モバP「トライアドを拾ったのでペットにした」 (33)

モバP「いや雨の中傘もささずになんの用だよ」

凛「………」

加蓮「………」

奈緒「えっと…(おろおろ)」

モバP「お前ら今日オフだろ? 風邪ひくから早く帰りなさい」

凛「……ペットに」

モバP「ん?」

凛「…私たちをペットにして」

モバP「いやしねーから。はよ帰れ」

加蓮「…ゴホゴホッ」

奈緒「だ、大丈夫か、加蓮」

モバP「北条は自分のことをもっと知れ。命削ってまでアホなことするな」

モバP「渋谷、友達が死ぬぞ」

凛「……いや、違うだよプロデューサー。ちょっと相談があってさ」

モバP「…本当か?」

凛「ほんとほんと、ちょっと言い間違えちゃって」

モバP「どんな言い間違いだよ」

加蓮「ゴホッ、ゴホッ」

奈緒「ああっ…とりあえずこれで…」ハンカチで加蓮の頭を拭く

モバP「とにかく中に入れ。北条の唇が紫になってきてる」

モバP「三人ともシャワー浴びてこい。ちょっと狭いだろうけど我慢しろ」

凛「わかった」

加蓮「………」

奈緒「えっ、でも着替えが…」

モバP「俺のスウェット貸すから」

凛「プロデューサーのワイシャツがいいな」

モバP「漫才してると死人が出るぞ」

加蓮「………」ガクガクガクガク

奈緒「か、加蓮、早くあったまろう…!」

凛「ちょっとプロデューサー!」

モバP「前を隠せ」毛布で凛を簀巻き

凛「ちっ」

モバP「あからさまに舌打ちするな」

凛「……それよりプロデューサー、この歯ブラシはどういうことなの」

モバP「毛布をちゃんと持て…ああ、それか。佐久間が持ってきた」

凛「まゆが!? まゆがここに泊まったの!?」

モバP「いや、一週間くらい前にいきなり家にきて『これをプロデューサーの歯ブラシの横に置いといてください』って押し付けてきて、そのまま帰った」

凛「………」

モバP「俺が使ってる歯ブラシと全く同じ形の色違いなんだよな。すげぇ偶然だよな」

モバP「いいから大人しくシャワー浴びてこい」

凛「………」ガチャ、パタン

モバP「ココアでも入れるか」

凛「プロデューサー!」ガチャバンッ!

