下「ええ、覚えてるわよ。私が自分からあなたにキスをしたというのに忘れるわけがないじゃない」
雪ノ下「………あの時のキス、私の…………初めて、だったのよ……?」
雪ノ下「…………それをあなたは、ペラペラと、他の女に話したそうね」
比企谷「……っ、ほ、他の女ってお前な……、小町は俺の大事な妹だ、んな他人行儀な存在じゃねぇよ」
比企谷「あといつから俺はお前のモノになったんだよ、そんな覚えは一切ねぇぞ? ……あの時も、結局返事はしてねぇし」
雪ノ下「…………さい、」
比企谷「……?」
雪ノ下「…………うるさい口応えしないであなたは私だけを見ていればいいのよ他の女なんてどいつもこいつもクズばかりで群れをなさなきゃ何も出来ないどうしようもないほど脆弱で意志薄弱な存在なのにそのくせ虚勢を張って見栄を張って無駄にプライドが高くてそれなのに実力が伴ってなくて何をやらせても中途半端で男に媚び売ってあざとい真似して複数の男を誑かすような家畜にも劣る畜生以下の淫乱雌豚共よりこの私雪ノ下雪乃を見ていればいいのよいや私しか見ないでお願い比企谷くん比企谷くん比企谷くん比企谷くん比企谷くん比企谷くんッ!」
比企谷「」
なんかこのままだと八幡が病みのんにKILLされる展開しか浮かばないんですが、再安価してもいいですかね……?
KILLされてもいいんでせうか? 幻想どころか現実がぶちころされてしまうんですがいいんですね?
このまま突っ走ってやるぜーっと、思いましたが、現在夜中の4時前ということに気が付きました。 ……深夜のテンション怖い。
とりあえず何人かの意見を伺って先に進めたいと思います。ヤンデレは結構好き嫌いが激しいジャンルですし……。
というか、ヤンデレはヤンデレでももう少し丸いヤンデレで良かったのでは?別にヤンデレ=KILLというわけでもないんだし…
>>551さん そうなんですよね、別にヤンデレ=KILLじゃなくてもいいんですよね。
でも自分は小学生の頃に見た『竜宮レナが返り血を浴びて鉈包丁を振り下ろそうとしている』画像がヤンデレの原点というか基準になってまして……。
監禁とかストーカーはメンヘラという思い込みもあって>>547の病みのん降臨……。 なんか申し訳ないです……。
訂正 >>552さんです ……自分にレスするとか馬鹿過ぎる……。
とりあえず、再安価とします。 >>547はネタとして処理してください
雪ノ下「……、」
比企谷「(……なんだろう、凄絶な悪寒がする……っ)」
↓3 雪ノ下はどうする?
雪ノ下「……比企谷くん。昼休みに交わした約束、覚えているかしら」
比企谷「あ、約束? ……えっと、放課後お前の買い物に付き合ってほしいってやつか」
雪ノ下「ええ、部活が終わった後だとあなたの帰りが遅くなるでしょうから、出来れば今すぐにでも出発したいのだけれど……」
由比ヶ浜「あれ? ゆきのん、ヒッキーと買い物行くの? なんかの買い出し?」
雪ノ下「いいえ、これは私の個人的なお願いよ」
由比ヶ浜「! ……ま、まさかゆきのん…………、ひ、ヒッキーとデートに……?」
雪ノ下「違うわ」
比企谷「違ぇよ」
由比ヶ浜「あ、そうなんだ。…………………よかったぁ……」
雪ノ下「……ほら、私って体力にだけは自信がないから、重い荷物を長時間持っていられないのよ」
比企谷「そろそろ体力強化に励もうぜお前……」
雪ノ下「……そうね。あなたが付き合ってくれるなら、考えないこともないわよ」
由比ヶ浜「……え?」
比企谷「は?」
雪ノ下「……っ、な、なんでもないわ」
雪ノ下「それじゃあ比企谷くん、行きましょうか」
比企谷「お、おう」
雪ノ下「……それと由比ヶ浜さんも、どうかしら? あなたの都合が合えば、一緒に買い物に行きたいと考えているのだけれど……」
由比ヶ浜「え? あ、あたしも一緒に行ってもいいの?」
雪ノ下「ええ、都合が合えばの話だけれど」
由比ヶ浜「あ、あたしは……」
↓3 由比ヶ浜の都合は? 以下より選択
�行く! あたしも一緒に行く! 特に用事もないし、……それにヒッキーとゆきのんが一緒に出掛けるのは……なんか個人的にやだし……
�ごめんゆきのん、今日は家の用事で部活も途中で帰る予定だったから、行けないや
>>1
sageはずしたら
>>563さん 忘れてました、すみません。
というわけで再安価
↓3 由比ヶ浜の都合は? 以下より選択
�行く! あたしも一緒に行く! 特に用事もないし、……それにヒッキーとゆきのんが一緒に出掛けるのは……なんか個人的にやだし……
�ごめんゆきのん、今日は家の用事で部活も途中で帰る予定だったから、行けないや
すみません、今からバイトなんで一旦更新止まります。
遅くても2時くらいから再開出来ると思います。
それではまたのちほど。
由比ヶ浜「あ、あたしは……」
由比ヶ浜「ごめんゆきのん、今日は家の用事で部活も途中で帰る予定だったから、行けないや」
雪ノ下「そう、それなら仕方ないわね」
由比ヶ浜「……うん。……じゃ、じゃああたしはもう帰るねっ! 二人がいないなら一人で部活やっててもつまんないし……」
由比ヶ浜「ゆきのん、ヒッキー、また明日」
雪ノ下「ええ、また明日」
比企谷「じゃあな由比ヶ浜」
由比ヶ浜「うん、ばいばい」
私達に手を振りながら、由比ヶ浜さんは部室から去っていった。
そして部室に残される私と比企谷くん。
雪ノ下「……ねぇ比企谷くん、さっきの会話で1つ気がかりな点があったのだけれど」
比企谷「さっきの会話って、範囲が広すぎてわかんねぇよ……。もう少し具体的に言ってくれ」
雪ノ下「……そうね、迂闊だったわ。……その、これはあくまで私の興味本位で、決して私の本心ではなく知的好奇心を刺激されて仕方なく聞くという前提を忘れないで聞いてもらいたいのだけれど、『お前と雪ノ下を比べたら、お前のほうがマシだって!』という発言、あれに嘘偽りはないのかしら……?」
比企谷「前置きが長い、もう少し端的に話せよお前……」
雪ノ下「……っ、あなたは私と由比ヶ浜さん、どっちが好きなの?」
比企谷「今度はド直球すぎんぞ!?」
雪ノ下「い、いいから答えて」
比企谷「ぐっ、……そ、そうだな。俺はお前らのどちらが好きかと言えば、由比ヶ浜の方が好きだな。…………としては、な」
比企谷「(……友達として好きなのは由比ヶ浜だが、恋人として好きなのは雪ノ下なんだよなぁ。…………ま、そんなの言えるわけねぇけど)」
雪ノ下「……っ、……そう、分かったわ」
雪ノ下「……では疑問も解消したことだし、行くわよ比企谷くん。ついて来なさい」
比企谷「へいへい。荷物持ちでもなんでもどんとこいっての。ひきこもりの底力を見せてやるぜ」
【廊下】
雪ノ下「(……比企谷くんは私ではなく、由比ヶ浜さんに好意を抱いている)」
雪ノ下「(……薄々理解はしていたけれど、実際に突き付けられてみると、……こう、……うまく説明出来ないのだけれど、…………っ)」
胸の内から込み上げてくる正体不明の感情が、私の心を締めつける。
それは私に鈍く、苦々しく、辛い痛みを与え、自然と目元に涙が溜まっていく。
私はそれを溢れさせないように、やや俯きながら口を一文字にキツく結ぶ。
比企谷「それで、どこへ買い物に行くんだ雪ノ下? ……つーか、そもそも何買うんだよ」
私の前を歩く比企谷くんが、こちらを振り返ることなく私に話しかけてくる。
雪ノ下「……、そ、そうね。本当に私事で申し訳ないのだけど、一週間分の食材を買う予定よ」
雪ノ下「今朝自宅にある食材が尽きてしまったのよ。……計画的に買い物をしていればよかったのだけど、つい最近まで少し慌ただしかったものだから……」
比企谷「ああ、文実な。まぁお前、文実の中で一番頑張ってたし、あんなに一生懸命取り組めば、必然的にどっかが疎かになっちまうよな」
比企谷「まぁ俺は、文実やってても家に帰れば小町がメシを作って待っててくれたから、お前みたいな状態にはならなかったけどな」
雪ノ下「……、」
彼には、家に帰ると自分を温かく出迎えてくれる家族がいる。
一人暮らしの私には、それがない。
冷静に自分の過去を思い返してみれば、私はあまり家族から愛情というものを注がれることなく育ってきた。
母は厳しく、常日頃から淑女としての立ち振舞いを叩き込まれた。
父は忙しく、県議会議員と建設会社社長の兼任で滅多に自宅には帰って来なかった。
姉は優しく、というのは勿論嘘であまり私に関心を抱いていなかった……様に思う。
だから私は、人から『愛される』という行為に慣れていない。
様々な文学を通じて恋愛についての一般的な知識は心得てはいるが、結局はそれだけだ。
知識が大量に蓄えられたところで、それを出力する手段がなければただの宝の持ち腐れなのだから。
比企谷「……雪ノ下?」
返事をしない私を不思議に思ったのか、比企谷くんは立ち止まってこちらに振り返る。
雪ノ下「……ああ、ごめんなさい。少し考え事をしていたのよ。それで、えっと……何の話だったかしら?」
彼に小さく頭を下げ、嘘偽りない事実を彼に説明する。
目元に浮かんでいた涙は、いつの間にか引いていた。
比企谷「……、雪ノ下」
雪ノ下「な、なにかしら」
比企谷「…………、いや、いい。やっぱりなんでもねぇ」
雪ノ下「そ、そう……」
比企谷「……、」
雪ノ下「……、」
間に流れる沈黙が、重い。
いつもは心地よく流れる沈黙も、今回は鳴りを潜めている。
私はこの空気をどうにか変えようと、彼に話題を提供することにした。
↓3 雪ノ下が提供した話題とは? 以下より選択
�来月行われる体育祭について �再来月に控えた修学旅行について �その他(選ばれた場合再安価で内容決め)
雪ノ下「え、えっと……、比企谷くん」
比企谷「ん? なんだ?」
雪ノ下「比企谷くんは、再来月の修学旅行はどこを回るか決めているの?」
比企谷「いーや、全然。そもそもぼっちの俺にとっての修学旅行とは、人数不足のとこに無理矢理入れられて、そいつらの3歩後ろを歩いてくだけの行脚でしかねぇからな」
比企谷「そんでお情けでグループに組み込まれるから発言権は認めらんねぇし、ただそいつらの会話に黙って頷くか別のこと考えてるしか出来ねぇ。——あ、これ中学時代の俺の実体験な」
雪ノ下「なぜそんな暗い過去を普段通りの調子で話せるのよあなたは……。」
比企谷「え? だってあいつら俺が密かに行きたいと思ってた場所回ってくれたんだぜ?」
比企谷「だから俺はぼっちでも十分楽しかったし、旅行としては悪くなかったな」
比企谷「……ただ惜しむらくは、あいつら清水寺の坂で押し売りに呼び止められた時に俺を置き去りにして逃げやがった事が唯一の減点対象だな。なんで京都に行ってまでアイドルのポスター買わなきゃなんねぇんだよ馬鹿じゃねぇの? …………俺って、ほんとバカ……っ」
雪ノ下「断れずに押し売りされたのね……。……ご愁傷様」
比企谷「そういう雪ノ下はどうなんだよ。お前はどこか回りたい所とかねぇの?」
雪ノ下「私は……、とりあえずあなたのトラウマの地である清水寺や鹿苑寺、慈照寺に龍安寺の石庭といった有名どころは押さえておきたいところね」
比企谷「おいそこトラウマの地とか言うな。今回のクラス別行動が清水寺だったら俺、出鼻挫かれるってレベルじゃねぇぞ。なんなら清水の舞台から飛び降りる覚悟だぞ」
雪ノ下「安心しなさい比企谷くん。清水の舞台から飛び降りることは不可能だから」
比企谷「さいですか……」
雪ノ下「……こほんっ、話が逸れたわね」
雪ノ下「それで他には……、『一年中心和む音色が響く鈴虫のお寺』と言われてる鈴虫寺で説法を聞いてみたいわね」
比企谷「あー、鈴虫寺ね。確か嵐山の方にあるんだっけか」
雪ノ下「ええ、京都の中心部から離れた場所にあるから移動が少し大変だけど、わざわざ赴く価値は十分あると思うわ」
比企谷「ふーん、……随分と京都に詳しいのな、お前」
雪ノ下「別に……、これくらいは一般常識の範疇よ」
比企谷「あっそ」
↓3 雪ノ下は別の話題を提供する? 以下より選択
�提供する(選ばれた場合再安価で内容決め) �提供しない(買い物へ向かう)
【イオン】
その後も他愛無い会話を比企谷くんと交わしながら、私達は電車に乗って京浜幕張駅で降り、そこから徒歩でイオン幕張店へ徒歩で移動する。
最初から買うものはすでに決まっているので、私達は迷うことなく食料品売場へと向かう。
買い物カゴを上下に2つ載せたカートを比企谷くんに引かせながら、私は食材をカゴの中へ入れていく。
雪ノ下「……ねぇ比企谷くん、あなたの好きな料理って何かしら?」
比企谷「ん? ……俺の好きな料理なんて聞いてどうすんだよお前、一服盛るのか?」
雪ノ下「比企谷くん、毒は盛らないけどここで私はあなたに毒を吐いてもいいのよ?」ニコッ
比企谷「あ、や、…………す、すんません……っ」
雪ノ下「まったく……」
私は額を押さえて深い溜め息をつく。
どうして比企谷くんの考えはこうも斜め下に向かっているのかしら……。
雪ノ下「このあとあなたには私の家へこの荷物を運んでもらう役目があるの。そして役目を遂行した人間には褒美を与えるのが常識でしょうに」
比企谷「え、えーっと、つまりそれって……?」
雪ノ下「……あ、あなたにとって迷惑じゃないのなら、…………わ、私が特別に手料理を振舞ってあげるわ」
比企谷「……マジで?」
↓3 比企谷はどう返事をする?
比企谷「じゃあ小町も誘っていいか?」
比企谷「(雪ノ下の家で2人きりの食事とか、恥ずかしすぎて堪えらんねぇしな……)」
雪ノ下「小町さん?」
比企谷「ああ、あいつ俺が一緒にメシ食わねぇとうちの両親帰ってくんの遅いから、一人で寂しく食べるハメになっちまうんだ」
雪ノ下「……そう、そういう理由なら仕方ないわね。いいわ、小町さんも呼びなさい。二人揃って歓迎するわ」
比企谷「そりゃどうも」
雪ノ下「じゃあそろそろ会計を済ませてしまいましょう。こっちよ、比企谷くん」
比企谷「うーい」
店員「お会計32点で18562円になります」
雪ノ下「2万円からで」スッ
店員「お預かり致します」
店員「……、」
店員「1438円のお返しです、お確かめ下さい」
比企谷「(……こ、こいつの財布の中に諭吉さんが10人もいたんだが……!?)」
雪ノ下「……比企谷くん、あんまり人の財布の中身をジロジロ見ないの」
雪ノ下「いいから、あなたは早く食材を袋に詰めなさい」
比企谷「……、りょーかいりょーかい」ガサッ ガサッ
そしてそのあと海浜幕張駅前で小町さんと合流し、私達は私の住まうマンションへと向かう。
マンション前に到着すると、何故かテンションがハイになっている小町さんはマンションを見上げて感嘆の声をもらした。
小町「ほへー、すっごいですねっ! なんかニアフューチャーチックなのがまたこう……ね?」
比企谷「おいやめろ小町、そんな無理矢理単語ぶつ切りにして翻訳した言葉を使うなバカに見えるぞ、っていうかバカだろお前」
小町「むぅ……、どうせ小町はバカですよーっだ! ……でも、小町がバカなら頭の良いお兄ちゃんに勉強教えてもらえるし……。あ、今の小町的にポイント高いかも!」
比企谷「う、うぜぇ……」
そんな比企谷家の兄妹の会話を聞きながら私は先行し、エントランスを通りエレベーターで15階まで上がり、自宅の前に到着する。
雪ノ下「どうぞ、あがって」
二人を家の中に招き入れ、私は二人にリビングで待っているように伝える。
私は買ってきた食材を冷蔵庫に入れようとしたら、二人は「手伝う」と申し出てくれたので、ここはせっかくなのでお言葉に甘えることにした。
三人で冷蔵庫に一週間分の食材を詰め込み終え、一段落をつける為に私は紅茶の準備をする。
比企谷くんは勝手にテレビの電源を付けてチバテレビを視聴し、小町さんは部屋の中を興味深そうにしげしげと見ていた。
雪ノ下「(今の時間帯はたしかムーミンだったかしら……)」
そんな事を考えながら紅茶を3個のティーカップに注ぎ淹れる。 ……うん、なかなかね。
雪ノ下「比企谷くん、小町さん。お茶にしましょう」
比企谷「お、サンキュー雪ノ下」
小町「ん〜♪ 良い香りですねっ! 雪乃さん、これってどこの紅茶なんですか?」
雪ノ下「これは『ロイヤルブレンド』という名前の紅茶よ。高温多湿で雨量の多いインド東部が産地になってるわ。そしてこの紅茶は1902年の夏、エドワード7世(在位1901年〜1910年)の国王即位をお祝いするために作られたものなの。アッサム茶にセイロン茶を加えており、深いコクと渋みのバランスがとれた紅茶ね」
小町「へ、へぇ〜! すっごいぜんぜんわかんないです……」
比企谷「……でたな、ユキペディアさん」
雪ノ下「またその胡乱な呼び方……。……どうやら比企谷くんとは、一度決着をつけないといけないようね」
比企谷「……やるか?」
雪ノ下「……ええ、あなたが望むのであれば、私は全力で叩きのめすだけよ」
小町「おーっと! これは両者の間に激しい火花が散っているー!」
小町「これは解説の——ってしまったぁぁ! 解説役がいないぃぃ! じゃあもういいです! 小町が司会と解説を兼ねましょう!」
小町「千葉県横断ウルトラクイズー! イエーイ!」
『これより千葉県横断ウルトラクイズを行います』
『小町が八幡と雪乃に問題を出し、二人がそれに答える形式です』
『ただしこの二人の解答は皆さんのコメントとなります』
『コンマが奇数のコメントが八幡、コンマが偶数のコメントが雪乃の回答になります(なのでどちらが勝つかは運次第です)』
『先に3問正解した方がこの対決の勝者になります』
『報酬は千葉に関する知識です』
小町「ではまず第一問! 東京湾アクアライン上にあるパーキングエリアの名称は?」
↓5まで
小町「ヒントは海○○○だよー」
↓3まで
こんな誰得安価がしばらく続くのか…
答えられる人少ないし…
比企谷「海ほたる」
小町「はい正解ー! お兄ちゃん1ポイント獲得〜!」
雪ノ下「くっ……」
比企谷「……ふっふっふっ、千葉の伝道師(自称)である俺には簡単すぎる問題だな。よっしゃ次だ次、こい小町!」
雪ノ下「つ、次こそは……っ」
小町「ほいほーい、そんじゃ次いくよー第二問!」
小町「落花生は千葉県の名産の一つで、全国の生産量の半分近くを占め日本一です。別名・○○○といいます。○に入るのは?」
↓5まで 【ヒント ○京豆】
雪ノ下「南京豆」
小町「雪乃さんもすかさず反撃ー! 雪乃さんも1ポイント獲得だ〜!」
比企谷「ぐぬぬ……っ」
雪ノ下「……ふふっ、千葉の伝道師(嘲笑)さん大丈夫? 調子でも悪いのかしら?」
小町「そ・し・て、この満面の笑みだ〜! 輝いてる! 雪乃さんが最ッ高に輝いている〜!」
比企谷「つ、次だ次! 次は俺が答えてみせる! じっちゃんの名にかけて!」
小町「それじゃあ第三問! これはかなり難しいからググるの推奨かな〜」
比企谷「おいなにそれカンニングだろ」
雪ノ下「(ぐ……ぐ……ぐぐる? な、なにかしら、…………ぐぐる)」
小町「えっと、千葉県指定名勝「仁右衛門島(にえもんじま)」は、○○○の伝説で知られています。さて、○に入る歴史上の人物の名前は?」
小町「�平 清盛 �源 頼朝 �足利 尊氏 ——さあどれだ!?」
↓5まで 以下より選択
�平 清盛 �源 頼朝 �足利 尊氏
比企谷「源頼朝!」
小町「おおっ! さっすがお兄ちゃん大正解! 私立文系は伊達じゃない! お兄ちゃんがさらに1ポイント獲得獲得♪」
雪ノ下「……っ、」
比企谷「ちなみのこの問題を解説するとだな、治承4年(1180年)に源頼朝が石橋山の戦いに敗れて安房に逃れた際に、平野仁右衛門に助けられたんだ。そんでこの島で平家軍から一時身を隠したから、その助けた平野仁右衛門島から名前をあやかって『仁右衛門島』にしたんだとさ」
小町「さーてここでお兄ちゃんが一歩リードして、雪乃さんが後を追う展開! このままお兄ちゃんが逃げ切るのか!? それとも雪乃さんが追いつくのか!? 勝負は実に緊迫しております!」
小町「続いて第四問!」
比企谷「よっしゃ来い小町ッ!」
小町「お兄ちゃんうるさい」
比企谷「」
小町「えーっと、これは超ウルトララッキー問題だよ! 即答出来なきゃお兄ちゃんは明日のご飯抜きね♪」
比企谷「……おい小町、なんでお前さっきからそんなに俺に刺々しいの? なんか俺マズイことした?」
小町「んじゃいきますねー♪」
比企谷「(……くっ! 反抗期 いまさらやって くるのかよ ……八幡心の俳句。季語は思春期だから春、今の季節は秋だがな)」
小町「チーバくんは何の動物?」
↓5まで 【ヒントは原作7巻のぼーなすとらっく!】
雪ノ下「犬」
比企谷「」
小町「ゆ、雪乃さんが追いついたー! そうですチーバくんは犬! 雪乃さん大正解! そしてお兄ちゃんは明日のご飯抜きが確定だー!」
比企谷「……ふ、ふははっ、ま、まだだ、まだ慌てるような時間じゃない……!」
雪ノ下「比企谷くん、言っておくけど次が最終問題よ? そんな調子で大丈夫なの?」
比企谷「う、うっせ! わかってんよそんくらい! ……つ、次こそは……!」
雪ノ下「……よかった、どうやら正気は保っているのね。まだ比企谷くんの心をへし折る余地が残っていて安心したわ」
比企谷「安心する理由が間違いすぎだろ……!」
小町「さーてお兄ちゃんがまさかの解答ミスで動揺しまくりですが、小町的には食費が浮くんで大助かりです! ……これでようやく欲しかった服が買える……♪」
比企谷「小町、なにお前食費の一部着服してんの? なにそれ初耳、俺にも分けて下さいお願いします」
小町「うわー……、その発言は小町的にポイント低いっていうかなんというか…………むしろマイナス?」
小町「ま、いいや。とりあえず次が泣いても笑っても最後の問題ですっ!」
小町「では第五問!」
小町「昔の東映映画のオープニングに出てくる荒波が岩に砕けるシーンのロケ地、実はあれは千葉県のある地域なのですがそこはどこ?」
↓5まで 【ヒントは第四問の答えがこの問題の解答に含まれています】
誰得
比企谷八幡「………」カチャ
ドミネーター「公安局登録執行官比企谷八幡、適正ユーザーと確認、使用を許可します」
潜在犯「」
ドミネーター「犯罪係数オーバー320 執行モード リーサル エリミネーター」
潜在犯「ウオォォォォォォ!!!!!!」
潜在犯は追い詰められたのか、突如叫び声を上げながら俺に向かってきた
だが、そんなものはただの悪あがきにすぎない
俺は奴にドミネーターを向けながらトリガーを引いた
比企谷「ご愁傷様」
バシュ!!
潜在犯「う、うわあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
エリミネーターが潜在犯に当たると、奴の体は一気に膨れ上がり、そして破裂した
そこにはグロ画像としか思えない惨状があった
比企谷「毎回思うが、グロすぎんだろ、これ…」
>>592さん >>604さん
誰得……ですよね、すみません。
少しでも千葉に興味をもっていただければと思ったんですが、出過ぎた真似でしたね、反省してます……。
比企谷「犬吠埼!」
小町「……お、お兄ちゃん大大大正解! そうです正解は犬吠埼! 一進一退の手に汗握る……握ったっけ? まあいいや、その攻防を制したのは自称『千葉の伝道師』こと比企谷八幡だーっ!」
比企谷「ま、まぁ当然の結果だよな」
比企谷「(……あ、あっぶねー、危うく負けるとこだったぜ……っ)」
雪ノ下「……っ、…………負けたのね、私は」
小町「さーてさて、ここで千葉県横断ウルトラクイズの勝者であるお兄ちゃんには、小町からささやかなプレゼントがありま〜す♪ あ、今の小町的に健気でポイント高いかも!」
比企谷「(最後に余計なこと言わなきゃホントに可愛いんだけどなぁ、こいつは……)」
小町「小町からのプレゼントは〜〜〜〜こちらです!」
そう宣言して小町さんが背後から取り出したのは、長方形の一枚の紙だった。
その大きさは千円札くらいで、紙の中央には可愛らしいまる文字でこう書かれていた。
↓3 なんと書かれていた? 以下から選択
�小町に1回なんでもお願い出来る券
�お兄ちゃんに1回なんでも命令出来る券
�雪乃さんから1回なんでも命令される券
3
小町「じゃじゃ〜ん! 『雪乃さんから1回なんでも命令される券』〜♪」
比企谷「…………おい小町、それは俺へのプレゼントだよな?」
小町「そだよ〜、さっき小町言ったじゃん。お兄ちゃん耳詰まってんじゃないの?」
比企谷「詰まってねぇよ、ちゃんと毎日掃除してるっての。むしろお前がもっと脳味噌詰めろよ……」
比企谷「……あのな、いいか小町? それは俺へのささやかなプレゼント、お前は確かにそう言ったよな」
比企谷「だったらなんでその券の効果の対象が俺になってんだよ、おかしいだろ。そこは『雪ノ下に1回なんでも命令出来る券』とか書いておくところだろ、なにお前ホントにバカなの?」
小町「えー、だってお兄ちゃんヘタレだし受け身だし積極性皆無じゃん。お兄ちゃんはなんて言うか……誘い待ち? ……ヘタレ受けって言うの? そんなんじゃいつまでたっても仲が進展しなくて、小町退屈なんだもん」
比企谷「おい誰だ小町にいらん情報吹き込んだの! 海老名さんか!? 海老名さんなのか!?」
小町「まぁまぁ、落ち着いてよお兄ちゃん。大丈夫だって、小町はそんなお兄ちゃんを応援してるから♪ あ、今の小町的に超ポイント高い! これは確定!」
比企谷「う、うぜぇ……ガチでうぜぇよお前……っ」
小町「えーっと、それじゃあ雪乃さん、ヘタレな兄にご命令を!」
小町「本当になんでもいいですよ、小町が責任をもって最後まで遂行させますから♪」
比企谷「お前のその絶対の自信はどっから湧いてくんだよ……」
小町「お母さん」
比企谷「」
雪ノ下「え、えっと……、いまいち事情がよく飲み込めないのだけれど、…………そうね。比企谷くんには」
↓3 雪ノ下が下す命令は?
私の彼氏になりなさい!
雪ノ下「…………わ、……私の彼氏になりなさい!」
比企谷「ッ!?」
小町「雪乃さん言った————ッ! 恥じらい顔がまた最高ですね! そしてこれでお兄ちゃんは今日から雪乃さんの彼氏確定ね! 異論は認めないよ!」
比企谷「ちょ、こ、小町待て! 俺は」
小町「はいはい口応えしないのお兄ちゃん。こんな超絶美人さんがお兄ちゃんの彼女になってくれるんだよ? むしろお兄ちゃんはこの展開に感謝すべきだよ」
比企谷「そ、そりゃ雪ノ下は美人だが……っ。でも、その、俺は……、」
小町「……あ〜もう煮え切らない態度はダメだよお兄ちゃん、そんなの男らしくないってば」
小町「お兄ちゃんは雪乃さんが好きなの? 嫌いなの?」
比企谷「……っ、……す、好き嫌い言うなって母ちゃんに言われてるからそれは言えん」
小町「お兄ちゃん……。…………流石に小町、怒るよ?」
比企谷「……、」
小町「ちゃんとお兄ちゃんの本音を言って。そういう風に言葉を濁すのって、お兄ちゃんの一番嫌ってる欺瞞じゃないの?」
小町「自分の気持ちに、嘘つかないでよお兄ちゃん」
小町「……そんなお兄ちゃん、お兄ちゃんじゃないし、…………すごく、かっこ悪くて小町イヤだなぁ……」
比企谷「……、」
八幡は小町の言葉を受けてどう返す? 以下から選択
�「……わかった、小町にそこまで言われちゃ俺も黙ってられねぇ。……言うよ、言ってやろうじゃねぇか。俺は…………好きだ、雪ノ下が。 ……俺は雪ノ下雪乃が好きだ! 何か文句あるか小町ッ!?」
�「……それでも俺は、ダメなんだよ小町……っ。頭では理解しちゃいるが、長年身体に染み付いた習性がそれを拒むんだ。優しさの裏には悪意が潜んでいて、それが唐突に俺へ牙を向くイメージがチラついて動けなくなる。…………そんな人間に、誰かを愛するなんて真似は……出来ないし、選べねぇんだ」
先に4票集まった方で話が進みます。
1
2
比企谷「……それでも俺は、ダメなんだよ小町……っ。頭では理解しちゃいるが、長年身体に染み付いた習性がそれを拒むんだ。優しさの裏には悪意が潜んでいて、それが唐突に俺へ牙を向くイメージがチラついて動けなくなる」
雪ノ下「……、」
比企谷「…………そんな人間に、誰かを愛するなんて真似は……出来ないし、選べねぇんだ」
小町「……。…………お兄ちゃんのヘタレ」
比企谷「……ああ、俺はヘタレだ。他人を失望させることには定評がある」
小町「……だったら、せめて雪乃さんになにか一言言ってあげてよ。……それじゃなきゃ、雪乃さんが……っ!」
雪ノ下「……、いいのよ小町さん。あなたの気遣いはとても嬉しいけど、それは今の私を余計惨めにするだけだから不要だわ」
小町「雪乃さん……」
雪ノ下「……ほら二人とも、紅茶が冷めるわよ。出来れば温かいうちに飲んでもらいたのだけれど……」
比企谷「……ああ、じゃあいただくわ」
小町「こ、小町ももらいます!」
雪ノ下「ええ、まだまだおかわりもあるから、必要になったらそこのティーポットから自分で淹れてもらえるかしら」
雪ノ下「……私は少し、夜景を見てくるから」
そう言って、私はリビングから外側に張り出したバルコニーへ足を運んだ。
地上15階から望むどっぷりと暮れた空と新都心の夜景。
西の空にはまるで私の心情を映したかのようなひどく物寂しげな残照があった。
そして時折吹く湿った潮風が、私の髪を靡かせる。
風で乱れた髪を手櫛で整えながら、私はつぶやく。
雪ノ下「…………馬鹿ね……。……私も、比企谷くんも…………本当に、馬鹿……っ」
時間の経過とともに残照は消え、夜の帳が下りる。
夜空に浮かぶ星々の煌めきは、摩天楼が発する無数の光源に塗り潰されて見えなかった。
はい、というわけで一区切りがついたので、次の主人公を選ぶ作業に移りたいと思います。
以下より多数決 先に4票集まった選択肢で主人公を決めます。
�八幡視点で続き �八幡でニューゲーム �海老名さんでニューゲーム
2
イエーイ! ゆきのんのターンはまだまだ続くよ! ……これ次スレまで続くんじゃないだろうな……?
とりあえず八幡に視点が移ります。
ゆきのん視点で約300レス(コメントや安価含む)消費してるんで、おそらく今回も同じようになるかと。
……まぁ、予定は未定で着地点は不明ですが。
ちょっとご飯食べてきます。19時過ぎに再開予定です
どうでもいいけど作者が投票するのはありなんですか?
>>633さん 自分は書き込んでないのですが……。 ……ID同じになるのって何か理由あるんですか?
>>638さん おうふっ、マジですか……。
……可能性があるとすれば姉なんですが、姉はリアルヒッキーなんで会話が出来ない……。
とりあえず再開します。 家族の目は気にしたら負けだと思うんで、気にせずいきます。
【雪ノ下の住むマンション・リビング】
小町「……雪乃さん、大丈夫かなぁ」
比企谷「……、」
小町が心配そうにバルコニーで一人佇んでいる雪ノ下へ視線を送る。
俺は無言で紅茶を啜り、リビングに意識を向ける。
以前由比ヶ浜と一緒に体調を崩した雪ノ下のお見舞いに来た時となんら変化のないリビング。
小作りなガラスのテーブル、ビジネスホテルのような最低限の調度品、シンプルで機能的な家具、クリーム色をした布張りのカウチソファ。
そしてソファの前には大型テレビと小さなチェスト。
もちろん下のデッキには『パンダのパンさん』を筆頭に、多数のデスティニー作品が並んでいた。
比企谷「……俺達がどうこう言える立場じゃないのは確かだな」
小町「……うん。……小町、雪乃さんに迷惑かけちゃったなぁ」
比企谷「小町はなにも悪くねぇよ。これは俺が全面的に悪い」
そう言って俺は紅茶を煽るように飲み干す。
そして空になったティーカップに紅茶を注ぎ淹れる。
……そう、俺が悪い。 過去に固執するあまり、現在を疎かにしてしまった俺が悪いのだ。
過去の自分が積み重ねてきた数々のトラウマが見せる幻影を振り払えない、精神的に未熟な俺が悪い。
↓3 八幡はどうする?
雪ノ下雪乃という少女は、例えるなら高嶺の花だ。
手を伸ばしても到底届かない遙かなる高みに君臨する一輪の花。
孤高を貫き、決して群れることはなく、己が正義を貫き、立ちはだかる逆境を物ともしないその姿は、超人そのものである。
世の中には愛と勇気だけだが友達の英雄がいるが、雪ノ下の場合はおそらく勇気だけが友達なのだろう。
物事を恐れない強い心、いさましい意気。
それに加えて常に誠実で、きっとこの世界で誰よりも正しく、正しくあろうとしているのが雪ノ下雪乃という少女なのだ。
俺は、そんな彼女に憧れていたのだ。
目の眩むほど輝く彼女の後ろ姿を、いつからか目で追いかけていた。
小町「お兄ちゃん……」
小町が何かを期待するような目で俺を見つめてくる。
俺は、本当は気がついていた。
さっきの場面で俺が言わなければいけなかったのは、自身を哀れんでもらう為の釈明ではなかったということを。
俺が真に彼女へ伝えなければいけないのは、彼女を安堵させるに足る俺自身の明確な強い意志だ。
比企谷「……紅茶飲んだら少し暑くなったから、夜風に当たってくる」
俺は雪ノ下が一人佇むバルコニーへと赴く。
雪ノ下はこちらを振り向きもせず、ただじっと新都心の夜景を目に焼き付けている。
↓4 八幡はどうする?
比企谷「……横、いいか雪ノ下」
雪ノ下「……、」
雪ノ下からの返事はない。
だが数瞬遅れて、彼女の頭が前方に小さく傾くのを確認する。
俺はそれを肯定と受け取って、彼女の隣に並び立った。
比企谷「雪ノ下……。俺は、お前に言わなきゃならないことがある」
雪ノ下「……そう、なにかしら」
風の音に紛れて消え入りそうな小声で、雪ノ下はこちらを向いた。
彼女の表情は、見ているこちらの心が痛むくらいに悲痛だった。
雪ノ下の目元は紅く腫れ、頬には幾つもの涙痕が伺える。
おそらく彼女はここで泣いていたのだろう。誰にも知られず、ひっそりと。自身の弱い部分を露見させないように。
だが、彼女の流した涙の本当の意味は俺には分からない。
知ろうとしても、理解が出来ない。
比企谷「俺は……、俺はだな雪ノ下、————お前に憧れていた」
理解が出来ないから、俺は彼女に本心を吐露する。
比企谷「でも、それは最初からじゃないんだ」
比企谷「初めてお前と会ったときの俺は、お前に対して『なんだこの怖い女』って感じた」
比企谷「一言一言にいちいち棘を仕込んでくるし、俺へ向ける視線や言動はまるで猛烈な吹雪で容赦がねぇ。俺の精神が何度凍傷を起こしかけたか数えるのも億劫なくらいだ」
雪ノ下「……、」
雪ノ下は無言のまま、俺の話に耳を傾けている。
彼女が俺の話を聞いていることを信じて、俺は話を再び紡ぎ始める。
比企谷「だが、お前と一緒に過ごしているうちに、俺はどこか心地いいものを感じていた」
比企谷「それは決して俺が特殊な性癖に目覚めたとかじゃなくて、未だかつて経験したことのない感情だった」
比企谷「それに気がついたのは、お前が夏休みの中盤に姿をみせなくなってからだ」
比企谷「お前がいなくなって、俺は初めてお前の言動を目で追っていた事に気がついた」
比企谷「孤高を貫き、己が正義を貫き、理解されないことを嘆かず、理解することを諦める。それは俺が目標としていた生き方そのものだった」
比企谷「だから俺はお前に憧れてた。これだけは紛れも無い真実であり、俺の本心だ」
雪ノ下「……、」
↓4 雪ノ下は八幡の本心を聞いてどう返す?
数日のうちに八幡を落とす宣言
雪ノ下「……そう、あなたの本心は理解したわ」
雪ノ下「それを踏まえて1つ訊ねたいのだけれど、あなたはさっきの話を撤回するつもりはないのよね?」
雪ノ下の尋ねるさっきの話というと、おそらく俺が言った『誰かを愛するなんて真似〜』云々のことだろう。
俺は彼女の問いに首肯で返すと、雪ノ下はふっと小さく破顔した。
雪ノ下「……ええ、そうでしょうね。あなたは過去に起きた事をなかったことには決してしないもの」
雪ノ下「だから私は、——あなたを数日のうちに落としてみせるわ」
比企谷「…………は?」
彼女の突然の宣戦布告に、俺は口をあんぐりと開けて呆然と返事をする。
……そもそも落とすってなんだよ、あれか? 首絞めて落とすのそっち系? なに俺そんなハードプレイの趣味はねぇぞ?
俺が頭上に疑問符を浮かべていると、雪ノ下がそれに気が付いてわざわざ説明してくる。
雪ノ下「……こほんっ。言い方に語弊があったわね、ごめんなさい」
雪ノ下「落とすというのはつまり、わ、……私があなたを惚れさせるということよ」
雪ノ下「過程はどうであれ、私はあなたに千葉県横断ウルトラクイズで敗北した上にあなたに告白をして見事に玉砕したわ、でもこれは何の準備もしないまま行動に移した結果であって、また日を改めて冷静にあなたとの現状を分析し解析して研鑽を積み重ねていけば、あなたが私に惚れるのはほぼ100%と言っても過言はないでしょうね、つまり私が何を言いたいのかというと……」
雪ノ下「あなたが出来ないと言った人を愛する行為を、私が可能にしてみせる。……そして私が、あなたに選ばれてみせるわ」
雪ノ下はそう言い残し、バルコニーから早足でリビングへと戻っていった。
↓3 このあと八幡はどうする?
wktk
比企谷「(…………雪ノ下が、あんなセリフを言うなんてな…………)」
雪ノ下がついさっき宣言したセリフが、頭から離れない。
『あなたが出来ないと言った人を愛する行為を、私が可能にしてみせる。……そして私が、あなたに選ばれてみせるわ』
あのセリフは、誰よりも正しくあろうとする雪ノ下だからこそ言えるセリフだ。
彼女は決して手を抜くという軽率な行動はしない。何事も全力で取り組む、それが彼女なりの流儀なのだろう。
その彼女の真摯で真っ直ぐな言葉を受けて、頬に熱を帯びているのを自覚した俺は慌てて首を振って邪念を振り払う。
比企谷「(……はっ! っぶねー、今の雪ノ下のセリフだけで危うく落ちかけたぜ……。……恐るべし、ギャップ萌えの魔力……ッ!)」
比企谷「(…………でも、あいつが俺を落とす為にはどんな手段を取るんだ……?)」
ふとそんなことを疑問に感じて、俺は思考の海にダイブする。
比企谷「(甘える……ってのは雪ノ下のキャラじゃねぇし、照れ隠しは今のでお腹いっぱいだし、氷点下の目で罵られるのは俺が新しい扉を開きかねないし…………くそっ、全然わかんねぇぞ)」
他にも可能性があるハズだと脳内で検索をかけてみたところ、残念な俺の脳が示したのは男なら誰でも思いつくことだった。
ずばり、色気である。
色気であるのだが……、俺はすぐにその可能性の否定に入る。
比企谷「(あいつがお色気で落としにくるのは…………ないな。……そもそもお色気に使えるパーツがねぇんだよなあいつは)」
俺は夏休みのボランティアで目撃した、彼女のその名の如く雪の化身であるかのような美しい肢体を思い返す。
透き通るような白い素肌、形のいいふくらはぎから腰まで続く脚線美、驚くほど細くくびれた腰、控えめながらも一応主張はしている胸元。
………………ヤバい、思いのほか破壊力が凄まじかった……っ。 あやうく俺の氷山が溶け始めるところだったぜ……っ。
雪ノ下「比企谷くん」
比企谷「ひゃ、ひゃいッ!?」
安堵したのも束の間、直後に雪ノ下から話しかけられ、俺は素っ頓狂な声を出してしまう。 ……くそっ! めちゃくちゃ恥ずい……!
雪ノ下「あなた、そんな所で挙動不審な行動をとっていたら通報されるわよ? ……早くリビングに戻って、これから夕食にするから」
比企谷「…………すまん」
どうやらさっきまでの俺はかなり不審な行動をしていたようだ。……ただ妄想してただけなんだがなぁ……。
↓3 八幡はこのあとどうする?
