【ガルパン】みほ「ふしゅん」 (58)

最終章公開以前に書き溜めたものなので、ネタバレなし。

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みほ「もぐもぐもぐ」

みほ「あむあむ」

みほ「ずず…っ」

みは「はぁ……」

みほ「もぐもぐもぐ」


テレビ「嫁が待っとき!言うて
 タンッタンッタンッタン来て
 電気パンッ点けて
 足の裏バーンッ見たら
 おかきやったんです」

みほ「ふふぉっ」

みほ「もぐもぐもぐ」

みほ「あむあむ」

みほ「ふぅ…」

みほ「すすーー…っずず」

みほ「んぐっゴホッゴホッゴホッ」

みほ「すすーー…」

みほ「はぁ……」

みほ「……」

みほ「ごちそうさまでした」

みほ「ふぃ~お腹いっぱい。満足した~」

みほ「それにしても最近ほんと寒くなってきたなぁ」

みほ「こっちへ来るときコタツ持ってこなかったのは失敗だったかも」

みほ「ご飯食べたら少しは暖かくなるしお風呂もあるけど」

みほ「冬用の布団が無いのはやっぱりキツいよね…」

みほ「エアコン…はお金かかるし」

みほ「ううん、せっかくの一人暮らし。我慢ガマン」

みほ「お金が無くて寒い部屋での一人暮らし」

みほ「ふふ、この感じ。…ちょっと憧れだったんだ」

みほ「明日はお姉ちゃんが来るんだよね」

みほ「お風呂も済ましたし、暖かいうちに早めに寝ちゃおう」

みほ「ふ~~~~」

布団「ばさぁ…」

みほ「……」

みほ「うぅ…布団冷たい」

みほ「…んん」

みほ「……」

みほ「……」

みほ「足先が冷たいなぁ……」

みほ「……」

みほ「……」

みほ「…なんかだんだん体冷えてきたかも」

みほ「……」

みほ「ううん寒いってもんじゃないよ」

みほ「足の指先が冷たすぎて痛い」

みほ「う~…痛い…」

みほ「……」

みほ「そうだ!」

みほ「ボコたちに囲まれて寝たらいいんだ!」

みほ「えへへ」周りにボコられグマぎっしり

みほ「ぎしぎし作戦だね」

みほ「これなら寒さも少しは和らぐかな…」

みほ「ふわぁ~おやすみなさ~い……」

みほ「……」

みほ「……」

みほ「……」

みほ「お姉ちゃんどんな格好で来るのかな」

みほ「迷わずに来れるかな…」

みほ「お姉ちゃん戦車に乗ってるとキリっとしてるけど」

みほ「普段は結構おっちょこちょいで天然入ってるからなぁ…」

みほ「……」

みほ「夕飯はカレー作ってあげたいなぁ」

みほ「お姉ちゃんカレー好きだもんね…」

みほ「そういえばこの前、熊本で夜中にカレーうどん食べたなぁ」

みほ「あれ楽しかったなぁ…」

みほ「実家に帰ったらまた……」

みほ「……うう、寒い」

みほ「……」

みほ「……」

みほ「早く寝なきゃ。ふわぁ~~」

---翌朝。

時計「ピピピッ」

みほ「ん、んん~~…」

時計「ピピピッ」

みほ「うっ…うぅ」

時計「ピ…」カチ

みほ「…寒い…」

みほ「ううっ…気持ち悪…うっ!」

みほ「…っえ!…!……っえぉ!」

みほ「はぁっはぁっ…うぅ、どうしよう吐きそう…うっううっ…っえ!」

みほ「今日お姉ちゃん来るのに」

みほ「風邪引いちゃ……うっ」ぐす

みほ「うぅぅぅぅ」ぐすぐす

みほ「うええぇぇ」ぐすぐす

みほ「……」ぐすぐす

みほ「……」

みほ「……zzZ」

---学園艦ターミナル。

まほ「遅い」

まほ「……遅いぞ…」

まほ「11時に約束したはずだ」

まほ「……。今11時半…か」

まほ「いったい今どこで何をしているんだ?」

まほ「みほは昔からおっちょこちょいな上に天然入ってるから」

まほ「寝坊でもしてるのか、あるいは道に迷っているのか…うぅ寒い」

