更新遅め。
前作あり。
【ラブライブ】海未「罪と罰」【仮面ライダーW】
【ラブライブ】海未「罪と罰」【仮面ライダーW】 - SSまとめ速報
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ーーーーーー
私は大バカだ。
海未ちゃんを止めるために。
ことりちゃんを助けるために。
そう思って、走り続けてた。
でも、その結果がこれだ。
目の前の悲劇は、私が……高坂穂乃果が起こしたものなんだ。
「ごめん……ごめんなさい」
答える声はない。
それが当然だ。
だって、もう、誰もいない。
海未ちゃんも。
ことりちゃんも。
凛ちゃんも。
花陽ちゃんも。
真姫ちゃんも。
絵里ちゃんも。
希ちゃんも。
にこちゃんも。
みんな……いなくなっちゃったんだよ。
『貴女のせいよぉ?』
俯く私にかけられるのは、その人の声だけ。
「っ、おまえ……」
憎くて、憎くてたまらない。
きっと今の私の表情は、決して元アイドルがしていいものではないんだろう。
にこちゃんがいたら、注意されたんだろうな。
けど、
「私は……おまえを……許さないッ」
『…………なら、どうするのかしら』
「…………私はッ」
手に力を入れる。
『それ』を持つ手に。
『……そうねぇ。それしかないわよねぇ』
「……あ、あぁぁッ!!」
穂乃果は、もうどうなってもいい。
この『力』で仇が討てるならッ!!
「あぁぁぁぁぁっ」
ーー カチッ ーー
『 』
ーーーーーー
『最後のE/ 』
ーーーーーー
穂乃果「海未ちゃんっ!!」
声が掠れるのが自分で分かった。
そのくらい、必死で。
でも、
アームズ『あ、う……アァ……』
海未ちゃんは言葉にならない声を呟くだけ。
穂乃果の声は届いて、ない。
穂乃果「っ」
にこ「穂乃果……逃げなさいっ……」
穂乃果「っ、なら、にこちゃんも!」
にこ「にこのことは置いて……きなさい……」
にこちゃんはそう言った。
けど、穂乃果をかばったせいで、攻撃を受けて倒れてるにこちゃんを置いて、なんて!
穂乃果「っ、でも!」
にこ「あんた、だけでもっ、逃げるのよっ!!」
穂乃果「い、いや、だよ……」
そんなの、いや……。
いやだよっ!!
真白「フフッ」
穂乃果「っ、なに笑ってーー」
茶化すような笑い声。
それがすごく嫌で、彼女を睨む。
彼女ーー『亜坂真白』
ことりちゃんや海未ちゃんをドーパントにした人。
彼女はこっちの視線なんてお構い無しで、また笑う。
真白「フフッ。いい顔ね」
いい顔?
なにを言ってるの?
真白「絶望で歪んだ表情よぉ」
真白「この二人、幼馴染みなのでしょう? それが怪物になるのを、貴女は二度も見ることになって」
真白「二度とも何もできなかった」
真白「フフッ、ねぇ……」
真白「それを絶望と言わずしてなんと言うのかしらねぇッ!」
穂乃果「っ」
何もできなかった。
その言葉が、突き刺さる。
っ、それはーー。
にこ「っ、穂乃果……聞くんじゃないわよっ」
穂乃果「にこ、ちゃん……」
にこ「あいつは、狂ってるわ……あんなのに耳を貸しちゃダメよ」
穂乃果「っ、うん……」
にこちゃんの言葉に頷く。
そう、だよね。
こんな人の言うことなんて聞く必要、ない。
真白「あら、冷たいのね」
そう言って、クスクスと笑う。
本当に可笑しそうに。
それを見て、また背筋が寒くなる。
この人、本当にーー。
アームズ『あ……うぁ……ァァァ……』
穂乃果「っ」
真白「……そろそろ、馴染んできたかしら? あの強化アダプタはメモリの出力が上がるのはいいけれど、馴染むのには時間がかかるのが難点ねぇ」
さて。
それじゃあ、
海未ちゃんの肩を軽く叩き、彼女は笑顔でこう言った。
真白「殺してしまいましょう」
真白「貴女の親友を」
アームズ『……ほ、のか……』
一歩。
また一歩。
穂乃果に近づいてくる海未ちゃん。
穂乃果「海未ちゃんっ! 目を覚ましてよっ」
アームズ『………………』
真白「無駄よぉ……今、海未ちゃんの頭にあるのはあなたを手にかけること。それだけだもの」
穂乃果「……うみ、ちゃん」
アームズ『………………』
呼び掛けには、答えてくれない。
その代わりに、海未ちゃんはその手を大きく振り上げた。
音もなく精製していたその刀で、今度は躊躇せずにーー
ーー ブンッ ーー
『ジェット』
ーー ガキィィィィィン ーー
穂乃果「………………え?」
何が起こったのか分からなかった。
理解できたのは、
『…………怪我はないな』
その声がしてから。
声の主を確かめるために振り返る。
そこにいたのは、真っ赤な仮面ライダー。
機械の大剣を片手で持ち、顔には青く光る大きな複眼。
ジョーカーやサイクロンとはまったく違う外見の仮面ライダーだった。
『君が依頼人、という訳だな』
穂乃果「え……あ」
『君を……いや、君たちを助けに来た』
にこ「あんた……一体……」
『………………』
『俺に質問をするな』
赤のライダーはそう言って、穂乃果とにこちゃんの前に立つ。
そして、亜坂真白と海未ちゃんに剣先を向け、構え、言い放つ。
『さぁ、振り切るぜ!』
真白「……………………止めよ」
突然だった。
止め、と。
彼女は言った。
その仮面ライダーを見てから。
狂気を隠しもせずに、今まで笑っていた亜坂真白の顔からは表情が抜け落ちていた。
真白「………………行きましょう」
アームズ『…………は、い』
穂乃果「っ、待って!!」
真白「……………………」
穂乃果の制止の声は届かず。
海未ちゃんは、彼女の作り出した霧の中に消えていった。
穂乃果「っ! 海未ちゃん!」
返事はない。
静寂。
私は、また目の前で大切な人をーー。
穂乃果「っ」
穂乃果「うぅ、うぅぅぅぁぁぁぁぁぁッ!!!!」
ーーーーーー
本日はここまで。
前作の終わりのせいで誤解を与えてしまった節がありましたが、続きます。
というかこれで完結予定です。
ーーーーーー
照井竜。
変身を解いたその人はそう名乗った。
お隣の風都の刑事さんなんだって。
その人に連れられ、音ノ木坂の理事長室へ。
そこには理事長と、
花陽「穂乃果ちゃん! にこちゃん!」
凛「…………」
花陽ちゃんと凛ちゃん。
それに、
希「にこっち……ぼろぼろやん……」
絵里「無事、というわけではないようね……」
真姫「…………にこちゃん、こっち。治療するから」
絵里ちゃんに、希ちゃん。
真姫ちゃんもいた。
ここにいないのは、海未ちゃんとことりちゃんだけ。
穂乃果「……っ」
花陽「穂乃果ちゃん……その……」
穂乃果「……ごめん」
花陽「ううんっ、その、こっちこそ……ごめんね」
そんな会話を交わす。
なにがごめんなのか自分でも分かんないけど、口をついで出るのはそんな言葉……。
理事長「……二人が帰ってきてくれたこと、それが一番よ」
絵里「そうよ。二人のおかげで亜里沙は助かったんだもの」
にこ「……っ、亜里沙ちゃんは?」
真姫ちゃんの応急処置を受けながら、にこちゃんがそれを訊ねた。
そうだ。
亜里沙ちゃんはあの後……?
絵里「……ええと」
絵里ちゃんが視線を送る。
その先にいたのは、照井さん。
ひとつ頷き、口を開いた。
照井「絢瀬亜里沙は風都の警察病院に搬送させてもらった。治療と保護をするためだ」
にこ「……そう」
絵里「その方が安全だって話らしいわ」
照井「俺の仲間も警察病院で警護に当たっている。心配は無用だ」
にこ「まぁ、なら、そっちはもう安心していいってわけね」
照井「あぁ」
希「…………それで、海未ちゃんたちは?」
穂乃果「っ」
希ちゃんの質問に、体が跳ねた。
……そう、だよね。
ちゃんと話さなきゃ、だよね。
穂乃果「え、えっとね……その」
にこ「………………」
穂乃果「海未ちゃんは…………っ、そのね……」
にこ「穂乃果、いいわ」
穂乃果「っ……にこちゃん?」
にこ「にこが話すから」
穂乃果「………………ごめん」
それだけを言って、俯く。
ほんとは、穂乃果が話さなきゃいけないことなのに……ごめん。
にこ「……にこが見た全部を話すわ」
にこ「とりあえず聞いて」
にこちゃんが話したこと。
亜里沙ちゃんが海未ちゃんに狙われたこと。
それを穂乃果たちが説得したこと。
海未ちゃんと和解したこと。
そして、あの人が現れたこと。
全部話してくれた。
そして、
にこ「…………もうにこは仮面ライダーにはなれないわ」
そう言って、にこちゃんは壊れたドライバーを理事長の机の上に置いた。
理事長「……そうですか」
にこ「壊してしまってすみません」
理事長「いえ。にこさんが謝ることではありません」
先程も言いましたが、二人が帰ってきてくれたことに比べたら。
理事長はそう言った。
照井「……聞いてはいたが、こんな子どもが……」
にこ「これでもにこ二十歳なんだけど?」
照井「………………」
理事長「……事実です」
照井「……そうか。すまない」
にこ「ふんっ」
にこ「とにかく」
にこ「今、手元にあるのは、凛から預かった『サイクロン』のメモリと……」チラッ
凛「…………凛の、ドライバーだよね」
にこ「えぇ。そしてーー」
にこ「穂乃果の持ってるメモリだけよ」
穂乃果「っ、うん」
理事長「それに対して、向こうには亜坂真白という人物がもつメモリ。それに、海未ちゃんと…………ことり」
希「人質……ってこと?」
絵里「でしょうね」
にこ「……しかも、海未は今まで以上に高い戦闘能力を持ったってことなのよね」
にこちゃんの言葉に、静かに頷く照井さん。
照井「ガイアメモリの『強化アダプタ』」
照井「一時期、俺たちが追っていた組織が流通させていた代物だ。その組織自体は壊滅したが、闇ルートで高値で取引されているらしい」
照井「それを使えば、メモリの出力を通常の3倍まで引き出すことができる」
凛「っ、3倍って……」
それに反応したのは凛ちゃん。
……そっか。
凛ちゃん、海未ちゃんと戦ってるんだもんね。
照井「聞いた話によると、園田海未の『アームズ』メモリとの適合率は低くない。その状態で使えば……確かに脅威だろうな」
にこ「…………『サイクロン』だけで倒せる相手じゃないわ」
凛「っ」ビクッ
凛「…………凛、は……」ブルッ
花陽「凛ちゃん……」
『サイクロン』を使うなら彼女しかいないだろうね。
穂乃果の協力者からはそう言われていた。
『サイクロン』のメモリと適合率が高く、身体能力も高い凛ちゃんならば……って。
でも、今の凛ちゃんに戦わせるなんてーー。
にこ「誰もあんたに戦えって言ってないわよ」
凛「………………え?」
にこちゃん?
