勇者「いらっしゃいませ下町食堂へ!えっと、御客様は二名様で宜しいでしょうか?」
魔王「――……へ?あ、あたしは……いや……えっとその……」
秘書「はい、二名でお願いします。それと我が主は葉巻をお吸いになりますので、出来れば窓際の席で宜しいですか?」
勇者「窓際の席ですね、畏まりました。それじゃ……あちらの席へどうぞ。直ぐにお冷をお持ちしますね」
魔王(うわぁマジで働いちゃってるよ、物凄い笑顔でこっち見てたよ。何だよ勇者との初対面は憎悪の顔で剣を向けてくるがデフォじゃないのか?
というかどうしよう、生で見る勇者結構カッコ良かったな。何時も遠見の水晶で眺めてただけだったし……やっぱ生は違うな!
今まであたしに挑んで来た奴なんて、弱すぎて自己紹介の後直ぐに消し炭だったし……)ミシミシ
秘書「魔王様、城の物と違ってテーブルは木製なので、あまり握り過ぎると簡単に割れてしまうかと」
魔王「おいどうするんだよ秘書助……!しかもあのこなれた積極術とか、かなり前からここに勤めてるだろ……!」
秘書「助は止めて下さい……金欠のあまり回復の野草すら購入出来ず、挙句の果てに餓死寸前でこの店に入店し暴食。
その時の借金まであるみたいです。多分ここのアルバイトの報酬的に、再び冒険に旅立つのは……短く換算して1年後程になるでしょうか」
魔王「え、アイツここでどんだけ食ったんだよ借金作ってんだよ。これじゃ何時までもあたしの所まで来ないじゃん」
秘書「左様で御座いますね」
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よくある勇者と魔王ものですが、バトルはあまり入れずグダグダ食堂物みたいにやっていこうと思います。
なんか孤独のグルメとか見てたら食堂物とかいいなぁと思い、思い付き執筆なので多目に見てくれると助かりますぜ。
メイド「ちょっと勇者、何でこんな所でボーッと突っ立ってるのよ。早く水運んじゃわないと、また注文混んじゃうじゃない。
ランチタイムまだ終わってないんだから――もしかして……疲れてる?アンタ普段そう言う事言わないから。疲れてたらバックで休んでくれても良いのよ」
勇者「あ、いや、別に疲れてはいないよ。体力だけが自慢だし……ってそうじゃなくて、今来た人達の服装が結構豪華でね。
女の子の方は高そうなドレス着込んでて。それにもう一人の燕尾服の人は、女の子を主なんて言ってたし……貴族の人かな。
でも貴族の人がこんな下町の食堂に来る訳ないし。それにお忍びで来てるなら、もっと地味な格好するよね」
――ポカッ
メイド「"こんな下町の食堂"で悪かったわね。わたしの実家だし、あ、アンタの居候先なんだから……そんな風に言うんじゃないわよ」
勇者「へ……あ、そんな意味じゃないんだよ!? ただ、やっぱり周りから浮いてるなぁ……って」
メイド「まぁ確かにそうね。家に来る客なんて磯臭い漁師仕事のおっさんとか、血の匂いがする傭兵くらいなもんだし。御洒落さ皆無よね。
――なんか自分で言ってて悲しくなって来たわ。ほら、さっさとあのお客さんから注文取って来なさいよ」
勇者「はーい。あ、それとメイド、今日午後から材料の買い出しに行ってくるから、少しの間店抜けるね」
メイド「またお父さんに買い出し頼まれたの?断っても良いのに……今度わたしから文句言っておくわ」
勇者「良いんだよ、俺に出来る事なんて力仕事ぐらいだし。それにこうやって頼られるのって、結構嬉しいんだ。それじゃ行ってくるよ」
メイド「もう……相変わらず御人好しなんだから」
魔王「しかし何だな、こうして見ると人間達は和気藹々としてるんだな。見てみろ、人を殺しそうな男とゴボウのような男が一緒に酒を飲んでいる。
まるで別種族のような二人なのに……領土や些細な違いで罵り合っている魔族とは大違いだ」
秘書「人間は群れねば生きられない種族、我等魔物とは根本から異なります。それに人間も常日頃争いが絶えないのは変わりませんよ」
魔王「難しい問題だな……ふむ、それより秘書助よ」
魔王「――――どれ食べたい!? ほらこのホタテノシチューとかサバノミソニとか、魔族の領土では見たことない料理ばっかりだぞ!
テイショクなんて物もあるし!ほう、今日の日替わりランチとやらはカニクリームコロッケだそうだ!」
秘書「はぁ…………主、こちらに貴方様の好物のカレーライスも御座いますよ」
魔王「おぉカレーライス!って……カレーだけでもこんなに種類があるんだな。グリーンカレー?キーマカレー……なんだこれ、クイズか」
勇者「御客様、グリーンカレーは、ココナッツミルクや野菜をカレーと一緒に煮込んだ物で、キーマカレーは羊肉と一緒に煮込んだ物ですよ。
辛い物が苦手なら、チキンカレーとかどうでしょう。どっちかと言うとスタンダードなカレーだと思いますよ」
魔王「ひっ!? …………ひ、ひゃぃ」
秘書「では、そのチキンカレーを。それと……この日替わりランチを一つ。あと食後にコーヒーと、オレンジジュースを御願いします」
勇者「チキンカレーを御一つと日替わりランチ御一つ、食後にコーヒーとオレンジジュースですね。畏まりました」
魔王「…………」ボー
秘書「どうやら主は、勇者相手だと緊張してしまうようですね。もしや、一目惚れでもしましたか?」
――バリンッ
魔王「ばっ、そ、そんな訳ないに決まってんだろ!というか、あたしは勇者の偵察に来てんだぞ!カレーの種類で盛り上がってる場合か!
大体な、あたし達はサッサと勇者に攻めて来て貰わなければ困るのだ!最近じゃ共通の敵がいないせいで、魔族の統一感が薄れ始めている!
このままじゃ何時内乱が起こっても可笑しくないのだ!早く勇者に無双紛いの事をして貰って、少しでもこちらの増え切った人口を数を減らして貰わなければ!」
秘書「魔族の王が魔族の人口減少を渇望していると知れば、魔族の内乱勃発率は更に跳ね上がるでしょうね」
魔王「増え過ぎなんだよ、ラットマンとか黒い悪魔とかよ!アイツ等元の生物並に増えやがる!何だ、1体いれば20体の法則か!?
ちったぁ魔族側の貧困を考えて子作りしやがれ!一人っ子政策にすっぞおらぁ!」
秘書「それは数年後に、働けない老害ばかり増えて逆効果かと」
魔王「今でも老若男女過多状態だろ、大して変わらん!使えない老害の癖に寿命だけは一丁前に無駄ぁに長いのが魔族の特徴だからな!」
秘書「魔族を心から愛した父上が草葉の陰で泣いておりますよ」
魔王「うっ…………父様の事は、言うな馬鹿」
秘書「左様ですか」
勇者「おやっさん、注文入りました!チキンカレー一つに日替わりランチ一つ!」
店主「おうよ!チキカレに日替わりな!しかし何だ、勇者も隅に置けねぇな!あの入って来た客の嬢ちゃん、ずっとお前の事見てるぜ!」
勇者「……?いや、なんかもう一人の人と話し込んでるみたいですけど――っておやっさん!手元見て下さい手元!
包丁で大根を切りながら鍋を振って余所見とか、見てるこっちの方が怖いですから!」
店主「バカ野郎、お前に料理で心配される程落ちぶれちゃいねぇよ!ほら、4番さんのビーフシチュー上がったぞ!持っていけ!」
勇者「……4番席ですね、わかりました。行ってきます」
メイド「お父さん、5番テーブルの人が注文した物と違うって言って来てるんだけど!?」
店主「5番!? あぁおめぇ家にないモン注文したからだろうが!文句言うくらいなら代金要らねぇから、そのまま食わせろ!」
メイド「……父親ながらに相変わらず、滅茶苦茶ね」
勇者「はは……同感。メイドじゃ言い難いでしょ?4番さんに行くついでに、俺が行ってくるよ」
メイド「え?……う、うん……ありがと」
店主「何だ娘ぇ、お前まだ勇者の野郎に告ってねぇのか。まだ家にいるからって、ノンビリしてると誰かに取られちまうぞ」
――ボンッ
メイド「――っっっ!お父さん、何言ってんのよ!べ、別にわたしは勇者の事なんてっ!」
店主「まったくお前は、その素直じゃない性格は誰に似たのかねぇ。勇者だって家にある借金返し終えたら、また旅に出ちまうだろ。
アイツなら料理も出来るし接客も出来るし、腕っ節だって申し分ねぇし、俺は認めてるんだ。ちっと夜這いして囲っちまえば、家に定住すんだろ」
メイド「お父さん!もう黙って仕事しててよ!」
店主「へいへい……まぁあれだ、ちっと勇者に買い物頼んでおいたからよ。午後になったらお前も一緒に行ってこいよ。
あぁ店の事は気にすんなよ。午後なら他のバイトも入るし、ちっと遅くなっても大丈夫だからなぁ~」
メイド「え、ちょっとお父さん!もう……変に気使わないでよぉ」
メイド(で、でも勇者と買い物かぁ。随分久し振り、だよね……勇者と一緒に出掛けるの。最近御店が忙しくて、外出出来なかったし。
お父さんもちょっと遅くなっても良いって言ってたし……ちょっと寄り道しちゃおうかな)
勇者『お待たせ致しました。こちらビーフシチューになります。伝票はこちらに置いておきますね』
秘書(しかし主が常に気に掛けていた、最も驚異となると予想された勇者が、こんな城下町の食堂で働いているとは……。
期待外れだったか。他の勇者候補達は主の足元にも及ばない雑兵ばかりだったが、この者もきっとこれで――)
魔王「ん?……お、おい秘書よ、フォークなど持って何をする気だ?」
秘書「少し腕試しを、と思い至りまして。どの道これで死んでしまうようなら、他の勇者達と同じ――という事ですよ」
――ビュッ
――――バシィィィィッ
勇者『おっと……ん?何だこれ……フォーク?』
秘書(止めた、だと?背後から投擲された物を、しかも片手で……偶然か?いやこんな場所で襲撃されるなんて夢にも思わない筈。
現にこちらに注文を取りに来た時、勇者は無防備だった。殺気は隠していたし……まさか飛んでくる物体の気配を読んで掴んだのか?)
魔王「お前何やっとるんじゃぁぁ……!フォークでも首筋に刺さったら死ぬだろうが……!」
秘書「いえ、勇者の力量を測ろうと思い、先陣を切らせて頂きました。さぁ主も御一つ」ササ
魔王「いやフォーク出されても後陣はないからな!? っていうか真面目に仕事やってる勇者の邪魔するなよ、可哀想だろうが……!」
秘書(あの勇者、もしや体から魅惑類の魔法でも放出してるのでしょうか。いえ、きっと主は勇者を観察して弱点を模索しているのだ。
そうに違いないそうであって欲しい。主は気分屋だから、いきなり勇者に惚れたと言い出しても不思議ではない。それは流石に先代が泣く)
今日はこれで終わりです。本当に相変わらず書き溜めの速度が遅い自分に驚きました。リハビリの兼ねてるから許してね。
まさか1投稿で10レス超えないとか、休んでた影響が抜群に出てますね。
というか普段普通の大学生とかを主人公にしてたので、勇者が主人公な事に少々手間取っていたりします。
ほら言葉の前に名前入れるので、間違って「男」って書いたりとか、他の登場人物に男って呼ばせていたりとか。全部修正しましたが。
擬人化物から離れたのも初なので、やっぱり違和感がありますが、暇潰しに読んで頂けたなら幸いです。
では今回はこれで。おやすみなさい。
今日もやらせて頂きます。いやしかし、連日で5レス以上書き溜めたのはかなり久し振りでした。
そして執筆しながら録画した孤独のグルメを観て、腹が減るという。悪循環過ぎるんだぜ。
他の魔王とは毛色の違いを出そうと思い、割と男っぽい口調にしてますが、どうでしょうか。やっぱりお淑やかとか、お嬢様口調の方が受けが良いんですかね。
なんか勇者も男らしい口調じゃないし。一応俺って呼称にしてますけども……まぁ「僕」は他のキャラに使いたいので。
それでは今日もよろしく御願いします。
勇者「お待たせ致しました!チキンカレーに、日替わりランチです!伝表は、こちらの方に置いておきますね。どうぞごゆっくり」
魔王「おぉ……見ろ、見ろ秘書助!カレーのルーが変な器に入ってるぞ!ご飯もなんか黄色だし!こ、これはどう食べれば良いんだ!?
ルーの中に御飯を突っ込めば良いのか!? それともルーをぶっ掛ければ良いのか!?」
秘書「ライスが黄色い理由は、サフランで香り付をしているからですね。ルーは、食べる分だけライスに掛けていくのが基本かと」
魔王「なるほど……ご飯から匂いがするのは、そのサフランのせいか。じゃぁ早速――」
勇者「すみません御客様、もしやフォークが足りなかったりしませんか?」
魔王「ふ、ふぉーっ!?」
秘書「おや……確かに足りませんね。何処に行ったのでしょうか、不思議ですね」
魔王(こいつ……滅茶苦茶白々しいな。自分で投擲した癖に……しかも自分で使う用のフォーク投げたせいで食べれてないし)
勇者「あぁやっぱりさっき飛んできたフォークは御客様のでしたか!代わりのフォークをお持ちしましたので、こちらをお使い下さい」
秘書「………………ほう」
秘書(フォークを背面で掴んだ上に、どちらの方向から投擲されたかも正確に察知した訳ですか。やはり先程の気配察知は偶然ではありませんね。
危機感皆無だと思っていましたが訂正させて頂きましょう。この御方は列記とした勇者ですね……間違いありません)
魔王「んー!秘書助、人間界の料理は不思議な味がするけど美味しいな!ご飯からする、さふらん……?ってやつの香りも凄い良い!
