希「え?嘘やろ?ロシアに帰る?」 (38)

絵里「そうなの…」

希「そんな…どうして?」

絵里「家庭の事情でね」

希「じゃあ…じゃあ…μ’sはどうするん?」

絵里「抜ける事になるわ」

希「…えりちはそれでいいの?」

絵里「仕方ないわよ」

希「ウチは納得出来ない」

絵里「え?」

希「納得出来んよ。えりちがロシアに帰るなんてウチは嫌や」

絵里「だ、だって…仕方ないじゃない。大人が決めた事なんだから」

希「だからって」

絵里「そんな事言ったって…」

希「もう…ウチ、今日は帰る」

絵里「ちょっと…希?帰るって………どうするのよ…これ」

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~3日前~

穂乃果「え?テレビの特番?」

スタッフ「はい。今話題のスクールアイドルがメインの特番なんです」

絵里「それをμ’sが?」

スタッフ「はい」

理事長「どう?受ける気はある?もちろん、学業に差し支えないのが条件だけど」

絵里「どんな事をするんですか?」

スタッフ「μ’sはですね…ドッキリです」

絵里「ドッキリ?」

スタッフ「はい。シナリオはもうこちらの方で考えてありますので後は仕掛け人とターゲットを決めてですね」

絵里「なるほど。穂乃果、どうする?」

穂乃果「ん~……ドッキリって騙すんだよね?大丈夫かな?」

絵里「そうよねぇ」

スタッフ「内容の酷いものにはしません」

穂乃果「なら、いっか?」

スタッフ「それではですね…」

絵里「という事で私が仕掛け人に決まったんだけど」

にこ「なるほど。それで?希が居ないって事は…」

穂乃果「うん。希ちゃんがターゲットだよ」

凛「希ちゃんが?どうして希ちゃんなの?」

絵里「希は…ほら?どっちかって言うと普段仕掛ける側の人間じゃない?だから、たまにはと思って」

にこ「確かに。面白そうね」

ことり「で、でも大丈夫かな?」

穂乃果「何が?」

ことり「相手は希ちゃんだし…上手くいくかな?」

真姫「そうね。一筋縄じゃいかないでしょうね」

海未「そもそも、私は人を騙す様な事は」

花陽「そうだよね。希ちゃん、可哀想だよね」

にこ「何を固い事言ってるのよ。テレビなんだし少しくらいは。それで?内容はどうなの?」

絵里「私がロシアに帰る事になったって希事にするのよ」

穂乃果「絵里ちゃんが伝えた二日後に学校でライブをやってそこでネタバラシだって」

にこ「でも、急にライブやるってなって怪しまれないの?」

絵里「いえ、すんなりと受け入れたわよ?」

凛「もう言ったの?」

絵里「ライブをやる事とMCを私と希の二人でやるって事は伝えてあるわ」

にこ「じゃあ、後は絵里がロシアに帰るって伝えるだけなのね?」

絵里「そうなるわね」

海未「いつ伝えるのですか?」

絵里「三日後の予定よ」

にこ「へ~三日後ねぇ。反応が楽しみね」

絵里「ええ」

海未「本当に大丈夫でしょうか?」

~現在~

にこ「希…帰っちゃったわね」

絵里「まさか…あんな反応をするとは」

穂乃果「ね?意外だったよね。怒って帰るとは…」

海未「だから、やめようと言ったではありませんか」

穂乃果「で、でも明日になれば冷静に…なってるかな?」

凛「なってると良いね」

次の日

絵里「………」

希「………」

絵里「あの…希?」

希「………」

絵里「あの…」

希「……さて、ウチは屋上に行こうかな」

絵里「………」

ガチャ

穂乃果「まだ、怒ってるみたいだね…」

海未「よっぽどショックだったんでしょう」

花陽「なんか…物凄く悪い事をしてる気分だよ」

絵里「でも…企画ももうスタートしちゃってるし今更やめるなんて言えないわ」

にこ「ライブまでこの空気に耐えるのね」

~屋上~

海未「では、ペアになって下さい」

