望月聖「寒いんです…すごく……」 (4)

歌うのが好き

歌っているときは、自分が確かにここにいるんだって、そう実感できるから

時々、お外や公園の中でも歌ってみたりする

ベンチにジャングルジム、それにブランコ

私だけの小さなステージ

今日も…お客さんは来なかったけれど……

……私の声、誰かに届いていますか…?

私はここに…ほんとうに存在してるの……?

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ちひろ「プロデューサーさん」

モバP「…」カタカタ

ちひろ「プ、ロ、デ、ュ、-、サ、-、さ~ん?」トントン

モバP「!」ビクッ

ちひろ「わっ、と…」

ちひろ「もう!そんなにびっくりしなくてもいいじゃないですか!」

モバP「すいません…」

ちひろ「もうそろそろ時間ですけど…どうします?」

モバP「そうですね…あがりましょうか」

ちひろ「了解です!出る準備、しておきますね~」

モバP「お願いします」

*  *  *

少し前、勤めていた会社が潰れた

詳しく言えば社長一家が夜逃げした、らしい

自分は下っ端で財務状況のことなんてまるで知らなかったが、どうやら相当な業績赤字を出していたみたいだ

社長は逃げるとき、会社の金も引き出していってしまったらしく、給料の目処もたたなかった

そんな時、俺に声をかけてくれたのが、このアイドル事務所の社長だった

モバP(これで8社目…か…)トボトボ

モバP(時期も悪い…そもそも、こんな時期に応募している会社なんてほとんどない…)トボトボ

社長「君ィ!」

モバP(まだ貯金が残っているとはいえ、これ以上はさすがにまずい…)トボトボ

社長「君だよ、君ィ!」ガシッ

モバP「!」ビクッ

社長「おっと、すまない…驚かせるつもりはなかったんだが…」

社長「私、こういうものなんだが…」スッ

モバP「アイドル事務所の…社長…?」

社長「あぁ!」

社長「…とはいってもまだ作り立てでアイドルの一人もいないんだがね!ははは!」

モバP「はぁ…」

モバP「それで…アイドル事務所の社長さんが私に何の用でしょうか…?」

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