カレーも魔界じゃない香草の味がして、入ってるチキンも独特の味がするぞ!ん~毎日でも食べたいくらいだ!」モキュモキュ
秘書「確かに、香りだけでも魔界の雑多な物とは違いますね。隅に至るまでの手間を感じます」
魔王「秘書助のはどうだ?確かカニクリームコロッケ、だっけ?」
秘書「えぇ、ライスとコーンスープが来て驚きましたが、結構合っていますね。主も一口如何ですか?」
魔王「お、良いのか!? 食べる食べる!あーん」
秘書(主のこういう子供っぽい所は相変わらずですね。お皿に渡そうと思っていたので、面食らったのは内緒ですが。
子供がいるとこんな感じなのでしょうか。まだ自分が子供を産む姿さえ想像出来ないですけど)
秘書「はい、どうぞ。熱いですから気を付けて下さいね」
魔王「あつっ!? 先に言え先に!何で口に入れたと同時に言うんだよ!確信犯だろお前!」
店主「ふぃぃ、やっと一段落って感じだなぁおい。今日は何時にも増して客が多くなかったか、娘よ」
メイド「そりゃ城下町のお祭りが近いからでしょ。今年は盛大にやるから、近くの村から男手も集めてる、って近所のオジさんが言ってたわ。
でも今日はまだ良い方じゃないの?きっとお祭りの前夜とか地獄になると思うわよ……あぁやだやだ」
勇者「はは、催し物の仕方ないよ。人が集まる時って、大体飲食店は混む物だからね」
店主「おぉ勇者、もうテーブルの片付け終わったのか。相変わらず仕事が早ぇなぁ。背中からもう二本手でも生えてんじゃねぇか?」
勇者「コツを掴めば結構楽ですよ。あ、おやっさん、この洗い物終わったら買い出しに行ってきますね。
夕食時は同じくらい混むでしょうし、仕込みもあるでしょう?早目に帰って来た方が――」
店主「あぁー勇者よ、実はもう夕食時の仕込みは終わってるんだ。だからお前もちっとゆっくりして来い。お前ここ最近まともな休憩無かったろ」
勇者「へ?いや、俺は別にこれくらい何とも――」
店主「良いから行ってこいって!ほら娘よ、お前も勇者と一緒に行ってこい!買い物だったら二人で行った方が楽だろ!」
メイド「ぴっ!? ちょ、ちょっとお父さん!? だからわたしは……もう、ばかぁ!」
勇者「相変わらずおやっさんは強引だなぁ……えっと、メイド?休みたかったら店で休んでても全然大丈夫だよ?
俺一人でも買い物だけだったら出来るし。食材を買う店は何時もの所で良いんだよね。だったら――」
――ギュゥッ
勇者「……メイド?その、裾をそんなに引っ張られると伸びちゃうというか……」
メイド「――っ!や、野菜は、何時もの所より安いとこ、見付けたの!魚も、わたしなら市場で値切れるしっ……だから……だからぁ……」
メイド「ア、アンタと一緒に……行きたいの!……駄目?」
勇者「い、いや別に駄目なんかじゃないよ!ただメイドも最近働き詰めだし、疲れが溜まってるんじゃないかなって思って。
ほらメイドが前に過労で倒れちゃった時あったでしょ?あの時おやっさんも物凄く心配してて、だからもう無理させる訳には――」
――コツンッ
メイド「あれからアンタに言われた通り、ちゃんと適度に休憩取ってるわよ。無理もしてないから……一緒に、行かせてよ」
勇者「……うん、なら一緒に行こうか。直ぐに洗い物終わらせてくるから、待っててね」
メイド(うひゃぁ、顔熱い!というか女子にあそこまで言わせる普通!? あぁもう鈍感馬鹿!勇者馬鹿!唐変木!き、気遣い上手!)
魔王「ふぅ……美味な食後の一杯は格別だな。眠くなってしまうぞ……ズズーッ」
秘書「左様で御座いますね。おや主、お飲み物がありませんね。お代わりでも頼みましょうか」
魔王「おぉ本当か!? なら今度は……んむ、このアップルジュースを……ヌッ?魔王イヤー発動!」ピキューン
説明しよう。魔王イヤーとは全知全能の神の力等は全く駆使する事なく、ただ単に生まれながら地獄耳な魔王の聴力頼りの能力なのだ。
ちなみに自分の悪口は一番敏感に察知する。とても耳聡い。良く言えた、効果は未知数。
『ア、アンタと一緒に……行きたいの!……駄目?』
『……うん、なら一緒に行こうか。直ぐに洗い物終わらせてくるから、待っててね」
魔王「な、何だこの桃色空間出来上がってそうな会話は!くぅ、こっちの体が痒いわ!しかも一方は勇者だと!? 相手は誰だ!」
秘書「この店の珈琲はとても美味ですね。何時喫茶店に移行しても違和感のない程です。きっと豆から挽いているのでしょう」
魔王「いや珈琲を味わってる場合じゃないから!本来の目的完全に忘れてるだろ!あぁほら勇者がなんか派手な格好の女と話してるぞ!
うわ一緒に外に出て行ったぞ!おいどうするんだよ、なんか何時の間にか置き去りにされてるよ!早く追うぞ!」
秘書「…………主、実はですね……ごにょごにょ」
魔王「――――――は?はぁぁぁぁぁぁッッ!?」
勇者「ふぅ……メイド、お待たせ。皿洗いも片付けて来た……よ」
メイド「あ、お疲れ様。わたしも手伝おうと思ってたけど、ちょっと着替えに行ってて……ごめんね」
勇者「え?い、いや平気平気!あれくらい何時もやってる事だから!それと……見た事無いし、新しい服かな?その……良く似合ってるよ」
メイド「―――ー……~~~~~~~っ!!」タパタパ
勇者「メイド!? 鼻から血が出てるよ!? やっぱり疲れてるんじゃないの!?」
メイド「へ、へいきらから……きにしらいれっ」
メイド(お小遣い貯めて、この服買って良かった~!勇者がわたしを服装で褒めてくれたなんて、初めてじゃないかしら!
しかもちょこっと恥ずかしがりながら!こ、これって少しでも意識してくれてるって事よね!?)