まほ「まぁそんなところだろうけど」

まほ「じっと待っているのもつまらないな…」

まほ「ちょっとその辺の喫茶店にでも入ってみるか…?」

まほ「みほの学園艦に来るのは初めてだし」

まほ「少しくらい楽しませてもらってもバチは当たらないだろう。熱いコーヒーでも飲んで、目を覚ますかな…」

---

--

-

まほ「うーん…」

まほ「元の場所に戻れなくなってしまった…」

まほ「私としたことが…」

まほ「それどころか店らしい店も見つけられなかったぞ…。どうする……」

まほ「みほからの連絡も……来てないな」

まほ「こっちのメールにも返事しないし、困ったことになった…」

まほ「ムゥ…」

まほ「…まるで迷子じゃないか…」


優花里「朝早くから出向いた甲斐がありました!今月も無事入手できたであります。くふくふ」

優花里「んぇ?あれ??」

優花里「あそこにいるのは…」

まほ「お腹空いた…」

優花里「あのぉ~、ひょっとして西住まほ殿ではありませんか?」

まほ「!」

まほ「君は…あんこうチームの…」

優花里「秋山優花里です!」

まほ「秋山さん。奇遇だな、みほが世話になっている」

優花里「とんでもないです!私の方こそ西住殿の元で目下勉強させていただいてますぅ!」

まほ「そ、そうか」

優花里「あのぉ~、今日西住みほ殿はお姉さまの西住まほ殿とお会いするとおっしゃってました」

まほ「ああ」

優花里「こんな所で一人で何やってるんでーすかぁ?」

まほ「ああ、いや確かに今日は約束をしていたんだが…その…」

まほ「待ち合わせの時間だというのにみほが来なくてな…」

優花里「何時に待ち合わせされたのですか?」

まほ「11時だ。もう一時間になる」

優花里「ええっ!?携帯に連絡しまょう!」

まほ「それがメールも電話も出てくれないんだ…」

優花里「うーん西住殿が寝坊するとは思え…ないこともないですけど」

まほ「寝坊したことがあるのか?」

優花里「ええ、まぁ、一度だけ…。私たちIV号チームの皆さんで西住殿のお部屋に何度かお邪魔したことがあるんですけど」

優花里「初めてお部屋にお邪魔した次の日、珍しく」

まほ「…みほらしいな…。みほは楽しい事や戦車以外のこととなるどこか抜ける節がある」

優花里「だとすると、今日はまほ殿が来るから安心して寝ちゃってるんでーすよぉーきっと!」

優花里「ああっ、まほ殿って呼んじゃった」

まほ「構わない。好きに呼んでくれ。…しかし…そうか、だとしたら複雑だが…、まぁ嬉しいな」

優花里「……」どきどき

まほ「……」

優花里「……」どきどき

まほ「……」

まほ(あ…この子に送ってもらえばみほの部屋に辿り着けるんじゃないか?)チラ

優花里「……」どきどき

まほ「……」

まほ「あの…会ったばか」

優花里「!」

優花里「不肖秋山優花里!西住殿のお部屋までご案内させていただきます!!」

まほ「!!」

まほ「君も用事があっ」

優花里「私は今日発売の月刊戦車道を手に入れましたので、既に本日の任務は完了しております!」ぱんぱんっ

優花里「それに困った人を見かけて放っておくわけには行きません!それも西住殿のお姉さまとあっては尚のことです!」

優花里「西住殿には今まで数え切れない程お世話になっていますので!それをないがしろにするなんて私にはできません!」

まほ「そ、そうか…ありが」

優花里「こちらこそお礼を申し上げたいくらいですぅ!!まほ殿のお供をできるなんて!!夢のようでありますぅ~!!」キラキラキラ

まほ「……」

まほ「……」

まほ「あ、ありがとう…」

優花里「えへへ」キラキラ

まほ「……」

まほ(エリカとはまた違ったタイプの……)

