P「今の765プロに足りないのは『修行パート』だ!」伊織「は?」 (109)

伊織「…」

P「…」

伊織「…」

P「今の765プロに足りないのは…」

伊織「いや、聞こえてんのよ!聞こえた上での沈黙よ!何よ、『修行パート』って!?」

P「『修行パート』っていうのは物語によくある登場人物がレベルアップするための…」

伊織「だからそういう意味で聞いてるんじゃないっての!なんでこんなに伝わらないのよ!?」

P「悟りのために仏道に挑んで…」

伊織「多分だけどそれWikipediaからの引用じゃない!?」

P「まぁ冗談はこの辺にしておいて…765プロには『修行パート』が必要だ!」

伊織「だから…その説明をしなさいっての…」

P「知っての通り、近年芸能界では様々な勢力が台頭している」

伊織「まぁ、たしかに…一時期に比べてアイドルは増えたわよねぇ…」

P「その通り、我々の因縁の相手である961プロだけでなく、シンデレラガールズを擁する346プロ、ジュピターと秋月涼が電撃移籍をして勢いに乗っている315プロ。ザッと数えただけでもこれだけのライバルがいる」

P「我々と協力的な関係にあるとはいえ、ディアリースターズを擁する876プロも実力は充分。765プロ内でもシアター組が着々と実力をつけ、経験の差を埋めつつある…」

伊織「そんな…私たちじゃ…私たちじゃ勝てないって言うの!?」

P「そんなわけないだろ!お前たちは、俺や社長が見つけた宝石だ!誰にも負けやしない!ただ…」

伊織「ただ?」

P「…努力は必要だ。今のお前たちは言わば原石…まだまだ磨く余地がある…」

伊織「はぁ…なるほど…それが『修行パート』ってわけね?」

P「そうだ、お前たちはこんなところで埋もれるようなやつらじゃない。ここらで大幅なレベルアップをしよう」

伊織「全く…アイドルアルティメイトも取って、ランクも全員Sだってのに…まだ高みには遠いのね…」

P「どうした?嫌になってくるか?」

伊織「は?何言ってるのよ!逆よ、逆!上等じゃない、そうこなくっちゃ!」

P「伊織…やっぱりお前は最高だよ!」

P『一年だ…一年間、その間にそれぞれがレベルアップするんだ!』

伊織(その日のうちにプロデューサーはうちのアイドル全員にそう告げた…)

伊織(みんなはそれぞれがレベルアップできるように別れて行った…)

伊織(そして…)

一年後

伊織「…この街は変わらないわね」

伊織(私は海外に留学していた…)

伊織(うちの仕事上、私にとって海外は身近な存在だった…)

伊織(私は日本だけで満足しない…より高みへ…世界へ羽ばたくために留学という手段を選んだ…)

伊織「まあ海外にいたからみんなの動向がわからなかったけど…」

伊織(そこは信頼がある…みんななら、確実にレベルアップしているという信頼が)

765プロ

伊織「ふぅ…何故かしら、あんなに毎日通い慣れた場所だったのに…緊張するわね…」

伊織(でも大丈夫…)

伊織(英語だけじゃない、本場のミュージカルや演劇も学んだ…)

伊織(律子や小鳥の助けになれるように簿記や経営学だって飛び級してまで学んだ…)

伊織「今の私は…」

伊織(誰よりも…輝ける!)

