男「オカマになろうと思う」友達「は?」 (39)

男「いや、だからオカマになろうと思って」

友達「いやいや、待て待て、脳みそが追い付かない」

男「何言ってんだ? 今時オカマになるくらい普通だろ」

友達「普通じゃねぇよ! 友達がいきなりオカマになりたいとか言い出したら頭おかしなるわ!」

男「……真面目な話なんだ」

友達「……いや、でも……だって…」

男「もしかしてオカマって男の事好きになるとか思ってるか?」

友達「違うの?」

男「まぁそうだけど」

友達「」

男「冗談だよ」


こんな感じで始めます。

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男「今時男好きじゃなくても女になりたいやついっぱいいるって」

友達「少なくとも俺の周りにはいなかったけどな」

男「じゃあお前の初めての人って訳か」

友達「友達止めてもいいか?」

男「すいません許してくださいなんでもしますから」

友達「そのネタ知ってる時点であやしいんだよ!」

男「いやいや、それくらい誰でも知ってるだろ?」

友達「……本気の本気なのか?」

男「ああ、来週タイに行ってくる」

友達「………」

一週間後。。。

男(以下オカマ)「ただいま」

友達「マジで行ってきたのか……」

オカマ「どう?」クネクネ

友達「気持ち悪い」ソクトウ

オカマ「マジか……マジか……」

友達(いやでも、意外と……)

オカマ「とりあえず女子便所行ってくる」

友達「いや待て」ガシッ

オカマ「おいおいおいなんで止めるんだよ」

友達「お前男だろ」

オカマ「なぁに言ってんのよ! 私はもう玉無しよ!」グイッ

友達「触らせようとするなぁ!」アセアセ

友達(落ち着け、こいつは元男、こいつは元男、こいつは元男……)ハァハァ

オカマ「まぁとにかく、玉も竿もない以上、私は女なので女子便所に行ってもオッケーなのです!」ニコッ

友達「もう好きにしてくれ……」

オカマ「行ってきまーす!」ダダダッ

友達「………」

オカマ「行ってきた」ニコニコ

友達「めちゃめちゃ嬉しそうだな。そして早いな」

オカマ「そりゃ立ちしょんしてみたか

友達「おおおおおおおおおおおおい!!!」

オカマ「オカマの夢だったのよ。まぁ無理だったけど」

友達「もうこいつの友達やめたい……」

オカマ「何言ってんのよ。私たちは性が違えども一生友達よ!」ウフッ

友達「………」

オカマ「友達君?」

友達「帰る……」

オカマ「う、うん……」

オカマ(なんか怒ってる?)

二か月後。。。

オカマ「いやー女の生活って楽だわ~♬」

オカマ「ツイッターに写真載せれば男がいっぱい優しくしてくれるし、ゲームすればキャリーしてくれるし、代わりに課金してくれるし最高よ!」

オカマ(でも……あの日以来友達から連絡がない……)

オカマ「友達君、私はあなたの為に……」

回想 中学2年生 病院

友達「………」

男「よっっす」ヒョコッ

友達「男くん!」

男「元気か、はいこれ」つゲーム

友達「うわ、これ最新作のポケモンじゃん!」

男「ラスボスはレッドだったけどな」

友達「」

男「冗談だよ」ハハハ

友達「……ありがとな」

男「ん?」

友達「お前だけだよ。今でも見舞い来てくれるの」

男「そうか? 誰も来ないのか?」

友達「ああ、みんなにとって俺なんて死んだようなもんなんだろうな」

男「………」

友達「半年くらい女の子見てないってのwwww」

男「マジか」

友達「俺一生彼女できずに死ぬのかなぁ……」

男「死ぬとか言うなよ。彼女もできるって友達はイケメンなんだから」

友達「……そうかな?」

男「イケメンイケメン! 俺が女なら絶対お前の事選ぶもん!」

友達「お前に選ばれたくねぇ~!」

男「俺だってお前に選ばれたくねぇよ!」

友達「どっちだよwwwwww」

男「少し元気出たな」

友達「……ありがと」

男「これからも遊びにくるからな」

友達「……うん」

回想3

<ドウデスカセンセイ
<……ハイ

男(ん? 友達のお母さん?)

男「………」ソット


医者「正直言いまして、もって後……」

友母「そんなっ! あの子はまだ中学生なんですよ!」

医者「今の医学では……その…」

友母「なんとかしてください! お願いします!」

医者「………」

男「………」

医者「一つだけ……」

男・友母「?」


医者「非常に難しい手術ですが、成功すれば生きられるでしょう」

友母「それならすぐに!」

医者「ただし、……ただし、代償として彼の精巣は失われます」

友母「そ、そんな……っ」

男(精巣……って金玉だよな?)

