梨子「焼き鳥屋・宜候」四 (44)
薄紅の風が空を流れる春の季節がやって来た。
顔を撫でる潮風は柔らかく胸に吸い込む空気はふんわりと温かく気分がいい。
桜舞う春は此処、太陽と海の町である内浦にも変わらずやってきました。
そんな、海辺の町の片隅に一軒、近場の島と富士山がよく見える位置に焼き鳥屋がありました。
新しい店なのに内装は煙で偸み、席はたったのカウンター五席。店員は一人と時々現れるお手伝いのみ。若く快活な女性が店主として切り盛りしてるようです。
その小さな小さな焼き鳥屋は……店主のかつての夢に掛け『焼き鳥屋・宜候』の看板で今日も営業していました。
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曜「珍しいね、こっちの方帰ってきたんだ」
梨子「うん、今回の会場がこっちの方だったから…終わってから行くことにしたんだ」
果南「なるほどねー……じゃあお疲れな訳だ」
梨子「あはは……そんな大層な事じゃないです」
曜「とりあえず……何か食べる?」
梨子「あー……じゃあ普通にモモ二本と……カシスオレンジ頂戴」
果南「私いつものやつとカワ!後ビール!」
曜「OK!了解したよ!」
果南「それにしても……色んな所でコンサートする為に全国飛び回ってるんでしょ?……凄いなぁ……」
梨子「あはは、そんな事ないです……やっと最近外からもお呼ばれされる様になったばっかりで私なんかまだまだ…」
果南「そうなの…?」
梨子「ええ、まだまだコンサートを開いたりは出来ない、それが今の私の実力だから……」
曜「あれ?前コンサートに出るって言ってなかった?」
梨子「それは沢山の出演者がいて、その中の一人って事で……単独コンサートなんてまだまだ……」
果南「あー……なるほど…」
曜「はいモモ二本ととカシオレ…果南ちゃんは砂肝とせせりとカワ、後ビールね」
果南「はーい、ありがと」
梨子「ありがとう…うん、おいしい!……なんだか久しぶりかも」
曜「梨子ちゃん前来たの……結構前だよね?」
梨子「うん、そうかも…中々来れないから…だから果南さんがちょっぴり羨ましいかも」
果南「あはは……でもそんなには来てないよ…」
梨子「そうなんですか……?」
曜「2、3日に一回は来てるよ」
果南「………そうだっけ」
曜「そうだよ」
梨子「………」
果南「……なんか、お悩み…?」
梨子「いや…ハッキリとなにか悩んでるってわけじゃないですけど…」
曜「どうしたの…?」
梨子「やっぱり…実力でやっていく事って…ちょっぴり不安なんです、先が見えなくて」
果南「………?」
梨子「ピアニストの世界って……本当に実力主義なんです」
梨子「腕一本でコンクールを勝ち抜いて、そこからお仕事に繋げてく……そんな単純な事が凄く難しくて大変なんです」
果南「そっか……大変な世界な訳だ」
曜「……漠然とした不安…ちょっと分かるかも」
果南「なるほどねぇ……」
梨子「果南さんは…そういうのありましたか?」
果南「うーん……私はなんていうかその辺適当だからさ……」
曜「まぁ…そんな感じするよ……」
果南「ほら…仕事柄誰かと競うって訳じゃないからさ、あまり考えた事なかったかな…」
梨子「…そうですか」
果南「こんな私だからさ、為になるアドバイスとかは出来ないかもだけど…」
梨子「……?」
果南「私が言える事は…昔聞いた梨子のピアノ大好き、って事…それくらいかな」
果南「もし…何かに詰まったらさ、『そんな事言ってたな』って…思い出して欲しい」
梨子「…………」
