魔眼女「魔眼持ちだって外出したい」【安価】 (114)
女「この力が暴走することを危惧して家に引きこもってたけど」
女「やっぱりそんな人生は寂しいんだ……」
女「だから僕は意を決して外に出る!」
女「…ある程度制御できるようになったし、いいよね?」
魔眼の能力 >>3
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対象を魅了する
女「僕と目が合った人は否応なく魅了してしまうんだよね…」
女「小さい頃は大変だったなぁ」
女「周りの子供達は勿論、その父親まで魅了しちゃうし、その辺の変なおじさんまで魅了しちゃうしで…」
女「誘拐されるのが日常だったよ…」
女「…さ、思い出に浸るのはこのくらいにしとこう」
女「久々の外出だからオシャレしたかったけど…あいにく服が無いからジャージで我慢しよ…」
女「よーし、行くぞー!」
どこに行く? ↓
女「ずっと家に居たからわからなかったけど…」
女「この肌寒い感じ…今は秋か冬なんだね」
女「あ、あそこの公園! 小さい頃と何も変わってない!」
女「ふふ、やっぱり外は楽しいなぁ」
女「…ん? えーと、なになに?」
女「で、でぃすかう…んと……?」
女「よく分からないけど、服屋っぽいし入ってみよう!」
何を買う? ↓
店員(うお、ジャージかよ…)
店員「いらっしゃいませー何をお探しですかぁ?」
女「あ、えっと、その…服が無いので何か買おうかなって…」
店員「あーそうですかぁ」
店員「お客様ですと…うーん、こちらのワンピースとか似合うんじゃないですかね?」
店員「今これ凄い人気なんですけどぉ」
女「わ、すご! ドレスみたい!」
店員「良かったら試着してみてください」
女「は、はい」
女「…ど、どうでしょう?」
店員「うわーすっごくお似合いですよぉ!」
女「じゃあ買っちゃおうかな…」
店員「お買い上げですね? じゃあレジはこちらですー」
女「……はっ! しまった!」
女(私今お金持ってない…ど、どうしよう)
どうする? ↓
女「しょうがないよね…」
店員「お客様ー?」
女「……」キィィン
店員「うっ」
女「…ごめんない、財布を家に忘れたので取ってきます」
店員「は、はい! いつまでもお持ちしておりまーす!」
女「このワンピース着ていきますね」
店員「どうぞどうぞ! いやぁ着られる服が羨ましいですねぇ」
女(このまま逃げることもできるけど…そんな悪いことしたらサンタさんが来てくれなくなるから…)
女「一旦帰宅」
女「財布は…あった!」
いくら入ってる? ↓
女「……え?」バリバリ
女「そんな…2円しか入ってないよ…」
女「どうしよう……」
どうする? ↓
女「とりあえず服屋さんに戻ろう…」
女「あ、あの…」
店員「ああ! また来て頂けたのですね!」
女「その、私…お金持ってなくて…」
店員「お金? お客様から代金を頂くなんてとんでもない!」
店員「お客様が今日という日にこの店に立ち寄り、私なんかと会話して頂き、私の勧めた服を着て頂いた!」
店員「これに勝る喜びはありませんよぉ! どうぞそのまま着て行かれてください」
女「そういう訳にはいきません!」
女「…働いて返しますから」
店員「おお! お客様と共に働けるとは…!」
店員「是非お願いします!」
女(…なんか昔と比べて魅了のレベルが上がってる気がするなぁ…)
女「気のせいかな…」
女「…もうすっかり日が暮れちゃった」
店員「お客様、今日はお疲れ様でした!」
女「あ、いえ…」
店員「こちら給料となっております!」
女「え? でも僕は服のお金の代わりに働いたので、給料なんて…」
店員「いえ! お納めください!」
女「うーん」
受け取る? (受け取るなら金額も) ↓
女「ごめんなさい、やっぱり受け取れません」
店員「なんと欲の無いお方でしょう…!」
店員「な、ならせめて…私の熱い接吻を以てこの度の報酬として頂きたく…!」
女「ひっ! ご、ごめんなさーい!」
店員「ああ、行ってしまわれた……」
店員「……ん?」
店員「私は今まで一体何を……? てか外暗ぁ!」
女「…つい驚いて逃げちゃった」
女「やっぱり昔より魅了の度合いが増してる気がする…魔眼も成長するものなの…?」
女「…まあ、分かんないこと考えても仕方ないか」
女「さて、すっかり夜だけどどうしようかな?」
どうする? ↓
女「夜は危ないし…一旦帰ろうかな」
女「魔眼があると言っても僕もれっきとした女の子な訳だしね!」
女「ただいまー」
女「…まあ、応えてくれる人なんてとっくに居ないけど」
女「それはそうとお腹空いたなぁ…冷蔵庫に何か入れてたっけ?」
今日の夜ご飯はどうする? ↓
女「うーん、何にも無さそう…」
女「せっかくだし外食でも行こうかな?」
女「…あ、でもお金……」
どうする? ↓
女「そうだ! スーパーに行こう!」
女「スーパーの試食だって外食みたいなものだしね」
女「…あれ、何か言ってて虚しくなってきた」
女「到着!」
女「さーて、何の試食いこっかなー」
何食べる? ↓
女「うわ、すご! フカヒレだって!」
女「何だか高級そうなのに試食やってるんだ…凄いなぁ最近のスーパーは」
女「えへへ、じゃあ頂きまーす!」
女「ずずっ…」
女「…くうううう! すっごく美味しい!」
女「こんな美味しいスープ飲んだことないよ!」
女「…でも、お腹はあまり膨れないなぁ」
どうする? ↓
女「次はどこ行こうかなー」
中二
女「次はどこ行こうかなー」
厨二「…待て、そこの女子よ」
女「ん? それって僕のことかな」
厨二「先程より見ていたが…お前は腹が減っているようだな?」
厨二「…だが金が無いと見える」
女「うっ」
厨二「ふふふ、案ずるな! この我がパンをくれてやろう!」
女「…え? な、なんで」
厨二「お前のような若い女子が試食コーナーをうろうろする様を見て、我はとても哀れに思ったのだ…!」
厨二「ただ、それだけのこと…」
女「見たところ僕より年下っぽいけど…?」
厨二「いいから受け取るのだ!」
どうする? ↓
女「い、いいよそんなことしてくれなくても!」
女「僕は大丈夫だから…」
厨二「強がるな小娘よ…黙って我の施しを受ければいいのだ…」
女「うぅ…強情だなぁ…」
女(しょうがない、魔眼しよ…)
女「……」キィィン
厨二「…?」
女「…もう僕のことは放っておいていいから、向こう行って」
厨二「む、そういう訳にはいかぬ! 困ってる人を見捨てて行けるほど我は非情ではない!」
女(…え? 効いてない?)
女(そんな馬鹿な!)
女「…もう一度言うね、あっち行って!」
厨二「断る!」
女「なっ…本当に効いてないの!? 僕の魔眼が…?」
どうする? ↓
女「…何なの君は」
厨二「我か? ふふふ、我は通りすがりの…」
厨二「えっと…」
厨二「せ、正義の味方だ! 覚えておけ!」
女「ふふ、変な子だね」
女「いいよ、そのパン僕にくれるかな?」
厨二「ふ、最初から受け取っておけばいいものを…!」
女「ありがとう…」
厨二「そ、それでは我は失礼する! また困ったら助けてやらんでもないぞ!」
厨二「ではな…!」ダッ
女「あ…走って行っちゃった…」
女「それにしても、まさか魔眼が通用しない人がいるなんて…」
女「目隠しした人に効かないなら分かるけど…何であの子には効かなかったんだろう…?」
女「…考えても分からないものは分からないや」
女「さて、パンも貰ったし今日のご飯は大丈夫そうだけど…」
どうする? ↓
女「…また明日も来ようかな」
女「そしたら、またあの子に会えるかな…?」
女「…あとフカヒレスープのため」
女「ただいまー」
女「ふわぁ…もう眠いし寝ようかな…」
女「えへ…明日も、お外に…」
女「……すぅ」
明日はどうする? ↓
女「…むにゃ」
女「んん、もう朝か…」
女「…冷蔵庫の中に食べ物が補充されてる…サンタさんが来てくれたのかな?」
女「ちょっと前にお母さんが居なくなってから、いつの間にか家に来て食べ物を用意してくれる人…」
女「僕は勝手にサンタさんなんて呼んでるけど…一体何者なんだろう…?」
女「…ま、そんなことは今はどうでもいいや」
女「今日はどうしよっかなぁ…」
女「あっ…あの子に会いに行ってみようかな?」
女「今日は休日だし、家に居るよね…えへ、僕のこと覚えてくれてるかな…?」
昔の知り合いとは? ↓
女「あったあった! 確かこの交番に…」
駐在「…おや? 君は…」
女「あ…ひ、久しぶりです!」
女「…僕のこと、覚えてますか?」
駐在「ああ、勿論だとも! 君のような可愛い子を忘れられるはずがないさ!」
女(そうだった…小さい頃に関わった男の人は皆魅了してるんだよね…)
女(昔の僕の未熟さが憎いな…)
駐在「いやぁそれにしても大きくなったね…今何歳?」
女「16歳です」
駐在「あの事件があった時君は6歳だったから…もう10年の月日が流れたのか!」
駐在「はは、通りで俺も年取る訳だよ!」
女「あはは…」
どうする? ↓
駐在「どうだい? 学校は? 高校生だよね?」
女「え…あ…」
女(どうしよう…学校なんてもう何年も通ってないよ…)
女(それどころかこの魔眼のせいで10年間家に幽閉されてたんだけど…)
女「…た、楽しいですよ!」
駐在「そうかそうか!」
駐在「友達はどうだ? 君は可愛いから友達も多くて男子にもモテモテだろ?」
女「ま、まあ…」
駐在「だろうなぁ! 部活は何入ったんだい?」
女「えと…何も…」
駐在「なに!? それは勿体ないよぉ! 」
駐在「いいかい、学生たるもの青春を――」
女(…それから小一時間くらい引きこもりには辛い世間話をした)
どうする? ↓
駐在「――でさぁ最近ここいらで変質者が多くて」
女(長いよ! お話が長すぎるよ!)
女(完全に引き際を見誤った…!)
駐在「…聞いてるかい?」
女「あ、もっ、もちろん!」
駐在「それは良かった! で続きだけど――」
女(だ、誰か助けてー…)
厨二「…む、そこの女子は」
女「あ、昨日の子…」
駐在「――」ペチャクチャ
厨二(…なるほど)
厨二「こほん、あのすいませんお巡りさん」
駐在「ん? おお、どうした少年」
厨二「実は道が分からなくて…」
駐在「そうか、どこに行きたいんだい?」
厨二(この隙に行け!)チラッ
女(ありがとう…昨日の子…!)ダッ
女「ふぅ…やっと解放されたよ…」
女「…君にはまた助けられちゃったね」
厨二「わ、我は正義の味方だからなっ!」
厨二「困っている人を助けるの当然なのだ!」
女「ふふっ」ニコッ
厨二「う…///」
どうする? ↓
女「うーん…助けて貰ってばかりじゃ悪いよね…」
厨二「だ、だから気にするなと…」
女(えーと確か…ゲームで女の子が男の子にお礼をする時は…)
女(こんなふうに…)
ちゅっ
厨二「!?」
女「…えへ、これちょっと恥ずかしいね」
厨二「なななっ…何を!?」
女「んー? 僕からの感謝の気持ちだよ」
厨二「我に気安くきっ…キスをするなんて…!」
厨二「あわわ…!」
女「ふふ、顔真っ赤ー!」
厨二「わ、我を愚弄しないでっ!」
どうする? ↓
女(凄い照れてる…)
女(…ほっぺにキスって普通じゃなかったのかな?)
女(あ…そういえばキスって恋人とか夫婦がするって聞いたような…)
女「…ぼ、僕は何てことを///」
女(な、なんか顔が熱くなってきたよ…!)
女「うぅ…」
厨二「……///」
女(…き、気まずい!)
どうする? ↓
女(…何かこれ以上照れることって無い気がしてきた)
女(それなら…)
女「えいっ」ギュッ
厨二「!!?」
厨二「な、なにを…」
女「やってみたくなったから、やってみたの」
厨二「だから何で…!」
女「えへ…あ、温かいね…?」
厨二「ぐっ…///」
女「……」ギュッ
女(うおおお! 僕は一体何をしてるの!?)
女(何を血迷ってしまっているのぉ!?)
女(…もう、恥ずかしくて死にそうだよ…!)
どうする? ↓
厨二「ぐうぅ!」
厨二「わ、我は失礼するっ!」
女「あっ…! ま、待って…!」キィィン
厨二「くっ///」ダッ
女「そうだ…魔眼は効かないんだった…」
女「うぅ…あの子を困らせるつもりは無かったんだけどな…」
女「僕は何をやってるんだろう…もう…!」
女「もっと話したいこととか聞きたいことあったのに…」
女「はぁ…」
どうする? ↓
女「あれ? このハンカチは…あの子の…?」
女「届けてあげなきゃ!」
女「確かあっちの方向に走って行ったけど…」
女「…うぅ、こんなことなら住所を聞いておけばよかった」
女「僕の馬鹿…!」
どうする? ↓
女「駄目だ…今日は諦めよう…」
女「ま、また明日会えるよね…?」
女「…僕は何でこんなにあの子が気になってるの?」
女「まさか…すす、す…」
女「…い、いや! そんなことはない!」
女「パンを貰ったぐらいで落ちるほど僕は安くないもん!」
女「きっと魔眼が効かないから動揺してるだけなんだ…うん、そうに違いない…!」
女「…き、気を取り直して…次はどこに行こうかな?」
どうする? ↓
女「あの…」
駐在「おお、また会ったね!」
駐在「さっきは急に居なくなっちゃったから心配したよ!」
女「お取り込み中のようだったので…」
駐在「いやぁ君は可愛い上に気が利くなぁ!」
女「い、いや…あはは…」
駐在「で、何か用かい?」
女「はい、さっきの男の子のお家が知りたくて…」
女「知ってますか?」
駐在は知ってる? ↓
駐在「もちろん! 教えてあげよう!」
女「あ、ありがとうございます」
女(そう簡単に個人情報教えちゃ駄目でしょ…)
女(…まあ僕が魅了したせいなんだけど)
駐在「――だよ! 分かったかな?」
女「はい! さっそく言ってみます!」
駐在「ああ、君のお役に立てて良かった!」
駐在「また来てくれよ!」
女「あ、はい…」
女「この家があの子の…」
女「たった呼び鈴を鳴らすくらいで緊張してどうするんだ…僕は…」
女「え、えい!」ポチッ
ピーンポーン
ガチャッ
厨二「はーい…って、え…?」
厨二「君は…」
女「き、急にごめんね…? これを届けたくて…」
厨二「あ…ありがとう!」
女「…それが君の素?」
厨二「あっ! …こほんっ!」
厨二「わ、我に素などないぞ! 我はいつでも我だ!」
女「あはは、おかしー!」
どうする? ↓
女「あれ? そういえば他の家族の人は?」
厨二「それは…」
女「あ…ごめん…」
厨二「い、いや! 大したことではない!」
厨二「単に我以外の身内が亡くなってしまっただけだ!」
女「全然『だけ』じゃないよ!?」
女「え、じゃあ君は一人で暮らしてるの…?」
厨二「うむ…我の親戚と名乗る人がお金を仕送りしてくれていてな…」
厨二「それで何とか暮らしている…」
女「ふうん…」
女「じゃあ僕と同じだね…」
厨二「お、おぬしも…?」
女「うん…もう3ヶ月くらい経つかな…」
女「それまでお母さんと居たんだけど、ある日急に居なくなっちゃって…」
厨二「生活はどうしているのだ?」
女「んーよく分からない」
厨二「え…?」
女「名前も知らない会ったこともない誰かが僕を助けてくれてるの…僕はサンタさんって呼んでるんだけど…」
厨二「それは多分、君の…」
女「うん、僕ももしかしたらお母さんかな? って思ってたけど…」
女「…だとしたら何で姿を見せないんだろうね?」
厨二「…おぬしも苦労しているんだな」
女(何だかしんみりしちゃったな…)
どうする? ↓
女「ねえ…二人とも一人暮らしならさ…」
女「…一緒に暮らさない?」
厨二「なっ!?」
女「だって一人きりは寂しいでしょ? だから…」
厨二「それは…」
女「え、えへへ…」
女「なーんてね! 冗談だよ!」
厨二「……」
厨二は何て答える? ↓
厨二「ま、まあそうだろうな…」
厨二「凄く仲の良い親友ならまだしも…昨日出会ったばかりだからな…」
女「むっ」
厨二「ん…? どうしたのだ?」
女「…な、何でもない」
厨二「?」
女(…何か今イラッとした)
女(何でだろう…告白して振られたみたいだから…?)
女(そ、それだと僕が彼に変な気持ちを抱いてるみたいじゃない!)
女(違う…ちょっと言い方に棘があったからカチンときただけ…きっとそうだ!)