雪ノ下「比企谷くん、小町さん、これから夕食にするのだけど、何がご所望かしら?」
そう尋ねる雪ノ下は、胸元にちいさく猫の足跡があしらわれた黒色のエプロンを身に纏っていた。
それは、数カ月前にここにいる3人で由比ヶ浜の誕生日プレゼントを買いに行ったついでに雪ノ下が買ったモノだった。
小町「ハンバーグ! 小町はハンバーグがいいです雪乃さん!」
さきほどとは打って変わって、元気百倍アンパンマンと言いかねないくらいの明るさで小町が主張する。
俺がキョドってる間に小町に何したんだよ雪ノ下……。
雪ノ下「……ハンバーグね、わかったわ。それで、比企谷くんのリクエストは?」
比企谷「あー……俺もハンバーグでいいよ。別の料理を並行して作るのって結構手間かかるだろうし」
雪ノ下「あら、そんなことないわよ。あなたが喜んでくれるのなら、私はどんな労力も厭わない覚悟よ?」
比企谷「っ!」
見ているだけで心を洗われるような優しい微笑みを浮かべて、雪ノ下は俺にそう言った。
不意打ちを喰らったこともあり、俺の顔が再び熱を帯びていく。
小町「むっふっふっ、照れてる照れてる〜♪」
比企谷「う、うるせぇ小町! べ、別に照れてなんかねぇよ!!」
これはあれだ、ただ気恥ずかしいだけだっつーの! …………あれ、それって結局照れてね?
小町「も〜、やっぱりお兄ちゃんは素直じゃないなぁ……」
比企谷「ほっとけ」
雪ノ下「それじゃあ二人は家の中で適当に時間を潰しておいてもらえるかしら。出来上がったら声をかけるわね」
そう言って、雪ノ下はキッチンへと姿を消した。
……ちょっと奥さんいまの聞きました?
なにかしら?
それが彼女がいまね、『家の中で適当に時間を潰しておいてもらえるかしら』って言ったのよ!
ほうほう、それはつまり?
比企谷「(……ゆ、雪ノ下の部屋に行っても問題ないということだ……ッ!)」
俺はリビングをキョロキョロと見渡し、別の部屋へ続きそうな扉を探し始めた。
しかし雪ノ下の部屋らしい扉は見当たらない。……チッ! やはりこのリビングに至る前にあった3個の扉のどれかか……っ。
小町「お兄ちゃ〜ん、またキョドってるよ〜」
そんな行動を不審に思ったのか、小町がテレビを見ながら俺に注意をしてくる。 ……お前もう完全に溶け込んでるな、この家に。
比企谷「……ご、誤解だ小町! 俺はただトイレに行きたいだけだ! さっきの紅茶でちょっとマズイ状況なんだよ!」
紅茶の利尿作用は異常。 なんであれたった2杯飲んだだけで溜まってたの殆ど出るの?
雪ノ下「比企谷くん、お手洗いならリビングを出て再奥左側の扉よ。…………くれぐれも、再奥右側の扉の中には入らないようにね」
俺が小町に叫んだのが聞こえたのか、雪ノ下がキッチンから声をかけてきた。
比企谷「分かった。スマンがちょっと拝借させてもらうわ、……マジでちょっとヤバイし」
俺は雪ノ下に断りを入れて、やや早歩きでトイレへ向かった。
そしてトイレにて体内の不純物を放出して非常に清々しい気分になった俺は、備え付けてあった小さな洗面台で手を洗いトイレから出る。
比企谷「(……ふぅ、スッキリしたぜ——って、この扉は……)」
トイレから出た目の前には、雪ノ下が入ってはいけないと言っていた扉があった。
↓3 雪ノ下に入るなと言われた扉が目の前にある、八幡はどうする? 以下より多数決
�開けない �開ける �そんなことより雪ノ下の部屋を探す
先に3票集まった選択肢で話が進みます
比企谷「(……いや、開けちゃダメって言ってたし、ここは大人しく帰るか)」
俺はリビングへと戻り、小町と一緒にテレビを見て時間を潰した。
部屋の壁にかけられた時計を見ながら、あの部屋は結局なんだったんだろうなぁ、とかそんなことを考えながらダラダラ過ごす。
比企谷「(……俺の見立てでは、おそらく洗濯物を干す部屋だと思うんだよなぁ……)」
そんなどうでもいい考察をしつつ、雪ノ下から声がかかるのを待つ。
そして1時間を過ぎた所で、雪ノ下がキッチンから俺を呼ぶ。
雪ノ下「比企谷くん。少し配膳を手伝ってもらいたいのだけれど、いいかしら」
どうやら配膳を手伝ってもらいたいようだ。
比企谷「あいよ」
断る理由は特にないので、俺はしゃもじを掴んで茶碗にご飯を盛り付ける。
雪ノ下はハンバーグを小皿に取り分け、その上からデミグラスソースを垂らしていく。
……おい、なんだそのハイクオリティ。ちょっとしたホテルのディナーでも通用するレベルじゃねぇか。
つくづく雪ノ下は天才なんだなぁと感じつつ、俺はご飯を盛り続ける。
しかし俺は彼女の華麗な手際に見惚れてしまったのか、気がつけば1つだけこんもりとご飯が山のように盛られてしまった。
サイズで言えば由比ヶ浜クラス。……ちょっと盛り過ぎたな。
ちなみに他のご飯は並盛で、サイズで言うと雪ノし「あらごめんなさい、手が滑ったわ」——って熱ッ!?
俺の失礼な考えを見抜いたのか、雪ノ下に熱せられたお玉杓子を頬に押し当てられる。
どう手が滑ったら俺の頬に押し当てられるんだよ、逆に見てみたいわ……。
そんなやり取りをしながら、俺と雪ノ下は出来上がった料理をテーブルへ運んだ。
そしてそれぞれ席に着いたのだが……。
↓3 八幡はどこに座った? 以下から選択
�雪ノ下の前 �雪ノ下の隣 �雪ノ下と小町の間
比企谷「……雪ノ下」
雪ノ下「なにかしら」
比企谷「……なんでお前俺の隣に座るの?」
雪ノ下「……、」
そう、俺の隣にはこの家の家主である雪ノ下が座っていたのだ。
小町「ふっふっふ……、お兄ちゃん、攻略はもう始まってるよ〜♪」
ちなみに小町は俺の正面でニヤニヤしている。こんなに頭を引っ叩きたい妹の表情は久々である。
俺は見ているだけでフラストレーションの溜まる小町から視線を雪ノ下に移すと、彼女は俯きながらこちらをチラチラと見ていた。
その様子は、構ってほしいこと猫の如し。
雪ノ下「……あ、あなたの隣にいたいからじゃ、…………ダメ、かしら……?」
比企谷「ごふっ」
そんな雪ノ下キャットは、かつての俺を骨抜きにした【上目遣い+涙目】という凶悪な一撃を繰り出した。
勇者八幡のライフに八万のダメージ、勇者八幡はしんでしまった。おい、死んじゃうのかよ、誰か俺にザオリクかけてくれ!ザオリク!
↓3 八幡はどうする?
比企谷「…………ダメじゃ、ない、んじゃねぇの……?」
なんとかザオリク(自力)が間に合い蘇生完了。
そして俺はささやかな抵抗として、雪ノ下の頭を撫でてみることにした。
雪ノ下「……っ」
俺の手が絹糸のようにサラサラな髪に触れた直後、雪ノ下の全身がびくっと震える。 ……あ、ちょっと傷ついたぞ今の。
——ちなみに女子はこの頭を撫でる行為は全身に怖気が走るほど嫌いらしい、理由は髪型が崩れるからだそうだ。ソースはバイトしてた時の女子高校生の愚痴——
そのまま髪の流れに逆らうことなく撫で続けるが、不思議なことに雪ノ下は俺の手をどかそうとはしなかった。
……あっれー? おかしいな、なんで雪ノ下サンこんなとろーんとした目になってきてんの? なに疲れて眠いの? そうかそうか
小町「お兄ちゃんは将来有望なヒモになりそうで小町心配だなぁー……」
そんな俺と雪ノ下を見て小町がハンバーグを食べながらポツリと呟く。
……てかお前なにハンバーグ食ってんだよ、まだいただきますすら言ってないでしょうが! ちゃんと食材に感謝しないとダメでしょまったく!
比企谷「……ゆ、雪ノ下、そろそろいいか? メシが冷めちまう……」
雪ノ下「…………はっ! ……っ、ええ、そ、そうね。そろそろいいわ、食事にしましょう比企谷くん」
非常に気まずい空気が流れたが、とりあえず俺たちは両手を合わせて「いただきます」と告げて夕食を食べ始めた。
……なんだが自分で書いてて面白いのかがわかんなくなってきました。
なにか感想が一言あるとうれしいです。
とりあえず今日も8時からバイトなんで今日はもう寝ます、最近睡眠時間短すぎだろ……。
おやすみなさい。
遅くなりました、再開します。
それと感想ありがとうございます、かなりやる気が満たされました。
これからも皆さんの期待に添えるように頑張ります。
……しっかしホントに美味いなこの料理は。こんな美味いメシ食ったのオラ初めてですんげーワクワクすっぞ!
雪ノ下お手製の料理に舌鼓を打ちながら、俺はもし雪ノ下が俺のお嫁さんになった場合を妄想してみる。
社畜として身体と精神を磨り減らして自宅に帰ってきた俺を、エプロン姿の雪ノ下が優しく出迎える。
比企谷『たでーまー』
雪ノ下『おかえりなさいあなた。今日も一日お疲れ様』
比企谷『あぁ、超疲れた。取引先の相手が七面倒臭い奴でさ……、ホントもう一瞬ブチ切れて殴りかかりそうになったわ』
雪ノ下『……そう、大変だったのね』
比企谷『おう。でもお前の笑顔を見るに為に今日も頑張ったぜ。雪乃よ、俺を褒めるが良い』
雪ノ下『はいはい、それはまた後でね』
雪ノ下『それじゃああなた、夕飯の準備が出来るまで、お風呂にでも入って待っててもらえるかしら』
比企谷『えー……、一緒に入らねぇの?』
雪ノ下『昨日一緒に入ったばかりじゃない……。……ま、まぁ、私はあなたが望むのなら、……別にいいのだけれど……』
比企谷『よっしゃ、じゃあ入ろうぜ。メシは後で一緒に作れば問題ねぇし』
雪ノ下『こ、こら押さないの! ……ま、まったく…………強引なんだから、あなたは……っ』
……やべぇ超ニヤける。 なんだこの雪ノ下、お持ち帰りして永久保存したいレベル。
雪ノ下「……比企谷くん、あなたは箸も満足に扱えないのかしら? ご飯がテーブルにボロボロこぼれているのだけど……」
比企谷「へ?」
そう雪ノ下に指摘されて、意識が現実に引き戻される。
テーブルの上には、俺がやらかしたのであろう、口に運びこまれることのなかったご飯が点々と散乱していた。
どうやら妄想に集中し過ぎたせいで、食事が疎かになってしまったようだ。……赤ん坊並に汚い食い方じゃねぇか……。
俺が自身の雑な食事の仕方に軽く自己嫌悪に陥っていると、雪ノ下に制服のブレザーの裾をちょいちょいと引っ張られる。
雪ノ下「……ひ、比企谷くん」
比企谷「なんだ?」
雪ノ下「えっと、……そ、その、…………あ、あーん……っ!」
俺へ向かって差し出される雪ノ下の箸、その先端には少量のご飯。
この2点が意味する行為とは、俺の脳内で検索し該当した結果は1つしかなかった。
全世界の男子諸君が渇望する、彼女にしてもらいたいことランキングトップ5に入る『あーん』である。
比企谷「え、えっと……」
正直、この時の俺は嬉しいという感情よりも困惑の色が全面に表れていた。
……だって『あーん』とか親にだってされたことねぇし、どうやってそれに応じたらいいのかが分からないのだ。
小町「ほらお兄ちゃんがぶっと! 雪乃さんの箸にかぶりつくんだよお兄ちゃん!」
テーブルの向かい側で小町が何やら俺に向かって吠えている。
言われなくてもそうしなきゃいけないのは薄々と分かるんだが、残念なことに俺の身体はそれを拒もうとする。
これが俺の、長年身体に染み付いた哀しい習性だ。
優しさの裏には悪意が潜んでいて、それが唐突に俺へ牙を向くイメージがチラついて動けなくなる。
蛇に睨まれた蛙、とでも言えばいいのだろうか。
俺にとっての恐怖とは、『優しさ』なのだ。
今まで人から優しくされた経験が他人より圧倒的に不足しているからこそ、それが怖い。
人間誰しも経験の無いことに挑むのにはかなりの勇気がいる。
だがそれは逆説的に、経験を積んでいけば大抵のことに怖気づくことはなくなるという事だろう。
だから俺は、経験を積むために動く。
顔を赤らめながらも俺へ箸を差し伸べている雪ノ下は相当恥ずかしがっている筈だ。
こいつだって、こんなことをやるようなタイプじゃない。
こいつの場合は地面に料理をぶち撒けて、「両肘両膝を地に着けて、地面が綺麗になるまで舐めなさい」と絶対零度の眼差しで言うのが雪ノ下だ。……なにそれドM大歓喜。
閑話休題。
とにかく、雪ノ下にしても俺にしても、そういった類いの経験値が圧倒的に不足している。
だからこうして日常生活のワンシーンをすり替えて、足りない経験を補わなければいけない。
この場面で雪ノ下が俺に『あーん』をする必要はない。
だが、こういった場面にやらなければいつやるというのだ。
比企谷「(————今でしょ!)」
俺は差し伸べられた雪ノ下の箸にかぶりついた。
そして白米を口に残したまま顔を箸から遠ざけ、ゆっくりと咀嚼する。
じっくり、噛み締めるように俺は白米を奥歯で擦切る。
噛めば噛むほどお米本来の芳醇な甘みが口の中一杯に広がる。
比企谷「(……ああ、生きててよかった……!)」
生来感じたことのないこの上ない幸福感に全身を包まれる。
なんならこのまま昇天してもいいレベル。……でも素っ裸の天使にラッパを吹かれながら愛犬と天国へ行くのは嫌だなぁ……。
雪ノ下「……ひ、比企谷くん。…………も、もっと食べるかしら?」
そんな世界的名作のラストシーンを思い返していると、雪ノ下が顔を真っ赤にしながら俺に訊ねてくる。
彼女の右手に握られた箸は、今度は白米ではなく小さく切り分けられたハンバーグを掴んでいた。
比企谷「(……これは食うしかねぇよな。……ああ、食ってやるよ雪ノ下)」
俺は居住まいを正して、雪ノ下に返答する。
比企谷「ああ、雪ノ下。……た、たにょむ」
噛みまくりである。折角格好良く落ち着き払った体を醸し出そうとしたのに大失敗だ。
失礼、かみまみた! ……また噛んでるじゃねぇか……。
その後も雪ノ下の『あーん』の波状攻撃は止むことなく、彼女は自身の弾丸が切れても俺の弾丸を無理矢理強奪して強襲する。
それを全身で受け止め続けた俺は、『俺の精神が幸福すぎて生きるのが楽しい』という、ある意味での極地に到達すると同時、雪ノ下の手持ちの弾が切れた。
端的に言えば、夕食が終わった。
↓4 このあとはどうする?
夕食を食べ終え、俺と雪ノ下はシンクの前に並んで食器を洗っていた。
雪ノ下が食器を洗剤で軽く洗い、俺がそれを食器洗浄機へセットしていく。
最初は俺が洗うと言ったのだが、雪ノ下はそれを頑なに拒否した。 ……なにか裏がありそうな気がしたが、余計な詮索はしないようにした。
そして食器を全て洗浄機にセットし、蓋を閉じてスイッチ・オン。 家事も随分と便利になったもんだなぁ。
ちなみに小町は雪ノ下の手料理をお腹いっぱい食べたら眠くなったのか、ソファで横になってすやすやと寝息をたてている。 ……食った後にすぐ寝たら牛になるぞお前……。
その後、俺達は小町の睡眠を邪魔しないように再びバルコニーへ。
時折吹く湿った潮風が、俺達二人の髪を撫でては去っていく。
比企谷「……雪ノ下」
雪ノ下「なにかしら、比企谷くん」
俺は落下防止の柵の手すりを軽く握りながら、彼女の名前を呼ぶ。
雪ノ下は風に煽られて靡く髪を抑えながら、こちらを向く。
比企谷「えっと、その……だな。お前の料理、……めちゃくちゃ美味かった。今まで俺が食べた料理の中で、一番美味かった」
比企谷「あとお前の……あ、『あーん』も、その、…………さ、最高のスパイスだった……っ!」
照れ隠しに頬をぽりぽりと掻きながら、俺は雪ノ下に感謝の言葉を述べた。
もう少し気の利いた一言でも言えればいいのだが、生憎そんな器量は持ち合わせていない。
比企谷「(……葉山あたりならすんなりと言えるんだろうな、こういうのは)」
リア充の模範生とも言える奴の事を頭に思い浮かべながら、俺は雪ノ下の返事を待つ。
数瞬待って、雪ノ下は俺へ微笑みながら口を開く。
雪ノ下「……そう、それはよかったわ。私も腕によりをかけて作った甲斐があったというものね」
まるで聖母マリアのような優しく穏和な彼女の微笑みは、俺にはこの新都心の夜景と互角かそれ以上に輝いて見えた。
比企谷「ああ。本当にありがとな、雪ノ下」
俺は再び感謝の言葉を述べて彼女の頭を撫でた。
彼女はまどろみに落ちるようにゆっくりと目を閉じ、その行為を受け入れる。
髪を撫でるたびにふつふつと湧き上がる、彼女を抱きしめたいという衝動を必死に抑えながら、俺は手を動かすのを止めなかった。
このあとはどうする? 以下より多数決
�帰宅する �泊まっていく
先に4票集まった選択肢で話が進みます
俺がふとリビングにある時計を見ると、短針は9の文字を少し過ぎた所を指し示していた。 ……そろそろ帰らないとな。
比企谷「……さて、んじゃそろそろこの辺りでお暇させてもらうわ。ほら小町、起きろ」
ソファで寝ている小町を軽く揺する。
すると小町はガバっと身を起こし、目をゴシゴシと擦りながら俺を見ると、
小町「……んん……? ……なにお兄ちゃん、朝……? ……馬鹿言っちゃいけないよ、まだ夜はこれから…………ZZZ」
よくわからないことを呟きながら、再び寝に入ってしまった。……まいったな、こりゃ。
こうなってしまうと、小町はテコでも動こうとしない。
惰眠を貪るのが大好きな比企谷家では、こういったことは日常茶飯事なのだ。
……特に一番酷いのがあのクソ親父。夜にテーブルでビール飲んで酔っ払って爆睡して、その次の日が休日だったこともあってか、丸一日寝てやがったことがある。
……本当にアレは邪魔だったな、蹴り飛ばしても起きねぇ時は戦慄を覚えたわ。
比企谷「(——って、そんな事を考えてる場合じゃなかった。えっと……、)」
どうにかして小町を連れて帰る算段を立てるが、なかなか思うようにうまくいかない。 ……いっそ置いて帰るか?
俺がう〜ん……と頭を悩ませていると、それを見かねた雪ノ下がとても魅力的だが、見方によってはとても危険な提案をしてきた。
雪ノ下「……ねぇ比企谷くん。もしあなた達がよければの話だけど、うちに泊まっていけばいいんじゃないのかしら?」
比企谷「いや、雪ノ下。それは……」
比企谷「(それは流石にダメだろ)」
……いや、別に小町と雪ノ下が一緒に泊まる場合なら特に問題はないのだ。
女子はよくお泊り会とかパジャマパーティーをやるし、世間的に何の問題もない。
しかし、俺はアダムとイブで言う所のアダムなのである。
唯一の懸念材料なのは俺の存在、原罪を背負いし呪われたアダム=男である点だ。 ……原罪背負ってんのはイブもだけどな。
俺とは異なる性別で、しかも一人暮らしの雪ノ下の家に泊まるのは倫理的にマズイ。
それに雪ノ下の家の中で、俺の理性が最後まで持つかも怪しい……。
さっきだって雪ノ下を抱きしめたい衝動を抑えんのに必死だったんだぞ……っ!
俺が泊まる問題点について考えをまとめていると、雪ノ下はニコッと微笑みながら俺にこう言った。
雪ノ下「大丈夫よ。だって比企谷くんは、刑事罰に問われるような事はしない小悪党でしょう?」
比企谷「おい違うだろ、そこは常識的な判断が出来るって言ってくれよ!」
雪ノ下「……常識的? 一体どの口が言っているのかしら……」
比企谷「非常識な発言が多いお前には言われたくねぇよ……!」
と、そんな軽く投げたら豪速球で帰ってくる言葉のキャッチボールを繰り返していくうちに、時間はどんどん過ぎていく。
結局俺は雪ノ下に押し切られ、俺と小町が雪ノ下家に泊まっていくことが決定した。
……カマクラ、腹空かして俺達の帰りを待ってんじゃねぇのかなぁ……。
↓3 このあとはどうする?