医者「……病気の部位が部位なだけに、確実に子供を作ることはできなくなるでしょう」

友母「……でも、だって……友ちゃんは……」ポロポロ

男「………」ヨシ

男「俺の金玉使ってください!!」

医者&友母「」

回想終わり


オカマ(あの後、友達は手術を成功し、これからも生きられるようになった。ただ、予測通り友達は子供が作れなくなった)

オカマ(もちろんそれを友達には伝えなかった。俺の金玉を使ってもらう為だ)

オカマ(現代の医療技術なら移植できるらしい)

オカマ(まぁ医者と友母は俺が女になりたいって本気で思ってると信じたがな)ハハハ

オカマ(……別に彼に感謝してほしかった訳じゃない…)

オカマ(俺はただ、友達としてやれることをしただけなんだ……)

オカマ(後悔はして……ない)

さらに半年後

後輩「俺と付き合ってください!」

オカマ「いやいや、私オカマだよ?」

後輩「それでもいいっす! おねしゃす!!」

オカマ(今月何人目だよ……)

オカマ「ごめんなさい、私、好きな人がいるの」

後輩「えっ!?」

オカマ「だから、ごめんね」

後輩「うわぁあああんあんまりだぁあああああ!」

オカマ「………」

オカマ(皆に求められても、全然満たされない……)

オカマ「……友達…今何してるんだよ……」

さらに一年後

オカマ「えっ!? 友達が結婚!?」

元クラスメイト「ああ、お前のところに連絡行かなかったか?」

オカマ「………っ」ダッ

元クラスメイト「あ、おい!」



結婚式場

友達「………」

神父「悩める時も、健やかな時も」

友嫁「………」





神父「それでは、誓いのキスを」

友達「………」

友嫁「友達君、幸せにしてね?」

友達「……ああ」コクリ

友嫁「………」



オカマ「ちょっとまぁったぁあああああ!」バァンッ!!



一同「!?!?!?!?」

一同(美人の女性が乱入してきた!?!?!?)

オカマ「はぁはぁはぁ」

友達「………」

友嫁「友達君、あの人誰?」

友達「……あの人は…」

オカマ「……と、友達…あなた……」

友嫁(ま、まさか結婚する前に不倫!?)アワワワワ

オカマ「久しぶりね」

友達「ああ……すっかり女らしくなったんだな」

オカマ「もちろん、私はいつだって本気だからね」

友達「………」

友嫁「ブクブクブク」

親族「友嫁が倒れたどーーーーっ!」アワワ

友達「結婚の連絡しなくてごめん」

オカマ「まったく、水臭いわね。オカマが友人席に座るのは嫌かしら?」

友達「違う!!」

オカマ「……冗談よ。あなたの事だから、私と会うのが気まずかったのよね」

友達「……違う…」

オカマ「あら、じゃあ何よ」

友達「それは……」

友嫁「なんだオカマだったのか」スクッ

親族「復活したどーーーっ!」

友達「お前の事を……好きに…なるかもしれないのが怖かった」

友嫁「ぶくぶくぶく」バタリ

親族「倒れたどーーーーっ!」

オカマ「……なるほどね」

友達「だって…さ、俺にとって友人や知り合いはお前しかいなかったんだぜ」

オカマ「そうね」

友達「お前はいつも俺を助けてくれたんだぜ」

オカマ「そうだったかしら」

友達「そのお前がこんなキレイな女性になったら……俺は……」

オカマ「だから、逃げた?」

友達「……悪いと思ってる」

オカマ「……そっか」

友達「……な、なぁ!」

オカマ「?」

友達「お、俺とけっこ――」

オカマ「シャラップ」

オカマ「私は愛を二つも生み出すような人と友達になったつもりはないわ」

友達「………」

オカマ「友嫁ちゃん、とてもきれいじゃない」

友達「ああ、だってお前よりきれいじゃないと好きになれないからな。性格だって最高だ」

友嫁「元気になりました」スクッ

オカマ「激動の人生を送った私からあなたたちに贈る言葉があるわ」

二人「………」コクリ

オカマ「人は一人では生きていけないわ。人は誰かのために生きて、誰かのために何かをするの」

二人「………」

オカマ「それは小さなことから大きなこと、なんだっていい。人と人はどこかで必ずつながっているの」

二人「………」ポロポロ

オカマ「結婚おめでとう。心の底から嬉しいわ。本当よ」

二人「はいっ」


オカマ「三人の未来に幸あれ」ニコッ


二人「!!」

オカマ「じゃあね」

二人(まだ誰にも言ってなかったのに……)

3年後

有名youtuber「僕と結婚してください!」

オカマ「ごめんなさい」ソクトウ

有名youtuber「ガクーーンッ!!」

オカマ(ついにこんな人まで告白してくるようになったわ……)ヤレヤレ


元クラスメイト「おい! 友達の事聞いたか!?」

オカマ「え?」

元クラスメイト「あいつ、病気で長いこと生きられないらしいぞ!」

オカマ「!?!?!?」ダッ

元クラスメイト「あ、おい!!」

病院

オカマ「友達!!」

友達「……あぁ、やっぱり来たか」

オカマ(何よ……その弱弱しい笑顔は…)

