比企谷「(俺の周りの女子のうち一人の専業主夫になるとしたら誰が最適だろう…)」 (23)

比企谷「(まず…)」チラッ
由比ヶ浜「暇だなー」
比企谷「(ふっ。こいつに期待してもおそらく何も出てこないだろう)」
   「(第一こいつはアホの子だ。将来俺を充分に養えるほどの収入がある仕事に就けるとは思えない)」
   「(OLになるならどこかの三流企業だろうし、医者や弁護士なんてもってのほかだ)」
   「(いっそのことテレビにでてアホの子っぷりをはっちゃけちゃったほうがこいつの為かもしれない)」
   「(しかしTVタレントなんて不安定な職業の女の専業主夫なんて論外だ。俺が求めるのは安定だ。安くても定まっていればいい)」
由比ヶ浜「ねぇヒッキーさぁ、さっきからあたしの事馬鹿にしてない?」
比企谷「普段からしてるよ」
由比ヶ浜「なっ!超失礼だし!」
比企谷「(まぁなんにせよこんな泥船にのるなんてあり得ないな。由比ヶ浜は優しいがやはり養ってもらうとなると頼りない)」
   「(となると)」チラッ
雪乃下「…」ペラッ

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比企谷「(そぅ考えるとやっぱり雪乃下は優良物件だな)」
   「(成績優秀だし、親だって県会議員だし)」 
   「(こいつのことだから親の七光をフル活用、なんてことはないだろうけど公務員になる確率はおおいにある)」
   「(そうすれば『美人過ぎる県会議員』とか話題になってテレビにも出るようになって…)」
   「(テレビで飽きられても公務員だから食いっぱぐれることもないだろうし)」
   「(結構イイんじゃないか?)」
雪乃下「…あの、言いにくいんだけど先程から凌辱するような目つきで私のことを見つめるのをやめてくれるかしら」
比企谷「(前言撤回。こいつは性格に大きな問題があるんだった。玉に傷というかひびだ。欠損だ)」
   「お前さ、毎度のことながら自信過剰すぎんだろ」
   「性格を知っちゃってる俺からすればお前なんて特に凝視する対象じゃねぇから」
雪乃下「あら、あなたの目の腐敗具合はそこまで進行していたの?」
   「ごめんなさい、私を見つめていたのは私が誰なのか確かめるためだったのね」
比企谷「(こんなのと同棲したら三日もたたないうちに精神的に八つ裂きにされる)」
   「(あれだ、俺をサンドバッグ代わりにして暴言という拳をぶつけてくるに違いない。毎日)」
   「(もっと穏やかな生活が良い。由比ヶ浜が泥船ならこいつは剣山だな。うん)」
平塚「邪魔するぞ」ガラッ

比企谷「(…)」チラッ

平塚「ん?どうした、比企谷」

比企谷「いや、なんでもないっす」
    「(この人はまずないな。大体俺より同い年、または年下じゃなきゃ俺の事を死ぬまで養ってくれるかどうか)」

場所は教室に移る

比企谷「(ふむ、クラスメートで顔見知りと言えば)」

三浦「あーしさぁ、マジ天才なんだけど」

比企谷「(三浦か。スペックをそれほど知っているわけではないがなぁ)」
    「(金髪だし。『あーし』とかいってるし。性格悪いし)」
    「(まぁ石油でも掘り当てたら飛びつくけどさ。尻尾振って)」

比企谷「(他は…)」チラッ
    「(海老名さんとか)」
    「(…)」
    「(でも彼女キャラ強すぎだろ)」
    「(あのまま大きくなっちゃったら将来何になるの?漫画化?成人向けの。BLの)」
    「(だとしたら彼女についてくなんて博打をうっているようなものだろう)」
    「(俺の周りはざわざわしてないし、賭博黙示録じゃないし。そんな危ない橋を渡るリスクを背負いたくはない)」
    「(大体リスクを背負いたくないから主夫になるんだ。海老名さんだったら本末転倒じゃないか)」
    「(ってことで誠に残念ではありますが海老名さんも除外)」

平塚「最近は遅刻がなくなったと思ったら、久々の重役出勤だな」

川崎「…」コクッ

比企谷「(川崎か)」
    「(川崎は俺の知る限り将来設計がちゃんとできていそうだし、ちゃんとした仕事に就きそうだ)」
    「(バーとかでバイトしてたし、手に職も付いてるというか)」
    「(性格がちょっと問題有りかもしれないが)」
    「(川崎が制服に身を包んで財布だけ持って昼食時に同僚ときゃっきゃいいながら手頃な飲食店に入るところとか想像できんし)」
    「(となると将来こいつは自営業かな?)」

川崎「…さっきからなんか用?」ギロッ

比企谷「いやっ、なんでも。すみません」
    「(謝っちゃったよ。こえぇよ。バーテンダーよりも番犬向きだろ)」
    「(にしてもこれだけ嫌われてると養ってくれるかどうか)」
    「(無論他の面々も個人的な感情は一切無視していたわけだが)」
    「(だってギャルゲーみたいに好感度が数値で現れるとしたら俺ほとんど0だし)」
    「(攻略率もおそらく0%だし。もしかしたらマイナスかもしれない)」
    「(俺ちょー可哀そう。こんなに健気に夢に向かって走っているのに)」

比企谷「(次は…)」チラッ
    「(…)」チラッ
    「(マジか、もぅ弾切れか。流石に速過ぎるでしょ比企谷さん)」
    「(そりゃ相模とか会長とも顔見知りっちゃ顔見知りだけど…)」
    「(相模はもぅ川崎以上に俺を嫌ってるからおそらく宇宙人の進撃から俺が救ってあげてもまだパロメーターはマイナスだろう)」
    「(会長については良く知らないし)」
    「(駄目だ、本当にもぅ終わり)」
    「(顔見知り全員に寄せ書き頼んでも色紙一枚埋まんねぇよ俺。大体顔見知りはかいてくれねぇし)」
    「(寝よ。現実逃避しよ。夢の世界で皆に養ってもらお)」
    「(『皆』の人数が二桁にも至らないこの俺のコミュ力。恐ろしい)」

戸塚「」ヒョイヒョイ

比企谷「(なんだぁ)」

戸塚「おはよ」クスッ

比企谷「(おいおい、俺は最良の人材を見落としていたじゃないか)」
    「(優しくて可愛くて真面目そうで。完璧だ。完璧すぎて恐ろしいほどだ)」
    「(こんな女性が俺の近くにいたなんて、なんで今まで忘れてたんだ。くそっ、俺のバカ者)」
    「……毎朝、俺の味噌汁を作ってくれ」

(2巻pg69に続く…)

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