ガチャ

伊織「はーい♪久しぶりー!みんなのアイドル伊織ちゃんのお帰りよー!」

シ-ン

伊織「へ?」

シ-ン

伊織「な、なんで誰もいないの…?」

ジャ-

ガチャ

P「ふぅ、いやぁ便秘気味だったからなぁ…スッキリし…」

伊織「…」ビシッ

P「べぼら!?」

P「いたたたた…急に何が…ん?おお伊織か」

伊織「『ん?おお伊織か』じゃないわよ!何で感動の再開がトイレ終わりなのよ!?」

P「いやぁ、2日ぶりだから中々の大物が…」

伊織「うんこの話から離れなさいよ!?こんな終始汚い再会他にないわよ!?」

伊織「だいたいなんで他に誰もいないのよ?」

P「いやいや、伊織が一番早かったんだって。みんなもうそろそろ来ると思うよ」

伊織「全く…」

P「…しかし伊織」

伊織「ん?何よ?なんか文句あるわけ?」

P「いや、一目でわかる…成長したな!」

伊織「まぁね、自分で言うのも何だけどこの一年は血反吐を吐く思いで努力したわ」

P「あぁ、それでこそ伊織だ!」

伊織「あんたのことも置いて行っちゃうかもね」

P「ふふふ…果たしてそうかな?」

伊織「え?」

P「俺だってこの一年…遊んでいたわけじゃない!」

ゴゴゴゴゴ

伊織「え?な、何?何なの?」

P「はぁぁぁぁぁぁあ!!!」シュウシュウシュウシュウ

ゴゴゴゴゴ

伊織「な、何これ?何で事務所が揺れてんの!?」

P「はぁっ!!」ビシュウッ

ビキビキ

パリ-ン

伊織「きゃあ!?窓ガラスが割れた!?」

P「はぁ!?」バシュウ

ドコォ

伊織「か、壁に穴が…」

P「はーはっはっはっ!」

伊織「な、何なのよ…あんた本当にプロデューサーなの?」

P「ちがうな…俺は…」

P「超プロデューサーだ!!」

伊織「…ってドラゴンボールか!?」

P「へ?」

伊織「何で修行の方向性がドラゴンボールなのよ!?仮にもプロデューサーならプロデュース力磨きなさいよ!」

P「いや、プロデュースしていったら武力が必要になる場面も…」

伊織「無いから!仮にも法治国家だから!」

P「せっかく『拡散エネルギー弾』も覚えたのに…」

伊織「技のチョイス!?せめて太陽拳くらいにしなさいよ!」

P「ほら、そうこう言ってる間にみんなも来たみたいだぞ?」

ガチャ

春香「おっはようございまーす!」

伊織「春香!?」

春香「あ、伊織、久しぶり~」

伊織「久しぶり、春香…あんたも…」

春香「うん、一年間、遊んでいたわけじゃないよ!」

伊織「ふふっ…対した自信ね…でも私だって負けないわよ!」

春香「ふぅん…これでも?」スッ

伊織「ん?リボンなんてほどいてどうし…」

ドサッ

伊織「じ、地面が…」

春香「このリボン…片方約10kgの重りがついているの…」

P「つまり、両方合わせて20kg…」

春香「それを外した時、私は…」ヒュンッ

P「なっ!?」

伊織「き、消えた!?」

春香「いいえ、ここに居ますよ」

伊織「な、なんて速さなの…ってちがぁぁぁぁぁぁあう!」

春香「え?」

P「どうした?」

伊織「だから『どうした?』じゃないのよ!?なんでどいつもこいつもドラゴンボール的な修行してるのよ!?なんでリボンがピッコロのターバンみたいになってるのよ!?なんで重りを外して超スピード出してんのよぉぉぉお!?」

春香「伊織、そんなに叫んで喉乾かない?」

伊織「こんだけツッコまれた感想がそれかい!?」

春香「あのね、伊織。伊織は勘違いしてるよ?」

伊織「何がよ!?」

春香「確かにリボンの重りはそうだけど、私は超スピードを会得したわけじゃないよ?」

伊織「え?そうなの?」

春香「当たり前じゃん。アイドルが超スピードなんか手に入れて何になるの?」

伊織「いや、それは私が知りたいくらいだけど…」

春香「私がリボンを外したことによって影が薄くなったからミスディレクションしただけだよ」

伊織「いや、黒子のバスケか!?」

春香「でもこれで変幻自在のパスが…」

伊織「あんたアイドルでしょうが!目立ってなんぼのアイドルがミスディレクションってアホかぁぁぁあ!?」

春香「…」シュンッ

P「俺はいいと思うぞ、敵に見つからないってのは攻撃を受けることも少なくなるってことだからアイドルとしては傷が…」

伊織「アイドルが受ける攻撃って何よ!?」

ガチャ

真「おはようござ…って伊織じゃないか!?久しぶり!」

伊織「真、あんたもこの一年でドラゴンボールの住人になったんじゃないんでしょうねぇ?」

真「は?ドラゴンボール?何言ってるの?」

伊織「…まあ心当たりがないならいいわ」

真「ドラゴンボールって…伊織、漫画の読みすぎだよ…」

伊織「うるさいわね!あんたが一番そうする可能性高いでしょうが!」

真「僕はちゃんとアイドルとしての自分を考えたよ…」

伊織「ふぅ…やっとまともなやつが来たわ…」

真「僕のアイドルとしての武器と言えば『まこまこりん』だよね」

伊織「あら?まともじゃなかったみたいね」

真「いや、僕が感じたのは『まこまこりん』の限界…つまり…」

真「『まこまこりん』との決別だよ」

伊織「あら?やっと気づいたの?」

春香「そ、そんな…」

P「真!?正気か!?」

伊織「いや、至極真っ当な判断でしょうよ!?」

P「『まこまこりん』のない真なんて…パイナップルのない酢豚と一緒じゃないか!!」

春香「そうだよ!パクチーのないエスニック料理と一緒だよ!!」

伊織「どっちも人を選ぶわ!微妙に失礼なのよ!」

真「…とは言え、僕も長年連れ添ってきたからね…最後に手向けくらいはしてやりたくってさ…」

伊織「何をしたのよ?」

真「山にこもった」

伊織「は?」

真「いや、だから山にこもって…」

伊織「何で!?何で山にこもる必要があったの!?今の流れで!?」

P「いや、修行するのに山ごもりはわりとベターだろ…」

伊織「だからあんたは漫画から離れなさいっての!なんでアイドルの修行で近所の山にこもる必要があるのよ!?」

真「近所の山じゃないよ、比叡山だよ」

伊織「余計にタチが悪いわ!何を修行用の山選んでんのよ!?」

春香「そこで野生の熊と戦って、野生の勘を身につけたんだね?」

伊織「頼むから、おかしいって自分で気づいて…」

真「そんなことするわけないだろ?」

伊織「良かった…まだ希望は残ってたのね…」

真「僕がしたのは…感謝だよ」

P伊織春香「「「感謝?」」」

真「最初は嫌いだった男の子っぽさ…父さんに無理やりやらされた空手で得た強さ…自分が求めた可愛さから生まれた『まこまこりん』…その全てに…感謝をすることにしたんだ…」

伊織「うん、ごめん、意味がさっぱりわからないわ」

P「感謝って…具体的には何をしたをだ?」

真「今回決別することにはなったけど…今まで自分自身を育ててくれた『まこまこりん』への限りなく大きな恩…」

伊織「あれ?どこかで聞いたことが…」

真「自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが…」

伊織「すごく嫌な予感が…」

真「1日一万回、感謝の『まこまこりん』をすることだった…」

伊織「HUNTER×HUNTERぁぁぁあ!」

真「え?」

伊織「それHUNTER×HUNTERでしょうが!?あんた何?百式観音でも発現させる気!?」

P「伊織、漫画の読みすぎだぞ」

伊織「あんたらの方こそねぇぇぇえ!」

真「そうしているうちに…僕の『まこまこりん』は…」スッ

P「ん?どうした真?『まこまこりん』のポーズで…」

マッコマッコリ-ン

P「!?」

真「音を…置き去りにした…」

P「ふっ…やるじゃないか…」ゴクリッ

伊織「いや、だから何!?」

春香(この歳で『まこまこりん』で音速を超えるだなんて…おそろしい…)

春香(でもそれ以上に悲しい子…日常が『まこまこりん』だったはず…今こうして…)

