棟方愛海「クリスマスイブとプロデューサー」 (46)

・デレマスのSSです

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12月23日 夜の事務所

愛海「明日はクリスマスイブだねー、プロデューサー」
P「イブだなぁ」

愛海「ということは今年もあと1週間くらいで終わっちゃうね」

P「終わっちゃうなぁ」

愛海「思えばこの1年いろいろあったけど、あっという間だったね~」

P「ほんとになぁ。師走を肌で感じるよ」

愛海「プロデューサー。あたしね、この1年お仕事とか練習とかライブとかよく頑張ったと思うの」

P「確かによく頑張ったな」

愛海「でしょでしょ?」

愛海「それでねプロデューサー、ここからが本題なんだけど」

P「断る」

愛海「お願いがありまして……」

P「ダメだ」

愛海「まだ何も言ってないんだけど!?」


P「なんかそんな気がしてたよ! それに言わんでもだいたい分かるわ!」

愛海「えー!?」

P「どうせ『事務所のアイドルのお山に登る許可をください!』とかそんなとこだろ!」

愛海「……もしかして、プロデューサーってテレパシー使える? エスパー? サイキック?」

P「んなわけあるか」

愛海「いや、一言一句言おうとしたことと同じだったからもしかしてと……」

P「仮にテレパシー使えたとしても、この場面は使うまでもないわ」

愛海「まあ、わかってるなら話が早いね! お願いします!」

P「だからダメだと言ってるだろ!」

愛海「そこを何とか!」

P「ダメだ」

愛海「お願いだよ~! 許可をくれるだけでいいんだよ!?」

P「それだと俺も痛い目見ることになるだろ」

愛海「そこはさ……ねっ?」

P「ね? ってなんだよ……ダメったらダメだ」

愛海「あぁん……いけずー……」


愛海「……美少女からのお願いだよ? なんとかならない?」

P「なりません」

愛海「きゃるる~ん」

P「上目使いしても無理なものは無理だ」

愛海「むー。つれないなー」

P「そもそも俺の一存で決めれることじゃないだろう。諦めなさい」

愛海「そんなぁ……」


愛海「あぁ……あたしのお山ちゃんが……」

P「間違えてもお前のじゃないからな」

愛海「これじゃ仕事に支障が出ちゃうよ~……はぁ~……」


P「まったく……わかったわかった」

愛海「え、もしかしてほんとに許可をくれるの!?」

P「いや、それだけはない」

愛海「なんだー……」

P「その代わり、お山に登る以外のお願いならひとつだけ聞こうじゃないか」

愛海「……というのは?」

P「さっき愛海も言ったけど、愛海はこの1年ほんとによく頑張ったと思ってる」

P「明日は24日。良い子…………にはプレゼントをあげる日だろう?」

愛海「なんか間がなかった?」

P「気のせいだ。まあ、簡単に言うと俺からのクリスマスプレゼントだ」

愛海「ひとつだけ?」

P「ああ、ひとつだけだ」

愛海「ひとつだけ……ひとつだけ……」

P「あ、もちろん俺ができる範囲でお願いな」


愛海「……よしっ」

P「お、決まったか……ってずいぶん早いな。じっくり考えなくていいのか?」

愛海「いいのいいの」

P「そうか、ならいいんだが」

P「じゃあ、お願いの内容は?」

愛海「プロデューサー」

P「おう」


愛海「明日1日、あたしに付き合ってよ」


翌日 朝


愛海『明日の朝9時に駅前で集合だからね!』


P「というわけで、駅前にきております」

P「肝心の愛海はまだいないけど……」

P「それにしても、愛海のお願いが俺と買い物って……ほんとによかったのだろうか」

P「俺はてっきり、こう、法の抜け穴をかいくぐるみたいにお山についてのお願いをされるもんだとばかり思っていたが……」

P「まあ、面倒ごとに巻き込まれないのは良いことだな!」


P「……約束の9時になったか。愛海はまだいないようだし、のんびり待つとするかー」