まほ「…まぁ正直道が分からなくて困っていたところだ」

まほ「ここは言葉に甘えるとしよう…よろしく頼むよ」

優花里「ハイッ!!よろこんで!」

まほ「……まぁ、悪くないな」フフ

優花里「あ、そういえば」

まほ「なんだ?」

優花里「さっきお腹空いたって言ってませんでした?」

まほ「言ってないが」

優花里「チョコとレーションありまぁすよー」

まほ「エクセレントだ」

タカタカタカ。
コツコツコツ。

まほ「それにしても」

優花里「どうぞ、ホットココアです」

まほ「何でも入っているな…その鞄は」ズズズ…

優花里「いつでもどこでも野営できるようにぃ、ありとあらゆる物を詰め込んであるんですよぉ~」~♪~♪

まほ「……」

まほ「……まるで四次元ポケットだ」

優花里「……あのぉ」

まほ「うん?」

優花里「私ずっと謝らなければならないと思っていたことがありまして…」

まほ「?」

まほ「なにかあったか?」

優花里「いえ……。…ずいぶん前になるのですが、戦車喫茶でのことです。抽選会の帰りの」

まほ「ああ。あの時のことか」

まほ「あれはもう過ぎたことだ。忘れて良い」

優花里「ですが!やはり筋は通すべきかと思いまして!」

まほ「……」

優花里「あの!あの時は黒森峰と西住流の問題に出しゃばった真似をして!」

まほ「言うな」ぴしゃり

優花里「んぐっ!?」

まほ「それ以上は言うな」

優花里「えっ……?」

まほ「……君が」

まほ「君が西住流をどんな目で見ているのか。さっきの態度を見れば誰だって分かる。とても、生き生きしていた」

優花里「!!!」どきっ

まほ「みほも私も、どちらも西住流の出身だ」

優花里「はい」

まほ「ならみほの取った行動が、西住流に鑑みれば間違いであることは君にだって分かるはずだ」

優花里「それは…はい」

まほ「だが君は臆することなく真っ向から西住流を、さらには姉である私に反抗してきたな」

優花里「う……まぁ、はい…」

まほ「それで良い」

優花里「へっ?」

まほ「それ以上のことはない」

優花里「へぇええ!?」

優花里「ふ、腑に落ちないでありますぅ…」

まほ「……」

まほ「じゃあ何故あの場で抗議してきたんだ?私のことは知っていたんだろう?」

優花里「それは……、やはり西住殿の行動は間違っていないと感じたからです」

まほ「だが西住流からは外れている」

優花里「うぐっ…」

まほ「やはり私はみほを叱り飛ばして母は勘当を言い渡さなくてはならないな」

優花里「だっダメですよぅ!!西住殿には西住殿のやり方があるんですから!」

まほ「では君は西住流をないがしろにする者の味方というわけだな?」

優花里「う、うぅ~…」

まほ「しかし君とみほの関係は一体なんだ?西住流だから付いて回っているんじゃなかったのか?」

優花里「な、なんてこと言うんですかぁ!?とんでもありません!!私と西住殿は……」

まほ「……」

優花里「私と西住殿は…ええっと…その…」あせあせ

まほ「……」

まほ「フフッ、すまない。言いすぎたな」

優花里「!?」

まほ「実のところ、私は嬉しかったさ…」

まほ「姉であるこの私に直接文句を言えるなんてなかなかできないからな」

まほ「私には、仲の良い友達を虐めるなと…、友達を、みほを庇っているように見えたがな」

優花里「あっ……」

優花里「……そうです。私が西住殿に肩入れするのは……」

まほ「うん」

優花里「友達だから…」

まほ「…なら謝ることはない」

まほ「戦車は一人では絶対に動かせないんだ」

まほ「どんな流派だってどんな戦車乗りだって結束が無ければ良いチームにはなり得ない」

まほ「みほは良い友達を持った」

まほ「チームの一員として…、友達として、みほを庇ったこと」

まほ「誇りに思いなさい。胸を張りなさい」

まほ「君は優れたチームの一員なのだから」

優花里「……!」

優花里「……」

優花里「西住殿は、お姉ちゃん口下手だからと言ってましたが」

まほ「あいつ…」

まほ「1年の頃エリカにも同じことを言ってなかったか…?」

優花里「お話ししてくださって私感激しております…!」

まほ「…フッ。気にするな…」

まほ「チョコとレーションとサンドウィッチとクッキーとココアのお礼だ」

---西住みほ自室。

みほ「ぅ~…ぅ~……ん」モワンモワン

---

--

-

まほ「…そうだな、一番覚えているのは夕日のかすかべボーイズかもしれない」

優花里「椿ちゃんが西住殿に似ているから!」

まほ「ははは…、まぁ、その通りだ」

優花里「あっ、見えました。あそこが西住殿のお部屋でありますぅ」

まほ「よし、照準を合わせろ。派手に行くぞ!」

優花里「装填完了!」

まほ「フォイア!!」

ズガァ!!!

みほ「うわぁあああああ!!!!!」

みほ「ああああぁぁぁあ、、、あっ!?お姉ちゃん!?」

まほ「遅刻して寝ているとは良いご身分だな!!」

まほ「貴様が砲弾となれぇぇぇえ」

みほ「意味が分からないよぉぉぉぉおお……!!!」

---

--

-

モワンモワン

みほ「ハッ!」

みほ「ゆ、夢……汗びっしょり…」

みほ「!!!」

みほ「12時過ぎてるっ!!」

ピンポーンピンポーン

みほ「!!!?」

まほ「みほー?開けてくれるー?」コンコン

みほ「お姉ちゃん!?」

みほ「ち、ちょっと待ってね…」ボコォッ。ドタタ…

みほ「いょし」ガチャッ

まほ「久しぶり、元気だったか…って、その格好」

みほ「ひ、久しぶり…あはは」

まほ「やっぱり寝起きか」

みほ「あ、あははは…ご、…ごめんね折角来てくれたのに寝坊しちゃって…」

まほ「まったく、心配したぞ…」

みほ「あれ?でもお姉ちゃんどうやってここに?…部屋の場所知らないよね?」

まほ「ああ、みほのお友達の秋山さんに道で会ってね」

まほ「事情を話したら、嬉々としてここまで案内してくれたよ」

みほ「そうだったんだぁ~。優花里さん世話焼きさんだからなぁ。後でお礼言っておかないと」

まほ「良い友達を持ったと思うよ」

みほ「えへへ…ああっどうぞ入って入って!」

まほ「お邪魔します」

まほ「……」

まほ「なぁ……」

みほ「うん?何?」

まほ「部屋中にこの……手や足をもがれたボコが散らばっているのは……」

まほ「これはみほの趣味なのか?それともストレス?さすがに…その……残忍すぎやしないか…」

みほ「あっええっと!これはその!」

みほ「昨日布団が寒くて!それで周りにこの子達詰めて寝てたの!」

まほ「『お前もこうなるんだ?』」

みほ「違うよっ!!もうっ!」

みほ「起きた拍子に飛び散っただけ!」

まほ「あはは」

みほ「ちょっと着替えるから適当にくつろいでて」

まほ「このボコに囲まれてか……」

まほ「……」チラチラ

まほ「…なかなか良い部屋だな」

まほ「日当たりが良くて気持ち良い」ごろん

まほ「ベッドとソファは兼用なのか。ちょっと湿気ってる気がするが…」

まほ「パソコンと学習机の兼用はしんどくないか?…いや、ノートだから良いのか?」

まほ「……テレビのスペースよりボコグッズのスペースの方が広い」

まほ「知らないボコだらけだ…。こっちに来てから半年でこんなに増えるのか…?」

みほ「ちょっとお姉ちゃん」

まほ「触ってないよ」

まほ「飯はちゃんと食べてるか?」ガチャ

まほ「冷蔵庫に鍋がそのまま入ってる…これ味噌汁?みほが作ったの?」

みほ「そうだよ。お友達の沙織さんに教えてもらったんだ」

まほ「味噌汁と水とジュースと牛乳と豆乳と……何か飲み物多くないか?しかも豆と乳ばっかり」

まほ「みほの趣味?」

みほ「豆乳も沙織さんからもらったの!ジュースはお姉ちゃん来るから買っておいただけだよ。飲む?」

まほ「いや、ココアを頂いてきた。秋山さんの鞄から出てきたんだ。あれはスゴいぞ」

みほ「優花里さん何でも持ってるからなぁ~。じゃあお昼食べる?お腹空いてるでしょ?」

まほ「いや、それが……あんまり色々出てくるもんだから……」

みほ「え」

みほ「まさか鞄にあるもの全部食べちゃったの!?」

まほ「いや!全部じゃないぞ!」

まほ「ただ、面白くてな……」

まほ「ついつい」

みほ「うわぁ……」

まほ「歩く喫茶店と呼ぼう」

みほ「やめて!お姉ちゃんにはエリカさんがいるでしょ?」

まほ「エリカにも鞄を持たせるか…。コーヒーセットとレトルトカレーの一つでもあれば捗るぞ」

みほ「お姉ちゃんのその食になると神経図太くなるのどうにかした方がいいと思うよ」

まほ「とりあえず散らばったボコを片付けよう。部屋が猟奇的すぎる」

みほ「はは、確かにそうだね」

みほ「『わ、何をするーやめろォ~』」ムニムニ

まほ「……」

みほ「……」

まほ「遊んでないで…」

みほ「『離せー、怒るぞォ~』」

まほ「……」

まほ「…何もしてないが……」

みほ「……」

みほ「びしびし」ビシビシ

まほ「いてっ」

まほ「……ぅ、うるさい奴め、こうしてくれるわ」

まほ「デュクシ」ボコォ

みほ「『あぎゃあ』」

みほ「『ま、また…負けた…』」

みほ「『次は覚えてろよォ~』」

まほ「…………」

みほ「じゃあ一息ついたら外歩こっか。学園艦案内するよ、着替えも済んだし…っとと」ヨロヨロ

まほ「おい大丈夫か?寝起きだからか?」がしっ

みほ「平気平気…ちょっと……」

まほ「?」

まほ「どうした?」

みほ「ゲ。でる」

まほ「ゲ・デル?」

まほ「医療機器メーカーか?何言ってるんだ急に……」

みほ「うぷ」

みほ「ゲェーーーーッ」オロエオロ

まほ「ギャーーーーッ!!?」

まほ「……」

みほ「良くなったら片付けるから…そのままにしといて…ハァハァ…うぅ」

まほ(床がゲロまみれ)

まほ「良くなるまでそのままにしておけるワケ…」

まほ「ないだろ…」

まほ「ボコ適当に並べとくぞ」

みほ「うん…、あっ一番傷付いてるやつちょうだい」

まほ「…これか?」

みほ「あっ、やっぱり一番傷が少ないの」

まほ「ほら」

みほ「ありがとう…うぅ」

まほ「布団が薄いから風邪なんか引くんだ。我慢しないで暖房入れろ」ピッ

みほ「うぅ、ごめんね…せっかくきてくれたのに……ぐすっ」

まほ「寒くないか?」

みほ「うん…今は大丈夫」

まほ「ふぅ…床は綺麗にしたからもう気にしなくていいぞ」

みほ「うぅ…ありがとう…」

まほ「……何か食べられそうなものとか、食べたいもの、あるか?」

まほ「吐いたところだからしんどいか…。まぁ、何でも言ってくれていいぞ」

みほ「うん…」

まほ「プリンでもお粥でも、秋山さんが何でも持ってきてくれる」

みほ「嘘でしょ!!?」ガバッ

まほ「嘘だよ」

みほ「……」

まほ「私が買ってきてやる。何がいい?」

みほ「お姉ちゃんのトーンは冗談が冗談に聞こえないよ…。じゃあプリンと…アイス」

まほ「うん。じゃあ、ちょっと行ってくる。机にほら、水とコップとリモコン置いてあるからな」

みほ「うん…」

まほ「行ってきます」ガチャ

みほ「私一人の方が風邪早く治るんじゃ……」はぁ

---

--

-

まほ「しまった……」

まほ「スーパーの場所を聞いておくべきだった……」

まほ「これじゃあ闇雲に歩いても見つかるはずないじゃないか」

まほ「うーん…。今自分はどこにいるんだ?…」

まほ「今更戻るのも格好つかないし…。いやそもそも戻れるのか…?」

まほ「……今歩いてきた道はこの通りだったよな……いや、もう一つ先の通りだったか?」

まほ「……」くぅ~

まほ「そういえば秋山さんの物をつまんだだけでまともに食事を摂ってなかったな」

まほ「ムゥ…困ったぞ」


華「あれ?あそこにいるのは、ひょっとしてみほさんのお姉さんではありませんか?」

沙織「ホントだー。今日みぼりん家にいるはずでしょ?なんで一人で立ってるんだろ」

華「お腹をさすってますよ。具合でも悪いのでしょうか」

沙織「声かけてみよ!こんにちはー」

まほ「ん……」

まほ「君たちは確か…」

沙織「お友達です。みぽりんの。武部沙織っていいまーす」

華「五十鈴華と申します。戦車道ではお世話になってます」

まほ「あんこうチームの…!」

華「何やら困っている様子でしたので…」

沙織「こんなところで何やってるんですか?」

まほ「ああ…いや…。大した用では…」

まほ「コホン。申し遅れた。私はみほの姉の西住まほだ。戦車道では世話になってるな」

華「いいえ。こちらこそ、お世話になってます」

沙織「こちらこそー…じゃなくて!今日みぽりんの家にいるはずですよね?」

まほ「あぁ…そのことなんだが、実は…」

沙織「なーんだそういうことか。みぽりんのことだから、きっと舞い上がっちゃったんだね」

華「みほさんのためにお店を探していたんですね」

沙織「でも道に迷っちゃうなんて、お姉さんも意外と可愛いところあるね」ひひ

華「失礼ですよ、沙織さん」

まほ「……」

まほ「厳密には迷ったんじゃない。スーパーの場所をただ知らないだけだ」

華「ですが、ここからだとスーパーは反対方向になりますね」

沙織「う~ん…そこまで行くのは時間かかっちゃうし…そうだ!」

沙織「この近くのホームセンター!あそこならどう!?食品コーナーもあったよ確か!」