その後、俺は雪ノ下から風呂に入るように勧められた。
最初はそこまでしてもらうのは悪いと断ったのだが、「風呂にも入らずに家の中にいられるのは非常に不快な気分になるからやめて、ほんとやめて」と言われてしまい、……もうなんも言えねぇ……っ。
そういうわけで、今俺は雪ノ下家の脱衣所にいる。
着替えは勿論ない、普段から鞄に下着を備えておく心得など普通持ち合わせてねぇし。
俺は脱いだ制服とシャツを折り畳み、その上にかつて遊戯部の部室で衆目に晒した絶対防衛線を置く。
そうして俺は、身に一糸も纏わぬ生まれた直後の姿で単身浴室へ突撃する。
浴室は、想像していたものより広く、どこか高級感が漂っていた。
一応湯船にお湯は張ってあるのだが、このあと雪ノ下が入る事を考えると湯船には浸かれない。
この状況は反抗期の娘を持つ父と同じである。
反抗期真っ只中の娘は、何かと父親と一緒にいることを嫌う。
洗濯物は別々に洗わないとキレるし、父親が湯船に入るようなら娘は風呂にすら入らない。
娘のすぐ近くを歩くようなら、すぐさま消臭スプレーを吹きかけられるその扱いは害虫となんらかわりない。
中学時代にクラスの女子から遠巻きに8×4を噴射された俺も、害虫扱いされてたのか……。
……はっ、いかんいかん、このままではイカんでしょ! このままではイカんでしょ! ……イカちゃん可愛いよなぁ……。
そんなしょうもない事を考えながら、俺は蛇口を捻ってシャワーからお湯を出し、それを被る。
シャンプーも雪ノ下の物だから使うわけにもいかず、俺はただひたすらお湯で頭を洗う。
全身もお湯でシャカシャカ手もみ洗いしていると、脱衣所の方で何かが開く音がした。 ……雪ノ下だろうか?
しかしこちらは現在素っ裸、振り返るわけにもいかず、俺は無言で身体を洗い続ける。
そうして数分間くらい洗っていただろうか、そろそろ上がるかなーとか考えていた俺のすぐ後ろで何かが開く音がした。
——ガチャッ
比企谷「!?」
そこにいたのは? 以下より多数決
�身体にタオルを一枚巻いただけの雪ノ下 �なぜか総武高校のジャージ姿の雪ノ下 �寝ぼけた小町 �なぜかいる雪ノ下陽乃
先に4票集まった選択肢で話が進みます。
雪ノ下「…………ひ、比企谷くん、あの……その…………」
比企谷「ゆ、雪ノし——ッ!」
背後からの呼びかけに俺はつい条件反射で振り返ってしまい、そして呼吸を忘れた。
そこに立っていたのは、雪ノ下雪乃だった。
透き通るような白い肌、腰まで伸びていた黒髪はアップに纏められて団子状になっている。
形のいいふくらはぎから腰まで続く脚線美、それより上は純白のタオルで隠されているが、それでもボディラインが僅かに出ている。
タオルの上から僅かに伺える鎖骨は凄く扇情的で、……その、…………色々と理性がヤバイ。
雪ノ下「…………ひ、比企谷くんの、せ、背中を流そうと思って……。……そ、その、……め、迷惑……だったかしら……?」
比企谷「……。アー、ゼンゼンメイワクジャナイゾ、ウン」
もう今の雪ノ下のセリフで思考が完全に崩壊した。
おいもうどうなってもしらんぞ、俺が暴走したら誰か止めてくれよマジで。
八幡はどうする? 以下から多数決
�大人しく背中を流される �慌てて浴槽に飛び込む �むしろ自分が背中を流してあげる �脱衣所へ飛び出す
先に4票集まった選択肢で話が進みます。
雪ノ下「……じゃ、じゃあ前を向いてもらえるかしら比企谷くん。…………その、あまり身体をジロジロ見られるのは……、恥ずかしいのよ……っ」
雪ノ下が頬を紅潮させながら自分の身体を隠すような態勢を取る。
しかしそんな彼女に、「半裸で男の前に出てきて今更なにを言ってるんだこいつは」と、どこか冷静になってツッコミを入れるいる自分がいた。
比企谷「ア、アア、ワカッタ」
だが、現実の俺はもう思考を完全に放棄している。
もう流されるしかない、このビッグウェーブに。
俺はバスチェアに座り直し、暫し待つ。
すると俺のすぐ背後に人の気配を感じる、無論この人とは雪ノ下のことである。
比企谷「(……これで仮に、背後に立っているのが雪ノ下ではなく小町だったら、俺親父にバレたときに殺されるんだろうなぁ……)」
そう絶望していると、いくらか思考が回復してくる。
比企谷「(よーしいい調子だ、理性はまだ大丈夫だな。……だがマイソンよ、お前はダメだ。回復っつーか立ち上がるな、無心を貫け無心を…………!)」
心を落ち着かせる為に、俺は頭の中で般若心経を唱え始める。
比企谷「(……觀自在菩薩行深般若波羅蜜多時…………ヤッべ、こっから先がわかんねぇ……っ!)」
俺が内心慌てふためいていると、雪ノ下が浴槽から掬ったお湯を俺の背中にかける。
そしてそれと同時に、石鹸を泡立てるような音がする。
雪ノ下「……あ、比企谷くんは敏感肌かしら? もしあなたが敏感肌なら、ウォッシュタオルは使わずに手で直接洗うのだけど……」
↓3 雪ノ下からの確認 八幡はどっち? 以下から選択
�敏感肌 �敏感肌ではない
比企谷「あ、……えっと、俺は敏感肌だ。あんまり爪は立てないでもらいたい」
雪ノ下「そう、わかったわ」
……あれ、なんか普通に話せたぞ? ……ああ、雪ノ下がつっかえないで喋ったせいか、納得。
雪ノ下「……そ、それじゃあ、洗うわね」
そう言って、雪ノ下は俺の背中に優しく触れた。
小さく、細く、どこか儚げな印象を受ける彼女の手が俺の背後で忙しなく動く。
縦に横に、上に下に、右に左に、斜めに、時には楕円を描きながら、雪ノ下は手を動かすのを止めない。
雪ノ下「比企谷くん、どこか痒いところはあるかしら?」
比企谷「いや……、特にないな」
雪ノ下「……そう、痒いところがあったら遠慮無く言ってね」
比企谷「ああ」
それから五分間ほど、雪ノ下は俺の背中を洗い続けた。
最後に雪ノ下が俺の背中に再びお湯をかけて泡を流し、ようやく拷問にも似た俺の内から湧き上がる欲望との死闘が終わる。
比企谷「(……お、終わった。……なんとか勝ったが、最後の一分間はヤバかった……ッ)」
ちなみに最後の一分間は筆舌に尽くしがたい、というか俺の言葉では到底表現しきれない。
キーワードを出すと、『乱れる息遣い』『布越しに伝わる何か』『雪ノ下の温もり』。……最後が一番変態チックだが、雪ノ下の手のことだからな?
今>>357から読み直してきたけど、このゆきのんと八幡、もう新婚の空気が漂ってないか?www
比企谷「……っ、」
ズキンっと、頭に鈍い痛みが走る。 興奮して頭に血が登り過ぎたせいか。こりゃ早く上がらんとぶっ倒れるかもしれんな……。
俺は雪ノ下に礼を言って風呂からあがる。
当然その上がる瞬間、雪ノ下には目を瞑ってもらった。
なにせ俺はタオルを持っていないからな、終始内股してんのは大変だったぜ……っ。
扉を開けて俺は浴室から出て行く。
雪ノ下が準備してくれたのか、俺の制服のそばには一枚のバスタオルと、……………雪ノ下の着替えが置いてあった。
比企谷「——ッ!」
俺は慌てて目を逸らす。……逸らして再びちらっと見る。
それは凄く見覚えのある薄いライムグリーンの下着だった。
……というか、俺が二人の着替えを覗いてしまった際に雪ノ下が穿いていた下着だった。
比企谷「(……不用心すぎんだろ雪ノ下……)」
俺は額に手を当て頭を悩ませる。
ちなみに俺はいまだに全裸なので、はたから見たら考える人に見える——って、あの像が手を当ててんの顎だったな……。
とりあえず俺は間違いを起こさないようにすばやく着替えて脱衣所を出る。
こんな所にいられるか、俺は出て行くからなッ! おいそれ死亡フラグ。
俺が脱衣所から出ると、突然室内に上等な楽器じみた音が鳴り響いた。 ……なんだっけこの音? ——ああ、呼び鈴だ。
比企谷「…………………呼び鈴、だと……?」
突如鳴り響く呼び鈴、その正体は? 以下より多数決
�来客(選択された場合再安価) �機械の接触不良による誤作動
先に3票集まった選択肢で進みます。
>>740さん それは自分もひしひし感じております。ああ、甘ったるい新婚ほやほやの夫婦だなぁと。
というか皆さんゆきのんのこと好き過ぎですよ! 他のヒロインを出そうとしても出せないじゃないですかぁ……。
↓4 来客は誰?
鳴り響いた呼び鈴は、現在も継続している。どうやら連続プッシュしているようだ……うぜぇ。
……しかし、ここはどうすればいいのだろう。
家主である雪ノ下は入浴中、そして俺はただのお客さんだ。勝手に来客の対応にあたってはいけない。
ひとまず俺はインターフォンを見に行くことにした。
インターフォンが備え付けられたリビングへ戻り、受話器の隣にある画面を見て俺は驚愕する。
……いや、驚愕するのはおかしいな。
だってこの人は、雪ノ下の姉なのだから。彼女がこの家を訪れてきてもなんらおかしくはない。
陽乃『雪乃ちゃーん、お姉ちゃんが遊びにきたよー♪』
画面の中で両手を大きく振るのは、雪ノ下の姉である雪ノ下陽乃。
雪ノ下以上の完璧超人が、強襲する。
気がつけば残り四分の一のレスでこのスレが埋まるのか……。
こんなに早くスレが埋まるのはSS書いてて初めてです。
とりあえず区切りがついたというか、これがアニメなら次回予告とか流れだしそうな感じがするんで、いちおう皆さんに聞いておきますね。
以下より多数決 先に4票集まった選択肢で主人公を決めます。
�八幡で続き �海老名さんでニューゲーム
……どうする? 先程も言った通り家主の雪ノ下は入浴中で、俺はただのお客さんだ。
陽乃さんとペアを組んだら相性ピッタリの小町は熟睡。
動けるのは、俺しかいない。
↓3 八幡はどうする? 以下より選択
�インターフォンに出る �無視を貫く(のちに判定安価あり)
陽乃『あれー、おっかしいなぁ。雪乃ちゃんの部屋の電気、外から見たらついてたからいるハズなんだけどなぁ』
陽乃『あ、そういえば合鍵があったっけ』
そう言って陽乃さんはバックから鍵を取り出し、鍵穴に差し込む。
直下判定 扉は……
コンマ以下が奇数の場合は扉が開く コンマ以下が偶数の場合は開かない(雪ノ下が鍵穴を変えていた)
皆さんのコメントが自分の執筆する力の源になってます、本当にありがとうございます。
玄関の方からがちゃがちゃと鍵を開くような硬質な音がする。
そしてその数秒後、扉が開く音と共に明るい声音が聞こえてきた。
陽乃「雪乃ちゃーん、勝手にお邪魔しちゃったけど勘弁してねー……って、あれ?」
陽乃「……見知らない靴が二足……。……一足は女の子で、もう一足は隼人の靴——じゃない、これは——」
すると玄関の方から、なにやら慌ただしくどたどたと床を蹴る音が連続する。
陽乃「もー、雪乃ちゃんも隅に置けないなぁ。やっはろー比企谷くん」
比企谷「……どうも」
そう言いながらリビングへ姿を表したのは陽乃さんだ。
雪ノ下とよく似た容姿をしながらも、その性格は彼女とは正反対と言ってもいい。
雪ノ下は冷静沈着、陽乃さんは温厚篤実……であるのは彼女の年季の入った仮面の効果なのだが、大半の人はそう彼女らを捉えるだろうから、それでも別に問題はない。
陽乃「比企谷くんノリ悪い〜」
比企谷「や、すんません。俺そういうノリちょっとよくわかんないんで……」
陽乃さんは屈託のない笑顔を顔に貼り付けて俺に話しかけてくるが、俺は低姿勢で話しかけるなオーラを放出する。
この人のペースに飲まれたら、いくら孤独な道を歩み続けた百戦錬磨のぼっちである俺でも容易く主導権を握られる。
それだけは、絶対に避けたい。
陽乃「ねぇねぇ、ところでなんで比企谷くんが雪乃ちゃんの家にいるのかな? 良い子はもう家に帰ってる時間だと思うけど?」
比企谷「そうですね、でもこの時間帯で良い子でもまだ家に帰らない子もいると思いますけどね」
陽乃「ふぅん、例えば?」
比企谷「そうですね、例えば学習塾に通ってる中学生とか高校生なんかは、普通にこの時間帯まで塾で勉強してますよ?」
陽乃「あははっ、なるほどね。やっぱりきみは考え方が捻くれてるなぁ」
比企谷「……褒め言葉として受け取っておきます」
↓3 八幡はどうする? (別の人物の行動でも可)
陽乃「別に褒めたつもりはないんだけどなぁ……。まあいっか」
陽乃「……と こ ろ で、」
陽乃さんは言葉を一度区切って俺に近づいてくる。
俺は思わず後ろへと後退するが、すぐ後ろには小町が寝ているソファがあってこれ以上下がる事ができない。
彼女は俺と触れ合う距離まで接近し、右手を伸ばす。
比企谷「(だからこの人はいちいち距離が近いんだってば……!)」
そんな事を胸中で訴えても、勿論陽乃さんに届くはずがない。 ……いや、笑ったぞ? なにこの人エスパー?
動揺している俺を見て面白がっているのか、口角を吊り上げながら陽乃さんの伸ばした右手は、俺の髪を優しく撫でる。
陽乃「なんで比企谷くんの髪はそんなに濡れてるのか、わたし気になるなぁ」
比企谷「……っ」
……言えない、雪ノ下と風呂に入って背中まで流されたなんて絶対に言えない、言ったらおそらく多方面から殺される。
陽乃「ねぇ、なんで髪が濡れてるの?」
比企谷「黙秘権を行使します」
陽乃「えー、なんでよ教えてくれてもいいじゃない」
比企谷「それをあなたに教えて俺にメリットがあるのなら話してもいいです」
陽乃「じゃあ抱きついちゃおっと♪」
比企谷「ッ!?」
そう楽しそうな声音で宣言するやいなや、陽乃さんは俺に抱きついてきた。
陽乃さんの顎は俺の肩に、両手は俺を逃がさないように背後からがっちりホールド。
彼女の数ある魅力の一つ——いや正確に言うなら二つの半球状のアレが、俺の肋骨辺りに押し付けられる。 ……ああ、これアカンやつや。
突然抱きつかれたことにより宙を彷徨っていた俺の両腕が、陽乃さんの背中へ回ろうとする。
比企谷「(ぐ、……ぐぬぬぬ……!)」
……が、それをなんとか必死に自制する。
もうやめて、八幡のライフ(精神力)はもうゼロなのよ!? たぶんこれ以上はもうもたない。
だがそんなことはお構いなしに、傍若無人な陽乃さんは手を休めることなく俺にとどめを刺しにくる。
陽乃「…………もし教えてくれるなら、これよりもっとスゴイことしてあげるのになぁ」
耳元でそう囁く陽乃さんの甘い誘惑に、俺の脳は正常を保てなくなる。
『ああもういいや、手を出してしまえば楽になれる、こんなに必死に我慢する理由なんてないじゃないか』
そういう悪魔の囁きが俺の脳内で木霊し、俺は本能の赴くまま手を陽乃さんの背後に回そうとした所で、声を聴いた。
雪ノ下「…………姉さん、比企谷くんから離れて」
身も凍りそうなほど冷たい一声が俺の耳に届く。
声の発生源である廊下の方へ目を向けると、そこにはラフな姿の雪ノ下が立っていた。
慌てて飛び出したのだろうか、彼女の髪はまだ乾ききっておらず、床に水滴が滴り落ちている。
陽乃「……残念っ、あともう少しだったのになぁ」
そう言うと、陽乃さんはあっさりと俺から離れる。 ……た、助かったぁ……っ!
雪ノ下「姉さん、これはどういうことか説明してもらえるかしら?」
雪ノ下が陽乃さんへ向ける眼差しは冷たい。
絶対零度の凍てつく眼光が陽乃さんを捉えるが、彼女はそれを全く意に介さずにこう告げる。
陽乃「どういうこともなにも、わたしはただ比企谷くんとスキンシップをとっていただけだよ?」
雪ノ下「…………スキンシップ、ね」
陽乃「そうそう、スキンシップ♪ 雪乃ちゃんにもやってあげよっか?」
雪ノ下「虫酸が走るからやめて。姉さんに抱きつかれるくらいなら、まだそこでぬぼーっと立っている男に抱きつかれた方がマシよ」
陽乃「わ〜、雪乃ちゃんってばダイタン〜!」
雪ノ下「っ! ち、違……っ! ……わ、私はそういう意味で言ったのではなく例えばの話よ。そ、そう、姉さんと比企谷くんのうちどちらかに抱きつかなければいけない状況に陥った時、私は渋々嫌々やむを得ずやむなく不本意ながら不満ながら必要悪として彼を選ぶのよ」
陽乃「わぁ、照れてる照れてる。やっぱり可愛いなぁ雪乃ちゃん」
雪ノ下「……お願いだから帰って姉さん。ほんと、お願い」
陽乃「えー、どうしよっかなぁ」
陽乃「ねぇ、比企谷くんはどうしてほしい?」
……そこで俺に振るのかよ。
比企谷「俺はただの客なので、この家の家主の意向に従うだけです」
陽乃「へー、従順なのね比企谷くん。下僕の才能あるんじゃない?」
比企谷「褒めてない、褒めてないです陽乃さん」
陽乃「うん知ってる。貶してみたの♪」
……ほんと帰ってくんねぇかなぁ、この人。
↓3 どうやって陽乃を追い返す?
>>788さん かなりハードル高いんですが……くぐっちゃダメですかね?
いや、頑張るか……。
ちょっと時間下さい、頑張ってきます。
陽乃「あ、そうだ雪乃ちゃん。ちょっとお風呂借りてもいいかな? いいよね。うん、そうする」
陽乃「ちょ、ちょっと姉さん勝手に……!」
陽乃さんは雪ノ下の呼び止めを無視して脱衣所へと向かう。
慌ててその背中を雪ノ下が追うが、バタンと扉が閉まる音と同時にガチャッと鍵が閉まる音が聞こえた。
どうやら風呂場に籠城されてしまったようだ。
雪ノ下「……まったく姉さんは……っ」
とぼとぼとリビングに戻ってきた雪ノ下は、額に手を当てて力なく首を左右に振る。
呆れてものが言えないのか、彼女は大きな溜め息をつく。
比企谷「……お前も大変だな、あんな姉をもつと」
雪ノ下「ええ、まったくよ」
比企谷「なんか居心地悪いし早く帰ってくんねぇかなぁ。……いや、俺が家に帰ればいい話なんだけどよ」
時計を見ると、すでに午後の10時を過ぎている。
千葉県の条例で、未成年は午後11時以降の外出が禁止されている。 ……今ならギリギリ家に帰れる時間だが……。
雪ノ下「待って比企谷くん、私をあの姉と同じ空間に置き去りにしないで」
俺が帰宅願望を出すと、雪ノ下が俺の上着の袖の部分を掴んで懇願する。
……お前は本当にさらっと酷いこと言うよな、それ俺が言われたら泣く自信があるぞ。
思い返せば3年前、放課後の教室で俺が帰りの準備を……いや、よそう、今はトラウマ掘り返している場合じゃねぇ。
比企谷「……とは言ってもなぁ。陽乃さんを追い返す手段がないのが現状、これをどうすればいいのかなんて俺にはわからねぇぞ?」
雪ノ下「そう……なのよね。姉さんがここまで強引に私の家に入ってくるのは今までなかったから、私も対処法がわからないのよ」
比企谷「ん? 『強引に入ってくることはなかった』ってことは、これまでに陽乃さんは何回かこの家にやってきてるのか?」
雪ノ下「ええ、そうね。……たしか今年の6月中旬に1回、9月上旬に2回の通算3回だったわ。……はやく家の鍵穴を替えなければ……」
顎に手をあてぶつぶつと呟く雪ノ下。
……とりあえずお前、髪ちゃんとふこうぜ。床に滴り落ちてるから、ぽたぽた垂れてるから、ぽたぽた焼って美味しいよな!
とりあえずはるのんを追いやることには成功。 ……こっからどうやって甘い展開にもってきゃいいのよ……。
助けてはちえも〜ん!
今もしかしてゆきのんノーブラですか?
気分転換にご飯を食べてました。 でもまったく思い浮かばない……。
>>786さん とりあえずラフな格好とだけ言っておきます。 あとはご想像にお任せします。
だが頑張る、諦めないぞ!
比企谷「……なぁ雪ノ下」
雪ノ下「なにかしら」
比企谷「お前、髪拭かなくていいのか?」
雪ノ下「髪? …………あ」
俺に指摘されて雪ノ下は自分の髪に触れると、ようやく自身の髪が濡れたままだという事実に気がつく。 ……え、お前気がついてなかったの?
