真「デスノート?」 (23)
真「なんだこれ……趣味の悪いノートだな」
真「誰かのイタズラか?」
真「あ、裏表紙になんか色々書いてある……全部英語か、面倒だな……」
真「えっと……」
真「『このノートに名前を書かれた人間は死ぬ』」
真「『書く人物の顔が頭に入っていないと効果はない。ゆえに同姓同名の人物に一遍に効果は得られない』」
真「『名前の後に人間界単位で40秒以内に死因を書くと、その通りになる』」
真「『死因を書かなければ全てが心臓麻痺となる』」
真「『死因を書くと更に6分40秒、詳しい死の状況を記載する時間が与えられる』」
真「……なんか無駄に凝ってるな。装丁も結構しっかりしてるし」
真「まあいいや、こんな子供だまし……」
???「お? そいつを捨てちまうのか?」
真「え?」
???「ククッ……勿体無いな、せっかくのデスノートを」
真「!?」
???「ククッ。俺は死神のリューク。そのノートの落とし主だ」
真「し……しに……がみ……?」
リューク「ククッ」
真「……驚いたよ。まさか死神が出てくるとはね……」
リューク「ククッ。信じてもらえたようで何よりだ」
真「……それで? こんなノートをボクに持たせて、一体何が目的なんだ?」
リューク「え?」
真「……何か対価を差し出せってことか? 魂とか、そういう……」
リューク「ククッ……何だそれは。俺はそんなものを求めやしない」
真「え?」
リューク「俺はお前に何もしない」
真「…………」
リューク「そのノートはもうお前の物だ。要らなきゃ他の人間に回せ。そのときはお前のデスノートに関する記憶だけ消させてもらう」
真「…………」
~翌日~
真「おはようございます!」
P「おう、おはよう、真」
小鳥「おはよう、真ちゃん」
リューク「へぇ、ここがアイドル事務所ってやつか。お前本当にアイドルだったんだな」
真「だからそう言ったじゃないか」
P「え? 何か言ったか? 真」
真「え? い、いや、何でもないですよ、ハハハ……」
P「?」
真(危ない危ない……リュークの姿や声はボクにしか認知できないんだったな……まあ、こんなの連れて歩いてるなんて知られたら大騒ぎになっちゃうから、ちょうど良かったけど……)
P「今日は真と雪歩で〇〇製薬のスポーツドリンクのCM撮影だったな。真、準備は出来てるか?」
真「もっちろん! ばっちりですよ!」
P「よし、それならいい。あとは雪歩だが……まだ来てないんだよな。真、何か聞いてないか?」
真「えっ……はい、別に何も……」
P「そうか。まあまだ時間はあるからいいんだが……」
真(雪歩……何かあったのかな? いつも撮影の日は早めに来てるのに……)
ガチャッ
雪歩「お、遅くなってすみません……」
P「雪歩!」
小鳥「雪歩ちゃん! よかった、いつもより遅めだったから心配してたのよ」
雪歩「す、すみません。ちょっと寝坊しちゃって……えへへ……」
P「まあ、間に合ったから良いけど……今度からは気を付けてくれよ?」
雪歩「は、はい。すみませんでしたぁ……」
真(雪歩が寝坊……? 大事なCM撮影の日に……?)