伊織「HUNTER×HUNTERから離れろぉぉぉぉお!」

春香「いや、私何も喋ってない…」

伊織「だいたいわかるわぁ!どうせ余計なこと考えてるでしょ!?」

ガチャ

亜美真美「「おはおはー!」」

真「あ、亜美!真美!」

春香「久しぶりだね!」

伊織「今度こそ大丈夫なんでしょうね?」

亜美「今度こそ?」

真「なんか今日の伊織変なんだよ」

伊織「変なのはあんたらの一年間よ!?」

P「お前たちはどんな修行をしてきたんだ?」

亜美「まぁ色々考えたんだけどさ」

真美「真美たちの長所って『双子』じゃん?」

伊織「いや、他にもあるでしょ…」

亜美「ただでさえ美しい顔が、二つもあることが魅力じゃん?」

伊織「よくもまあそこまで自信を持って言えるわね…」

真美「じゃあそれを更に増やせば…」

亜美「魅力倍増!」

伊織「だから何を言って…」

真美「「魅力倍増!」」

伊織「ん?」

亜美「「どうしたの?いおりん?」」

伊織「あ、あれ?私疲れているのかしら…」

真美「「大丈夫?いおりん」」

伊織「亜美と…真美が…2人ずつに…」

亜美真美「「「「それが亜美(真美)たちの能力だよ」」」」

伊織「いや、あんたらもかい!?」

P「こら!亜美!真美!」

真「流石にこれは…」

伊織「そうよ!いや、正直あんたたちが言えることじゃないけど…言ってあげなさい!」

春香「そんな能力、容量(メモリ)の無駄使いでしょ!」

伊織「そうそう、容量(メモリ)の無駄づか…って違ぁぁぁぁあう!?」

P「分身(ダブル)は高度な具現化系と操作系の複合能力だから辞めろって言っただろ!」

春香「変化系の2人には難しいよ…」

伊織「え?この2人変化系なの?」

真「だいたい、戦いの最中にこんなの出せないでしょ?」

伊織「戦いって何よ!?ライブでも出しちゃダメだけども!?」

ガチャッ

伊織「何!?今度は誰!?」ガルルル

雪歩「ひぅ!?ご、ごめんなさぃぃぃい!?」

亜美真美「「「「ゆきぴょん!」」」」

伊織「いい加減能力引っ込めなさいよ!」

亜美真美「「「「はーい」」」」

シュンッ

雪歩「どうしたの、伊織ちゃん?ご機嫌ななめみたいだけど…」

春香「うーん、なんか今日の伊織、機嫌悪いみたい」

伊織「なんで私がおかしいみたいになってんのよ!?」

真美「いおりん、カリカリしすぎだよぉ」

亜美「多分強化系だね」

伊織「だから、HUNTER×HUNTERから離れ…って誰が単純バカよ!?」

P「で?雪歩はどんな修行をしてきたんだ?」

伊織「穴掘りを強化して『ディグダグ』とかじゃないでしょうね?」

雪歩「穴掘り?強化?」

真「伊織、何を言ってるの?」

亜美「ゲームのやりすぎじゃない?」

伊織「あんたらが言うな!あんたらが!」

雪歩「私は…私の長所って何だろうって考えて…」

伊織「うん、みんなここまではいいのよ、ここまでは…」

雪歩「お茶が好きなこと?焼肉が好きなこと?穴が掘れること?…いや、どれも違ったの…」

伊織「…私は油断しないわよ…」

雪歩「私が…私が伸ばそうと思ったのは…『詩(声)』だった…」

伊織「…なんかよくわからないルビが振られてる気がするけどまぁいいわ…」

雪歩「今までの私は…詩や…ポエムを好きと言いながら…それを隠してきた…」

春香「亜美真美が朗読大会した時は引きこもったりしてたもんね…」

亜美「ゆきぴょん…」

真美「ごめんなさい…」

伊織「いや、ほんとよ、何してんのよあんたら…」

雪歩「ううん、いいの、むしろ私は自信を持って…本当に好きなら自信を持って、あの子たちに向き合わなきゃいけなかったんだよ!」

伊織「お、おぉ…今回は期待できるわね…」

雪歩「今の私は…真ちゃんへの想いを綴ったポエムも…胸を張って言えるよ!」

伊織「それは秘めときなさいよ…死ぬまで…」

真「は、ははは…」

雪歩「まあ冗談はさておき、私はこの一年間、詩やポエムの勉強をしてたんだ」

P「なるほど…」

伊織「やっとまともな修行をしてきた人が現れたわね…」ウルッ

亜美「ねーねー、いおりん」

真美「真美たちとゆきぴょんで何が違うってのさぁ?」

伊織「クソほど違うわぁぁぁあ!?いい?詩やポエムを勉強するってことは自分自身で作詞が出来るってことよ?これはアイドルに限らずアーティストとして大きな武器よ!」

亜美「へー」

P「そうなんだー」

伊織「いや、あんたがその認識はダメでしょ!?何シレッと真美ポジションにいるのよ!?」

春香「それはそうと、雪歩はどんな詩を書いてるの?」

真美「あ、それ気になる!」

真「一つでいいから聞かせてよ」

雪歩「え?じゃ、じゃあ真ちゃんへの愛のポエムを…」

真「あ、できたらそれ以外で」

伊織「厳し!?いや、あんたは聞いてあげなさいよ…」

雪歩「全部で13章あるんだけど…」

伊織「ロードか!」

春香「できたらもう少しお手軽なやつの方が…」

雪歩「わかった…じゃあこれなんかどうかな?」

雪歩「滲み出す混濁の紋章…不遜なる狂気の器…」

亜美「おお…」

真美「なんかそれっぽいね…」

伊織「えぇ…」

伊織(でも何かしら…この漠然とした不安は…)

雪歩「湧き上がり…否定し…痺れ…瞬き…眠りを妨げる…」

春香「こういうのってあれ?邪気眼系ってやつ?」

P「あぁ、系統としては確立されているな」

真「346プロにも似たようなことしてる子いましたよね」

伊織「…あっちは日常会話がそれでしょ」

伊織(違う…そんなレベルじゃない…私の不安はそこじゃない…)

雪歩「爬行する鉄の王女…絶えず自壊する泥の人形…」

伊織(もう少し…もう少しで何かわかる…)

雪歩「結合せよ…反発せよ…」

シュウウウ

伊織「…ってこれ…」

P「伊織!?危ない!」ダッ

雪歩「地に満ち己の無力を知れ!」

伊織「へ?」ガシッ

P「ふん!」ブンッ

雪歩「破道の九十!『黒棺』!」

ギャゴォォォォォオ

伊織「…」

P「ふぅ…危なかったな…」

伊織「『危なかったな…』じゃないわよ!?途中で気付いたけど、あれ『黒棺』の完全詠唱じゃない!?」

雪歩「流石伊織ちゃんですぅ、私の完全詠唱の『黒棺』を避けるだなんて…」

伊織「え?何?あんた、私のこと殺す気だったの?」

P「雪歩!まだまだだぞ!」

雪歩「はい…すいません…」

伊織「いや、そこじゃないから!?大事なことそこじゃないから!?大体それ、BLEACHでしょうが!」

雪歩「あ…この一年はポエム協力してて…」

伊織「ポエム協力って何!?『BLEACHならありそう』ってギリギリ思えるけども!?ジャンプ漫画から離れなさいよ!?」

ガチャッ

千早「オハヨウゴザイマス」カクカク

伊織「いや、離れろとは言ったけども!?」

千早「アラ?ミナセサン、ヒサシブリ!」カクカク

伊織「なんで!?なんでロボットになってるの!?」

春香「あ、おはよう、千早ちゃん」

伊織「親友がロボットみたいな喋り方になってんのよ!?もっと他に言うことあるでしょうが!」

千早「ワタシ、キヅイタノ…」カクカク

伊織「何によ…」

千早「イマ、ウタイタクテモウタエナイヒトガフエテイル…」

千早「ワタシタチミタイニ、ノドヲコクシスルカシュノナカニハ、ノドヲイタメテニドトウタエナクナルヒトモイル…」

千早「ふぁんニモトメラレテイル…ソレナノニ、ウタウコトガデキナイ…ソンナノゼッタイニイヤ!」

P「だから千早は自らの身体をロボ化したんだ…」

伊織「何その最高の動機からクソみたいなゴールは!?」

亜美「千早お姉ぢゃん~」ウルウル

真美「そこまでの想いがあったんだね~」ウルウル

伊織「よくそのテンションで泣けるわね…」

P「小型ミサイルや、熱光線も出せるぞ」

伊織「だからなんでそっち方面に行くのよ!?」

P「防御面も安心してくれ、核爆発にも耐えられる」

伊織「『なんで攻撃力にしか振らないのよ!?』って言ってるんじゃないのよ!『なんで戦闘用に修行しちゃうのよ!?』って言ってんの!」

P「まさに“鉄壁”!」

千早「クッ!」

伊織「それが言いたいだけでしょ!?」

伊織「大体、そういうことなら声だけ収録しとけば今の技術なら…」

千早「ソンナオキャクサマノコエニオコタエシテ…」

P「『千早ッポイド』19,800円で公表発売…」

伊織「してんのかい!?」

P「正式には『千早ッポイドver.9.6』だ」

伊織「あら、割とアップデートされてるのね…じゃないわよ!」

ガチャッ

美希「あふぅ…」

亜美「あ、ミキミキだ!」

真美「おはよう!」

美希「あふぅ…おはよ…」zzZ

伊織「え?何?こいつも修行したの?」

P「もちろんだ」

美希「…」zzZ

伊織「事務所に着くなり寝てるんだけど…むしろダラしなくなってない?」

P「いや、ちゃんと美希に足りなかったものを補って、パワーアップしているぞ」