雪ノ下「……た、タオルを持ってこなければ……っ」
雪ノ下は俯きながら小走りでリビングを出て行く。
そして待つこと数十秒、頭にタオルを被せた雪ノ下が戻ってくる。
雪ノ下「……ね、ねぇ比企谷くん」
比企谷「ん? どうした雪ノ下」
雪ノ下「……その、……わ、私の髪を拭いてもらえないかしら? いつもは脱衣所に置いてあるドライヤーを使っているのだけれど、今は脱衣所が……」
比企谷「ああ、陽乃さんに籠城されてるから取りに行けないのか」
もういっそのことあそこに陽乃さんを閉じ込めておけば万事解決なのではないだろうか。
陽乃さんが空腹になるまで閉じ込めて、飢えて弱った所で家から追い出す……なんて素晴らしい妙案なんだ!
……でもあとが怖いし、なにより時間がかかるからやっぱこの計画はなしの方向で。
雪ノ下「…………お願いできるかしら?」
比企谷「りょーかい、じゃあ」
↓3 どこで髪を拭く? 以下より選択
�近くのソファ �八幡の膝の上
比企谷「俺の膝の上に座ってくれるか? 小町が小さい頃はよくそうやって髪を拭いてやってたからさ」
雪ノ下「え、ええ。……わかったわ」
俺は近くの椅子に座り、その膝の上に雪ノ下を座らせる。
目の前に広がるのは、彼女の長く艷やかな黒髪。
膝の上には雪ノ下の重みとぬくもりを感じる。
名前は『雪』乃だが、その名前とは裏腹に彼女の体温は高い。
冬場とか暖かそうだな、『ゆきのん』って名前のホッカイロ開発はよ。そして『はるのん』とセット販売希望。
そんなどうでもいいことを考えながら、俺は雪ノ下の頭の上に乗ったタオルを両手で掴む。
比企谷「じゃあ拭いてくぞー」
雪ノ下「……、」
雪ノ下が無言で頷き、彼女のヘアケアが始まる。
まずタオルを優しく頭皮に押して余計な水分を拭き取る。
これをしないと髪の毛が傷つきやすくなるので、髪全体を一分間くらいかけて念入りに拭いていく。
それが終わったら今度は髪をタオルで挟んで、上から下へ一定の流れでポンポンと押さえながら水分を奪う。
そしてあとはこのポンポンを何度か繰り返す。 ……ポンポンポンポンポポポーン♪
雪ノ下「……比企谷くん? 今ここであなたの鳩尾へ肘打ちを喰らわせてもいいのよ?」
比企谷「す、スミマセンでした!」
あかん、調子に乗ってやってたら振り返りざまに睨まれた。 ……おっかねぇ……っ。
すみません遅くなりました、再開します。 あと甘いの無理でした、すみませんハードルくぐります。
その後も数分ほど雪ノ下の髪を拭いていると、すぐそばのソファで寝ていた小町が起き上がる。
小町「……お兄ちゃん、トイレどこ〜……?」
比企谷「なんで雪ノ下の家なのに雪ノ下に聞かねぇんだよ……。トイレならこのリビングを出た左奥の扉だよ」
小町「……ん〜、わかった〜……」
片目をゴシゴシ擦りながら小町はリビングから出て行く。 ……寝ぼけ眼で玄関まで行って扉に頭ぶつけなきゃいいけど……。
雪ノ下「……比企谷くん、そろそろ」
ふらふらと歩いていった小町の心配をしていると、膝の上に座っている雪ノ下が前を向いたまま俺に話しかけてくる。
……うん、もう髪を拭くのは充分だな。
比企谷「ああ、あとはタオルで髪を纏めておいて、脱衣所が開放されたらドライヤーで乾かせば大丈夫だぞ」
雪ノ下「それは知ってるわよ、私が毎日やっていることだもの。……そうではなくて」
比企谷「?」
雪ノ下「……私が実家にいた頃の話だけれど、姉さんはお風呂から上がるのが早いのよ。大体20分位で上がっていたわ」
雪ノ下「だから、そろそろ対策を練らないと時間がな」
雪ノ下が言葉の続きを語ろうとしたその直後だった。
陽乃「雪乃ちゃーん、わたしの身体を拭くタオルは——ってあれ? 小町ちゃん?」
小町「……むぅ? ……その声は……陽乃さん? …………いや、お義姉ちゃん?」
小悪魔と悪魔の邂逅である。
比企谷「雪ノ下、俺急用思い出した」
雪ノ下「ダメよ比企谷くん、逃がさないわ」
比企谷「ど、どけ雪ノ下! 俺には帰りを待っているカマクラというペットが!」
雪ノ下「いいえ、絶対にどかないわ。一緒に地獄に堕ちましょう比企谷くん」
比企谷「重い! お前は軽いけど発言が重いぞ雪ノ下ッ!」
↓3 八幡はどうする?
雪ノ下「そんなに逃げたいのなら、私を抱きかかえて逃げればいいじゃない。……まぁ、ひきこもりのあなたには無理でしょうけど」
比企谷「……っ。雪ノ下、…………その発言したこと、後悔すんなよ」
雪ノ下「え……? なにかしら比企谷く——ひゃぅっ!?」
俺は両腕に力を込めて雪ノ下を抱きかかえながら、両足へ全体重を踏み込み立ち上がる。
俗にいうお姫様だっこをして立つ俺は、さながら一国の姫を救出しに現れた王子様である。……自分で言うのもなんだが、こんな目の腐った王子様いねぇよ。
雪ノ下「え、ちょ、ちょっと比企谷くん!? ……ま、待って、さっきのは——!」
比企谷「喋るな雪ノ下。今から玄関へ向けて走るから、喋ってると舌噛むぞ」
雪ノ下「……っ」
俺は雪ノ下を抱きかかえて玄関へと走る。
だがその途中には、小町と脱衣所から顔だけ覗かせた陽乃さんがいる。
小町「お兄ちゃん、ストップ! こっから先は小町が通さないよ!」
陽乃「あれ〜? 比企谷くんって見かけによらず力持ち? それとも雪乃ちゃんが軽いだけ?」
両手両足を大の字に広げて立ち塞がる小町。その目は真剣そのものだが、口元がニヤニヤと歪んでいる。
一方陽乃さんは脱衣所から顔を出した状態。……顔だけしか出てないのってもしかして……っ。
雪ノ下「比企谷くん」
比企谷「痛っ!」
考えた事が雪ノ下にバレたのか、俺は彼女に首筋を噛まれる。……手が放せないからってそれはないだろ……っ!
↓3 八幡はどうする?
比企谷「……くっ、仕方ねぇ。雪ノ下、降ろすぞ」
俺は雪ノ下を床に降ろし、小町と相対する。
小町「さ〜てお兄ちゃん? 小町が寝ている間にあったことをすべて洗いざらい吐いてもらうから覚悟してよね〜♪」
小町がこちらへジリジリと歩み寄ってくる。
……しかし妹の扱いに慣れた俺から見れば小町は脅威とは程遠い存在なので、俺は余裕綽々な笑みを浮かべてこう答える。
比企谷「…………ハッ、だが断る!」
小町「っ!?」
俺は小町に飛びかかり動きを封じる。
そして俺は、男なら一度は言ってみたいセリフ第一位を口にする。
比企谷「雪ノ下、ここは俺に任せて先に行け!」
雪ノ下「どこに行けと言うのよ……」
雪ノ下に困惑顔で正論を返された。 ……もう少し夢見させてくれたっていいだろ……。
↓3 八幡はどうする?
比企谷「あー、そうだな。ちょっと家の外に出ててくんねぇか」
雪ノ下「……なぜかしら?」
比企谷「お前には聞かせられない話だから」
雪ノ下「——っ。……わ、わかったわ」
雪ノ下を家から一旦追い出し、俺は小町から離れる。
小町「およ? なにやらいつになく真剣な表情してるねお兄ちゃん」
比企谷「ああ、ここはちょっと俺も誠意を見せなきゃいけないところだからな」
陽乃「……驚いた、比企谷くんでもそんな誠実な目が出来るんだね」
比企谷「そりゃ、常時腐った目をしてるわけじゃないんで。俺が好きな漫画を読んでる時なんか、純真な子供のようなキラキラした目で読んでますから」
陽乃「へぇ、それも意外だなぁ」
小町「でも陽乃さん、兄がプリキュア見たあとは涙目なんで騙されたらダメですよ?」
陽乃「うん、それは想定内かな。それにその話はこの間小町ちゃんから聞いたしね」
小町「おっと、そういえばそうでしたね。小町ってばうっかり屋さんだなぁもう。てへっ☆」
比企谷「……もう土下座でもなんでもするんで帰って下さいお願いします……!」
ちくしょう、人のトラウマ穿り返してそんなに楽しいか!? あの打ち上げでのみんなのドン引きは一生忘れない……ッ!
陽乃「…………なんでも? ……ふぅん、なんでもかぁ」
陽乃さんが嗜虐的な微笑みを浮かべる。……しまった、致命的な発言ミスだぞこれ……!
陽乃が八幡に要求するのは? 以下から多数決
�わたしのことを『陽乃』と呼び捨てにすること �雪ノ下のことを名前で呼ぶこと �その他(選択された場合再安価で内容決め)
先に3票集まった選択肢で進みます。
陽乃「じゃあさ、比企谷くんは雪乃ちゃんのことを『雪ノ下』っていう他人行儀な呼び方じゃなくて、ちゃんと『雪乃』っていう名前で呼んであげてね♪」
比企谷「…………へ?」
比企谷「……そ、それだけでいいんですか?」
陽乃「ん? ……なになに比企谷くん、もしかしてわたしがもっと酷い命令するかと思ってたの?」
比企谷「……っ、ええ、まぁ」
俺は一瞬嘘をつこうと考えたが、この人の前では意味がないことを悟り正直に話す。
それが不満に思ったのか、陽乃さんは頬を膨らませて抗議の声をあげる。
陽乃「比企谷くんひど〜い! わたしが雪乃ちゃんのお気に入りである比企谷くんに手を出すわけがないでしょ?」
比企谷「……そう言う割には、俺あなたから結構精神的にキツイの何回か喰らってるんですけど?」
陽乃「それは精神だからノーカンノーカン♪」
陽乃「それにわたし、比企谷くんの肉体には手を出すつもりはないから安心していいよ」
比企谷「……つまりそれは、これからも精神への攻撃は続くと言いたいんですね、わかります」
陽乃「うん、そうだね♪」
そう言って、これでもかというくらい底抜けな明るい笑顔を俺に向ける陽乃さん。
……これが仮面じゃなきゃ可愛いんだけどなぁ。
その後、風呂に入ってさっぱりしたのか、陽乃さんは驚くほどすんなりと帰って行った。 ……俺達の気苦労は一体……。
↓3 このあとはそうする?
訂正
↓3 このあとはどうする?
すみません、昼寝のつもりだったのが熟睡してしまいこんな時間に……。 とりあえず再開します。
小町「それじゃあお兄ちゃんは早く雪乃さんを呼んできてよ。——あ、ちゃんと名前で呼ばないと陽乃さんに報告しちゃうからね〜」
比企谷「……、へいへい」
陽乃さんの命令で、俺は雪ノ下の事を苗字ではなく名前で呼ばなければいけなくなってしまった。
そして小町がそれをちゃんと俺が実行しているかを確認する監視員。 ……ちゃんと実行していないとさらに陽乃さんから命令が下されるそうだ、……くっ。
俺は頭をガシガシと掻きながら玄関へと向かう。
そして扉を開けて雪ノ下——……雪乃を出迎える。
比企谷「……お、おー、待たせたな。陽乃さんならついさっき帰ったぞ」
雪ノ下「……ええ、なぜか喜色満面の笑みを浮かべながら帰っていったわ。…………比企谷くん、あなた姉さんに何かしたの?」
比企谷「いや、……別になにも」
雪ノ下「……、ちゃんとこちらを向いて話して」
比企谷「や、ホントになにもなかったんだって」
雪ノ下「……、」
雪ノ下のジトッとした目がこちらに向けられる。……くっ、えっと、ここは——
比企谷「そ、そんなことよりテレビ見ようぜ雪乃! もうすぐ『白黒アンジャッシュ』やるからさ、な?」
雪ノ下「っ!? ……い、今…………な、ななな名前……っ」
比企谷「きょ、今日は『ディスティニーランド』特集なんだってよ! パンダのパンさ——んぐっ!?」
パンさんの名前を口にした直後、雪乃は物凄い勢いで家に戻ると、俺の手を引っ張ってずんずんリビングへと進んでいく。
雪ノ下「……は、早くそれを言いなさい比企谷くん」
比企谷「す、すまん……」
雪ノ下「……、」
比企谷「……雪乃?」
雪ノ下「っ!」
俺が名前で呼ぶと雪乃の歩く速度はさらに速くなる。
俺は手を引かれた状態なので雪乃の表情はよく分からないが、耳が真っ赤に染まっているのを見ると大体想像はつく。
……くそっ、こんなに照れると俺までなんか恥ずかしくなってくるじゃねぇか。
そのあとソファで三人並びながら『白黒アンジャッシュ』を見た。
パンダのパンさんの出番は30秒にも満たない短い時間だったが、雪ノ下はそれだけでも充分満足したようだった。
↓3 このあとはどうする?
比企谷「……さーて、このあとはどうする雪乃?」
雪ノ下「っ! ……、」
比企谷「……雪乃?」
雪ノ下「……っ、……な、なにかしら比企谷くん」
小町「(うわー、お兄ちゃん意外とエグい攻め方するなー)」
小町が俺を冷めた目で見てくるが、おそらく「お兄ちゃんエグい攻め方するなー」とか考えてんだろうなぁ。
……まあだからどうした? という話なんだが。
俺はただこう何度も意識して『雪乃』って呼ばないと、無意識の内に『雪ノ下』って呼びそうで怖いから言ってるだけであって他意はない。 ……断じて陽乃さんの命令が怖いからではない……ッ!
比企谷「いや、だからこのあとはどうするんだ雪乃?」
雪ノ下「……そ、そうね。とりあえず、その…………名前で呼ぶのは…………やめてほしいのだけれど」
比企谷「声が小さすぎて聞き取れねぇ。もう一度言ってくれ、雪乃」
雪ノ下「……っ、な、……名前で呼ぶのは……や、やめて、ほしいのだけれど……」
そう言って顔を俯かせる雪ノ下。 正面の顔はよく見えないが、頬と耳が紅く染まっているのは確認出来る。
……なんか俺がイジメてるみたいじゃねぇかオイ。
比企谷「……なんで? だってお前は雪乃だろ? 別にお前を名前で呼んだっておかしくないだろ。なぁ小町?」
小町「えー、そこで小町に話を振るのは小町的にポイント低いっていうか……。小町は無視して二人だけの世界に浸ってもらいたいっていうか……」
小町「まぁとりあえず、小町はおかしくないと思いますよ雪乃さん♪ なんなら雪乃さんも、兄を名前で呼んでみるのはどうですか?」
雪ノ下「っ! そ、それは…………」
↓3 雪ノ下はどうする?
雪ノ下「……や、やってみるわ」
小町「おお、さすが雪乃さん♪ お兄ちゃんはちょっかい出さないでよね!」
比企谷「はいはい、出さねぇよ」
小町は俺がこの場から移動しないように膝の上に座る。 ……おい小町、お前軽すぎ。もっと肉食え肉、脂肪分足りてねぇよいろんな意味で。
小町「それじゃあ雪乃さん、どうぞ!」
小町のフリに雪ノ下は無言の頷きで返す。
小町「……、」
比企谷「……、」
雪ノ下「……、」
そして訪れる暫しの沈黙。
リビングの壁に掛けられた時計の秒針が動く音だけが、この静寂から逃げ出していた。
そして今更ながら、俺もこの空間から逃げたくなってきた。
……おい、よくよく考えてみたら俺女子から名前で呼ばれたこと一度もねぇよ。
学校では苗字だったり『ヒッキー』とか『ヒキタニくん』とか『一年の比企谷さんのお兄さん』とか『そこの』とか、…………ああ、思い出したくないあだ名まで思い出しちまったじゃねぇかッ!
過去のトラウマを振り払おうと頭を抱えたくなったが、この静謐を崩す勇気は俺にはなく、ただじっと身構えて雪ノ下の……じゃなかった、雪乃の動きを待つ。
さらに数秒待って、雪乃が突然意を決したようにソファから立ち上がって俺を見下ろす。
よほど俺の名前を出すのが恥ずかしいのか、雪乃の顔は真っ赤だ。
口を酸欠の魚のようにパクパクと何度か開閉して、ようやく雪乃は声を発する。
雪ノ下「……は、……は、は、はち、…………はち、はちまんっ!」
そう言い放つと、雪乃は糸の切れた操り人形のようにパタリと床へ倒れる。 ……そんなになるまで無茶すんじゃねぇよ。
小町「お疲れ様です雪乃さん! さぁさぁお兄ちゃん感想は!?」
膝の上に座った小町は、右手を握り拳にして俺に突き出し催促する。 感想って言われてもなぁ……。
比企谷「……まぁ、その、なんだ。…………すげぇ恥ずかしいから、名前で呼ぶのはコレっきりにしてもらえると助かる」
小町「ちょ、ちょっとお兄ちゃん! そこは『もう一回呼んでくれ、雪乃』とかなんとか言わなきゃダメでしょ!」
比企谷「……ふっ、残念だったな。そもそも俺を『八幡』と呼んでいいのは家族か戸塚、……非情に遺憾ながら材木座だけなんだよ!」
小町「そっか、じゃあお兄ちゃんと雪乃さんが結婚すれば問題ないね♪」
比企谷・雪ノ下「「ッ!?」」
小町の爆弾発言に、俺と雪乃は揃って盛大に咽せる。 ……小町お前気が早すぎるわ! つーかまだ付き合ってすらねぇからな俺と雪乃は!?
……あーんされたり風呂一緒に入ったり髪拭いたり、今日だけで散々バカップルみてぇな真似をしてきたが、まだ付き合ってない! もう一度言うぞ、付き合ってない!! 大事なことなので二回言いました、まる。
そのあとは三人で他愛ない雑談を繰り返している内に、気がつけば日付が変わっていた。
そろそろ寝ないと明日……じゃねぇ今日か、今日の学校生活に支障をきたす恐れがあるので、俺達は早めに寝ることにした。
俺はソファで、小町は雪乃の部屋で一緒に寝るそうだ。 ……小町の寝相ってどうだったかな、あんまりよくなかった気がするが……。
そんな事を考えながら俺はソファで横になってると、雪乃がタオルケットを持ってきてくれた。
どうやらこれを掛け布団に使えということらしい。
タオルケットを俺に渡すと、雪乃はリビングから出て行くその去り際、こちら側へ半身を向けて俺に告げた。
雪ノ下「それじゃあ比企谷くん、おやすみなさい」
比企谷「ああ、おやすみ雪乃」
俺が名前を呼んでそう返すと、雪乃は早歩きになってリビングから出て行った。
比企谷「……さてと、俺も寝るかな」
そう一人で呟いて、俺は両目を閉じて眠りについた。 あしたはもっといい日になるよね、カマクラ! ……フンッ ……鼻で笑われた……。
あと一週間でアニメが始まりますね!
1クールしかないようですが、とりあえず円盤買って二期(にやるであろう)の文化祭へ希望を繋げる……!
ここ数日はあまり更新できずにすみません、漫画の新刊買い漁って読んだりしてたら時間がなくなって……。
まあそんな身の上話は置いておいて、とりあえず本編なんですが、八幡とゆきのんのターンはこれで終了でいいですか? それともまだ続けますか?
それじゃあ毎度恒例のこれで決めたいと思います。
ちなみに海老名さんが主人公として話を進め、終了した時点で第二回総選挙を行う予定です。
その際にこの八幡の話の続きを選ぶことも可能ですので、その点を考慮して選んでいただければ……。
以下より多数決 先に4票集まった選択肢で話を進行します。
�八幡視点で続き �海老名さんでニューゲーム
ゆきのんのターンはまだまだ続く! ガハマさんが息してないぞ……。
話がゆきのんのみだとアレなんで、裏で小町が暗躍してます(というかさせます)。 そのくだりはまたのちほど。
ガサゴソ……
比企谷「……、…………ん?」
ソファで寝ていた俺の耳が、近くでなにかが動く音を拾う。
↓3 音の正体は? 以下より選択。
�キッチンに立つ雪ノ下 �水を飲んでいる小町 �気にせずに寝る
比企谷「……誰だ?」
俺は音のした方へ声をかける。……まぁ選択肢としては雪乃か小町のどちらかなんだがな。
雪ノ下「……あら、ごめんなさい比企谷くん。どうやら起こしてしまったようね」
俺の声に反応したのは雪乃だった。
雪乃の声はキッチンの方から聞こえた。
薄暗闇で表情は見えないが、雪乃のシルエットは見て取れる。
比企谷「雪乃か。……まだ夜中だが、どうしたんだ?」
スマホで時間を確認すると表示された時刻は3時16分、まだ学校へ行くには、というか起きるのにも早すぎる時間だ。
雪ノ下「少し小腹が空いたのよ。……夕食は比企谷くんにほとんど食べさせてしまったから」
比企谷「……ああ、そういやそうだったな」
雪乃は夕食で俺へ自分の食事の大半を食べさせたんだ、そりゃ小腹も空くわな。
比企谷「何か作るのか?」
雪ノ下「いえ、比企谷くんを起こさないように飲み物で空腹を紛らわせようとしていたから、特にそんな予定は……」
比企谷「……ふーん、そうか」
↓3 八幡はどうする? 以下から選択
�雪乃に料理を振る舞う �俺も喉が乾いたから何かくれ �コンビニでも行くか?