???「あたしなら後ろだよ~♪」

P「うおっ!」

???「おはよっ、プロデューサー!朝からいいリアクションだねっ!」

P「まったく……いきなり後ろから声かけられたら誰でもびっくりするっての……」クルッ

愛海「うひひ♪」

P「……」

愛海「?」

P「……」

愛海「ん、急に無言になってどしたの? あたしの顔になんかついてる?」

P「……どなたですか?」

愛海「あたしだよ!?」

P「愛海……だよな?」

愛海「女の子のやわらか~いところが大好きな美少女アイドルの愛海ちゃんだよ?」

P「あ、うん、やっぱり愛海だ」

愛海「その納得の仕方はどうなの?」


P「いや~、すまんすまん。いつもと印象が違い過ぎて違和感がな」

愛海「違和感?」

P「その赤いメガネ、どうしたんだ?あ、もちろんいい意味での違和感だぞ?」

愛海「ああ、そういうことね。このメガネは『愛海ちゃんにぜひとも!』ってことで春菜さんからもらったんだよ」

P「ほー」

愛海「それで、最近はお出かけするときによくかけてるんだ~。変装も兼ねてね」

P「なるほどなぁ」

愛海「どう?」

P「ああ、すごく似合ってるよ」

愛海「うひひ♪」


P「というか、メガネばっかりに気をとられてたけど、全体的に印象が違うな」

愛海「といいますと?」

P「ロングスカート。愛海っていつも長くてもヒザくらいの丈のスカートだからとても新鮮だよ」

愛海「さっすが~、よく見てるねっ!」

P「まあな」

愛海「それで、感想は?」

P「ベージュのコートにブラウンのスカート、あとマフラーと手袋。冬って感じでとても似合ってると思うぞ」

愛海「うっひっひ……まあ、近所でかわいいと評判の愛海ちゃんですもの!このくらい着こなしますよ!」

P「今度の撮影は大人の可愛さ路線で……ありだな……」

愛海「おっ、いいね! やろやろ!」

P「……乗り気だな」

愛海「だって、そしたら女性ファンの目に留まるじゃない? 握手会とかで近づいてきたところを合法的に……じゅるっ……」

P「……しゃべらなければなぁ」

愛海「うぇへへ♪」


P「ところで、言われた通り駅前に来たけど、これからどうするんだ?」

愛海「そうだねー。ときにプロデューサー」

P「おう?」

愛海「最近ちゃんと休んでる?」

P「へ?休んで…………るよ?」

愛海「明らかに間があったね……それに、最後疑問形だったし」

P「……言われてみれば、ちゃんと休めてないかも」

愛海「でしょ? プロデューサーっていっつも仕事してるもん」

P「でもまあ、仕事は好きでやってるしなぁ」

愛海「好きなことでも適度に休まなきゃダメでしょ?」

P「うっ……おっしゃる通りです……」

愛海「最近体のどこかが痛いとかない?」

P「……最近は肩こりが気になります。あと背中とか腰とか足とか……」

愛海「それってつまり全部じゃん!」

P「はい……」

愛海「じゃあ、最初に行くとこは決まったね」

P「え?」

愛海「ついてきて!」グイッ

P「あ、おい引っ張るなって」


愛海「着いたよ! まずはこのお店!」

P「この建物は、えーと……マッサージ店?」

愛海「そう! マッサージ店!」

P「へぇ~、近場にこんな立派なマッサージ店があったんだな」

愛海「そだよ。あたしここ結構通ってるんだよね」

P「ほー、それは初耳だな。教えてくれればいいのに」

愛海「それは……プライベートですから♪」

P「なんだそりゃ」

愛海「まあまあ、それより早く入ろうよ」

P「それもそうだな、入るか」

愛海「それじゃあ、レッツゴー!」


愛海「じゃあ、あたしが受付してくるからプロデューサーはそこで待ってて」

P「なんか任せっきりで悪いな」

愛海「いーのいーの」


「すいませーん。棟方ですけどー」
「はい、お待ちしておりました」
「……じゃあ、ふたりともこのコースでお願いします!」
「かしこまりました。では、準備をいたしますので少々お待ちください」


