少し昔の作品達で聖杯戦争 (119)
※(少し昔の)様々なキャラクターによる聖杯戦争SS
※安価も時折あり
※設定上、仮想空間での聖杯戦争であり本当に命を奪う訳ではありません(最初の情報として各陣営には共有されます)。
※余り深く考えずに好きな陣営を優勝に導いてあげて下さい
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1525620088
士郎「あれ…なんだ、ここ…」
士郎「森の中…? 昨日はいつも通り家で寝た筈なのに…」
士郎「俺は何でこんな所に立って…」
ーーーズキン
士郎「ぐぅっ…!」
士郎(何だこれ…情報が頭の中に流れ込んでくる…!)
士郎(仮想空間……サーヴァント……最後の1組になるまで戦い合う……)
士郎(……聖杯、戦争……だって……)
士郎「バカな…。聖杯戦争は終わったばかりだぞ」
士郎「それに聖杯は破壊した筈だ…なのに、何でこんな…」
???「おい」
士郎「うわっ!?」
士郎(……着物の、男? まさかこいつが……)
???「あんたが、俺のマスターか?」
士郎「あ、ああ、そうみたいだ」
???「……そうか」
士郎(……そうかって、それだけかよ!)
士郎「俺は衛宮士郎。お前は?」
???「……鑢七花。セイバーだ」
士郎(セイバー……)
七花「……どうした? 変な顔してるぞ」
士郎「いや、またなんだなと思ってさ」
七花「? 」
士郎「何でもないさ。とにかくよろしく頼む」
七花「……ああ」
士郎「さてと。まずはどう動くかだな」
士郎「出来ればこんな戦い止めたい所だけど…」
士郎(今回は遠坂のサポートも受けられない。俺と七花で何とかしなくちゃいけない状況だ)
士郎(まずはどう動く……?)
士郎の行動は?
1.様子見。
2.他の参加者と接触。
3.積極的に戦いに介入していく。
↓1
士郎(まずは様子を見るか。七花の事も知らなきゃだしな)
士郎(一緒に戦う事になるんだし、互いのことは知っとかないと)
士郎「なぁ、七花ーーー」
ーーーーー
一旦別陣営の描写に移ります。
アーチャー、ランサー、アサシン、キャスター、ライダー、バーサーカーから陣営を選んでください。
↓1
~バーサーカー陣営~
レナ(あの日、私は全てを失った)
レナ(疑心暗鬼に陥り、全てが悪いものに見え、そして凶行に至って…)
レナ(…でも、私を止めてくれる人達がいた)
レナ(私を止めようとしてくれた皆、正面からぶつかって説得をしてくれたあの人…)
レナ(どんな困難だって、どんな惨劇だって乗り越えられると、言ってくれたあの人)
レナ(でも、全てが消えた)
レナ(あの日、あの夜に、全てが)
レナ(生き残ったのは、私だけ)
レナ(……知りたい)
レナ(あの夜に何があったのかを。何が全てを壊してしまったのかを)
レナ(『真実』を、知りたいーーー)
レナ(この戦いに勝てば、願いを一つ叶えてくれると言っていた)
レナ(本当に誰かを殺す訳じゃない)
レナ(なら、私は、どうしても知りたい)
レナ(あの日の、『真実』を)
レナ(だから……)
レナ「お願いだよ、バーサーカー」
???「クォォォォ……」
レナ(気付けば側にいた、漆黒の騎士)
レナ(馬鹿げた程に巨大な……それこそ童話の中のドラゴンだって殺せてしまいそうな剣)
レナ(唯一分かるのは、バーサーカーというクラスだけ)
レナ(それでも一度狂った私には、お似合いのサーヴァントだと思えた)
レナ「……行こう」
レナ(一歩を踏み出すと、バーサーカーも応えてくれた)
レナ(その狭い肩に私を抱えて、風のような速度で走り出す)
レナ「あの日の『真実』のために……!」
レナ(流れて行く景色の中)
レナ(全てを失った私の側に、その時確かにそれがいたーーー)
次の陣営の描写に移ります。
アーチャー、ランサー、キャスター、ライダー、アサシンから陣営を選んでください。
↓1
~アサシン陣営~
渚(僕の名前は潮田渚。教師をしてる)
渚(生徒の皆から舐められてはいるものの、それなりに教師として振る舞えている……筈だと思いたい)
渚(昨日も、次の授業の準備をして就寝した筈なんだけど…)
渚「一体なんでこんな事に…」
渚(気付けば暗い森の中。何でも不思議な戦いに巻き込まれてしまったみたいだけど…)
???「……」
渚「………」
渚(側には女の子が立っていた)
渚(可愛い見た目をしてるけど、無表情で、どこか無機質な印象を受ける)
渚「えーと、君が僕のサーヴァント? なのかな」
???「……」
渚「おーい…」
???「パパの所に戻らなくちゃ」
渚「え?」
ダン!
渚「あ、ちょ、ちょっと待ってよ!」
渚(女の子は凄まじい音を鳴らして地面を蹴り抜き、闇夜に消えていった)
渚(僕の恩師、とまでは流石に行かないけど、人間離れした速さだった)
渚(居場所は何となく分かるから、見失いはしないだろうけど…)
渚「と、とにかく追いかけなくちゃ」
渚(息も絶え絶えにサーヴァントを追いかけていく)
渚(不安しか感じない幕開けだけど、僕の聖杯戦争はこうして始まったーーー)
アサシン陣営
サーヴァント:???
マスター:潮田渚@暗殺教室
ーーー
次の陣営の描写に移ります。
アーチャー、ランサー、キャスター、ライダーから選んでください。
↓1
~キャスター陣営~
縁寿(最後に、問い掛けがあった)
縁寿(掌の中から消えた飴玉)
縁寿(これは手品か、魔法か)
縁寿(長い長い旅路の果てにあった、問い掛け)
縁寿(私は答えを選択する)
縁寿(そして、そしてーーー)
縁寿「聖杯戦争、ね」
縁寿「あの悪趣味な魔女共は関与してないようだけど…」
縁寿「何でも願いを叶える、ね」
縁寿「……面白いじゃない」
縁寿「それで、あなたが私のサーヴァントなの?」
???「そのようだな」
緑寿(白銀の外套を羽織った子供…)
縁寿(…ただの子供って訳じゃあなさそうだけど、こいつが私のサーヴァント? 大丈夫かしら)
???「女、この本が読めるか」
縁寿「銀色の本? 何よ、これ」
???「いいから読め」
縁寿「分かったわよ。まったく…生意気な子どもね」
縁寿(中身は…さっぱりね。見た事もない文字だわ)
縁寿(あれ? でも、何ページかは読めるわね。文字は変わらない筈なのに)
???「……読めるみたいだな」
縁寿「そのようね」
???「最初のページを読んでみろ」
縁寿「最初のページ? ええと、これは…『ザケル』? って書いてあるわね」
縁寿(と、私がそう呟いた瞬間だった)
縁寿(閃光が、暗闇に走った)
縁寿(轟音と共に木々が薙ぎ倒され、微かな炎をあげる)
縁寿(ーーー雷)
縁寿(それが、迸ったのだ。目の前の子どもの掌から)
???「くく、おれのパートナーたる資格はあるようだな」
縁寿「あんた…一体」
???「我が名はゼオン=ベル。魔界の王を決める戦いの候補にして、王の子だ」
ゼオン「この戦いではキャスターのクラスでもって現界した」
縁寿「……魔界の……王子、ね」
縁寿(とんでもない事ばかりだけど、もう驚きはしなかった)
縁寿(この戦いは、こういうものだと理解したからだ)
縁寿(キャスター・ゼオン…私に相応しいサーヴァントね)
ゼオン「女、貴様の名は?」
縁寿「申し遅れたわね。私は右代宮縁寿。かつて魔女であったものよ」
ゼオン「魔女……?」
縁寿「もう昔の話よ。私は魔法を捨ててしまったから」
ゼオン「ふん、魔法か捨てた女がキャスターのマスターになるか。皮肉なものだな」
縁寿「そうね。言えてるわ」
ゼオン「縁寿、まずはどう動く?」
縁寿「そうね。まずはーーー」
1.少し暴れて他の陣営を誘い出しましょう。
2.様子を見ましょう。他の陣営の動向を伺うわ
↓1
縁寿「まずは静観ね。他の陣営の動向を伺いましょう」
ゼオン「慎重だな。俺の力なら、こんな戦いなど一瞬で終わらせられるぞ?」
縁寿「ゲームはね。一手一手を吟味して打つものなの」
縁寿「どんなに有利な状況でもね」
縁寿「でも、そうね。心強いわ、キャスター」
縁寿「その時が来たら、蹂躙してあげましょう。全てを、ね」
ゼオン「くくっ、言うじゃないか。それでこそ俺のパートナーだ」
縁寿「よろしくね、ゼオン」
ゼオン「ああ、任せておけ」
キャスター陣営
サーヴァント:ゼオン=ベル@金色のガッシュ!!
