マルコ「僕からの贈り物」(44)

マルコが死んですぐ後、所属兵団を決める前日の夜の話
乙女思考なマルコさんの1人お喋り。
死ネタみたいな感じ。
気持ち悪いかも


マルコ「…あれ?」

マルコ「ここはどこだろう」

マルコ「薄暗くてあんまり周りがよく見えないなあ」

マルコ「凄く静かで、どうやら周りに人も居なさそう」

マルコ「なんで1人でこんなとこに居るんだっけ?」

マルコ「…ああ、そういえば僕あのとき」

マルコ「死んじゃったんだ」

マルコ「じゃあこの場所は、あの世ってことかな」

マルコ「あっけなかったなあ僕の人生。憲兵団に入って王に仕えるって夢も叶わなかった」

マルコ「…辛い」

マルコ「もっと生きていたかったな。生きて、人の役にたちたかった」

マルコ「今更言ったところでどうにもできないんだけど」

マルコ「少し、泣いてもいいかな」

マルコ「泣いたらちょっと落ち着いた」

マルコ「それに、だんだん目が慣れてきた」

マルコ「あ、あれは扉…かな?」

マルコ「どこに繋がってるんだろう」

マルコ「この扉を開けたら生き返ったり生まれ変わったりする、みたいな展開になるのかな」

マルコ「わからないけど、ここにずっと居るよりは行動してみた方がいいのかも」

マルコ「…開けてみよう」

期待

マルコ「ここは…男子部屋だ。なんでここに繋がったんだろう」

マルコ「一応物には触れるけど、身体が透けてるってことはやっぱり生き返ったってことではなさそう」

マルコ「まあそりゃそうか。はは、何考えてたんだろう僕は」

マルコ「…みんな寝てる。すごく疲れた顔して」

マルコ「あのあと、大変だったんだろうなあ」

マルコ「僕の死体ってどうなったんだろう。誰かすぐ見つけてくれたのかな」

マルコ「…あんまり考えないでおこう」

マルコ「それよりも…みんな、お疲れ様」

マルコ「なんか、このままお別れっていうのもすごく寂しいなあ」

マルコ「僕のみんなに対する気持ちを伝えてから消えたい」

マルコ「手紙を書くのもいいけど…さすがに信じないだろうし」

マルコ「死んだマルコから手紙だ!フゥー!みたいにはならないよね」

マルコ「死んだマルコから手紙だ…!怖い…!の方になるよなあ」

マルコ「…どうしようかなあ。何か方法…」

マルコ「うーん…」

マルコ「…あ、そうだ。あれを枕元に置いておこう」

マルコ「前に調べ物をしているときふと目にして、綺麗だったから覚えてたんだ」

マルコ「ちょっと乙女チックで恥ずかしいけど、いいよね」

マルコ「…取りに行って来よう」

マルコ「よし、いろいろ苦労したけど何とか取ってきた」

マルコ「これで僕の気持ちが全部伝わるなんて思えないけど」

マルコ「これぐらいが、ちょうどいい」

マルコ「まずは、ライナーに」

マルコ「君は常に冷静で、責任感も人一倍強くて、とても仲間思いだった。皆から信頼されていて、本当にお兄ちゃんみたいだったね」

マルコ「どんなに危険な役割だろうと、進んで引き受けてくれてたし。訓練中、君に救われたことが何度もあったよ」

マルコ「それとあわせて、実力もずば抜けてたしね」

マルコ「君はエレンを始め、みんなの憧れだった」

マルコ「尊敬する君には、これを贈るよ」

マルコ「次に、ベルトルト」

マルコ「君はどの分野もそつなくこなしてたね。キース教官からは、高い潜在性を持っているって言われてたし」

マルコ「ちょっと実力を押さえて訓練に臨んでいたって思うのは僕だけかな」

マルコ「自分の意志がないって言ってたってアルミンに聞いたけど、僕はそう思わない」

マルコ「君にはライナーと一緒に故郷に帰るっていう意志、目標があった」

マルコ「いつか必ず2人で一緒に帰れるように、これを贈るね」

マルコ「…寝相で潰さないでね」

マルコ「次に、エレン」

マルコ「エレン、君は訓練兵志願当時から巨人をぶっ殺したいとか言ってて正直怖いと思ってた」

マルコ「でも5年前、巨人の恐怖を目の当たりにして、それでもそう言うのは、すごく勇気がいることだと思う」

マルコ「君の熱意や、訓練兵になってからの努力、本当に頭が上がらないよ」

マルコ「その熱意のおかげでジャンとよく喧嘩してたけど…まあ、それも思い出になるよ」

マルコ「君が調査兵団に入団して、人類の為に活躍できるように、これを」

マルコ「次は、コニ―だね」

マルコ「コニ―はいつもその明るい性格で場を和ませてくれた。対人格闘術のとき、サシャとふざけて訓練してるのを見て思わず笑ってしまうときがあったよ」

マルコ「自分のことを馬鹿だ馬鹿だっていってるけど、それを補えるぐらいの俊敏さやバランス感覚もある」

マルコ「故郷のみんなを見返してやるんだって言ってたけど、今の君ならきっとみんな認めてくれる」

マルコ「君と、君の故郷にいる家族の幸せを願って、これを贈るよ」

マルコ「次は、アルミン」

マルコ「アルミンはジャンの次に一緒に居ることが多かった気がする」

マルコ「君はとても優しくて、周りへの気配りも忘れない人だった」

マルコ「アルミンは自分のことを小柄だし、体力も全然ないって言ってたけど、その頭の良さ、知識の豊富さにはいつも驚かされたよ」

マルコ「その知識があったら、どこの兵団に行っても大活躍だね」

マルコ「君のその知識と優しさに敬意を込めて、これを」

マルコ「最後に…ジャン」

マルコ「君は本当に正直というかなんというか…いや、いいことなんだけどね、正直なのはさ」

マルコ「でも言いたいこと言い過ぎてエレンと喧嘩ばっかりしてたじゃない。後始末する僕の身にもなってよね全く」

マルコ「他の人にもきっと嫌な思いさせてたよ」

マルコ「でもそんな正直なところ、僕は嫌いじゃなかった。寧ろ好感が持てた」

マルコ「そういう様に言いたいことは言えて、しかも現状認識能力のあるジャンだからこそ、指揮役に向いてるんだ」

マルコ「君は僕の方が向いてるって言ってくれたけど、そんなことない」

マルコ「…死んでしまったら指揮も何も出来ないからさ」

マルコ「ジャン、今まで本当にありがとう。君は僕の一番の親友だ。ずっと忘れない」

マルコ「大好きな親友の君には、これを贈るね」

マルコ「…ふう」

マルコ「これでおしまい」

マルコ「なんだかこんなに1人でいっぱい喋ってちょっと恥ずかしいけど」

マルコ「…ちょっとでも伝わるといいなあ」

マルコ「あれ、なんか身体がもっと透けてきた」

マルコ「うわあ」

マルコ「…ついに消えるってことなのかな」

マルコ「まあそうだよね。僕死んでるんだし、いつまでもこんなとこ彷徨ってられない」

マルコ「神様が少し猶予をくれたんだよね。優しいなあ」

マルコ「ふふ、みんなに最後に会えて嬉しかった」

マルコ「さようなら。みんなこれからもっと大変になるだろうけど」

マルコ「元気でね、僕の大切な友達」


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ジャン「…朝か…」

ジャン「身体だるいな…まだ疲れ取れねえ」

ジャン「とりあえず顔でも洗いに行くか…おい、マルコ…」

ジャン「…ああ、馬鹿か俺」

ジャン「あいつはもういねえのに…ん?」

ジャン「なんだこれ、枕元に…」

アルミン「…ねえみんな、起きた?」

ジャン「お、おう。なあアルミン、なんか変なんだよ、起きたら枕元にさ」

アルミン「…ジャンも?」

エレン「俺もだ」

ライナー「俺も」

ベルトルト「僕もある…(奇跡的に寝相で潰してない)」

コニ―「なんだよこれ。誰か寝てる間に置いたのか?」

ライナー「寝る前には何もなかったしなあ…それしか考えられんが」

アルミン「でも、部屋の鍵はかけて寝たから、この部屋の中の誰か?」

ベルトルト「乙女趣味だね」

エレン「お、俺じゃねえぞ!」

ジャン「もちろん俺もだ!」

コニ―「俺も!」

アルミン「僕も違うし」

ライナー「俺もだ。こんなん俺が枕元に置いてるの想像してみろ。なんか怖えだろ」

ベルトルト「想像させないでよ…僕も違うからね」

アルミン「うーん…じゃあなんなんだろうねこれ」

ジャン「考えてもわかんねえな。とりあえず顔洗って朝飯食いに行こうぜ」

アルミン「そうだね。一応これは食堂に持って行こう。何か知ってる人がいるかもしれない」

マルコなんで死んでもうたん?

