(大きな音が鳴り続けて、足元が揺れて立つ事もままなりませんでした)
(あの日、あの時)
(私は訳も分からずお母さんと城へと逃げる最中に……死にました)
(街の中央広場に建っていた時計塔の下敷きになって)
(とても痛かったし、怖くて、悲しくて)
(お母さんとまだ幼い子猫と一緒に私は、沢山声を上げながら、死んでしまいました)
(だからこれはきっと夢なのです)
(これは死んでしまった私が見ている夢)
(言葉の通じなかった『あの男の子』ともう一度会って、お話をする……その為だけに見ていた夢)
(それに気付いたのは、もう一度死ぬ……今でした)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1519037456
【karen'Device】
? 《西暦XX99年・日本》
女学生「やっば……!」
学生「何、どうかした?」
女学生「ごめん! 弟の塾迎えに行くんだった、もう行かなきゃ!」
学生B「弟君かわいそー、早く行ってあげなよ」
女学生「ありがとう、また明日学園でね!」タタッ
< タッタッタッ・・・・・・!
学生「あいつ、弟なんて居たんだ」
学生B「うん。結構有名だよ」
学生「なんで」
学生B「性同一性障害なんだって、女装してるの。まだ14歳だから可愛いんだよね」
学生「マジか……大変だなぁ」
女学生「ごめーん!待ったー?」
少年「のんびり歩きながら言うセリフじゃないよお姉ちゃん」
姉(女学生)?ピッ!
姉「これでも急いで来たんだよ、ほら! 帰ろう?」
少年「うん」
姉「今日はお爺様の家に行くからアンタ道分かんないんだよね、いい加減覚えたら?」
少年「まだ首都に引っ越して来てから二週間だし、お爺様の家まで遠くて覚えられないよ」
姉「仕方ないなぁ……これだから田舎者は」
少年「お姉ちゃんだって田舎出身でしょー」
< 『発車します、ご注意下さい』プシュ-ッ
姉「わ、旧式音声だ」
少年「珍しいね、首都なのに」
姉「路線が多いからかもね、今はポッドがあるから」
少年「そっかぁ」
姉「……何してんの? それ」
少年「メッセージのやりとり」
姉「またアンタ彼氏出来たんだ」
少年「うん」
姉「懲りないなぁ……この間、襲われて別れたじゃん」
少年「あれはアニメとかのせいだよ、そういうの好きな人だったから」
姉「だからって裂傷沙汰になって救急車呼ぶハメになる?」
少年「今度の人は大丈夫だってば」
姉「母さん、心配してたよ。最近のアンタは夜に出かけたりもするって」
少年(……また始まった)
姉「ここは首都なんだよ。夜に出歩いたりして……もしアンタが『LC』に遭遇したら母さん悲しむよ」
姉「家族だって、多分また離れ離れになる」
姉「そんなの嫌でしょ?」
< キィィイッ!!
< ガコォォッ・・・!
姉「っ……!? な、なに? 急ブレーキ?」
姉「アンタ、大丈夫……
< 「いってて……おいおい、どうなってんだよこの列車!」
< 「ママァ……!!」
< 「びっくりしたねぇ、もう大丈夫よぉ」
姉「……え?」
姉「ちょっと、どこに行ったの……?」
姉「あれ……?」
姉(どこにも、いない)
? 《????・泉の畔》
少年「……?」
< ザァァァ…
少年(噴水?)
少年「えっ、お姉ちゃん……?」チラッ
少年「お姉ちゃん、どこ……」
少年「お姉ちゃん!! お姉ちゃ───ん!!」
< ザァァァ……
少年「…………」
少年「嘘……っ」ドサッ
少年(落ち着こう……これが夢の可能性も、ある)
少年(携帯は?)スッ
少年「あった……」
少年「……!」
少年(圏外を示すマーカー、って事はこの森。森? ……多分ここは森の筈)
少年(もう世界で安全な森は無いけれど、少なくとも僕の知ってる限りここは知らない場所)
少年(日本は人口植物しかないから……こんな葉の樹は無いしね)トゲがある……
少年(そもそも国内なら圏外にはならないだろうけど)スッ
< すぅー……はぁー……
少年(空気が澄んでる……からかな、落ち着いてきちゃった)
少年(…………)
少年(国外。つまり外国の何処かの森に僕は拉致されて放置って、まるで映画みたいだ)
少年(都合良く水辺に立っていたのも、そういう事なのかな)
少年(現実味が無いや……)
~~~~・・・二時間後
少年(……どうしよう、もう日が暮れる)
少年(ちょっと泉を離れてぐるっと歩いてみたけど、どこに出るのか全然分からない)
少年(人の気配も、『クルマ』も通ってる音はしない)
少年(歩いて何日かかるんだろう。アメリカとかって相当広いよね?)
少年(…………)
少年(このまま、助けも誰も来なかったら……?)ぞくっ
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません