P「だれにも言えねぇ」 (10)
B'zの『だれにも言えねぇ』を基としたあずささん誕生日おめでとうSSです。
間に合いませんでしたが…。
ちなみに『Warp』や『泣いて泣いて泣き止んだら』の方とは別人です。
この2作品を読んで触発されただけの拙作ですがよければお付き合いください。
※ゲーム本編と違い、アイマスからアイマス2で一貫して同じPで話が繋がっているという世界観です。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1374261636
小さいながら12人のアイドルを抱え、しかもそれぞれがそれなりのランクに位置しているアイドル事務所『765プロ』
俺はそこのプロデューサーだ。 ああいや、もう一人のプロデューサーがたまにアイドルとしてステージに立つからな。
訂正。 13人のアイドルを抱える765プロだ。
今、そんな俺に人生の分岐点とも言える状況が訪れている。
「プロデューサーさん、また迷子になってしまわないように、手を繋いでもらえますか?」
この一言が発端だ。
彼女の名前は三浦あずさ。
今は俺の担当ではないが、765プロを代表する人気ユニット『竜宮小町』のメンバーだ。
実は前に1年ほど俺が担当していたことがある。
あずさ「担当が変わってもまだまだプロデューサーさんには迷惑をかけっぱなしですね〜。 申し訳ありません。」
片手を頬に添え、形の良い眉を下げながら謝るあずささん。
奇跡的なレベルの方向音痴であることを、やっぱり本人も気にしているようだ。
日も落ち始め、事務所へと戻る帰り道。
どこかから聞こえてくる子犬の遠吠えさえも、なんだか劇的な何かに聞こえてしまう。
P「いいんですよ。 こうやってあずささんを迎えに行くのも、俺は楽しいと思ってますから」
これは本心だ。 以前から本人に伝えてもいるが、それでもどうしても気になるようだ。
たしかに迷わないに越したことはないのだが。
P「気にしないでくださいともう何度も言ってるじゃないですか。 それこそまだあずささんの髪が長かった頃からずっと。」
俺が担当してた頃から、とは言えない。
言えない理由があるわけじゃない。
ただなんとなく、本当になんとなく俺がビビってるだけ。
あずさ「そうですね〜。 それじゃあもうちょっとだけ甘えちゃおうかしら? ふふっ。」
繋いだ手をギュッと握られる。
触れ合った指がビリビリしびれてるような感覚に陥る。
俺はきっとこの人のことが好きなんだ。 ものすごく。
気づいてしまった。 いや、わかってたけど俺が逃げてただけだ。
俺はプロデューサー、相手はアイドル。 そんな立場を言い訳にして。
でも、こんなにハッキリ自覚してしまったら、もう逃げられないな。
横を見れば、少し青みがかった黒髪を風に揺らすあずささん。
…こうなったらもう、ぜんぶ受けとめようか。
あずさ「…? プロデューサーさん?」
俺が見ていることに気づいてあずささんもこちらに顔を向ける。
不意に視線がぶつかり、そのまま見つめ合う。
P「あずささん」
向かい合って見つめ合いながら、自然にあずささんを抱き寄せる。
あずささんは一瞬戸惑ったものの、そのまま俺に身を任せてくれた。
アイドルとプロデューサーがそんな関係になんかなれるか。
そう思い、ありえないと諦めながら、
それでもいつかこうなる日がきますようにと強く願っていた。
…もう何かの、誰かのせいにして逃げたりはできない。
P「離しません。 離したくありません。 あずささんが居れば、他に何もいらないんです」
あずさ「…! ふふっ、やっと言ってくれましたねプロデューサーさん。 …私もですよ。」
こんな事があったなんて、だれにも言えませんね…。
そう言いながら、あずささんも腕を伸ばし抱きしめ返してくる。
動悸がする。
めまいもする。
息がきれる。
俺は小心者なんだ。
今日、覚悟を決めてふみ出した大きな一歩。
覚悟はしても、立場的に問題ありなのは変わらない。
律子になんて言おうか。 社長はなんとなく許してくれそうだな。
そんな、この先に待ち受けているであろう出来事を想像する。
あずささんのためにも俺がビシッと報告しないとけじめをつけられない。
でも、意気地なしのビビりだからこそ、こうなるのにこんなに時間をかけてしまった俺だ。
正直いまもビビっているけど、そんなことは
P「だれにも言えねぇ」
拙い上に短いSSでしたが、これで終了です。
あずささん、誕生日おめでとうございます。
ではHTML化依頼だしてきます。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません