ザ・チンポ (30)
チンポ、という名の少女がいた。
彼女は北パキスタンの山間にある寒村に生まれた。
末娘なので、いつも長女と次女からいじめを受けていた。
寒村にはテレビやゲームなど娯楽が全くなく、いじめくらいしか遊びがなかったのである。
今日も、チンポが石灰で白く濁った川から洗濯を終えて戻ると、二人の姉が柳で作った鞭を構えて待っていた。
事情を問う暇もなく、鞭がうなりながらチンポの小さな背を打った。
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やめて下さい助けてください、砂利だらけの乾いた髪を振り乱して、チンポは赦しを乞うた。
しかし、姉達の鞭を振るう手は止まらなかった。麻の服が破れ、露わとなった小麦色の肌に赤い線が一本、また一本と増えていく。チンポは耐え難い痛みと恐怖と絶望に圧し潰され、遂に気を失ってしまった。即座に冷たい井戸水が浴びせられ、恐ろしい拷問が再開される。
もはや妹を妹と思わぬ所業。二人の姉は無間地獄へ堕ちるであろう。そんな風に呪ってみても、余計傷跡が痛むだけであった。
真夜中、チンポは便所から出て月を見上げた。ああ、月の煌々たるや何と儚げであることか! チンポの両眼から、大粒の涙が滂沱として流れ落ちた。チンポは孤独だった。
便所に戻ったチンポは、怪しげな男が便器に腰掛けているのを見た。それも左脚を右脚に組んだ状態で。つまり、なかなか偉そうな体勢だったのである。男は頭に巨大なターバンを巻いていた。
目を凝らさねば、人の身体を得たヤドカリのようにも見えた。
男は口元に微笑みを浮かべた。彼はズボンを下着ごとずり下ろした。男の一物はナンガパルバット(パキスタンの山。標高8126m)のように雄々しくそそり立っていた。
チンポは、生命の神秘を垣間見た気がした。
同時に、その活力に満ち溢れた神秘を自らの体内へと取り込みたい、合体してそのまま融合したい気分になった。
すなわち、チンポは興奮していた。
男は誘うように上着を脱いで、便所の外に打ち捨てた。折しも、ランタンを持った次女が便所のそばを通りかかった。
男物の服が落ちていたら、怪しむに違いない。
チンポは両手で口から飛び出そうな悲鳴を抑えて、外の様子を窺った。次女は特に気に留めることもなく、男の服を素通りしていった。
まるで、見えていないかのように。
チンポは目を丸くして、後ろを振り返った。
全裸の男がしたり顔で便器に座っている。
彼女は全てを悟った。
どこにもいないのだ、この男は。人類の思考の範疇を超えた、形而上学的な存在なのだ。
そうでなければ、人前で衣服を躊躇いもなく脱ぎ捨てられるわけがない。そして、姉が捨てられた衣服を素通りできるわけがない。
もちろん、チンポは形而上学という言葉など知らないが、脳は知らなくても心は知っていた。それは先天的なものであり、まさしくGrace of God(神の恩寵)。
彼女は破れた服のポケットに手を入れた。真鍮製の十字架を取り出す。イスラム圏において、キリスト教を信奉することは異端極まりない。
小さな村社会なら、排除されるのは火を見るよりも明らかだった。姉が彼女をいじめるのも、異教徒だという疎外感から来るものが大きい。
チンポはますます男に対して興味を抱いた。
チンポは男に手を伸ばした。明かりが全くなかったので、どこに何があるのか己の触覚を頼りにせねばならなかった。
彼女の動きに呼応するかのように、男も便器から立ち上がった。まるで嘆きの壁で再会した親子がそうするように、男とチンポは固く抱き合った。赤の他人に抱きしめられて彼女は一瞬だけ身体を強張らせたものの、すぐにだらりと両腕を垂らしてされるがままになった。
祭壇に供えられる山羊の死体の気持ちが、少しだけ分かったような気がした。私はこれから、この男に……いや、神(推測に過ぎないが)に犯される。しかし、不思議と恐怖は感じなかった。本当に神と交わることができるなら、それ以上の喜びなど存在し得なかったからだ。