美希「あふぁ…」

伊織「…全然そうは見えないんだけど…」

P「…しょうがない…亜美!真美!準備してくれ!」

亜美真美「「アイアイサー!」」ビシッ

亜美「的をここに置いて…」ヨイショ

真美「ほーら、ミキミキ~、エアガン握ろうね~」

美希「あふにゃぁ…」ニギッ

パンッ

パンッ

パンッ

真「す、すごい…」

雪歩「百発百中ですぅ!」

伊織「…」

亜美「ほれほれ、次はこの紐を…」ヨイショ

真美「指にかければ…」

美希「うーん…ムニャムニャ…」シュババババ

亜美「はい!」

真美「東京タワー!」

春香「す、すごい!」

千早「リッパナ『アヤトリ』ネ」

伊織「…」

P「次は目でピーナッツを…」

伊織「のび太くんか!?」

P「へ?」

伊織「目でピーナッツ噛むって、それジャイアンとスネ夫に啖呵切った時の常套句じゃない!?やめなさいよ!アイドルのすることじゃないわよ!」

伊織「大体なんでこんな進化を遂げてんのよ!」

P「いや、美希が修行やりたがらなくて…」

伊織「そりゃあんたらのは強くなるのが前提だからね!?」

亜美「せめて大長編だけでも活躍してもらおうと…」

伊織「大長編とか言うな!」

ガチャッ

響「ガルルァァァァア!!」ガバッ

伊織「今度は何!?」

響「ガルル…」

伊織「ちょっと、もうどうなってんのよ…」

P「確か響は、『野生の勘を身につけるためにアマゾンに籠るぞ!』って言ったきり…」

雪歩「どうしてこんなことに…」

伊織「いや、それが原因でしょ!?どう考えても!?」

響「ウゥゥゥ…ニンゲン…キライ…」

伊織「あんたも人間よ!」

響「ニンゲン…キライ!ヒビキ…ジャングル…カエル!」

伊織「仮面ライダーアマゾンか!?」

P「ダメだ!今の響はまさしく狂戦士(バーサーカー)だ!」

伊織「アイドル事務所のプロデューサーから出てくる単語じゃないわね!?」

真「くっ…やるしかないのか…」

伊織「やめなさいよ!今のあんたらがぶつかったら死人が出るわよ!?」

亜美「じゃあどうしろって言うのさぁ!?」

伊織「そ、それは…」

??「うっうー!私に任せてください!」

真美「そ、その声は…」

春香「だ、誰!?」

伊織「いや、やよいでしょ?どう考えても」

やよい「ほーら、響さん。大丈夫ですよ…」

響「ガルル…」

やよい「大丈夫…怖くない…怖くない…」

響「…ウガァ!」ガブッ

やよい「うっ!?」

千早「タカツキサン!?」

やよい「だ、大丈夫です…」

響「フーッ!フーッ!」

やよい「大丈夫…ほら、怖くない…」

伊織「…え?ナウシカ?」

P「ほう、やよいのやつ…自らの母性を高めることに成功したようだな…」

伊織「いい大人が中学生に母性とか言うのやめた方がいいわよ?」

P「自らの溢れ出る母性をコントロールし…獣をも魅了する…あの姿はまさしくモンスターマスター!」

伊織「ドラクエ5の主人公みたいに言うんじゃないわよ…だいたいそれだと響がモンスター扱いじゃない…」

P「ほら、見てみろ、もう響が懐いた」

響「ハッ!ハッ!ハッ!」ペロペロ

やよい「あはは!くすぐったいですよぉ!」

伊織「大丈夫なの?あれは懐いたってことなの?半裸で中学生を舐め回す変態じゃないの?」