それって
にこ「……凛、ドライバー貸しなさい」
凛「!」
穂乃果「にこちゃん、それはっ!」
そう。
にこちゃんはまだ戦おうとしてるんだ。
もちろん穂乃果はそれを止める。
いくら海未ちゃんたちを助けたいからってーー
ーー バンッ ーー
真姫「バカじゃないのっ!!」
にこ「!?」
穂乃果が止めるより前に、真姫ちゃんが声をあげた。
その声に、この場にいる全員が唖然としてしまって。
にこ「えっと……真姫ちゃん……?」
相当怒ってる、よね?
にこちゃんを睨み付けながら、真姫ちゃんは続ける。
真姫「こんなに、ぼろぼろなのよっ?」
真姫「確かに、海未やことりは大切よっ! でも、だからと言って……」
真姫「にこちゃんが傷ついていい訳ないじゃない!」
にこ「……でも、それじゃーー」
真姫「っ、照井さん!」
照井「……なんだ」
真姫「手錠、貸してください」
にこ「な!? 手錠って……!?」
真姫「そうでもしないと、にこちゃんとまらないんでしょっ!?」
にこ「っ、あんた……」
目に涙を溜めて、それでもにこちゃんを睨み付ける真姫ちゃん。
仲間が傷ついてくのが耐えられない。
穂乃果たちもそれは同感で。
だけど、たぶんお医者さんを目指す真姫ちゃんだから、その想いは一層強いんだと思う。
希「……ウチも真姫ちゃんと同意見やね」
にこ「希……」
真姫ちゃんの言葉に同調するように、希ちゃんがそう言う。
それに、
花陽「わたしも……」
にこ「花陽まで」
花陽「にこちゃんが傷つくの、いやだよ」
にこ「っ」
絵里「そうね」
絵里ちゃんも頷く。
それを見て、流石のにこちゃんも諦めたみたい。
ため息を吐いて、
にこ「分かったわよ」
そう言った。
にこ「でも、実際どうするわけ?」
戦える人、にこ以外いないでしょ?
そう聞くにこちゃんに答えたのは、
理事長「そのために、彼に協力を依頼したのよ」
理事長だ。
……そっか。
照井さん、仮面ライダーだったんだよね。
理事長「えぇ。あなたたちよりずっと前から戦ってるそうよ」
照井「あぁ。ここからは俺が戦おう。幸い風都にはあいつらがいる。事件解決の間くらいはどうにかなるだろう」
首謀者も分かっていることだしな。
照井さんはそう言った。
確かに、『亜坂真白』が首謀者だってことは分かってる。
だから、きっと刑事さんである照井さんの力があれば、隠れているところもすぐに分かるんだと思う。
だけど…………。
穂乃果「…………っ」
なんだろう。
嫌な、胸騒ぎがする。
ーーーーーー
ーーーーーー
ーーーーーー
「…………俺だ」
『どうやら無事そっちに着いたようだね』
「あぁ。だが、無事、というわけではない」
『園田海未の件か。それは……僕の落ち度だった。まさか『亜坂真白』が『強化アダプタ』を入手しているとは……』
「流石に検索だけでは分からないこと、か」
『あぁ。いつもそういう部分は、相棒の勘に頼ってる部分があるからね』
「…………それで『亜坂真白』の動機だが」
『まだ検索はできていないよ。キーワードが足りない』
「…………彼女の経歴についての検索はしたか?」
『? したけれど、特に有益な情報は……』
「なら、このキーワードを追加だ」
「『井坂深紅郎』」
『!』
『……………………』
「どうだ?」
『…………あぁ、彼女がやろうとしていること。南ことりを利用した動機は検索できた』
「教えろ。それは一体……」
『………………あの男のーー』
『『井坂深紅郎』の復活さ』
ーーーーーー
短いですが今日はここまで。
レス感謝です。
ちょい更新。
ーーーーーー
ーーーーーー
にこ「…………」
照井さんに後のことを任せる。
その判断をした後のこと。
にこは、なぜか病院のベッドの上にいた。
…………まぁ、なぜって、あの後すぐに倒れたのが原因だけど。
話を聞いたら、丸1日眠り続けたらしい。
ちなみに、話を聞いた相手っていうのは、
にこ「…………ねぇ」
真姫「なによ?」
にこ「いつまであんたん家の病院にいればいいわけ?」
真姫「戦いが終わるまでよ」
このお嬢様である。
今日はずっとにこのベッドの脇で、イスに座って文庫本に目を落としている。
にこ「……にしても、暇ね」
真姫「本でも読めば?」
にこ「………………遠慮しとくわ」
真姫「そ」
……1日眠ってたんだから、もっとなにかあってもいいんじゃない?
まぁ、口には出さないけどさ。
本人なりに心配してくれたんでしょうし。
にこ「………………」
真姫「………………」
にこ「…………」
真姫「…………」
長めの沈黙に気まずくなってきて。
散歩でもしてくるフリをして抜け出そうかと考え始めた頃、
真姫「ねぇ、にこちゃん」
真姫ちゃんが口を開いた。
パタン、と本を閉じて、こちらを見つめてくる。
そして、問う。
真姫「なんで、そんなに無理するのよ……」
そこで、気づいた。
真姫ちゃんの目が少しだけ潤んでることに。
にこ「…………」
真姫「…………にこちゃんだって、辛いはずでしょ?
なのに、なんでそんな……」
にこ「…………」
真姫「ぼろぼろになってまで戦うのよ……」
にこ「………………」
なんで、ね。
真姫ちゃんの言うことは、間違ってない。
実際、戦うのは辛くて。
怪我をすれば痛くて。
正直、にこだってぼろぼろになってまですることじゃないと思うわ。
まして、にこはアイドルで、今回のことで事務所にも迷惑かけてるし。
真姫「だったらっ!」
そうね。
だったら、戦う必要なんてない。
誰かに任せてしまえばいい。
ドライバーは壊れてしまったけど、それこそ今までだってあれを理事長に返せばよかったはず。
でも、そうしなかったのはーー
にこ「『笑顔』にしたかったから、かしらね」
うん、そう。
にこの想いは変わらない。
最初からずっとそれだけを思って戦ってきた。
真姫「…………」
まぁ、でも。
こうやって後輩泣かせちゃってるんだから、世話ないわね。
ーー ナデナデ ーー
真姫「っ、な、なによっ!」
にこ「……別にぃ?」
にこはここで退場するべきね。
照井さんに戦いは任せたし。
それに、
ーー コンコン ーー
真姫「っ、だ、だれ!?」
にこ「入りなさい」
「……うん」
真姫「なんで……?」
にこ「来たわね」
病室のドアを開けて入ってきたそいつ。
彼女が来るのは、朝来たメールで知ってはいたけど。
…………うん。
あの時とは違う。
いい目してるわ。
にこ「照井さんのこと手伝うことに決めたのね?」
「うん」
にこ「そ。でも、本当に大丈夫なわけ? また心折れたりしない?」
「だいじょぶだよ。もう、大丈夫」
にこ「…………そ。それじゃーー」
にこは『それ』をバックから取り出し、机の上に置く。
そして、彼女は『それ』を受け取った。
にこ「……にこはもう戦えない。だから、頼んだわよ」
「……うん。分かってる」
「海未ちゃんも、ことりちゃんも絶対に助ける」
「全部、全部!」
凛「凛が守るよっ!!」
ーーーーーー
ーーーーーー
短いですが本日はここまで。
GW中にまた書きます。
GW中に書けませんでしたので、少しだけ更新します。
ーーーーーー
にこちゃんが病院に運ばれた日の夜。
凛はかよちんの家に泊まることにした。
かよちんが不安そうだったから。
お風呂に入って、かよちんの部屋へ。
いつものお泊まり会と同じように、かよちんのベッドの隣に布団を敷いてから、すぐに電気を消す。
凛「………………」
花陽「………………」
普段はそこから色んなことを話すんだけど、今日はずっと静かで。
たぶんだけど。
今を逃したら、聞けなくなってしまうんだろうなって、そう思ったから。
凛は、
凛「ね、かよちん」
小さな声で、名前を呼んだ。
花陽「なに?」
穏やかな声で、答えるかよちん。
トロンとした少し眠そうな声だ。
凛「ひとつ、聞いてもいいかな?」
花陽「うん」
凛「かよちんは……さ……」
だから、申し訳なく思う。
だって、これを聞いたらーー
凛「なんで、あのサイトを作ったの?」
ーーたぶん、この穏やかな雰囲気を壊しちゃうから。
花陽「…………」
あのサイトっていうのが、どれのことかはかよちんもきっと分かってるはず。
だけど、凛の質問への答えはなかなか返ってこなかった。
花陽「…………」
凛「かよちん?」
ねぇ、なんで?