愛海「受付終わったよ~」

P「おう、ありがとな。いや~、マッサージ店って初めてだから緊張するな~」

愛海「大丈夫大丈夫、基本は寝てるだけだし」
P「まあそれもそうか」

愛海「ここのマッサージほんと気持ちいいから、しっかり堪能してね!」

P「おっ、ちょっと楽しみになってきたぞ」


「棟方様とお連れ様。準備ができましたのでご案内いたします」


愛海「はーい!」

愛海「じゃあ、あたしはあっちだから一旦お別れだね。またあとでね!」

P「おう、じゃあまた終わったらな」


P「あぁ~~~~気持ちいい~~~~」

「お兄さん、相当凝ってますね~」

P「そうですか?」

「肩と腰なんてコンクリートをさわってるのかってくらいカチカチですよ?」

P「そんなにですか」

「ちゃんと休んでます?」

P「お恥ずかしながら、ほとんど……」

「たまには休まないとダメですよ?」

P「ははは、気を付けます……って今日はそう言って連れてこられたんだっけな」

「それって愛海ちゃんにですか?」

P「ええ、そうなんですよ」

「お兄さんって愛海ちゃんのお兄さんなんですか?」

P「えーっと……そんなところですかね」

「やっぱりですか!なんか似てるな~って思ってたんですよ~」

P「そうですか?」

「はい、顔とかじゃないんですけど、なんというか、雰囲気とか……」

P「そ、そうですか。ははは」


「それにしても、愛海ちゃんってかわいいですね~」

P「見た目はいいですよね」

「私もあんな妹が欲しかったですよ~」

P「結構手がかかりますよ?」

「ふふっ、なおさらかわいらしいじゃないですか」

P「そんなもんなんですかね」

「そんなもんですよ」

P「愛海ってこのお店ではどんな感じなんですか?」

「そうですね~……ちょっとした人気者、ですかね?」

P「人気者、ですか」

「ええ、愛海ちゃんがマッサージを受けに来たとき、誰が愛海ちゃんを担当するのか、とか軽い争いが起こるんですよ?」

P「おー、それはなかなか……愛海が迷惑かけたりとかはないです?」

「全然ないですよ! むしろありがたいくらいです。ロビーで待っているお客さんと楽しそうに話してくれたり……」

P「それはよかった」

「あ、でも」

P「なんか思い当たる節がありました?」

「い、いえ。たいしたことじゃないんですけど……」

P「遠慮なく言ってください、俺の方から注意しときますんで」

「なんというか、獲物を狙う獣のような目?をするときが……」

P「あー……うん。確かにお姉さん……立派なモノをお持ちで……」

「立派な?」タユンッ

P「あ、いえ。何でもないです。気にしないでください」

「は、はあ……」



ピピピピッ


「あ、30分経ちましたね」

P「……なにかあるんです?」

「交代の時間です」

P「交代? 1人がずっとってわけじゃないんですね」

「普段はそうなんですけどね、今日は特別メニューになっているので」

P「特別メニュー?」

「ふふっ、すぐにわかりますよ」

P「は、はあ……」

「では、向こうを向いて、うつ伏せになって少し待っててください」

P「わかりました」


ガラッ


???「失礼します。あ、向こうを向いたままで結構ですよ」

P「あ、はい。わかりました」

???「では、背中の方からやっていきますね~」

P「はい。お願いします」

???「では、失礼します」

P「あ、その前に一ついいですか?」