厨二(何か怒らせちゃったかな……)
どうする? ↓
女(…っとと、そういえば彼に僕の魔眼が効かない訳を聞かなきゃいけないんだった)
女(生まれた時から共にある能力だけど、あまりよく知らないんだよね…)
女(もし魔眼が誰にでも効くと思ってるのは僕の勘違いで…効かない人も結構いるのだとしたら…)
女(…いつか痛い目を見る時が来ちゃうからね)
女「…ねえ、聞きたいことがあるんだけどいい?」
厨二「う、うむ! 我に答えられることなら何でも!」
女「君は魔眼って知ってるかな?」
厨二は何て答える? ↓
厨二「魔眼…」
厨二「確か…死んだ母さんがそんなこと言ってたような…」
女「本当!? 何て言ってたの!?」
厨二「すまない…あまり良く覚えていないのだ…」
女「思い出して! 何か分かるかもしれない…!」
女「僕の魔眼のことも、君に魔眼が効かない訳も…!」
厨二「……」
厨二は何て答える? ↓
厨二「我に魔眼が効かないとは…どういうことだ…?」
女「あ、その…」
厨二「魔眼が何なのかはさっぱり分からないが…」
厨二「人に何か影響を与える力のようだな?」
厨二「…そしてそれを、我に使っていたのか?」
女「ごめんなさい! パンを貰った時につい…」
女「でも君に危害を加えるつもりは無かったんだよ!」
女「その…ちょっと魅了してお引き取り願おうと思っただけで…!」
厨二「魅了、それがおぬしの能力か」
女「うん…人と目を合わせた時に、こう、目を見開く感じで力を入れると魅了できるの」
厨二「ふむ…そしてそれを知らずに我が無効化していたと…」
女「…本当に何か心当たりは無いの?」
厨二は何て答える? ↓
厨二「ないな」
女「うぅ…そっか、知らないか…」
厨二「違う、お前に話すことはもう何もないと言ったのだ」
厨二「…この忌まわしき魔眼使いめが」
女「え…?」
厨二「お前にいくつか嘘をついたことは詫びよう」
厨二「我は魔眼のことを恐らくお前よりもよく知っている…」
女「ど、どういうこと…?」
厨二「…我の母は死ぬ間際、我にこう言い残した」
厨二「『退魔の眼』を持つ我ら一族は、代々魔眼を持つ者と争い殺し合ってきた…」
厨二「魔眼を持つ者は世界に災厄をもたらす、だから我々はそれから世界を守る使命があるのだと…」
女「何を言ってるの…?」
厨二「…しかし母は、我の他の家族は負けたッ!」
厨二「魔眼使いに殺されたのだッ!」
厨二「赤黒い血を吐きながら、忍び寄る死を感じて恐怖しながらも母は…我だけは生き延びろと言った…!」
女「ね、ねえ…それも設定なんだよね…? ねえ…?」
厨二「理解しろ、魔眼使い!」
厨二「我らは永遠に相容れないッ!」
女「嘘…嘘だッ!」
女「だって君は…僕に優しくしてくれた…!」
女「一人ぼっちの僕に手を差し伸べてくれたじゃないか!」
厨二「それはお前が魔眼持ちであるという確証を掴むための行動に過ぎない…」
厨二「それに…お前はその恩人に能力を使ったのだろう?」
女「ち、違う!」
厨二「違わないものかッ!」
女「僕の話を聞いてよ…!」
厨二「一度ならず二度までも我にその魔眼を向けただろうが!」
厨二「やはりそうなのだ…魔眼使いは私利私欲の為に生き、己の力の危険性を省みず、身勝手に他者に力を振るう…!」
厨二「お前は最低だッ! 唾棄すべき化け物だッ!」
女「違う……」
女「違う違う違う違う違う…違うッ!!!」キィィン
女「…あっ」
厨二「…お前はやはり生かしておけぬ」
厨二「退魔の一族の生き残りとして、ここで討たせてもらうぞ…!」
女「……」
女(こんなの、おかしい)
女(あってはならない)
女(…僕は、何を間違えたの?)
女(うっかり彼に魔眼を使ったこと? 外の世界に興味を持ってしまったこと? お母さんに愛想を尽かせてしまったこと? 幼い頃に力を制御できなかったこと? 行く先々の土地で多くの人間を魅了し破滅させたこと? その度に家族に引越しさせていたこと? 何も知らず無邪気に振舞っていたこと?……いや)
女(……魔眼を持って、生まれてきたこと……?)
女(そうだ…僕にこんな力があるせいで…!)