凛の問いかけ。
それに、かよちんは時間をかけてこう答えた。
花陽「なんとなく、だよ」
なんとなく?
花陽「……うん」
花陽「不思議なことに興味があったから……」
こんなことになっちゃったのは申し訳ないなって思ってるけど。
かよちんはそう言う。
凛「……………………」
花陽「…………」
凛「ウソ、だよね」
花陽「!?」
うん。
かよちんの癖を知ってなくても、それを見なくても分かるようなウソだ。
だって、かよちん、
凛「声、震えてるよ」
花陽「っ」
慌てて黙るかよちん。
その行動がもう、ウソだってしょーめいしてる。
……うん。
なんとなく、凛は気づいてたよ。
確かにかよちん、探偵ものとかは好きだけど、それで凛や真姫ちゃんを巻き込むのは変だなって思ってた。
かよちんらしくないなって。
じゃあ、かよちんが凛たちを巻き込む理由はなんだろう?
気のせいかも?
そう思ったりもしたけど、今のかよちんの様子を見てハッキリした。
凛「ねぇ、かよちん」
凛「おしえてよ」
凛「かよちんは、なんで『ガイアメモリ』に関わろうとしたの?」
花陽「…………」
凛「…………」
花陽「…………」
待つ。
凛が聞きたいことは言った。
あとは凛は待つだけ。
かよちんが話してくれるのを。
かよちんの中の言葉がちゃんと整理されるのを。
花陽「………………」
凛「………………」
花陽「…………」
凛「…………」
部屋に入ってくる月明かり。
それだけで回りの様子が見えるようになってきた頃。
待っていた言葉が、
花陽「たすけ、たかったの……」
降ってきた。
ポツリと、消えそうな声だったけど、凛の耳にはたしかに聞こえた。
助けたかった、って。
凛「助けたかった……?」
それは、誰を?
花陽「海未ちゃんとことりちゃん」
凛「え……?」
返ってきたのは意外な名前。
海未ちゃんとことりちゃん?
二人を助けたかった、って……?
……あ、あれ?
凛「ちょ、ちょっと待ってよ!」
凛「かよちんがあのサイトを作って、『ガイアメモリ』の事件に関わろうとしたのって、穂乃果ちゃんから話を聞く前のはずでしょ!?」
うん。
そのはずにゃ。
穂乃果ちゃんから、ことりちゃんがドーパントにされて、海未ちゃんがドーパントになった話を聞いたのは……そう。
凛が仮面ライダーになった後だったはず。
でも、かよちんがサイトを作ったのは、ちょうど部室が破壊されて、かよちんが襲われたあの事件のすぐ後だった。
…………え?
え?
へん、だよね?
かよちんの話がほんとならーー
花陽「うん」
花陽「……花陽は知ってたの」
知ってた?
知ってたって、海未ちゃんたちのことを?
な、なんで!?
花陽「それはっ、花陽が、海未ちゃんを呼び出したからっ!」
花陽「『あの人』の指示でっ!」
凛「え? そ、それって!?」
花陽「花陽が、海未ちゃんをドーパントにしちゃったのッ!!」
気づけば、かよちんは起き上がっていた。
月明かりが陰を作って、その表情は見えない。
だけど、泣いてる。
それだけは分かる。
花陽「あの日、花陽は『あの人』に……会ったんだよっ」
花陽「顔は見てないけど、声をかけられてっ」
花陽「そこで、見せられたのっ! 悪い夢、だった……っ」
かよちんはそう言って俯く。
悪い夢。
悪夢。
その中身を思い出してるのかもしれない。
どんなものかは……聞けない。
聞いたら、それを口にしたら、かよちんが壊れてしまいそうで……。
だから、続きを待つ。
凛にできるのはそれだけ。
凛「…………かよちん……」
花陽「っ、ごめんね……」
凛「ううん……でも、辛いならーー」
花陽「……ううん。話す。話さなきゃ……だもん」
凛「……うん」
うん。
分かったよ。
凛、聞くから。
花陽「…………それで、『あの人』は花陽に迫ってきた」
花陽「今すぐ海未ちゃんに電話をかけなさいって。ことりちゃんがいる場所を海未ちゃんに伝えなさいって」
花陽「そうすれば……」
花陽「この悪夢が『未来』になることはないから」
なにを見せられたのかは分からない。
けど、たぶんそれは最悪の光景なんだろうってことは簡単に想像できる。
だから、かよちんは、
花陽「電話しちゃったんだ……」
花陽「海未ちゃんが危険になるかもって分かってたのに……っ」
凛「…………かよちん」
結果として。
海未ちゃんはドーパントになって、ことりちゃんも救われてない。
…………そっか。
だから、かよちんはあのサイトを作ったんだ。
少しでも怪事件の情報を集めて、『あの人』……『亜坂真白』を探し出すために。
そして、海未ちゃんやことりちゃんを助けるために。
凛「…………戦おうとしてたんだね」
ポツリと。
出てきた言葉。
ふっと出てきた言葉だったけど、しっくりきた。
かよちんも戦ってたんだ。
花陽「でも、ダメだったっ!」
花陽「花陽には、なにもっ、出来なくてっ」
花陽「海未ちゃんを助けることも、ことりちゃんを助けることもできないんだよっ」
凛「…………」
かよちんの想いが伝わってくる。
海未ちゃんを売ってしまったっていう後ろめたさも。
何もできなかったっていう悔しさも。
戦えない歯痒さも。
全部、全部伝わったよ。
凛「…………」
花陽「はなよ……はっ…………わたしは……っ」
凛「…………」
大丈夫。
伝わったから。
だから、
ーー ギュッ ーー
凛「泣かないで、かよちん」
抱きしめる。
大丈夫だよって。
自分を責めないでいいんだよって。
言葉にしなくても伝わるくらいに。
花陽「りん、ちゃん…………?」
凛「…………だいじょぶだよ」
花陽「でもっ、わたしはっ……わたしのせいで……っ!」
うん。
もうだいじょぶだから。
かよちんの想いは、凛が受け取ったよ。
凛が受け継ぐよ。
凛「……凛がやる」
花陽「………………え?」
凛「かよちんの代わりに、凛が戦うから」
花陽「っ、それは……でもっ!」
凛「大丈夫」
今度は戦える。
全部、凛が守るんだ。
亜里沙ちゃんも。
海未ちゃんも。
ことりちゃんも。
かよちんの想いも全部っ!
もう、折れない。
ーーーーーー
ーーーーーー
本日はここまで。
更新遅れてすみません。
レス感謝です。
本日更新予定です。
ーーーーーー
にこちゃんのお見舞いからの帰り道。
ふとバイクを停め、立ち寄ったのは音ノ木坂学院。
日曜日ということもあり、残念ながら校門は閉まってる。
穂乃果「はぁ……」
思わずため息が出る。
それは色んなことを考えてのもので。
例えば、にこちゃんの怪我とか。
例えば、凛ちゃんの決意とか。
穂乃果のせいで、二人には色んなものを背負わせちゃった。
……ううん。
今もまだ背負わせちゃってる。
それに比べてーー
穂乃果「わたしは……なにもできない……」
「この二人、幼馴染みなのでしょう? それが怪物になるのを、貴女は二度も見ることになって」
「二度とも何もできなかった」
「フフッ、ねぇ……それを絶望と言わずしてなんと言うのかしらねぇッ!」
穂乃果「っ」
あの人の言葉を思い出して、胸が痛くなる。
ズキズキと。
穂乃果の胸になにかが突き刺さるみたいな痛みだ。
きっと、それはその言葉が的を得ているから、だと思う。
海未ちゃんが目の前でドーパントになったのに。
ことりちゃんがドーパントにされたのに。
穂乃果は何もできなかったから。
穂乃果がしたことといえば、にこちゃんと凛ちゃんにドライバーとメモリを渡しただけ。
二人に助けてもらおうとしただけ。
穂乃果「…………情けないや」
うつむき、呟く。
穂乃果「…………」ギュッ
ふと、それを握る。
ポケットの上から、それの存在を確かめるみたいに強く握る。
穂乃果の協力者から渡されたもの。
ことりちゃんを救うためのガイアメモリ。
その能力はメモリの効果を完全に無効化する力。
これを使えば、ことりちゃんをメモリから解放して助けることができる。
ただし、
穂乃果「使えるのは1回だけ」
それ以降は起動できないようになっている。
彼からはそう言われた。
原理はよくわかんなかったけど、そのくらい強力なものだって話だった。
問題は、
穂乃果「これ、穂乃果には使えない……よね」
ことりちゃんを助けるには、これを確実に当てなきゃダメ。
でも、あの人も、メモリに呑まれた海未ちゃんも倒して、ことりちゃんの元へ行く力は、穂乃果にはない。
あるわけない。
穂乃果「…………」
穂乃果「……照井さんに渡さなきゃ、かな」
……うん。
その方が絶対にーー
ーー prprprprprpr ーー
穂乃果「っ、と!」
メモリがない方のポケットから鳴り響く音。
連絡と護衛用に渡されたスタッグフォンの音だ。
穂乃果「は、はい!」
慌てて出る。
電話口から聞こえてきたのは、
『やぁ、高坂穂乃果』
穂乃果の協力者の声だった。
穂乃果「こ、こんにちは。どうかしたんですか?」
世間話をするような仲じゃないから、たぶんなにかあったんだと思って、そう聞く。
って……あれ?