???「はい? なんでしょう?」

P「……なんでお前がマッサージする側にいるんだ?」

愛海「あ、バレちゃった?」


P「そりゃな。声でバレバレだ」

愛海「ふふふ! バレてしまってはしょうがないね!」

愛海「そう! あたしが、いま巷で噂のわきわき整体師、棟方愛海だよっ!」

P「初耳だよ。というか、わきわき整体師ってなんだ」

愛海「細かいことは気にしない気にしない♪」

P「まあいいが……というかしっかり整体師の制服着て準備満タンだなぁ」

愛海「まずは形からっていうじゃない?」

P「カメラとかないよな?」

愛海「あ、それは安心して。今日は完全なオフだから」

P「ならいいんだが」

愛海「それじゃあそろそろ始めるとしますかっ!」

P「おう、よろしくな」

愛海「じゃあ、まずは背中から……愛海ハンドの力を受けるがいい!」

P「……俺はいったいなにをされるんだ」

愛海「んっふっふ~♪」

P「あ、なんか嫌な予感が」

愛海「そ・れ・は……こういうことだよ! こちょこちょ~!」

P「あ、バカやめろ! くすぐったはははははっ!」

愛海「なに~? 聞こえない~」

P「や、ははっ! やめろってははははっ!」

愛海「そ~れ! ワキワキリフレッシュ~!」

P「おまっ……後で覚えとけよははははははっ!」

愛海「うっひっひ♪」


―――――――――
―――――
――

P「はぁ~~~~~~」

愛海「生き返る~~~~~~」

P「足湯まであるって最高だな~」

愛海「ここ、いい所でしょ?」

P「ああ、ほんといい所だ」


P・愛海「「はぁ~~~~~~」」


P「愛海が通うのも納得だな~」

愛海「お、プロデューサーも通っちゃう?」

P「それもいいかもな~」

愛海「一緒に通おうよ~」

P「そうだな~、まあ通うかは分からないけど、また来たいな~」

愛海「その時はあたしを呼んでね~」

P「おう、もちろん」


P・愛海「「はぁ~~~~~~」」


P「それにしても、愛海のマッサージもなかなか気持ちよかったぞ」

愛海「ほんとっ?」

P「ああ、センスあるんじゃないか?」

愛海「えへへっ。実は、基礎とか基本のことは教えてもらってたんだよね」

P「へー、えらく気合入ってるな」

愛海「通ってるうちに、自分もできるようになったら便利かな~って思ってね」

P「そういう向上心は大事だな。えらいぞ」

愛海「あと、応用としてお山登りにも使えそうだし」

P「……そっちが本心だろ」

愛海「……うひっ♪」

P「ほどほどにしろよ? 最初にマッサージしてくれたお姉さんも、たまに怖い目してくるって言ってたぞ」

愛海「……まじ?」

P「まじまじ」

愛海「プロデューサーが愛梨さんとか雫さんとかを見るときにする目ってこと?」

P「ブフッ!!!」

愛海「うわっ!」


P「ゲホッ!ゲホッ!」

愛海「ビックリしたぁ。だ、大丈夫?」

P「おう、ちょっとむせただけだけだから問題ない……」

愛海「それならいいけど」

P「それより……まじ?」

愛海「まじまじ」

P「俺いつもそういう目してる?」

愛海「いつもってわけじゃないけどね」

P「まじかー……」

愛海「女の子ってそういうの結構わかるもんなんだよ?」

P「お互い気を付けような……」

愛海「そうだねー……」


P「あ~スッキリした~」

愛海「あたしも~」

P「体が軽い!」

愛海「あたしも指の調子が絶好調だよ!」

P「やっぱたまには休まないとだな!」

