クレヨンしんちゃん オラたち拷問されちゃったぞ! (83)

しんのすけ(声:矢島 晶子)
ひまわり(声:こおろぎ さとみ)
みさえ(声:ならはし みき)
ひろし(声;藤原 啓治)
しょう(将)(声:折笠 愛)
しょうの母(声:戸田 恵子)
おじさん(声:麦 人)

ある日曜の午前10時。

しょう「よし、しんのすけの両親良し、近所のバカ夫婦と隣のおばさん良し、あとは愛犬だけだな!」

ピーンポーン!しんのすけの家のチャイムを押すしょう
しょう「しんちゃーん、遊びに来たよ!」

しんのすけ「だーれー?」

しょう「僕だよ!」
しんのすけ「ぼくさんですか?」
(ああ、もういちいちこのやりとり面倒くさい。)
将(しょう)「しょうだよ。」

しんのすけ「おお?今日遊ぶ約束しているんだった。いま、あっけるね。(開けるね。)」

ガチャ!

しんのすけ「おお、両手にバナナ?」

しょう「それを言うなら両手に花じゃない?」

しんのすけ「そうとも言う、両手のものなーにー?お土産?」

両手一杯にの紙袋を持っているしょう。

しょう「そうだよ!母さんが持ってけって、今日、しんちゃんと遊ぶの最後だしね。いろいろあるから遊ぼう、
お菓子もあるし。」

しんのすけ「おお!!!チョコビもある?」

しょう「チョコビはないけど、プリン食べる?ひまちゃんやシロくんの分もあるよ」

しんのすけ「おお、太もも!食べる食べる!モチのロンですなあ。さっすがしょう君ですなあ。
さあ、帰った、帰った。」

しょう「それを言うなら太っ腹!それにあがったあがったじゃない?(ああ、本当に面倒くさい。)」


テレビ「愛の劇場、明日もお楽しみに。」

ひまわり「たーい!う?たーいたーい!」

テレビのメロドラマがおわり、ひまわりはしょうのことをようやく相手にしはじめた。

しょう「ひまちゃん、こんにちは、いろいろ持ってきたから遊ぼうね。」

ひまわり「たたたたたたたたたたたたた」

ひまわりはすごい勢いでしょうの荷物のところにハイハイしてくる。

しょう「だめだよ!ひまちゃん、いま荷物開けるから」

としょうはひまわりを静止する。

しょう「ほらプリン!今日は超ビッグサイズを持ってきたよ!」

ひまわり「たーーーーーーーーい!」

いつもひまわりとしんのすけはプリンやおやつに大して大喧嘩になり、プリンの取り合いになることもある。

しょうの持ってきた紙袋の中からプリンが現れる、いつも食べているプリンの三倍はあろうかという
サイズにひまわりは目をときめかし甲高い声を挙げる。
しょう「いま、支度するね。」
ひまわり「たいあい!」

しょう「(あいかわらず僕のこと無視かよ!)」

ひまわりはずっとプリンを見ている。

しょう「待っててね、ひまちゃん。まずはシロ君からだねえ。
しんちゃーん、ひまちゃん見ててよーっ!シロ君にもお土産あるんだよ!」

しんのすけ「おーっ!しょうちゃん、太ももーっ!え?なになに?」

しょう「だから、それを言うなら太っ腹じゃない?少しだけ!ひまちゃんのことを見てて!シロ君にもプリン。」

しんのすけ「オラたちのは?」ひまわり「ぶーっ!」

しょう「あげないとは言ってないじゃん。いつも取り合いになるから、それに今日は最後だからまずはシロ君に渡すの。本当に少しだけひまちゃんのこと見ててよ。」

しんのすけ「もう!わがままなんだから!」

しょう「(うっさいなあ。)ごめんね二人共!ははははは」

としょうは、苦笑いを浮かべながらプリンの一つを持って一旦外に出た。
だだだだーっ!

しょう「シロくーん!今までありがとうね、元気でね。プリン食べて!」

シロ「アン!アン!ガフガフ!」とシロは勢いよくプリンにがっついた。

しょう「シロくーん!美味しい?」

シロ「アン!アーン!」

(君だけだよ、この一家で一番まともだったのは、ごめんね!君には恨みはないんだけど、しばらく眠っていてね。)
シロ「クーンっ・・・・・・。」

シロは急に眠くなり、小屋の中に入ってすぐさま眠ってしまった。

(へえ本当に効くんだ。よし、まずは!)

しょう「しんちゃーん?」とゆっくりリビングに戻ってくる。

(やっぱり。)

しんのすけ「ごめんしょうくん、おら、プリンを食べたら急に眠くなった、寝るううううん。」と

急激に襲ってくる眠気に勝てず、すでにプリンを空にして、眠ってしまったひまわりの横ですぐに眠りについた。

しょう「本当にすぐに効いたね、赤ちゃんと子供だから少しでも寝ちゃんうんだよね。」

(案の定、一緒に食べようって言ったのに。やっぱり本当にバカだ、この兄妹は!動物だ。)

しょうがしんのすけ宅に来てから30分ぐらい経った頃。


テレビ「愛の劇場、明日もお楽しみに。」

ひまわり「たーい!う?たーいたーい!」

テレビのメロドラマがおわり、ひまわりはしょうのことをようやく相手にしはじめた。

しょう「ひまちゃん、こんにちは、いろいろ持ってきたから遊ぼうね。」

ひまわり「たたたたたたたたたたたたた」

ひまわりはすごい勢いでしょうの荷物のところにハイハイしてくる。

しょう「だめだよ!ひまちゃん、いま荷物開けるから」

としょうはひまわりを静止する。

しょう「ほらプリン!今日は超ビッグサイズを持ってきたよ!」

ひまわり「たーーーーーーーーい!」

いつもひまわりとしんのすけはプリンやおやつに大して大喧嘩になり、プリンの取り合いになることもある。

しょうの持ってきた紙袋の中からプリンが現れる、いつも食べているプリンの三倍はあろうかという
サイズにひまわりは目をときめかし甲高い声を挙げる。
しょう「いま、支度するね。」
ひまわり「たいあい!」

しょう「(あいかわらず僕のこと無視かよ!)」

ひまわりはずっとプリンを見ている。

しょう「待っててね、ひまちゃん。まずはシロ君からだねえ。
しんちゃーん、ひまちゃん見ててよーっ!シロ君にもお土産あるんだよ!」

しんのすけ「おーっ!しょうちゃん、太ももーっ!え?なになに?」

しょう「だから、それを言うなら太っ腹じゃない?少しだけ!ひまちゃんのことを見てて!シロ君にもプリン。」

しんのすけ「オラたちのは?」ひまわり「ぶーっ!」

しょう「あげないとは言ってないじゃん。いつも取り合いになるから、それに今日は最後だからまずはシロ君に渡すの。本当に少しだけひまちゃんのこと見ててよ。」

しんのすけ「もう!わがままなんだから!」

しょう「(うっさいなあ。)ごめんね二人共!ははははは」

としょうは、苦笑いを浮かべながらプリンの一つを持って一旦外に出た。
だだだだーっ!

しょう「シロくーん!今までありがとうね、元気でね。プリン食べて!」

シロ「アン!アン!ガフガフ!」とシロは勢いよくプリンにがっついた。

しょう「シロくーん!美味しい?」

シロ「アン!アーン!」

(君だけだよ、この一家で一番まともだったのは、ごめんね!君には恨みはないんだけど、しばらく眠っていてね。)
シロ「クーンっ・・・・・・。」

シロは急に眠くなり、小屋の中に入ってすぐさま眠ってしまった。

(へえ本当に効くんだ。よし、まずは!)

しょう「しんちゃーん?」とゆっくりリビングに戻ってくる。

(やっぱり。)

しんのすけ「ごめんしょうくん、おら、プリンを食べたら急に眠くなった、寝るううううん。」と

急激に襲ってくる眠気に勝てず、すでにプリンを空にして、眠ってしまったひまわりの横ですぐに眠りについた。

しょう「本当にすぐに効いたね、赤ちゃんと子供だから少しでも寝ちゃんうんだよね。」

(案の定、一緒に食べようって言ったのに。やっぱり本当にバカだ、この兄妹は!動物だ。)

しょうがしんのすけ宅に来てから30分ぐらい経った頃。

4と5は逆です。

4と5が消えてるなあ。もう一回書きます。

しんのすけ宅にあがるしょう、奥のリビングからはテレビの音が聞こえる。

しょう「・・・・。(大人(早熟)な赤ん坊だなあ、将来どんな女になるんだか。)」

しょうは一瞬でひまわりが夕方の韓流ドラマの再放送を見ていることに気がついた。

しょうはしんのすけを中心とした、かすかべ防衛隊と仲良くなった。少しの間ではあったがふたば幼稚園に転入、同じクラスになったのだ。しんのすけからは家族のこと等たくさん聞いていて、何度もしんのすけ宅に行ったり、逆にしんのすけがしょうの家に遊びに行くこともあった。
そのため、ひまわりのことを知っていたのである。

しょう「ひまちゃん、こんにちは。」

ひまわり「けっ!(うるさい!)・・・・・。」

両手に荷物を持ちながら、リビングに入る。
案の定ひまわりがテレビの前でじっと韓流ドラマを見ており、しょうの言うことを鬱陶しがっていた。
しょう「・・・・。(ちっ!なんだよその態度。)」

しょうはひまわりに邪険にされたことに苛立っていたが平然を装った。

しょう「あはははは、ひまちゃん、あいかわらず好きだね、韓流ドラマ」

しんのすけ「うーん、今からああだと将来が心配だよ!」

しょう「はははは、(お前もだろう?)しんちゃんのパパとママはいないの?」

しんのすけ「父ちゃんと母ちゃんは朝ごはん食べてからどっかに出かけてます。町ねんてんの旅行みたい。
ミッチーやヨシリン、隣のおばちゃんもどっかに出かけてます。」

しょう「それを言うなら町内会じゃない?」

しんのすけ「おお、それ!とにかく夕方、夜ぐらいかな?それぐらいまで戻らない。」

しょう「そうなんだ、お昼とかは?それより先に遊ぶ?それともお菓子食べる?」
しんのすけ「母ちゃんがおにぎりとか置いてった、あの妖怪ケチケチオババって、おっ?プリン!」
しょう「そう、わかった、リビングに荷物置いていい?」
しんのすけ「良いぞ!」
しょう「しんちゃん、あとさあ、お皿持ってきてもらっていい?3枚とスプーン3つ。」
しんのすけ「ブ、ラジャー!」
いそいで、キッチンにいくしんのすけ。

ガッサッ!
しょうはリビングの端側に荷物を置く、両手に持ってきた紙袋二つは相当重いようだ。

テレビ「愛の劇場、明日もお楽しみに。」
ひまわり「たーい!う?たーいたーい!」
テレビのメロドラマがおわり、ひまわりはしょうのことをようやく相手にしはじめた。

しょう「ひまちゃん、こんにちは、いろいろ持ってきたから遊ぼうね。」

ひまわり「たたたたたたたたたたたたた」

ひまわりはすごい勢いでしょうの荷物のところにハイハイしてくる。

しょう「だめだよ!ひまちゃん、いま荷物開けるから」
としょうはひまわりを静止する。

しょう「ほらプリン!今日は超ビッグサイズを持ってきたよ!」

ひまわり「たーーーーーーーーい!」

いつもしんのすけと大喧嘩になるぐらいにプリンの取り合いになる。

しょうの持ってきた紙袋の中からプリンが現れる。

いつも食べているプリンの三倍はあろうかというサイズにひまわりは目をときめかし甲高い声を挙げる。

しょう「いま、支度するね。」

ひまわり「たいあい!」

しょう「あはははは。(あいかわらず僕のこと無視かよ!)」

ひまわりはずっとプリンを見ている。

しょう「待っててね、ひまちゃん。まずはシロ君からだねえ。しんちゃーん、ひまちゃん見ててよーっ!シロ君にもお土産あるんだよ!」
しんのすけ「おーっ!しょうちゃん、太ももーっ!え?なになに?」
しょう「それを言うなら太っ腹じゃない?少しだけ!ひまちゃんのことを見てて!シロ君にもプリン。」
しんのすけ「オラたちのは?」ひまわり「ぶーっ!」
しょう「あげないとは言ってないじゃん。いつも取り合いになるから、それに今日は最後だからまずはシロ君に渡すの。本当に少しだけひまちゃんのこと見ててよ。」
しんのすけ「もう!わがままなんだから!」
しょう「(うっさいなあ。)ごめんね二人共!ははははは」

としょうは、苦笑いを浮かべながらプリンの一つを持って一旦外に出た。
だだだだーっ!