マスター:右代宮縁寿@うみねこのなく頃に
ーーーー
次に描写する陣営を選んで下さい。
アーチャー、ランサー、ライダー
↓1
~ライダー陣営~
みほ(……一体なにがどうなってるんだろう……)
みほ(目が覚めたらこんな森の中にいて、聖杯戦争なんて事に巻き込まれて……)
みほ(叶えたい願い、なんて事もないんだけどなぁ)
みほ(明日も学校なんだけどなぁ……)
みほ(それに…)
???「………」
みほ(あの人が、私のサーヴァントさん? なのかな)
みほ(普通のおじさん、って感じだけどなぁ)
みほ(ただ何だろう。本当に辛そうな、すごい険しい顔をしてる……)
みほ「あ、あの……」
???「……ああ。君が僕のマスターか。若いな、まだ子どもじゃないか」
みほ「あ、えっと、西住みほと言います。よろしくお願いします」
???「よろしく。ところでみほ。最初に君に伝えておく事がある」
みほ「? 何ですか?」
???「良いか、大事な事だから聞き逃すなよ。質問も反論もなしだ」
みほ「は、はぁ…」
???「この戦い、君はどこかで隠れていろ。ゆっくりしながら僕に魔力だか何だかを供給してくれてれば良い」
みほ「え?」
???「戦闘は全て僕が行う。正直に言うなら、君は足手まといだ。あぁ、安心しろ。報酬は勿論君にも渡すさ。好きな願いを叶えると良い」
みほ「で、でも…」
???「言ったろう、反論は無しだ。子どもは素直に大人の言う事は聞いとくものだ」
みほ「ま、待って下さいよ! いきなりそんなこと言われたって、聞ける訳ないじゃないですか!」
みほ「それに自己紹介だってされてないんですよ? そんなの尚更……」
???「名前が知りたいのか? 僕はトニー・スターク。ライダーのサーヴァントだ。ほら、これで良いだろう?」
トニー「緊急用のビーコンは渡しておく。身の危険が迫ったら、それを押せ」
トニー「じゃあな。しっかりとバレなそうな所に隠れるんだぞ」
みほ「ま、待ってーーー」
トニー「バァイ!」
みほ(言いながら、トニーさんの姿が金属のアーマーに覆われていって)
みほ(次の瞬間には両手足についたジェットで空を飛んでいってしまいました)
みほ(まるで嵐のような一瞬でした)
みほ(言うだけ言って、一人で戦場に向かってしまったトニーさん…)
みほ(軽い調子で話していたものの……それは、まるで私を拒絶するかのような言い方だった)
みほ(私を戦場に立たせたくない? それにしても余りに一方的な言い方だった)
みほ(まるで、私が戦場に立つ事を恐れているような……)
みほ(トニーさんの言う通り、どこかで隠れてた方が良いのかな…)
みほ(でも、いくら何でもトニーさんを一人で戦わせるなんて…)
みほ(私はーーー)
1.どこかに身を隠す。
2.トニーの後を追う
↓1
みほ(私も行こう。何ができるのか分からないけど、それでも……私達はチームなんだから)
みほ(トニーさんの姿は既に見えない)
みほ(とにかくトニーさんが飛んでいった方向へと、私も走り出す)
みほ(何が起きるかは分からないけど……あの人を放っておけないと、何となく感じた)
みほ(これが、私の聖杯戦争の始まり)
みほ(いつもの戦車道とはまるで違う戦いが、始まりましたーーー)
ライダー陣営
サーヴァント:トニー・スターク@アベンジャーズ
マスター:西住みほ@ガールズアンドパンツァー
ーーーー
次の陣営を選んで下さい。
ランサー、アーチャー
↓1
~アーチャー陣営~
まどか(あの日、交わした約束)
まどか(忘れられない、忘れられる訳のない、忘れちゃいけない、約束)
まどか(私は願った)
まどか(殺して、と。親友に対して)
まどか(それがどれだけの重荷を彼女に背負わせるのかも知らずに)
まどか(それが彼女にどれだけの悔恨を与えるのかも知らずに、)
まどか(私は願った)
まどか(願って、しまった)
まどか(もう一つ、私は願った)
まどか(もう一度やり直せるのなら、どうか私を救って欲しいと)
まどか(騙されるままに終わりを迎えた馬鹿な私を、)
まどか(救って欲しいと、願った)
まどか(その約束が、どれほど彼女を傷付ける事になるのかも知らずに)
まどか(願った。願ってしまった)
まどか(それは、私と彼女への約束)
まどか(それは、まるで呪いのような約束)
まどか(一人の人生を狂わせたーーー約束)
まどか(そして、私はこの場に立っていた)
まどか(何で、こんな所に居るのかは分からない)
まどか(ただ、この場には奇跡があった)
まどか(あの約束をなかった事にできる、奇跡が)
???「あなたが、私のマスターさん?」
まどか(気付けばそこに一人の女性が立っていた)
まどか(優しげな印象の顔立ちと、芯の強そうなら力強い瞳)
まどか(頼もしさと優しさが一緒に存在する表情)
まどか(この人が、私のサーヴァントなのだろう)
まどか「鹿目まどかです。よろしくお願いします」
???「まどかちゃん、だね。うん、いい名前だ」
なのは「私は高町なのは。アーチャークラスのサーヴァントだよ」
まどか(大人びたその雰囲気は、ある一人の魔法少女を連想させた)
まどか(私の師匠にあたる人でーーー私が殺した、魔法少女)
まどか(……嫌な気持ちだった)
まどか(あの人に似た雰囲気だというのもそうだし、何よりこんな優しそうな人を利用しなくてはいけない事に)
まどか(でも、そうしなくてはいけないのだ)
まどか(彼女のために、親友のために、)
まどか(彼女は全てを賭して戦い続けてくれた)
まどか(だから、私も何だって、する)
まどか(この人を利用するし、この人を裏切りも騙しもする)
まどか(それが、私の罪なのだから)
~ランサー陣営~
カズキ「えーと、これは…」
カズキ「……夢?」
カズキ「そ、そっか、夢だよな」
カズキ「寸前まであんな所にいたんだ! いきなりこんな森の中にいる訳がない!」
カズキ「夢だ夢!」
カズキ「何を隠そう俺は早起きの達人! こんな夢、今すぐにでもーーー」
ーーー10分後
カズキ「ーーーお、起きれない……」
カズキ「え、これ、現実なの? 本当に?」
カズキ「そりゃ、やけにリアルな雰囲気だけど…」
???「なぁ、もう話し掛けても大丈夫か?」
カズキ「ちょ、ちょっと待って。まだ混乱してーーー」
カズキ「………え、誰君」
???「私? 私は佐倉杏子。あんたのサーヴァントって奴らしいね」
カズキ「い、いつからそこに……」
杏子「いつからって、最初からだよ」
杏子「早起きの達人って言いながら、ハシャギ始めた辺りからバッチリ見てたさ」
カズキ「み、見てたんだ、あれ……」
カズキ(は、恥ずかし過ぎる)
カズキ(死ねるもんなら、死にたいくらいだぞ……)
杏子「いやぁ、正直驚いたね」
杏子「こんなやべー奴が仮にも私のマスターだと思うと恐怖すら感じたよ」
カズキ「あはは……」
カズキ(まるでゴミを見るような視線だぁ……)
杏子「……さてと。茶番にも付き合ったし、もう行くよ」
カズキ「行くってどこに?」
杏子「あんたも知ってんだろう。この戦いに勝てば何でも願いが叶うらしいじゃないか」
杏子「なら、乗らない手はないってね」
カズキ「ま、待てよ。いくら仮の世界とはいえ他人を傷付けるつもりか?」
杏子「あぁ? あんたまさか人助けとか正義とか言っちゃうタチ?」
杏子「勘弁してよ。こんな所まで来てさぁ」
カズキ「そこまで言うつもりはない」
カズキ「でも、見知らぬ他人を、自分の願いの為だけに傷付けるなんてーーー」
ーーーゴッ!