比企谷「じゃあコンビニでも行くか? 俺もちょっと今日の朝飯買いたいし」
雪ノ下「こ、こん、こん…………こんび? ……比企谷くん、その、こんびって何かしら?」
比企谷「コンビじゃねぇよ、コンビニだ。……まさかお前、コンビニ知らねぇの?」
雪ノ下「……っ、そ、そんなわけないでしょう? 比企谷くんが知っていて私が知らないことなんてあるわけないじゃない。私はただ比企谷くんの知識力を試そうとしただけであって他意は「はいはい、知らねぇんだな」……、……知らないわよ」
俺の断言に恨めしく小さな声でそう呟く雪乃。
流石はこの近辺では有名な雪ノ下家のお嬢様、コンビニという庶民が通う店にはご縁がないらしい。
……そういやこいつ、ドリンクバーの使い方を知らなかったりとか結構一般常識が欠けてるんだよな。
よくそんなんで一人暮らしが出来るよなぁ。……誰か雪乃に一般常識教え込まねぇと、こいつそのうち悪徳商法に引っかかっちまうぞ?
比企谷「えーっとだな、コンビニは略さず言うと『コンビニエンスストア』だ。そこまで言えばお前なら分かるだろ?」
雪ノ下「……、年中無休で長時間の営業を行い、小規模な店舗において主に食品、日用雑貨など多数の品種を扱う形態の小売店のことね」
俺がコンビニの正式名称を話すと、そこはユキペディアさんの本領発揮、すらすらと意味を解説してくれる。
はやく略語にも対応するようにアップデートしろよ……。
雪ノ下「……なぜ最近の若者は何でも言葉を略すのかしら、非情に理解に苦しむわ」
比企谷「お前も最近の若者の部類に入ってるんだけどな……」
ちなみに俺は世俗に流されない時代の先を行くニュータイプのぼっちである。……早く時代が俺に追いつかねぇかなぁ。
比企谷「まあいいや、とりあえず行こうぜ」
そんなどうでもいいことを考えながら、俺はソファから起き上がる。
雪ノ下「わかったわ。……じゃあ少し準備するから、家の外で待っててもらえるかしら」
比企谷「りょーかい」
雪乃に気怠そうに返事をし、俺はブレザーは着ずに玄関へと向かう。
シャツ一枚では少し肌寒いが、『自分は総武高校生です』と主張する服を着たまま歩くつもりは毛頭ない。 ……だって千葉県の条例違反で補導されたくねぇし。
そして待つこと数分、雪乃が玄関から出てくる。
雪乃「それじゃあ行きましょうか」
比企谷「おう」
俺が先行し雪乃が少し後ろをついてくるような形で、俺達はマンション近くのコンビニへと向かう。
↓3 どこのコンビニへ向かう? 以下より選択 (内2つでとある人物に遭遇。一人は誕生日の月が関係、もう一人は家族を持たない者)
�セブン-イレブン �ローソン �ファミリーマート
【セブン-イレブン】
俺達はマンションから歩いて5分位の位置にあったセブンへ向かった。
店員「いらっしゃいませー!」
店の自動ドアが開き、俺達の入店と共に威勢のいい挨拶が飛んでくる。
こんな夜中に大声出すんじゃない、近所迷惑でしょうが! ……や、嘘ですすんません、こんな夜中まで社畜としてお疲れ様です。
比企谷「……えっと、一応説明しとくが、ここがコンビニの中でも最大手のセブン-イレブンな」
俺の説明を聞いているのかいないのか、コンビニ初来店の雪乃は、店内を興味深そうにキョロキョロと忙しなく視線を巡らせていた。
……おい、お前バイト先で職場の先輩に仕事を教えてもらわなかった時の俺かよ。
最初俺の存在感が薄くて店員だと思われなかったんだよなぁ、…………就職するなら忍者になるってばよ!
雪ノ下「……ここが、セブン-イレブン……」
雪ノ下「……ディスティニー作品とも数多くコラボしていたのはこの店だったのね……」
俺がそんな火影になるための人生設計を構築して3秒で瓦解させていると、隣で雪乃がなにやらブツブツと呟いていた。
触らぬ神に祟りなし。俺はそれをあえて突っ込まず、1つの提案をしてみせる。
比企谷「とりあえず俺はパン見てくるけど、お前はどうすんの?」
雪ノ下「……ブツブツ……」
比企谷「雪乃さーん? ちょっと聞いてらっしゃるー?」
呪詛のように言葉を呟き続ける雪乃の肩を軽く揺さぶって、俺は彼女を現実に引き戻す。
雪ノ下「——はっ! ……な、なにかしら比企谷くん」
比企谷「や、俺パン見てくるんだけどお前はど」
——うすんの? と言おうとした所で、俺の言葉は前方から飛んでくる声に打ち消された。
陽乃「あれー、雪乃ちゃんと比企谷くん? いやー、偶然っ! また会ったね♪」
まさかの2日連続エンカウント、俺達の目の前に陽乃さんが現れた。
↓3 八幡はどうする?
比企谷「……、」
雪ノ下「……、」
陽乃「偶然会えたのは嬉しいけど、夜遊びはダメじゃないかな未成年諸君? ほら、千葉県の条例ではまだ君たちが出歩いていい時間帯じゃないし」
……どうすっかなぁ、このまま無言貫いて他人のフリしてやり過ごすのが得策か?
俺は雪乃の方へ目線を向けると、同時に雪乃も俺を見ていた。
雪ノ下「(気にかけたらダメよ比企谷くん)」
比企谷「(やっぱガン無視すんのが得策だよなぁ)」
雪乃とアイコンタクトで陽乃さんの対処法を決定する。
よし、ガン無視でこう。 ムシムシいこうぜ! ……なんか虫の大行進みたいでキモいな……。
俺は陽乃さんを無視して横を通ろうとする——が、陽乃さんが俺の目の前に手を出してくる。
やべっ、このままだと——
直下判定 コンマ以下が偶数だと回避 コンマ以下が奇数だと直撃 ゾロ目の場合は直撃しその弾みで転倒し当たりどころが悪く気絶
比企谷「——っ」
当たる寸前で上体を捻り、なんとか回避に成功する。
……あっぶねぇ、こんな店の中で転んだりでもしたら赤っ恥かくところだったぜ……。
陽乃「おー、なかなかやるね比企谷くん。周りの空気は読めないけど攻撃は読めるのかなぁ?」
陽乃さんが口笛を吹いて俺を褒め……貶し……褒め貶した。
……嬉しくない、この人に褒められても嬉しくないけど、貶すのは俺の心に突き刺さるからほんとやめて。
俺はそのままパンのコーナーへ向かい、カレーパンとメロンパンを手に掴む。
レジに向かいつつ俺は雪乃の方へ振り返って見ると、雪乃は陽乃さんに捕まっていた——というか抱きつかれていた。
陽乃「なになに雪乃ちゃん、もしかして比企谷くんと真夜中のデートでもしてきたのかなぁ?」
雪ノ下「……、」
陽乃「その無言は肯定と受け取っていいの? それともそれ以上の事をヤッたとか……? きゃーっ!」
雪ノ下「……、」
絡み方が完全に酔っ払ったオッサンのそれだった。
というか陽乃さん、よく顔を見たら頬がほんのり桜色に染まっている。 ……酒飲んで呑まれたな。
俺は急いで買い物を済ませると、雪乃と陽乃さんの元へ駆け寄る。 ……ってか酒くさっ! なんでこの人こんなに酔っ払ってんの!?
雪ノ下は陽乃さんの服に染み付いた酒の匂いに辟易気味で、しかめっ面を浮かべている。 ……警察呼んだほうが早いか?
八幡はどうする? 以下より多数決
� 一度陽乃を雪乃から引き剥がし、雪乃の買い物を済ませる
� 強引に陽乃を引き剥がしてそのまま置いて帰る
� 陽乃を雪乃の家まで連れて行く
� その他(選択された際に再安価で内容決め)
先に4票集まった選択肢で先に進みます。
……いや、警察を呼ぶ前にやることがあったな。
そもそも俺達はここへ食べ物を買いに来たんだ、手ぶらで帰るわけにはいかない。
俺は意を決して二人の間に割って入ると、陽乃さんの両肩を押さえて雪乃を彼女から引き剥がす。
比企谷「雪乃、あとは俺に任せてお前は買い物を早く済ませろ」
雪ノ下「……え、ええ、任せるわね比企谷くん」
雪乃は小走りで買い物へ向かう。 ……さて、俺はその間この酔っ払いの相手をしなきゃいけねぇのか。
陽乃「もう、なにするのよ比企谷く〜ん」
とろんとした目で俺を睨みつけてくる陽乃さん。 ……ああもうダメだ、完全に目が座ってるこの人。
陽乃「姉妹水入らずで会話してたのにぃ〜」
酔いが回っているせいか、普段の何倍も甘い声で話しかけてくる陽乃さん。
あの一方的な絡みが会話ねぇ……、酔っ払いの考えはよくわからんな。
陽乃「……むぅ、……なんでそこまでわたしのことを頑なにシカトするのかなぁ?」
俺が何も言い返さない事に不満を感じたのか、陽乃さんの声に少し力がこもる。
陽乃「…………もう怒った〜っ! こうなったら腹いせにキスしてやる〜!」
比企谷「……は? ちょ、ちょっと待った陽乃さん、キャラ崩壊が激しすぎてもはや別人になってるんですけど!?」
酔いと怒りがフュージョンしてキス魔爆た——、ちょ、待って!
そんなふざけてる場合じゃなかった、ちょ、なにこの人力強すぎィ!
↓3 陽乃に襲われる八幡。 どうする? 以下より選択
�必死に抗う(のちに判定安価あり) �雪乃が割って入る �平塚先生登場 �その他(選択された際に再安価で内容決め)
迫り来る陽乃さんの唇から俺が必死に抗っていると、陽乃さんの顔が突然手で覆われた。
陽乃「へぶっ」
それにより間抜けな声を出す陽乃さん。
俺はその手が伸びてきた方へ視線を送ると、そこには氷の女王が立っていた。
雪ノ下「……姉さん、いい加減にして」
身も凍るような錯覚に陥るほどの冷たい声音が俺の鼓膜を揺さぶる。 ……久しぶりに聞いたなこの声、やっぱり怒らせると一番怖いな雪乃は……っ。
雪ノ下「比企谷くん、もう用は済んだわ。帰りましょう」
陽乃さんの顔を押さえながら、俺を彼女から引き剥がした雪乃の片手には小さなレジ袋が握られていた。
どうやら買い物は済んだらしい。
比企谷「え? ……で、でもいいのかよ、陽乃さんをこのまま放置して……?」
支えを失った陽乃さんは店の床にペタンと座り込んだ。
幸い店には深夜帯であるせいか客は俺達しかいなかったが、営業妨害もいいところである。
雪ノ下「この姉はもう成人なのだから放っておいても平気よ。 ……いいから帰るわよ、比企谷くん」
そう言って雪乃は早足で店から出て行く。
比企谷「え、あ、……っ」
俺は雪乃の背中を追うか、この場で陽乃さんの酔いが覚めるまで待つか逡巡していると、ズボンの裾が小さく引っ張られる。
比企谷「……?」
俺が足元へ視線を向けると、そこには片目を閉じて平謝りする陽乃さんがいた。
陽乃「いやー、ごめんね比企谷くん。まさかわたしも雪乃ちゃんがあんなに怒るとは思ってもなくてね」
テヘペロっと可愛らしく舌を出す陽乃さん。 ……おいさっきの演技かよ、逡巡した俺の時間返せ。
HEY!HEY!
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( ゜∀゜)ノ彡
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YO!YO!
从
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Σ びっくりするほどユートピア! て人__人_
Σ びっくりするほどユートピア! て
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比企谷「……陽乃さん、悪ノリがすぎます」
俺はそう言って彼女に右手を差し出した。
陽乃さんは左手で頭を軽く小突いて、右手で俺の手を握り返す。
俺は掴んだ手を離さないようにきつく握り、そのままぐいっと引っ張って彼女を立ち上がらせる。
陽乃「うん、ありがと比企谷くん♪」
比企谷「いえいえ、このまま座らせておくのはこの店に迷惑なだけなんで。ただそれだけですよ」
陽乃「もー、他人からの感謝の気持ちは素直に受け取りなさいっ!」
めっ! と、人差し指を俺に向けて注意する陽乃さん。
俺はそれを苦笑いで返して彼女に背中を向ける。
比企谷「それじゃあ俺はこの辺で」
陽乃「うん。じゃ、またね比企谷くん」
俺は後ろを振り返ることなく店から出る。
「…………雪乃ちゃんのこと、お願いね…………」
背後で小さく呟く声がしたが、俺は特に気にせず雪乃の後を追った。
雪乃に追いついた俺は彼女と一緒にマンションへと帰宅した。
俺は買ってきたメロンパンを半分だけ食べて、残りはまた後で食べることにした。
雪乃は買ってきたサンドウィッチを2個食べて自室へと戻っていった。
どうやらこのまま寝ずに夜明けまで勉強をするらしい。……雪乃の爪の垢を煎じて小町に飲ませてやりたいぜ、ホントに。
比企谷「……さて、俺はどうすっかな」
↓3 八幡はどうする? 以下より選択
�一人で勉強に励む �朝まで寝る �その他(選択された際に再安価で内容決め)
選択系の安価なのに選択されない……だと?
勉強するにしても授業中に出された課題は終わってるし、特にやることはない。
俺はソファの近くに置いてある自分の鞄の中身を見る。
そこには現代文の教科書に古文の問題集、そしてなんの手違いか数学IIの教科書が入っていた。
比企谷「……雪乃に勉強でも教えてもらうか? ……数学9点は流石にマズイしなぁ……」
しかし俺の進学する予定なのは私立文系の大学、数学は入試で使わないのでぶっちゃけ勉強する意味はない。
比企谷「……んー、どうすっかなぁ……」
再び俺が頭を悩ませてると、雪乃がリビングへ戻ってきた。
比企谷「……あれ、お前部屋で勉強するんじゃなかったのか?」
雪ノ下「ええ、勉強する予定ではあったのだけれど、自室では小町さんが寝ているから……」
そう話す雪乃は両手に筆箱と青チャートとノートを持っていた。
比企谷「ふーん、そっか」
なるほどね、部屋で寝ている小町を気にかけてこっちにきたわけだ——ってオイ、それ俺への迷惑は顧みてねぇじゃん。
……まぁ客が文句言える筋合いじゃねぇけど。
雪ノ下「だから、ここで勉強しても構わないかしら?」
雪乃は俺達が昨夕に食卓を囲んだテーブルの上に荷物を置いて俺に尋ねる。
お前は家主なんだからいちいち伺い立てる必要ねぇだろ……。
比企谷「ああ、別に構わねぇけど」
雪ノ下「そう、なら遠慮無く」
俺から律儀に了承をとり、雪乃は椅子に座って青チャートを開く。
……なんかガチモードに入って話しかけにくくなるが……
↓3 八幡はどうする? 以下から選択
�「やっぱちょっと待った雪乃、その前に俺に数学教えてくれ」
�「まぁ、頑張れ。俺は寝るからお前は気にせず勉学に励んでくれ」
比企谷「やっぱちょっと待った雪乃、その前に俺に数学教えてくれ」
雪ノ下「……、その発言はどういう風の吹き回しかしら?」
少し間を置いて雪乃が俺にその理由を訪ねてくる。……なんだろう、雪乃の発言がどことなく冷たい。
比企谷「そ、そう言われてもな……。……ほ、ほらアレだ雪乃、勉強ってのは他人にキチンと理解できるように教えることが出来れば、その内容は自身が完全に理解したという証明になるという話を聞いたことはないか?」
雪ノ下「ないわね。そもそもなぜ他人に時間を割かなければならないの? 時間の無駄じゃない、そんなことをするくらいなら個人で繰り返し学習しているほうが効率的よ」
比企谷「……デスヨネー」
ダメだ、なんか雪乃さんコンビニから帰ってきて以降妙に刺々しい。 ……もしかしてアレか? さっき俺が雪乃の後を追うのが遅かったから拗ねてんのか?
俺は雪乃の表情を伺う。
整った端正な顔立ち、長い睫毛にパッチリ開かれた黒い瞳、流れるような黒髪。……うん、普段通りの雪乃だ、なにもおかしな所はない。
雪ノ下「……なにかしら比企谷くん、私の顔になにかついているの?」
比企谷「いや、とても綺麗な顔してん…………ナンデモナイ」
あー、余計なこと言っちまったぞー、どーすんのコレ?
俺が若干遠い目をしながら部屋の隅に視線を飛ばしていると、雪乃がコホンと小さく咳払いをした。
表情を見ると、先程とは打って変わって真っ赤である。 ……チョロいなぁ、どっかのゴミカスワナビさん並にチョロいな雪乃……。
雪ノ下「……ど、どの分野が理解できないのかしら? あなたが望むのならば、私が直々に教えてあげないこともないのだけれど」
比企谷「お、おう。じゃあ三角関数の加法定理で」
雪ノ下「……加法定理ね、基礎からでいいのかしら? それとも二倍角の公式?」
比企谷「数学9点の俺なんで察して下さい……」
雪乃「……、わかったわ。それじゃあ教科書のP96を開いて。そこから解説を交えながら例題を解いていくわよ比企谷くん」
比企谷「うっす、お願いします」
そうして雪乃先生の特別授業は夜明けまで続いた。
現在の時刻は5時半過ぎ、太陽も東の空から顔を出し始めて夜明けを告げている。
比企谷「はぁー……疲れた」
俺はシャーペンをテーブルの上に置いて大きく伸びをする。凝り固まった筋肉がほぐれていく感覚が心地よい。
雪ノ下「それはこちらの台詞なのだけれど……」
そう恨めしく隣で呟く雪乃の表情は少し疲労の色が伺えた。 どうやら俺への説明がよほど苦痛だったらしい。
雪ノ下「まさか比企谷くんがこんなにも数学が出来なかったなんて……」
比企谷「……ぐぬっ、……悪かったな」
雪ノ下「……別にいいわよ、由比ヶ浜さんより教えるのは楽だったから」
比企谷「比較対象が由比ヶ浜かよ……」
たしか由比ヶ浜の数学のテストの点数は12点。 …………由比ヶ浜に負けてんのかよ俺……っ。
↓3 このあとはどうする? 以下より選択
�一度家に帰る �このまま登校時間まで過ごす
いっそのこと学校休みにしちまえばいいんじゃね
ほぼ徹夜で登校とか読んでるだけの俺まで辛くなってきたぞ
>>887さん >>569で由比ヶ浜にまた明日と会話しているので出来ないのです……。
雪ノ下「……あら、そろそろ朝食の時間ね。比企谷くん、なにか希望はあるかしら?」
比企谷「いや、特にはないぞ」
雪ノ下「そう。なら私は小町さんを起こしてくるわね」
そう言って雪乃はリビングから出て行った。
比企谷「……さてと、俺は」
↓3 八幡はどうする? 以下より選択
�顔を洗ってくる �朝食の準備をしておく �テレビを見て待つ �その他(選択された場合再安価で内容決め)
比企谷「顔でも洗うか」
俺はリビングを出て脱衣所へ向かう。
無駄に広い洗面台で顔を洗い、タオルがなかったのでシャツの袖で濡れた顔を拭いた。
そしてリビングに戻ると、眠そうな目でボケーっとしている小町がいた。
雪ノ下「小町さん、とても眠そうなのだけど……、彼女はいつも起床時刻が遅いのかしら?」
小町のすぐそばに立ってエプロンを付けている雪乃に疑問を投げかけられる。
俺はソファに座ってテレビをつけ、彼女の疑問に答える。
比企谷「ああ、基本俺の家族は起きるのは遅いぞ。両親は共働きで起きるのは早いが、休日はお昼前まで平気で寝てたりするし」
小町「……むー、……まだ小町……眠い……」
雪ノ下「そう。……でもそれにしては他に理由がありそうな気が……」
比企谷「ふーん。ま、寝る前に携帯使ってたからとかそんなんじゃねぇの? 深く考えるだけ時間の無駄だと思うぞ」
雪ノ下「そうかしら、……なら別にいいのだけれど」
腑に落ちないのか、顎に手を当てながら小首を傾げながらキッチンへと向かう雪乃。 心配し過ぎだろ……。
↓3 八幡はどうする?