しょう「シロくーん!今までありがとうね、元気でね。プリン食べて!」
シロ「アン!アン!ガフガフ!」とシロは勢いよくプリンにがっついた。
しょう「シロくーん!美味しい?」
シロ「アン!アーン!」
(君だけだよ、この一家で一番まともだったのは、ごめんね!君には恨みはないんだけど、しばらく眠っていてね。)
シロ「クーンっ・・・・・・。」
シロは急に眠くなり、小屋の中に入ってすぐさま眠ってしまった。

しょう「(へえ!?本当に効くんだ。よし、まずは!)」

しょう「しんちゃーん?」とゆっくりリビングに戻ってくる。

しょう「(やっぱり。)」

しんのすけ「ごめーん、しょうちゃーん、おら、プリンを食べたら急に眠くなった、寝るううううん。」

と急激に襲ってくる眠気に勝てずにすでにプリンを空にしてしまい、口の周りをベタベタにして眠ってしまったひまわりの横ですぐに眠りについた。

しょう「本当にすぐに効いたね、赤ちゃんと子供だから少しでも寝ちゃんうんだよね。」

しょう「(やっぱりバカだ、この兄妹は!動物と一緒だ。)」


しょうがしんのすけ宅に来てから30分ぐらい経った頃。

ブッチッ!

ひまわりは髪を何本か束ねて引き抜かれたことに気づく。

ひまわり「た?かっかっかっ!え゛え゛え゛え゛え゛え゛―――ん!ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっあえいあえいあえいあえいあえいあえいあえいあえいいいいいいいいいいい!」

ひまわりは頭部の痛みに泣き出した。

しんのすけ「おっ!なんだ?どうした?ひま!お?」

ひまわりの泣き声に目を覚ましたしんのすけ、右横には変な格好をして泣いているひまわりがいた。

一瞬、しんのすけは自分とひまわりのおかれている状況が理解できなかった。

少しして、しんのすけがひまわりの全身姿を見る、子供用の椅子に座らされ、両手首両足首を後ろ手、足を前に広げた状態でプラスティックの手錠で縛られ、さらに両手の掌、両足の底面を虫とり用の粘着シートが着けられていた。まともに立つこともできない。

さらに手足と椅子の一部にプラスティック手錠が縛られており、背中からお尻まで椅子が粘着シートにくっついていた。また念入りにしんのすけの椅子とひまわりの椅子が鎖で繋がれていた。

布団の下に隠してあるひまわりのコレクションを取り除かれていることにも気づいた。

座らされているひまわりの真正面にイケメン写真やみさえから奪った高価な貴金属などのコレクションの全てが置いてあったからだ。
しんのすけ自身もひまわりと同じ状況ということが理解できた。

しんのすけ「うぬぬぬぬぬ!うぬぬ!うん!取れない!しょうちゃん!?おっ?おじさん誰?」
知らないおじさんが目の前にいた。しょうと全く同じ格好をしている。

そして、しょうと同じか、やや大きい背丈である。ふたりが寝ていた間にしょうはいなくなっていた。

しんのすけとひまわりの二人は今、リビングである。
野原一家がいつもごはんを食べたり、テレビを見ている部屋であり、その部屋が不自然になっていた。

テーブルが窓の方に追いやられていた。真ん中に自分とひまわりの二人がいることに気づくしんのすけ、辺りを見回す。

足元と部屋一面には不自然に敷かれている透明なビニールシート。

そのビニールシートが部屋中に敷かれていた。さらに二人の足元にはマットが敷かれていた。

ひまわりはまだ泣いていた。

しんのすけ「おじさん誰?だれ?しょうくんは?」

おじさん「・・・・・・・・。」

ひまわり「うええええん、うええええん、えええええええええええええええええええええ!あえええええええええええええええええええええええええええ!」

あいかわらずひまわりはバタバタ暴れて泣いている。
いくら怪力のひまわりがもがいても手枷足枷は取れない。ゴツゴツゴツゴツと子供用の椅子の足が多少上下するぐらいである。

おじさんは何も言わず、何もしないで二人を見つめていた。時々、腕時計を見ている。

しんのすけ「おじさん誰?ねえ取ってよ!」

おじさん「うるせえなあ!」とようやく喋り始めた。

とその時、ポケットから何かを取り出した。二つのギャグボールである。

一瞬ビクッとしたしんのすけと泣き喚くひまわりに装着した。
首から下を拘束されている二人には抵抗する術がなかった。

しんのすけ、ひまわり「うううううううううううううううううううううううっ!」

そして、紙袋を4つ持ってきた。紙袋の中から中身の入ったすり鉢を2つ出した。

しんのすけ「何?」

ひまわり「たっ?」

すり鉢をふたりの目の前に置いた。

ゴトッ、ゴトッ!2回床に大きい音がした。

しんのすけ、ひまわり「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーっ!」

身を乗り出す二人。

しんのすけ「すり鉢プリンだ」

ひまわり「たいあーい!」

大喜びする二人。すり鉢を容器にし、すり鉢の中には大量のプリンがつまっていた。

ひまわり「おじさん、いい人?なんかのサンプラザ中野君?」

おじさん「ちっ!それを言うなら、サプライズだ。あとな?」

紙袋の中からまた何かを取り出した。

チューーーーーーーーーッ

さらには、二つのすり鉢プリンの上に大量のホイップクリームを乗せた。

しんのすけ「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーっ」

ひまわり「あああああああああああああああああああああああああああーっ!」

二人は感動の声を挙げた。

しんのすけ「食べて良いの?」ひまわり「たいあい?」

口の周りがよだれまみれの二人。

おじさん「ああ。」

ひまわり「あああああああああいいいいいいいいいっ!」

しんのすけ「えへええへええっ、ダメッ。ダメひまわり!母ちゃんが言ってた。」

ひまわり「ぶーっ!たいあいあいあい!(ケチ!良いじゃん!)あーんっ。」と

ひまわりは口を大きく開けた。

おじさん「俺は知ってるよ、おめえらのこと。良い事も悪いことも。」

二人「え?」「た?」同時に声を出し、同時に顔を見合わせた。

おじさん「プリンの前に見せたいものがあるんだ。それからで良いか?」

二人「へ?」「たぁ?」また同時に声を出し、同時に顔を見合わせた。

おじさん「嫌なら良いんだ、プリンはやらねえ。どうする?」

二人「見る見る!」「たいあい!」また同時に声を出し、今度は顔を縦に振った。

おじさん「DVDプレーヤー借りるぞ。絶対寝るなよ、寝たらプリン食べさせないからな。」

二人「寝ない寝ない!なあ?ひま!」「たいあーい!」

リビングにあるDVDプレーヤーにまた紙袋からDVDを出し、入れた。


映像が映る。どこかの部屋である。
部屋の壁には動物やロボット、車の絵などが貼ってある。
赤ん坊が10人以上いる。赤ん坊達はそれぞれおもちゃ、ぬいぐるみをもって遊んだり、眠ったりしている。
ピンクのジャージを着た大人の女性と遊んでいる子もいた。託児所のようだ。

ひまわり「うっ、うううう」

怪訝な顔をするひまわり。映像を見て何かを思い出したようだ。

しんのすけ「どうした?ひま」

ひまわり「うううううううう。」

しんのすけ「まあ、いいや見よう。」

映像が続く、赤ん坊の中にはひまわりもいた。

ひまわりは韓流スターの写真集を見て、目を輝かせ、黄色い声を上げている。

おじさん「ひまわりだ。どうしたんだろうな?」

しんのすけ「ひま?ここで何かあったのか?」

ひまわり「ぶーっ!」と口を尖らせる。

ひまわりは0歳児の割に超が付くほど頭が良く、普通の赤ん坊以上に感情の起伏や好き嫌いが激しく、わがまま、
普段からしっかりした発音はまだ少ないが饒舌である。

画像のひまわりは本を見ながら奇声をあげている。

ひまわり「たいやいやーっ、たややややとややややいやいや!やーっ!」

その声に気がつき、他の赤ん坊がひまわりのところにやってくる。

男の赤ん坊「ばうばう!」

ひまわり「たいやいやーっ!(近寄るな!)」

男の赤ん坊「あーっ!」と
集中して読んでいるひまわりの写真集に手を伸ばした。

ひまわり「たあああああ!(やめろー!)」と絶叫しながら、写真集で赤ん坊を殴る。

ひまわりはイケメン写真集やイケメン写真に集中している時に邪魔をされると機嫌が悪くなる。

男の赤ん坊「わああああああああああああああああああああああ!」と泣き出す。

「どうしたの!?」「どうしたの!?」と他の職員がひまわりと赤ん坊に殺到する。

赤ん坊同士がくっついた状態のため引き剥がされるが、その勢いでビリビリに破ける写真集。

ひまわり「ひっ!ひっ!う゛ぇえ゛ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええん!」

写真集が破れたショックから号泣するひまわり。
余りにも大きい声のため職員の一人が思わず顔を背ける。
それに腹を立てたひまわりがその職員の顔めがけ猿の如く襲いかかった。

ひまわり「たたたたたたた、たいやーっ!」すごい勢いで職員の顔を引っ掻いている。

爪切り嫌いのひまわり、引っ掻いた爪は伸びていて鋭角で職員の顔が傷ついた。
顔だけではなく、首筋にも思い切り傷が付いた。

職員「いたっ!」ひまわりに襲いかかられ、思わず身をかがめてしまう職員。
ひまわりはその勢いで床に臀部から転落してしまう。

ひまわり「う゛ぇえ゛ええええええええん、ええええええええん、えええええええええん、えええええええええええええええええええええええええええええん!」
数秒ごとに泣き声が大きくなるひまわりの泣き声。
その声の大きさに職員以外の人間、警備員、掃除職員などが大量に殺到してくる。