カズキ(槍、だった)
カズキ(気付けば出現していた槍が、威嚇するように地面を叩き割っていた)
カズキ(すごい……速度だ)
杏子「……それ以上はやめときな。少しの間とはいえ、仲良くやっておきたいだろう?」
杏子「これ以上、その耳障りな物言いを続けるようなら容赦しないよ」
カズキ「………」
杏子「まぁ、あんたはどこかに隠れてりゃ良いよ」
杏子「その間にあたしが全部終わらせてやるからさ」
杏子「じゃあなーーー偽善者野郎」
カズキ(そう言って、杏子は暗闇の先へと走っていってしまう)
カズキ(……偽善者。少し前にも言われた事がある)
カズキ(どうするべきなのか)
カズキ(このまま行けば、杏子は本当に誰かを襲うかもしれない)
カズキ(でも、杏子の言う事も分かってしまう)
カズキ(……一瞬、頭をよぎったからだ)
カズキ(この戦いに勝てば、もしかしたら、と)
カズキ(考えてはいけない願いを、考えてしまった)
カズキ(……杏子を止めるか、否か)
カズキ(俺はーーー)
1.止める
2.止めない
↓1
カズキ(……足は動かなかった……)
カズキ(誰かが傷付くのを理解していても尚、身体は動かない)
カズキ(……願い。それが俺にはある)
カズキ(もう既に諦めた筈の願いだった。もう叶う筈がないと思った願いだった)
カズキ(それが、叶うかもしれない)
カズキ(そう思ったら、そう思ってしまったら、)
カズキ(……足は、動かなかった)
カズキ(遠く離れていく足音を、俺は呆然と聞いていた)
ランサー陣営
サーヴァント:佐倉杏子
マスター:武藤カズキ
ーーーーー
次の視点を以下の中から選択してください。
ランサー、ライダー、アサシン、バーサーカー
↓1
~アサシン陣営~
???(私はXI。パパの……シックスの娘)
XI(ネウロとの決戦を控えた今、こんな茶番に構っている暇はない)
XI(一刻も早くパパの元へ帰り、その力となる)
XI(それが私の生きる意味。それが私の中身)
XI(だからーーー全てを殺す)
XI(聖杯戦争も何も関係ない)
XI(パパの力になる。それだけが私の願いなんだから)
XI(……サーヴァント、とやらの気配を感じる)
XI(反応は三つ)
XI(恐らくは隠れる気もないのだろう。気配を撒き散らすようにして、動いている)
XI(手当たり次第に潰していく。それが帰還への一番の近道)
XI(まずは近くの一体。その後に残った奴等を殺す)
XI(行くよーーー)
コンマ01~33:ライダーと遭遇
コンマ34~66:ランサーと遭遇
コンマ67~99:バーサーカーと遭遇
コンマ00:再安価
↓1
XI(そいつらの前に躍り出る)
XI(大剣を装備した甲冑の騎士と、一人の少女)
XI(あちらもまた、私の存在に気付いて身構えた)
XI(例え相手がサーヴァントと呼ばれる存在でも、負ける気は欠片もしなかった)
XI(私はパパのクローンで、人間を超えた『新たな血族』)
XI(もはや誰にも負けはしない)
レナ「……あなたも、サーヴァント?」
XI「そうだよ。アサシンのサーヴァント」
レナ「アサシン……」
XI「別に覚えなくても良い。お前達は今ここで殺されるんだから」
レナ「自信満々だね。まだ戦ってもないのに、勝った気でいるなんて」
XI「事実だからね。私は世界で2番目に……パパの次に強い」
XI「あの弱体化した魔人よりも、もちろん人間なんかの誰よりもーーー私は強い」
レナ(……確かに、目の前の少女から感じる威圧感はすごい)
レナ(対峙しているだけで、身体が震えてしまいそうな……)
レナ(私なんかが……いや、普通の人間なんかが太刀打ちできる存在ではない……)
レナ(希望があるとすれば、それは私を守るように立つ、甲冑の騎士)
レナ(同じサーヴァントと呼ばれる存在であれば、彼女にも対抗できるのであろう)
レナ「……お願い、バーサーカー」
レナ(私の言葉を聞いて、バーサーカーが頷いたような気がした)
レナ(黒騎士が、一歩前に踏み出す)
バーサーカー「ーーーガァァァァァァアアアアアア!!!」
レナ(瞬間、まるで獣じみた咆哮が、森林に木霊したーーー)
レナ(まるで突風が吹いたようだった)
レナ(すさまじい速度で突撃するバーサーカーと、それを正面から向かい打つアサシン)
レナ(バーサーカーが自分の身の丈すら越える大剣を自在に操り、振り回す)
レナ(対するアサシンも、残像にしか見えない大剣の連撃を全て回避しきっている)
レナ(……常人ではまるでついていけない)
レナ(サーヴァント同士の戦いが、始まった)
□
バーサーカー「ガァァァァアアアアア!!」
XI
渚「な、何だったんだ、今の咆哮は……」
渚(あの少女が走り去った方角から、獣のような咆哮が聞こえた)
渚(ついで、ドカンドカンと何か巨大なものがぶつかり合うような音)
渚(……何かが、起こっている)
渚(多分……始まったのだ。サーヴァント同士の戦いが)
渚「……確実にいる、よねぇ」
渚(問題は一つ。僕のサーヴァントであるあの女の子が、多分戦闘をしている張本人だということ)
渚「……行かない訳には、いかないもんね」
渚(自分が行って何が出来るかは分からない。でも、放っておく訳にもいかない)
渚「よしっ」
渚(頬を叩き、気合を入れ直す)
渚(僕は、音のする方へと駆け出した)
□
~時間は少し遡り、セイバー陣営~
士郎(セイバー……鑢七花っていったっけな)
士郎(あのセイバーとは違うセイバー……)
士郎(……正直、また彼女と会えるかもと、期待しなかった訳じゃないけど……)
士郎(っと、ダメだな)
士郎(今ここにいるのは鑢七花。アーサー王じゃない)
士郎(まずは互いの事を知らないと)
士郎(そうだな。まずはーーー)
士郎は七花と何について話す?
1.宝具のこと
2.戦う理由
↓1
士郎「なぁ、七花。お前は何で戦うんだ?」
七花「……言う必要があるのか?」
士郎「そうだな。これから一緒に戦うんだ。出来れば聞いておきたい」
士郎「でも、嫌だっていうなら無理強いはしないさ。人に言いたくない事の一つや二つ、誰にでもあるからな」
七花「………」
士郎(七花はジッと俺を見つめていた。真っ直ぐに、だが感情らしき色は灯さず)
士郎(……どこかで、見た事のあるような瞳だった)
士郎(思い出せないけど、確かにどこかで)
士郎(そうして、少し時間が流れる)
士郎(その後、七花は、ゆっくりと口を開いて告げた)
七花「俺はーーー死ぬ為に、ここに来た」
士郎(それだけを、ポツリと呟いた)
七花「どうやらあの時代に俺を殺せる奴はいないらしい」
七花「とがめを殺したあいつでも、俺は殺せない」
七花「だから、この戦いに参加した。ここなら俺を殺せる奴もいる筈だから」
七花「これが俺の戦う理由だ」
士郎(……言葉を失った)
士郎(淡々とした語り方から、それが嘘でも冗談でもないと分かる)
士郎(だからこそ、理解できない)
士郎(死ぬ為に戦うという七花の言葉が、理解できなかった)
士郎「……何だよ、それ」
士郎(ようやく溢れた言葉は、誰にも届く事なく消えていく)
士郎(俺は、呆然と七花を見つめる事しかできなかった)
『ーーーガァァァァァァアアアアアア!!!』
士郎(そんな最中で、それは起きた)
士郎(森林の奥深くから聞こえた咆哮。次いで幾度と轟音が鳴り響く)
士郎(戦いが、始まったのだ)
士郎(急転する事態に硬直する俺を差し置いて、七花は動いていた)
士郎(咆哮が聞こえた方角へと、風のように走り出す)
士郎(死ぬ為に、ここに来た)
士郎(……七花の言葉が脳裏に過る)
士郎(あいつは死地に向かおうとしているのだ。まるで躊躇う様子もなく)
士郎「……くそっ!」
士郎(遅れて俺も走り出す)
士郎(七花を止めなくてはと、思ったからだ)
士郎(あいつの考えは分からない。かつて何があったのかも分からない)
士郎(ただ、そんなのは駄目だと)
士郎(死ぬ為に戦うなんて駄目だと)
士郎(思ったから、走り出す)
士郎「待てよ、セイバー!」
士郎(二度目の聖杯戦争もまた、波乱からの始まりだった)
~アーチャー陣営~
なのは「……戦闘が始まったみたいだね」
なのは「反応は2つ。激しくぶつかり合ってるみたい」
なのは「まどかちゃん、どうする?」
まどか(やっぱりアーチャーは頼りになるサーヴァントだった)
まどか(戦闘が始まっても冷静で、次の一手を考えている)
まどか(それにただの女の子でしかない私をマスターとして立ててくれる)
まどか(経験も、知識も、力も、私はアーチャーの足元にも及ばないのに、私の意見を尊重してくれる)
まどか(……私なんかには勿体無いサーヴァントだ)
まどか(……思考する)
まどか(どう動けば、勝利できるのか)
まどか(今すぐに戦うべきなのか、様子を見るべきなのか)
まどか(ここはーーー)
1.様子を見て、隙を伺う
2.戦いに介入する
3.周囲を探り、戦いにつられた者を狙う
↓1
まどか「……ねぇ、なのはさん」
なのは「ん、なに?」
まどか「私と魔力供給をしませんか?」
なのは「魔力供給? パスなら充分に繋がってるけど………え?」
なのは「ま、まさか……だ、駄目だよ、そんなの!」
なのは「まどかちゃんはまだ子どもだし、私達は女の子同士だよ!?」
まどか(察したのか、なのはさんの顔が見る見る内に赤くなっていく)
まどか(それまでの落ち着き払った様子が嘘のようで)
まどか(……正直、そのギャップが素直に可愛いなと思ってしまった)
まどか「子どもだとか、女の子同士だとか、関係ありません」
まどか「私はマスターで、貴方はサーヴァント。万全を期すにはやれる事をしておかなくちゃですよね?」
なのは「そ、それとこれとは話が違ーーー」
まどか(ーーー反論する口を塞ぐように、私はアーチャーへキスをした)
まどか(アーチャーの身体が緊張で強張る)
まどか(その身体を抱きしめ、顔を寄せる)
まどか(そして、舌を絡め、唾液を体液を互いの口腔へ流し合う)
まどか(押し退けようとしてくるが、力を込めてキスを続ける)
まどか(……初めてのキス。でも、沢山の『私』を顧みれば、もしかしたらこんな経験もあるのかもしれない)
まどか(息の続く限り長く、私はアーチャーと体液を絡ませあった)
なのは「プハッ……ま、まどかちゃん!!?」
まどか「……確かに、効果はあるみたいですね。魔力が行き届いてる気がします」
なのは「まどかちゃん、落ち着いて! こんなのおかしいよ!」
まどか「おかしいのはなのはさんですよ。勝つ為にできる事をするのは、当たり前じゃないですか」
なのは「でも、こんな事まで……!」
まどか(愕然とするアーチャーを置いて、私は準備を進めていく)
まどか(一枚、一枚と服を脱ぎ捨て、一歩、一歩アーチャーへ近づいて行く)
まどか(アーチャーは蛇に睨まれた蛙のように、動きを止めていた)
まどか(距離が近づく)
まどか(また互いの息が触れ合う距離)
まどか(私はもう肌着だけになっていて、まるで温もりを求めるようにアーチャーに抱き着く)
まどか(そして、その服の隙間に手を滑り込ませる)
まどか(温かくて、柔らかくて、滑らかな肌の感触)
まどか(それは、まるで仮想の身体などとは思えなくて)
まどか(私はそろそろと手を進めていくーーー)
なのは「ーーーいやっ!」
まどか(ーーー瞬間、強く強く、身体を押し退けられた)
まどか(相手はサーヴァント。本気で拒絶されれば、私に抵抗なんて出来る訳がない)
まどか(跳ね飛ばされた私は無様に地面へと転がった)
なのは「……おかしいよ、まどかちゃん」
なのは「いくら勝ちたいからって、こんなやり方間違ってる」
なのは「自分を大切にしない勝ち方なんて、自分が傷付くだけだよ」
まどか(……なのはさんの言葉は正論だ。当たり前のことを言っている)
まどか(でも……)
まどか「……私、負けたくないんです」
まどか「どうしても……どうしても勝たなくちゃいけないんです」
まどか「そうじゃないとダメなんです。そうじゃないといけないんです」
まどか「私が……私が地獄に突き落としてしまったから! 私が背負わせてしまったから!」
まどか「だからーーーだから、私は!! 勝たなくちゃいけない!!」
まどか「勝たなくちゃいけないの!!」
なのは「まどかちゃん……」
まどか(気付けば、吐き出すように感情をぶちまけていた)
まどか(あの日の約束。あの日のお願い。あの日の罪ーーー)
なのは「……まどかちゃん」
なのは「なんとなく分かったよ。まどかちゃんには絶対に叶えたい願いがあるんだね」
まどか(アーチャーは……なのはさんは、優しく微笑んだ)
まどか(あんな事をした私に、無理やりに酷い事をししようとした私に、優しく)
なのは「教えて」
なのは「言葉にしないと伝わらないから」
なのは「あなたの想いを、あなたの辛さを、あなたの願いをーーー」
まどか(そして、言った)
まどか(教えて欲しい、と)
まどか(私の想いを、私の罪を)
まどか(私は……私は……)
1.言う
2.言わない
↓1
まどか(言えない……言える訳がなかった)
まどか(これは私の、私はだけの、罪なのだから)
まどか(それに、彼女だってそうだった)
まどか(自分の苦悩を誰にも……『私』にすら言わずに、戦い続けた)
まどか(孤独な、孤独な、戦い)
まどか(永遠とも思える繰り返しの中で、彼女は遂に誰にも言わなかった)
まどか(なのに、私だけが辛いと、苦しいと、全てを打ち明けてしまうのか)
まどか(……そんなのは、絶対におかしい)
まどか(こんな苦悩は、彼女のそれからすれば微々たるものなのだ)
まどか(だから、私は背負い続ける)
まどか(この罪をーーー一人で)
まどか(……無言を貫く私を、アーチャーは寂しげに見つめた)
なのは「……ごめんね、いきなり過ぎたよね」
なのは「待ってるから」
なのは「話したいと思います思ったら、いつでも教えて」
なのは「私は、貴方の、サーヴァントなんだから」
まどか(明るい調子で、アーチャーはそう言った)
まどか(……私は、彼女を見ていられなかった)
まどか(視線をきり、轟音の続く方角へ足を向ける)
まどか「……行こう、アーチャー。どんなサーヴァントが戦ってるのか、見ておかないと」
なのは「……うん」
まどか(私は振り向かずに歩み始める)
まどか(押し寄せる光を振り払うように、進んでいくーーー)
~ランサー陣営~
杏子(結局、あいつは追い掛けてこなかった)
杏子(口では綺麗事を並べておきながら、実際は欲に目が眩んでいるのだ)
杏子(口だけ達者な偽善者野郎……全くクソみたいな奴と組んじまったもんだね)
『ーーーガァァァァァァアアアアアア!!!』
杏子(っと、どうやら始まったらしいね)
杏子(さて、どう動くかねぇ)
杏子(小難しい事を考えずに正面から叩き潰すか、隙を伺うか)
杏子(釣られて来たバカを狩るってのも良いかもね)
杏子(ここはーーー)
1.戦闘に乱入し、ブチのめす
2.影から隙を伺う
3.他の獲物を探す
↓1
杏子(グダグダと考えるのは後だ)
杏子(私の邪魔をしよーって奴は、片っ端からぶっ潰す)
杏子(さぁて、やってやろうかねぇ)
□
カズキ(……俺は、彼女を、止めなかった)
カズキ(俺の願いを叶えるために、彼女を止めようとしなかった)
カズキ(脳裏に、あの平穏で、賑やかで、楽しくて)
カズキ(そして、あの人が隣にいる生活が、思い浮かぶ)
カズキ(……諦めた筈だった)
カズキ(他人に害をなすだけの存在となった自分)
カズキ(同様の存在と共に月へ行き、終わらない戦いを続ける筈だった)
カズキ(どれだけ傷つけようと、どれだけ傷つこうと終わらない戦い)
カズキ(その最中にーーーこの戦いに呼ばれた)
カズキ(……願い)
カズキ(その願いは間違いではない。でも、その願いを叶えるために誰かが傷付くのは間違っている)
カズキ(分かっている)
カズキ(分かっているんだ。だけど……!!)
『ーーーガァァァァァァアアアアアア』
カズキ(その時だった)
カズキ(耳をつんざくような獣の声が、遠くから鳴り響いた)
カズキ「サーヴァント……戦いが始まったのか!」
カズキ(杏子の反応は……)
カズキ(声のした方に向かってるーーー!)
カズキ(それを理解した瞬間、身体は駆け出していた)
カズキ(心の奥から湧き上がる熱い何かに突き動かされる)
カズキ(彼女を止めなかったくせに)
カズキ(自分の願いを優先しようとしたくせに)
カズキ(誰かが傷付くと、杏子が誰かを傷付けると分かった瞬間、)
カズキ(あんなにも動かなかった筈の足が、前へ前へと進んでいた)
カズキ「やっぱり、そんなのダメだ……!!」
カズキ(誰かが傷付くと分かっていて、それを放って置くなんて出来なかった)
カズキ(杏子が誰かを傷付けると分かっていて、それを放って置くなんて出来なかった)
カズキ(胸に手を当てる)
カズキ(彼女から貰った、2つ目の命が宿る場所)
カズキ(傷付けさせないために、守るために)
カズキ(心の限り、叫ぶ)
カズキ「ーーー武装錬金!!」
カズキ(山吹色の閃光が、視界を染め上げたーーー)
~ライダー陣営~
トニー(戦いが、あった)
トニー(宇宙の命運をかけた戦い)
トニー(……準備はしてきた筈だった)
トニー(6年前のあの日……異星人がNYに攻め込んできたあの日から、常にこの戦いの事を考えてきた)
トニー(仲間を集め、戦力を集め、設備を整え…)
トニー(だが、上手くは、いかなかった)
トニー(全ては終わってしまった)
トニー(いつか見た最悪の未来が、そこにあった)
トニー(……この戦いに勝利すれば、願いが叶うと言う)
トニー(本当か嘘かは分からない。正直眉唾ものだ)
トニー(だが、もはやこれしかなかった)
トニー(縋れるものは、これしかない)
トニー(選択肢など、もうないのだ)
トニー(だから、戦うと決めた)
トニー(それがヒーローに背く行為であったとしても、あの戦いが無かった事になるのであれば)
トニー(それで、構わない)
トニー(悪名は、全て私が被ろう)
トニー(戦闘反応あり。早速はじまったみたいだな)
トニー(援軍はなし。味方もなし)
トニー(隠すつもりもない戦い方だ。他のサーヴァントが集まってくるだろう)
トニー(さて、どうするか)
トニー(戦闘中のサーヴァントを狙うか、それとも他のサーヴァントを狙うか)
トニー(まずはーーー)
1.戦闘中のサーヴァントを狙う
2.他のサーヴァントを狙う
↓1
トニー(まずは他のサーヴァントからだな)
トニー(戦いに気を取られている分、隙もつきやすいだろう)
トニー(ーーー行くぞ!)