比企谷「あ、俺も手伝うぞ雪乃」
キッチンに向かった雪乃の背中を慌てて俺も追う。
さっき数学教えてもらったし、一日お世話になったからこれくらいはやらないとな。
雪ノ下「そう? ならそこに食パンがあるから、トースターで焼いておいてもらえるかしら」
雪乃が近くの戸棚を指さす。
そこには八枚一組の食パンが入った袋とトースターが置いてあった。
比企谷「りょーかい」
俺はトースターの電源プラグを近くのコンセントに差し込みパンをセットする。
これであとは数分待っていれば出来上がる、……楽だな俺の仕事。
比企谷「他になにかすることはあるか?」
雪ノ下「そうね、……それじゃあ」
↓3 八幡が他にする仕事は? (ない場合はないでもよい)
雪ノ下「……い、今から作る朝食が美味しかったら、その……私の頭を撫でてもらえるかしら……?」
比企谷「は?」
雪ノ下「——っ、な、なんでもないわ!」
雪ノ下「……もう比企谷くんの仕事はないから、食パンが焼き上がるまで座って待っていてもらって構わないわ」
比企谷「へーい。……朝食が美味かったらお前の頭を撫でりゃいいんだな?」
雪ノ下「っ! ……聞こえたのならちゃんとそう言いなさい……」
雪乃の小言を聞きながら俺はキッチンから離れ、リビングのソファに腰掛けてパンが焼き上がるのを待つ。
そして待つこと数分、トースターが焼き上がりを告げるベル(?)を鳴らす。
俺は焼き上がったパンを取り出し、空いたトースターにもう一枚の食パンをセットする。 ……余熱があるからさっきよりは早く焼けるだろ。
焼きあがったパンは小皿に乗せ、俺はそれをテーブルへ運ぶ。
再び待つこと数分。三枚目のパンが焼き上がり、俺はそれを先程と同じように小皿に乗せてテーブルへ。
雪乃の様子を見ると、どうやらコンソメスープを作っているようだ。 コンソメの良い香りがこちらまで漂ってくる。……はっ、いかんいかん涎が……。
その後テレビを見ながら時間を潰していると、キッチンの方から声が掛けられる。
雪ノ下「比企谷くん、少し手伝ってもらいたいのだけれど」
比企谷「ああ、今行く」
俺はキッチンへ向かった。
雪乃がスープを容器に盛り分け、俺がそれを運ぶ。
調理と同時にお湯も沸かしていた雪乃は、紅茶を淹れてカップに注ぎ入れる。
雪ノ下「さあ、朝食にしましょう」
朝食の準備が整い俺と雪乃は椅子に座る。
ちなみに雪乃の席は昨日の晩と同じく俺の隣だ。
比企谷「おい小町ー、メシできたぞー」
小町「ん〜……、小町はあとで食べる〜……」
ソファで横になった小町から弱々しい声で返事が返ってくる。 ……ホントに大丈夫かこいつ?
雪ノ下「小町さん、どこか具合でも悪いの?」
小町「……いや〜、小町ただ眠いだけなんで〜……どうぞ二人は気にせずゆっくり食事しててくださ〜い……」
比企谷「ああ、大丈夫だ雪乃。いつもの小町だ」
雪ノ下「そ、そう? ならいいのだけれど……」
比企谷「そんじゃ小町もああ言ってることだし、遠慮なくいただこうぜ」
雪ノ下「そうね。出来れば冷める前に食べてもらいたかったのだけれど、眠いのなら仕方ないわね」
比企谷・雪ノ下「いただきます」」
合掌し一礼して俺は朝食を口へ運ぶ。 ……うん、やっぱ美味いな雪乃の料理は。
勉強出来て運動も出来て、料理も出来て家事も出来て基本何でも熟せるけど体力がない。
……一家に二台あれば最高だな、ローテーションを組めば完璧。
そんな事を考えながら咀嚼していると、雪乃に裾を小さく引っ張られる。
雪ノ下「……ど、どうかしら? 比企谷くんのお口に合っていればいいのだけれど……」
俯きながらチラチラとこちらを見上げてくる雪乃。
雪乃の顔が羞恥で朱色に染まるのはもうテンプレと化してきているのだが、それでもやはり慣れない。
この表情を見ていると、なぜか俺まで恥ずかしくなってくる。
比企谷「(……COOLだ、COOLになれ俺……。…………旦那ァ! アンタ最ッ高にCOOLだよ! ……これじゃ快楽殺人鬼じゃねぇか馬鹿野郎!)」
俺はセルフノリツッコミを脳内で繰り広げ、その後なんとか平常心を取り戻す。
比企谷「……ああ、美味いよ雪乃。出来る事なら毎日食いたいレベルだ」
落ち着き払った声で俺はそう言って、雪乃の頭を優しく撫でた。
雪ノ下「っ! …………ど、……どういたしまして……っ」
比企谷「じゃあ今度は俺がお前に手料理をごちそうしてやるよ。……まぁ期待せずに待っててくれ」
雪ノ下「……ええ、わかったわ。…………でも私は、『期待して』待ってるから」
比企谷「——ッ。……ヘンなプレッシャーかけんのやめろよ」
俺がそう言うと、雪乃は小さく笑った。
雪ノ下「あら、期待はされないよりされるほうが、適度な緊張感があっていいと思うのだけれど?」
比企谷「そう思ってんのはお前だけだ。期待が大きすぎるとそれに潰されることだってあるしな」
雪ノ下「それはあなたの心が弱いだけじゃないの……?」
比企谷「う、うっせ! 大半の現代人はそうなんだっつぅの!」
その後、俺は雪乃と『現代人』をテーマに置いて討論しながら朝食を続けた。
↓3 このあとはどうする?
ようやく眠りから覚醒した小町も交えて俺達3人は朝食を食べる。
それから、食べ終わった俺と雪乃は食器を片づけにキッチンへ。
小町は顔を洗いに洗面台へ向かった。
昨日は雪乃が食器を洗剤で洗っていたが、今日は俺が洗うことにした。
すすいだ瞬間キュキュっと落ちるのはCM上の演出であって、俺は丁寧に食器を洗う。
比企谷「ん、雪乃」
雪ノ下「はい」
泡を洗い流した食器を雪乃に手渡す。
それをなんどか繰り返し、洗い終えたスプーンを渡そうとしたときだった。
比企谷「ほい、これでラストっと」
雪乃「はい、お疲れ様比企谷く——っ」
渡したのがスプーンだったせいか、お互いの手が触れる。
水で冷えきった俺の手を、温かな雪乃の手が軽く握る。
比企谷「……、」
雪ノ下「……、」
雪乃と無言で見つめ合う。
それから数瞬後、雪乃がハッと我に返る。
雪ノ下「——あ、え、えっと、……ご、ごめんなさい」
比企谷「い、いや、べ、別に……」
お互い慌てて手を引っ込めてあらぬ方向へ視線を向ける。 心なしか、顔が熱い気がする。
小町「……うわー、ベタだねお兄ちゃんー」
その一部始終を見ていたのか、ジト目で小町が俺らに一言。
比企谷「(……ごもっともなんで何も言えねぇ)」
その後、学校の準備やらなにやらしている内に時刻は7時を過ぎた。
そろそろ登校してもいい頃合いだな。
↓3 八幡はどう登校する? 以下より選択
�雪乃と一緒に登校 �別々に登校
1
比企谷「……、それじゃあそろそろ学校行くか」
俺はブレザーを着て鞄を持ち玄関へ向かう。
玄関で靴を履き終えた直後、俺はあることを思い出す。
比企谷「……あれ? そういや小町、お前一度家に帰らねぇとダメじゃん」
よくよく考えてみれば、小町は一度家に帰って雪ノ下の家に来ている。
学校から直接来た俺とは異なり、自宅に戻らなければ学校へ直接行くことができない。
小町「あ、へーきへーき、バスに乗れば余裕で学校に間に合うから大丈夫だよお兄ちゃん」
小町「そーいうわけだから、バス代ちょうだいお兄ちゃん♪」
両手を差し出し俺へおねだりする小町。 ……くっ、仕方ねぇなぁ。
俺は財布からなけなしの野口さんを小町に渡す。
小町「わー! ありがとお兄ちゃん!」
それを受け取って仰々しく天に掲げて喜ぶ小町。
千円で笑顔になってくれるなら、マックでスマイル頼んだ方が安上がりだよなぁ……。
小町「あー、それとお兄ちゃん、今日はイロイロあると思うけど頑張ってね!」
比企谷「……は? なんだと? おい小町それどういう——」
小町「お邪魔しました雪乃さん、それじゃあ小町はこの辺で失礼します♪」
雪ノ下「ええ、気をつけて」
俺が言い終わる前に小町はダッシュで家から出て行った。
……イロイロあるってなんだよ、不吉な予言残してくんじゃねぇよ……。
雪ノ下「さて、私達も行きましょうか」
比企谷「……、りょーかい」
小町の発言が妙に気になりつつも、俺は雪乃と一緒に家を出た。
↓3 通学中に誰かと会う? 以下より選択
�会う(キャラ名指定) �会わない
【電車内】
比企谷「……しっかし電車通学の人は大変だな、いつもこんな人混みに周囲を囲まれながら登校すんのかよ」
雪乃のマンションを出て駅に向かい、そこから電車に乗り込んだ俺達を待ち受けていたのは大量の人だった。
現在扉付近で電車の壁に背中を預けている雪乃に、俺は壁ドンするような形で立っている。
雪ノ下「ええ、そうよ。……でも普段この時間帯はそんなに人は乗っていないのだけれどね」
比企谷「え、そうなのか?」
雪ノ下「比企谷くんはさっきのアナウンスを聞いていなかったの?」
比企谷「いや、全然」
雪ノ下「どうやら人身事故で電車が遅れているそうなのよ」
比企谷「ふぅん」
雪ノ下「それが原因で普段一本早い電車に乗っている社会人がこの電車に乗り合わせて、この人混みを生み出してるのね。…………まったく忌々しい……っ」
雪乃は額を押さえて重い溜息をひとつこぼす。
ぼっちの習性として、人混みは大の苦手である。
ただ人混みの隙間を縫うようにすいすい歩くのは意外に楽しい。
花火大会の日も楽しかったなぁ、人混みを縫って歩くの。
癖になってんだ。音殺して歩くの。
……だが、このように密集していたらそんな感情はちっとも湧いてこない。
それにさっきから俺の後ろに立つやつがちょくちょく俺の足を踏んづけてくるのだ。
まぁ電車だから踏んでしまうのは仕方のな——あ、また踏みやがった! いい加減にしろよこの野郎ッ!
俺は首だけ背後に回し、俺の黄金の左足を踏み続ける馬鹿の顔を見ようとする。
すると俺の視界が捉えたのは、俺のよく知る顔だった。
葉山「……あれ、ヒキタニくん?」
比企谷「……よお」
葉山隼人、校内でも随一の人気を誇る優男系モテ男、加えてカースト最高位に君臨する人間だった。
↓3 八幡はどうする?
俺は軽く頭を下げ、振り返るのをやめて正面を向く。
葉山は俺に何か話したがっているような素振りだったが、気にしない気にしない。
こいつと話すくらいなら雪乃と会話していた方が数百万倍マシである、たとえ雪乃に罵倒されてもな。
それに文化祭の一件以来、あんまり葉山と関わり持ちたくねぇし……。
とりあえず俺は雪乃に話しかける。
比企谷「なぁ雪乃」
雪ノ下「何かしら比企谷くん」
比企谷「お前って普段どんな曲聞いてんの? ほら、だいぶ前ファミレスでお前ヘッドホンかけながら勉強してたじゃん」
雪ノ下「……ああ、あの時ね」
雪ノ下「……そうね、普段はクラシック曲を聴いているわ。たとえばモーツァルトの『ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488』とかかしら」
比企谷「曲名言われてもぜんぜんわかんねぇ……」
雪ノ下「そう? ……な、なら一緒に聴く? ちょうど持ち合わせているのよ、……えっとたしかこの辺りに……」
そう言って雪乃は鞄から音楽再生プレイヤーとイヤホンを取り出す。
片方を自分の耳に嵌め、もう片方を俺へ差し出してくる。
比企谷「あ、ああ。……じゃあ聞いてみる」
俺はそれを受け取り自分の耳に嵌める。
雪乃「それじゃあ流すわね」
雪乃が音楽再生プレイヤーの再生ボタンを押す。
すると右耳から流れ出すオーケストラの演奏と軽快なピアノの伴奏。
それが交互に繰り返されていく単純だが、決して飽きない不思議な旋律。
……あ、いいなこ——痛ぇ! また踏みやがったなこのリア充(笑)!?
葉山「……、」
電車の揺れとは関係なく、今のは明確な意志が込められた足踏みだった。
つい最近まで俺は葉山のことを勉強運動性格ルックスよしの完璧超人だと思っていたが、どうもその仮面が最近剥がれてきているような気がする。
より正確に言うならば、人間味が出てきたってところか。
雪ノ下「……比企谷くん、どうかした?」
比企谷「いや、別になんでもねぇよ」
雪ノ下「そう」
その後なんども葉山に足を踏まれながら、俺達は総武高校の最寄り駅に到着した。
大量の人を駅に吐き出し、軽くなった電車は次の駅へと走り去っていく。
俺と雪乃は改札を抜け、駅の外へ出た。
↓3 八幡はどうする? 以下より選択
�雪乃と一緒に通学路を歩く �別々に通学路を歩く �その他(選択された際に再安価で内容決め)
今日はバイト休みなんで、このあと寝ないで進めていきます。このスレの最後までお付き合いしていただければ幸いです。
雪ノ下「……ねぇ比企谷くん、昨日の夜に私があなたに言ったこと、ちゃんと覚えてるかしら?」
比企谷「昨日の夜っていうと……」
脳裏に蘇る昨夜の記憶。
雪ノ下『あなたが出来ないと言った人を愛する行為を、私が可能にしてみせる。……そして私が、あなたに選ばれてみせるわ』
比企谷「……ああ、あれか。それがどうかしたのか?」
雪ノ下「どうしたも何も、私は有言実行する女よ。だから……」
雪乃は俺のすぐそばまで駆け寄ると、いきなり腕を組んだ。
雪ノ下「…………こ、これくらいはいい、……わよね?」
比企谷「ッ!」
ぎゅっと握られる俺の肘の部分に、柔らかな感触を感じる。 ……ああ、これが雪乃の楯状台地か。
「……おい、あれ雪ノ下雪乃じゃね?」
「なんか目の腐った男と腕を組んだぞ!?」
「雪乃様……なぜあのような男と……ッ」
「�7から�18まで伝達。至急あの男子生徒の素性を確認せよ」
「「「了解」」」
そして同時に周囲から浴びる痛いほどの視線。
……おい、今なんか特殊部隊みたいなのいなかったか? なに俺指名手配犯かなにかなの? ダンボールで身を隠して行動しなきゃダメになっちゃう?
雪ノ下「……い、行きましょう、比企谷くん」
比企谷「……お、おう」
雪乃が先行し、俺がその後を引っ張られるように続く。
比企谷「(……これ俺『学校に行く』んじゃなくで、『学校で逝く』になりそうなんだが……)」
そんな不安に心臓を握りつぶされながら、俺は学校までの道のりを雪乃と共に歩く。
幸い登校中に周囲から危害を加えられることもなく、俺達は無事に学校へ着いた。
↓3 八幡はどうする?
その後俺は、雪乃と腕を組んだまま彼女をJ組の教室まで送っていった。
雪ノ下「ここまでで大丈夫よ比企谷くん」
比企谷「あ、ああ」
というか、送らされた。 ……雪乃が組んできた腕が解けない解けない。
なんだっけな……、たしか合気道の肘極めとかそんな感じ。
雪ノ下「じゃあそろそろ……」
雪乃は名残惜しそうな表情を浮かべながらそう言って、俺の腕を解放する。
ようやく自由を取り戻した左腕の感覚を確かめるように、俺はグルグルと回そうとするがなかなか上手く腕が動かない。
……あれー? おかしいなー…………動かねぇ、痺れてんのか? ……痺れてんだよな……?
うんともすんとも言わない俺の左腕に疑問を抱きながら、俺は雪乃と別れてF組の教室へと向かった。
【2年F組】
教室にはまだほとんど生徒はいなかった。
俺は教室の真ん中に位置している自分の席に着く。
朝のSHRが始まるまでまだ時間があるな。
……さて、どうすっかな。
↓3 八幡はどうする? 以下より選択
�SHRが始まるまで寝て(寝たフリ)過ごす �誰かからメールが届く(送信者記載) �なぜか校内放送で職員室に呼び出される
俺が時間の潰し方を模索していると、突然教室内に備え付けられたスピーカーからピンポンパンポーンという軽快な音が流れる。
『生徒の呼び出しをする。2年F組の比企谷八幡、2年F組の比企谷八幡、至急職員室まで来なさい』
Q. 比企谷八幡くん、君は一体こんな朝っぱらから何をやらかしたんだい?
A. 学校一の美少女と腕を組んで登校しました。
……あーあ、同じ呼び出しなら校舎裏に呼び出しとかされたかったなぁ。 それで急接近されて財布の中身も迫られる、おいそれなんてカツアゲ?
そんなどうでもいいことを考えて現実逃避を図ろうとするが、先程放送していた声は結婚願望の高いアラサー女教師である。
逃げようものなら有無を言わさずに鉄拳制裁が下ること請け合い、逃げなくてもおそらく一発殴られる。……うわぁ、行きたくねぇ。
せんせー、最近生徒に手を上げると処罰が厳しくなったの知らないんすかー?
俺のこと一発殴っただけで先生クビっすよ? それでも殴るんすか? …………これ言うと責任とれとかなんとかで結婚迫られそうだから言うのはやめとこ……。
俺は重い足取りで職員室へと向かう。
比企谷「失礼しまーす……」
平塚「おお、比企谷。ちゃんと逃げずに来たな、感心感心」
職員室の扉を開けて中に入ると、そこで待っていたのは案の定平塚先生だった。
↓3 八幡はなぜ呼び出された? 以下より選択
�今朝の雪乃との登校について �文化祭の報告書の訂正について �その他(選択された際に再安価で内容決め)
比企谷「……で、俺なんで先生に呼び出されたんすか?」
俺は椅子に足を組んで座る平塚先生に尋ねる。 理由を聞かせてもらおうか理由を!
平塚「うむ、それはだな。君の今朝の行動があまりにも目に余る行為だからだ」
俺の疑問に平塚先生は至極真面目な顔で答える。 ……今朝って時間帯で言えばまだ今朝だが、たぶんアレのことだよな。
比企谷「今朝っていうと……、俺が雪乃と一緒に登校してきた事ですか? ……っていうか先生見てたのかよ」
平塚「ああ、その件だ。勿論バッチリ現場は押さえさせてもらったよ」
平塚「それにしても……、まさか君と雪ノ下が腕を組みながら登校するとはな。最初その光景を見た時は我が目を疑ったよ」
平塚「(昨日雪ノ下に比企谷のことを優しく見守るように言ったのだが、まさかそこまで関係を発展させてしまうとは……流石の私も想定外だったな)」
比企谷「……あー、それはその……。俺も雪乃に腕を組まれることは想定してなかったんですよね」
平塚「ふむ、そうなのか?」
比企谷「ええ、俺ってほらあんまり目立ちたくないというか、表舞台に出るのが苦手といいますか、とにかく衆目に晒されるのが嫌いなんですよ」
比企谷「だからただでさえ周囲の注目を集めている雪乃と腕組みなんてしたくなかったんですが、肘極められて身動きとれなくなっちゃったんで、なし崩し的にそうなったというか……」
平塚「……そうか」
平塚先生はそこでセブンスターを胸ポケットから取り出し、フィルターをとんとんと机に叩きつける。
葉を詰め終わるとライターで火をつけ一服。……毎度思うが職員室でタバコ吸っていいんだっけ?
平塚「ところで比企谷、先程から君の雪ノ下に対する呼称が苗字から名前になっているのだが、それはどういう心境の変化かな?」
ふぅっと煙を吐いて平塚先生が痛い所を突いてくる。 しまった、この人の前では雪ノ下って呼べばよかった……っ。
比企谷「ど、どういう心境の変化とか言われましても…………」
しかし後悔先に立たず、言ってしまったものは仕方がない。
俺は必死に言い訳を考えていると、それを見かねた平塚先生は破顔してこう言った。
平塚「いや、言いたくないなら言わないでいいんだ比企谷」
平塚「……ただ雪ノ下との関係を明らかにしないと、君に身の危険が及ぶ可能性があってだな……」
ボソッと小さくとんでもないことをさらっと呟く平塚先生。
比企谷「え、なにそれ怖い」
平塚「……それがだな、今朝から私は多数の生徒から相談を受けているんだ」
平塚「『好きな女性が目の腐った男に誑かされているのですがどうしたらいいですか?』とか『学校内で誰にも見つからない場所ってありますか? 出来れば人一人隠せるようなスペースがあると最高なんですが……』とか『比企谷八幡という男子生徒を社会的に抹殺したいのですが何をするのが最適でしょうか?』といった事をだな、それはもううんざりするほど……」
額に手を当てハァ…と重い溜息をこぼす平塚先生。
…………やべぇ、事態は想像以上に深刻だ。
このままだと俺、肉体的にも精神的にも社会的にも追い詰められて、学校を自主退学するしかなくなっちまう……ッ!
↓3 八幡はどうする?