穂乃果「なんだか、息切れしてませんか?」
『っ、あぁ、少しトラブルが発生してね』
穂乃果「トラブル……?」
ざわつく。
何故か嫌な感じがする。
理事長室でも感じたあの感覚だ。
『あぁ、照井竜にはもう連絡はしてあるが……っ』
『君たちにも連絡すべきだと思ってね』
穂乃果「……あ、あの……それって……?」
あぁ、本当に。
残念なことに、穂乃果の嫌な予感は、
『絢瀬亜里沙が連れ去られた』
『園田海未の手によって』
的中してしまった。
ーーーーーー
ーーーーーー
照井「一体何をしていたんだ!」
『……すまねぇ。入口は完全に見張ってたはずなんだ』
照井「…………それでも侵入された、そういうことか」
『あぁ。前に俺達が戦った『アームズ』にはそんな能力はなかったはずなんだが……』
照井「『強化アダプタ』でメモリの能力が強化された可能性はないか?」
『それはないはずだ。相棒がそれについては検索済みだからな』
照井「…………ならば、考えられるのは……」
『『もう一人』の能力だろ。そっちは情報が少なすぎて検索できてねぇんだ』
照井「…………とにかく追跡を続けろ。俺もすぐに追いつく」
『言われるまでもねぇ! あの子をこのままむざむざ拐われたんじゃ、探偵失格だ!!』ブツッ
照井「…………まったく美原の件といい、警察病院の警備も考え直す必要があるな」
照井「…………」スッ
照井「…………照井だ」
照井「君の後輩が拐われた。こちらの落ち度だ。すまない」
照井「……あぁ。巻き込むようなことはしたくないが、念のためだ」
照井「……………………場所が分かり次第連絡をする」
ーーーーーー
ーーーーーー
凛「穂乃果ちゃん!」
協力者の彼からの連絡の後、すぐに凛ちゃんから電話があって。
凛ちゃんには照井さんから電話がきて、亜里沙ちゃんのことを知ったみたい。
すぐに合流しよう。
そう言われて、穂乃果も頷いた。
幸い、凛ちゃんも音ノ木坂の近くにいたようで、すぐに会うことができた。
凛「穂乃果ちゃんの方には?」
穂乃果「ううん、まだ」
凛「そっか」
あの後、連絡はない。
亜里沙ちゃんを連れ去った先が分かったら、連絡をくれるはずなんだけど……。
穂乃果「…………大丈夫、かな」
口を突いて出るのは、そんな言葉。
もし、逃げた先が分からなかったら?
もし、亜里沙ちゃんに例のメモリが使われちゃったら?
そう考えると、
穂乃果「っ」
血の気が引く。
それは、最悪の想像だった。
いやいやいや。
そんなことあり得ない!
こんな想像しちゃダメだよっ!
必死に頭を振って、その考えを頭から追い出す。
でも、やっぱり、どうしてもそれは頭から拭えなくて……。
凛「だいじょぶにゃ!!」
穂乃果「っ、凛……ちゃん」
見れば、凛ちゃんは笑っていた。
なんで、笑えるの?
こんなに絶望的な状況なのに……?
凛「凛たちだけじゃないから」
穂乃果「え……?」
凛「皆を助けようと戦ってるのは、凛たちだけじゃないよ」
凛「照井さんも、穂乃果ちゃんの協力者の人も」
凛「穂乃果ちゃんも、凛も、かよちんも、にこちゃんも」
凛「きっと他にもたくさんの人が戦ってる」
そう言う凛ちゃん。
穂乃果を安心させるように、続ける。
凛「それに、凛たちが諦めたらダメだよ!」
凛「凛たちは信じるの!」
信じるって?
なにを?
凛「またみんなで笑いあえる未来を!」
カッコいい。
そう、思った。
穂乃果「ふふっ」
凛「にゃ? どうかした?」
穂乃果「ううん。なんでも!」
ただ、凛ちゃん、とっても強くなったんだなって思っただけだよ。
凛「?」
穂乃果「…………うん。信じて、待とっか」
凛「うん!」
ーー prprprprprpr ーー
穂乃果「!」ピッ
穂乃果「はい!」
穂乃果「! 分かりました! すぐ向かいます!」ピッ
凛「穂乃果ちゃん!」
穂乃果「うん! 行こう!」
凛ちゃんを後ろに乗せて。
すぐにキーを回す。
待っててね!
亜里沙ちゃん!
ーーーーーー
今日はここまで。
ここまで付き合ってくださってる方はどのくらいいるのか不安はありますが……。
もうしばらくお付き合いください。
レス感謝です。
本当にありがたいです……。
本日更新予定。
ーーーーーー
バイクを走らせて5分。
電話で聞いた場所に着くと、そこには照井さんがいた。
穂乃果「お待たせしましたっ!」
照井「来たか」
凛「亜里沙ちゃんは!?」
照井「この中だ」
照井さんの視線の先。
そこにあったのは、電話で聞いた通りーー
穂乃果「病院……ですよね」
照井「あぁ。開業医もいなくなり、もう使われなくなった病院だ」
穂乃果「…………」
真姫ちゃんのお家とは違って、大きな病院ではなく町のお医者さんって感じの場所。
でも、なんでだろう。
なんだか嫌な感じがするところだ。
照井「……ここで開業していた医者は、ろくでもない男だったからな」
ポツリと、照井さんは言った。
穂乃果「その人を、知ってるんですか?」
照井「俺に質問をするな」
過去のことだ。
それだけを言って、照井さんはその病院の方へ鋭い眼光を向けた。
そして、
照井「入るぞ。俺の後ろを離れるな」
病院のなかは思ったよりきれいだった。
勿論、使われている形跡はない。
だけど、なんだろう……?
凛「人が住んでる……みたい」
穂乃果「うん」
穂乃果の前を歩く凛ちゃんの言葉に頷く。
長い間放置されてた様子じゃなくて、今でもここに人が住んでるような印象を受ける。
それは匂いとか、雰囲気とか。感覚的なことなんだけど……。
照井「狂信者か」
穂乃果「え? 今、なんてーー」
ーー ガタンッ ーー
物音。
それは入口の方から。
凛「穂乃果ちゃん! 凛の後ろに!」
穂乃果「っ、うん!」
凛ちゃんと入れ替わって、二人の間へ。
ここまでは一本道だったはず。
でも、音がした。
照井「……ドライバーをつけろ」スッ
凛「はいっ」スッ
ーー ガチャッ ーー
ーー ガチャッ ーー
勿論電気はついていない。
そのせいで、昼でも建物の中は薄暗かった。
だから、
「……………………」
入口、穂乃果たちの後ろから現れたその人物が、
海未「……………………」
海未ちゃんだって気づくのが遅れた。
穂乃果「海未ちゃんっ!」
凛「海未ちゃん!」
反射的に、名前を呼ぶ。
でも、海未ちゃんはそれに答えてはくれなくて。
その代わりにーー
照井「構えを解くなッ!」
凛「っ!?」
照井「来るぞ!!」
ーー バシュッ ーー
照井「くっ!?」グイッ
穂乃果「!?」
ーー ザクッ ーー
後ろに押し飛ばされた。
それを理解したのは、照井さんが咄嗟に飛ばしたビートルフォンに突き刺さっているナイフを見た後だった。
穂乃果「っ、う、海未ちゃん……」
海未「………………」
照井「姿は変わっていない……だが、この能力は……」
凛「海未ちゃんは姿を変えずにメモリの力を使ってた!」
照井「リリーと同じ、か。やはり、亜坂という女……!」
照井さんが、海未ちゃんと私たちの間に立つ。
その手には、真っ赤なガイアメモリがあって。
照井「…………君たちは先に行け」
穂乃果「え……?」
照井「彼女は俺が助ける」
穂乃果「っ、でも!」
このまま進んでも……!
まだ!
照井「時間がないっ!!」
穂乃果「っ!?」
絢瀬亜里沙にメモリを使われれば終わりなんだろう!!
照井さんの言葉に、はっとした。
そうだった。
亜里沙ちゃんにメモリを使われたら……っ!
照井「それに君の持っているメモリでしか、南ことりは救えない」
照井「優先順位を間違えるな」
穂乃果「っ、は、はい!」
照井さんの言葉に頷き、背を向ける。
穂乃果たちは進まなきゃだ!
去り際に、
照井「……星空」
凛「……なに?」
照井「ーーーーーーーー」
凛「…………え?」
凛ちゃんが何かを言われてたようだけど。
今は、とにかく行こう!