愛海「そーだよ。疲れは蓄積するものなんだから、どこかでその溜まった疲れを取り除かないとね」

P「まったくもってその通り。よくわかったよ」

愛海「あ、肩もみくらいならいつでもしてあげるよ?」

P「お、じゃあまた今度お願いしようかな」

愛海「うひひっ、わきわき整体師の棟方愛海におまかせあれ♪」

P「わきわき整体師……あっ! そうだ! さっきはよくも動けないのをいいことにくすぐってくれたな!」

愛海「あ、覚えてた?」

P「さっき思い出した」

愛海「そのまま忘れててよかったのに」

P「さて、どうしてくれようか……」

愛海「きゃー! プロデューサーに襲われるー!」

P「あ、おい! 外で襲われるとか叫ぶな!」

愛海「逃げろー!」ダッ

P「あ、こらまて! 逃げるな!」ダッ


P「……捕まえた」

愛海「捕まっちゃった~」プラーン

P「まったく、街中でいきなり走り出すなよ。危ないだろ」

愛海「えへへ、ごめんなさい」

P「まあいい、それよりこれからどうするんだ?」

愛海「これから?」

P「次はどこへ行くとかあるのか?」

愛海「あ、そういうこと。そうだねー、プロデューサーおなかすいてこない?」

P「実は結構」

愛海「というわけで、まずはお昼にしよう!」

P「賛成~。場所とかは決めてるのか?」

愛海「この通りを抜けたところにショッピングモールあるじゃん? あそこの喫茶店にしようと思うの」

P「ああ、あの大きいショッピングモールか?」

愛海「そうそう、あそこの喫茶店のシフォンケーキがふわふわでおいしいらしいんだよね~♪」

P「よし、じゃあ行くか!」

愛海「いこいこ!」


―――――――――
―――――
――

店員「……お待たせしました。こちら、シフォンケーキのセットとカツバーガーのセットです。ご注文の品は以上でよろしかったでしょうか?」

P「はい、大丈夫です」

店員「ごゆっくりどうぞ~」

愛海「お姉さん、ありがとー」

店員「はい♪ では失礼します」


P「よし、それじゃ頂くとするか」

愛海「食べよ食べよ! もうお腹ペコペコだよぉ」

P「それじゃ」

P・愛海「「いただきまーす!」」


P「うん、うまい!」

愛海「おいし~♪ それにこの感触! ふわっふわ~♪」プニプニ

P「あっこら、食べ物をわきわきするのはやめなさい」

愛海「え~、こんなにやわらかいものを指で堪能しない方が失礼ってもんだよ?」プニプニ

P「そんなわけあるか。はい、お行儀悪いからやめたやめた」

愛海「ちぇ~。じゃあお口の中でわきわきするよ」

P「そうしなさい」


愛海「でも、ほんとふわふわだよ? プロデューサー食べてみる?」

P「うーん、じゃあ一口もらおうかな」

愛海「はい、あーん」

P「あーん……うわっ柔らかい」

愛海「でしょ~?」

P「これは、触りたくなる気持ちも分かるな……」

愛海「じゃあ、わきわきしても?」

P「それとこれとは別、ダメったらダメだ」

愛海「あぁん……プロデューサーのけちー……」


P「それにしてもおいしいな、このカツバーガー」

愛海「確かに、おいしそうに食べてるね」

P「食べてみるか?」

愛海「わーい!」

P「ほい」

愛海「ハムッ……ん! や、やわらかい! パンももちろんだけど、カツも噛んだ瞬間口の中でとろける~♪」

愛海「カツバーガー……見た目では想像できないほどのやわらかさを持った食べ物だね……恐るべし」