勇者「このハンカチ使って。服に血が付いちゃったら取れないしね」
メイド「……あ、ありあと」
メイド「このハンカチ……洗って返すのも無理そうね。血がべったり着いちゃってるし……白地だったのが、もはや赤いハンカチだし。
えと、勇者が良ければ……帰ったらわたしのハンカチ、御返しにあげるわね」
勇者「あはは、メイドの服に血が付かなかったなら良かったよ。ハンカチは……代えないし、貰おうかな。
っと、早く行かないと時間が無くなっちゃうね。メイドは本当に大丈夫?鼻血は止まったみたいだけど」
メイド「へ、平気よ平気!風邪とか疲れとか、そういうんじゃ絶対ないから!ほら、さっさと行きましょ!」
勇者「ちょっとメイド、別に背中押さなくても行くから!」
メイド(楽しみにしてたのに……勘違いで中止になるなんて、嫌だし。それにちょっと強引くらいじゃないと、勇者は乗り気にならないし)
メイド「ねぇ勇者!買い物行く前にお祭りの様子見て行くわよ!お祭りの手伝いに、どれくらい人を集めてるかも知りたいし!」
勇者「ん、わかったよ。確かに先に買い物に行くと荷物がかさ張るからね」
勇者「祭りまでまだ期間があるのに、軽い出店とかもあるんだね」
メイド「お祭りの準備してる人が軽食で買う事も多いし、あれでも結構儲かるのよ。家も一応軽い出店は出す予定があるからね。
でもこうして見ると、やっぱり去年より人が多いわね。大々的にやるって意気込みは本当みたい」
勇者「へぇ……家が出店って何をするの?」
メイド「やっぱりクレープとか、やり易い物かしらね。本格的に料理を出すなら、家で出来る訳だしね」
勇者「なるほど。まぁまだ二週間くらい先だし……あ、手伝う事があったら遠慮なく言ってね。力仕事なら男手が必要でしょ」
メイド「……そうね。お父さんも他のバイトも、お祭りの近くは店に缶詰だろうし……お願いするわ」
勇者「それじゃ、そろそろ買い出しに行こうか。あんまり遅くなると夕食時に間に合わなくなるかも知れないし」
メイド「…………まぁ、そうよね。また今度くれば良いわね」
勇者「ふぅ……結構買い込んだね。なのに何時もより野菜とか肉とか安く買えたし、やっぱりメイドは慣れてるというか……凄いな。
俺じゃあんな所見付けてこれないよ。長年の経験というか……真似出来るもんじゃないね」
メイド「褒め過ぎよ……それに八百屋は知り合いに教えて貰っただけ」
勇者「それだけ情報網があるって事だよ。俺なんて店の人以外ロクに口を利いた事すら無いし」
メイド「勇者は休暇貰っても外出したりしないじゃない。たまには服とか買いに行ったら?城下町だし、色んな店あるのよ」
勇者「いやでも俺、この街詳しくないからね。服屋って言っても何処にあるかすら分かんないし」
メイド「ふ、ふ~ん……な、ならさ勇者!今度わたしと一緒に――」
勇者「……あれ?ねぇメイド、あそこに人集があるんだけど……あそこって家の食堂があるところだよね?」
――ズーン
メイド「そうね……多分そうじゃないかしら。もぅ勇者の馬鹿……」
勇者「もしかして火事とか!? いや、もしかして何か事件が……とにかく行ってみよう!」ギュッ
メイド「ひゃぅっ!? ゆ、ゆうしゃぁ……て、手をぉ……!」
??『下町食堂の今日の日替わりランチはカニノクリームコロッケだ!デザートにバニラアイスも付くぞ~!』
勇者「すみません!ちょっと道を開けて下さいぃ~!」
メイド(あれ……?家のバイトにこんな良く通る声の子、いたっけ?)
??1『おい秘書助!お前も宣伝しろ!何であたしだけが宣伝してるんだ!』
??2『いえ、この宣伝係だけでどれ程の給金が出るか計算していまして』
??1『いや金の勘定する前に主を手伝えよ!というかお前が頼んだ珈琲が死ぬほど高かったんだろうが!なんだドラゴンの尾の珈琲って!
ふざけたモン注文しやがって!あたしのオレンジジュースとか、お前の珈琲に比べれば泥水みたいなモンじゃないか!』
??2『まぁまぁ主、良く衣装が似合っておいでですよ。馬子にも衣裳……というやつでしょうか』
??1『お前あたしを馬鹿にしてんのか!? 買うぞ!10セットくらい買ってやる!』
勇者「……え?あれ……あの時の御客さん?」
魔王「ひっ!? ゆ、勇者ぁ!? み、見るな!こんな使用人の服を着たあたしを見るなぁぁぁ!」
秘書「今日は大忙しですね、主。しかし勇者に見て貰えて本心では嬉しいのでは――」
魔王「あぁぁぁぁぁぁぁぁ殺す!お前を殺してあたしも死ぬぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
書ききりたいところまで書ききりました!出来れば魔王達が食堂に勤め始めたところまでは絶対に書きたかったので、目標達成です。
やっぱり書き溜めしていないと1レスに30分くらい普通に掛かっちゃいますね。書き溜めしとけば良かった……。
しかしどうなんでしょう、こんな感じの魔王と勇者は。個人的には魔王と勇者でホノボノしている作品を書きたかったのですが。
まぁ綺麗にドタバタしていますね。喫茶店に魔王が務めるとか、かなりの理由がないと出来ないと思いますので、強引にこうなりました。
次回からは少しだけほのぼの出来るかなと思います。料理ネタとか取り入れたいなぁと思って始めたSSなのでね。
読者様のお暇潰しになったなら幸いです。それではこれで、おやすみなさい。
お待たせして申し訳ありません。やっとそこそこ書き溜めが終わりましたので、投下したいと思います。
というか何時の間にか酉の前に新人が出てた……名前欄で表示するようになっているせいでしょうか。
それと一応ですが猫子の者です。ちょい執筆にブランクが出てしまい、書きたい物を書く文章力を復活させる為に再起しました。
シリアスな展開はあまり混ぜず、ノンビリマッタリ進めていきたいと思いますので、宜しくお願いします。
それでは今日も宜しくお願いします。
店主「おい魔子の嬢ちゃん!オムライスにシーフードドリア、上がったぞ!これ2番テーブルに持って行ってくれ!」
魔王「だから嬢ちゃんと呼ぶなと何度も言っているのにぃ……!だぁぁぁもう良い!2番のテーブルだな!? 行ってくるからそれ寄越せ!
くそっ何で魔族の王たるあたしがこんな事を……。これも全部秘書助って奴が悪いんだ……あいつだけ働けば良いのに――」
勇者「あ、魔子さん、もし重かったら俺が行くけど?」
魔王「ひぅっ!? い、いやこれくらい全然平気だから!だ、だから……~~~っ!い、行って来る!」ガチャンガチャン
店主「ちょっおいおい、それ8番と10番のやつも入ってるぞ――ぉぉぉ……外見の割に力持ちだなぁ、新入り。勇者と同じくらい持ってるじゃねぇか」
勇者「確かに……あの細腕であの量を軽々と持てるって凄いですね」
メイド「アンタ何時もあれの二倍くらい平気で持ってるじゃない……ほらほら、ぼーっとしてる暇無いわよ!お客さん増えてるんだから!