穂乃果「行こう! 凛ちゃん!」
凛「う、うん!!」
ーーーーーー
ーーーーーー
ーーーーーー
照井「…………」
海未「…………」
照井「……」スッ
照井「……このナイフは、本物か」カランッ
海未「…………」
照井「だがーー」
照井「ーーお前は、偽者だな」
照井「園田海未、ではない」
海未?「………………」
照井「誤魔化しても無駄だ。俺個人への殺意が滲み出ているからな」
海未?「………………」
海未?「………………フ」
ーー ザザザザザザザッ ーー
「フフフフフッ」
「バレてしまったのねぇ」
照井「…………やはり、か」
「どこで分かったのかしらぁ?」
照井「俺にーー」
「「ーー質問するな」」
照井「!?」
「知ってるわぁ。貴方がそう言うことは。だって、ずっと貴方を調べていたから」
真白「井坂先生を殺した貴方をッ!!」
真白「私の最愛の人をッ」
真白「私を救ってくださった方をッ」
真白「殺した貴方を調べてきた」
真白「すべては復讐のためッ!!!」
真白「いかに貴方を殺そうか」
真白「惨たらしく! 絶望のなかで! 後悔をさせながら!」
真白「息絶えていくのを……私の目に、脳に焼き付けるッ!!」
真白「そして、今ッーー」
真白「貴方は私の目の前に」ニタァァ
照井「…………復讐のため、か」
照井「あの男は……いや、狂信者には何を言っても無駄か。哀れな女だ」スッ
照井「この因縁…………俺がーー」
『アクセル』
照井「振り切るぜ!」
ーーーーーー
ーーーーーー
ーーーーーー
ーー バタンッ ーー
凛「亜里沙ちゃん!」
診察室と書かれた扉を勢いよく開けて、中に駆け込む。
そこには、
亜里沙「…………」
穂乃果「!」
凛「亜里沙ちゃん!」
いた!
亜里沙ちゃんだ!
ケガは…………見たところない。
それに……。
穂乃果「メモリもまだ差されてないみたい」
凛「よ、よかったぁ」
とりあえず一安心。
ほっと息を吐く。
穂乃果「…………」
凛「どうかした? 穂乃果ちゃん?」
穂乃果「……ううん。ただ、ことりちゃんはいないのかなって」
キョロキョロと周りを見ても、ことりちゃんの姿は見えない。
それに亜坂真白の姿もない。
凛「亜里沙ちゃんを拐うための場所だったのかもしれないよ?」
穂乃果「……うん。そうだね」
きっとそうだ。
ことりちゃんを見つけられないのは残念だけど、ここで彼女と戦うよりはいいよね?
そうとなったら、
穂乃果「……早くここから逃げよう」
凛「うん! ……んしょっと!」
凛ちゃんは亜里沙ちゃんを背中に乗せる。
入口は……たぶんまだ海未ちゃんと照井さんが戦ってるはず。
なら、たぶん裏口があるはずだし、そこを探しながら逃げよーー
凛「……っ」ゾクッ
凛「穂乃果ちゃんっ!!」バッ
穂乃果「え……!?」
突然だった。
凛ちゃんに押し倒される形で、床に倒れ込む。
凛「っ、ぶないにゃ……っ」
穂乃果「凛ちゃん……なにを……?」
凛「…………照井さんが言ったこと、こういうことだったんだね」
穂乃果「え?」
凛ちゃんの視線は、診察室の扉の向こう。
スッパリと真っ二つに切られ、意味を成していないドアの向こうに、いた。
アームズ『…………』
体の至る所に見える武装の数々。
ナイフや銃。
ノコギリにチェーンソー。
ハンマーやマシンガンまで。
その姿はまるで武器そのもののようで。
鉄格子のようなマスクは、きっと溢れ出てくる殺意を隠すためのものなんだろう。
あぁ。
本当に、嫌だよ……。
そんな姿、見たくなかったよ……。
穂乃果「海未、ちゃん……!」
凛「さっき、照井さんが凛に教えてくれたんだ」
凛「入口から来た海未ちゃんは、本物じゃないって」
凛「だから、たぶん奥に本物がいるだろうって」
信じたくなかったけど。
そう言って、凛ちゃんは立ち上がった。
そして、海未ちゃんと対峙する。
あの時とは違う。
今の海未ちゃんには、きっと穂乃果の言葉は届かない。
だから、後は、
穂乃果「凛ちゃん……」
凛「うん。任せて」
穂乃果「っ、お願い……海未ちゃんを助けて!」
凛「…………」
凛ちゃんは頷いた。
振り返らずに、ただ静かに頷いた。
凛「ねぇ、海未ちゃん」
凛「前に、凛に言ったよね」
凛「凛には何も守れないって」
アームズ『…………』
凛「前の凛だったら確かにそうだったよ。戦う心も折れちゃって、何も守れなかった」
凛「でも、今はーー」
凛「ーー違う」
凛「にこちゃんから。かよちんから。穂乃果ちゃんから」
凛「……みんなから、凛は託されたんだ」
凛「だから、今度は絶対に折れないよ」スッ
『サイクロン』
凛「変身!!」
『サイクロン!!』
サイクロン『全部、守ってみせるっ!!』
今回はここまで。
サイクロン『亜里沙ちゃんを安全な場所に!』
穂乃果「う、うん」
サイクロン『隙は凛が作るから!』
その言葉と同時に、凛ちゃんは前に出た。
すぐに、海未ちゃんに組み付く。
サイクロン『長くはもたないっ』
早く、と言う凛ちゃんに頷き、そのまま二人の脇を通り抜けた。
穂乃果「っ」
すぐに助けに戻るから!
ほんとはそう言いたかった。
だけど、穂乃果にはそんな力はない。
それが、
穂乃果「悔しいっ」
唇を噛む。
今は、逃げて。
凛ちゃんが戦えるようにする。
それだけしか……できない。
ーーーーーー
ーーーーーー
サイクロン『行った、ね』ググッ
アームズ『…………』
穂乃果ちゃんの後ろ姿が診療室から見えなくなったことを確認して。
サイクロン『ふっ!』バッ
後ろに跳ぶ。
今は、どうにか組み付いたけど……。
ーー バシュッ ーー
サイクロン『っ!』バッ
カンイッパツ。
さっきまで凛の脇腹があった辺りを、刀が通っていった。
もちろんそれは、目の前のドーパントが作り出したもの。
しかも、
サイクロン『ノーモーション……』
技とか速さじゃない。
本当にその予兆がない。
前に戦ったのとは、全然ちがうよ。
アームズ『…………』スッ
サイクロン『!?』
ーー ブンッ ーー
また、刀が通る。
それを避ける。
……ほんとに、考えてる暇ないや。
さらに、追撃……っ!
アームズ『……』ブンッ
サイクロン『っ』スッ
横薙ぎ。
続いて、
アームズ『……』ブンッ
サイクロン『タテっ!?』
それも、避ける。
けど、まだーー
アームズ『……』グンッ
サイクロン『ぐっ!?』バッ
最後は突きの三連撃。
さすがに、距離を取ーー
ーー ガチャリ ーー
サイクロン『銃っ、もあったんだった!?』
ーー パァァンッ ーー
サイクロン『っ、痛っ』
体をひねって、どうにか回避!
けど、少しだけかすったぽいにゃ……!
でも、
サイクロン『動けるッ!』
かすったのは肩。
衝撃が伝わっただけで、動くのには問題ない!
サイクロン『今度は!』ダッ
アームズ『……』
サイクロン『こっちから!』グッ
サイクロン『らァァッ!!』ブンッ
風を足にまとわせて、懐に飛び込む。
そのまま全体重を乗せてーー
ーー バキッ ーー
アームズ『っ』グラッ
サイクロン『よしっ!』
命中!
凛の拳は、鎧が薄いお腹を捉えた。
流石に、それには体勢が崩れる。
よし!
このまま!
ーー ガチャリ ーー
サイクロン『は……!?』
目の前。
よろけながらも、海未ちゃんは次の攻撃に移っていた。
それは、
アームズ『…………』ガシャ
サイクロン『マシンガーー』
ーー ガガガガガガッ ーー
サイクロン『っ』バッ
理解するより速く。
体が反応した。
すぐに伏せてーー
アームズ『…………』ススッ
ーー ガガガガガガッ ーー
ーー ガガガガガガッ ーー
ーー ガガガガガガッ ーー
サイクロン『っ、はっ! ぐっ!?』
一回。
二回、三回。
這いつくばりながら、避ける、逃げる。
でも、銃口は凛を追ってきていて。
サイクロン『キリがっ、ないッ!』
まだ、銃弾は凛を追いかけてくる。
さっきまでいたところを蜂の巣にしてく。
その上、
ーー ブンッ ーー
サイクロン『っ!?』
ーー ザクッ ーー
弾に交じって、ナイフも投げてくるんだから、ほんとーー
サイクロン『ぼーせんいっぽーっ、だよっ!』
元々強かったメモリの性能は、3倍に上がってるらしいし。
正直、勝てる想像ができない。
避けるだけで精一杯、にゃ。
……でも、もし、それでも勝てる可能性があるとしたらーー
ーー グラッ ーー
サイクロン『!?』
マシンガンの弾とナイフ。
全部を避け続けたせいで、足がもつれた。
アームズ『…………』グッ
ーー ガガガガガガッ ーー
アームズ『……』ブンッブンッブンッ
それをアームズは見逃さない。
マシンガンの銃口をそのまま凛の方へ動かして、さらに、ナイフも投げつけてくる。
サイクロン『…………』
そう、だよね。
『アームズ』は見逃さないはずだよね。
凛が倒れたこと。
絶好の的になるもんね。
だけど、
ーー グググググッ ーー
『なんで』倒れたのかは、きっと分からない。
元々凛は負けていて。
だから、メモリの力が3倍になったら、敵いっこない相手だ。
でも、勝機はあるはずだよ。
だって、
サイクロン『今の貴女は『海未ちゃん』じゃない!!』
凛が怖かったのは、『海未ちゃん』の『アームズ』だ。
今の意志のないただの『アームズ』なんかじゃない!
だからーー
ーー バンッ ーー
サイクロン『負けないッ!!』
地面を思いっきり蹴って、その反動で体が浮く。
左手をつき、力を入れーー
ーー バッ ーー
横に跳ぶ。
これで、攻撃は避けれた!