凛「かよちん~一緒にやろ~」

花陽「う、うん」

にこ「何よ?にことやりたいの?」

真姫「そんな事言った覚えないわよ」

絵里「あっ…希…」

希「海未ちゃん、一緒にやろう?」

海未「え?し、しかし…」

絵里「……」

希「いいから」

海未「希……」

穂乃果「絵里ちゃん…三人でやろうか?」

ことり「うん。そうしよう」

絵里「え、ええ…」

穂乃果「あのさ…」

絵里「…何?」

穂乃果「やめる?」

絵里「そう言う訳には…いかないわよ」

穂乃果「でもさ…」

絵里「大丈夫よ。明後日にはネタバラシなんだし…それに希は…」

希「ウチがどうかした?」

絵里「え?いや…」

希「そう…」

絵里「ええ…」

穂乃果「うわぁ…見てるこっちも辛いね…」

カァ カァ

凛「疲れたにゃ~」

にこ「もうすっかり暗くなっちゃったわね」

海未「そうですね。早く帰りましょう」

絵里「あの…希?この後、一緒にパフェでも…」

希「ごめん。無理」

絵里「そ、そう…そうよね。もう、暗いものね」

希「そう言う訳やないけど」

絵里「……」

穂乃果「絵里ちゃん…」

絵里「さ、さてと…それじゃあ、真っ直ぐ帰りましょう」

希「……」

絵里「……」

絵里「それじゃあ…私はこっちだから…」

穂乃果「うん。また明日」

凛「じゃあね~」

希「……」

絵里「希も…サヨナラ」

希「ウチは嫌やけどな」ボソ

絵里「希……」

希「さっ、行こ」

穂乃果「え?う、うん…」

絵里「……」

絵里「はあ…ドッキリなんて簡単に引き受けるんじゃなかった。まさか、こんなに辛いとは……」

トボトボ

絵里「だって…希があんな事言うなんて思わないじゃない……」

トボトボ

絵里「もし、希がどこか遠くへ行く事になったって私は……離れてたってずっと親友だって…言うのに…」

穂乃果「ね、ねえねえ?」

海未「どうしたのです?」

ことり「何かあったの?」

穂乃果「いや…ほら?絵里ちゃんと希ちゃん…大丈夫かな?」

海未「心配ですか?」

穂乃果「だって、希ちゃんの反応が予想外だったし。ネタバラシしても希ちゃんが怒ったままだったら…」

海未「穂乃果らしいですね」

ことり「そうだね」

穂乃果「え?どう言う事?」

海未「いえ…別に」

ネタバラシ当日 控え室

絵里「……」

希「……」

穂乃果「うわぁ…会話が…ない…」

凛「凄い緊張感だね。全部知ってる凛もちょっとここには居づらいにゃ」

にこ「そうね。全部知っててもこの空気は嫌ね」

絵里「……」

希「……」

真姫「絵里?希?次は二人のMCだから。舞台袖で準備して…」

絵里「え、ええ…」

希「はーい…」

穂乃果「大丈夫かな?」

絵里「あ…あの…希?どうしましょうか?」

希「……いつも通りでいいんやない?」

絵里「そ、そうね。いつ通りね…」

絵里「………」

希「………」

絵里「はあ……」

パチパチパチパチ

絵里「えっ…もう?まだ心の準備が……」

パチパチパチパチ

希「イェーイ。どうも~」

絵里「………」

希「希パワーたっぷり注入。ハイ、プシュー」

絵里「い、頂きました~」

ワァァァァ

絵里「賢い可愛い?」

希「エリーチカァァァァ」

ワァァァァ

絵里「ありがとうございます」


穂乃果「絵里ちゃん…声が小ちゃいね」

にこ「そうね。明らかに無理して元気に振舞ってる感が出てるわね」

希「いやぁ、えりち。ファンの皆んながこんなに来てくれて感謝やなぁ」

絵里「そ、そうね。今日は最後まで楽しんで言ってくださいね」

希「でも、皆さん。今日はラッキーですよ。ね、えりち?」

絵里「え?」

希「実はですね…三日くらい前やったかな?急にえりちから両親の居るロシアに帰るって話を聞かされたんです」

絵里「…」

