千里眼と○○○(50)

ピンポーン…

男「ん…お客さん」スッ

ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン…

男(何回も…うるさい…)ガチャ

女「こ…こんばんは!はじめまして女と言います!」フルフル

男「あ…はい…こんばんは」

女「と…とりあえず中に入れてください!」フルフル

男「…はい?」

女「いや…ほら…寒空で立ち話もなんですし…チェーン外してください!」ガチャガチャ…

男「すいません…知りもしない人を家に上げるわけにはいきません」パタン カチッ

女「開けて…開けてぇ~」ガチャガチャ

女「開けて…ください…」カチャカチャ…

シーン…

男「…静かになったけど、もう居ないかな?」カチャ

女は倒れていた

男「大丈夫ですか…?」

チェーンを外し、声をかける

女「…」ガバッ!サササッ!

女「お邪魔します!」ニコッ

男「…」

~部屋~

女「温まります…」

男「迷惑なので、それ飲み終えたら出ていってくださいね」

女「やっぱり突然こんな風に~はダメですよね…」

男「通報されてもおかしくないですからね?」

女「うぅぅ…ごめんなさい…決して悪いことしようとしてじゃないんです…」

男「じゃあ一体なんの用があったんです?」

女「しばらくの間…一緒にいてほしくて…」

男「警察…今からでも遅くないですよ?」

女「ま…待って…」

女「私…未来が見えて…これからあなたに良くないことが起こるから…それを知らせたくて…」

男「ツボとか買わされる感じですか?」

女「違いますっ!!」

女「その不幸の起こる日が過ぎ去るまで一緒にいたいんです!」

男「それでお金しぼり取られる…と?」

女「取りません!!信じてください!ただそばにいさせてもらえればいいんです!」

男「まぁ…俺に害がないならいいですけど…」

女「大丈夫です!私の事はおかまいなくです!」

男「ならまぁ…お好きなように…」

女「やった!それじゃ準備しますね」タタタッ…

女「んしょんしょ…」ドサッ!