モバP「部屋が濡れる、濡れるから」

凛「なんで女物のシャンプーがあるの!?」

モバP「それは五十嵐が持ってきた」バスタオルで凛を簀巻き

凛「…響子が?」

モバP「良いやつだから使ってくれって押し付けられたんだよ」

凛「でもプロデューサー、この匂い使ってないよね」

モバP「まあ買い溜めした分も残ってるしな」

凛「………」

モバP「使いたければ使っていいぞ。しっかりあったまってこい」

凛「……うん」

モバP「ココアを入れた。もちろんホットミルクでな」

奈緒「プロデューサー、ありがとう」

凛「ありがとう」

加蓮「……美味しい」

モバP「だいぶ回復したな」

奈緒「あの、休みの日に急に押し掛けて…ごめんなさい…」

モバP「いや、いいよ。なんか相談があるんだろ?」

加蓮「………あちっ」ココアを少しずつ飲む

凛「そうなんだよ、プロデューサー」

モバP「で、相談ってなんだ」

凛「私たち三人をプロデューサーのペットに」

モバP「あーもしもし、大至急タクシー一台お願いしたいんですけど」

凛「待って、待ってプロデューサー。ちょっと言い間違えちゃった」

モバP「はよ帰れ。タクシー代出すから」

凛「違うの。違うんだよ。とりあえずタクシーはキャンセルして。タクシー会社さんに迷惑掛かっちゃうから」

モバP「俺にかかる迷惑も考慮してくれると嬉しい」

奈緒「あ、あの、えっと…(おろおろ)」

加蓮「……ふーっ、ふーっ…」ココアを息で冷ます

モバP「ちゃっちゃと本題を終わらせて帰っていただけますか」

凛「相談っていうのはね、プロデューサーの私達に対する態度がちょっと雑なんじゃないかなってことなんだ」

奈緒「えっ?」

モバP「自分の胸に手を当ててよく考え直してください。はい解散」

凛「待って、私の態度が悪いことは謝るよ。昔からよく勘違いされてたからさ、自分でも直したいと思ってる」

モバP「問題なのはそこじゃない。北条も奈緒も、さっさと渋谷を拘束して帰れ」

加蓮「………」

凛「それ、それなんだ。なんで私と加蓮は苗字呼びなのに、奈緒だけ名前呼びなの?」

モバP「そんなのお前らより奈緒と仲良しだからに決まってるだろ」

奈緒「ええっ!?」

奈緒「ちょっ、なっ…ぷ、プロデューサー…!?」

凛「プロデューサーとの付き合いは私の方が長いよね?」

モバP「長いってほんの1、2ヶ月だろ」

凛「1ヶ月と9日間だよ」

モバP「凄くどうでもいい」

加蓮「………」

凛「奈緒達が来た以降だって、私が一番プロデューサーのそばにいるはずだよ。どういうことなの?」

モバP「どういうことと言われても。奈緒とは趣味も合うし、奈緒は礼儀正しいツンデレだし」

奈緒「なっ…!?」

凛「べ、別にプロデューサーのことが好きだからこういうことしてるんじゃないんだからね!?」

モバP「渋谷さんのそういうチャレンジ精神は大変尊敬しています」

凛「私だってプロデューサーの趣味は理解してるよ! 大好きだよ!」

モバP「同好の士が増えることは素直に嬉しい」

凛「漫画だってアニメだって、二次創作の薄い本だってチェックしてるのに!」

モバP「お、おう…」

奈緒「えっ、そうだったのかよ、凛」嬉しそうに笑う

加蓮「……蜜柑貰うね」

凛「昨日プロデューサーが最近何のラノベにハマってるかも知ってるのに!」

モバP「待ってそれ誰かに話した覚えがない」

>>12
×凛「昨日プロデューサーが最近~

◯凛「プロデューサーが最近~

凛「だから、もっと私や加蓮も奈緒みたいに扱ってくれてもいいと思うんだ」

モバP「うん、とりあえずしきりに俺が貸したスウェットの臭いを嗅ぐのをやめてもらえるかな」

凛「何で? いい匂いだよ?」

モバP「そういうところだよ」

加蓮「……くんくん」襟を鼻まで引っ張り上げて嗅ぐ

奈緒「………すんすん///」袖の端を少しだけ嗅ぐ

モバP「お前らもやめろ」

モバP「名前の呼び方なんて別にどうでもいいだろ」

凛「よくないよ!」

加蓮「………くんくん」

モバP「わかった、わかった。これからは神谷のことは二人きりの時だけ名前呼びにすることにするよ」

奈緒「ええぇ!?///」

凛「そうじゃない!」

モバP「一体どうしろと」

凛「私のことも名前で読んでよ」

モバP「直球だな」

加蓮「………じー」

凛「もちろん、加蓮も」

モバP「後付け感半端ない」

奈緒「あうあう///」

モバP「しかしだな渋谷」

凛「凛」

モバP「しかしですね渋谷さん」

凛「………」

加蓮「……ぶふっ」

奈緒「……か、加蓮…わ、笑うなよ…(プルプル)」笑いを堪えてる

モバP「上辺だけ呼び方を変えてなんの意味があると言うのでしょうか」

凛「………」

モバP「親しくなった結果、ファーストネームで呼び合うようになるんであって、上っ面だけ名前で呼びあっても実が伴わないだろう?」

凛「形から入るのも大事だと思うよ」

モバP「そういう人もいるかもしれない。だが俺はそうは思わない」

加蓮「………」

奈緒「プロデューサー…」

モバP「俺も別にお前達のことが嫌いなわけじゃないんだ。だからもう少し待ってくれないか? きっといつか、もっと腹を割って話せるようになると思ってる。いや、俺はそうなりたいと思っている」