お父さん、10番テーブルさんの御注文で、シーフードカレーにカルボナーラね!あとエールも2杯だから先に持って行くわよ!」
店主「おうよ、カルボにシーフな!おい勇者!裏からエールの樽、持って来てくれ!そろそろ空になりそうだろ!」
勇者「分かりました!じゃぁちょっと行ってきますね!」
メイド「他の子ばっか見ないでよ……ばぁか」
勇者「エールの樽は……これだな。あと残り少なくなってたし、一応ワインの樽も持っていこうかな」
??「おや、凄い力ですね。筋骨隆々の男二人でやっと持ち上げられる酒樽を同時に二つも……筋力はもはや武神級ですね」
勇者「へ?あれ、秘書さん、どうしてこんな所に?」
秘書「いえ、こちらはある――魔子様のように力仕事では戦力に成り得ませんから、倉庫にある材料や酒の貯蓄を確認していたところです。
丁度会計も一息吐きましたし、やはり自分が働く現場の全貌は把握しておきたいですから」
勇者「いやでも、まだお客さんいるよね?会計は――」
秘書「体格や身形、入店時間から計算すれば、客がどの程度で食事を終えるかを予測するのは安易です。次の会計は、4番テーブルですね。
カップルでしたし、これから10分程で食事を終了し、会計を取るでしょう。その次が如何にも酒飲みの1番さんですか」
勇者「……凄いんだね」
秘書「この程度の計算力、勇者様の豪腕には到底及びません。それより早く樽を持っていかなくて良いのですか?その酒樽、追加分でしょう?」
勇者「あ、あぁそうだね。それじゃ、そっちも頑張って!」
秘書「……まさか勇者と同職場で勤務する事になるとは、魔生とは分からないものですね。まぁ、勇者の力量も測れますし、主も内心喜んでいますし……良しとしましょうか。
しかし主よ……魔王ではバレるから偽名で魔子というのは……従者として少々ネーミングセンスと言う物を疑ってしまいます」
魔王(力仕事は苦でないのだが……こうずっと笑顔を顔に貼り付けていると精神的に疲労が溜まるな。書類作業と少し似ておる。
それにこの職場はかなり騒がしい。酒飲みが小樽いっぱいに注がれたエールで乾杯し、ゲラゲラと笑い転げ、談笑し合っている。
何故だろうな。普段ならば目を細めて忌み嫌う程耳障りだが……今はこの店の雰囲気のせいか、いやに暖かく感じる)
魔王「ほれ、シーフードカレーにカルボナーラだ。伝票はここに置いておくぞ」
客A「ん?おっ嬢ちゃん新入りかい!? いやぁ、メイドちゃんもベッピンさんだけど、嬢ちゃんも負けてねぇな!」
魔王(人間の小娘と比較されるのはかなり癪だな。これでも魔界では絶世の美少女と呼ばれておるのだぞ……まぁ絶対に言えぬが)
客B「う~ん、嬢ちゃんみたいな可愛い子を眺めながら飲む酒は、また格別だねぇ!」
魔王「……うむ、そう言われると悪い気はしないな。っとそうだ、追加の注文があったら、また呼ぶが良いぞ」
秘書「しかし……本当にこの店はメニューの品数が半端ではないですね。でもメニュー帳がとても分厚い割に、味は損なわれていない。
カレー専門の料理人がいたとしても、他にもパスタやパンもあって……一体厨房に何人の人が控えているのでしょうか」
メイド「お父さん入れて計5人よ。それでも全然足りないくらいだし、ホールのバイト増えてくれたから、勇者も少しだけ厨房に行くでしょうね。
ちなみにパンは隣にあるパン屋と提携して出してるの。家の厨房にパン焼けるスペースなんて、一っつも無いんだから」
秘書「なるほど、ホールの人員が少ないのはその為ですか。メニューを少しでも削減すれば、調理の手間も大分改善出来ると思うのですが……」
メイド「わたしも何度も言ったわよ。でもね、お父さんが『メニューは店の懐のデカさだ』って言って全然聞いてくれないの。
メニューにある殆どの料理って、御客さんに頼まれて追加したやつなのよ?わたしが働き始めてから今までで倍以上に増えてるし」
秘書「御客側も、注文を取る側も、料理する側も、会計をする側も……労力が通常の三倍は必要ですね」
メイド「そういえば会計は大丈夫?なんか忙しいからなし崩し的に任せっきりになっちゃってるけど――」
秘書「いえ、メニューの値段と品名は全て暗記しましたので、特に問題はありません。というより、こちらを預けて頂ける方が楽で助かります」
メイド「……何というか、凄いのね」
秘書「恐れ入ります」
秘書「ふむ……時にメイド様、他のフロアの方は地味な衣装ですが、何故メイド様と主――魔子様と自分だけはこのような格好で?」
メイド「……お父さんが、『看板娘は目立たなきゃいけない』ってね……それ以来、わたしの衣装だけずっとこのままだったのよ。
それに予備が二着もあって、サイズ直しが簡単な服ってこれくらいだったみたいだし」
秘書「おや、この服のサイズを直す方が、逆に時間を取られそうですがね。リボン等の装飾品も多いですし」
メイド「お父さんが自分で手縫いした物だからねぇ……何処を縫い直せば良いかとか、全部覚えてるみたいよ」
秘書「……こう言っては何ですが、人は見掛けによりませんね。あんな筋骨隆々の方が、こんな可愛らしい衣装を手縫いするとは……」
メイド「大丈夫、わたしも『これからこれを着てフロアに出てくれ』って言われた時は背筋が凍ったから。縁を切ろうか考えたくらいに。
まぁでもお父さんも海賊の頭領から足を洗って、こうして真面目に働いてるから……店の為ならって思ってね」
秘書「元海賊で、脱海ですか。中々に刺激的な人生ですね」
メイド「へぇ、あんまり驚かないのね。海賊の元頭領が食堂の切り盛りしてるって聞いたら、普通驚きそうだけど」
秘書(何せ自分達は魔族の王と、その秘書官ですから。海賊の頭領なんて肩書き程度で驚く訳がありません……言えませんけど)
魔王「ふむ、では……い、イカ……?なんとかの生地のシーフードピッツァに、あ、アラビアー……で良かったか?」
客C「あはは、お嬢さん、それは墨って読むんだぜ!それとアラビアじゃなくて、アラビアータな!」
魔王「わ、わかった。それと赤ワインだな……よし、それでは少々待っているが良い」
魔王(むぅ……なんで人間界の料理名は小難しい物が多いんだ……!大体、これをイカ墨って読む時点で可笑しいだろ……!何語だよこれ……!人間の言葉じゃな――)
――ドンッ
魔王「――わぷっ!?」
勇者「おわっ、大丈夫!? ごめんね!樽で横が見えてなかった!……?可笑しいな……気配を感じなかったような……」
魔王(……む?あ、そうだ!勇者の見張りをする為に気配遮断の魔法を掛けていた事を忘れていた!というか効果が微妙なんだよ、この魔法!
相手の視界に入ったら効果は切れるし!普通に掛けてるの忘れるわ!……でもまぁ、こうして勇者の服に顔を埋められるのは……役得か)
――スリスリ
勇者「あの……魔子さん?そろそろ離れてくれると、嬉しいかなって……忙しいし」
魔王「ひぅっ!? こ、これは……違う!匂いを嗅いでた訳じゃ、断じてないぞ!ほ、本当だぞ!?」スリスリ
勇者「わ、分かったから!そんなに服引っ張られると伸びちゃうから!」
魔王「ひ、一段落着いたぁ……!秘書助……水だ、水を寄越せ!」
秘書「お疲れ様でした、主よ。店主からアップルジュースを頂いて来たので、こちらをどうぞ」
魔王「んぐんぐ……ぷはぁ!い、生き返った!まぁ所詮MP10から20に上がった程度だが……っていうか秘書助!お前ずるいぞ!