千早「タカツキサン…はぁ…はぁ…」

伊織「これは変態よね?ロボットになってる分レベル高いわよ?」

P「ふっ…やよいのやつ…やるな!」

伊織「さっきからあんたのそのライバルっぽい喋り方なんなの?」

響「きゅーん!」

やよい「生きろ…そなたは美しい…」

伊織「ジブリ総ナメか!」

あずさ「うふふ…やっぱりみんなが揃うと楽しいわ~」

伊織「あれ?あずさ…あんたいつの間に…」

あずさ「ついさっきよ。伊織ちゃん、久しぶり」

伊織「久しぶり…でもドア開いたかしら?」

あずさ「あぁ、それは私が『瞬間移動』で入ってきたから…」

伊織「は?」

あずさ「私、気付いたの…私がいつも迷子になっているのは、知らず知らずのうちに…私も知らない“力”が働いていたからなの…」

伊織「何の話?」

あずさ「制御できない力…そんなものを急に与えられた…でもわかったの…その“力”は…ずっと私の側に…“立っていた”の…」

伊織「…」

あずさ「この力の名前は“隣に…”…私が知っている人ならば…文字通り“隣に立つことができる”能力…この能力の名前は…幽波紋(スタンド)!」

伊織「ここに来てのジョジョ!?」

貴音(みなさん…聞こえますか?)

亜美「こ、こいつ…」

真美「脳内に直接!?」

伊織「もう嫌!なんなのよ!?私普通にアイドルしてただけなのに!」

P「普通のアイドルじゃない!トップアイドルだ!」

伊織「いや…もう…やかましいわ!」

貴音(私は…更なる力を求め…故郷にて修行をしておりました…)

春香「貴音さんの故郷って…」

貴音(月です)

伊織「…」

貴音(しかし、月にて…地球を狙う不埒な輩が…)

真「何だって!?」

雪歩「大変ですぅ!?」

貴音(いくら修行をしたとはいえ…私とて、無事ではすまないでしょう…今生の別れと思い…最後に…)

あずさ「待って!貴音ちゃん!」

貴音(はい?)

やよい「私たちも…私たちも一緒に戦います!」

亜美「お姫ちんにだけかっこいい役やらせないよぉ!」

春香「私たちの地球は私たちが守ります!」

伊織「…」

貴音(しかし…ここは月…来る手段が…)

あずさ「私の…私の“隣に…”なら貴音ちゃんの隣にみんなを送れます!」

貴音(なんと!)

真「貴音さんだけに、辛い思いはさせないよ!」

春香「だって…」

雪歩「私たち…」

響「ガウガウガウガウ!」

伊織(…そこは絶対にあんたじゃないでしょ…)

P「みんなの笑顔を守るのもアイドルの仕事だもんな…」

真「みんなの笑顔を守るため…」

春香「みんな、行くよ!」

全員「うん!」

春香「765プロー…ファイトぉぉぉお!」

全員「おぉぉ!」

ブ-ン  

伊織「…」

シ-ン
 
伊織「…」ケイタイトリダシポパピプペ

prrrrr

ガチャ

伊織「あ、もしもし律子?今何してるの?あぁ、うん…うん…あぁ…はいはい…経験を活かして?あぁ、メダロット?いいんじゃない?うん…うん…はーい…」

伊織「…」ピッ

伊織「…移籍しよ…」

終わり

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