凛「………」

モバP「今日のところはもう帰りなさい。タクシー代くらいは出すからさ」

凛「……絶対だよ。絶対、いつか名前で呼んでよね」

モバP「わかった」

凛「そしてその暁には私をペットに」

モバP「はよ帰れ」

加蓮「………」

凛「でもちょっと待ってよプロデューサー。最後にひとつだけ言わせて?」

モバP「なんだ?」

凛「プロデューサーにペットにしてもらおうって話に乗り気だったから、奈緒もここに着いてきたんだよ」

奈緒「ちょ!? 凛っ!!///」ガタッ

モバP「なにそれ今日一番良い情報なんだけど」

奈緒「違っ、あたしは二人を引き止めたかっただけでっ…!」

北条「……『首輪とか買った方がいいのかな…?』とか言ってたよ」

奈緒「言ってねぇよ!?」

凛「確かにそれを言ったのは加蓮だけど、奈緒は『やっぱり三人色違いの方がいいよね…』とは言ってたよ」

奈緒「それを言ったのは凛だろ!!」

モバP「今日一番心が癒される」

モバP「ほれ、服も乾いただろ。タクシー来たぞ」

凛「髪の毛濡らして帰ったら、親に勘違いされちゃうかな」

モバP「頑なにドライヤーで乾かさなかったのはそのためか…雨で濡れてんのと変わらんだろ」

凛「全然違うよ、プロデューサー。シャンプーもプロデューサーのヤツ使ってるし(くんくん)」

モバP「五十嵐のヤツを使わなかったのか」

奈緒「あの…プロデューサー、突然押し掛けてごめんなさい…」

モバP「気にするなよ、俺もお前らに会えて楽しかったよ」

奈緒「そう言ってもらえると助かるよ…」

凛「もっと一緒にいてもいいんだよ?」

モバP「タクシーの運転手さん待ってるから」

加蓮「……あー、私は親が迎えに来るって」

モバP「は?」

凛「えっ」

奈緒「えっ?」

加蓮「うん、さっき話してる時、親にラインしといたんだ。プロデューサーのとこにいるよ~って」スマホの画面見せ

モバP「マジだ…」

凛「………」

奈緒「え、加蓮…なんで…?」

加蓮「いや、雨に濡れて私が高熱出す可能性もあったからさ。プロデューサーに迷惑かけたくないし」

モバP「そこまで気を遣えるならそもそも濡れ鼠になってまでうちに来るなよ」

凛「じゃあ私も」

モバP「いやタクシーマジで待ってるから。渋谷は奈緒と一緒に帰れ」

凛「でも」

加蓮「親ももうすぐ来るみたいだからさ」

奈緒「そうだよ、凛。もうこれ以上はプロデューサーに悪いよ」

モバP「北条は責任持って親御さんに引き渡しとくよ」

凛「加蓮一人だと加蓮の親御さんが変な勘違いするんじゃ…」

加蓮「三人でプロデューサーのお宅にお邪魔してるのを、画像付きで連絡してあるから大丈夫だよ」

奈緒「じゃ、プロデューサーありがとうな。また明日事務所で」

凛「……お邪魔しました」

モバP「おう、気を付けて帰れよ。お釣りはなんか美味いもんでも食ってくれ」

奈緒「そんな、悪いよ」

モバP「いいからいいから、気にすんな」

奈緒「……色々ごめん、ありがとう」

凛「……ありがと」

ブロロロロロ…

モバP「はぁ…行ったな」

加蓮「寒いから早く部屋に戻ろうよ」

モバP「わかったから。引っ張るな。力意外と強いな…」

加蓮「寒いんだよ。風邪ひいちゃうよ」

モバP「どの口が」

加蓮「寒い日はプロデューサーの人肌で温めて貰うのが一番だよね」ぬくぬく

モバP「めっちゃ冷たいんだけど。もっかいシャワー浴びてこいよ」

加蓮「このプロデューサーから体温を奪ってる感じがいいんじゃん。プロデューサーの熱で生かされてるって感じで」

モバP「布団から肩出てるぞ。もっとちゃんと被れ」

加蓮「じゃあもっとぎゅっと抱き締めてよ?」ぎゅー

モバP「わかったわかった…おっぱいがめっちゃ冷たい」

加蓮「あはは、脂肪は冷えるからね」

モバP「三村も全身冷えっ冷えなのかな」

加蓮「かな子ちゃんはいつもこの季節は湯気出てるけど…そ・れ・よ・り」ぎゅっと握り締め

モバP「うぉっ!? デリケートなとこなんだからそこは」

加蓮「熱々じゃん…私と居るのに別の女の子の話をしちゃダメだよ」シコシコ

モバP「わかったから、出ちゃうから。親御さん来るんだろ?」

加蓮「えっ? 親なんか来ないよ?」さわさわ

モバP「えっ? だってライン送ってたじゃん」

加蓮「あれは私の別アカウントに送っただけだから」

モバP「なにその用意周到さ」

加蓮「私も知りたかったからさ。私達をペットにするのかどうか」シコシコ

モバP「手を動かすなよ…そんなことするわけないだろ」

加蓮「どうかな~? 実際に私には手を出してるしな~」シュッシュッシュッシュ

モバP「ちょ、もう出そ…」

加蓮「(ピタッ)あと、なんで奈緒だけ名前呼びなのかも気になってたし」手を止める

モバP「いや、それは…」

加蓮「プロデューサーとは、どこまで仲良くなったら名前呼びしてもらえるのかな…」先っぽの割れ目クリクリ

モバP「………」

加蓮「信じてるんだけどさ。やっぱりさ、不安になっちゃう時があるんだよね(ぎゅー)」プロデューサーに抱き着き

加蓮「拗らせたプロデューサーがさ、恥ずかしがってるだけだってのはわかってるんだけどね」

モバP「北条……」

加蓮「初めても貰ってくれないし。やっぱり私みたいな病気がちな子はダメなのかなって」

モバP「そんなことはない!」

加蓮「あはは、そんなおっきな声出さなくても聞こえてるよ。こんなに近くにいるんだから」ぎゅ

モバP「………ごめんな」ぎゅ

加蓮「謝って欲しいわけじゃないよ。ただ、なんでかなってさ」

モバP「……けじめというか…箍が外れないようにというか…」

加蓮「ここまでしてるのに?」

モバP「うぐっ」

加蓮「ふふっ…ごめんね、意地悪言って。プロデューサーが色々我慢してくれてるの、わかってるから」

モバP「…奈緒はさ、本当に友達って感じなんだよ。別に特別な意味は」

加蓮「(チュ…)わかってるから、今は他の女の子の名前は…」

モバP「…わかった」チュッ

(翌日)

凛「加蓮からプロデューサーの匂いがする」

加蓮「凛からもしてるじゃん」

奈緒「凛、お前シャンプー変えただろ」

凛「プロデューサーをいつも身近に感じたくてさ…ってそうじゃなくて」

加蓮「?」

凛「もっと濃厚な匂いがする」くんくん

加蓮「私、昨日家に帰ってからお風呂に入ったんだけど」

奈緒「うーん、いつもの加蓮の匂いだよなぁ」くんくん

加蓮「ちょっとやめてよ奈緒まで。やり返してやる」奈緒のポニテに鼻を突っ込んでくんくん

奈緒「うわっ、やめろよ! そこまでやってないだろ!?」

凛「奈緒はいつもの良い匂いだよ」奈緒に抱き着いてくんくん

奈緒「ヤメロォ!」

モバP「今日も姦しいな」

凛「おはよう、プロデューサー」

加蓮「おはよー」

奈緒「プロデューサー! こいつら止めてくれよ!」

モバP「おはようお前ら。俺も奈緒の匂いを嗅いでいいなら止めてやろう」

奈緒「なんでそうなるんだよ!」

加蓮「プロデューサー、昨日はありがとうね」

モバP「おう、気にすんな」

凛「プロデューサー、私、諦めてないから」

モバP「ああ、まあ俺ももうちょっとお前らとの距離を縮められるよう努力するよ」

凛「そうじゃなくて、ペットにしてもらうの」

モバP「二度と来るな」

加蓮「あはは」

奈緒「いいからもう離れろよ…」

加蓮「でもさ」

モバP「ん?」

加蓮「プロデューサーに三人ともペットにしてもらうの、結構アリだと思うんだよね」

奈緒「えっ?」

凛「そうだよ!」

モバP「は?」

加蓮「あ、でも、ちゃんと3人とも平等に愛してくれなきゃダメだからね? 他の子に取られるよりはさ」

モバP「……本気か?」

加蓮「あはは、どうだろうね~」

終わります

ご視聴ありがとうございました

前作と前々作も貼っておきます
男「スライムを拾ったのでペットにした」

男「ドライアドを拾ったのでペットにした」
男「ドライアドを拾ったのでペットにした」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1517364203/)

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