そして、
サイクロン『はぁっ!』ブンッ
ーー ブワッ ーー
右腕を一振り。
それで起きた風は、凛の体を前に運んでーー
アームズ『!』
サイクロン『これでもーー』ググッ
サイクロン『くらえぇぇぇッ!!!』
ーー バキィィィィィッ ーー
アームズの側頭部を蹴り抜いた。
アームズ『ガッ…………ッ!?』
ーー ドゴォッ ーー
手応えあり!
そのまま、アームズは診療室の廊下の壁に叩きつけられた。
サイクロン『はっ、はぁっ……』
アームズ『………………』
息を整えながら、そちらを見る。
壁に叩きつけられたまま、動く様子はない。
攻撃が来るとは思ってなかったところに、思いっきり蹴りを入れたんだもん。
たぶん、ダメージは想像以上だったはず。
流石に、これで…………、
ーー ガラッ ーー
アームズ『…………』ムクリ
サイクロン『…………起きる、んだ』
……そっか。
ここからがしょーねんばってやつかにゃ……。
ーーーーーー
短いですがここまで。
保守感謝です。
少しだけ。
ーーーーーー
アクセル『ハァァァッ!!』ブンッ
???『ッ』ヨロッ
横に薙いだエンジンブレードがドーパントの腹部を捉えた。
それを受けて、体勢を崩すドーパント。
???『ハァ、ハァ……』
アクセル『…………』
楽な相手だ。
動きは緩慢で、なにか特別な能力があるわけではないだろう。
アクセル『いや……』
そう思っていたのは、戦い始めてすぐの間だけだった。
なぜなら、
アクセル『いつまで人形遊びをするつもりだッ!』ブンッ
ーー ザシュッ ーー
マキシマムを使うまでもなく、その一撃で俺の目の前のドーパントは消滅する。
そして、また奴が現れる。
真白「人形遊び? 心外ねぇ」
真白「これは時間を稼ぐための策よ」
アクセル『時間を稼ぐ?』
この女はなにを言っている?
時間を稼いでなんの意味がある?
この女の身辺を探ったが、なにか組織との繋がりもない。
だから、増援が来る訳でもないはずだ。
だが、念には念をいれるべきだろう。
アクセル『残念だが、その策はーー』スッ
『トライアル』
アクセル『無駄に終わる』ガチャッ
『トライアル!!』
装甲が弾け、一気に体が軽くなる。
『トライアル』はすべてを速さで振り切るためのメモリだ。
このメモリならば、奴のメモリは未だに分からないとしても、関係ない!
アクセルT『すべて…………振り切るぜッ!!』
真白「あぁ……あぁァァァァァ……!」
ーー キィィィィィン ーー
アクセルT『!?』
トライアルへと姿を変えた瞬間、その女は叫び声を上げた。
悲鳴にも似たそれは、空気を震わせ、一瞬だが、こちらの動きを鈍らせるほど。
到底人が出せるものではなかった。
恐らく、この女、『ハイドープ』と呼ばれるドーパントだろう。
警戒し、構えを取るこちらに構わず、奴は叫び続ける。
真白「それよ、その姿……『トライアル』ッ!!」
真白「その姿で井坂先生をっ!」
真白「ァァァァァ、ハァァ……ッ!」
殺意が、高まるのを肌で感じた。
そして、
真白「………………」
真白「時間を稼いだ甲斐があったわ。その姿の貴方を殺せば、井坂先生は喜んでくださるわ」
真白「……さぁーー」
奴は遂にーー
真白「ーー絶望を知りなさい」
『ミスト』
ーーーーーー
本当に少しでしたがここまで。
13連勤半ばなのでもう寝ます。
ほんの少しだけ。
ーーーーーー
アームズ『…………』パァァンッ
サイクロン『っ』バッ
じょーきょーは良くない。
あの一撃を入れてから、海未ちゃんは隙ができるような攻撃をしてこなくなった。
遠くからハンドガンで射ってきたり、ナイフを投げてきたり。
隙が少なくて早い攻撃をしてくる。
サイクロン『にゃっ』フッ
アームズ『…………』ブンッ
サイクロン『っ』バッ
キリがない。
いちおう、凛はにこちゃんとかと比べたら体力はある方だけど、それでも避け続けるのは無理があるよ……。
サイクロン『……しかたない、よね』
覚悟を決めるんだ!
星空凛!
心の中で自分に言い聞かせて、凛はーー
サイクロン『やぁぁぁっ!!』ダッ
ーー前へ!
アームズ『…………』パァァンッ ブンッ
銃弾にナイフ。
勿論凛を近づけさせたくないから、攻撃が激しくなる。
けど、投げてくるものなら動きは単純!
だから、
サイクロン『にゃっ!!』フッ
サイクロン『ふっ!』バッ
サイクロン『ほっ!!』ヒョイ
よし!
避けられる!
直線の動きをしないように、ひたすら動き続ける凛。
ジグザグに動いて、かなり体力きつい、けど!
ーー バッ ーー
サイクロン『入った!!』
アームズ『!』
攻撃が届く位置まで入った!
このまま、決めるよっ!
ーー スッ ーー
ー
ーー ガシャンッ ーー
『サイクロンマキシマムドライブ』
風が脚に集まってくる。
そしてーー
サイクロン『ハァァァッ!!』ブンッ
ーー蹴り抜いた。
ーー バキィィィィィッッ ーー
サイクロン『ッ!?』
手応えは、あった。
なにか分厚い金属を蹴ったような感覚が。
目の前にあったのは、凛のマキシマムを受ける海未ちゃんの姿。
ただし、その手には大きな盾があった。
これ、にこちゃんに使ったっていう……!
アームズ『…………』グググッ
サイクロン『うぅぅぅ!!』グググッ
止められてはいるけど、凛のマキシマムはまだ生きてる。
それに、この盾はにこちゃんのマキシマムで壊せたはず!
なら、もう少し押せば……。
サイクロン『ハァァァッ!!』グググッ
アームズ『…………っ』ググッ
サイクロン『っ』
サイクロン『いけぇぇぇぇ!!!』
ーーーー ザクッ ーーーー
サイクロン『っ、~~~~ッ!?!?』
鋭い痛み。
見れば、凛の足の甲を、なにかが貫通していた。
サイクロン『っ、はっ、あっ……っ』グイッ
ーー ドサッ ーー
あわてて、それから足を引っこ抜く。
地面に落ちてから、どうにか海未ちゃんが持っているものを見ることができた。
サイクロン『……は、は……槍……盾から……』
アームズ『…………』
手にしている盾には、尖った槍が付けられていた。
さっきまでは、なかったのに……。
マキシマムを受けながら、それを作ったの……?
アームズ『…………』
サイクロン『海未、ちゃん……』
倒れる凛を、見下ろす海未ちゃん。
不意に、あの時のことを思い出す。
「…………守る、と。全部守ると言いましたね」
『はぁ、はっ……』
「亜里沙も、ことりも……私のことも守ると、そういう意味ですか」
『……そう、だ、よ……』
「その程度の力で、ですか」
『っ』
「…………」
「……凛、貴女では彼女は倒せない」
「貴女は何も守れない」
『そ、そんなの……っ』
「やらなくても分かりますよ」
『…………っ』
「…………」
『凛、は……』
「…………凛」
「今すぐ戦いから手を引きなさい」
「貴女では無理です」
「ことりを救うことも、私を止めることも」
今も、そう言われてるような気がした。
凛には無理だって。
誰も救えないって。
アームズ『…………』
サイクロン『……はっ、は……』
倒れてる凛。
それを見下ろす海未ちゃん。
サイクロン『前と、同じ、だね……』
前と同じ……ううん。
メモリの性能が三倍になってるから、それよりもひどいかにゃ?