DVDの映像が一旦終わる。うつむいてあわあわするひまわり。

しんのすけ「何これ?」

おじさん「見たとおりだ?しんのすけ、お前はどう思う?」

しんのすけ「ひまが悪い。」

おじさん「そうだな、でもひまわりを落とした女の人が悪いって、責任を取らされた。首に引っかかれた傷ができて今も残っている。わかるか?自分がやったこと。」

しんのすけ「ひまわりは赤ちゃんだぞ!わかるわけ・・・、」

おじさん「いや?わかるみたいだなあ。」

ひまわり「あ、あ、あ、あ・・・・。たいやいたたたたたちいたいやい!」

おじさん「あ?」

しんのすけ「破った奴が悪いって。」

おじさん「じゃあ、あの女の人に傷つけたひまわりは?」

ひまわり「あ、あ、あ、あういあいあーっ。」またうつむいてぶつぶつ何かを言っている。

おじさん「ひまわりはおりこうだな。まあ、いいや続きはまだあるんだ。」

おじさんはDVDの続きを見せる。

たくさんのおもちゃが並んだ部屋がある。
並んだというよりも陳列した部屋である。中にはレジもある。制服を着た店員がいる。おもちゃ屋のようだ。

しんのすけ「あっ!おらだ。」

ひまわり「たーい!」

しんのすけ「ここ、アクションデパートのおもちゃ売り場だ。」

しんのすけがおもむろにいくつものおもちゃを持って走り回る。おいかける店員。

店員「コラーっ!ダメです、待ちなさい。売り物です。」

しんのすけ「ちょっと借りるだけ、必ず返すから。」

店員「そうやって売り物を壊したの、何回目ですか?」

しんのすけ「はーじーめてー!」

と言って急に走りを止めて持っていたおもちゃを天井に投げる。

しんのすけが急に止まったことで追いかける店員は走りのスピードを止めきれずにしんのすけをジャンプ、そして天井に投げたおもちゃが店員にぶつかってしまう。

ガッチャーン!すごい勢いでおもちゃにぶつかり、さらにおもちゃの群れにぶつかりおもちゃを壊してしまう店員。

しんのすけ「だめだなあ、おばさん!おらがちゃんと返すと言ったじゃない。」と両手を横にだし掌を上に向けて呆れてしまっている。

おじさん「どう思うひまわり?」

ひまわり「ぶーぶー!やーやーやー!」としんのすけの方向に顔を向けて口を尖らせている。
先ほどの逆襲のようだ。

しんのすけ「いやあ、ひまーっ、それほどでも。えへえへへへへ!」
おじさん「褒めてねえし、反省もしないんだな?この女の人は、おもちゃ屋をクビになった。」
しんのすけ「えへへへへへへ!」とクビの意味がよく分からずにヘラヘラと笑っている。
(本当にこいつらの倫理観って何なんだろう?子供って残酷でタチが悪いよなあ。それでも許せる親ってやっぱすげえなあ。まあこいつらの家庭は両親が小悪党の能なし、餓鬼共は突然変異の化物と、まあやりがいはあるんだけどな。いろんな意味で。)

さらに映像は続く。

しんのすけ「オラたちだ、かあちゃんもとうちゃんもいる。ファミレスに行った時だ。」

映像ではひまわりがファミレスで機嫌を損ね、みさえとひろし、ほかの客の料理をぶちまけてしまった映像が流れていたのだ。
しんのすけはちゃっかり他の席に移動し、自分のお子様ランチの皿を持って食べていた。

ひまわり「かああああああああ。あういうあいういうあいう。」
顔を下げ、ひたすら何かをぶつぶつ言っているひまわり。
反省なのか?それともあの時の不満を思い出していたのか、別の何かの感情なのかよくわからない。

しんのすけ「あの時大変だったんだよね、ひま!」

ひまわり「けっ!」

首をひねり知らん顔をするひまわり。

また、映像が変わる。葬儀場である。

しんのすけ「るんばーっ!」

ボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボン。

木魚を持ち、葬儀場を走りながら木魚を鳴らしまくるしんのすけ。追い掛けるひろしとみさえ。

しんのすけ「マートですねえ。」

おじさん「・・・・。(アートな。くだらない芸術だけどな。)」

ひまわり「ふあああああっ」大あくびをするひまわり

おじさん「ひまわりはいらないの?プリン」

ひまわり「たいやいやいっ。」と首を振るひまわり。

おじさん「もうすぐ終わるからな。」

と、言いつつなかなか終わらない。

ひまわりとしんのすけの悪行の映像が流れまくった。
二人は全くと言って良い位反省する素振りを見せない。それどころか映像に飽きている。

ただ、お互いが食べ物、特におやつの奪い合いになる映像になると互いに文句を言い合う。

しんのすけ「ひま!オラは忘れないぞ、なんでいつもオラのおつや(おやつ)を取るの!?」

ひまわり「ふん!たいやいや、たい!たいたいったいや!(欲しいから!それよりも、なんであたしのおやつを取るの?)」

しんのすけ「ひまがオラのぶんのおつや(おやつ)取るからでしょう?」などと言い合いになる。
そして映像がようやく終わる。

おじさん「・・・・。(良かった、身勝手な馬鹿共で、これで容赦なくできる。)」

おじさん「じゃあ、プリン食べな、おれが食わせてやる。でもこれ多すぎるよなあ。食えるか?俺は無理だと思うけど。」

しんのすけ「食える!」ひまわり「たーい!」

おじさん「本当に?」

しんのすけ「食べる!」ひまわり「たーい!」

おじさん「じゃあ、ゲームをしようか。もし30分以内にああ、あの時計で長い針6の所に行くまでにプリンを二人共食べられたら、そうだな、お詫びのしるしとして、ああ、ちょっと待ってな。」

おじさんが指をさしていた時計は午前10時57分になっていた。
しんのすけ・ひまわり「????」とまた顔を見合わす。そして、時計に視線を向ける。

おじさんがまた紙袋から何かを取り出す。

しんのすけ・ひまわり「おーーーーーーっ!」
しんのすけの目の前にはアクション仮面デラックス変身セットとグラビアアイドル分木美和子(筧美和子)写真集、
ひまわりの目の前には綺麗な宝石とジャニーズジュニアの写真集が置かれた。

おじさん「お前ら二人にこれ全部やるよ。」

二人「おーーーーーーっ!」二人の目が輝き出す。

おじさん「ただし、食えなかったら罰ゲームな。おい、どうする?二人とも。」

ひまわり「たーい!あーん。」と口を広げ始めた。

しんのすけ「まって、ひま!」ひまわり「うーっ!」

しんのすけ「おじさん、罰ゲームって?」

おじさん「それは内緒、それともやめるか?」

グーっ!ググーっ!
ひまわりとしんのすけの腹が鳴り出す。

しんのすけ「やる!オラたちやるぞ!なっ!ひま?あーん。」
ひまわり「たいあーーーーーーーいっ!あーん。」
おじさん「よーし、約束だ。行くぞ」と紙袋から既に出したスプーンで2人にプリンを食べさせた。
おじさん「ニヤッ。(かかった・・・・。)」

しんのすけ「もぐもぐもぐもぐ、うまーい!とーろけるーっ!」
ひまわり「うむむむむむうむ、たーーーーーーい!いひいひひひ!」と二人共ご機嫌である。
おじさん「当たり前だ、プロのパティシエに作ってもらったんだから。」
しんのすけ「おじさん、これはオラたちの勝ちだな!もっともっと!」
ひまわり「たったったっ!あーん。」
と勢い良く食べていたものの。やはり7号のすり鉢に入ったプリンの量は尋常じゃない。しかも一人ひとつである。
時間が経つにつれ、しんのすけもひまわりもだんだん食べるペースが落ちてきた。
しかし、約半分の量は二人共食べている。
おじさん「二人共ペースが落ちてきたぞ!やめるか?罰ゲームか?目の前の物、欲しくないのか?」

しんのすけ「まーだまーだ!げっぷうううう。カーモーン!ううううはあああ。」

ひまわり「たーたたーた!げっぷうううう。はあははあ!」

二人共、息も絶え絶えである。

それでも食べるが、0歳児と5歳児、胃袋には容量には限界がくる。
口の中に溜め込み頬が膨れるだけで胃にプリンが行かない。

こんな状況からなかなかプリンの量は減らずに時間は11時25分になっていた。

おじさん「あと5分、今長い針は5のところだぞ。どうする?二人共。」

しんのすけ・ひまわり「うぉううううううーん、うう」。

二人共膨れっ面になっている。しかし、腫れ上がった頬の中は空気ではなくプリンである。
ひまわりに限界が近づいてきた。

おじさん「ひまわり、もう少しだ。あーん!」

ひまわり「んぐんぐんぐんぐ、やーっ」

おじさん「ギブアップか?欲しくないのか?」とジャニーズ写真集とネックレスを見せる。

ひまわり「うんうんうん。(いや!いや!いや!。)」と首をぶんぶんとふる。

外から見ても腹の膨らみがわかる。かなか飲み込めないのである。

しんのすけはあと4分の1、ひまわりはあと半分、プリンを残している。

そして、そのまま11時30分になってしまった。

おじさん「はい、時間終了、罰ゲーム。」

しんのすけ「え?げっぷうううう。」ひまわり「た?げっぷうう。」

とようやく口の中のプリンを飲み込んだ。しかし、お腹がいっぱい過ぎて、ゲップが止まらない二人。

おじさん「罰ゲームだ。帰れま10知ってるか?」

しんのすけ「見てる。ゲブっ」

ひまわり「だー。ごぶっ」

おじさん「プリンを二人が全部食べるまでおじさんは帰りません。」

しんのすけ「えええええ?無理―っ?」ひまわり「ややややや!」と首を振る。

おじさん「約束だろ?まあいいや、ちょっと待ってな、この商品は全部上げれません。」

とゲームの商品を全部紙袋にしまいはじめた。

ひまわり「やーっ!」と体をばたつかせた。

おじさん「嫌じゃない!約束だろ!はい!あーん。」

ひまわり「やーやーっ!ぶううううと」と口を閉じて体をばたつかせた。

おじさん「はい!あーん。」

ひまわり「けっ!ぶうううう。」と嫌でも口を開けない。

おじさん「しょうがねえなあ。」と鉄のスプーンに乗せたプリンを口に無理矢理入れようとする。
顔をブンブン振って避けようとするものの、体をほとんど拘束されているため頭を掴まれてしまう。

おじさん「はい!あーん。」

ひまわり「ううううん、ぶふっ。」と口の中に無理矢理押し込まれたプリンをおじさんの顔に飛ばしてしまう。

ひまわり「えーっえへえへえへえへえへえへ」とざまあみろと言わんばかりにおじさんに嘲笑を向ける。

おじさん「・・・・。(このくそガキ、いやさすが化物だな。)」

おじさん「嫌ならいいよ。」と紙袋から何かを出した。

おじさん「これ、なーんだ?」

ひまわり「だ?げっぼゥ。げーっ。」まだゲップが止まらないひまわり。

右手にガスバーナー、左手に鉄のバケツ(4つ重ねたもの)をひまわりに見せた。

おじさん「食べないと、お前の大事なコレクションを?」

おじさん「はいはいはい。」とひまわりの目の前にあるコレクションを奪った。

ひまわり「た?たいたいたいたいやいやいやい!(やめて、なにするの!)」


ガンッ!