曜「私も!梨子ちゃんのピアノ大好き!」
果南「あはは……だってさ」
梨子「……うん、ありがとうね」
果南「頑張ってる人に気楽にやれって言うのも何だか違う気がするけど……もしこれで力になれるのなら…今の言葉を思い出してくれたら…私は嬉しい」
曜「お、今日は語るね?果南ちゃん」
果南「曜………揶揄うんじゃないよ」
曜「えへへ……ゴメンゴメン」
梨子「……なんだか、頑張れる気がして来ました」
果南「お、そう?だったら嬉しい!」
曜「……果南ちゃんがいいお酒奢ってくれたら梨子ちゃんもっと頑張れると思うよ」
果南「…ちょっと」
梨子「あはは……ご馳走さまです」
果南「えぇ…ちょっと…梨子まで………」
曜「ほら、梨子ちゃんもこう言ってるよ」
果南「うーん……よし、分かった!一本だけね」
曜「よっしゃ!まいどあり!」
梨子「あ…なんかごめんなさい…」
果南「あはは…いいっていいって……ホントに謝られると調子狂うよ」
曜「OK!ちょっと何本か店の奥からもってくるね!」
果南「一本でいいって言ってたの聞いてなかった?」
曜「聞いてなかったよ」
果南「聞いて」
曜「はーい……取ってくる!」
果南「はあ…全く…すぐ曜は調子乗るんだから……」
梨子「果南さん」
果南「……何?」
梨子「………いつか、コンサートに呼んでもいいですか?」
梨子「出来たら、私一人のコンサートに」
果南「……うん、楽しみしてるよ」
梨子「……えへへ、私頑張ります」
手に持ったグラスに酒が注がれる。いつもならば手を出さない、少々値段の張る強めの一品だ。
素直な言葉は心に深く、突き刺さった。
これ以上飲むとまた、口を割ってしまうかもしれない。混濁した心から思いの丈が零れ落ちてしまうかもしれない。
それはまだちょっぴり…気恥しい。
今日はもう静かに飲むだけにしよう。内に様々な想いを膨らませ、グラスを傾けながら梨子はそう決めたのだった。
『二人と三人』
花丸「こんにちは~」
ルビィ「こんにちは!」
曜「あら、二人ともようこそ!夕方に来るの結構珍しいね」
花丸「駅前で遊んで来た帰りなんだ~」
ルビィ「善子ちゃんも呼んだけど来れなくて……」
曜「ああ、善子ちゃん今日就活で忙しいって」
花丸「何で知ってるの?」
曜「いや、だって善子ちゃんここで働いてるし」
ルビィ「あ…そっか…」
曜「はい、お水とおしぼり…注文決まったら呼んでね!」
ルビィ「ももと…カワをタレで下さい」
花丸「マルは…ねぎまとつくね、後大根サラダで!」
曜「了解…っとお飲み物は?」
ルビィ「花丸ちゃん…お酒飲む?」
花丸「うーん…ちょっとだけ貰おうかな……あ!みかんのワインなんてあるんだ」
曜「お、流石だね~なんでもこの辺りのみかんを使ってるみたいでね…最近見つけて仕入れてみたんだ」
花丸「じゃあマルはそれで!ルビィちゃんは?」
ルビィ「うーんと……いちごサワーで」
曜「はーい!了解!」
曜「今日はどこへ行ってきたの?」
ルビィ「ええと……普通にお洋服見に行ったのと…後カフェに行ってパフェ食べてきました」
曜「うわ……女子大生だ…」
花丸「どういう反応ずら…それ……」
曜「いや…なんか…眩しい…」
ルビィ「そうなのかな…?」
曜「なんていうか全体的にキラキラしてる……最後が焼き鳥だけど」
花丸「あはは……確かに」
曜「はいサラダ、コンソメで味付けてあるからなんにもかけずに食べてね」
花丸「はーい!ルビィちゃん、一緒に食べよ」
ルビィ「花丸ちゃん、いいの?」
花丸「うん!」
曜「あ…はい、取り皿」
花丸「ありがとう……うん、シャキシャキしてておいしいずら」