華「良いと思いますわ。それならきっとお薬も置いてありますし」

まほ「ホームセンターか…」

沙織「じゃあ今から一緒に行きましょう!場所案内しますよ」

まほ「……え?いいのか?」

まほ「君たちこれからどこか行く予定があるんじゃ…」

華「風邪を引いているみほさんも、それにわざわざ大洗まで来てくださったみほさんのお姉さんも、放っておけるはずありませんわ」

華「ぜひ、お力添えさせてください」

沙織「そーそー。大事なみぽりん姉妹だもんねー。これくらい朝飯前だよ!って、今はもうお昼過ぎだから昼飯過ぎ?」

まほ「二人とも…」

まほ「ありがとう。助かるよ」

華「そういえば」

華「さきほどお腹をさすっていませんでしたか?もしやお昼まだ済ませていないのでは?」

沙織「お腹空いちゃうよねー」

まほ「減ってないが」

華「ホームセンターの横に美味しいたこ焼き屋さんがあるんです。軽く腹ごしらえしましょうよ」

まほ「ブリリアント!」

ホームセンター

まほ「プリンと、アイスと…あとは…こんなもんか?土産のたこ焼きも買ったし…」

まほ「飲み物は…部屋にいっぱいあったな」

沙織「あ、見てみて!このスリッパ。あの時買おうとしたやつまだ売ってるよ」

華「クッションもたくさんあります」

沙織「なーんかここ来ると初めて戦車に触れたときのこと思い出すなー」

華「ですがさすがにスリッパは買わなくて良かったですね」

沙織「うんうん。私達も成長したってことだねー」しみじみ

まほ「………え?」

まほ「せ、戦車にクッション置いてるのか?」

沙織「あはは…最初のうちだけですけど。お尻痛くなっちゃわないですか?」

まほ「……」

沙織「……」

華「もうお買い物は大丈夫ですか?お薬も置いてありますよ」

まほ「ああ、大丈夫だ。これならみほもすぐ良くなるだろう」

華「ではみほさんのお部屋まで案内しますよ」

まほ「…いいのか?何から何まで」

沙織「ここまで来たんですから、そんなの言いっこなしですよ」

まほ「そうか…秋山さんといい、本当に君たちには助けてもらってばかりだな」

まほ「じゃあそろそろ…っと」

布団コーナー。

まほ「……」

みほ「ふしゅん」

---

--

-

まほ「布団も…買ってやるか」

華、沙織「「えっ?」」

まほ「あいつ寒いクセに暖房もつけないでボコのぬいぐるみにくるまって寝てたんだ」

まほ「こっち引っ越したときに春夏用の布団しか持ってこなかったんだろう」

沙織「ええ~っ。言ってくれれば麻子が貸すのにぃ」

華「我慢は良くないですが、みほさんのことですからきっと気を遣って言えなかったんじゃないですか?」

沙織「あぁ…それあるかも」

まほ「たまには良いところを見せてやりたい」

まほ「これがいいかな…?いやこっちの方が暖かいか?」

まほ「ボコの柄のがあればいいが…」

沙織「…良いお姉さんだね」

華「ですね」

沙織「……そうだ!良いこと思いついちゃった!」

---西住みほ自室。

みほ「う~ん……」

みほ「んんん~~ゥゥ…うう~」

みほ「しんどい……」

みほ「お姉ちゃん…」

ガタガタガタガタ…

みほ「……揺れてる…」

みほ「動悸かな。地震かな…」

ガタガタガタガタ

みほ「ぅぅ…!」

ガタガタ

ガタガタガタガタ!!ンギューゥン

みほ「……」

みほ「……ん!?」

ドア「ガチャ!」

まほ「帰ったぞ」

みほ「お姉ちゃん!?」

