村娘「オレは勇者になる、絶対なってやる」 (5)

村娘「よーし、まずは鍛えるぞ! 腕立て伏せ1000回だ!」

村娘「うんしょ! うんしょ! うんしょ!」

母「……あんた、何やってんの。皿洗いに洗濯に、まだまだやること残ってるでしょ」

村娘「ゲッ! か、かーちゃん!」

母「くだらないことしてないで、はやく片付けなさいよ」

村娘「はーい……」

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村娘「くそ~、まだ諦めたわけじゃないぞ!」

村娘「勇者になるには、王様に会いに行く必要があるんだ」

村娘「あれ? でも王様ってどこにいるんだ?」

親方「えっさ、ほいさ、今日中に運び終えるぞ!」

徒弟「は、はい! 親方!」

村娘「しめしめ、ちょうど良かったぞ」

村娘「おい! この村に王様はいるか!?」

親方「あ!? 王様だって!?」

徒弟「無視しましょう親方。この女、頭イかれてます」

村娘「答えないと足引っかけちゃうぞ! オレはやると言ったらやる、そういう凄みがあるからな!」

親方「す、すまん。徒弟が失礼なことを言った。ここは村だから王様はいないが、総督様ならいるぜ」

村娘「ソウトク? なんじゃそいつ!」

親方「王都から派遣された、村を監督する人だな。雇われ店長みたいなもんだ。けどよ、雇われでも総督様は総督様だ。俺ら平民より遥かに権力を持ってる」

村娘「つまり、総督に会えばオレは勇者になれるのか!?」

親方「???」

徒弟「だから言ったでしょ、絡んじゃダメなんですよ、この手の人は。平民が勇者になれるはずないのに」

村娘「ここが総督の家かぁ~! でっけぇなぁ~!」

村娘「こぉ~んなぁ家に住んでいたら、トイレに着くまでに漏らしちまうんじゃあねぇかぁ~!?」

門番A「……叫んでますね」

門番B「叫ばせとけ。無理につっかかる必要はない」

村娘「やいやい! お前ら! 総督に会わせろ!」

門番A「貴様のような平民はお呼びではない。向こうへ行け」

門番B「うむ。門の前で騒がれると、総督様も迷惑だ」

村娘「いやだ! オレは勇者になりたいんだ! 勇者になるためには、偉い人に会わなきゃいけないんだー!」

門番B「話にならんな。押さえるぞ」

門番A「やれやれ、ですね」

村娘「はーなーせー! はーなーせー! こんなのっ、間違ってる! 善良な村人を逮捕する気かー! はーなーせー!」

門番A「間違ってるのは貴様だ、アホウ!」

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