そして、ひまわりの目の前にバケツを一つ置き、

ブボオオオオオオオオオーッ

キッチンにあったスーパーのチラシをあっという間に灰にした。灰はバケツのひとつに入った。

ひまわり「た?ごぶっ!」

あまりの出来事にひまわりはゲップをしながら呆然としていた。ひまわりは満腹で頭が回らない。

おじさん「次はお前のコレクションを本当に燃やす。二度目はない。このバーナーは熱い、熱いよ、とっても。」

ボオオオオオオオオオーッ、ボオオオオオオオオオーッ

とコレクションの一つを燃やそうと何度も、ガスバーナーの火を出していた。
音はするが火の温度は1500度近くあるため、火の色が見えない。

ひまわり「た・・・・・・・いやー。」
しんのすけ「あ・・・・・・。」
二人は自分たちの状況にようやく気づいた。汗が止まらない。少し暑くなっていた部屋。
これはおかしいぞ。いつもの自分たちのペースじゃない。さすがのしんのすけも何も言えない。

ひまわり「うええええん、うええええん、えええええええええええええええええええええ!あえええええええええええええええええええええええええええ!」
恐怖のあまり思わず泣き出したひまわり。

ボオオオオオオオオオーッ、ボオオオオオオオオオーッ
とまたバーナーの火を出す。

おじさん「二度目はない。食え、愛のために、はいあーん。」

ひまわり「やっやっやっ!げふっ、あーん。」と泣くのを止めて、無理矢理口を開けてプリンを口に入れた。

とは言え、ひまわりのお腹がいっぱいで数口で再び食えなくなってしまう。

ひまわり「ううううううううう。」悔しそうにおじさんとコレクションに哀願する目をする。

おじさん「食えないか、仕方がない。」

と間髪入れずにひまわりのコレクションを一瞬で灰にした。

ひまわり「うええええん、うええええん、えええええええええええええええええええええ!あえええええええええええええええええええええええええええ!」
ひまわりはまた、泣き出した。

おじさん「仕方がないだろ、ルールなんだし。次はしんのすけ、あーん。」

と泣いているひまわりを無視して今度はしんのすけに残っているプリンを食べさせ始めた。

しんのすけ「ごぶっ、あーん。」ひまわり同様に無理矢理口を開けてプリンを口に入れた。

とは言え、ひまわりと同じくお腹はいっぱいで数口で再び食えなくなってしまう。

しんのすけ「うっぷっ!まって、食べるから、あとおらの大事なものって?」

おじさん「3、2,1、はい、だめーっ!これ!」

バッチーン!バッチーン!バッチーン!ビターン!バン!ビン!バッチ!バッチーン!ゴバッツ!バーン!

ひまわり「うっ!ぶっ!えうっ、!ぎいゃああああああああああああああああああああああ!
ぎゃああああああああああああああああああああああ!」「うえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ん!」

おじさんが来てから、今までで一番大きい声。
しかも泣いているひまわりの声も枯れるぐらいに大きい声で泣いている。

おじさん「ニヤッ!(おっ、ようやく!)」

しんのすけ「ひまー!なにすんだ?」

おじさん「罰ゲーム。しんのすけにとって大事なものってひまわりだろう?」
おじさんは、左手でひまわりの前髪を引きちぎれるかの勢いで掴み上げ、
ひまわりの右頬を5発思い切り張り倒し、さらに今度は右手でひまわりの前髪を思い切り掴みあげ、
ひまわりの左頬を5発思い切り張り倒した。ひまわりの両頬は見る見る腫れあがり、右の口角は血がにじみ出ていた。

ひまわり「え゛あ゛い゛あ゛あ゛あ゛え゛あ゛い゛あ゛あ゛あ゛え゛あ゛い゛あ゛あ゛あ゛え゛あ゛い゛あ゛あ゛あ゛え゛あ゛い゛あ゛あ゛あ゛え゛あ゛い゛あ゛あ゛あ゛!
びゃあああああああああああああ!ウワァァァァァァァァァァァァン!」

あまりの痛みに顔を天井に向けて号泣するひまわり。
いつものコミュニケーションにおける泣くと言う行為でなくその何倍も声が大きい、悲鳴や奇声に近いものを上げていた。

しんのすけ「ひま・・・・、ううううううう。」

普段、二人の両親であるみさえやひろしはとことんひまわりに甘い。
そのため、しんのすけにとってひまわりが思い切り殴られる様子を見たことがない。
そして聞いたこともないほどの大きな声での号泣、思わず顔を床に向けて目をつぶった。

パーン、パッチーン、バッチーン、パンッ、パーン、パッチーン、バッチーン、パンッ、バン。バン

おじさんはひまわりの頬をさらに左右5発、計10発張り倒した。

ひまわり「ぎいやああああああああああああああああああああああああ、
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。」

しんのすけ「うあうあなあああなやああああにゃああああ、やめろーっ!」

おじさん「人にお願いするときは言い方があるんだろう?
お願いしますって言うんだろ?お前が言ってたよなあ。映像の中で違うか?」

しんのすけ「うううううううっ。おらの妹を、ひまわりを殴らないでください!お願いします!!!!」

おじさん「やだ!お前は妹の面倒をまともに見ない、自分の不注意でモノを取られて、八つ当たりでどこぞの星に妹を売ろうとするような男だろ?どんなにモノを触らすなと言っても触らす。
そしてお前自身触るなというものに触る、壊す、無くす馬鹿が今更兄貴面すんな!」

しんのすけ「うん、ぬううう。(おじさん、なんでそんなことまで知ってるの?)」

先ほどと変わって、泣き続けているひまわりにネチネチとひまわりの泣き声の倍はあるかという大きな声で説教しながら、一発一発殴った。

ひまわり「えええええええ、ええええ、あええええええあえええええ。」

おじさん「おまえ、さっきテレビ見たよなあ。あれは?なんだ?」

バッチーーーーーンと、また、ひまわりの頬を張った。

ひまわり「うーーーーっ!ぎゃあああああああああ。ぎあああああああ」

おじさん「おめえ、俺の言ってることわかるよなあ。」

ビターン!

ひまわり「やーっ!いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい、ぎゃあああああああ!」

おじさん「てめえ、託児所で姫様気取りでほかの子供や職員を散々いじめていたよなあ。てめえが世の中、中心回っているのか?あああ?」

バチ゛ーン!
ひまわり「ぐおっ!!ううううううううううううううううううううううううう!ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」

ひまわりの鼻から遂に鼻血が出てきた。さらに聞いたこともない悲鳴も出てきた。声も裏がえってきた。そして急にぶるぶると体を震わせ始めた。

ひまわり「えぅ!え!うっ!!ううううううううん!ふうっ!ほっ!はあっ!ほあっ!」

しんのすけ「あっ、ひま、ウンチだ。」

ひまわりは恐怖のあまりに脱糞をしてしまった。

ひまわり「く・・・、うぬぬぬぬぬぬ、だりりゃりゃりゃ、えへへへえっ!」とおじさんをものすごい勢いで睨みつけ(恐ろしい眼光を向けながら)、嘲笑を浴びせた。

おじさん「えっ?なんだよそれ?」と驚いた。

ひまわり「えへえへえへっ!!」と顔を逸らしながら椅子に縛り付けられた両足をガシガシ揺らした。

しんのすけ「おじさん!どうする?ひまのうんちは変なイワシの缶詰より臭いぞ。さあ、どうする?どうする?」

おじさん「え?あれ?じゃあ?・・・。(ふん!なんてな。別にこわかねえや、赤ん坊に凄まれても。)」

おじさん「で、くせえの?」

臭いがしない。

しんのすけ「あれ?」ひまわり「だ?」

おじさん「言っとくけど、ひまわりのおむつは二重にしておいた。しんのすけ、お前にも二枚おむつをはかしている。
それにニオイ対策もしてある。業務用ファブッシュ(臭い消し)を大量につけたおむつで、だからいくら漏らしても大丈夫だ。」

しんのすけ・ひまわり「いやーーーーーーっ。」

ぞうさんとお股を見られた二人は悶えるようなリアクションを取った。

おじさん「・・・、ああ小賢しい。」と、ひまわりの口の中に光る何かを入れた。

「あうあうあう、ああああああああああああああああーーーーーーーーっ。いに゛い゛い゛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。」

ひまわりは天井に向かって顔をあげ口を無理矢理開かされた状態で絶叫と号泣をしている。
それから、今度はしんのすけの頬を張り始めた。

パーン、パッチーン、バッチーン、パンッ、パーン、バーン、バッチーン、パンッ、バン、バン。
パーン、パッチーン、バッチーン、パンッ、パーン、パッチーン、バッチーン、パンッ、バン。バン

しんのすけ「ぐすっ、ひいいいいいいいい、うええええええええん、」

さすがのしんのすけも、何発も殴られ泣き出してしまう。

おじさんはまた、大声でしんのすけを詰り始めた。

おじさん「いたいよな?いたいよな?みんなお前ら兄妹に苦しめられてるんだよ。こんな感じで?」

しんのすけ「ひっ!うううううううう、おらたち誰かを殴ったりしてない。」

おじさん「でも、お前らは自分のいたずらを人のせいにして擦り付けてるよなあ、それを世の中では冤罪って言うんだよ?
え!ん!ざ!い!わかるか?それで、泣いてる人、苦しんでいる人がいるんだよ!」

しんのすけ「そんなこと言われても、おらたち知らない!ぐぐうぐぐぐうぐうぐぐんんん。」

と、再び泣き出すしんのすけ。

おじさん「・・・。(この卑怯な病人どもが。)」

ひまわり「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーっ。うぬぬぬうぬぬぬぬぬぬんうんぬううぬぬう!」
と顔を天井に向け泣き続けているひまわり。
顔を下げて泣いているしんのすけ。

おじさん「・・・、(ったくっよーっ!こっちのペースになかなかならねえなあ、しゃーねえ、空気かえるか?)一旦ひまわりの口の中外してやるから、おい、待ってろ!逃げんなよ!」

しんのすけ「・・・・ホ、ホイ。」

ひまわり「あうあうあうあうあうああーういい、えええええええええええええええええええん」
とおじさんがひまわりの口の中の金具を外したが再び泣き出した。

おじさん「・・・、(しかし、糞して、飯食って、わがまま言って早熟で、狡猾で怪力で泥棒で容姿も悪くない。困ったらでかい声上げてまさに公害、怪獣だな。)」と思いながらリビングから台所に移動するおじさん。

しんのすけ「ふーっ、ふーっ!おっ!ひま!ひま!ちょっと話きいて?」と自分を奮い立たせるように泣くのを止め、小声でひまわりに言う。

ひまわり「だ?ひっ!ひっ!」少し引きつけを起こしている。そして未だに泣いている。

しんのすけ「逃げようここから、おまわりさんのところに行こう!もう嫌だよね?」

ひまわり「た?だーい。」と泣きながらもしんのすけの話に耳を傾けた。

しんのすけ「いっせいのーでで、にげよういい?」

ひまわり「だーい。」

しんのすけ「いっせいのーで。」

しんのすけ・ひまわり「とう!」「だ!」

ガ、ゴッツ!

しんのすけ・ひまわり「お?」「た?」

二人はなんとか逃げ出せると思ったが二人の椅子は軽く浮くぐらいでびくともしない。どうしてだろう?二人は椅子を体じゅうの力を使ってガタガタと動かしながら後ろを向いた。

しんのすけ・ひまわり「ええ?」「たいあい?」

円柱型の漬物石である。しかも、二人の後ろに5つずつ置いてある計10個だ。
しんのすけとひまわりがいくら引っ張ってもびくともしない。呆然とするしんのすけ、あきらめずに体を動かすひまわり、それを横目で見るしんのすけ。
ひまわり「たいやい、たたたたいやいたいやいやいや!」と自分を奮い立たせるものの、漬物石はびくともしない。

ひまわり「う゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ん!うぇ゛うぇ゛い゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ん!あえいあえいああえいあえいあえい!」ついに諦めて泣き出すひまわり。

しんのすけもまた泣いていた。
しんのすけ「うううううん。(かあちゃんたちもいない、よしりんとミッチーもいない、となりのおばさんもいない。シロもこない。なんで?ひまがこんなに泣いたら普通は誰かが気づくはず、なんで?)」

おじさんが戻ってきた。
おじさん「・・・、(ふん、やはりな。想定内だな。まあ、まだまだ引き出しがある。)お前ら、なんでテレビの方向向いてないんだ?まさか逃げようと。」

しんのすけ「いやいや、そんなことは、ちょっと興奮していただけ、えへへへへ!」

ひまわり「ぎゃあああああああああああああああああああ、びゃああああああああああああえええええええええええええん!」

おじさん「・・・。うるせえなあ。」おじさんがひまわりの口を両手でふさぐ
ひまわり「ぶううううううううううううううん!いいいいいいいいいいいいいい!」と顔をそらそうとするものの口と鼻を塞がれてしまう。

