伊織「新型コトリウイルス?」 (62)

やよい「おはようございまーす!」

伊織「おはよう、今日も一日…」

P「やよい!伊織!このアルコールで消毒しろ!」

伊織「え?」

やよい「は、はい…」


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P「マスクは…しているな!よし!そのまま間隔を開けておくんだぞ!」

伊織「一体全体どうしたのよ?」

P「知らないのか!?今、ウイルスで大変なことになってるんだよ!」

やよい「それは知ってますけど…」

伊織「そんなの今に始まったことじゃ…まさか、事務所内に感染者が出たの!?」

P「そのまさかだよ…換気も徹底してたのに…クソ!」

やよい「そんな…」

伊織「私たちも検査を受けないと…」

P「そんなことより、この場から離れることが先だ…じゃないと…」

律子「うぁぁぁぁぁあ!?」

やよい「こ、この声は…」

伊織「律子!?」

P「チッ…始まったか…」

律子「うぁぁぁぁぁあ!?うぁぁぁぁぁあ!?」

やよい「律子さん!律子さん!早く病院に…」

P「近寄ったらダメだ!やよいまで感染する!」

やよい「でもこのままじゃ律子さんが…」

伊織「そうよ!どうするのよ!?」

P「落ち着け、高熱にうなされるのはまだ初期症状…すぐに治る…」

律子「はぁ…はぁ…はぁ…」

やよい「律子さん!」

伊織「治ったのね!?」

P「問題はこの次だ…」

律子「…い」

やよい「へ?」

律子「と…い…」

伊織「なんて言ってるのよ?」

律子「とお…と…い…」

やよい伊織「「尊い?」」

P「まずい!離れろ!やよい!伊織!」

やよい「え?」

伊織「何よ!?何が起こってるの!?」

ガチャッ

高木「おはよう、諸君!」

P「チッ…まずいタイミングで…」

律子「プロ…デューサー殿…社長…」

P「律子!しっかりしろ!」

律子「…P高」

やよい伊織「「P高?」」

律子「いやぁぁぁぁあ!?P高尊いぃぃぃぃい!」

高木「ど、どうしたんだね?」

P「社長!軽率に話しかけないでください!」

律子「いやぁぁぁぁあ!?『俺以外に話しかけるな』ってぇぇぇえ!?独占欲尊いぃぃぃぃい!?」

P「チッ…腐ってやがる…」

伊織「な、何よこれ…どういうこと?」

やよい「律子さんは…感染しちゃったんじゃ…」

P「あぁ…完璧に感染してるよ…『新型コトリウイルス』にな…」

やよい伊織「「新型コトリウイルス!?」」

P「そう、新型コトリウイルス…同性同士との恋愛でしか興奮できず、腐った思考に取り憑かれる…治療薬はまだない…厄介なウイルスだ…」

伊織「それただの腐女子じゃないの!」

やよい「ふじょし?」

律子「P高…P高ぁぁぁぁあ!」

高木「だ、大丈夫かい?律子くん?」

P「社長!ダメです!軽率に近寄ったら…」

高木「いや、しかし…律子くんは私の大切な社員だ…見捨てるなんてできないよ…」

律子「P高ぁ…P高ぁ…」

高木「大丈夫だ!律子くん、私がついている!」

律子「…がう…」

高木「ん?」

律子「違うぅぅぅう!?」ベシッ

高木「ぐはぁぁぁあ!?」

やよい「しゃ、社長!?」

律子「解釈違いぃぃぃぃい!高木はP一筋ぃぃぃぃい!ましてや女に手を出したりなぞしないぃぃぃぃい!」

P「まずいな…思ったよりも進行が早い…」

伊織「あれは進行してるの?」

律子「P高ぁぁぁあ!」

P「まずい!一旦離れるぞ!このままでは無理やりP高の濡れ場をやらされてしまう!」

伊織「最悪じゃないの!?逃げるわよ!」

やよい「は、はいぃぃぃぃい!」

律子「P高ぁ!」

伊織「なんとか撒いたわね…」

やよい「何なんですか、あのウイルスって…」

P「新型コトリウイルス、今世界中でパンデミックを起こしているウイルスだ」

伊織「うん、私が知ってるのと違うんだけど…」

P「主に若い年代(色々拗らせる思春期)では潜伏し、無症状の場合も多いが、(特定の相手がいないまま)年齢が上がる(三十代に近づく)程重篤化しやすい」

伊織「()の中がなければ同じね…」

P「クソ…どうしてこんなことに…」

伊織「何か前兆みたいなことは無かったわけ?」

P「わからない…律子も昨日までは…一緒に飲み会をした時までは普通だった…」

やよい「飲み会?」

P「あぁ、律子はハンドルキーパーだから、酒は飲まなかったが…小鳥さんがまた失恋したらしくて、『リアルなんて糞食らえ!私は腐に生きる』とか言い出したから慰めようと…」

伊織「原因それじゃないの!?」

P「まさか…小鳥さんから感染したってのか…ってことはつまり小鳥さんも…感染している…?」

伊織「いや、なんでそこがわからなかったのよ。あいつは年中感染してるじゃない。というか、名前的にも小鳥から出てるでしょ、そのウイルス」

やよい「だから夜の街には出ちゃダメって言われてたのに…」

P「クソ…こんなことになるなんて…」

やよい「あれ?あそこにいるのって…」

P「ん?あれは…貴音か?」

貴音「あら?貴方様とやよいに伊織ではありませんか」

やよい「貴音さん!今事務所に戻っちゃダメです!」

貴音「はて?何故でしょうか?」

伊織「正体不明のウイルスが蔓延してるのよ…」

P「お前もP高の思想に染められるぞ…」

貴音「それはいけませんね…」

伊織「でしょ?だから事務所には…」

貴音「公式は黒高だと言うのに」

やよい「え?」

P「ん?」

伊織「た、貴音…?」

貴音「因縁深いらいばる関係…それはもはや恋仲をも凌駕する信頼…そうは思いませんか?」

やよい「た、貴音さん?」

貴音「数々の嫌がらせも振り向いてほしいがため…不器用な攻めに素直になれない受け、びぃえるの王道をこれほどまでに体現するかぷが他にあるでしょうか?」

P「はっきりBLって言ったぞ!」

貴音「なるほど…貴方たちにはわかりませんか…」

伊織「いや、勝手に納得しないで…わかるわけないし…」

貴音「ならば…わからせるまで…」

P「まずい!逃げろ!」

貴音「ぎるてぃ!」

伊織「もう!なんでこうなるのよ!?」

やよい「感染が広がってますぅ!」

P「なんとか撒いたか…」

やよい「はぁ…はぁ…」

伊織「つ、疲れる…」

真「おーい!おーい!」

P「真!?」

伊織「あんたも感染してるんじゃないでしょうね!?」

真「感染…?僕は至って健康だよ?」

やよい「良かった…みんなが感染してるわけじゃないんですね…」

真「それよりも雪歩が…」

P伊織「「あっ…」」

やよい「雪歩さんが?」

ズガガガガガガ

真「…まずい!」

P「な、なんだ…」

伊織「この音と…振動は…」

ズガァァァァアン

雪歩「まーことちゃん?みーつけた?」

真「ゆ、雪歩…」

P「掘削機で壁を…」

伊織「いや、どんな力してんのよ!?」

雪歩「諦めて私と一つになろ?ね?」

真「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」

やよい「…行っちゃいました…」

伊織「…真…あんたのことは忘れないわよ…」

P「いや、死んだみたいに言うなよ…」

伊織「でも思ったよりも事態は深刻ね…」

やよい「他の皆さんは大丈夫でしょうか…」

P「ん?これは…」

伊織「どうしたの?」

P「いや、ネットニュースに春香が出ている…」

やよい「どんな内容ですか?」

P「えーっと…『天海春香、Twitterにて謎の「ご報告」「P冬ですよ!P冬!」』」

伊織「感染してんじゃないの!?」

P「ちくしょう…春香まで…」

伊織「ちょっと待って!その下!」

P「ん?」

伊織「千早のTwitterよ!これ…プロフィールが…」

『巻咲にしか興味ありません』

やよい「感染してます!?」

P「くそ…315プロにまでご迷惑を…」

伊織「そこはこの際いいでしょうが!?」

P「な!?み、美希もネットニュースになっている…」

やよい「美希さんまで…」

『星井美希、事務所初の特別生配信!』

伊織「いや、関係ないんかい!」

P「そうか…美希はよく眠る…眠ることによって免疫を高めているのか…」

伊織「そんなことで予防できるの!?」

P「こうしちゃいられない!残ってるメンバーに予防を促さないと!」

伊織「残ってるメンバーって…」

やよい「響さんと、亜美と真美だね!」

P「よし!まずは響からだ!」

ケイタイトリダシポパピプペ

響『はいさーい!どうしたんだ?プロデューサー?』

P「響!響!無事か!?」

響『無事って?』

P「『バネ武』と聞いても何も感じないか!?」

伊織「中でも特殊なカプもってくるんじゃないわよ!」

響『「ばねたけ」?なんだそれ…』

P「良かった…まだ感染はしていないようだ…いいか、響、よく聞け。今からは外に出ず、家で大人しくしているんだ。いいな?」

響『うん!最初からそのつもりだぞ』

ピンポ-ン

響『ん?誰か来たみたい…って春香と千早じゃないか!』

やよい「あっ…」

P「まずい!」

響『まあ上がってよ。ん?何々?ばねた…うわぁぁぁあ!?』

P「響!響ぃぃぃぃい!?」

プッ

ツ-ツ-ツ-

P「クソ…間に合わなかった…」

やよい「こうなったら、亜美と真美だけでも…」

P「そうだな…クソ…間に合え…!」

ケイタイトリダシポパピプペ

真美『ハロハロー?どったの兄ちゃん?』

P「真美!無事か!?」

真美「無事って?」

P「あぁ、いや、気にしなくていい。真美、悪徳×吉澤についてどう思う?」

伊織「さっきから何ておぞましいカップリングを作るのよ、あんたは!」

真美『ん?何?どゆこと?』

やよい「真美も大丈夫みたい…」

P「良かった…真美!今日は家族以外の誰とも会うんじゃないぞ!」

真美『うん、最初からその予定…うへへ』

P「なんだ!?どうした?」

真美『いや、違うんだよ兄ちゃん。亜美がじゃれてきてて…うひゃあ?』

伊織「…ねぇ、これって…」

やよい「…うん」

真美『あっ?ちょ?んっ?亜美ぃ…』

プッ

ツ-ツ-ツ-

伊織「…ねぇ」

P「…亜美だったか…」

やよい「やっぱり…」

P「しかしこれは仕方ない。どの道家族がかかってしまえば濃厚接触者だ…」

伊織「今となってはその言葉も意味深ね…」

P「クソ!結局無事なのは俺たちだけ…はっ!?」

伊織「え?」

やよい「どうしたんですか?」

P「…そうだ、一人…忘れていた…」

やよい「え?」

伊織「あっ!?」

P「そうだ…あの時、飲み会のメンバーには…もう一人…いた」

伊織「うちでお酒が飲める年齢って、言えば…」

あずさ「はぁ?はぁ?プロデューサーさん?」

P「ひぃ!?」

やよい「あずささん!?」

あずさ「私…モブPのレイプモノでしか…興奮できなくなったんです?」

伊織「よりにもよって一番エゲツないの来たわね…」

あずさ「だから…プロデューサーさん?資料として…ポーズ…とってください?」

P「伊織!やよいを連れて逃げろ!」

やよい「そんな!プロデューサーは!?」

P「俺は囮になる!お前たちだけでも行け!」

伊織「逃げろって言われてもこんなに感染者ばっかりなのにどこに行けって言うのよ!?」

P「なら隠れるだけでもいい!とにかく!事態が収まるまで…くっ?」

あずさ「ねぇ、プロデューサーさん?いいでしょ?」

P「ちくしょう…普通にいい匂いがする…理性が…」

やよい「プロデューサー!」

伊織「行くわよ!やよい!」

やよい「伊織ちゃん!でも、プロデューサーが…」

伊織「いいから!あいつが囮になってくれてる間に逃げないと…あいつの思いを無駄にするの!?」

やよい「伊織ちゃん…」

伊織「それに…今までは女の子ばかりだからまだ見てられたけど…あいつがBLに目覚めたら…見てられないわよ!」

やよい「伊織ちゃん…」

伊織「ほら!このロッカーに隠れて!」

やよい「う、うん…」

伊織「くっ…中々狭いわね…」

あずさ「はぁ?はぁ?プロデューサーさん?」

P「あっ?ちょ?あずささん、それ以上は…?」

伊織「何やってんのよあいつ!」

やよい「はぁ?はぁ?」

伊織「ちょっ!?やよい!?」

やよい「伊織ちゃ?なんだか?身体が?熱?」

伊織「やよい!?まさか…感染し…んっ?」

伊織(嘘!?わ、私も!?)

やよい「はぁ?はぁ?い、伊織ちゃ?」

伊織(おかしくはない、あれだけ周りに感染者がいたんだから…それよりも、今の状態が…)

やよい「伊織ちゃ?」

伊織「え?」

やよい「濃厚?接触?だね?」

伊織 トゥンク

伊織(いや、トゥンクって何よ?トゥンクって!)

やよい「伊織ちゃ?」

伊織「や、やよい?」

やよい「伊織ちゃ?」

伊織「やよ…」

黒井「そこまでだ!」

伊織「え?」

バシャッ

やよい「きゃぁぁぁぁあ!?」

伊織「ちょっ!?何するのよ!?」

黒井「ワクチンだ。我が961事務所が総力をあげて開発した」

伊織「え?完成早すぎじゃない?」

黒井「何しろ自分の貞操がかかっているのでね。貴様らのところの音無小鳥を拘束させてもらった」

伊織「小鳥に何したのよ!?」

黒井「ジュピターをはじめ、315プロの面々に接待をさせた。すると、幸せな気分になり、新型コトリウイルスを抑制する効果のあるホルモンを分泌したのでそこからワクチンを作成した」

伊織「そんなことで解決したの!?」

黒井「全く。貴様らのところの不始末は貴様らが責任を持て」

伊織「くっ…今回ばかりは何も言い返せないわね…」

黒井「全く厄介なウイルスだ…まさか『男同士の恋愛で興奮するようになる』などというふざけた症状とは…」

伊織「ん?」

黒井「どうした?」

伊織「いや、コトリウイルスって『同性同士の恋愛で興奮するようになる』のよね?」

黒井「いや、『男同士の恋愛にだけ興奮するようになる』のがこのウイルスの特徴だ」

伊織「え?それじゃあ…」

伊織(あの気持ちは?)


終わり

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