さくら(……私って本当に持っとらん)
さくら(何をやっても無駄だって分かっとって、諦めるのが正解だって知っとったとに……)
さくら(馬鹿みたいにアイドルになりたいなんて思って期待して、浮かれていつもより早く家を出たら撥ねられて死んだ)
さくら(これが、私の人生……)
剛雄「お嬢さん怪我はなかか? 飛び出したら危なかよ」
さくら「え、あれ? 私、死んどらん……?」
剛雄「封筒落しとーばい、はい」
さくら「あ、ありがとうございます……」
剛雄「オーディション受けると? 頑張りんしゃい」
さくら「は、はい……」
さくら「…………」
剛雄「どがんした? どこか痛むと?」
さくら「いえ、その……私って全然持っとらんくて……何やってもダメで……」
さくら「もう一回だけ頑張ろうて思ったとに、トラックに撥ねられそうになるし……こやんでオーディション大丈夫かなって……」
剛雄「そうか……大変やったね。でも大丈夫、お嬢さんが持っとらん分おじさんが持ったるけん」
剛雄「それにお嬢さんの悪いもんもトラックと一緒に全部おじさんが今受け止めたけん、きっと大丈夫ばい!」
リリィ「パピィが持っとるんはトラックやけん。早う下ろしちゃげんと、運転手さん怖がっとーよ」
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麗子「サキッ!」
ドラミ構成員A「麗子さんッ!」
ドラミ構成員B「いかんですって!」
麗子「サキッ!! サキ――ッ!!」
剛雄「がばい危なか」
『!?』
ドラミ構成員A「――ッ!」
ドラミ構成員A「麗子さん! おっさんが担いどるんって……!」
サキ「あー痛って……」
麗子「サキ!」
剛雄「こがん危なかことやめんね。もしもんことがあったらどがんすっつもりなんや」
ドラミ構成員B「あん爆発からサキを助け出したんか……?」
ドラミ構成員C「すげぇ……体格のレベルが違いすぎる……」
コロスケ初代総長「完敗たい……おっさんめちゃくちゃ気合入っとるやん。アンタ間違いなく人間の伝説になるばい」
剛雄「おっと肝心なこと忘れとった」
コロスケ初代総長「?」
剛雄「これ今週から始まるドラマ『ガールスカウトマニアの事件簿』んポスターばい、貰うてって」
コロスケ構成員A「知っとー知っとーこれ今週からやったと?」
コロスケ構成員B「主演ん子がばいやーらしか!」
剛雄「うちん子出っけんよろしゅうね」
リリィ「パピィどこ行っとったと?」
剛雄「決まっとるやろ、宣伝活動ばい!」
リリィ「パピィ張り切りすぎー!」
愛「~♪」
ゴロゴロ……ピカッ ドゴ――ン!!
観客A「きゃああああ大変よ――ッ!! 愛ちゃんに雷が落ちたわああああ!!」
観客B「待てッ愛ちゃんは無事だ! 雷が落ちたのはステージに立つ愛ちゃんよりもデカイあのおっさんだ!」
観客C「ありゃ直撃たい、おっさん死んだっちゃない?」
剛雄「な、なんね! なんば起こりよったと!?」
リリィ「うわあ! パピィ光っとる!!」
不時着した旅客機の機長はその時の様子をこう語る。
機長「はい、その時は既に操舵が不可能な状態でした」
機長「原因ですか? 捜査の結果が出るまでは……はい、すみません」
機長「もちろん最後まで諦めませんでした。ですが眼前に山が迫ってきた時に死を覚悟したのも事実です」
機長「そうです、あれを見たのはその時です。突然山が動き出したかと思えば辺りが暗くなって何も見えなくなりました」
機長「そして奇妙な浮翌遊感をしばらく感じた後、外が明るくなった時には機体は既に着陸していたんです」
機長「ふと外を見たら空中に巨大な手が2つ……山もよく見ると人のような形をしていて……」
機長「あれはきっと仏です。仏の御手が機体を包みそっと地上へ下ろしてくれたとしか思えません」
機長「写真ですか? 撮るタイミングなんてありませんでしたよ。私が眺めている間にスッと消えてしまいましたから」
機長「ええ、信じられないでしょうね。ですが私は見たものをそのまま話しているだけです」
機長「奇跡の着陸は私の手腕などではありませんよ」
リリィ「サイズ戻って良かったね」
剛雄「雷に打たれたら大きゅうなるなんて聞いたことなか焦ったばい」
剛雄「さっきん飛行機ん急に向かってきたけん、咄嗟に掴んでしもうたけど大丈夫やったかな?」
リリィ「パピィそっと下ろしとったけん大丈夫やって」
剛雄「正雄! 足の毛なんてそればよかさ! 大人になった証拠ばい」
剛雄「いつまでもそげんな格好じゃいられんとぞ! 開けんね!」
リリィ「大人になんてならんもん! パピィみたいになりとうない! パピィのバカ!」
リリィ「……? お弁当のひじき?」
リリィ「あわわわわわわわ……」
ヒゲェ―!!
剛雄「正雄!? 開けるぞ!」
リリィ「」
剛雄「正雄……!? 正雄ォォォォォッ!!」
――――――――
――――
――
リリィ「あれ、ここどこ?」
?「正雄……どうして……」
リリィ「あれは、マミィ!」
リリィ母「正雄……こっちへ来てはダメ……」
リリィ「どうして? せっかく会えたのに……」
リリィ母「こっちへ来たらもう帰れなくなるの……私は無理だけど正雄ならまだ戻れるわ……だから帰って」
リリィ「でもここマミィしかいないよ? リリィが帰ったらマミィが一人ぼっちになっちゃう……」
リリィ母「私はこうして正雄と会えただけで満足よ……。それにお星様になって2人を見守ることだって出来るの。だから、遠くにいるけど一人じゃない……」
リリィ母「それにこれは内緒だけど、実は私より剛雄さんの方がさびしん坊なのよ? だから戻ってあげて……」
リリィ「……わかった」
リリィ母「いい子……元気でね、私の正雄……」
――
――――
――――――――
……お!」
……さお!」
剛雄「正雄っ!!」
リリィ「……あれ……パピィ……?」
剛雄「良かったっ……! 本当に良かったっ……!」
リリィ「リリィどやんしたと?」
剛雄「ドアば開けたら正雄が倒れとって……心臓も止まっとって……」
剛雄「お父さん中にまだ雷残っとったけん、必死に電気ショックしたんばい!」
リリィ「そっか……」
リリィ「パピィ……酷かこと言ってごめんね」
剛雄「誤るんはお父さんの方ばい……正雄のこと見とる言うたとにちゃんと見とらんやった……」
剛雄「これからはちゃんと良かお父さんになるっごと頑張るけん、だけんずっとそばにおってほしか……」
リリィ「うんっ、リリィもパピィと一緒にいたい……」
リリィ「……ねぇパピィ?」
剛雄「なんね?」
リリィ「大好きだよ」
幸太郎「……さて、ゾンビィランドサガプロジェクトを立ち上げたは良いが……」
ゆうぎり「人手不足でありんすなぁ」
たえちゃん「ヴァウ」
おわり
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