マルコってだけで泣ける

>>5
ありがとう。期待に添えるかわからんが…

>>22
なんでだろうねー。いつか明らかになるんだろうか

>>23
マルコは素敵男子。

食堂

サシャ「皆さんおはようございます…」

クリスタ「おはようサシャ」

ユミル「…元気ねえな芋女」

アニ「そりゃあねえ」

ミカサ「…仕方がない。あんなことがあったすぐ後だから」

アルミン「みんな、おはよう」

ミカサ「おはようアルミン」

ユミル「…なんだアルミン、そんなもん持ってよ」

アニ「そんな趣味あったの。似合うね」

アルミン「違うよ!朝起きたらさ、みんなの枕元に置いてあったんだ」

ジャン「誰がおいてったのかわからねえんだよ」

ライナー「何か知ってる奴がいるかもと思って持ってきたんだ」

サシャ「うーん…すみませんがわからないですねえ…」

ミカサ「私も」

ユミル「私もだ」

アニ「同じく」

クリスタ「私もわからない…けど、綺麗ね」

クリスタ「そのお花」

コニ―「まあ確かに綺麗だけどよ」

ベルトルト「いきなり枕元に花があったらびっくりするじゃない」

クリスタ「まあそうだよね。…あ、ちょっとその花見せてくれない?」

アルミン「いいよ、どうぞ」

クリスタ「ありがとう」

ユミル「天使が花持ってる光景…たまらんなあ」

サシャ「食べれる花ですか?」

アニ「ちょっと黙っときな」

ミカサ「サシャ、ダメ」

サシャ「はい…」


クリスタ「これ、みんなの枕元にあったっていってたよね?」

ジャン「おう」

エレン「一人ひとり、違う花があった」

クリスタ「そっか。…ねえ、これって花言葉に関係してるんじゃない?」

コニ―「花言葉?」

クリスタ「そう。ある花や植物に特定の意味をもたせたものなの。言葉を花に託して自分の意志を伝えたりするんだよ」

ベルトルト「へえ」

アルミン「僕も花言葉自体は知ってるけど、どの花がどの意味とかわかんないや」

クリスタ「ふふ。私そういうの結構好きだから覚えてるんだ。ちょっとみんなの花見てあげる」

クリスタ「まず、ライナーの枕元にあった花はどれ?」

ライナー「おう、これだ」

クリスタ「これね。この花は、ゼラニウムっていうの。花言葉は、尊敬と信頼」

ライナー「ほう」

クリスタ「ライナーにぴったりだね」

ライナー「…ありがとな」

クリスタ「次、ベルトルトね」

ベルトルト「うん。僕のはこれだった」

クリスタ「これは、小紫陽花(こあじさい)っていう花。花言葉は、成就」

ベルトルト「…そうなんだ」

クリスタ「うん。なにか成功させたいことでもあるの?」

ベルトルト「…ふふ。内緒だよ。ありがとう見てくれて」

クリスタ「次はエレンの花を見せて」

エレン「おう、これ」

クリスタ「エレンのはプリムラ。花言葉は、運命を開く」

エレン「へえー」

クリスタ「これもエレンらしいね。調査兵団に入って、人類の運命を切り開く、ってことかな」

エレン「へへ」

クリスタ「はい、次はコニ―」

コニ―「はいよー俺の!」

クリスタ「これはサルビアね。花言葉は家族愛」

コニ―「家族愛か…いい言葉だな」

クリスタ「コニ―は家族が大好きだもんね。羨ましいなあ」

コニ―「褒めんなよ…照れるだろ」

クリスタ「アルミン」

アルミン「うん。僕のはこれ」

クリスタ「これはムラサキツユクサ。花言葉は知恵の泉、優秀だよ」

アルミン「へえ…」

クリスタ「すごいね、これ置いてった人的確すぎだね」

アルミン「そんな…ありがとうクリスタ」

クリスタ「最後はジャンね」

ジャン「おう。よろしく」

クリスタ「ジャンの花は、マリーゴールド。花言葉は」

ジャン「ん」

クリスタ「友情、だね」

ジャン「……」

ジャン「そうか。ありがとなクリスタ」

アニ「あんたすごいね」

ミカサ「うん」

サシャ「さすがクリスタですね!」

ユミル「私のクリスタだからな!」

クリスタ「へへ。ありがとう」

ミカサ「暗い雰囲気が少し和んだ気がする」

ジャン「…なあ」

アルミン「うん」

ジャン「あり得ねえって思うんだけどよ」

ジャン「これ誰が置いてったかわかる気がする」

アルミン「…そうだね」

コニ―「俺も」

エレン「うん」

ライナー「ああ」

ベルトルト「はは。まさか彼にこんな乙女趣味があったとはね」

ジャン「全くだぜ。こんなもんどこで覚えたんだよあいつ」

ジャン「なあクリスタ、これ保存する方法ってあるのか?」

コニ―「このままじゃ枯れちまうよな」

クリスタ「押し花にしたら保存できるよ。よかったらしようか?」

ジャン「いや、やり方だけ教えてくれ。あとは自分でやりたい」

ジャン「あいつからの、最後の贈り物だしな」


終わり。読み返すといろいろ捏造してしまってる。残念。
読んでくれた人ありがとう。

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