□
みほ(遠くから何かがぶつかり合うようなスゴイ音も聞こえる…)
みほ(多分戦いが始まったのだろう)
みほ(それは、人と人が戦っているものとは思えない、まるで戦車が交戦しているかのような戦闘音)
みほ(私なんか、それを聞いてるだけで足がすくんでしまう)
みほ(だというのに、トニーさんは迷う様子もなく、戦場へ近づいていくようだった)
みほ(……正直、トニーさんは普通の人にしか見えなかった)
みほ(ハンサムで、自信に満ちていてーーーでも、普通の人だ)
みほ(多分、トニーさんの真骨頂はあのスーツなんだと思う)
みほ(ライダーとは、何かに騎乗して戦う事を得意とするクラス)
みほ(トニーさんも、あのスーツに『騎乗して』戦うという事なのだろう)
みほ(……でも、だからこそ、不思議に感じた)
みほ(普通の人が、何であんなスーツを着て戦っているのか)
みほ(普通の人が、何でサーヴァントとして呼ばれたのか)
みほ(普通の人が、何で少しも怖がる事なく戦いに身を投じられのか)
みほ(考える程に、分からなかった)
みほ(……最初に出会った時、トニーさんは私を拒絶するように去って行った)
みほ(一人で戦うと宣言し、一人でサーヴァント同士の戦場へと向かっていった)
みほ(たった一人で全てを背負い、たった一人で戦おうとする)
みほ(それは……とても寂しい選択だと感じた)
みほ(私は、皆に助けられた)
みほ(友達に、仲間に、ライバル達に助けられーーーだからこそ、戦えた)
みほ(あの大会でも、大学選抜との決戦でも、)
みほ(皆がいたから、戦えた)
みほ(そして、皆がいたから知る事ができた)
みほ(私の選択が決して間違いではなかったと、)
みほ(こんな戦車道もあるんだと、)
みほ(知ることができた)
みほ(……確かに一人でも戦える人はいるのかもしれない)
みほ(お母さんやお姉ちゃん、愛里寿ちゃんのように、強い強い人達)
みほ(でも、一人で戦い続けられる人は、多分いない)
みほ(誰だって、ずっと一人ではいられないのだ)
みほ(お母さんにはお父さんが、お姉ちゃんにはエリカさんが、愛里寿ちゃんには副隊長の人達が、)
みほ(誰かが、その人を支えてくれる)
みほ(トニーさんにも、そんな誰かがいるのだろう)
みほ(でも、この場では……私だけだ)
みほ(私だけが、彼の力になれるのだ)
みほ(だから、彼を支えてあげたいと、支えなくちゃと思う)
みほ(トニーさんに拒絶されたとしても、それがマスターとしての自分の役割だ)
みほ(……トニーさんの気配を辿って走っていく)
みほ(段々と大きくなっていく戦いの音)
みほ(彼が渡してくれたビーコンを握りしめ、私は進んでいくーーー)
~キャスター陣営~
縁寿「……どうやら戦いが始まったみたいね」
ゼオン「そうだな」
縁寿「サーヴァントの気配はどう?」
ゼオン「戦闘中の者が2体、それに近付く者が2体……他の連中は気配を消しているようだ」
縁寿「気配を隠さない奴等は、それだけ自信があるって事なのかしらね?」
ゼオン「どうだか。ただの破滅願望持ちかもしれん」
ゼオン「どちらにせよ、俺に敵いはしないんだ。どう行動しようが関係ない」
縁寿「……自信の度合いで言えば、間違いなくあなたが一番よ」
ゼオン「そりゃどうも」
縁寿(さてまだ戦闘はしないにせよ、何か行動をしないと)
縁寿(……まずは情報が欲しいところね)
縁寿(相手が何を目的として、どんな一手を打ってくる存在なのか見極めないと)
縁寿(戦闘中の陣営と、その周囲にいるだろう陣営……まず狙うのはーーー)
1.戦闘中の陣営
2.周囲の陣営
↓1
縁寿(戦闘中の陣営ね。どんな戦い方を観れるだけでも、有力な情報だわ)
縁寿「行きましょうか、ゼオン」
ゼオン「戦闘は?」
縁寿「まだダメ。まずは足場をかためないと」
ゼオン「分かった」
ゼオン「マントに乗れ。戦場に向かうぞ」
縁寿(言うとゼオンのマントがニュッと伸びて足場になった)
縁寿「……便利なマントね」
ゼオン「まぁな。盾にも矛にもなる」
ゼオン「瞬間移動は……使えないか」
ゼオン「走るぞ。少し揺れるが我慢しろ」
縁寿(返事を待たずにゼオンは走り出した)
縁寿(凄まじい速さだった)
縁寿(不安定な足場も暗闇も気にせず、ゼオンは駆けていく)
縁寿(その足取り、その速さだけでも、ゼオンの実力は見て取れた)
縁寿(私のサーヴァントは、強い)
縁寿(このサーヴァントと何をしようかと考えると、心が踊った)
縁寿(……脳裏に浮かぶ、とある光景)
縁寿(いつも飄々としていた男が、私に真実を突き付けられた瞬間に見せた、あの表情)
縁寿(驚愕と恐怖がない交ぜになった、滑稽な表情だった)
縁寿「……あんな表情を見て回るのも悪くないわね」
縁寿(ゼオンにも聞こえないような小さな声で、ボソリと呟く)
縁寿(ああ、楽しみだ)
縁寿(どんな敵が待ち受け、どんな表情を見せてくれるのか)
縁寿(本当に、楽しみだーーー)
~アサシン、バーサーカー陣営~
XI(……相手は中々にしぶとかった)
XI(あれだけの質量をまるで普通の剣のように自在に操る男)
XI(踏み込みは鋭く、その粗暴な戦い方の奥に確かな技量もある)
XI(強い、のであろう)
XI(ただの人間であれば、手も足も出ないだろう)
XI(だけどーーー私の敵では、なかった)
レナ「ーーーバーサーカー!!」
XI(バーサーカーのマスターが悲鳴にも似た声を上げる)
XI(当たり前だ。自分の唯一の戦力が、鮮血を撒き散らしながら、暗闇の奥へと吹き飛んでいったのだから)
XI「弱いね、あなたのサーヴァント」
XI(そう、相手は弱い)
XI(剣技も鋭く、筋力もある……けど、それだけ)
XI(『新たな血族』である私には敵う訳がなかった)
XI(ただ一つ厄介だとすればーーー)
バーサーカー「グオオオオオオオオオオオ!!!」
XI(ーーーその、タフネス)
XI(何度吹き飛ばしても、狂ったように追い縋ってくる)
XI(鎧の下の肉体がグズグズになる程の衝撃を、何度も何度も加えている)
XI(なのに、立ち上がり、戦い続ける)
XI(まさに狂戦士)
XI(厄介ではないが、面倒な相手だった)
XI(……何らかの制限でもあるのか、記憶の読み取りも朧げにしかできない)
XI(マスターの方も同様だ。サーヴァントよりは読み取り易いが、普段のそれと比べれば明らかに程度が低い)
XI(どちらも記憶を読み取れはするだろうが、時間はかかるだろう)
XI(……どうするか)
XI(この面倒な敵を倒すにはーーー)
1.このまま力押しで攻め続ける。
2.記憶は読み取り、変身能力を使う
3.その他(自由記載・内容によっては再安価)
↓1
XI(ーーー最大火力で消滅させる)
XI(まずは……)
□
レナ(それは唐突に起こった)
レナ(目の前の少女が、グニャリと歪んだ)
レナ(まるで泥状の何かのように一度崩れ、別の形に構築された)
レナ(現れたのはーーー女性、だった)
レナ(ドレスを纏った、大人びた雰囲気の女性)
レナ(姿が、変わった)
レナ(少女から女性へ)
レナ(まるで何年もの時が一瞬で過ぎたかのように、彼女は『変身』した)
レナ(……私は、眼前で起きた不可思議な現象に動きを止めてしまった)
レナ(動けたのは、バーサーカーだけだった)
レナ(何かを察知した彼は、私を守るようにその身体と外套で包む)
レナ(冷たい鎧の感触に知覚が染められたその時ーーーそれは、起きた)
レナ(凄まじい衝撃が身体を叩いた)
レナ(それは音、だったのだと思う)
レナ(巨大な空間の壁で押し潰されるような感覚。多分、バーサーカーが守ってくれてなければ、それだけで私は死んでしまったかもしれない)
XI「良い歌でしょう」
XI「歌で直に脳を揺さぶり、死を与える」
XI「ただの人間の技も、私にかかれば必殺になる」
レナ(……声が、聞こえる)
レナ(大人びた女性の声。声色すらも、完全に変わっていた)
レナ(バーサーカーは動かない。いや……動けないのだろう)
レナ(私の代わりに、私を守るために、彼女の『歌』とやらを受けたのだ)
レナ(それはバーサーカーの動きすら止める程に、ダメージを与えた)
XI「でも、これはほんの小手調べ」
XI「人類を凌駕するものの、本当の力を見せてあげる」
レナ(言葉とともに、少女の気配が消えた)
レナ(見逃してくれた……というわけではないだろう)
レナ(また何かを仕掛けてくる筈だ。直ぐに態勢を立て直さなくちゃ……!)