P「気に入ったみたいだな。なんなら欲しい分だけあげるぞ?」

愛海「いや、いいよ。それだとプロデューサーの分が少なくなるでしょ?」

P「俺は大丈夫だぞ?」

愛海「それはあたしがダメなの。プロデューサーには幸せ太りして欲しいって思ってるからね」

P「幸せ太り……幸せ太りねぇ……そういえば、最近お腹周りが出てきたなぁ……」

愛海「お、いい兆候だね! そのままでいいよ!」

P「いやだー! だらしないー!」

愛海「はい、プロデューサー。あーん♪」

P「この流れでシフォンケーキを口に運んでくるな!」

愛海「うっひっひ♪」



愛海・P「「ごちそうさまでした!」」



P「ふぅ、食った食った」

愛海「あたしも~♪」

P「食後のコーヒーまで完璧だったな……非の打ち所がない喫茶店だった」

愛海「どうかーん。はぁ~、満足満足♪」

P「ご機嫌だな」

愛海「うん! やわらか成分をしっかり補充できたからね~♪」

P「基準はそこなんだな」

愛海「もっちろん!」

P「まあ、愛海が満足してるならいいか」

愛海「うひひ♪」


P「よし、じゃあそろそろ動くか」

愛海「そうだね~」

P「……の前に、次はどうするんだ?」

愛海「次はこのショッピングモールを回ろうかな~って」

P「そうか。具体的には?」

愛海「そこは考えてないよ~。プロデューサーは何か買いたいものとかある?」

P「なんかあったかなぁ」

愛海「ココ広いし、だいたいのものはあると思うよ」

P「うーん……なにかあったかなぁ」

愛海「じゃあ、先にあたしの行きたいところ行っていい?」

P「もちろん。むしろ今日はその為に来たんだろ?」

愛海「……そうだね! じゃあ、その間にプロデューサーはどこか行きたいとこ考えといてね!」

P「わかった」

愛海「それじゃあ、レッツゴー!」


愛海「まずはここ! 雑貨コーナー!」

P「ピンクで女子力の高そうなお店だな。何買うんだ?」

愛海「明日はクリスマス! そこで愛海サンタのお仕事ですよ!」

P「なるほど。アクセサリーとかをちびっこに配るんだな」

愛海「そう! そして、借りを作ってのちのちの交渉材料に……うぇへへ♪」

P「邪なサンタだなぁ」


愛海「次は本屋!」

P「おー、うちの雑誌がしっかり並んでる」

愛海「あっ! あたしの雑誌もある!」

P「こういうのはいつ見てもうれしいもんだなぁ」

愛海「そうだねぇ」

P「で、愛海の目当ての本は何なんだ?」

愛海「今日発売の新刊だよ~」

P「ちなみに何の本なんだ?」

愛海「登山のための情報収集、あと目の保養……かな」

P「だいたいわかった」


愛海「お次はゲームセンター!」

P「ゲーセンなんて久々に来たよ。今ってこんな風になってるんだな」

愛海「それは好都合! さあ、思う存分遊ぼう!」

P「おう!」


【クレーンゲーム】

愛海「あぁん! 全然取れない!」

P「今のアームってこんなに弱いんだなぁ」

愛海「ここは、こんなにやわらかタッチじゃなくていいよぉ~……」


【プリクラ】

愛海「はじまるよ~」

P「あっ、まだ準備出来てな……」

カシャッ

愛海「あははっ! プロデューサー変な顔~!」

P「笑うなって、プリクラなんてほとんどしたことないんだから」

愛海「ごめんごめん……ぷっ」

P「あー! また笑った!」

愛海「あははは!」


【音ゲー】

愛海「ほっ! ほっ!」タンッタンッ

800コンボ!
900コンボ!
1000コンボ!