まほ「っしょっと!」ドサ!!

みほ「何その大きいの…!?」

まほ「布団だ」

みほ「布団!?」

まほ「それとハイ。たこ焼きとプリンとアイスと、バナナにうどんも買ったぞ。あと薬もこれ、飲んどけ」

みほ「こんなにたくさん…。いったいどこで…どうやって…!?」

まほ「ん、お前のチームメイトは本当に仲間思いのようだ」

ガタガタガタガタ

ガタガタガタガタ

沙織「二つ返事ですぐ来てくれるなんて、麻子も良いとこあるじゃん!」

麻子「おばあが倒れたときの借りがあるからな」

麻子「返しに来ただけだ」

沙織「もう。本当は心配で来てくれたくせにぃ。素直じゃないんだから」

優花里「私はいついかる場所であろうと西住殿のためとあらば、すぐ駆けつけますよぉ」

沙織「本当に駆けつけてくれたもんねぇ」

華「でも宜しかったんですか?せっかく新品のお布団が鉄臭くなってしまいました」

優花里「それならきっと大丈夫ですよぉ!」

優花里「ちゃん包装されてましたし、それに今はその方が…」


みほ「お布団のこのニオイ…もしかしてIV号!?」

まほ「そうだ」

みほ「……」

まほ「事情を聞いたみんなが自ずと手配してくれた」

まほ「おかげさまで迷うことなく帰ってこれたよ」

みほ「あはっ…あはは」

まほ「後でお礼言わなくちゃな」

みほ「うん!!」

沙織「でもゆかりんゴメンね。わざわざ来てもらって」

優花里「いいえ。私は西住まほ殿の指揮を間近で見られてとても満足していますから」

麻子「ちゃっかりしてる」

優花里「えへへ」

沙織「よーし、それじゃあせっかくだしこのままみんなで何かデザート食べに行かない?みほの復活を祈って!」

華「それ、ただデザートを食べたいだけでは?」

沙織「違うもん!…本当ならお姉さんも加わってみんなで行きたいけど…前夜祭なんだから!」

優花里「意味がわかりません…」

麻子「ま、いいんじゃないか?復活したらその時は改めてもう一度行けばいい」

優花里「冷泉殿もちゃっかりしてるじゃありませんか~」

麻子「フッ。ケーキは別腹だからな」

華「そうですね…。私もお腹が空いてきました」

沙織「それじゃあ、ケーキ屋さんに」

沙織、華、優花里、麻子「「「「パンツァーフォー!!」」」」

---

--

-

まほ「それじゃ、電気消すぞ」

みほ「うん」

電気「ピッ」

みほ(あったかい)

みほ(それに少しだけ戦車のニオイがする)

みほ(みんなとお姉ちゃんが色々してくれたんだなぁ)

みほ(こんなことになって不謹慎かもしれないけど、ちょっとだけ自惚れかもしれないけど)

みほ(私今幸せだな…)

みほ(みんなありがとう…)

みほ「おやすみなさいー」

まほ「おやすみ…」

---翌日。

みほ「んんーっよく寝たぁ!」のびー

みほ「久しぶりにぐっすり眠れた気がする!」

みほ「お布団のおかげかな?体も軽い!風邪も完全に治ったみたい!」

みほ「お姉ちゃんおはよう!いい朝だね!」

みほ「……」

みほ「お姉ちゃん?」

まほ「……」

まほ「ふぅっ…ふぅっ…みほ…」

まほ「…ぉ…はよぅ…」

みほ「お姉ちゃんまさか…」

まほ「うぅ……うっうぅ…」

まほ「ふしゅん」


おしまい

終わりました。
貴重な場所をありがとうございました。

また読んでくださりありがとうございました。


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