彼の瞳を覗き込む。やはりそうだ。獣性(ビーストセルフ)を感じ取れない。きっと、優しく包み込んでくれるはず。かつてラホールの教会で見た『システィーナの聖母』みたいに。
男の生暖かい吐息が、チンポの耳に直に吹きかけられた。くすぐったくて身を捩るも、彼は決して離すまいとさらに強く彼女を抱きしめる。
暗闇の中で、チンポと名も知らぬ男はしばらく見つめ合った。そこで初めて、男の瞳に野獣特有の鋭い光が閃いた。強烈な眼光を浴びて、神威に打たれたかの如く縮こまるチンポ。
彼女の不安を抑え込むように、男は優しく、また乱暴に自分の唇をチンポの唇へ重ねた。
男の唇は容易に離れようとしなかった。蛇のようにのたうつ真っ赤な舌でチンポの口を巧みにこじ開け、粘液にまみれた口内へ滑り込む。男の唾と彼女の唾が混じり合う。
この時点で、既にチンポは自分が犯されているような錯覚に陥った。興奮で顔が薔薇色に染まり、鼻息が荒くなる。男の肩を掴む手に力がこもる。
怪しげな男は首に回した手を徐々に下へとずらしていった。5本の指は蜘蛛足の如く自在に蠢きながら、なだらかな褐色の丘陵を登っていく。その丘陵は柔らかく熱を持っていて、頂上の出っ張りを押すたびにピクリと震えた。
ちょうど月の光が便所内に差し込み、快楽に悶えるチンポの顔を照らし出した。彼女の唇は唾液で艶やかに輝いていた。おそらく、彼女の口内では二つの肉が淫らに絡み合い、弾き合い、愛撫し合っているのだろう。もはや、チンポの脳内には獣性(ビーストセルフ)しか残っていなかった。
早く自らの閨に男の駿馬を招き入れたい。そのまま寝台も鏡も絹のカーテンも全て滅茶苦茶に壊されたい。そして肉体のみならず魂までも溶けて男と融合したい。
彼女の股下に染みができた。閨から溢れた粘液の雫が、ぽたぽたと地面に落ちているのである。男は、無駄のない動きでチンポの股間に顔を埋めた。
ああ、とチンポは喘ぎ声をあげた。今まで自分が出してきたどんな声よりも淫らな響きがこもっている。
11 :名無し :2017/06/08(木)23:54:43 ID:Xli(主)
やっぱり童貞に官能小説はキツかったよ……
>>10
よく分かったな
男がどんな人間であろうと、チンポは男の妻になることを決めていた。彼なら、自分を途端の苦しみから救い出してくれる。彼について行けば、光を見ることができる。
だからこそ、身体を許したのだ。場の空気に流され、なしくずしに契りを交わしたわけではない。
男の駿馬が小さな閨に押しいった。熱いものが、身体の中に入ってくる。膜が破れる。鋭い痛みが局所を襲う。彼女は歯を食いしばり、痛みを堪えた。駿馬は包み込む肉圧に負けず、前へ後ろへ跛行する。駿馬の口から唾液が飛ぶ。透明な唾液は血と混ざり合い、壁に染み込んでいく。
駿馬が白い液体を吐き出した。瞬間、閨は大きく縮み上がり、粘り気のある液体は奥の暗闇へ流れていった。
事は済んだ。男とチンポの間に言葉はない。
長い夜が終わった。チンポには短いようにも感じられた。
東の尾根から、朝陽が顔を見せていた。
翌朝、川で髪を洗っていると、二人の姉が柳で作った鞭を携え近づいてきた。チンポは反射的に腰を低くした。もしや、昨夜の交合を見られていたのか。あれは、なるべくしてなったことだ。二人に自分と男の仲をとやかく言われる筋合いはない。
長女がチンポの右腕を強かに打ち据えた。右腕を抑えてうずくまるチンポ。左手の掌に、べっとりと赤い血がついていた。
どうやら、洗濯物を干すのを忘れていたらしい。おかげで長女二人は、水洗いしたばかりの湿った服を着なければならなくなったという。チンポは胸のすく思いで姉を見つめた。自分より醜い姉達。まだ男を知らない、未熟な姉達。
ひくつく陰部をねぶる優しい舌先も、乳房を揉みしだく荒々しい手も、身体の中に熱い精液が放たれる快感も知らない。自分だけが大人だ。大人の女なのだ。
そして自分を女にしてくれたターバンの男。彼の子を絶対に産む。産んで一人前に育てる。それが彼に対する自分ができる、最大の恩返しであった。
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