~CM撮影終了~
真「ありがとうございました!」
雪歩「あ、ありがとうございましたぁ……」
真「……よし、じゃあ事務所に戻ろうか。雪歩」
雪歩「……うん」
真「…………」
雪歩「…………」
真「…………」
雪歩「……あの、真ちゃん……」
真「何? 雪歩」
雪歩「そっその、今日はごめんね……私、NG連発しちゃって、撮影の時間おしちゃって……」
真「…………」
雪歩「私、ホントだめだめだよね……せっかく、真ちゃんと一緒のお仕事だったのに……」
真「…………」
雪歩「……真ちゃん?」
真「……ねぇ、雪歩」
雪歩「え?」
真「……なんか、あった?」
雪歩「!」
真「……やっぱり」
雪歩「な、何でそんな、私、別に……」
真「雪歩」
雪歩「! は、はい」
真「……ボクは、雪歩が話したくないことを無理に話してもらいたいとは思わない」
雪歩「…………」
真「……でも、雪歩が一人で何かを抱えていて、それで辛い思いをしてるんだとしたら……話してほしい」
雪歩「…………」
真「ボクは雪歩の……親友だから」
雪歩「……真ちゃん……」
真「……話してくれるかい? 雪歩」
雪歩「……うん」
真「ストーカー!?」
雪歩「ひぃっ! ここっこ、声が大きいよぉ真ちゃん……」
真「あ、ご、ごめん。……でも、それって……」
雪歩「うん……もう、一ヶ月くらいになるんだけどね……」
真「そんなに……」
雪歩「最初は、気のせいかなって思ってたの。でも、日が経つにつれて、段々……」
真「……どんなことがあったの?」
雪歩「……家まで後をつけられたりとか……学校の下駄箱に、変な手紙が入ってたりとか……」
真「家に……学校まで? ただのファンの域を超えてるな……」
雪歩「うん……だってね、その人……」
真「え?」
雪歩「私と……同じ学校の人なの」
真「!」
雪歩「私ね、去年の……今頃かな。学校で、その人から告白されたの」
真「!」
雪歩「同じ学年だったけど、そのときまで全然知らない人だったから……断ったんだ。そのときはそれっきりだったんだけど……」
真「……最近になって、急にストーカー化したってこと?」
雪歩「うん……多分だけど、私が、765プロのアイドルとして売れ始めてきたから……だと思う」
真「それはどうして?」
雪歩「さっき言った、手紙にね、『僕はずっと前から君の良さを知っていたのに』とか……そういうことが書いてあるの」
真「……独占欲……みたいなものか」
雪歩「よく分かんないけど……多分」
真「…………」
真「……雪歩。このこと、まだ他の誰にも言ってないね?」
雪歩「え? う、うん……。真ちゃんが初めてだよ」
真「……そっか」
雪歩「? 真ちゃん?」
真「……いや、何でもないよ。雪歩、話してくれてありがとう」
雪歩「……?」
真「大丈夫。この先何があっても、ボクが雪歩を守ってあげるから」
雪歩「真ちゃん……」
真(……雪歩……よく見たら、目の下にクマがある。きっと碌に寝れてないんだ。それで今朝も……)
~その日の夜~
真「…………」
リューク「ククッ。どうした? 真剣な顔でデスノート見つめちゃって」
真「…………」
リューク「遂に殺る気になったか? あの子をストーカーしてるってやつを」
真「…………」
リューク「……無視?」
真「…………」
~翌日・雪歩の高校の正門前~
雪歩「ご、ごめんね真ちゃん……。わざわざ学校まで来てもらっちゃって……」
真「何言ってるんだよ、これくらいお安い御用さ」
雪歩「……うん。ありがとう」
真「……それで? 例の奴はどこ?」
雪歩「……あ、えっと……今、あっちの校舎の陰に……」
真「……あいつか」
雪歩「……最近はもうずっと、こんな感じなの。今も隣のクラスだから、帰るときとかも逃げようがなくて……」
真「…………」
雪歩「あ、あの、真ちゃん。あんまりじっと見てると、その……」
真「ねえ雪歩。あいつの名前、教えてくれる?」
雪歩「え? 名前?」
真「うん。分かるよね?」
雪歩「それは分かるけど……まさか真ちゃん、警察に……?」
真「いや、警察は事件が起きてからじゃないと動いてくれないよ」
雪歩「? それじゃあ……?」
真「……雪歩、あいつの名前をネットで検索したことある?」
雪歩「え? な、ないけど」
真「最近はSNSが発達してるからね。皆、深く考えずに実名で色んなこと書いたりしてる。だからあいつも、もしかしたら本名で変なこと書いてるかもしれない」
雪歩「へ、変なこと?」
真「……あまり考えたくないけど、雪歩に対する卑猥な書き込みとか」
雪歩「ひっ!」
真「……ごめんね、雪歩。でもあんまり度が過ぎたものがあれば、名誉棄損とかで、警察も相手にしてくれるかもしれないだろ?」
雪歩「あっ、そ、そうか。そうだね……」
真「だから、ボクの方でそういうのがないか探してみるよ。でも、雪歩は決して自分ではやらないで。どんな書き込みが出てくるか分からないから」
雪歩「う、うん……ごめんね、真ちゃん」
真「いいんだよ。言っただろ? ……ボクは、雪歩の親友だって」
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