男「その荷物は…」

女「お泊りセットです!」

男「…泊まるんですか?」

女「一緒に~ですから♪」

男「…俺の不幸って夜の間に起こるの?というかいつ起こるの?」

女「秘密です!」

男「…まぁ…部屋は余ってるし…いいか…」

女「ふんふ~ん♪」ガサゴソ

男「すごい荷物ですね…そのぬいぐるみは…」

女「これがないと眠れないんです!」

男「はぁ…」

女「ふんふ~ん…」グキュルル~

男「…」

女「…」グキュルル~

女「…」チラッ

男「…(こっち見んな)」

女「…」ジ~

男「ご飯作ればいいんですか?」

女「…」コクコク

男「余り物しかないですからね」

女「ありがとうございます♪」

女「美味しいです!」モグモグ

男「それはどうも」

女「男さんて料理上手なんですね!」

男「なんで俺の名前を?」

女「だから…未来が見えるんですって」

男「ふ~ん…不思議なこともあるんだね」

女「あんまり驚かないんですね」

男「詐欺師とかなら俺の名前くらい知ってて来るでしょ?」

女「詐欺師じゃないです~!!」

男「はいはい」

女「…あの…さっきはおかまいなくって言ったんですけど…もし男さんがよければ…私…彼女みたいな立場に…してほしいなて…」

男「ん~…お金は出さないよ?」

女「大丈夫です!彼女として~でいいんですか?」

男「お好きなように」

女「男さん!大好きです!」

男「言われて悪い気はしないね…騙されないように注意しないと…」

女「~♪」モグモグ

私はもうすぐ死ぬ…

通り魔に刺されて…

運命って不思議で…変えようとあがいてみても、結論までは変えられない…

未来を見通す力…見通せるだけで、なんにもできない…

普通の女の子として過ごしてきた…それが私が見てきた、私の未来だったから…

私の死期がこんなに早いなんて…それだけが悲しかった。

被害者は2名。私と男さん。
私が襲われるのを男さんが目撃して、助けに入ってくれて…そのまま…

すごく勇敢で…優しい人だなって…ずっと思ってた

お礼が言いたい…死ぬ間際の一瞬だけしか会えないなんていや…死ぬ前に男さんに会ってみたい…

男「女さん?」

女「…は!はい!」

男「どうかしました?」

女「少し考えごとしてました」アセアセ

男「そうですか、お風呂用意するのでよければ入ってくださいね」

女「あ…ありがとうございます」

男「用意できましたよ。着替えとかはありますよね?」

女「はい……の…覗かないでくださいねっ!!?」

男「不安なら、近くのお風呂屋さん行ってもらってかまいませんよ?」

女「…ごめんなさい…いただきます…」シュン…トボトボ

チャプン…

女「覗かないで~なんて言わなくても、男さんは覗いたりしないんだけどね…」

女「温かい…」

女「会えて…よかったな…」

女「…って!!なんで落ち込んでるの!?私!!」

女「元気出して!明日から男さんといっぱいデートして思い出作るんだから!」

女「デート…デート…男さん…」ドキドキ…プクプクプクプク…

女「でもなんでだろう…この先どうなるのか見えない…今までは運命と違う行動しても、結末までの未来は見えたはずなのに…」

女「お風呂上がりました!」

男「それじゃあ俺入ってくるね…通帳とか…盗まないでね?」

女「盗みません!」プンプン

男「言ってみただけです。この部屋、使ってください。布団も敷いておいたので、よければ先に休んでくださいね」ニコ

女「…色々ありがとうございます…」

男「さっぱりしました………」

男のベットで寝ている女

女「…」

男「…」クルッ…スタスタ…モソモソ

布団に入る男

女「!!」バッ…スタスタ…モソモソ

布団に一緒になって入り込む女

男「なにがしたいんですか…」

女「カップル…ですもん…!」ドキドキドキドキ

男「…好きにしてください」

女「あの…今日は突然訪ねて…こんな強引なことして…本当にごめんなさい…」

男「…」

女「失礼なのは承知してて…それでもこうしていたいんです…」

男「…」

女「数日後には居なくなりますから…私のわがまま…聞いてください…お願いします…」

男「大丈夫ですよ。色々突然すぎて驚きましたけど、嫌ではないですし、好きなようにしてください」

女「…だ…抱きしめてください」

男「…えっ?」

女「抱きしめて…ください…」

男「…」ギュッ

女「ふぇ…朝…?」

女「…あのまま寝ちゃってたんだ…」

シーン

女「…男さん…」キョロキョロ

シーン

女「お仕事行っちゃったのかな…」

女(デート…したかったのに)