P「なにしてるかさっぱり分からんが、すごいってことは分かる!」


P「ふぅ、遊んだ遊んだ」

愛海「いい運動だった~」

P「いや~、愛海に音ゲーの才能があるとはな」

愛海「ふっふっふ、なんてったってあたしの趣味は指の運動だからね!このくらいお手の物ですよ!」

P「またその方向の仕事でも検討してみるかな」

愛海「それで、プロデューサー。なにか行きたいところとか買いたいものとかあった?」

P「……そういえばそんな話だったな」

愛海「え~! しっかりしてよ~!」

P「すまん、すっかり忘れてた」

愛海「あたしの行きたいところは行き尽くしたよ?」

P「そうだなぁ……欲しいものかー……おっ」

愛海「おっ?」


家具屋

愛海「おー! 丸いのから四角まで、やわらかそうなものがいろいろあるー!」

P「クッション選びなんかで悪いな。ちょうど数日前に壊れたんだよ」

愛海「とんでもない! クッション選びにあたしほどの適役はいないよ!」

P「ほう?」

愛海「普段からやわらかーいものを探求しているあたしは、もはや、やわらかいものマイスターだよ!」

P「やわらかいものマイスター」

愛海「任せておいて! 絶対プロデューサーの好みに合ったクッションを選んでみせるから!」

P「そりゃ頼もしい」

愛海「誰くらいの感触がいい?」

P「誰くらい?」

愛海「アタシのおすすめは菜帆さんかなぁ~」

P「そういう事かよ! 知らねぇよ!」

愛海「菜帆さんってすごいんだよ。すべてを包み込んでくれるかのような錯覚に陥るんだよ」

P「あーちくしょう! 俺も味わってみたいなその錯覚!」


愛海「……」ムニムニ

愛海「これどう?」

P「お、なかなか良い感じ」ムニムニ

愛海「これは早苗さんね」

P「……」



愛海「……」フニフニ

愛海「こっちはどう?」

P「おお、これもなかなか」フニフニ

愛海「これは真奈美さんね」

P「……」



愛海「……」モミモミ

愛海「じゃあ次はこれ」

P「これもいいな~」モミモミ

愛海「これは菜々さんだね」



P「全部ほしくなるからクッションをアイドルで例えるのやめて」

愛海「それにしても、あれだね~」

P「あれ?」

愛海「いやさ、家具屋に一緒に来るって家族みたいだなーって思って」

P「家族、か……そういえば、さっきマッサージしてくれた店員さんが、俺達が兄弟に見えるって言ってたっけな」

愛海「それって、あたしがお姉ちゃんでプロデューサーが弟ってこと?」

P「んなわけあるかい。逆だ逆」

愛海「うひひっ。そっかー、プロデューサーがお兄ちゃんかー」

P「お、今のお兄ちゃんっていいな」

愛海「お兄ちゃん?」

P「あ、もう一回言って」

愛海「えへへっ、おにーちゃん♪」

P「うおっ……これはなかなかの破壊力……」

愛海「あのねおにーちゃん、愛海ねー、欲しいものがあるんだー!」

P「なんだい? かわいい妹よ。お兄ちゃんが何でも買ってあげるぞ」

愛海「ほんと!? じゃあ、ここから向こうまでのクッションぜーんぶ買って欲しいな~!」

P「ぜ、全部!? それはちょっと厳しいかなー……」

愛海「……だめ?」

P「ああ、お安い御用だ!」

愛海「やったー! おにーちゃんだーいすき!」

P「はっはっは、かわいい妹のためならこれくらい当たり前だろう?」

愛海「じゃあ、向こうに立ってる店員さんのお山も欲しいなー!」

P「まかせ……ってそれは流石にダメだ」ペシッ

愛海「あうっ」


「ありがとうございましたー!」


P「ふぅ、無事に買えたな」

愛海「そうだね~」

P「手伝ってくれてありがとな」

愛海「どういたしまして~。それより、あたしもクッション買ってもらったけどよかったの?」

P「ああ、手伝ってくれたお礼ってことで。さすがに全部は無理だったから1つだけど」

愛海「十分だよ、ありがたく使わせてもらうね。うひひ♪」

P「おう、大事にな」

愛海「うん、大事にするね! この菜々さん!」

P「ブフッ!!!」

愛海「そっか~。プロデューサー好みのやわらかさは菜々さんくらいだったか~」

P「その言い方はやめろ!」

愛海「えへへ~、やわらか~い」モミモミ

P「わざとらしく揉むな!」

愛海「はっ! プロデューサーも同じものだから、右と左で菜々さんを分け合って……」

P「やめろって! 次言ったら怒るぞ!」

愛海「は~い♪」

P「まったく……」

愛海「お揃い……えへへ♪」モミモミ


愛海「……は~♪ 遊んだ遊んだ」

P「つ、疲れた~……」

愛海「大丈夫?」