おじさんは何度もひまわりの口と鼻を塞いだり広げたりした。

ひまわり「ぶううううううううううううううん!いいいいいいいいいいいいいい!」と首を前後左右に振りながら奇声を挙げる。

そのリアクションを楽しむかのようにひまわりの口と鼻を塞いだり、広げたりした。
おじさんは何度か繰り返したあとについに開放した。

ひまわり「へえっ!へっへえええええ」と何度も呼吸をする。

おじさん「おい!ひまわり、ミルク飲むか?」と暖かくなったミルク入りの哺乳瓶をひまわりにかざす。

ひまわり「たーい!ちゅうううううう」と泣くながら返事をする。
泣きっぱなしだったため、すごい勢いで飲み出す。喉がカラカラだったのだろう。しかし、すぐに哺乳瓶が空なってしまう。

ひまわり「たーい!たーい!たーい!」

おじさん「ああ、もっと欲しいのか?それじゃあ。」

しんのすけ「やめろ、ひま!」と何かを感じて言った。

ひまわり「あ!あーい!あー!」と口を開けていた。

おじさんはまたバケツを二つ用意した。
片方には人肌に温められた大量のミルクがもう片方にはしんのすけの大好物の大量の炭酸飲料が入っていた。

さらに、おじさんは二つのバケツとは別にもう一つの哺乳瓶を持ってきていた。それをひまわりの口に入れた。

ひまわり「たーい!ちゅうううううう、うぐえっ!かはっ!うっぐ!きゃゃあああああああああああああああああああ!、やああああああああああああ!たあああああああああああああああああああああああ!」

とひまわりは舌を出して金切り声を上げ絶叫していた。唇は真っ赤に腫れあがり、舌も赤く腫れ上がっている。

おじさん「ごめん、間違えたわ。あはははは、それタバスコ入りミルクだ。いちごシロップと間違えたよ。」と明らかな嘘をついた。

ひまわり「ひゃあああああああああああああああああああ!、にゃああああああああああああ!りゃあああああああああああああああああああああああ!」 体中をバタバタと震わせている。

ひまわり「たいやいたいおたいたいいたい!ぎゃゃあああああああああああああああああああ!」

おじさん「あはははは、そうかそんなにうれしいか。」ととぼけた。

しんのすけ「おじさん、ひまは、ひまわりは普通のミルクが飲みたいって!辛くて耐えられないと言ってるぞ!」。

おじさん「そうなの?は?よくわからない。」としんのすけの言うことをわざと聞き流した。

ひまわり「とたいやいといあいと!あああああああああああああああああああ!はっはっ!」とひまわりは体をくねらせ始めた。息遣いも荒くなってきた。ガンカ、ガッ、ゴーン、ゴンとやはり椅子の脚が上下に動く音だけが虚しく鳴り響いた。

おじさん「おお、興奮するほどミルクがうまいか?」とさらにとぼけた。

ひまわり「やいやいやいやいやいやいやいやいやい!あああああああああああああああああああ!」
と首を振りまくった。いまだ涙はまだ止まらず、耳も真っ赤、顔には脂汗も大量に噴き出している。さらに何発も張り倒された赤く腫れあがった頬に汗がしみ、ヒリヒリと痛む。殴られた口の中は何か所か切れており、そこにタバスコが染みて余計に痛いのである。早熟な0歳児とはいえ、この状態でどんなに知恵を絞ってもどうしていいかわからず、とにかく体をばたばたさせている。
手の粘着液はどんなに振っても取れない、プラスティックの手錠もどうやっても取れず、それどころか手首に手錠が食い込みこすれ真っ赤に腫れあがって今にも血が出そうである。0歳児の皮膚は繊細である。
さらに、手錠を外そうと鉄製の子供用の椅子に体を叩きつけていてこれがひまわりの体を傷つける。

ひまわり「ぎややっやっやああいああいあいあいあいあいあいあいあいあいあいあいあいあいあいあいああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


しんのすけ「おじさん!」

おじさん「うるせえ、お前らは、人をいつも馬鹿にして、人が嫌がることをやるなと言ってもやるよな?
やるだろ?なんでだ?こたえろ!馬鹿兄妹!少しは人の痛みを知れよ!」

バシーーーイ!ビッシッ!としんのすけをひっぱたいた。

しんのすけ「ひいっ!それは・・・・・・。」

おじさん「やるんだろ?クズ野郎!こたえろ!答えなきゃ、ひまわりはずっとこのままだぞ!こたえろ!」

しんのすけ「それは・・・・・・、面白いから!」

おじさん「じゃあ、俺も面白いからやる。同じことだろ?」

しんのすけ「それは・・・・・・やめてーっ!。」

おじさん「頼み方も知らないのか?」

しんのすけ「止めてくださいお願いします。」

おじさんはミルクの入ったバケツから金のひしゃくでひまわりに飲ませた。

ひまわり「んぐぐぐぐぐぐ。あーたいあいあい!ははははははああああ!あーあーあー!」
口を開けてまだミルクを求めているひまわり。

おじさん「わかった。哺乳瓶にいれてやるから待ってろ。」とひしゃくで哺乳瓶にミルクを入れた。

ひまわり「やーやーやー!」と首を振っている。待ちきれないようだ。

おじさん「うるせえ、わかった。半分ぐらいしかはいってないぞ!」

ひまわり「ちゅうううううううう。あーあーあー!」とまた、哺乳瓶を空にしてしまい、まだミルクを求めている。

おじさん「だから言ったろう?半分ぐらいしかはいってないって!待つことを知らんのか?」と再びひしゃくで哺乳瓶にミルクを入れた。

ひまわり「やーやーやー!」とふたたび首を横に振っている。まだ口の中の辛さをとれないようだ。

おじさん「・・・・。」と今度はひまわりの声を無視して入れている。

ひまわり「やーやーやー!やーやーやー!」

おじさん「だまれ!お前が困るぞ!」とひまわりの数倍怖い顔で睨みつけた。

ひまわり「・・・・・たいいい。」と頷いた。

おじさん「じゃあ、飲め!」

ひまわり「ちゅうううううううう。」と満タンになった哺乳瓶をまたカラにした。

ひまわり「やー!やー!やー!」

といった瞬間におじさんはすきをついてまた口の中に開口器を入れ、さらに漏斗(じょうご)を口につめて、ひしゃくを使い大量にミルクを飲ませた。がふっがふっと池の鯉のようにミルクを飲んだ。ひまわりは口を閉じれない。そしてすでに膨れた腹に今度はミルクがボディブローの様に襲ってくる。

おじさん「・・・。(よい格好だなあ。)」とにやつき始めた。一気にでなく、ちょろちょろと少量ずつ、むせないように飲ませている。大量のプリンと大量のミルク、もうひまわりの腹は、はちきれんばかりに膨らんでいる。

ひまわり「げーぷうううう!お゛んお゛ん!あああああああいああいいあいあいあいあいあいあいがあっやっやややっややや!う゛う゛う゛――――――――ん!」

ごぐううううう!と泣き出した。
変な腹の音もしている。すでに腹いっぱいな上に腹痛でまた脱糞した。お尻の穴がかゆくなってきたのか、腰を前後にくねらせはじめた。

おじさん「(ポンポン、腹が痛いのか?けつがかゆいのか?もっと苦しめ化物。)」

と泣いているひまわりを無視し、今度はしんのすけの口に開口器を無理矢理こじいれ、ひまわりと同じようにひしゃくを使い漏斗を口につめ、プスライトを飲ませた。

しんのすけ「う?あ?あーい?!、(なに?)ごくごくごくごくごきゅ!げーぷうううう!げーぷうううう!ぐわあああ!ごわあああ!!あーあ。あーーーーっ。」

と大量の炭酸飲料を飲まされて、げっぷがとにかく止まらない。そして、しんのすけも失禁してしまった。

しんのすけ「(おっ?あれ?変な感じがしない。本当にオラもおむつしてんだ。ほーほー。)ごっぶっ!」

おじさん「ち!お前ら、しばらく真っ暗にしてやる。」としんのすけとひまわりにアイマスクをした。そして、その上からガムテープをはった。さらに二人の開口器を外した。

しんのすけ・ひまわり「見えないーーーーーー!真っ暗――――――!」「たいあい?あい!あい!あい!あい!え゛い゛え゛い゛え゛い゛え゛いえ゛い゛え゛い゛え゛い゛え゛い゛!」

しんのすけ「なに?なにすんの?」

絶叫する二人、特に最近は夜泣きは少なくなったものの、少しの環境の変化で号泣しまくるひまわり、急に視覚を奪われてさらに泣きじゃくった。

???「アークショーンかー面!正義のカーメン。ごーごーごー!レッツゴー!」

???「キリンのくびはなぜ長い、なぜ長い、わからないわからない。」

テレビから大音量のアクション仮面のテーマとポンポコチン体操のテーマが流れている。ともにしんのすけ、ひまわりの大好きなテーマである。

しんのすけ・ひまわり「うわあああああああああああああああああああああ!うるさーーーーーーい!」「うぇええええええええええええええええええええええええええん!うわあああああああああああああああああああああああああん!はあはあはあ。」

両手の使えない二人は顔を曲げながら、叫び、泣くことしか出来ない。目が覚めてから泣き通しで疲れ始めたひまわり。
おじさんは耳をふさいでいる。そして、大音量は消えた。

おじさん「・・・・・・。(リアクションが単調だなあ。しかし、化物。体力が有り余ってるなあ、でも面白くないなあ。腹が膨れすぎたかな?)」と、おじさんは自分の耳をふさぎ首をかしげる。

しんのすけ「はあはあはあ(いつまでこんな事が続くの?)」
ひまわり「おう、おう、おう。」と、二人共、息も絶え絶えである。

ドン!パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパアパパパパパパパパパパパ!

ひまわり「うぇええ゛え゛え゛ええええええええええええええええええええええええええええええええええんーーーーーーん!ヴぇいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえん!」
しんのすけ「おおーう、あ?何の音?」

今度は金のバケツの中に爆竹を入れ爆破させた。

おじさん「・・・・・・。(つまんねえなあ。うーん、次かな?)」と、おじさんはふたたび、耳をふさぎ首をかしげる。
ただ、泣くだけ、驚くだけの二人のリアクションが単調でもの足りなく感じてきた。慣れてきたのだろうか?
時計をまた見る。もうすぐ昼の12時半になりそうである。


ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

今度はピンを抜いた防犯ブザーを身動きの取れない二人の間に置いた。耳をつんざく大音量。

しんのすけ「うるさあああああああああああああああああい」
ひまわり「ぎゃあああああああああああああああああああ、びゃああああああああああああえええええええええええええん!ごふっ、ごふっえろえろえろえろえろえろえろ!ごほごほごほ!」と
遂に目の前のバケツに滝のように嘔吐してしまい、また体をバタつかせながら泣き出してしまった。部屋には強烈な酸っぱい匂いが立ち込める。

しんのすけ「うわっ!ひまー!大丈夫か!?もう、やめてよ!ねえ、おじさん!おじさんたら!」
視界が奪われたとは言え、酸っぱい匂いでひまわりが何をしてしまったのかをしんのすけは気付いていた。

それでも、おじさんは鼻をつまみながら無視している。

ひまわり「え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ん゛。」

 ひまわりの我慢もとっくに限界を越えており、両手両足を縛られた状態で暴れまくり、体を椅子にぶつけまくったためのあらゆるところの激痛、何度も失禁と脱糞、長時間の放置のため起きた股間の痒さ、激辛ミルクの辛さと何発もビンタされて切れた口の中、自分のコレクションを目の前で全部燃やされ、騒音のうるささ、身動きの取れない身体、奪われた視覚、さらには胸のよだれかけは先ほど吐いた嘔吐物と泣きまくって口からあふれまくった唾液でぐしょぐしょに濡れており、自分の嘔吐物の臭いで鼻までちぎれそうである。
ひまわりにとっては泣けば自分の思い通りになると思っていたことが思い通りに行かない生まれて初めての苦痛と屈辱である。それでもひまわりはただ泣いて暴れるしかなかった。

しんのすけもこの状況から脱出しようと体をばたつかせるがどうやっても手かせや足かせが取れない。そして、どんなにしんのすけが叫んでも目の前のおじさんはニヤついている。家の外からもシロはおろか誰もこない。そしてやはり妹をほっては置けない。



おじさんはしばらくひまわりをひたすら泣かせることに決めた。

ひまわり「え゛いえ゛いえ゛いえ゛いえ゛え゛いえ゛いえ゛いえ゛いえ゛いえ゛いあえ゛いあえ゛いあえ゛いあえいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!。」

おじさん「・・・・。(赤ん坊とは泣くのが仕事と言うけど、よく泣くなあ。)」

と1時間近くひたすら泣いているひまわりの体力に感心すらしている。

おじさん「・・・・。(うーん、決めた。やっぱり、痛覚しかないかな。)」

ギュウーーーーーーー!