ルビィ「しっかりと味が付いてて…一杯食べちゃいそう」
曜「今日は大根をおばちゃんに値引きしてもらったからちょっぴり増量中だよ」
曜「はい、ルビィちゃんにはいちごサワー…花丸ちゃんは寿太郎ワインね」
ルビィ「わ、ありがとう」
花丸「考えたら…ルビィちゃんと二人で乾杯するの始めてかも」
ルビィ「あれ…そうだった……かも…?」
花丸「二人だとあんまりお酒飲まないからね」
ルビィ「うーん……確かにそうかも」
花丸「それじゃあ…乾杯」
ルビィ「えへへ……乾杯」
曜「はい、お肉焼けたよ」
ルビィ「ほふほふ……うん!おいしいよ」
花丸「つくねもほっくり柔らかくて……ジューシーずら」
曜「ふふ……二人はストレートに一杯褒めてくれるから嬉しいよ」
ルビィ「他の人は言ってくれないの…?」
曜「うーん……果南ちゃんとかはあんま言ってくれないかな?いつもビール飲みながらパクついてるから悪くはないと思うけど」
花丸「こないだも…果南ちゃん行き慣れた常連さんって感じだったずら」
曜「実際…よく来るしね…」
曜「ま、こうして来てくれるのが一番嬉しいよ…仕事中お喋り出来るし」
花丸「常連さんへのサービスとかってあるの?」
曜「うーん……あんま無いかなぁ…開発中メニューが時々出るくらいだね…ほら、こないだの釜飯みたいな」
花丸「あ……なるほど」
曜「うーん……それ以外にも何か出来たらいいけど」
ルビィ「……スタンプカードなんてどうかな?貯まったら割引!みたいな」
曜「あー……なるほど、スタンプかぁ…考えてみるよ!」
花丸「今日行ったカフェにもあったずら、ルビィちゃん全部スタンプ貯まってたね」
ルビィ「えへへ……一枚貯まるとホール一個タダなんだ」
曜「割引率エグいね」
曜「一枚でホールなら……一枚で鳥一匹かなぁ」
ルビィ「えぇ……」
花丸「完全に持て余すずら…」
曜「まあ、なんか考えとくよ……値段的にはホールとトントンなんだけどね」
花丸「そういうのがあったら…もっと来ちゃうずら」
ルビィ「ルビィも!」
曜「あはは……じゃあ、早く決めないとね」
ルビィ「また今度は善子ちゃんも一緒で来れたらいいね」
花丸「うん…そうだね」
曜「あ、善子ちゃんで思い出した」
ルビィ「どうしたの……?」
曜「うーん……また裏メニューなんだけど……食べる?」
花丸「え!欲しいずら!」
曜「OK!でもね………いや、見たほうが早いか……ちょっと取ってくる!」
ルビィ「……?」
曜「はい!お待たせ致しました!」ドン
花丸「これって……?」
ルビィ「カレー?」
曜「おしいね…カレーうどんだよ!」
花丸「焼き鳥屋さんなのにカレー?」
曜「まあ…ちょっと思ったけど…チキンカレーなのでギリギリセーフ、たぶん」
ルビィ「すごい良い香り……おいしそう…」
曜「ちなみに善子ちゃん作」
花丸「え…!?」
曜「サブメニュー作れないかな~って考えてたら昨日作ってくれてね……ほらほら、冷めないうちに食べて食べて!」
ルビィ「すごい…頂きます…」
花丸「わっ!…ピリッとしてるけどコクがあって…美味しい…」
ルビィ「凄く辛いけど…すぐに次が食べたくなる味…」
曜「美味しいよね~それ、スパイスから作ってるみたいだから結構本格的だよ」
ルビィ「これはもうすぐメニューになるの…?」
曜「うーん…したいけど……問題はバイトの善子ちゃんしか作れないことと…二階の我が家にスパイスの匂いが充満する事かな…」
花丸「これ凄くおいしいずら…メニューにあったらいつでも頼んじゃいそう…」
曜「最後の〆に麺類があったらいいなって思ってたけど…これ結構好評だね…?」