比企谷「……こ、こんなところにいられるか!! 俺は奉仕部の部室に行かせてもらう!!」
平塚「なっ!? ま、待て比企谷まだ話は——!」
平塚先生の静止の声を振り切り、俺は職員室を飛び出し雪乃の元へ駆け出す。
もし平塚先生の言っていた事が本当なら、雪乃はおそらく多くの人間から質問攻めにあっているだろう。
いくら完璧主義者の雪乃といえど多勢に無勢、一人で捌ききれる量ではないはずだ。
俺は廊下を全力で駆け抜け、階段を二段飛ばしで進み、J組の教室に到着する。
そこには予想通りの展開が広がっていた。
「朝のあれはどういうことなんですか!?」
「あの目の腐った男がなぜ雪乃様と一緒にいらしたんですか!?」
「何か弱みでも握られているのですか!?」
雪ノ下「……っ」
雪乃の周囲を取り囲んでいるのはほとんどが女子だった。
普段あまり見かけない顔なので、おそらくJ組の女子生徒だろう。
「! お、おい、アレって……!」
すぐそばにいた野次馬の男子生徒が俺の存在に気が付き、それにつられるように教室内の視線が俺へ一斉に注がれる。
その視線の大半が猜疑や怪訝、侮蔑や嘲笑を含んだ粘着質な眼。
それに加えて学園祭での俺の行動を知っている人間もいるのか、怨恨や憤怒に満ちた視線を送る人間もいる。
だがその中で、1つだけ異なる視線を俺へ送る者がいた。
雪乃「比企谷くん……っ」
それは雪乃だった。
彼女は何かを期待するかのような目で俺を見ている。
比企谷「……っ!」
俺は雪乃の周囲を取り囲む人の群れへ強引に入っていき、雪乃の手を取って教室から一緒に逃げ出した。
向かう先は特別棟の四階にある奉仕部の部室。
ひとまずそこでほとぼりが冷めるまで時間を潰すのがいいだろう。
雪乃の手を引きながら奉仕部の部室に辿り着き、俺は空いている片方の手で扉を開ける。
——だがそこには、既に先客がいた。
由比ヶ浜「……うぅっ、……っ、……ぐすっ、……うぁ……っ」
肩までの茶髪に緩くウェーブを当てて、髪の一部分をお団子状に纏め上げている派手目な格好の女子生徒。
俺と雪乃と同じ奉仕部に所属していながらも、クラス内では上位カーストにいる彼女の名前は由比ヶ浜結衣。
そんな由比ヶ浜が、両頬に大粒の涙を流しながらそこに立っていた。
比企谷「……由比ヶ浜」
俺の呼びかけに由比ヶ浜はびくっと身震いしてこちらを見る。
由比ヶ浜の両目は真っ赤に染まっていた。
零した大量の涙のせいか、薄く塗られたメイクも少し落ちている。
由比ヶ浜「……っ、…………や、やっはろーヒッキー……っ。……それに、ゆきのんも……」
目元と両頬を自分の袖で拭きながら、由比ヶ浜は無理矢理笑みを作って俺達に挨拶をする。
その表情は見ているだけでとても居た堪れなく、胸が張り裂けそうなほど痛々しい。
由比ヶ浜「……や、やー、なんていうの……? なんか今日は二人とも、……朝から……腕組んで、登校してたって……友達が話してるの聞いて……っ」
由比ヶ浜「……最初はそんなの、ウソだって思ったんだけど……、その現場の写真を、撮った子がいたらしくて……っ。……そんで、あたしがそれを見た瞬間、…………なんか……急に、涙出てきちゃって……っ」
由比ヶ浜「……そのあと友達に心配かけないように、奉仕部の部室に来て……っ、…………一人で泣いてたら、ヒッキー達来ちゃって……、そんで…………っ」
由比ヶ浜は両手を硬く握り締めながら俯く。
垂れた前髪が由比ヶ浜の表情を隠し、彼女の顔に影を落とす。
比企谷「……もういい由比ヶ浜、それ以上喋るな」
もうこんな弱々しい由比ヶ浜は見ていられない。
天真爛漫な彼女に涙なんて似合わない。
なぜそんな彼女が涙を流さなければいけないのか。
その原因は俺にある。
俺が由比ヶ浜を助けたからだ。
俺が由比ヶ浜と関わったことで、彼女の人生のレールが切り替わってしまった。
俺と関わりを持たなければ、彼女はこんな痛みを伴うこともなかったのだ。
俺が悪い、すべて俺が悪いのだ。
俺の選んだ選択肢は間違っていた。
たとえ三年で卒業できなくなったとしても、あの場面で俺は平塚先生から逃げておくべきだった。
そうすれば、痛々しい勘違いも見当違いの自衛行動もやらずに済んだのだ。
間違っていた、間違っていた、間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた間違っていた。
俺の高校生活は、仄暗いモノクロームの世界のままでよかったのだ。
ラブコメなど無縁で、麗しき友情も不要で、誰にも知られることなく静穏に過ごすべきだった。
間違っている。
————やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
……すみません、この流れではもうバッドエンドしか思い浮かばなくてバッドエンドにしてしまいました。
とりあえず一区切りというかバッドエンドを迎えてしまったので、次の話に移りたいと思います。
次の主人公は女版八幡こと海老名さんです。 キャラ崩壊しないように気をつけて話を進めて行きますね。
では行きます。
海老名「んー暇だなぁ、なにしよっかな」
↓3 海老名はどうする?
海老名「あ、そうだ。超高校級の幸運と御曹司のBL同人本でも描こっかな♪」
私はパソコンを起動しSAIを開きペンタブを握る。
海老名「テーマは……うん、『苗十』♪」
キャンパスサイズ大きめに設定し、私は簡単なネームを描き始める。
海老名「……ぐ腐腐腐。苗木っちは総受けの要素も備えてるけど、無邪気な笑みで攻めるのもそそるんだよね♪」
涎が口の端から垂れてるのを自覚しながら、私はネームを描き進める。
海老名「びゃくやんも普段は高圧的な俺様キャラだけど、肝心な所で抜けてるところがまたミソ! 特に苗木っちに論破されたときの焦り顔が……っ、ご馳走様です♪」
溢れ出る涎を何度か拭いながら、私はネームを描き上げる。
海老名「……えっと、台詞は」
ネームを元に下書きを描きながら台詞を入れていく。
苗木『……ねぇ十神クン』
十神『なんだ苗木、俺は忙しいんだ。邪魔をするなら他所へ行け』
苗木『ま、待ってよ十神クン! 昨日の夜のことなんだけど……』
十神『ッ! ……苗木、俺はお前に昨夜見た事は忘れろと言ったはずだが?』
苗木『……で、でも昨日の十神クンのあんな姿を見て、忘れることなんて、ボクには出来ない……っ』
十神『……あれは何かの間違いだ。お前は何も見ていない』
十神『いいか? 昨夜の事は忘れろ。……もしくは俺が直々に忘れさせてやろうか?』
苗木『……無理だよ。十神クンには、ボクを快楽に溺れさせることなんて出来やしない』
十神『ほう? その根拠はなんだ苗木』
苗木『……根拠? ……うん、その根拠はね』
苗木『十神クンの模擬刀はサイズが小さすぎるんだよ! あんな脇差程度じゃボクの鞘は満足しないんだ!』
十神『ぐぬっ!?』
海老名「……ぐ腐腐、背が高いクセに小振りな模擬刀……。そのギャップにhshs!!」
そのあと数時間掛けて描き上げ、私はその作品をpixivにアップした。
そして数分も立たない内に『栗御飯とカメハメ波』さんからコメントが寄せられる。 ……いつもコメントが早いけど、暇人なのかなこの人?
海老名「……ふぅ、疲れた。ちょっと気分転換に外へ出掛けよっかなぁ」
↓3 海老名はどこへ向かう?
>>1は腐女子…?
安価は近くの公園
>>950さん 腐女子じゃありません、私はDKです。 ロンパネタはネットから必死こいて持って来ただけですのであしからず。
【とらのあな】
店員「いらっしゃいませー」
海老名「(えっと、ハイキューと黒バスの新刊は……あった!)」
私はバスを乗り継いでとらのあな千葉店へやって来た。
この千葉支店は千葉中央駅東口から歩いて1分という立地に建っているからか、休日の混み具合は半端じゃない。
現在も店の中は異様な熱気が立ち込めている。……エアコンちゃんと効いてるハズなんだけどなぁ……。
とりあえず私はその2冊を持ってレジに並ぶ。
海老名「(影山×日向と赤司×黒子が私のジャスティス! 原作はようやく赤司様のターンが回ってきたし、そろそろ黒バスの同人描いてみよっかなぁ)」
筆舌には尽くしがたいことをアレコレ妄想しながら会計を待つこと数分、ようやくレジが開く。
店員「二点で840円になります」
海老名「はい」
私は500円玉を二枚出し、お釣りの160円と商品を受け取って私は店を出る。
海老名「(……この間のコミケではあんまりビビッとくる作品がなかったからなぁ、500円が余ってしょうがないよ)」
パンパンに膨らんだ小銭入れに私は思わず溜め息をこぼす。
——ハッ! ……パンパンに膨らんだ袋……、これは使える……ッ! ぐ腐腐……。
↓3 このあとはどうする?
海老名「うーん、ちょっと喉が渇いたから近くの喫茶店に入ってコーヒーでも頼もう」
私はすぐ近くにあった喫茶店へ足を運んだ。
店員「いらっしゃいませ。お一人様でよろしいですか?」
海老名「はい」
店員「ではあちらのお席へどうぞ」
店員に窓際の二人掛けのテーブルを勧められ、私は椅子を引いてそこに座る。
店員「ご注文はお決まりでしょうか?」
海老名「えっと、アイスコーヒーを1つ」
店員「かしこまりました」
そう言ってギャルソンに身を包んだ店員は店の裏側へ戻っていった。
……あ、そういえば黒執事の最新刊もでてたんだけ。
うっかり買いそびれちゃったなぁ、……ま、また買いに行けばいいよね。
店員がアイスコーヒーを配膳するまでの暇潰しに、私は買った漫画を読む。
海老名「(……ぐ腐腐、このユニフォームから覗く脇がたまりませんなぁ……じゅる)」
涎を垂らしながら、私は漫画をじっくり読み進めていく。
そしてふと何気なく顔をあげると、そこには私の見知った顔があった。
↓3 そこにいたのは? 以下より選択
�比企谷八幡 �葉山隼人 �雪ノ下雪乃 �その他(選択された際に再安価)
海老名「(あれ、ヒキタニくんだ)」
そこにいたのは死んだ魚のような目をしたヒキタニくんだった。
カウンター席に一人で腰掛け、アイスコーヒーを啜っている。
海老名「(どうしよっかなぁ、声をかけてみる……?)」
↓3 八幡に声をかける? 以下より選択
�声をかける �声をかけない
海老名「(……いや、ヒキタニくんに話しかけても彼と話すことは何もないし、やめとこう)」
そのあと私が届いたアイスコーヒーを受け取ると同時に、ヒキタニくんは席を立って店から出て行った。
海老名「(さて、読書の続き続きっと)」
アイスコーヒーを飲みながら、私は読書に耽る。
こうして趣味に打ち込んでる時間が、私にとって一番の至福だ。
かつての私は、この趣味に生きることの素晴らしさを知らなかった。
自分の世界は学校と家庭しかないと、そう信じて生きてきた。
……それが原因で色々と苦労したけど、でも今は違う。
私はBLで友達が出来た。趣味にのびのびと生きることで、新しい世界が開けたのだ。
たまにカップリングとかで衝突したりするけど、それでも誰からも相手にされないよりはマシ。
海老名「(……はぁ、もっと布教しないとなぁ。学校じゃ同士はなかなか見つからないんだよね……)」
アイスコーヒーを一息で飲み干し、私は席を立つ。
会計を済ませて店の外へ出る。
さて、次はどこに行こうかな?
↓3 海老名はどこへ向かう? 以下より選択
�近所の古本屋 �コンビニ �自宅 �メールが届く(差出人記入)
↓3 どんな内容のメール?
少し早いですが次スレ建てました。
タイトルが変更されているのでご注意下さい。
【安価】比企谷「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」雪ノ下「その2ね」
【安価】比企谷「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」雪ノ下「その2ね」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1364852635/)
安価は↓2
海老名「……! メールだ、えっと……結衣からだ」
ebina's mobile
『FROM 結衣
TITLE やっはろー
MESSAGE こんど優美子の家でパーティーやるんだって(^v^) 姫菜もいくよね?!』
海老名「(パーティー……、たぶんこの間の文化祭の打ち上げも兼ねてやるのかな?)」
海老名「(でも文化祭のあとは後夜祭で盛り上がったし……。——あ、隼人くんの部長襲名祝いとかかな?」
サッカー部の次期部長候補として名前が上がっていた隼人くんは、つい最近部長になったようだ。
サッカーといえばイナイレ、……最近はイナGOのクロノトリガーだっけ? ……私はイナイレの方が好きだったなぁ。
とりあえず私は『そうなんだ。でもいつやるの?』と返信しておいた。 ……結衣からのメールはいつもなにか抜けてるんだよね。
数分待っていると、結衣からの返信がくる。
どうやらパーティーは明日の日曜日にやるようだ。 ……きゅ、急だなぁ……。
しかし明日は特に予定はないので、私は『うん、わかった。それじゃあまた明日』と結衣に送信。
海老名「……さて、今日はそろそろ家に帰ろっかな。——あ、黒執事の新刊買ってかないと!」
私はとらのあなに再び立ち寄り、目的の新刊を買って帰路に着いた。
そして翌日、私は優美子の家を訪れる。
↓3 パーティーに呼ばれていたのは? 以下より選択
�いつものメンバー(葉山、戸部、大和、大岡、由比ヶ浜) �由比ヶ浜のみ
海老名「はろはろ〜」
優美子の母親にリビングへ通されると、そこにはいつものメンバーが揃っていた。
由比ヶ浜「あ、姫菜! やっはろー!」
三浦「……海老名、ちょっと来んの遅くない?」
海老名「ごめんごめん、ちょっと支度に手間取っちゃって……」
リビングの中央に置かれた大型のテーブルを囲むように6人が立っている。
まだパーティーは始まっていないようで、みんなは片手に紙コップを持って雑談に花を咲かせていたようだ。
大岡「海老名さん一名ごあんな〜い!」
大和「……どこのホストだよお前」
大岡くんが話題のきっかけを作り、それに大和くんツッコミを入れる。
いつもならここでとべっちが盛り上げるとこなんだけど、そのとべっちがそこにはいない。
とべっちの姿を探すと、彼は紙コップにウーロン茶を注いでいた。
私はてっきり自分で飲むのかと思ったらどうもそうではないらしく、とべっちは両手に紙コップを掴んで私の方に歩いてくる。
戸部「はい、海老名さん。ウーロン茶だけど平気?」
海老名「あ、うん。大丈夫だよ。ありがととべっち」
とべっちに差し出された紙コップを受け取る。 ……ああ、そういうことね。
葉山「よし、それじゃあ姫菜も来たことだし始めようか」
私が紙コップを受け取ったのを確認すると、隼人くんが右手を上に掲げる。
どうやら乾杯の音頭をとるようだ。
葉山「では、姫菜プロデュースの『星の王子さま』の成功を祝して………乾杯!」
「「「「かんぱーい!」」」」
すいません、素で間違えました。
>>976は間違いです、すみません。
優美子の母親にリビングへ通されると、そこには優美子と結衣がいた。
海老名「はろはろ〜」
由比ヶ浜「あ、姫菜! やっはろー!」
三浦「海老名、遅いし」
リビングに置かれたソファに長い足を組みながら座る優美子と、その隣でちょこんと小さく座る結衣。
座り方1つで性格って結構出るんだよね。
優美子は王女様で、結衣は借りてきた猫……いや、子犬かな?
そんな二人を観察しながら、私は二人の対面に座る。
海老名「ごめんごめん、ちょっと支度に手間取っちゃって……」
深夜までBL本読んでたら少し寝坊したなんて言えないよね、たぶん言ったら火に油だもん。
だからこの場面は適当な理由をつけて誤魔化す。
三浦「……あっそ、ならいいけど」
優美子は自分のゆるふわウェーブの髪を軽く指先で捻りながら結衣の方を見る。
どうやら話を始めろと無言の圧力で結衣に訴えているようだ。
由比ヶ浜「え、えっと、そ、それじゃあパーティー始めよっか! い、イエーイ!」
海老名「イエーイ!」
三浦「……、」
……流されるまま結衣につられたけど、そもそもこのパーティーってなんなのかな?
そんな私の胸中の疑問を察したのか、結衣が身振り手振りで私に説明してくる。
由比ヶ浜「え、えっと、今日は文化祭でいろいろ頑張った姫菜へのお疲れ様会みたいな感じで、あたしがみんなに呼びかけて開いたんだけど……」
徐々に声がフェードアウトしていく結衣。
目線が下に向けられ、なんだかとても申し訳なさそうにしている。
そんな結衣を見かねたのか、不機嫌そうな表情を浮かべている優美子が口を開く。
三浦「隼人、なんか急に部活入ったんだって。ついさっき連絡あったし。あと他の二人も」
海老名「あー、……なるほど。だから私達しかいないんだね」
由比ヶ浜「うぅ……、まさかこんなことになるなんて……」
海老名「まぁまぁ、そんなに落ち込まないでよ結衣」
海老名「大丈夫だよ、私はこうして休日に一緒にいるだけでも充分嬉しいから♪」
由比ヶ浜「ひ、姫菜……っ!」
私の一言で眼を潤ませる結衣。……大袈裟だなぁ、もう。
海老名「優美子もありがと。パーティー開くために色々と準備してくれたんだよね?」
リビングに置かれたテーブルの上には、たくさんのお菓子やら飲み物が置いてある。
とても女子三人で食べきれる量ではない。たぶん隼人くん達も来るのを想定して用意したんだろうなぁ。
三浦「……ふん。別にあーしはそんなつもりじゃ……」
照れ隠しなのか、鼻を鳴らしてそっぽを向く優美子。 ……まったくもう、素直じゃないなぁ。
海老名「……よーし、それじゃあ優美子の好意を無駄にしないためにも食べるよ結衣!」
私はテーブルの上に置かれているポテトチップス(うすしお)の袋に手を伸ばす。
由比ヶ浜「う、……うんっ! よ、よーし、食べるぞー!」
結衣も私の後を追うように蒟蒻畑(Light)の袋に手を伸ばす。
海老名「……あれ、結衣それノンカロリーだよ? そんな味気無いのよりも、こっちの普通のヤツを食べればいいのに」
由比ヶ浜「ぎくっ!? え、えーっと、それには深いわけが……」
海老名「……なになに、もしかして結衣………………太った?」
由比ヶ浜「ッ!? そ、そそそそんなわけないじゃん!!? ぜ、ぜんぜん! ぜんぜん太ってなんかないよッ!?」
海老名「……ふぅん、そっかぁ」
由比ヶ浜「うんうん! 太ってない! あたしは太ってないよ!!」
海老名「太ってないなら、こっちの普通のやつを食べても問題ないよね?」
由比ヶ浜「は!? ……し、しまったー! 素直に白状しとけばよかったー!?」
海老名「こっちのチョコパイもオススメだよ〜。ほらほら〜」
由比ヶ浜「ぐ、ぐぬぬぬ……っ! ……た、食べたいけど、食べたら体重が〜っ!!」
三浦「……なにしょーもないことで騒いでんの? チョコパイ食べないならあーしもらうかんね」
海老名・由比ヶ浜「「あ」」
そんな感じでわいわいと盛り上がりながら、楽しいひと時はあっという間に過ぎていった。
↓3 このあとはどうする?
由比ヶ浜「……うぅ、結局食べてしまった……」
海老名「だ、大丈夫だよ結衣。来月は体育祭だし、その食べた分運動すれば問題ないって♪」
由比ヶ浜「そ、そうは言ってもなぁ……。あたしあんまり運動得意じゃないし、なにか他に方法があれば……」
海老名「う〜ん、じゃあ何か目標立ててみたらどうかな?」
由比ヶ浜「目標?」
海老名「うん、目標。たとえば好きな人に振り向いてもらうために減量する……とか。明確な目標があれば人間結構頑張れるものだよ?」
由比ヶ浜「す、すすす好きな人にッ!? ……あ、あたしそんな人いないしッ!」
三浦「……あれ、結衣あんたヒキオと付き合ってんじゃないの?」
由比ヶ浜「は、はあっ!? そ、そそそんなわけないじゃん何言ってるの優美子ッ!? べ、べべべ別にヒッキーとあたしはそんな関係じゃ——!」
三浦「……結衣、あーしそーゆー意味で言ったんじゃないんだけど?」
由比ヶ浜「……そ、そうなの? ……じゃ、じゃあ優美子はどういう意味で言ったの……?」
三浦「あんたよくヒキオと話してるじゃん。だから付き合ってるっしょ?」
海老名「あー……、そっちの意味ね」
由比ヶ浜「(ま、まぎらわしい……)」
三浦「あーしらのグループ以外で結衣のまわりにいる男子はヒキオだけ」
三浦「それに結衣、あんたあーしらのグループの男子に興味ないっしょ?」
由比ヶ浜「う、うん」
三浦「じゃあヒキオしか結衣が興味を惹かせようと頑張る相手はいないわけでしょ」
三浦「だからヒキオに気づいてもらえるように頑張るとかでいいんじゃん?」
三浦「……ま、あーしはそんくらいしか言えない。どうするかは結局結衣次第だし、だからあーしはこれ以上は口出ししない」
由比ヶ浜「優美子……」
海老名「どうするの結衣?」
由比ヶ浜「…………うん、優美子もこう言ってるし、あたしもちょっと思うことあるから……。あたし、頑張ってみる!」
海老名「……そっか。ファイトだよ結衣!」
由比ヶ浜「うん♪ ……よーし、頑張るぞー!」
これ恋バナ? なんか違う気が……。
このままだと女子3人の他愛ないトークが続きそうなんですが、どうしますか?
皆さんの意見を聞きたいです。
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