何で魔族の王のあたしが労働しまくって、従者のお前が裏方なんだ!借金作ったの殆ど秘書助なのに、この理不尽半端じゃない!納得いか――」
勇者「お疲れ様ー、魔子さんに秘書さん。初日からピークの時に当たっちゃったけど、平気だった?」
魔王「ぁ……ぁぁぁぁ……へ、平気だ!問題ない!これくらいで疲れるような、甘い鍛え方はしていないつもりだ!」
勇者「うん、なら良かった。それとおやっさんが夕飯用意してくれたみたいだから、こっちに持ってくるね。待ってて」
秘書「主よ、あまり自分の身分を大声で言うと、その内勇者にバレてしまうかも知れませんよ?」ヒソヒソ
魔王「むかつ……くっ!……ぐぅっ!」ゴッゴッ
メイド「ふぅ、テーブル拭き、やっと終わったぁ――……な、何で魔子ちゃん、壁殴ってるの?」
秘書「最近のキレる若者ごっこに興じておられるようです。主よ、壁を抜いてはいけませんよ」
今日はこれで御終いです。シリアス入れないと、凄い楽々執筆が進んで良いですね。酷いブランクがあるので、スローペースですが。
猫子も書き直そうかなとか思ってるのに、この執筆速度って酷過ぎだね、しょうがないね。ってかまだ50レスも行ってないよ……!
こんなアホみたいに書く速度が遅い>>1ですが、見捨てずに付き合って頂けると有難いです。
っていうかもうちょいキャラ増やそうと思ってるのに、今でもキャラ使い切れてないなぁと、書き途中で気づきました。遅いよ。
天然ボケなのに最強属性な勇者と、男口調でドジの多い魔王……結構色濃くキャラ付けした筈なのに、何故こんなにも作中で表せないのか。
あと、ちょっとしたアンケートをお願いしても宜しいでしょうか?追加するならどちらかってだけなのですが、お暇なら答えて頂けると幸いです。
①舌足らずで感情の薄い、色々ミニマムな僧侶。僧侶の筈なのに、回復魔法が暴走し攻撃魔法になる事多数。
読書に興じている事が多く、心許した人の傍で安心して読書をする事を好む。内容は様々で、時たまエッチな物を読み込んでる事も……。
②勇者に憧れを持っている聖騎士。とてもボンキュッボンで礼儀正しく、家事は何でもござれ。しかし剣の腕が絶望的である。
良妻になるべきなのに、何故盾持ち剣士という聖騎士の道を選んだのか、一切謎である。傍にいるとほんわか出来るよ、やったね。
②魔王の手下であるドラゴン族の幼女。年齢はかなり行っているのだが、如何せん成長が遅く、擬人化状態中の発育は死んでいる。
~~じゃ等の古臭い口調が特徴であり、魔王に絶対服従しているが、秘書とは険悪な仲である。火を吹ける。火を吹ける。飛べない。
この二人ですね。自分の文章力的に一人追加が限界かなって思いまして、こうなりました。もし宜しければ、お答え宜しくお願いします。
それでは今日はこの辺で。おやすみなさい。
すみません、魔王の手下のドラゴンは③とお願いします……しかも二人て。眠い時に書くと駄目ですね……。
では改めて、おやすみなさい。
あ~すみません>>1です。実は10レス超えた辺りからスレを覗いておらず、次回投下時に集計結果を出すつもりでした申し訳ない。
それとアンケートは個人的な文章力を考慮した上でのキャラの選評であり、前回でも割とやっていましたのであしからず。
何よりこういうキャラ希望というのは>>1が動かしきれる自信が無いので省いた次第です。安価すれとかとてもとても……。
という訳で早目に集計をば。
結果的に言ってしまうと②の聖騎士さんが10票、③のドラゴンが8票、①の僧侶が4……そっか、一番書きやすそうな①が4票とかそれはそれは……。
聖騎士さんは出るとしたら、次回投下分の次の回という事になりそうです。他のキャラを染み込ませた後ですね。
というか最後に、こんなにアンケートが募ると思っておらず、遅れてしまい本当に申し訳ないです!
一応生存報告を。レポートで立て込んでしまい、遅れてしまいました。
今週中には必ず次話を上げますので、申し訳ありません。というか何時の間にか放置削除期間一ヶ月になってたんですね……焦りました。
すみません、ギリギリというか一ヶ月立ってましたが、書いてきました……。少し短いですが、再開致します。
それとアンケートで聞いたキャラは次回あたりに出せると思いますので、それでお願いします。
秘書「まさか主が店の壁にヒビ入れる一歩手前までするとは……予想外でした」
魔王「あ、あたしは悪くないぞ!っていうか煽った秘書助が悪いだろうが!ぐぅぅ……こういう修繕とかのチマチマした魔法は苦手だ……!