ひまわり「ぎいあああああああ、ぎゃああああああ、いいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!かああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

しんのすけ「ひま?ひま!?おじさん!?」

しんのすけにとって、先ほどとはちがう尋常ではない声のひまわりの泣き声は、もはや動物の鳴き声とも言えよう。

ひまわりはおじさんに舌をラジオペンチで引っ張られている。

ひまわり「い゛ん゛!い゛ん゛!い゛ん゛!い゛ん゛」
しかも思い切りつねられて、ひまわりが顔をブンブン振るが取れない。

おじさん「舌をつねっているんだよ。しんのすけ、こいつ、いつも愛犬、シロだっけか?とか知り合いにこういう嫌がらせするよな。違うか?」

しんのすけ「そうだけど・・・・。」

おじさん「お前もやろうか?どんな気分か?」

しんのすけ「いや、おらは・・・・、やめて、やめっ!」

おじさん「そうか、やってほしいか。まあいいや後でな。」

ギーチ、ギーチギーチ、ギーチギーチ、ギーチ

と今度はさらにひまわりの前髪を思い切り掴み捻りあげて、椅子ごとひまわりを持ち上げた。

ひまわり「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
きいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!
あいやいあい!あいやいあいやいあい!(訳:さける!頭と舌が裂ける!)」
あまりの痛みに泣きながら絶叫している。

おじさん「ひまわり、痛いか?いつもこうやってシロや他人をいじめてるんだよな?ああ?どうなんだ?答えろ?シロをいじめてるんだろ?猿はいじめちゃダメで自分の愛犬シロは良いんだ。まあ自分は猿には何もされてないからなあ。勝手なもんだよなあ。(注:劇場版 嵐をよぶジャングルより)」

ひまわり「ヴぇえ゛え゛え゛え゛ええ゛え゛え゛え゛ええええええええ!ヴンヴンヴン、だい!だい!だい!(訳:そう!そう!そうだよ!)」と首を縦に振る。どうやら、ひまわりには心当たりがあるようだ。

おじさん「だったら続けるしかないよな、ひまわり、他人は良くて自分はダメは違うだろう?」とさらにラジオペンチとひまわりの髪の毛を握る力を強める。

ひまわり「ひっ!いや゛あ゛あ゛あ゛あああああいあいあいあいあいあいあいあいあいあい!」
頭が取れる、裂けるような痛みがする。
さらにひまわりの絶叫の声は甲高く大きくなる。ただ頭が良いひまわり、首を動かさないほうが痛みは軽くなることに気がついて、黙って大人しく泣いている。またもおじさんは舌打ちをしながら根負けし、握る力を弱めた。これ以上、ラジオペンチを握ると舌がちぎれてしまうからである。

ひまわり「ええええええええええええええええええええええええん!うえええええええええええええ、ええ、ええ、うええ、うえええ、うええええええ!ぎゃあああああああああああああああ!はあはあはははは!」

おじさんの握ったペンチと髪を引かれる拷問から解放されたひまわりだが舌は血まみれである。そして、ひまわりの周りには抜け落ちた髪の毛が散らばっている。
ひまわりは「ういいいいいいいいいいいいいいいいい!」と言いながら、体中の痛みに耐えている。それでもまだ泣く元気があり声も枯れていない。腫れまくった舌を出してはあはあと荒い息をしながら。

おじさんは今度はしんのすけの舌にラジオペンチを挟み、握った。

しんのすけ「うん!うんぐっ!ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
おじさん「しんのすけ!痛いか?皆はお前に馬鹿にされ、ヒドい目にあって、それ以上に痛い思いをしているんだけどな。そんなに人をからかって面白いか?なあ、面白いか?ああ!?まあ、妹の面倒もまともに見れない、お前も自分の愛犬をこんな感じでいじめてるんだろう?あ、直接こうやって舌を痛めつけること自体はお前じゃないけど、でも、お前がちゃんと妹見てないからこうなるんだよなあ。クズがいっちょまえに人権語るな。いい加減、なんで?俺がお前らにこんなことしているのかを考えろ。化物共。ああ?ああっ!?」

しんのすけ「ぐすっ!ひいいいいいい!ううううううううううううううん。ぶあははははははじ、はあははははああああ。」
しんのすけも泣き出した。

おじさん「・・・。(なんだよ?妹のほうが根性あるじゃねえか。)」

おじさんはラジオペンチの握りを緩めた。

しんのすけの舌はひまわり同様に血まみれである。

しんのすけ「はあ、はあはあっ!」

おじさん「・・・。(仕方がない。)お前ら、今度はメイクしてやろうか?どんなに文句を言われても、化粧したがるお前らボンクラどもに。特性ピアスと特性ネイルだ。」

しんのすけ「(なんで、オラたちが母ちゃんの口紅や化粧を取って顔に落書きしていること知ってるの?)」

ザクッ!

ひまわり「〇×□%―――――――――――――――――――――――――――――――っ!」

しんのすけ「ひま!?おじさん、今度は何?」

ザクッ!

しんのすけ「〇×□%―――――――――――――――――――――――――――――――っ!つーめー、つーめーがああああああああああ!」

おじさん「・・・・。(よし!声が裏返った。)」

おじさんは二人の左親指の爪と皮膚の間に思い切り爪楊枝で刺した。二人の絶叫が部屋の中に響いた。おじさんはニヤニヤが止まらない。
そして、二人の親指は血が滲みだした。

ガッタン!、ガッタ!、ゴッタン!、ガッタン!、ガッタン!

二人はまた暴れ始め、椅子の足が床にぶつかる音が今まで以上に大きい。

おじさん「・・・・。(鬱陶しいなあ。)」

二人「ぬ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛―――――――――――――っ!おもい――――――――――――――――――っ!」「え゛え゛え゛う゛う゛う゛う゛う゛―――――――――――――――――――――――――――――――っ!」

おじさんは二人の両膝に砂嚢を右足に10㌔、左足に10㌔、計20㌔乗せた。ついに椅子の音は無くなり、二人のうめき声とその後に、またひまわりの泣き声だけが聞こえはじめた。

おじさん「・・・・。(良いねえ。あと指は19本。)」
 おじさんは、ようやく二人の苦しみ具合に納得し始めた。

カチャッ!

ひまわり「ひぎっ!!!!!!!!!―――――――――――――――――――――――――――――――っ!」
カチャッ!
しんのすけ「きいいいいいいいいいいい!!!!1―――――――――――――――――――――――――――――――っ!耳いいいいいいいいいいいいいいいっ!」

おじさんは、今度は二人の左耳に厚紙用のホッチキスで針を止めた。二人の耳にはホッチキスの針が貫通している。指だけでなく、耳にも激痛が走る。しんのすけにとってはみさえのグリグリやげんこつの何倍も痛く感じる。

おじさん「しんのすけ、ひまわり、指はあと19本、ホッチキスの針もたくさんあるからな。いっぱい楽しめ。」

しんのすけ「もうやだああああ!!タスケテー!ころさないでー!いやーーっ!」
としんのすけのいつものこもった声はなく、甲高い声が響いている。

ひまわり「ヴぇえええええええ、えいえいえいえいえいやあああああああああああ!へえへえへえ!」と、相変わらず泣きながら息を吐いている。
二人共、顔がやつれてきた。疲れてきたからだ。

しんのすけは思った。
(そういやこの部屋少し暑い。なんでだろう?あと、ひまわりは元気だなあ、ずっと泣いているし。)

ヂクッ!
ひまわり「ひーーーーーーーーーーーーーーーーー!ヴぇいえいえ!いやいあやいやいあいあいあいあいいあ!ぎゃあああああああ!」
おじさんは、今度はひまわりの左人差し指の爪と皮膚の間に思い切り爪楊枝で刺した。
おじさん「・・・・。ふっふふふふ!(うん!さすがにいい泣きっぷりだ。声の大きさ、声の裏返り方、嫌がり方、必死さ、効いているね、流石、大人でも嫌がる拷問術の一つだ。あとは、罪悪感や反省を覚えさせないとなあ。)」

とひまわりの火の出るような泣きっぷりに満足している。

ひまわり「ひーーーーーーー!ぎゃああああ!ーーーーーーーーーー!わーーーーーーーーーー!いやああああああ!らめええええええええーーーーーーーー!!」

おじさん「・・・・。(いいペースだ。)これを本人達が見たらどうなるかな?」

おじさんは、二人のアイマスクを外した。二人が泣き止むまで待った。しんのすけはすぐに泣き止んだが、ひまわりはなかなか泣き止まない。

おじさん「・・・・・・。(いい加減、うるせえなあ、鬱陶しいし。もう聞き飽きたなぁ、コイツの泣き声。
このクソ赤ん坊、いい加減ぶち殺してぇなあ!
あ、そうだ!泣くのが仕事の赤ん坊だから、その泣くことを奪えば良いんだなあ。
なんで、こんな単純なことがわかんなかったんだろう?こいつらと一緒にいて、馬鹿が伝染ったか?)」

と、おじさんは何かをひらめき、ひまわりにあるものを見せた。

それは電気機器をまとった銀色の光った首輪である。
おじさん「おい、機嫌直せよ、これやるから。」

ひまわり「たー?たいやーっ!」体は痛むもののすぐに泣き止み、首輪に目を輝かす。どうやら首輪をひまわりは気に入ったようだ。
ひまわりは光り物に目がなく、目利きも効く。
そのため、イミテーションの安いものには興味がなく、みさえの化粧机からどんなに注意を受けても光り物を盗んで自分のコレクションにしてしまう。

おじさん「・・・。(やれやれ、流石怪物。)ほれ!つけてやるから。」とすぐにひまわりの首に首輪をつけた。
そして、手鏡を使って首元をひまわりに見せた。

ひまわり「いーっ!いひひえへへへへh。」

おじさん「似合うね、似合う似合う。(鬱陶しいなあ、キモい笑いだし。そうだ。)」

そして、ポケットから風船を出し膨らました。

おじさん「さて、ひまわりの機嫌もなおったし、続けようか。お前らの体もこうしてやる」と爪楊枝で風船を刺し破裂させた。

しんのすけ「オラたちが何したの?なんでこんなことするの?」

ひまわり「ひっ!・・・・・。ぐすっ・・・・・」

おじさん「(ふん!うざってえ!クソ野郎どもが!ようやく歩み寄ったか、っていうかさっきのDVDしっかり見てなかったのかよ・・。)・・・、考えろ!答えられなければ、また針を刺す!」

しんのすけ「ええ?うーんとうーんと。」

おじさん「せいのっ!」とひまわりとしんのすけの座る椅子の位置を変え、それぞれテレビに向けた方向から、しんのすけの正面の姿をひまわりの方向に向け、ひまわりの縛られている背面をしんのすけの方向に向けた。

しんのすけ「おっ!?」

ひまわり「たいや?」

おじさん「3.2.1」

しんのすけ「おっ!?」

ヂクッ!