花丸「うん、とっても美味しいよ!」
曜「よし、善子ちゃんに置き土産は好評だったって報告しとくね」
花丸「ふふっ……善子ちゃんに聞かれたら二人だけで行ってずるい!って言われちゃうかもね、ルビィちゃん」
ルビィ「そしたら……また3人で来ればいいよ、ね?」
花丸「……うん、そうだね!」
焼けるような香気が鼻を抜ける。甘い酒に辛い肴。二人集まれば、姿の無いもう一人の事を思い出す。きっと本当の、三人一緒。
これから先の事は分からないけど…そう願うのならきっと、ずっと一緒に居られる。
橙に染まった大洋の果てに夕陽が落ちる。暗く、静まり返った町の片隅にて二人席で並ぶ。いつもの二人と変わらない空気がそこには流れていた。
『変わった少女』
千歌「それでね……もうその頃曜ちゃん毎日私に電話かけて来てね……」
鞠莉「ふんふん……そんな事があったのね…」
曜「その節は誠にすんません……あ、出来たよ鞠莉ちゃん、ホットウイスキー」
鞠莉「サンキュ~!………うん、バッチリ!いい香りね!」
千歌「だからその時言ったんだよ『まずバイトでも始めたら?』って」
鞠莉「うんうん…なるほど?」
千歌「そして…その二年後には急にお店開く!って連絡来て…もうびっくりしちゃった!」
鞠莉「私なんて善子からの事後報告だったわよ…もうビックリだったんだから…」
曜「あはは…ゴメンね?始める!ってなってからバタバタしてて……」
鞠莉「まあ…もういいけど…」
鞠莉「ていうか、何で急に焼き鳥屋なの…?」
千歌「あ、それ結局聞いてなかったかも」
曜「えー…別に深い意味は無いよ?」
鞠莉「何よー…余計気になるじゃない!」
曜「いや……さっき千歌ちゃんに言われてバイト始めるか、ってなった時にちょうどバイト募集中のビラが入ってたから……」
千歌「………思ったより深い意味無かったね…」
曜「だから言ったじゃん…!!」
曜「千歌ちゃん、おまかせの黄身がけつくねとハツ、それと濃いめのハイボールね」
千歌「ありがと………あー…疲れた体に染みる……」
鞠莉「ちかっちお疲れ?」
千歌「うん……思ってたよりハードかも…お手伝い程度とは全然違うよ…」
曜「意外……昔からやってるから慣れてると思ってた」
千歌「布団がね、重いの……今まで数部屋手伝うくらいだったけどお客さんが食事終わるまでに全部ってなると相当…」
鞠莉「あー…なるほどねえ…」
曜「はい、鞠莉ちゃん皮のタレ」
鞠莉「サンキュー!……うん!おいしい!」
曜「鞠莉ちゃん好きだよねそれ、いつも頼んでる」
鞠莉「脂っぽいのが好きなのよ、タレとウイスキーがよく合うわ!」
千歌「鞠莉ちゃんここはよく来るの…?」
曜「結構来るよね…?……なんならウイスキーのボトル置いてるし」
鞠莉「そうねー……海外に居るのとこっちに居るのが月に大体半々…ってとこかしら…?」
千歌「鞠莉ちゃんだって忙しくて大変じゃない……?次期なんたらでおうち継ぐんでしょ?」
曜「なんたらって…」
鞠莉「まあね…外に行ったりするのが続くと…ちょっと疲れるかな」
千歌「海外でのお仕事…?」
鞠莉「そう、顔見せとかしなくちゃいけなくてね…結構面倒なのよ」
曜「ほえー……なんていうか流石だね…」
千歌「いいなー……私も海外にいっぱい行ってみたい…」
鞠莉「…………」
鞠莉「ちかっちは今のお仕事大変?」
千歌「大変だよー……休憩短いし、志満姉は意外と容赦無いし」
鞠莉「……………そっか」
千歌「……」
鞠莉「私もね…毎回外に出てかないといけないのが大変で……思い切って向こうに住んだ方が面倒じゃないのかなー……とか思った事があったのよ」