女「こんな眼がついてるせいで! こんな!! こんな!!」ガリガリ
厨二「…無駄だ、魔眼は決して傷つかず宿主から離れない」
厨二「掻いても皮膚が剥がれるだけで苦しいだけだ」
女「いらない!! いらない!! こんなのぉ!!」ガリガリ
厨二「…ふん、壊れたか」
厨二「魔眼使いと言えど所詮は小娘という訳だな…」
女「なんで…なんで私はいつも…一人なのっ……!!」ガリガリ
女「私はただ…普通女の子みたいに…」ガリガリ
女「友達とプリクラ撮ったり…部活の先輩に憧れたり…恋したり…したかっただけなのにっ……!!」ガリガリ
厨二「化け物には過ぎた願いだな」
厨二「…待ってろ、今このナイフで楽にしてやる」チャキッ
厨二「母さん…」
厨二「やっと一人…皆の遺志を継いで、魔眼使いを…!」
ガシッ!
厨二「…何の真似だ?」
女「……」ボタボタ
厨二「ふん、目の周りが真っ赤に染まって…いよいよ化け物らしくなったじゃないか」
厨二「…で、何故止めた? お前とてこの我に殺されるのは本望じゃなかったのか?」
厨二「もしかしたら『友達』になれたかもしれない我に?」
女「……るな」
厨二「なに?」
女「―――囀るな、ゴミ虫」キィィン
厨二「!」
厨二「…!?」
厨二(ば、馬鹿なッ! 声が出せない!)
厨二(そんな馬鹿なことがあるか!! 退魔の眼がある限り我に魔眼の力が届くはずがっ……!!)
女「僕から眼を逸らすな…」キィィン
厨二「っ!」グイッ
厨二(な、なんだこの眼は!? さっきの闇を湛えた眼ではない…!)
厨二(まるでこの世全ての憎悪を孕んだような…睨まれただけで死を感じさせる紅の眼…!)
厨二(…! ま、まさかこいつが…魔眼使いの頂点に君臨する―――)
女「―――死ね」
肉塊「」
女「……」
パチパチパチ…
女「…?」
サンタ「いやぁお見事です、女王様」
サンタ「ようやく魔眼の真の力を解放されたようですね」
女「あなたは…?」
サンタ「陰ながら貴女様の成長を見守っていた者ですよ…」
サンタ「貴女は確か…サタンさんでしたかサンタさんでしたか…そのように呼んでいましたね」
女「……」
サンタ「ああ、その紅い眼で見つめられると私の心は強い感慨で満たされていきます…!」
サンタ「魔眼を目覚めさせる為に、心を痛めながらも貴女様を過酷な環境に置き、時には家族を奪いもしました…」
サンタ「しかし、その苦労が実った証が今目の前にあることの、なんと素晴らしきことか……!!」
女「…ふぅん」
サンタ「…不快に思われましたか?」
女「もう…どうでもいい…」
女「…それよりも、私の魔眼は相手を魅了する能力のはず」
女「でも…」チラッ
肉塊「」
女「これは…?」
サンタ「何をおっしゃいます! 我ら魔眼使いの女王であられるお方がその程度な訳が無い!」
サンタ「世界そのものを魅了し、全てを意のままに操作する…正に女王に相応しき能力をお持ちですよ…!」
女「…よく分かんない。僕強いの?」
サンタ「はい、凄く」
女「…さっき我らって言ったよね?」
サンタ「ええ、言いましたね」
女「私みたいなのが他にもいるの? どのくらい?」
サンタ「私含め66人でございます」
女「…結構いるね」
サンタ「魔眼を持つ者はある日突然生まれてくるもの…」
サンタ「まだまだこの国には多くの同胞が潜んでいるものと思います」
女「そっか…ええと、僕は女王なんだよね?」
サンタ「はい! 我ら魔眼使いを導く最強の御方にございます!」
女「じゃあ世界中のありとあらゆる魔眼使いを集めて、僕達だけの…魔眼の国を作ろう」
女「…もう誰も、寂しい思いをしないように」
サンタ「おお…おお…!」
サンタ「ご命令とあらば必ず…女王様の望む国を作り上げて見せましょう…!」
女「うん、お願い」
サンタ「…それでは女王様、我らの拠点にご案内しましょう」
サンタ「他の皆も今や遅しと女王様の登場を待ち望んでおります」
女「分かった…行こっか」
サンタ「はい!」
女「……」
女「…………さよなら」
数年後―――
世界各地で無差別な大量虐殺が起こる。
それは戦争などではない。
圧倒的な個による群の殲滅。
羊の群れにミサイルを打ち込むような凄惨な光景。
その鮮血の海の中心には、常に紅眼の少女の姿があったという。
END
俺が無能で変な感じになっちゃったようだな、すまん
でもこういう厨二全開のssが書きたかったんだよ…!
付き合ってくれてありがとう。依頼出してきます。
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