ジャ~…ガチャ…
女「!?」ビクッ

男「…おはよう女さん」ファァ…

女「あ!おはようございますっ」

男「…どうかした?」

女「いえっ…何でもないです(トイレだったんですね、全然気が付かなかった…)」アセアセ

男「朝ごはん作るね」

女「は…はい!」ニコッ

朝食

女「…」モグモグ
男「…」モグモグ

女「…あの…」
男「ん?」

女「今日ってお仕事ですよね?」
男「今日は休みとったよ」

女「えっ!?」
男「家に知らない人だけ残して出かけられないでしょ?」

女「…私そんなに信用ないですか…?」
男「冗談だってば、せっかくだし、どこか出かけようか」

女「私もお願いしようと思ってたんです!いいんですか?」
男「デートだね」

女「///」…モグモグ

水族館

女「わぁ~男さん男さん!とっても綺麗ですよ~」キャッキャ

男「そうだね~」

ショッピング

女「…どうですか?似合いますか?」モジモジ

男「ちょっと大人っぽすぎるかな…こっちの方が女さんらしいかも」スッ

女「子供服じゃないですか~!!」ムキーッ

帰りの電車

女「楽しかったです!」

男「それはなにより」

女「男さんは楽しかったですか?」

男「楽しかったよ」

女「…男さんてあんまり感情を表に出さないんですね」

男「そんなことないよ」

女「そんなことあります!」

女「…私はとっても楽しかったです」

女「あの…もっと近くに寄ってもいいですか?」

男「いいですよ」

ピトッ

女「…これからもずっと…こうしていたい…です」

男「…そうだね」



女「ごちそうさまでした」
男「おそまつさまでした」

女「とっても美味しかったです!」

男「それはよかった」

女「でも…食後のデザートが食べたいです!」

男「ないです」

女「食後の運動を兼ねて、コンビニに買いに行ってきます!男さんはなにか欲しいものありますか?」

男「それじゃあ同じのをもう1つお願いできますか?」

女「分かりました!買ってきますね!」スタスタ…パタン

男「…」

夜道…暗がりの向こうからパーカーを深くかぶった人が歩いてくる。

すれ違う瞬間…私は襲われ…お腹を刺される…

声も出せないまま塀にもたれる私、通り魔がナイフを構えなおし、私に突進してくる…

私は死を覚悟して目をつむる…

2度目…新たな痛みはなくて…目をあけるとそこには男さんが居た。

男さんは私を守って、背中を…

私は力が抜けてそのまま崩れ落ちて…

男さんは通り魔へと向き直って…

通り魔は邪魔が入ったからか、そのまま逃げていった…

それを見届けた男さんは、そのまま地面に倒れて…

私も目の前が少しづつ暗くなって…未来が終わる。

女「今日…なんだよね…」

女「これで…男さんは家に居るから…助かるよね…」スタスタ

女「何もしてなければ…男さんは仕事帰りで、この道を…」

女「私は運命にちゃんと従うんだから、男さんの命くらいは見逃してくれるよね?運命取り繕うために男さんを瞬間移動!とかしないでよ?…ねぇ…神様…」スタスタ…

女(…あの人…)スタスタ…

前からパーカーの男

女(男さん…ごめんなさい…デザート…買って帰れない…)スタスタ

通り魔がナイフを取り出す

女(…死にたくない…男さん…助けて…)

目を固く閉じる女

グサッ

女(あれ…痛くない…)

男「大丈夫?女さん…」

女「!?」
女「なんで…」

男「あはは…痛いね…これ…」

女は力が抜けて崩れ落ちる

男「俺のことは心配ないよ、女さんが無事でよかった…さてと…」クルッ…

男「…逃げるなよ?」

通り魔「…チッ」クルッ…

男「○○会社勤務の○○××だろ?」

通り魔「…」ピタッ

男「仕事でだいぶストレスためてるみたいだけど、その発散方法がこんなことか?」

通り魔「…」

男「その仕事でのストレスもあんたがちゃんとしてないからだろ?」

通り魔「うるせぇぇぇぇ!黙れぇぇぇ!」クルッタタタタッ

男(怒りにまかせた突進…ギリギリでかわして、足をかけ転ばせる)

ガシッ…ズシャア…

男(体制を立て直す前に、ナイフを持つ手を踏みつけナイフを奪う…)

グイッ…

男(腕を取り、上に乗り見動きを封じ、ナイフを突きつける…)

男「暴れたら刺す…俺も人生どうでもよくなってんだ…人を殺すことだって、やろうと思えばいくらでもしてやる…」

男「ただな…自分の人生がどうでもいいからってな…他の人間を不幸にする行いはダメだ」

男「まだあんたならやり直せる。警察行くぞ」

通り魔「…」

男はそう言って通り魔の上から降り、ナイフを捨て、警察に通報した。

通り魔は警察が来るまで、同じ体制のまま動くことはなかった。

通り魔は素直に警察の指示に応じ、連行されていった。

男はそのまま病院へ。女も付き添い。
警察への説明も終え、二人だけの時間。

男「いや~、お医者さんいわく、このケガじゃ死なないって!よかったね女さん!」

女「よくないですよ!すっごく心配したんですから…そもそも…なんであの場所に男さんが…」

男「ん…あのね、読心術…」

女「…読心術?なにを言ってるんですか?」

男「女さんて本当に未来が見えるんだね、びっくりしたよ」

女「…?」

男「女さんに未来を見通せる力があるように、俺の場合は人の心が見えるの」

女「!!」

男「女さんの心も会った時から見てて、悪い人じゃないな~て分かったし、むしろ好意を抱かれてて嬉しかった」

女「…」

男「女さんが見てる未来も当然のように見えてさ、俺死ぬのかよってね」

女「…」

男「でも女さん、あの場所に一人で行くんだもん…心配したのはこっちだよ?」

女「…ごめんなさい」

男「女さん、通り魔に刺されそうになった時、死にたくない~助けて~て、最初から言ってもらえてれば、もっと力になったのに…」

女「…ごめんなさい」モジモジ

男「とりあえず女さんが無事でよかった」

男「あとね、運命は変えることはできないって思ってるみたいだけど…」

男「本気になれば、なんだってできると思うんだ」

女「…」

男「今まで変えられなかったのは、女さんができないって諦めてたからで」

男「きっと今回は女さんが本気になったから変えられたんだよ?」

男「頑張ったね女さん♪」ヨシヨシ

女「…」

男「それでね…俺もわりとすぐに諦めちゃう人間でさ…」

男「でも本気にならなきゃなって思ったことがあって…」

女「…?」

男「女さんが…よければなんだけど…」

男「これからも彼女として…付き合っていただけますか?」

女「…はいっ!」ニコッ

おわり!

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