レナ(そう思って、顔を上げたその時だったーーー)
レナ(地響きが聞こえた)
レナ(地面が唸り、同時に揺れている)
レナ「っ、バーサーカー!!」
レナ(何が起きてるかは分からない)
レナ(ただ危機感があった)
レナ(このままここにいたら危険だと、本能が告げていた)
バーサーカー「オオオオオオオ!!」
レナ(私の声に応えるように、ボロボロの身体を推して、バーサーカーが動いた)
レナ(私を担ぎ、走り出す)
レナ(私を担ぎ上げた瞬間だった。甲冑の間から、鮮血が舞い散る)
レナ(……その鎧の下は傷だらけなのだろう)
レナ(それでもーーー)
レナ「……お願い、バーサーカー」
レナ(その鎧に手を当て、呟きを掛ける)
レナ(バーサーカーはただ行動でのみ、応えた)
レナ(負傷を感じさせないような、凄まじい速さで森林を突っ切っていく)
レナ(だけど、私の願いも、バーサーカーの頑張りも、嘲笑うかのように、それは現れた)
レナ(視界の端で見えるそれは、漆黒の壁だった)
レナ(私の見える世界全てを飲み込まんとする、壁で)
レナ(木々も、地面も、空さえも飲み込まれ、黒に染まっていく)
レナ(バーサーカーの敏捷性ですら、逃げ切れはしない)
レナ(それはあっという間に私達へと近付いてきてーーー)
レナ(ーーー気付けば、わたしの身体は宙に舞っていた)
レナ(何が起きたのか、直ぐに理解するのは難しかった)
レナ(ただぐちゃぐちゃの視界の中で、バーサーカーと目があった)
レナ(同時に、私は全てを察した)
レナ(バーサーカーが、私を投げ飛ばしたのだ)
レナ(このままでは助からないとして、私だけでもと逃したのだ)
レナ「待ってーーー」
レナ(……そう、口にしたかったけど、言葉は出なかった)
レナ(凄まじい勢いで宙を舞い、戦線から離れていく)
レナ(最後に私が見た光景は、バーサーカーが漆黒の何かに飲み込まれる瞬間だったーーー)
~セイバー陣営~
士郎(それは、唐突に発生した)
士郎(間断なく続いていた戦闘音が止んだかと思えば、次いで地鳴りと地響きが起こって)
士郎(更に、その直後ーーー地滑りが発生したのだ)
士郎(前方の……多分、戦いがあった地点の辺り)
士郎(そこを呑み込むように地滑りが起きた)
士郎(……偶然とは、思えない)
士郎(サーヴァントとは超常の存在だ)
士郎(中には、そんな事をしでかす奴もいるのかもしれない)
士郎(……前方ではセイバーが立ち止まっていた)
士郎(ちょうど地滑りがあった地点と、それに巻き込まれなかった地点との境界)
士郎(セイバーはその惨状を見つめるように、立ち尽くしていた)
士郎「セイバー、無事か!」
士郎(……セイバーは、答えない)
士郎(ただ瞳を動かし、何かを探している)
士郎(多分、この惨状を起こした相手を……自分を殺してくれるであろう相手を探しているのだろう)
士郎「……生存者を探すぞ、セイバー」
士郎(それに気付いていないフリをして、俺は地滑りのあった地点に足を踏み込いれた)
士郎(危険なのは分かっている)
士郎(また地滑りが起きるかもしれないし、これを起こしたサーヴァントも付近にいるのかもしれない)
士郎(それでも、)
士郎(これに誰かが巻き込まれていて、万が一にでも生きている可能性があるのだとすれば、)
士郎(行動するには、充分すぎた)
七花「……正気か、お前」
七花「ここに埋まってるかもしれないのは、敵だぞ?」
士郎「そうかもしれないけど、そうじゃないかもしれないだろ」
士郎「遠坂みたいに協力してくれる奴や、俺みたいに偶然巻き込まれただけの奴がいるかもしれない」
七花「………」
士郎(セイバーからの返事はなく、俺に手を貸す様子もなかった)
士郎(ただ得体の知れないものを見るかのように、俺を見ていた)
士郎(その瞳を、知っている)
士郎(かつてのアイツが幾度も向けられ、これからの俺が何度も何度も向けられるのであろう瞳だ)
士郎(……そんな事は知ったこっちゃない)
士郎(どんなに歪でも、歪んでいても、俺は俺のやり方を貫くだけだ)
士郎(……あれは……)
士郎(そうして周囲を探っていると、それはあった)
士郎(地滑りの地点から少し離れた所)
士郎(そこにちらりと動くものがあったのだ)
士郎(駆け付けると、そこには少女が一人横たわっていた)
士郎(肩まで伸びた茶髪に、小柄な身体)
士郎(制服を着てるという事は学生だろう)
士郎「……くそっ、酷い傷だ」
士郎(少女はボロボロだった)
士郎(額からは薄く血が流れ、左手も曲がってはいけない方向に曲がっている)
士郎(地滑りが直撃した訳ではなさそうだがーーー)
七花「さっきまで戦ってた奴のマスターだろうな」
士郎「……多分、そうだろう」
七花「拾ってくのか?」
士郎「ああ、こんな傷だらけの奴を放っとけない」
七花「……敵だぞ?」
士郎「言っただろう。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」
七花「甘ちゃんだな」
士郎「仕方ないだろ。俺はこういうタチなんだ」
レナ「……待っ、て……」
士郎「! 意識が…!」
レナ「……お願、い……バーサーカー、の所に……連れて、って……」
士郎(……バーサーカーと、少女は言った)
士郎(つまり、この子はバーサーカーのマスターなんだろう)
士郎(……振り絞るような声で、自分のサーヴァントの所へ行きたいと言う少女)
士郎(だけど、少女はボロボロで、とても戦いに巻き込めるような状態じゃない)
士郎(少女の身を優先するなら、今すぐにでも此処を離れて、安全な所で休んだ方がいい)
士郎(でも、そうすればマスターのいないバーサーカーは……)
士郎(どうする?)
士郎(どう、行動する……)
1.バーサーカーの元へ向かう
2.安全な場所に退避する
↓1
士郎「その願いは…聞けない」
レナ「そんな……どう、して…」
士郎「君の安全の方が優先だ」
レナ「待って……待って、くだ。さい……私には……バーサーカーが、いない、と……!」
士郎「……すまない」
士郎(……彼女のいう事は、聞けなかった)
士郎(こんな状態で戦いなんて自殺行為でしかない)
士郎(たとえ少女が望んだとしても、それを叶えるなんて出来ない)
レナ「離、して……! 私は、まだ戦わないと……勝たないと、いけないのっ……!」
士郎(少女は身を捩り、俺を振り解こうとする)
士郎(精一杯の抵抗。でも、その精一杯も余りにか弱過ぎた)
士郎(とても戦いに耐えられる状態ではなかった)
レナ「離、して……離せっ……私は、勝たなくちゃ……勝って、あの日の、真実を……!!」
士郎(彼女にも理由があるのだろう)
士郎(戦わなくちゃいけない理由が、勝たなくてはいけない理由が、)
士郎(……願い、が)
士郎(俺はその事情の全てを踏みにじっているのだろう)
士郎(でも、それでも、彼女が死なないで済むのならーーー)
士郎「恨んでくれても、構わない」
士郎「これが、俺のーーー」
士郎「ーーー正義の味方としての、選択だ」
士郎(俺は、はっきりと、そう告げた)
□
レナ(その人は、言った……)
レナ(これが正義の味方としての、判断だと)
レナ(揺るぎない声で、はっきりと)
レナ(ふざけるな……)
レナ(何も……何も、知らないくせに)
レナ(私がどんな想いで戦っているのかも、バーサーカーがどれだけ私を助けてくれたのかも、知らないくせに……)
レナ(全てを失った私の絶望も、知らないくせにーーー!!!)
レナ(ふざ、けるな……)
レナ(ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!!)
レナ(私は負けられない! あの日の真実を手に入れるまで、絶対に!!)
レナ(勝て、勝つんだーーー)
レナ(ーーーーー勝って、バーサーカーーーーーー!!!)