千歌「……」
曜「へえ~…そうなんだ…」
鞠莉「でもね……やっぱ私好きなのよ、ココが」
鞠莉「向こうに出れば素敵なパーティだったり集まりがあるけど……それでもやっぱりそこのホテル、一番上の特等席で海を見ながら書類仕事してる方が……何倍も楽しいの」
千歌「……」
鞠莉「あはは…ゴメン、ちょっと喋りすぎちゃったかも」
千歌「鞠莉ちゃんは偉いなぁ…しっかりしてて…」
鞠莉「あら…?ちかっちはしっかりしてないの?」
千歌「うーん……どうなんだろ…」
鞠莉「ちかっちの仕事だってとっても大事よ?」
鞠莉「私の大好きな……内浦に来てくれたお客さんをお出迎えするんだから…ね?」
千歌「…………うん…!」
曜「……お出迎えするのは鞠莉ちゃんの所もだよね…ホテルだし」
鞠莉「…………あ、バレた?」
千歌「もー!曜ちゃん……今いい感じの気持ちになってたのにー!」
曜「あはは…ごめんごめん」
鞠莉「もー…そんな無粋な曜には……コ・レ、あげないでおこうかな~……」ゴソゴソ
曜「えっ……何……?」
鞠莉「ハーイ!曜にバースデープレゼント~!」
曜「あ……そっか私誕生日か……」
千歌「さては忘れてたね……」
曜「あはは……これくらいの歳になるとどうしてもね…」
鞠莉「はいどうぞ!ハッピーバースデー!」
曜「これなんだろ……鞠莉ちゃんのプレゼントめっちゃ大きい…」
鞠莉「そうね…悪いけど…中身は超実用的よ…?後で開けてみて」
曜「……うん、鞠莉ちゃんありがとう!…嬉しい!」
鞠莉「どういたしまして!」
鞠莉「さーてお次はちかっち!」
曜「千歌ちゃんも…!?嬉しいよ……」
千歌「………………」
鞠莉「ちかっち…?」
千歌「…………プレゼント家に置いて来た」
鞠莉「………マジ?」
千歌「…マジ」
千歌「鞠莉ちゃんまだ居るよね!?ちょっと家に今取りに走ってくる!」
鞠莉「はぁ…あの子も時々やらかすわねぇ……」
曜「あはは………」
鞠莉「人の事だとバシッと決めるのに自分の事だとクヨクヨ悩んだりてんてこ舞いだったり…」
鞠莉「……あ、ちかっち帰ってくるまで時間かかりそうだし飲み物おかわりお願い」
曜「お、了解…!」
鞠莉「…………ふふっ、曜」
曜「なあに…?そんなニヤニヤして」
鞠莉「いやあ……結構…面白い友達持ったわね?」
曜「……えへへ、そうかも」
一枚切れの薄い暖簾をめくり春の夜を駆け出していく少女の後姿が遠くなっていく。
残された店の中には何かに追われるわけでもない…唯々のんびりと、緩やかな時間が流れていた。
トク、トク、と滑らかに注がれるウイスキー。強い琥珀色の液体がそれに似つかわしくない鞠莉の手元にある和製の湯飲みへと収められる。ふんわりと上る煙のような香があたりに緩やかに広がる。
数度言葉を交わす後、ほんの少しだけ氷で薄めた酒を飲み込み、にへらと笑いかける。そんな事をしながら二人は愛らしい、おっちょこちょいの到着をのんびり待つのだった。
一旦おしまい
『目標』
曜「珍しいね、こっちの方帰ってきたんだ」
梨子「うん、今回の会場がこっちの方だったから…終わってから行くことにしたんだ」
果南「なるほどねー……じゃあお疲れな訳だ」
梨子「あはは……そんな大層な事じゃないです」
曜「とりあえず……何か食べる?」
梨子「あー……じゃあ普通にモモ二本と……カシスオレンジ頂戴」
果南「私いつものやつとカワ!後ビール!」
曜「OK!了解したよ!」
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