オリジナルSS
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東京都/ある高校/昼休み
友「なあ、知ってるか」メロンパンウマー
男「なに?」オレンジジュースウマー
友「噂さ」
男「噂?」
友「男子トイレの話、聞いてないか?」
男「むろん、知らないね」
友「お前、情報疎いからなあ」
男「知っているべきことを知っていれば、十分だ」
友「知っているべきことね……例えば?」
男「マルク・ブロックについて、とか」
友「いや、知らねえよ」イミフー
男「で、どんな噂なの?」
友「結局、気になるわけ?」
男「まあね。退屈しのぎにはなるから」
友「特別教室棟の三階の男子トイレ、あるだろう?」
男「あるね」
友「あそこのトイレの個室、一つだけいつも使用不可の張り紙が貼ってあるの、お前知っているか」
男「言われてみれば、貼ってあったような、という程度」
友「ま、教室棟と違って、あっちの棟のトイレはそう頻繁に使わないからな」
男「三階となると、図書室やアリーナは一階二階だし、三階は音楽室と理科室くらいか」
友「ああ」
男「で?」
友「ああ、その個室はさ、何故か扉が開かないらしいんだ」
友「ああ、でもこれは俺自身も試したから言えるんだが、壊れて開かない、というのとは違うんだよな、感触が」
男「壊れて開かないドアの感触を知らないから、なんとも言えんな」
友「で、上の隙間から覗いてみたんだが、見た所、トイレ自体が故障しているようには見えない」
男「ほうほう」ウナズキ
友「で、噂によると、使用不可の張り紙が貼られているのは、もう三ヶ月前かららしいんだ。確かに、あまり使われていないトイレだが、さすがにずっと使えないままにしておくのも、変だと思わないか?」
男「そうかもしれない」
友「だろう?」
男「でも、逆に言えば、たかがそれだけのこと、とも言える。噂になるほどではないように思えるけど」
友「まあ、急かすなって」
友「ここからが噂の本題さ」
友「俺が聞いた話ではこうだ」
友「あの扉の向こうは」
友「なんと!」ドン!
友「異世界に繋がっている!」ドドン!!
男「……」
友「……」
男「おー」
友「気になるか?」
男「いや、なろう小説妄想乙としか」ヤレヤレ
友「デスヨネー」
友「ま、実際そんなこと、もちろん俺も信じていない」
男「現実と虚構の違いは大事だ」
友「ただ、そう噂されるに至る理由がないわけでもなくてさ。例えば、三階男子トイレに入っていく人間を見たにも関わらず、中に入ると誰もいなかった、とか」
友「使用不可とか書かれた個室から、水を流す音が聞こえた、とか」
友「なのに、そのあとピタリと音がしなくなって、上から覗いてみたら誰もいなかった、とか」
男「トイレの上の隙間から覗くやつ、多いな」ヒクワー
友「ま、いろいろな噂が積み重なり、最終的に異世界の扉などと言われるようになったらしい」
男「ふむふむ」
友「興味ある?」
男「何に?そのトイレに?」
友「異世界に」
男「……」
男「まあ、あるかな」
友「へえ、意外だな。おすすめの転生モノ教えようか?」
男「いや、大丈夫」
友「休み時間、そろそろ終わりだな」
男「ああ」チラッ
女「……」
男「おい友、席戻れ。女さんが困ってる」
友「あ、ごめんごめん。じゃあな、男」タッタッタッ
男「女さん、俺からも謝っておくよ。席ごめんね?」
女「ううん、大丈夫」フルフル
男(席が隣の女さん、俺はそれほど会話をしたことがない)
男(間違いなく美少女だ。おとなしいというか、大人らしい雰囲気を纏っているからか、表立って騒ぐ奴や絡みに挑む輩は少ない)
男(俺だって、席が隣だからといって、何かあるわけでもない)
男(やがて教師がやってきて退屈な授業が始まる。教室という箱の中で、文字を書き写し、時間が過ぎてゆく)
男(友が昼休みにしていた話を思い出していると、やがて強烈な睡魔が俺を襲った)ウトウト
東京都/ある高校/放課後
キーンコーンカーンコーン
「またねー」「部活いこうぜー」「外周ランだりー」ガヤガヤ
友「よお、久しぶりにカラオケ行かね?」
男「……」
男「悪い、今日は予定あるわ。先帰ってて」
友「そうか」
友「ま、しょうがない。俺はヒトカラでも行くわ」
男「ああ。また明日な」
友「おーまたなー」テクテク
男「……」
男「さて」
男「俺も行くか」
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