もっとこう、ボーンとぶちかましたらバーンと直ってる!みたいな魔法は無いものか……あ、ちと目標地点からズレ――」シュビビビビ
メイド『魔子ちゃん、秘書さん、お父さんが賄い出来たからカウンターに来いって――』
魔王「いぃっ!? ――――あ…………壁……ここにあった、壁……どこ逝った?」
――ゴッソリ
秘書「畏まりました。少々面倒事が発生しましたので、解決次第向かいます」
メイド『え?何かあったの?っていうか店内なのに霧みたいなの出てて二階の様子が全く見えな――』
秘書「精々5分程ですので、えぇ完璧に、以前より強固に修繕しておきますので御心配なく」
メイド『――――……修繕って……何?』
秘書「最初から自分が実行していた方が、主の魔力消費も無くて済んでいましたね。主の魔力調節の不器用さを忘れるとは……従者失格です」シュビビビビ
魔王「あたしの感が正しけりゃ、さり気なく煽ってるよな!? 畜生退け!あたしが完璧に修繕してやる!」
秘書「そうやって張り切っていると、先程よりも巨大な穴を開けるフラグにしか聞こえませんね。まぁ主の命令ですし、従いますが」
魔王「見てろよ!こんなもんちょちょいのちょいやで――」
勇者『お~い二人共~!まだ終わりそうにないかな~!? 料理冷めちゃうよ~!?』
魔王「………秘書助……後頼んだ……」ガクリ
――ガッツリ
秘書「駄目みたいですね。と言いますか、これもう修復とかいうより新しく壁を生成するレベルなんですがそれは……(困惑)」
秘書「流石に魔力量が底を尽きそうでしたが……内部に超厚鉄板を仕込み、壁を偽装金属で硬め……主の為の壁殴り用壁、完成しました」
魔王「ほうこりゃ良い出来だ。すべすべして、尚且つ他の場所の壁と溶け込むように色艶から音まで似せてありやがる。
しかもあたしが殴っても……傷一つ無い。これだったら殴っても安心――だけどさ、ここまで作り込む必要はあったのか?」
秘書「いえいえ、これから主も壁殴りが捗るでしょうから、勇者に見られ難い二階を修繕ついでに改造しました。そして主、どうぞ魔王イヤーを御使用下さい」
魔王「へ?何でこんな所で使わなきゃ……まぁ別に良いけど。魔王いやぁ~」
『ゆ、勇者!この卵焼き、わたしが作ったんだけど……あ、味見してみてよ!ほら、あ~ん!』
『いや味見は良いけど、何で箸移しで……?』
『こ、こういう事をする時の通過礼儀なの!本に書いてあったんだから!さっさと口開けなさいよ、冷めちゃうじゃない!』
魔王「ふっ!……ふっ!……落ち着けあたし、相手は只の小娘だ……!でも腹が立つ……!収まれ血液のビート……!」ゴッゴッ
秘書(実は主、ご自分では気付かれてないようだが、魔王の執務室の机や椅子、果てはドアまでも粉砕し、一度部屋其の物が消滅仕掛けた事がある。
理由は遠見の水晶で勇者の姿を盗み見していた事なのでしょうけど……やはり壁を強化したのは正解でしたね)
魔王「はむ……ずぞぞ~~……んっ!美味い!美味いぞ店主!これは何という食べ物なんだ!?」
店主「何だい魔子の嬢ちゃん、ナポリタン知らねぇのか。ま、言ってもスパゲッティをケチャップと一緒に炒めただけだけどな。
量作っておいたから、ほれ、欲しかったらドンドンお代わりしな!おい勇者、もう一杯エール酒持って来てくれ!」
勇者「おやっさん、飲み過ぎじゃないですか?もう5杯目ですよ」
店主「バッカ野郎!何時もより倍くらい客捌いたんだぞ!自分への褒美だ褒美!」
メイド「ちょっと、お父さん!お医者さんから少しはお酒控えろって言われてるでしょ!もう、少しでも許すと飲み過ぎるんだから!
勇者もあんまり甘やかしちゃ駄目よ?どうせわたしがいない時、勇者だったら大目に見てくれるだろとか思ってるだろうし」
店主「おぉー怖ぇ怖ぇ。最近本当に母ちゃんに似てきちまって、やり辛いったらねぇぜ……」ソソクサ
勇者「あ、あはは……でも今日は何時もより忙しかったし、少しぐらいハメ外しても良いんじゃないかな。
メイドだって午後はずっとフロアに出突っ張りだったし、疲れてない?秘書さんも、大丈夫だった?」
メイド「わ、わたしは慣れてるから平気よ……何よ、いきなり心配なんかして……」
秘書「自分も、この程度の雑務ならば疲労は感じません」
秘書(――疲れている大半の理由は、壁の修繕ですし。まさか主が補強した壁にまでヒビを入れるとは、予想外でした)
勇者「魔子ちゃんは二階も担当して貰ったし、疲れて……る、のかな?」
魔王「はむっ……ズゾゾゾ」
魔王(この緑色の物は……人間の子供が嫌うピーマンとやらか。苦味が甘いケチャップと絡んで、良い感じじゃないか……こんな物を美味な物を嫌うとは、人間の味覚は理解不能だ。
唯一の肉は……この肉の詰め物、ソーセージとやらだけ……。でも意外と質素には感じない。安上がりなメニューだが、この質素な感じがまた良い)
メイド「わたしは疲れてたらナポリタンを5皿分も食べられないと思うけどね。というか、食べるのに夢中で気付いてないじゃない」
秘書「勇者様……主はとても頑丈な方なので、自分以上に心配は無用かと。……ふぅ、激務後の珈琲は美味しいですね」
店主「おぉ、もうナポリタンこんな減ってるのかよ!すげぇな嬢ちゃん!ほら、ポテトサラダも作って来たから、もっと食え食え!」
魔王「むっ!? それも食べていいのか!?」
メイド「……なんか賄いだけで食材が普通の御客10人分軽く超えそうね」
今日はここまでで。遅れてすみません。日曜日には次回分投稿出来ると思いますので……とか言うとなんか遅れそうなので、来週までには上げます。
というかこの阿呆、SS書く為に『深夜食堂』観てどハマリしてSS書く時間無くしてたとか……どういうことなの。
一応ご飯話モノなので、今回のように料理の描写は書きたいですが、キャラの言葉だけで文章にするのって難しいですね。
ナポリタンとかポテトサラダとか深夜に聞いたら涎が出ますが、描写が下手なので結局妄想頼りとか……。
一応次回で聖騎士を出す予定ですので、少々お待ち下さい。皆様が想像してるやつと違ったらどうしようか……。
次は……グラタンの事でも書こうかな。それじゃ、おやすみなさい。
もう一ヶ月以上経ってるじゃないか!すみません>>1がアホみたいに書く速度が遅いせいです、すみません。
一応生存報告をと思いまして書き込みます。レポートとか[ピーーー]ばいいのに…。
すみません、遅くなりました。それでは今日の分、始めさせて頂きます。
秘書「しかし店主様、本当に宜しいのですか?身分の明確でない自分達が、働き口を頂いた上に寝食まで――」
店主「仕事が結構ハードだから、あれくらいの給料でバイトに入ってくれるなら御の字だ!その代わりと言っちゃ何だが、住み込みの週休は店の定休日の一日のみだけどな!」
メイド「そんな滅茶苦茶な労働環境敷いてるから、バイトの子が直ぐ辞めちゃうんじゃない……もし体調が悪くなったり、予定が入って都合が合わない日があったら、事前にわたしに言ってね。
ヘルプで違うバイトの子を入れる事だって出来るし。それとお父さんに言っても、休みは甘えとか馬鹿な事言って突っぱねちゃうから、気を付けてよ?」
店主「おい娘!俺っちだって休みくらい言ってくれりゃ――」
メイド「前そう言いながら休もうとした勇者を怒鳴りつけたのは誰だっけ?ねぇ、お父さん?」
店主「娘に言ってくれりゃ言いからな……」トボトボ
秘書(なるほど、この店のカーストはこの娘が最上位と言っても過言ではない訳ですね。更に勇者との仲も良好と……)
魔王「ふぅ、やはり食事は人間界の物に限るなっ。慣れたら魔界の料理が食えなくなりそうで怖いが……」
秘書「魔界料理は質よりも量という考え方ですから。魔物の舌では繊細な味も表現出来ませんし、自分も食事はほぼ錠剤ばかりでしたので」
魔王「正直魔界にいた時から何度も忠告していて自分でもうんざりしているが、錠剤をがばがば口に流し込むのは止めろ。あれ見てる側食欲失せるから。
というか錠剤じゃ腹膨らまないだろ。あのまま魔界で生活してたら、多分お前よぼよぼの婆さんみたいになってたぞ」
秘書「ダークエルフは基本的に栄養価のみを重視する種族ですから、心配御座いません。味覚はありますが、魔界料理は錠剤にも劣るので」
魔王「魔界で繁盛している食堂にお忍びで行った時は酷かったもんな……スライムのドレッシングとか、サイクロプスの兜焼きとか……。
食べた瞬間吐いた時にはあの場所一帯を魔法で吹き飛ばそうと思った。まぁ寛容なあたしは店主をしばき倒す程度だけで済ませたがな!」
秘書(確か記憶にある限りでは、あの店の店主だったミノタウロスは地面にスケキヨされてましたね)
メイド「ふぅ……洗い物もここまであると諦めがつくわね。お父さんもケチな事言ってないで、もっとバイト増やしたら良いのに……。
うわ、洗剤も切れてるし……買い置きって何所にあったっけ。上の棚だったかな。よっと――……む、届かない」
――パシッ
勇者「はい、メイド。これで良い?」
メイド「……ひゃぅ!? あ、あぴぃ……あ、ありがと」
メイド(せ、背中から抱き着くみたいに物を取るのって、やられる度に心臓が飛び出そうになるのよ朴念仁!って言いたいけど……勇者は善意でやってるだろうし……。
いや、むしろ善意でやってるからこそ質が悪いっていうか……そりゃ下心全開で迫られても嫌だけどさ。でも鈍感にも限度ってものがあるでしょうが!)