サイクロン『…………ははっ』
アームズ『…………』
サイクロン『ほんと、ひどいや』
アームズは前よりもパワーアップしてて。
こっちは脚が使えないから、動くこともむずかしい。
ひどすぎて、笑えてくるよ。
サイクロン『…………ほんと、無理だよね』
無理だ。
海未ちゃんに言われた通り。
凛には、なにも守れない。
サイクロン『そんなの、分かってるよ』
分かってる。
分かってる……。
でもさーー
サイクロン『ーー約束、しちゃったんだ』
~~~~~~
「ねぇ、凛ちゃん」
「なぁに、かよちん?」
「絶対帰ってきてね……」
「うん!」
「………………みんなで、だよ」
「…………うん。わかってるにゃ」
「約束だよ?」
「……約束げんまん、にゃ」
~~~~~~
~~~~~~
「凛」
「? なに?」
「任せたわよ。にこの分まで」
「いわれなくてもそーするよ!」
「分かってるならいいわ!」
「凛」
「真姫ちゃん?」
「絶対無茶するんじゃないわよ!」
「………………」
「チョット!」
「…………えっと」
「もうっ! わかったわよ! じゃあ、代わりに……」
「ちゃんと帰ってきなさいよ……?」
「……うん! もちろんにゃ!」
~~~~~~
~~~~~~
「凛ちゃん」
「なぁに、希ちゃん?」
「これ、持ってって」
「…………お守り?」
「そ。それな、ウチがお母さんから貰った大切なモノなんよ」
「えぇ!? そんなの、凛もらえないよ!」
「うん。あげない」
「え?」
「必ず返してな?」
「! 絶対、返すよ!」
「ん、なら、よし!」
「凛」
「うん。絵里ちゃん」
「…………私は戦えないから。本当は貴女にこんなことを頼みたくないのっ……私は凛に危険な目にあってほしくないっ」
「絵里ちゃん……」
「でもっ」
「…………ダイジョブにゃ!」
「っ、凛!」
「ことりと海未を」
「そして、亜里沙を………………お願いっ」
~~~~~~
『うん。そうだね』
『やっぱり、前とは全然ちがう』
あのときだって、凛は必死だった。
大好きな海未ちゃんを止めたいって思ってた。
そんな凛の想い。
それは今だって変わらない。
でも、約束をした。
みんなと約束したんだ。
今は、あの時よりずっといろんなモノを背負ってて。
だから、すごく重くって。
『…………凛は』
『やっぱり弱いよ』
『暴走してる今の海未ちゃんよりずっと』
だから、怖くって。
『ほんとは今も泣きたいくらい痛いし』
『逃げたいくらい怖いんだ』
『だけどーー』
『ーー凛は戦う』
だからこそ、力があふれてくる。
勇気が湧いてくる。
『みんなのところに帰るために!』
『みんなと笑い合うために!』
『だからーー』
サイクロン『ーーいくよ、海未ちゃん!』
ーーーーーー バチッ ーーーーーー
ーーーーーー
本日はここまで。
予想以上に長くなりそう……。
6月の第3土日までは恐らく書けません。
2日間で30時間労働はおかしい。
今日はライブ行くのでちょっとだけ更新。
ーーーーーー
真姫「ねぇ、にこちゃん」
にこ「ん? なによ?」
真姫「なんで凛にメモリ渡しちゃったのよ」
にこ「…………不満そうね」
真姫「当たり前でしょ! にこちゃんにも言ったけどーー」
にこ「ーー傷つくのを見たくない、でしょ」
真姫「分かってるなら、なんで!!」
にこ「……確かに。たぶん凛はボロボロになるでしょうね。でも、さ」
にこ「あそこで止まったら、きっと凛は後悔し続ける」
真姫「…………」
にこ「凛を仮面ライダーにしたのは、にこや穂乃果よ。だから、凛は戦いたくて戦ってた訳じゃない。訳も分からず、流されて戦ってただけ」
真姫「…………う、うん」
にこ「だから、海未に負けた。負けて、戦うことの怖さを知った」
真姫「…………」
にこ「…………本当はにこだって止めたかったわよ。にこにメッセージが届いたときだって、正直止めるつもりだった。だけど」
にこ「凛の目を見たら、その気も失せたわ」
にこ「覚悟を決めた目」
真姫「…………」
にこ「はぁっ、そんなに不安そうな顔するんじゃないわよ!」
真姫「なっ、や、やめなさいよ!」
にこ「ふふん! やめないにこっ♪」
信じてるわよ、凛。
だから、早く帰ってきなさい。
ーーーーーー
ーーーーーー
最初に感じたのは痛み。
さっき脚を刺されたのとは違う、体に走る電気のような……?
そして、違和感。
アームズ『…………ハァ!』ブンッ
ーー スッ ーー
サイクロン『遅く、見える?』
なぜか分からない。
だけど、
アームズ『……』パンッ
サイクロン『!』スッ
やっぱり!
海未ちゃんの動きがさっきよりも少しだけ遅い。
……ううん。
サイクロン『こっちが速くなってる?』
ーー パァァンッ ーー
もう一度、銃撃。
それをまた避ける。
避け、られる。
サイクロン『これならーー!』ダッ
一歩踏み込む。
そして、
アームズ『!』
サイクロン『っ、らぁぁぁっ!!』ブンッ
ーー バキッ ーー
アームズ『かっ……!?』
凛の拳が、海未ちゃんの、アームズのお腹を捉えた。
そのまま、よろける海未ちゃん。
効いてる!
思い切り側頭部を蹴り抜いたさっきよりも!
アームズ『……ア、ウァ』
流石は海未ちゃんで。
すぐに体勢を立て直して、こちらと距離を取る。
さらに、すぐ攻撃を仕掛けてきた。
ーー ブンッ ーー
ーー パァァンッ ーー
ーー パァンッ ーー
ーー ブンッ ーー
銃弾二発に、ナイフが二本。
そして、
アームズ『…………』ダッ
両手にサーベルと刀を精製しながら、距離を詰めてくる。
今までは逃げるだけで精一杯だったけど!
サイクロン『ふぅっ…………こい!!』
サイクロン『ほっ!』ヒョイ
最初の銃弾は避けて、次のナイフは
サイクロン『効か、ない、にゃっ!』ベシッ
腕に集めた風で叩き落とす。
もう一発の弾は、
ーー キィィンッ ーー
その風で弾き返す!
そして、
アームズ『…………アァァ!』ブンッ
サイクロン『はぁぁぁっ!!!』グッ
ーー バキィィィィッ ーー
アームズ『!?』
サイクロン『これで、全部ッ!』ググッ
ーー バキィィィィィィンッ ーー
両手の刃もこれで使えない!
やっと仕事が落ち着きそうです。
本日夜、少しだけ更新します。
ほんとは当たるはずの攻撃が空振りしたせいで、海未ちゃんが体勢を崩した。
狙うは!
サイクロン『ここっ、だぁぁぁっ!!』ブンッ
ーー バキィィィィッ ーー
風をまとった蹴りを右のお腹へ。
その攻撃は命中して、
アームズ『カ……ッ』メキメキッ
ーー ドゴォォッ ーー
今度こそ吹き飛ぶアームズ。
効いてる!
けど、たぶん……。
アームズ『グ……ゥゥ』
サイクロン『立ち上がる、よね!』
分かってたよ!
だから、攻撃の手は休めない。
もう一回距離をつめて、
ーー ブンッ ーー
さっきと逆足で左の肩に蹴りをーー
ーー ガシッ ーー
アームズ『…………ハァ……』
サイクロン『…………うん』
それも、分かってた!
止められるってことくらいは!
だって、その攻撃はオトリだから!!
『サイクロンマキシマムドライブ』
サイクロン『本命は、こっちにゃっ!!』
左肩を蹴るために出した右足を掴まれたまま、マキシマムスロットにメモリを入れる。
その足に風が集まる。
ううん。
風……ところじゃない。
もう、これは暴風だ。
アームズ『ッ!』パッ
強い風に耐えきれなくなって、手を放した。
すぐに着地。
そして、その右足でーー
サイクロン『ライダーキック!!!』ググッ
ーー バァァァァァンッ ーー
ーー蹴り抜いた。
アームズ『カッ……ハッ……!?』
ーー ドゴォォッ ーー
アームズの体は、そのまま病院の壁を突き破り、病院の外へ。
その後、聞こえてきたのは、
ーー パリンッ ーー
何かが砕ける音だった。
ーーーーーー
ーーーーーー
ーーーーーー
穂乃果「海未ちゃん! 凛ちゃん!」
亜里沙ちゃんを近くに待機していた照井さんの部下の人にお願いして。
穂乃果はすぐに病院に戻ってきた。
裏口から入った穂乃果が最初に目にしたのは、病院の壁に開いた大穴で。
穂乃果「っ」ブンブン
穂乃果「ふたりとも、無事でいて!」
想像しちゃった嫌な光景を頭から追い出して、その穴を通って外へ。
そこにいたのは、
サイクロン『は、はっ……穂乃果、ちゃん……』
穂乃果「凛ちゃんっ!」
息を切らしながら立つ仮面ライダーの姿。
そして、その足下にはーー
海未「……………………」
穂乃果「っ、海未ちゃんっ!!」ダッ
その姿を見て、かけよって、
穂乃果「っ……!」
ーー ギュッ ーー
抱きしめた。
うんっ!
うんっ、海未ちゃんだ。
海未ちゃんだっ!
ーー ギュゥゥゥ ーー
きつく。
きつく、抱きしめる。
やっと、やっと……っ!
サイクロン『すぐ病院に連れてった方がいいよ』
穂乃果「っ、う、うん!」
サイクロン『ほんとに……凛、全力で戦っちゃったから……』
海未ちゃんの体が心配だよ。
凛ちゃんも海未ちゃんの顔を覗きこみながら、ポツリと呟いた。
とっても不安そう。
穂乃果「……近くに照井さんの部下の人がいたから」
サイクロン『うん。連れていってあげて!』
穂乃果「そうするねっ」
海未ちゃんをおんぶする。
…………うん、あったかい。
よかった。
海未ちゃんだ……。
サイクロン『……じゃあ、凛は戻るね』
照井さんが戦ってるはずだから!
そう言って、凛ちゃんは入り口へ体を向けた。
って!