レナ(想いと同時に、右手の刻印が強く光った)
レナ(それで、限界だった)
レナ(私の意識は、暗闇の中に吸い込まれていったーーー)
~アサシン・バーサーカー陣営~
XI(大きく変わった景色を見下ろす)
XI(『新たな血族』の一人であるテラ)
XI(土地の急所を知り、土地を自在に操る彼の能力を使い、地滑りを発生させた)
XI(人工的な自然災害は、奴を瞬く間に呑み込んだ)
XI(これだけの規模の土砂に呑まれたのだ。幾らあのタフネスだとしても戦う事は不可能だろう)
XI(寸前でマスターを逃したようだけど、問題はない)
XI(あのマスターは弱い。逃げ延びた所で邪魔にはなりやしない)
XI(次に出会った時に殺してしまえば良い)
XI「これで1組。思ったより時間を取られる……」
XI「次はーーー」
XI(と、苛立ちながら、次の標的を探そうとした瞬間だった)
XI(紅い閃光が、走った)
XI(目に見えるほどの魔力が空気を揺らがし、風を生んだ)
XI(その現象が何だったのか、直ぐには分からなかった)
XI(だが、数秒後に理解する)
バーサーカー「ーーーークオオオオオオオオおおおオオオオオオ!!!」
XI(土砂の世界から飛び出した、その姿を見る事で)
XI(奴の両手と両足は有らぬ方向に捩くれていた)
XI(鮮血など止めどなく溢れていて、鎧の下の肉体は原型を留めてなどいないのではと思えるほどだ)
XI(なのにーーー奴は、立っていた)
XI(捩くれた手足で、バケツをひっくり返したような血を溢れさせながら、立つ)
XI(タフネス、という言葉で片付けられるそれではない)
XI(例えパパだって、あの魔人だって、こんな傷を負えば立ってはいられない筈だ)
XI(……令呪)
XI(三度きりの切り札を、あのマスターは使用したのだろう)
XI「……でも、それでどうするつもり?」
XI「万全の状態で手も足も出なかったお前が、その傷で勝てるとでも?」
XI「今度は念入りに殺す。脳を潰し、首をねじ切り、心臓を抉り出してーーー」
XI「ーーー殺す……!」
XI(……苛立ちがあった)
XI(『新たな血族』の力を幾度も食らって立ち上がる、この存在に)
XI(こんな矮小な存在を殺すのに手間取る自分自身に)
XI(だからなのか)
XI(私は気付く事ができなかった)
杏子「ーーー貰ったぁ!!」
XI(後ろの茂みから飛び出して来た、赤い槍兵の姿にーーー)
~数分前・ランサー陣営~
杏子(……こりゃ思ったよりも、ヤバそうだね)
杏子(地滑りを引き起こす化け物と、それ食らって立ち上がる化け物と……)
杏子(……サーヴァントって、呼ばれるだけの奴等は揃ってるみたいだね)
杏子(幸いな事に、奴等は私の存在に気づいちゃいない)
杏子(片方は立ってはいるものの死にかけだし、片方は見るからにイラついてやがる)
杏子(乱入するには、またとないチャンス)
杏子(さぁて、どちらを狙うか)
杏子(ここはーーー)
1.鎧野郎を狙う
2.女を狙う
↓1
杏子(どーせ鎧の奴は放っておいても死んじまいそうだ)
杏子(ここは、あの女を狙う)
杏子(隙はある。あいつが奴に襲い掛かると同時にーーー)
杏子(行くーーー)
杏子(茂みから躍り出て、奴を狙う)
杏子(反応は明らかに遅かった)
杏子(私の事を察知しきれていない)
杏子(いつも通りに槍を振るう)
杏子(ゆっくりに引き伸ばされた知覚の中で、刃が女へと近づいていく)
杏子「ーーー貰ったぁ!!」
杏子(そして、刃が、女に触れたーーー)
杏子「なっーーーー」
杏子(思わず、声が漏れた)
杏子(勝利を確信したからではない。驚愕に声が漏れた)
杏子(刃は、確かに当たっている)
杏子(だが、槍から伝わる感覚が違った)
杏子(まるで分厚い鉄板を叩いたかのような、固い固い感覚)
杏子「てめぇ、それは……!?」
杏子(それはーーー金属だった)
杏子(槍の触れている皮膚が、光沢を持った金属に『変化』していたーーー)
XI(……危なかった)
XI(槍兵の不意打ちに、私は回避行動も防御行動もとれなかった)
XI(ただ一つ。初めての試みをした)
XI(パパの力の、金属を操る力の、模造)
XI(模造は何とか成功し、槍の刺さる部位を硬質化させる事に成功した)
XI(刃と金属化した皮膚とが接触し、火花を散らす)
XI(これで防御に成功した筈……だがーーー)
XI「がふっ……!」
XI(刃は、肉体に食い込んでいた)
XI(本来のもののと比べれば浅く、でも常人ならば命にも届き得る程には深く)
XI(刃が、食い込む)
XI(……模造が、不完全だったのだ)
XI(パパの能力は特別だ。いくら私でも完全に真似する事などできない)
XI(……この程度の傷で死にはしない。傷も少しの時間があれば回復するだろう)
XI(だが、今この瞬間においてはーーー)
XI(ーーー余りに痛手だ)
杏子「訳わかんねー真似しやがって! ならさぁ!」
XI(こちらのダメージを見て取って、槍兵が踏み込んでくる)
XI(防衛に回るしかなかった)
XI(ここは守りに徹して、回復を待つーーーー)
XI(ーーーーそう思考した瞬間、だった)
バーサーカー「ーーーーーア、アアアアアアアアァァァァアアアアアアアア!!!」
XI(凄まじい魔力が、狂った戦士から放出される)
XI(噴き出すは、漆黒)
XI(それは、私も、眼前の槍兵も巻き込んで、世界すら飲み込んだ)
『ーーーーーー現れし蝕の記憶ーーーーーー』
XI(最後に、そう狂戦士の声が聞こえた)
~アサシン・マスター視点~
渚「な、なんだ、あれ」
渚(思わず口から驚きが溢れていた)
渚(それもそうだろう。目の前にいきなり訳の分からない光景が出現したのだから)
渚(黒い渦、だった)
渚(前方の……アサシンの反応があった方向に)
渚(遠くの自分にも感じられる、身体が震えるような膨大な魔力を伴って)
渚(それは、現れた)
渚(……もちろん、分かる。あれは、危険だ)
渚(近付いてはいけない事象。自分では手に余る事象)
渚(本来ならば、このまま踵を返すのが正解なのだろう)
渚(だけど、アサシンがあの中にいる)
渚(訳の分からない事態の最中での事とはいえ、パートナーとなったのだ)
渚(放って置くなんてできない)
渚(考えろ。考えろ。考えろ)
渚(目的は、アサシンとの合流)
渚(今の僕に何ができるのか。何をすべきなのか)
渚(潜入するか、近くで様子を見るか……。でも、どちらにせよ一人で出来る事なんて限られてる)
渚(……一人で無理なら、誰かに協力を頼む?)
渚(でも、こんなバトルロワイヤル方式の戦いで協力なんて仰げるのか?)
渚(しかもアサシンと離れている今、問答無用で襲われたら、その時点で終わりだ)
渚(なら一人で? でも、それは……)
渚(くそっ、今の僕にできる事、それはーーー)
1.協力者をさがす
2.渦の近くで様子を見る
3.渦の中に潜入する
4.その他(自由記載・内容によっては再安価)
↓1
渚(……立ち止まって、思考する)
渚(自分にできる事、できない事)
渚(誰かを頼る事、誰かに頼られる事)
渚(……目の前の事象は、確かに常識外れのものだ)
渚(僕一人で対処なんて、出来やしないのかもしれない)
渚(僕一人が向かったところで、意味なんて無いのかもしれない)
渚(……でもーーー)
渚(ーーー何もできない訳じゃない)
渚(僕には、あの一年がある)
渚(あの先生を殺すための、あの先生に教え導かれた、一年)
渚(誰かを頼る事は決して悪い事じゃない)
渚(でも、やるべき事を、出来る事をやらずに、ただ頼るのはダメだ)
渚(自分に出来る事をやり、その上で考え、判断し、道を選択する)
渚(……僕にも、情報を集めるくらいは出来る)
渚(隠密の技術は、押しでがましいくらきに教え込まれたんだ)
渚(まずは潜入し、情報を集める)
渚(その上で先に進むか、助けを求めるかを判断しても、遅くない筈だ)
渚(……渦の寸前まで辿り着く)
渚(深く深く深呼吸をする)
渚(一回……二回……三回……)
渚「……行こう」
渚(意を決して、僕は渦の中に足を踏み入れた)
渚(その先にあったのはーーーー)
~アーチャー陣営~
まどか「これは……」
まどか(戦いを見ている中で、それは起こった)
まどか(戦闘を行なっていた2人のサーヴァントと、サーヴァントが引き起こした土砂崩れ)
まどか(不意打ちに……杏子ちゃんが現れ、直後それが発生した)
まどか(黒い、渦)
まどか(禍々しい程の魔力の奔流)
まどか(それが、漆黒の騎士を中心にして、発生した)
なのは「……宝具、だね」
まどか(緊張の表情で、アーチャーが言う)
まどか(……宝具。サーヴァントを象徴する、切り札の如き存在)
まどか(騎士のそれが、この黒渦なのか)
まどか(こんな禍々しい渦が、彼の象徴とでも言うのか)
まどか(……それは、とても悲しい事のように、私には思えた)
なのは「……どうする、まどかちゃん」
なのは「情報収集が目的なら、それなりに成果はあったと思うけど」
まどか(アーチャーの発言に間違いはない)
まどか(姿を変える少女のサーヴァント、大剣を携えた騎士のサーヴァント、そして杏子ちゃん)
まどか(半分ものサーヴァントを知る事ができたのだ。情報としては十分だろう)
まどか(でもーーーー)
まどか「ーーーーあの宝具の情報が得られてません」
まどか(一番大事な情報が、得られていない)
なのは「……求め過ぎも良くないと思うよ」
なのは「これだけの情報が得られたなら、もう充分だよ」
まどか「確かに沢山の情報は得られました」