希「まあ、聞かされた時はびっくりしましたよ」

絵里「…」


穂乃果「え?希ちゃん?え?」

希「まあ、えりちとはμ’sに入る前からの付き合いなんです」

絵里「……」

希「ウチにとって初めて出来た友達で、今でこそこんな感じですけど当時のえりちはま~とっつきにくかったんですよ」

絵里「……」

希「ぜ~んぜん、冗談とかも通じなくって。まあ、でもウチも初めての友達で上手く冗談を言えてなかったのかもしれないですけど」

絵里「……」

希「だから、えりちと過ごす日々は初めてな事ばっかりだったんですよ」

絵里「……」

希「これ、ウチが前に使ってたケータイなんですけど」

絵里「え?」

希「えりちにメールを初めて送って、返信が来た時、嬉しくって…本当に嬉しくって今でも取っておいてあったんですけど。これ…」

『絵里です。 私も友達にこう言ったメールを送るのは初めてでどうしていいか分からないです。今日、あなたに「えりち」って呼ばれて凄く嬉しかったです。これから、よろしくね?希』

絵里「のぞみ……」


にこ「え?絵里泣いてない?」

穂乃果「ええ?」


希「それから生徒会を一緒にやったりこうしてスクールアイドルを一緒にやったり…本当はこれからも一緒に高校生活を送りたかったから…ワガママ言っちゃって……」

絵里「うっ…ううっ…違うの…」

希「本当に私がえりちに伝えたかった事はこの先どんな事があってもウチは…ウチはえりちの親友だからって…」

絵里「うっ…ううっ…グスッ…」

希「うん。これだけが伝えたかったので…えりち。これからも色々と迷惑を掛けちゃうかもしれないけど…よろしくね」

絵里「ごめんなさい…うぅ…ごめん…グスッ…ごめんなさい」

希「頑張って行きますので。これからも私達を…μ’sをよろしくお願いします」

パチパチパチパチパチパチ

にこ「さっ、行くわよ?」

穂乃果「グスッ…え?」

絵里「うっ…ううっ」

希「さっ、えりち」

テッテレー

にこ「絵里?」

絵里「へ?」

希「ドッキリ大成功!」

絵里「グスッ…ドッキリ?だって…」

穂乃果「え?え?」

穂乃果「どう言う事?」

にこ「逆ドッキリよ」

絵里「へ?」

希「えりち、ごめんな?」

絵里「逆…ドッキリ…?」

穂乃果「海未ちゃんもことりちゃんも知ってたの?」

海未「はい。うぅ…知ってましたよ」

ことり「ごめんね?グスッ…二人とも…」

花陽「うぅ…うぅ…」

にこ「何であんた達も泣いてるのよ」

真姫「とか言ってにこちゃんも涙目だったじゃない」

凛「真姫ちゃんもね」

真姫「私はそんな事ないわよ」

穂乃果「どうして穂乃果は?」

凛「穂乃果ちゃん仕掛け人とか苦手そうだから」

穂乃果「え~」

絵里「なによ。もう…なによ…」

希「本当にごめんて。でも、えりちもウチの事をドッキリに掛けようとしたんやからお互い様やん」

にこ「さあ、後はカメラに向かってもう一度」

ドッキリ大成功

その後

絵里「ところで希?一つ聞きたいんだけど」

希「ん?」

絵里「私が本当にロシアに行く事になってたらどうしてた?やっぱり、怒ってた?」

希「怒ってえりちが行くのをやめてくれるんなら怒るけど…そうはいかんもんな。それに…例え離れ離れになってもウチ等はずっと親友やから」

絵里「そう……私もよ」

凛「ところでにこちゃん?」

にこ「ん?何よ?」

凛「この一週間にこちゃんの周りでおかしな事が頻繁に起きなかった?」

にこ「あった。いっぱいあったわ。もしかして…」

凛「うん。そのもしかしてにゃ~。おまけのドッキリにゃ~」

にこ「え?じゃあ、知らない子供にいきなりバカって言われたのも…ドッキリ?」

凛「それは知らないにゃ」

にこ「え?」

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