穂乃果「凛ちゃん!」
サイクロン『ん? なに?』
穂乃果「ほんとに……ありがとうっ!」
サイクロン『えへへ、うーー
ーーーーーー パリンッ ーーーーーー
何かが割れるような音。
それはとっても小さな音だったけど、
穂乃果「え?」
目の前では大きな変化があって、
穂乃果「……なんで」
穂乃果「なんでーー」
穂乃果「ーー変身が解けてるの?」
凛「あ、れ……?」
目の前には、仮面ライダーの姿はなくて。
凛「……い、しき……が……」フラッ
ーー ドサッ ーー
穂乃果「凛ちゃん!!」
ーーーーーー
ーーーーーー
本日はここまで。
ーーーーーー
ーー ザザザザザッ ーー
アクセルT『ぐっ……!?』
ーー ドゴォォッ ーー
奴の攻撃を受け、建物外へ。
トライアルの装甲が通常のアクセルよりずっと薄いせいか、想像していたよりも体に衝撃が走った。
アクセルT『っ』
瞬時に体勢を立て直し、奴に向き直る。
が、
アクセルT『やはり……消えたか!』
まただ。
恐らくこれが奴のメモリの能力なのだろう。
『ミスト』
つまり、『霧』のメモリ。
『検索』をしたわけではないが、その能力は自らの身体を霧状にできる。
そんなところだろうな。
そして、
ーー ザザザザザッ ーー
アクセルT『ぐっ!?』
これだ。
見えない攻撃。
いくら、トライアルが音速を超えることができても、反応ができなくては意味がない。
それを奴も分かっているのだろう。
さっきから姿を見せず、攻撃後もすぐに移動しているようで、こちらにその場所が分からないようにしている。
戦い慣れている。
いや、これは、
アクセルT『殺し慣れている、と言った方が正しいか』
相手と戦わずして始末する。
嫌な相手だ。
だが、
「凛ちゃんっ!」
アクセルT『! なに!?』
声。
それは、絢瀬亜里沙を助けに行ったはずの彼女のもの。
俺たちが戦っている場所からわずか100メートルほど離れた場所に彼女はいた。
いや、彼女だけでなく、
凛「…………」
穂乃果「凛ちゃん! 凛ちゃんってば!」
アクセルT『倒れている……何があった!』
意識がない様子の星空凛。
それに、その側には園田海未の姿もあった。
すぐに駆け寄る訳にもいかない。
声だけをかけ、周りを警戒する。
穂乃果「照井、さん……?」
アクセルT『何があった、なぜ彼女たちは倒れている?』
穂乃果「え、えっと、凛ちゃんが海未ちゃんを助けてくれて、でも、凛ちゃん、すぐに倒れちゃって、変身も……!」
混乱している。
だが、それだけで状況は分かった。
つまり、
アクセルT『………………』
動けない少女が2人。
そして、動けるだろうが、混乱し冷静に動くことができないであろう少女。
俺は3人を守りながら戦わくてはならないという訳らしい。
その上、敵の姿は見えない、か。
アクセルT『少々まずいな』
『…………負けてしまったのね』
構えも警戒も。
解いていないはずだった。
だが、奴はそこにいた。
穂乃果「っ、あなた……っ!」
ミスト『こんにちは。また会ったわね』
彼女の目の前。
気づけば、奴はそこにいた。
アクセルT『なんだと!?』
アクセルT『くっ!』ダッ
すぐに蹴り出す。
だが、
ミスト『アップグレードまでしたのに……』
ミスト『本当にーー』スッ
ミスト『ーー使えない』ギリッ
ーー ザザザザザッ ーー
アクセルT『!』
奴はその手を、倒れ動かない園田海未に近づけていく。
何をするつもりかは分からんが、それがまずいことであることだけは感じた。
穂乃果「やめてぇぇぇぇぇ!!!」
『トライアルマキシマムドライブ』
穂乃果「……………………え……?」
アクセルT『間一髪、だ……』
咄嗟に使ったマキシマムが間に合って、俺の体を、園田海未を庇うように、奴と彼女の間へ滑り込ませることができた。
幸いにも、攻撃は不発だったのか、その手に触れている俺にその衝撃はーー
ーー ジワリッ ーー
悪寒。
何かが体に入ってくる感覚を感じ取って、
アクセルT『っ、はぁぁっ!!』ブンッ
背後へ蹴りを放った。
だが、すでに時は遅く。
俺は、
ーー フラッ ーー
アクセルT『…………な、に……っ!?』
よろけてしまう。
同時に、視界が眩み、立っていられないほどの吐き気を感じた。
そして、同時に聞こえてくるーー
『ア、ハハハッ』
『ハハハハハッ、ハッハハハッ!!』
ーー奴の高笑い。
ミスト『立っていられないでショウ?』
ミスト『これは私の特殊能力』
ミスト『『蠱毒の霧』』
相手の体内に直接毒霧を流し込み、死に至らせる。
奴はそれをそう説明した。
毒、か……。
ミスト『精神攻撃に耐性があっても、毒は効いているようネェ』
ミスト『嬉しいワァ』
そう言って、ケタケタと耳障りな笑い声を上げるドーパント。
……なるほど。
目的は園田海未に害をなすことではなく、これだったわけか。
俺への復讐。
井坂を倒した俺を確実に苦しめながら殺すための手段。
……ふん。
アクセルT『つくづく……憐れ、だな……』
ミスト『憐れだろうとなんだろうと結構よッ!!』
ミスト『それでオマエを殺せるのならッ!』
声を荒らげるミスト。
憐れであることは変わらん、が……。
状況は、よくはないか。
仕方がない。
アクセルT『高坂……』
穂乃果「え、あ、照井さん、大丈夫ですかっ」
アクセルT『下らん質問を……するな……今はそこの『それ』を渡せ』
穂乃果「え、あっ……はい!」スッ
ーー ガチャッ ーー
園田海未の近くに落ちていた『強化アダプタ』。
それをアクセルメモリに装着し、
『アクセル』
『アップグレード』
ドライバーに差し込む。
『ブースター』
トライアルの装甲の上からブースターの装甲が重なる。
その装甲は青から黄色へとなり、飛行能力を有するアクセルブースターへと姿を変えた。
アクセルB『……っ』フラッ
残念だが、奴の毒は確かに回っている。
性能が三倍になった今なら、奴を討てるかもしれないが、今はーー
アクセルB『掴まれ!』
アクセルB『撤退だッ!』
穂乃果「っ、はい!」
意識のない二人の少女と高坂を抱え、俺たちはその場所ーー『井坂医院跡地』から離脱した。
ーーーーーー
ーーーーーー
本日はここまで。
ライブ楽しかったです。
近くAqoursのssも書きます。
ーーーーーー
ミスト『…………逃げられた』スッ
真白「…………まぁ、いいわ」
真白「仮面ライダーアクセルはもうすぐ死ぬ。あの毒は治療不可能よ」
真白「それに、『アームズ』はやられたけれど、私にはまだ『スキップ』も『エッグ』も残っている」
真白「…………それにーー」スッ
『イービル』
真白「まだ使えるモノはあるもの」ニタァ
ーーーーーー
ーーーーーー
ーーーーーー
『残念ながら照井竜は戦えない』
病院から穂乃果たちを連れ出してくれた後、すぐに照井さんは倒れてしまった。
照井さんを迎えに来たのは、穂乃果の協力者の相棒を名乗る人。
その人が照井さんを連れていった後、穂乃果にところへ電話がきて、言われたのがそれだった。
穂乃果「……大丈夫、なんですか……?」
『大丈夫、だとは決して言えない状況だ。人を3人連れて、その場から逃げられたことが信じられない』
そのくらい、照井さんの体に入り込んだ毒は酷いらしかった。
対抗できるような抗体を作るのは難しくて、解毒するためには、
『ミストドーパントを倒す以外に手はない』
穂乃果「……そう、ですか」
彼は冷静にそう言った。
でも、
穂乃果「……穂乃果たちはもう……」
『……メモリが破損したんだったね』
穂乃果「はい」
凛ちゃんが気を失って倒れたと同時に、ドライバーの中のサイクロンのメモリは壊れてしまった。
つまり、穂乃果たちに残されてるのは、ロストドライバーと……。
『……君に渡したあのメモリ』
穂乃果「……でも、それは」
『あぁ。南ことりを救うためのものだから、使うことはできない。そもそも、『あれ』には変身のための力は備わってないはずさ』
そう。
だから、もう穂乃果たちは戦えないんだ。
『けれど、星空凛が『アームズ』を倒したことで戦局は変わった』
穂乃果「え……?」
手詰まりかと思っていた。
けど、彼はそんな言葉を口にした。
穂乃果「……どういうこと、ですか?」
『もし未だにアップグレードした『アームズ』が向こうにいたならば、僕たちはなにもできなかった』
『けれど、今、亜坂真白の元には動ける者は存在しない。つまりーー』
『ーー僕たちで彼女を倒すことができる』
穂乃果「!」
それは、つまり……。
って、でもあれ?
今、風都から動けないって話じゃ……?
『確かにそうだ。けれど、照井竜や君たちがこれだけ動いてくれた。それを無駄にすることはできないさ』
『…………と、僕の相棒が言って聞かなくてね』
穂乃果「?」
『まぁ、こちらの話だから、気にしないでくれたまえ』
穂乃果「は、はい」
『ともかく、もう僕の相棒がそちらに向かっている。少し待っていてくれ』
ーーーーーー
ーーーーーー
凛ちゃんが海未ちゃんを助け出してくれて。
もう彼女には自分で動く以外の選択肢はなくて。
そして、穂乃果の協力者も来てくれる。
だから、安心しきってた。
もう大丈夫だよね。
そう思ってたせいでーー。
ーーーーーー
私はすべてを失うんだ。
ーーーーーーTo be continued ーーーーーー
『最後のE/絶望の始まり』
以上で
『穂乃果「さぁ、お前の罪を数えろ!」』完結になります。
稚拙な文章・表現にお付き合いいただき、ありがとうございました。
今作でシリーズ完結する予定でしたがあと一話だけ続きます。
以下過去作です。
よろしければどうぞ。
1作目
にこ「さぁ、お前の罪を数えろ!」
【ラブライブ】にこ「さぁ、お前の罪を数えろ!」【仮面ライダーW】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500978922/)
2作目
凛「さぁ、お前の罪を数えろ!」
【ラブライブ】凛「さぁ、お前の罪を数えろ!」【仮面ライダーW】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510213255/)
3作目
海未「私の罪を」
【ラブライブ】海未「私の罪を」【仮面ライダーW】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1512647204/)
4作目
真姫「その罪は何色か」
【ラブライブ】真姫「その罪は何色か」【仮面ライダーW】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1515243825/)
5作目
海未「罪と罰」
【ラブライブ】海未「罪と罰」【仮面ライダーW】 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1518272152/)
長くなってますが、あと一話だけお付き合いいただけるとありがたいです。
では、また。
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