勇者「よし、俺は洗い物するから、メイドは拭くの頼んだよ。手が荒れちゃうと困るでしょ」
メイド「はぁ……何でこんな時だけ、気遣い上手なのよ……ばぁか」
秘書(思った以上に進展してはいますが、勇者は気付かない上に、小娘の方は踏ん切りが付かないようですね。状況は芳しくありませんが、これは好都合。
あの勇者においそれと子孫を残して貰っては困ります。主には悪いですが、優秀な勇者の遺伝子は彼の代で根絶せねばなりません。
もし子孫を残すとしても魔族側に取り込んで……勇者が反旗を翻せば人間側の情勢も疲弊……しませんね。どうせ名を上げたいだけの職業勇者なんて腐る程いますし)
魔王「ほ、ほぉ、ここが新しい住処か。魔王城のサラダバーよりも手狭だし、少々埃っぽいし、所々の床が軋むが……な、中々住み心地は良さそうだな」
秘書「主、良いのですよ。魔法で部屋に防音を施しました。正直な感想を思いっ切りどうぞ。自分は耳を塞いでおりますので」
魔王「…………すぅぅぅぅぅぅ――」
魔王「何故あたしがこんな見窄らしい場所に住まねばならんのだ!あたしはただ勇者の様子を見に来ただけだぞ!? というかあたしは魔の王ぞ!
なのに、『たかが珈琲一杯で借金塗れだ!下町食堂で給仕仕事だ!』何故だ!くそっ!この出出し一文だけで小説が一本書けそうだ!」
秘書(流石主、怒りで漏れ出した魔力が声に乗り、耳栓の魔法をしていても鼓膜に損傷が見受けられます)キ~~ン
魔王「ぜぇ、はぁ……ぜぇ、はぁぁぁ……あぁスッキリした。秘書助、もう良いぞ」
秘書「流石主です。自分の防壁魔法を施した壁にまで亀裂を入れるとは、相変わらずの魔力量で。感服致しました」
魔王「別にこれ程の魔力、ただ漏れ出しただけだ。それと今回の件、半分以上お前のせいだからな。給料は三割カットだぞ。覚えておけよ」
秘書「………………へぁい」ズーン
メイド「ふぅ……やっと終わったぁ。勇者~、テーブルの片付け終わったわよ。そっちは後どのくらいで済みそう?」
勇者「明日の朝用の下ごしらえも全部終わったし、もう済んだよ。出来ればメイドの方手伝いたかったんだけど……やっぱり料理は慣れないなぁ。
こう、下手に力入れると食材をマナ板ごと切っちゃいそうでね。なんでおやっさん、いきなり俺に料理の準備なんて任せたんだろ」
店主『勇者にも俺っちぐらい料理を出来るようにして貰わねぇとな!何せこの店を継いで貰うんだからよ!』
メイド「……~~っ!た、多分自分がサボりたかっただけでちょ!」
勇者「まぁでも、メイドの負担を少しでも減らせるなら、これくらい訳無いけどね。それに何時かまた旅に出た時に、料理が出来て困る事はないし。
ここで雇われる前なんて、料理は全部黒焦げか半生だったもんなぁ。食後に猛毒状態になった時は、流石に死を覚悟したよ。1時間で治ったけどね」
メイド(……勇者、不憫な子。というか何で猛毒状態が自然治癒すんのよ……)
??「ふぅ……正に人を探して三千里。こんな港町にまで来てしまうなんて……でも、山とは違って潮風が気持ち良いですね。
噂を頼りに『サイクロプスの洞窟』にも『死の沼』にも、『迷いの森』にまで足を運んだのに……まさか掠りもしないなんて」
陽が落ち、月が空に浮かぶ深夜。街頭も無い港町は月夜にのみ照らされ、所々で宴会でもやっているのか、賑やかな笑い声とグラス同士が触れ合う音がごった返す。
帝都付近に比べれば人通りも少なく、黄金に輝く月のみが光となっているが、人々の活気は帝都以上に思えた。
??「ここの港町は、比較的賑やかですね。前に立ち寄った村は、寂れ切っていましたけど」
背負った巨大な盾が石畳を度々擦り、小気味よい金属音を鳴らす。多分わたくしの背中は、殆どが背負った盾に隠れているのでしょう。
上半身を優に覆う盾は、正直に言うと時々邪魔になるが、わたくしの大切な家宝。最初は持ち上げる事すら出来なかったが、今では体の一部のような存在である。
??「……でも困りましたね。町には着きましたが、もう深夜ですし……彼の情報は集められませんわね。何所かの宿を借りなくては――」
店主「うぃ~……ひっく!あの野郎、調子乗って飲ませやがってぇ~!明日も仕事だっつぅのに……あ?どうしたい嬢ちゃん、こんな所で。
……って、その格好……あやや、アンタ騎士様かい!何でこんな田舎に騎士様が!? 魔物でも出たのか!?」
??「い、いえ、安心して下さい!この周辺の魔物は退治して来ましたから!で、ではなく……あのぉ、出来ればこの町の宿の場所をお聞きしたいのですが……。
それとこの人、見覚えありませんか?わたくし、この方をずっと探しておりまして」
店主「あぁ、宿ならあっちの道を――って……こいつは……」
すみません大変遅くなりました。しかも飯話入ってませんね、重ね重ね申し訳ありません。
これからは更新速度も前通りに戻ると思います。というかやっと聖騎士出せました……長々と出せずにすみません。
聖騎士はこんな感じでお嬢様口調、少しぽわぽわ系というキャラとなりました。
変にシリアスになるキャラよりも、こういう感じの雰囲気柔らかなタイプの方が動かしやすいですね。
では今日はこれで。おやすみなさい。
このSSまとめへのコメント
続きをぉぉぉ………(°□° 期待、してます…ガクッ
魔王も応援してるし、メイドも応援してる...どっちを応援すれば!!
うーんこの
そりゃないよ