【ミリマス】七尾百合子「おやすみの挨拶」 (37)
アイドルマスターミリオンライブ!のSSです。
書き貯めなし、のんびりと投稿していきます。
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◆
4月某日。
765プロに所属するアイドル七尾百合子と、同じく765プロでプロデューサーを務めるPは白雲を眼下に眺めながら空を飛んでいた。まだ夏を迎えるには早いどころか春を迎えたばかりだが、芸能業界では流行や季節を先取りした企画が次々と立案される。年始の番組を年内に撮ってしまうなんてことは、この業界では当たり前だ。それはアイドル業も例外ではなく、2人は水着のグラビア撮影のために南国へ向かっていた。
いたいけな15歳の少女の水着姿なんて、犯罪まがいじゃないか?
と、Pは機内でとりとめもない思考を巡らせる。もちろん、少女の両親の下へは説明に伺い、許可をもらってはいるものの、尾を引くものがないと言えば嘘になる。せめて、水着のグラビアを掲載するのは高校生以上になってからにしたほうがいいのではないか。彼はそう考えているが、芸能業界に関わる者として頭が固すぎるかもな、と結論付け思考をストップする。
私は目を閉じて、少しだけ上を向いた。
確信犯だったか、飲み物のことも併せて百合子やるじゃないか
エンディングも楽しみにしてる、乙です
>>3
七尾百合子(15) Vi/Pr
http://i.imgur.com/bNzxvub.png
http://i.imgur.com/lZ6eO6P.jpg
http://i.imgur.com/HVaj4LG.png
お疲れさまです。
書き終えましたので、2パターンのエンディングを掲載します。
では、本ルートから。
結果から言えば、私は撃沈した。
キスを乞う私を見て、プロデューサーさんはなんと
「なんだ真っ赤になって口突き出して。タコの真似か?」
と言い放ち、自分の部屋に戻っていった。
寝る前の挨拶にタコの物真似を始めるアイドルがどこにいるというのだろう。プロデューサーさんは恋愛経験がないんだろうか。私も初めて好きになった人がプロデューサーさんだから、あまり人のこと言えないけど…
私は自室のベッドに倒れ込み、足をパタパタと叩きつける。行儀が悪いなんて知らない。傷ついた乙女心の前に、行儀なんてものは存在しない。
いっそ、プロデューサーさんのことなんて放っておいて、別の男の人を好きになってしまおうか。そんなことを考えるけど、やっぱり浮かぶのはプロデューサーさんのことばかり。私をからかうときの妙に真面目ぶった顔、仕事先の人と話すときの真剣な顔。そして、私が仕事やライブで上手くいったときに一緒に喜んでくれるあの笑顔。別にイケメンってわけじゃないけれど、一緒に過ごしてきた時間が、プロデューサーさんのことを王子様に変えてしまう。これが、「惚れた弱み」っていうのかな。
ブーッ、ブーッ。
ベッド脇に置かれた携帯が着信を教えようと震えている。今の気分からして電話なんて出たくないけれど、杏奈ちゃんからの電話だったら話を聞いてもらえるかな、なんて打算もあって画面をのぞき込む。
発信者の名前はプロデューサーさん。なんで、どうして、プロデューサーさんが?頭の中は急に動き出す。だけど、突然の稼働に脳内の歯車が噛み合ってないから思考は一向にまとまらない。
出たくない。仕事のこと?声が聞きたい。なんで電話?プロデューサーさんは…
私がこんなに想っていること、知っていますか?
プロデューサーさんからの電話に出ないなんて選択肢は私の中にはなくて、結局散らかった頭のままコールに応えた。
「…もしもし」
『いつか、俺のほうからするから、それまで待っていてくれないか』
「…えっと、はい?」
やっぱりまとまらない頭で出るんじゃなかった。変な声が出る。
『さっきのことだよ。百合子が求めてくれたのは分かってたし、気持ちにも気づいてた』
『応えたいから、いつか俺のほうからするよ。それまで、待っててくれないか』
女の子はフシギな生き物で、愛や恋が絡むと途端に計算が上手になる。私も、その計算機関は備えられていたようだ。嬉しいきもちとなんだか泣き出したいきもちを隠すために、こんなイジワルなことを言ってしまう。
「いつかっていつですか」
『いつかはいつかだよ』
「なんですか、それ」
『俺が適当なのはいつものことだろ』
「そうですね」
思わず笑みがこぼれる。さっきまで私の心は深い海の底にいたのに、今でははるか雲の上。いつも通りの会話が出来ちゃう。こうやって女の子は恋愛上手になっていくんだろうな。
だから、ちょっと成長した私から一言だけ。いつもからかわれてるプロデューサーさんにやり返してやるんだ。
「私、待ってますから。できるだけ急いでくださいね」
電話の向こうでプロデューサーさんがまいったな、なんて苦笑いしている様子が浮かんだ。
本ルートは完結です。
では、ifルートを投稿していきます。
>>18の続きからです。
~ifルート~
◆◆◆◆◆◆◆
ドクンッ、という音が耳から聞こえた。それは1回じゃ終わってくれなくて。繰り返す心臓の音がうるさくて、意識をハッキリとさせてくれない。高鳴る鼓動を止めたくて、なにか支えてくれるものが欲しくて。俺は百合子の肩に手を置いた。
一瞬。それでも、それと呼ぶには確かな行為。
じゃあ、おやすみ。
おやすみの挨拶を終えて自室に戻る。この言葉が口に出ていたかは分からない。百合子の耳に届いていたかも知れないし、自分の中に留まっていたかもしれない。でも、今はすぐに去るのが正しい。
じゃないと、もっと百合子を求めてしまうから。
◆◆◆◆◆◆◆◆
自分の部屋に戻って、朦朧とした頭でベッドに倒れ込む。
一瞬ではあったけど、確かに彼のぬくもりを感じた。一瞬ではあったけど、彼の決意を感じた。
アイドルとプロデューサー。未成年と社会人。私たちの間にある障害は、乗り越えられるなんてものじゃない。
でも、そんな障害がどうでもいいくらいの達成感と多幸感と。最初の不可侵領域を踏み入れてしまったら、もう際限なく求めてしまう。まとまらない頭を休ませたくて、百合子は瞼を閉じる。そして、意識を手放す直前にこんなことを思った。
エッチな下着、つけてたんだけどなぁ。
本編には関係ない読まなくてもいい前作
【ミリマス】P「あの子と待ち合わせ」
【ミリマス】P「あの子と待ち合わせ」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1553598334/)
ということで、有川浩『県庁おもてなし課』をよろしくお願いします。
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