友嫁「オカマさん……」ゲッソリ

オカマ「あなたまでそんなに弱り果てて……」

友母「男君……」

オカマ「みんな落ち着いて、詳しい話を聞かせてくれる?」

オカマ「あの時の病気が再発……?」

オカマ(しかも全身に転移してるから手術でも治らないなんて……)

友達「……こいつと二人きりにさせてもらえるか…?」

オカマ「……私からもお願い」

友嫁・友母「………」コクリ

オカマ「なんだか懐かしいわね」

友達「……だな」

オカマ「まぁあの時は私、男だったけどwwww」

友達「確かにwwww」

オカマ「……まだアメリカとかな

友達「いや、いいんだ」

オカマ「………」

友達「本当に……、お前には何て言っていいか……」

オカマ「何よ。友達じゃない水臭いわね」

友達「……じゃあ、遠慮なく言わせ貰うな」

オカマ「どんとこいよ。オカマは強いもの」ドンッ


友達「お前のおかげで、俺は男として生きてくることができた」


オカマ「……いつ気づいたの?」

友達「……さすがのオカマでもそこは察することができなかったかww」

オカマ「……………子供?」

友達「ご明察」

友達「本来なら、精巣を移植した時点で俺の精子が作られるらしい。だけど、なんの因果か、お前の精子も交じってたらしい」

オカマ「え、それってまさか!?」

友達「子供は俺の子供だよww」

オカマ「び、びっくりさせんなよもーーーーっ!」アセアセ

友達「あはは、やっとびっくりさせられたww」

オカマ「じゃあ?」

友達「うちの母親が教えてくれたんだ。俺がお前と連絡とらなくなったって聞いて」

オカマ「……なるほど」

友達「結婚式の日も俺はそのことを知ってた。だから……」

オカマ「罪悪感とか?」

友達「ああ、最悪だろ?」

オカマ「気にしなくていいわよ」

友達「……本当にお前は優しいな」

オカマ「そりゃあオカマだからね」ニコッ

友達「……ついでに優しさにつけこんでいいか?」

オカマ「……駄目」

友達「うぐっ……っ」

オカマ「友達!?」

友達「たの…む、俺の……一生のお願いを…聞いて……」

オカマ「……ああもう! わかったわよ! なんでも聞いてあげるわよ!」

友達「やったぜ」ケロッ

オカマ「……だますとかずるくなったわね」

友達「お前の金玉ついてるからな」ハハハ

オカマ「ちょっとオカマ相手だからって下品すぎない?」ハハハ


友達「俺の代わりに子供を育ててほしい」


オカマ「……そういうと思ったわよ」

友達「ついでに、返すものも返す。幸い転移してないからな」

オカマ「元の鞘に収まるってこと?」

友達「お、オカマジョークww」

オカマ「wwwwww」

友達「本当に俺は幸せだったよ」

オカマ「……友達」

友達「お前のような親友に出会えて、親友に助けられて、親友に俺の命をバトンパスできた」

オカマ「………生きて」

友達「いや、俺は本当に無理だ。実は今も痛みで死にそうなんだ」

オカマ「……駄目、駄目駄目駄目! 生きて! 生きて子供を最後まで育てなさい!」

友達「だいぶ前からほとんど目も見えてないんだ」

オカマ「……生き…て……」



友達「本当にありがとう。俺の大切な、本当に大好きな――」



さらに5年後 遊園地


男「………」

娘「パパー抱っこー!」

男「はいはい」

友嫁「………」ニコニコ

男(だんだんと友達に似てきてるなぁ。きっと将来はモテモテだぁ)

男「だが簡単にはやらんぞ。俺の目が黒いうちはな!」

娘「何言ってんのパパ?」

男「何でもない何でもない」ニコニコ

友嫁「二人とも先に行っちゃうからね~」タタタッ

男「ちょっと待った待った」タタタッ


 毎年、この季節になったら思い出す。

 病院で見た友達の涙。友母の苦しみ。俺の決意。

 親友の為に人生を変え、そして新たな人生をもらった。

 この腕にかかる命の重みは、俺にしか理解することのできない最高の宝物。


男「なぁ娘ちゃん」

娘「何?」

男「俺がオカマになったらどうする?」

娘「勘当する」

男「だよなww」


 友が繋いだバトンは、確かにそこにあった――。



完。

そういうことだったんだ
スレ落ちなかったらイラスト間に合えば針に来ます

ここまで読んでくれてありがとう。蛇足は避けて静かに去ります。お疲れさまでしたまた書いた時はよろしくお願いします。

>>35
ありがとう楽しみにしてます!

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