まどか「でも、一番大事な情報はあれですよね」
なのは「……危険だよ」
なのは「近付かない方が良いと思う」
まどか(迷いの無い断言)
まどか(アーチャーがそうまで言うのだ。本当に危険なのだろう)
まどか(でも、大きなチャンスである事も確かなのだ)
まどか(無理をしてでも宝具の情報収集をするか、否か)
まどか(ここはーーー)
1.宝具の情報収集をする
2,宝具の情報収集はしない
↓1
まどか「……分かりました。撤退しましょう」
まどか(確かにあの雰囲気は危険な感じがする)
まどか(まるで魔女の結界……ううん、それを更に色濃くしたような)
まどか(近付くのは……やめとこう)
なのは「了解。……ありがとうね、忠告を受け入れてくれて」
まどか「いえ、ただそうして方が良いと思っただけです」
まどか(黒い渦に背を向けて、森を進んでいく)
まどか(中では、どんな事が繰り広げられているのか……あまり想像はしたくなかったーーー)
~ライダー陣営~
トニー「……何だ、あれは」
トニー(視界の端で、それは唐突に発生した)
トニー(膨大なエネルギー反応が一度発生し、その直後に、更に強力なエネルギー反応があった)
トニー(その後にあったのは、黒色の渦だ)
トニー(……何となく、NYでのチタウリ襲撃を思い出させる)
トニー(あの時の……宇宙へと続く深淵の穴のような、薄気味の悪い感覚)
トニー(……あまり良い記憶ではないが、見過ごすという訳にはいかなかった)
トニー(あれは、おそらく宝具と呼ばれるものだろう)
トニー(中からは膨大な数の動体反応……と同時に動かなくなっていく反応も多数あった)
トニー(反応は人のそれではない。あの渦と同じようなエネルギー体だ)
トニー(それが蠢き、また動きを止めている)
トニー(……まるでエネルギー体同士が潰しあっているかのようだ)
トニー(だが、宝具が生み出したエネルギー体同士が、何故潰し合うのか)
トニー(……外からでは見当がつかなかった)
トニー「……中に入るには、余りに情報が少ないか」
トニー(そもそも宝具とは、サーヴァントの切り札のようなものだ)
トニー(準備も覚悟もなしに突入して、無事に済むものではない)
トニー(ここは静観。何か動きがあれば、また考えよう)
トニー(……ひとまずは、当初の目的を果たそうか)
トニー(戦場の周囲にいるサーヴァントを1組発見した)
トニー(奴等の姿はーーー)
コンマ偶数:ピンク髪の少女と白服の女性(アーチャー陣営)
コンマ奇数:茶髪の少女と銀髪の子ども(キャスター陣営)
コンマ判定
↓1
トニー(子ども二人か)
トニー(……スティーブが知れば、目くじらを立てるだろうな)
トニー(だが、引けない)
トニー(僕に残されているのは、戦い、勝つ事だけだ)
トニー(ーーー行くぞ)
□
~キャスター陣営~
ゼオン「……魔力の渦か」
ゼオン「これが宝具、というやつなのだろうな」
縁寿(目の前では信じられないような光景が広がっていた)
縁寿(空まで届く漆黒の渦巻き)
縁寿(見ているだけで気圧されるような光景が、そこにある)
ゼオン「下らない戦いかと思えば、何だ少しは楽しめそうじゃないか」
縁寿(……圧倒される私を尻目に、サーヴァントのこいつは楽しげだった)
縁寿(黒騎士と少女の規格外の戦いを見てる時もそう)
縁寿(その余裕が崩れる事はなかった)
縁寿(あの目では追えない戦いを見ている時も、少女が姿を変えた時も、突然に土砂崩れが起きた時も、)
縁寿(幾度と立ち上がる騎士を見た時も、凄まじい速度で乱入してきた槍兵を見ている時も、だ)
縁寿「……何だか楽しそうね」
ゼオン「そうか? まぁ、退屈よりは良いだろう」
ゼオン「どうする。まだ静観を決め込むのか?」
縁寿(好戦的な瞳で、キャスターが告げる)
縁寿(これだけ自信があるのなら、向かわせてみるのも良いのかも知れない)
縁寿(ーーーそう思い、口を開いたその時に、それは来た)
縁寿(空から一直線に飛来する影)
縁寿(それは一切の減速をする事なく、膝と手を付き、私達の前に着地した)
縁寿(赤と金の入り混じった金属の装甲)
縁寿(胸部と関節には淡い光が灯っている)
縁寿(アニメや漫画で見るサイボーグのようなものが、目の前に降り立っていた)
トニー「こんにちは、お嬢さん達」
トニー「突然で驚かせてしまったかな。すまない。僕はサプライズが好きなものでね」
縁寿(サイボーグは存外落ち着いた様子で語り掛けてきた)
縁寿(軽い語り口……こいつもサーヴァントなのだろうか)
縁寿「……キャスター」
ゼオン「ああ、どうやらこのブリキの玩具もサーヴァントらしい」
トニー「ビンゴ! だが、君は見る目がないな。このスーツを見てブリキ玩具とは」
トニー「これは僕の叡智と技術と莫大な資金の集大成。銀河系を見渡したってこれ以上のスーツは無いと自負できるね」
ゼオン「玩具は玩具だろう? これから俺が遊んでやるのだからな」
トニー「スーツと遊ぶのは勝手だが、怪我してもクレームは無しだぞ。僕の会社も一切の責任を負わないからな」
ゼオン「気にする必要はない。死人に責任は取れないからな」
トニー「ははは、面白い子どもだ」
ゼオン「そうでもないさ。俺の前にのうのうと現れたお前の方が面白いぞ」
縁寿(……ゼオンとサイボーグとの舌戦が繰り広げられる)
縁寿(互いにやる気は充分と言ったところだろう)
縁寿(ゼオンも臨戦態勢……今更退くはないだろう)
縁寿(私も白銀の魔本に手を乗せ、敵を見やる)
縁寿「……やるわよ」
ゼオン「勿論だ」
トニー「……話が早いな。その方が僕としても助かるよ」
縁寿(言葉と共に、サイボーグの両手が巨大な砲身に変化した)
縁寿(仄暗い深淵が銃口から私を睨め付ける)
縁寿(恐怖は、ない)
縁寿(私の側にいる魔術師が、余りに頼もしく感じるからだ)
縁寿(小さく息を吐き、魔本に意識を集中させる)
縁寿「ーーーザケル!」
縁寿(言葉と共に雷光が煌きーーーそれが、戦いの始まりとなった)
次に描写する戦闘を選択してください。
1.バーサーカーvsアサシンvsランサー
2.ライダーvsキャスター
↓1
~ライダー・キャスター陣営~
トニー(眼前の敵は、その見た目に反して凄まじい強さを誇っていた)
トニー(アーマーですら捉えきれない、視界から消えたかと思わせる程の速度)
トニー(アーマーを介してですら重く身体に響く程の超人的なパワー)
トニー(そして、掌から放つ電撃ーーー)
トニー(……正直に言おう)
トニー(この子どもは、怪物だ)
トニー(この10年間様々なヴィランと戦ってきたが、それと比較しても上位にあたる)
トニー(ともすれば、友達の緑の怪物君に登場を願いたい程だ)
ゼオン「どうした、どうしたぁ! デカイ口叩いた割には手も足も出ないか!!」
トニー(背後に回り込まれ、同時に雷撃が迸る)
トニー(何とか反応して、前腕部のアーマーを盾型に)
トニー(雷をやり過ごす)
トニー(ついで、衝撃)
トニー(シールドごと身体が浮き、後方へと吹き飛ばされる)
トニー(蹴りの一撃で、コレだ)
トニー(あの小さな体躯にどれだけの筋力が秘められているのか、疑問に思う)
トニー(……しかも相手は当然の如く、吹き飛ばされた私に追随する)
トニー(宙にある僕の眼前に現れ、その右手を差し出す)
トニー(それは予備動作。奴が雷を出す前兆)
ゼオン「ーーー消えろ」
縁寿「ーーーテオザケル!」
トニー(視界が、閃光に染まるーーー)
縁寿(……ゼオンの掌から放たれた電撃が、サイボーグの姿を呑み込んだ)
縁寿(雷撃が放たれた瞬間、世界から音が消え、地面が揺れる程だった)
縁寿(凄まじい雷撃。常人であれば即死のソレだ)
縁寿(立ち込める砂埃が徐々に消えていく)
縁寿(その中に、人影があった)
縁寿(奴は、立っている)
縁寿(あれ程の電撃を食らって、尚もーーー)
ゼオン「……貴様」
トニー「どうだ? 中々頑丈な玩具だろう?」
縁寿(その語り口は、戦闘が始まる前と変わらない)
縁寿(飄々と冗談めかしたように、言う)
縁寿(対するゼオンには、少なからず驚愕が見て取れた)
縁寿(……当然だろう。あれ程の電撃を食らって立つものがいるとは考え難い)
縁寿(その腕は形状が変化し、巨大な盾のようになっている)
縁寿(恐らくは、その盾でガードしたのだろう)
縁寿(とは言っても、あれだけの雷撃だ。それでも立てるとは思えないが……)
トニー「奇遇なもので、僕は前にも雷撃を操る奴と戦った事があってね」
トニー「雷神とも呼ばれていてね。とにかく凄い雷を放つは、凄いハンマーを振るうわで、中々に手のつけられない奴だったよ」
トニー「パワー自慢の奴とも戦った事があるぞ。怒ると緑の巨人になる奴でね」
トニー「その時は流石に専用のスーツを着たが、それもボロボロにされてしまってね。寿命が縮む想いだったよ」
ゼオン「……何が言いたい」
トニー「言ったろう? このスーツは僕の集大成だ」
トニー「ソーとの戦いも、ハルクとの戦いも、ウルトロンとの戦いも、チタウリとの戦いも……キャプテンとの戦いも、」
トニー「全ての経験を詰め込んだスーツだ」
トニー「僕がアイアンマンとなってからの10年間が、このスーツに篭っている」
トニー「ーーー余り見くびるなよ、キャスター」
縁寿(言葉と共に、サイボーグが動いた)
ゼオン「ちっ…!」
縁寿(迎撃のために手を掲げるゼオンーーーその瞬間、それは飛来した)
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