P「ああ、なんとか……最初にマッサージ受けてなかったら危なかった……」

愛海「最初に受けといて正解だったねっ」

P「ほんとにな。今は……19時、すっかり日が沈んだな」

愛海「夜だねぇ」

P「そろそろ帰るか」

愛海「そうだね~」


帰り道


P「お、イルミネーションだ」

愛海「ほんとだ~。きれいだねぇ」

P「こういうのを見るとクリスマス本番って感じがするな」

愛海「そうだね~」

愛海「……ねえプロデューサー、ちょっとそこのベンチに座らない?」

P「おう、いいぞ」

愛海「うひひっ」


P「よっこいしょっと」

P「やっぱこの時間の外は寒いな……もっと厚着してくればよかった」

愛海「大丈夫? カイロいる?」

P「いいのか? 愛海の分は?」

愛海「ふっふっふ、登山家っていうのは手が命だからね! カイロの予備くらいいっぱいありますとも!」

P「じゃあ、お言葉に甘えてひとつもらおうかな」

愛海「うっひっひ。はい、どーぞ」

P「ありがとな……あぁ、あったかい……」

愛海「いーのいーの。困ったときはお互い様だよ」


愛海「それにしても、クッションってすごいよね~。ふんわり包み込んでくれるの」

P「唐突だな」

愛海「今日買ってもらったクッションを見て、ふとね」

P「そうだな~。俺も仕事で辛いことがあった時とかは、顔をうずめたりしてるよ」

愛海「癒されるよね~」

P「ああ、暗い気持ちも軽くなる」

愛海「ほんとこのやわらかさには尊敬するよ」

P「じゃあ、クッションアイドルになるか?」

愛海「それもいいかもね~」

P「いいのか……」

愛海「冗談だった?」

P「おう。そのつもりだったが」

愛海「あたしは結構本気だよ?」

P「え?」


愛海「クッションそのもの……ってわけじゃないけど、クッションみたいなアイドルになれたらいいなって思ってるよ」

P「というのは?」

愛海「クッション……やわらかいものって、強くしすぎると潰れちゃうじゃない?」

P「そうだな。適度な力で扱わないと破れちゃったりするもんな」

愛海「そう!だから、優しいタッチが大事なんだよ。それがお互い一番気持ち良くて、最高のコミュニケーションなんだよ」

P「ほう」

愛海「あたしね。アイドルをしてきて、人の心もやわらかいんじゃないかなぁって思ったんだ」

P「人の心……」

愛海「だって、触れてると気持ちがいいし、幸せになれるもんっ!」

P「……」

愛海「女の子といっぱいお友達になれるって理由でアイドル始めたあたしだけど、今は老若男女問わず1人でも多くの人に喜んでもらいたいって思ってる
の!」

愛海「女の子のお山もいいけど、それと同じくらい、ファンのみんなの心もやさしくわし掴みにしたいんだ!」

愛海「そう思うようになったきっかけを作ってくれたプロデューサーには感謝してるんだよ?」

P「……」

愛海「ってことなんだけど、プロデューサー?」

P「愛海……」

愛海「は、はい」

P「立派になって……ウウッ……」

愛海「泣いてる!?」

P「ウウッ……すまん……でもうれしくて……グスッ……」

愛海「ほら! ここ外だから! 人が見てるから!」


愛海「落ち着いた?」

P「ああ、おかげさまで」

愛海「いきなり泣き出すからびっくりしたよぉ」

P「ホント申し訳ない。歳をとると涙もろくなってダメだな」

愛海「まあちょっとうれしかったけどね」

愛海「じゃあ、言いたいことも言ったし、帰るとしますか!」

P「そうだな」

愛海「プロデューサー、今日は1日付き合ってくれてありがとっ!」

P「おう、こちらこそ楽しかったぞ。ありがとな」

愛海「また明日からもよろしくねっ♪」

P「おう、来年はこれまで以上に仕事入れるから忙しくなるぞ」

愛海「うへー」

P「さっきまでの意気込みはどうした」

愛海「もちろんありますとも! ファンが喜ぶ姿を想像しただけできつ~い仕事や練習なんてなんのその! なんだって乗り越えれますよ!」

P「よし! その意気だ!」

愛海「うおー! なんだかやる気出てきたー! プロデューサー! 早く仕事持ってきて!」

P「おう! とっておきの仕事を持ってくるから待ってろよ!」

愛海「あたしたちの活躍はこれからだ!」

P「……なんかそれだと打ち切られそうだな」

愛海「うひひっ! じゃあ、打ち切られないように頑張ろうね、プロデューサー♪」


~終~


以上です!
ありがとうございました!

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