今度はひまわりの左中指の爪に爪楊枝を入れた。

ひまわり「ひっ!ひぎゃあああああ!ウエ゛ッ!はあはあはあ!」

ビリっ、ビリりりりっ!ガツッ!

ひまわりの首全体、特に喉元に衝撃が走り、ひまわりの体が椅子ごと一瞬浮いた。
ひまわりは一瞬何が起こったかわからず、また大声が出そうになる。重りを乗せていても体が起き上がるほどのすごい衝撃だ。

バビッ、バリバリバリバリりりりっ!
ひまわり「ぐ、ぐえっ、うぇえええええええ、ベゥッ!」

また首元に電気が走り、ひまわりの体が少し椅子ごと浮いた。首が痛くて熱い。

ひまわりは気づいた。首輪からだ、でも手が使えないから外せない。今度は泣く喚くこと自体を否定されたのだ。
ひまわりはおじさんを睨みつけるしかない。

ひまわり「うぐぐぐぐ、ぐぐぐぐぐぐぐぐぎぎぎぎぎ、うおうおうおうおうおおうお。」と睨みつけながらも涙が止まらない。

おじさん「あと、さっきからやっている変な笑いもやめろ。しんのすけお前もだ。じゃないと」首輪のリモコンをポケットから出し、スイッチを入れた。

バチン、バッ、バチン!
ひまわり「ぐ、ぐえっ、うぇえええええええ、えへぇ、えへぇ、えへぇ。」

さらにひまわりの喉元に電気が走った。わずかにひまわりの椅子が揺れるだけである。そして天を仰いで涙を流し荒い息を吐いている。

しんのすけ「ひいっ!いいいいいいいいいいいいいっ!うっわあああああああああああ!なに?その首輪。」

とひまわりのリアクションにガタガタと震えている。ひまわりの喉元が赤く腫れ始め、左中指も血が染み渡っている。しんのすけはおもわず目を閉じる。

おじさん「本当は犬用の無駄吠え防止の首輪なんだけどな。お前らは犬同様、いや犬以下だから付けたんだよ。さあ、なんでおまえらはこんなことされてるんだ?ヒントだ、今日、DVD見たよな。あれを見てどう思った。」

しんのすけ「ひま・・・・、うーんと、ええと、あーと、うぬぬぬうぬ、うううううん。」と悩んでいる。

おじさん「あっ、そう。(出てこないのね。ここまでされても、流石は怪物兄妹。)残念!時間切れ!よいしょっ!」
と今度はしんのすけの背をひまわりに向けるように椅子を動かし、すぐ後にひまわりがしんのすけの縛られている手が見えるように椅子を向けた。相変わらずひまわりは天を仰いで泣いている。

おじさん「うるせえなあ。いい加減、泣くな!」とひまわりの口を両手で塞ぎ、しんのすけの方向に顔を向けた。

ひまわり「おぶうううううううういいいいいいいい!びいいいいいいい!へえへえへえっ!オヴッ!ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」と一瞬、声は小さくなるが、数十秒しかもたないため、両手を離すとまた、はあはあと荒い息を上げながら泣き出してしまう。そして、また首元にビリビリッ!と電気が走る。

しんのすけ「やめて!」

おじさん「お願いしますは?お前の口癖だよな、しんのすけ。」

しんのすけ「お、お願いします。」

おじさん「いやだ!」

しんのすけ「ぐぬぬぬうぬぬぬ!」もう、言っても無駄だとしんのすけは思った。

ひまわりは鬼の形相で涙を流している。

おじさん「やっぱり、首輪以外は無駄みたいね、わかった、もういいや首輪使うから。」とあきらめた。

おじさん、今度はまた開眼器をだし、ひまわりの目に無理矢理装着させ目を見開かせた。今度はしんのすけの左中指に爪楊枝を入れた。

ザグクッ!
しんのすけ「ぎゃああああああ!いーたーいーっ!もうやだーっ!なんとかしてよーっ!答えるから、うーんとーうーんとう!?」

ひまわり「ひっ!うぇ、うぇえええええええん!ヴぇええっ!ヴェエッ!はあはあはあ。」

バリバリバリバリッ!

と、しんのすけが痛みに悶える姿を無理矢理見せられ、ひまわりも余計に泣き出してしまうがまた喉元に衝撃が来て声を出せなくなる。
仕方がなく天井に顔を向け、はあはあと息をした。目を閉じられないが泣きじゃくっているせいか、目の乾きに心配はないのだが。

おじさん「(しょうがねえなあ)いい加減にしろお前ら!お前らはごめんなさいや、人に迷惑をかけて申し訳ないという言葉も出ないのか???!!!!この大馬鹿野郎どもが!!!!」

しんのすけ「だって、オラたち悪くない。」

おじさん「じゃあ、なんでしんのすけとひまわりはお互いにけんかするんだ?どちらかが悪いからだろう?おやつとかおもちゃの取り合いとかよお。」

しんのすけ「それは・・・。」

とひまわりにつけていた開眼器をはずし、しんのすけとひまわりの椅子をテレビに向けた。

おじさん「こっち向けひまわり、ひまわり、てめえも聞け!!!!!」

ひまわり「た・・・・い。」と何とかおじさんの方向に向き泣きながらもうなづく。

おじさん「良いか?お前らをこうしているのはおまえらにモノを取られたり、こわされたりして迷惑を受けた人たちに頼まれたんだよ!なんでごめんなさいの一言が言えない?なんで、人の嫌がることをする!?お前らがやられていることをみんなされてるんだよ。それの積み重なりを一日で返すならこうするしかないんだよ!すくなくても今、こうやってやれば痛みがわかるだろ?DVDも見ただろ?そうすれば謝る?と思ったけど、少しも謝ろうともしない!自分から!」
とまくし立てた。

しんのすけ「おっおおっ?・・・、ごめ・・・・。」


おじさん「なんだ?どうなんだ!?」

しんのすけ「・・・、ごめんください・・・・。」

おじさん「ああっ!?」

しんのすけ「・・・、ごめんなさい・・・・。」

おじさん「心の底から!!」

しんのすけ「ごめんなさい!!」

おじさん「ダメだ!」

しんのすけ「なんで?」


おじさん「お前は、いやお前らは約束も守らない、大嘘付きだからだ!お前らは犬や猿以下のダメな生き物だからなあ。だから、しつけてるんだよ。」

しんのすけ「・・・・、それでオラたち、どうする気?[ピーーー]の?」とか細い声である。
おじさんの迫力と体じゅうの痛み、ひまわりの様子にふざける勇気はもう無く、がたがたと震えている。

ひまわり「へえ、へえ、へえ、ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!」と開眼器をつけさせられ、相変わらず反抗的におじさんを睨みつけ、涙をボロボロ流しながら、はあはあと荒い息をしている。

おじさん「殺しはしねえよ。殺したら意味無いから、お前らは[ピーーー]価値もないから。ただ、その前に。」

ギーチ、ギーチギーチ、ギーチギーチ、ギーチ

とおじさんはまたひまわりの前髪を思い切り掴み捻りあげて、椅子ごとひまわりを持ち上げ、

おじさん「何だ?てめえその面は?自業自得だろ?自分が他人や家族に迷惑かけてるんだろ?人の話を聞く態度か?笑え!笑えよ!あ?ニーって、オラ!。」と言い、

ガタン!!

と叩きつけるように椅子を置いた。また、ひまわりの髪が椅子の周りにバラバラと落ちる。

ひまわり「うぇえええええ」と泣きそうになると、

おじさんは「おい!」とリモコンを見せた。

ひまわり「えへええへえ、えへえ、」と、瞬時に泣き声を出すことをやめて、涙を流しながらも笑みを浮かべた。

おじさん「その気持ちわるい笑いじゃねんだよ!」

ひまわり「た・・・い・・・っふひ、いーっ、イーっ。」と今度は可愛らしい笑みを浮かべた。ただ、不自然でぎこちない。

おじさん「よし、目のやつ外そうな!ひまわり。その顔でいつも話を聞けよ。」と開眼器を外した。

ひまわり「たぁい!」と今度は赤ん坊の可愛げのある表情を使い、頷き媚び始めた。

おじさん「はいはい、へへへへへ(何だ?この赤ん坊は?この赤ん坊はそうやって泣くことと怒ることを封じたら、今度は媚びはじめるのか、小賢しい。無駄だってんだよ!イラつくなあ。なんだ?まだ懲りてねえ。こいつは悪魔か?将来どんな大人になるんだ?だめだなあ、悪の芽は今のうちに摘まないと。)」といらだちを見せないように苦笑いを浮かべた。

ザグッ!ザシッ!

ひまわり「ひぎゃああああああ。」

おじさん「俺にはそういうことは通じねえんだよ!」

と、ひまわりの左薬指と左小指に爪楊枝を入れた。左手の全ての指が黒ずんだ。
ひまわり「あうあうあうあうあうあうあ・・・・、たいあいたいあい。」と泣き疲れ、やつれ、うなだれ、ついにはひまわりもおじさんに完全屈服した。

おじさん「いい加減、話を聞くか?ひまわり?」

ひまわり「た・・・い。」と、もうどうにでもしてくれとうなずく。

おじさん「本当か?」ともう一度聞く。


ひまわり「たいあいっ!!」となかばヤケになったようにうなずく。

おじさん「だったら、映像で見た人たちにごめんなさいと言え!」

ひまわり「た?」

おじさん「ごめんなさいだ!」

ひまわり「たいや?」と、首をかしげる。」

おじさん「悪いことをしたら、謝るんだ、ごめんなさいって。ご!」と言いながら首輪のリモコンをひまわりに見せた。

ひまわり「ゥおぉ!」

おじさん「め!」

ひまわり「ゥえぇ!」

おじさん「ん!」

ひまわり「ゥう!」

おじさん「な!」

ひまわり「ゥあ!」

おじさん「なだよ!な!」

ひまわり「ゥなあ!」

おじさん「さ!」

ひまわり「ゥしゃあ!」

おじさん「しゃあ!じゃねえよ!さ!」

ひまわり「ゥさあ!」

おじさん「い!」

ひまわり「ゥい!」

おじさん「言えるんじゃねえかよ!だったら、人馬鹿にしてないで最初から言うこと聞けよ。馬鹿がよーっ!」

バッチーン、パンッ、バン、バン、
カチャッ!カチッ!カッチャ!ガチャ!

おじさんはひまわりの頭をつかみ、また何発か平手で張り、両耳にホッチキスを2回ずつとめた。

ひまわりは一瞬ほっとしたのも束の間、なぜ?と言う表情になり、その後、痛みに顔を歪め始めた。大声で泣けば首に電気が来る。
でも強烈に首から上のあらゆる場所が痛い、笑うことも否定されたと感じたため、どうして良いのか感情のやり場がない。またも、酸っぱい感じがお腹の中から出てきた。

ひまわり「うっ、うっ、うっ、うっ、うううううううううううっ。ぼええええっ!ごほごほっ」

ひまわりは瞬時におじさんを怒らせないように、声をあまり上げずに泣き体も動かさず、首だけを前に曲げ始めた。また吐いている。

ひまわりにもう怒りの感情は無い。そして「・・・・・。げぼっ!あうたいやたやちゆたゆうううううううう。たいあいたうたいないあいないあいあいああああ・・・。(もう、おじさんに勝とうとは思わない、この人と仲良く対等であろうとも思わない、私が下だから、恐怖しか感じない。早く終わって、私が悪かったから、なんでも従うから叩かないで、もうわかった。でも、どうして?泣いちゃダメ、笑ってはダメ、大声出しちゃダメ、私はどうしたら良いの?怖い、おにいちゃんもほとんど動かない。ママもパパもシロもこない、口の中が酸っぱい、体中が動かない、体が痛い、お尻がかゆい、怖い、助けて。)」とひたすら何かを唸りながら絶望のうめき声をあげていた。

しんのすけ「ひま・・・・。」と声をかけることしかしんのすけにはできない。

おじさん「うふふふふ、うふふふ(ようやくこいつらを屈服させた。さて、仕上げだな。その前に。)」

バッチーン、パンッ、バン、バン、
カチャッ!カチッ!カッチャ!ガチャ!ガチャ!

おじさんはひまわり同様にしんのすけの頭をつかみ、また何発か平手で張り、両耳にホッチキスを2回ずつとめた。

しんのすけ「ひいいいいいいいいいいいい!ううううううううううう!」と泣きながらおびえた。

おじさん「なんだ?いつも他人や両親のことをからかって面白がってるんだよな?お前ら二人して、違うか?」

しんのすけ「それは、その・・・。はあはあはあ。」

おじさん「違わないよな、そりゃいつも充実した生活になるよな?しんのすけ。世間や他人をからかって、両親からかって馬鹿にして、でも自分は絶対に傷つきたくない、だから傷つかないこと・・・、それが成立する、羨ましい人生だ。それが充実した生活ってやつか?しんのすけぇ?」

しんのすけ「・・・・・。」もはや答える気力もない。

と、おじさんはまた紙袋から何かを取り出した。

しんのすけ「うううう、今度は何?」

ひまわり「た、たいういやい?」

ひまわりとしんのすけはまたもアイマスクとガムテープで目を塞がれた。

おじさんは袋からバリカンを取り出した。

ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ

長い間バイブ音が聞こえた。

しんのすけ・ひまわり「なに?」「た!?」

ひまわりはまた電気かと思ったが、喉に違和感はない。

おじさん「しんのすけ、ひまわり、反省って、口に出して謝るだけじゃない場合があることを知ってるか?」

しんのすけ「ええ?おら・・・。」とバイブ音と反省という言葉で何かを思い出したしんのすけ。

ひまわり「た?」

おじさん「知ってるなあ、しんのすけ」と気づくおじさん。

しんのすけ「まさか?」

ひまわり「たいあい?」

おじさん「そのまさかだ、前にひろしに、自分の父親に嫌がらせで丸坊主したことあるだろ?頭をまるめて反省とか言うよなあ。」

しんのすけ「うああああああああああああああああああああああああああああああ、ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」

ひまわり「うぇいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」

ジジジジヴジヴジジジジジヴジヴジジジジジジジジジヴジヴジジジジジヴジヴジジジジジヴジヴジジジジジジジジジヴジヴジ。

身動きがとれずに視界まで奪われた二人、さらには大声で泣くことも封じられたひまわりは頭を動かしてなんとか抵抗するものの、なんども張り倒され、爪楊枝を入れた後の赤黒くなった爪の根元におじさんは爪で力を入れられ、抵抗出来なくなった。遂に二人は髪を刈られ、眉も剃られた。

ヴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!

刈った髪と眉毛は掃除機で吸われ、細かい髪も暖かいタオルで拭き取られた。

また、アイマスクとガムテープを外され、お互いの姿を見たり、おじさんが手鏡を使って自分の姿を見せる。

しんのすけは互いの姿にやけになったか、うすら笑いを上げていたが、ひまわりは自分の姿を見て何度も泣き声を上げ、その都度5回も首の電気を浴びせられ、再び、首を下げ何か泣きながら絞り出すような声で唸っていた。

ひまわり「タ゛イヤいやいやい!・・・・(お嫁に行けない、こいつ、いつか[ピーーー]。)」

おじさん「さあ、すっきりしたところで二人とも笑え!写真を撮る。」

しんのすけ・ひまわり「え?なんで?」「たいあい?」

ビリりりッ、バシッ!

しんのすけ・ひまわり「うええええっ!」「ぎえっ!」

それぞれ、首に電撃と右頬に張り手がとんだ。
おじさん「笑えよ!」

二人はできる限りおじさんの機嫌を損ねないように不自然な笑顔を浮かべた。

おじさん「写真撮るぞ!」カシャ、カシャ、カシャ!とポケットから出した携帯で数回写真を撮り、台所に移動した。

数分後。

おじさん「しんのすけ、ひまわり!これ飲むか?」

と、哺乳瓶に詰めた適温のミルクとストローを差し、グラスに入れたプスライトをお盆に乗せて持ってきた。

しんのすけ・ひまわり「・・・・・・。」

しんのすけ「今度は何?」

おじさん「何も無えよ。じゃあ、いらない?」

しんのすけ・ひまわり「あーーーーーーーー!。」

と二人は欲しそうに絶叫し、おじさんはすぐさま二人に飲ませた。

しんのすけ・ひまわり「ごくごくごくごくごくごく、ぷはーっ!」二人はすごい勢いで飲み物を飲んだ。

しんのすけ・ひまわり「お?くううう。」「たいあ?すうううう。」と、急激に眠くなってきた。そういや、少し前にしょうくんからもらったプリンを食べた瞬間と同じような感じだ。と、一瞬考えているうちに二人はそのまま眠ってしまった。眠りに落ちそうになる時に
おじさんが何かを言っていた。でも、二人は余りにも眠く、おじさんが言った内容を理解できなかった。

おじさん「何も無いわけないよな。」おじさんは、ほくそ笑んだ。

レスポンスどうも、書いてる人です。しょうくんの過去はまた後ほど。

言うか、まだ完結してません。

では、続き。

ひまわり「ぎゃああああああああああ、うぇえええええええん、にーに!」
ひまわりの絶叫とがしゃがしゃとした音が響く。

しんのすけとひまわりはどれぐらい眠らされたのだろうか?

しんのすけ「おっ!?おっ!?にーに?(にーにって、久しぶりに呼ばれた!〈劇場版 嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス参照〉ひまわりの泣き声、頭が涼しい。ボーッとする。口の中が酸っぱい、体中が痛い。でも体は動くぞ)。」
と体中の痛みをこらえながら目を覚ます。

しんのすけ「ひまわり!ええ!?」

しんのすけは目の前の状況に驚き、すぐに目を覚ました。

ひまわりが檻に、正確には正方形状のベビーサークルの中で絶叫し、サークルの柵を両手で掴んで揺すったり、ハイハイして柵にタックルしたり、サークルの中で暴れまわっている。しんのすけが寝ている間に何度か嘔吐もしていることがわかる、ひまわりの周りに嘔吐物が散乱していたためである。ひまわりは体中の痛みに対して相当のストレスを感じていた。さらに柵ににタックルしている。

しんのすけ「酸っぱくてくさい・・・。」

しんのすけは周りを見回す。家のリビングだ、自分たちは移動してない、自分の家ということは間違いない、さっきまでいたおじさんがいない。
意識を取り戻しながらひまわりがスキンヘッドで眉毛まで剃られていること、さんざんおじさんに強く髪をひっぱられたせいか髪の無い頭皮には血が滲んでいた。少し、痒いのか掻いていたが、指が痛みから上手にかけない。また、ひまわりの首には首輪はない、だから思う存分叫んでいる。
しんのすけは自分の頭と眉の部分を触れた。やはり毛がない。さっきのことは夢ではないんだと改めて実感した。

しんのすけ「お?おーほー。」

さらにひまわりの状況を見て驚き、呆然とする。正方形状のベビーサークルの上に漬物石が円錐状に大量に置いてある。
ベビーサークルの漬物石の間には薄い鉄板一枚で挟んでありベビーサークルの天板の役割をしていた。簡易に作った牢屋である。
そして、ひまわりがガシャンガシャンとサークルの柵を揺さぶる。そのたびに漬物石が鉄の天板を突き破ろうとしなっている。

しんのすけは状況を全て理解し、ゴクッと生唾を飲んだ。口の中は血が混ざっていて変な味がした。
漬物石が鉄板を突き破ったらひまわりに落ちる、そしたらひまわりは・・・・、それ以上は想像したくなかった。

しんのすけ「ひまわり!暴れちゃダメ!落ち着いて!」

ひまわり「うぇえええええええん、う゛ェえええええええん!あいあいあいあいあいあいあいあいあいあいあい!」

ひまわりは落ち着いてなどいられなかった。腫れ上がった顔と髪のない頭、両手足の爪と両耳から流れた血で血まみれ、体中の痛みの開放と、この檻から出たいがために必死に大声で泣き叫び、体中をブンブン振りながら狂ったように暴れていた。それでもこれだけのことをされても狂わない精神力が尋常では無いのである。

しんのすけ「おじさん!おじさん!おじさん!」

おじさんを呼び、あたりを見回すがやはりいない。帰ったのか?おじさんに殴られまくった怒りよりも安心の方が強かった。とにかく身動きが取れて自由だ。

しんのすけ「うんぬぬぬぬぬぬぬぬ!!!!!」

ひまわり「たいあい!(頑張れ!)」

しんのすけは檻になっているベビーガード上の積み重なっている漬物石を取ろうとサークルに近づくものの一番上の漬物石が届かない。
鉄板の上に乗るわけにも行かない。乗ったら鉄板が破れる。もし、乗ったとしても一番天辺の漬物石を持つことができない、仮に一つ漬物石を取ったらほかの漬物石が鉄板に落ちる。

しんのすけ「(どうしよう?)」檻の柵を斬る?いや折る?そんな時間はない。椅子を使う?使っても届かない石がある。

どうしよう、どうしよう力のある人、父ちゃんでも母ちゃんでもない。ええと、ええと・・・・、いた!ある人を思い浮かべた。

しんのすけ「あイてててて!ひま!助けを呼ぶからな!暴れるな!がんばれ!」

ひまわり「えええええええん!うええええええええん!」とひまわりはブンブンと首を振る。

しんのすけ「ひま!」

ひまわり同様にしゃべるのも口の中を痛みが伴うしんのすけの呼びかけにひまわりは冷静になれない。
自分では無理だ。だったら、自分が急いで助けを呼びに行くしかない。
しんのすけは急いで外に飛び出した。
しんのすけ自身も体中が痛む、だが必死なため、大して痛みを感じていなかった。玄関から出て庭に一瞬、目をやる。シロが眠っていた。

しんのすけ「シロ!シロ!」

ダメだ、寝てる。シロの助けを諦め、急いで走り出した。
あれ?空がまだ青い。まだ夕方じゃないんだ。しんのすけは一瞬、そう感じた。

ピンポーン!ピンポーン!

あるマンションのチャイムを押すしんのすけ。

しんのすけ「ななこお姉さん!ななこお姉さん!」
しんのすけが好意を抱いている女子大生、大原なな子の家である。

ガチャ!

なな子「あら、しんちゃん!こんにちは、どうしたの!?その頭と顔?手も血だらけ!」

しんのすけ「ぜえぜえぜえ、ななこお姉さん!忍ちゃんいる!?」

なな子「しんちゃん!一体その姿はどうしたの!?何があったの!?いるけど、忍ちゃんに用なんてどうしたの!?」

しんのすけ「ななこお姉さん!大変!オラの家、ひまわりがピンチ!ひまが死んじゃう!とおちゃんとかあちゃん出かけていない!忍ちゃんの力がいる。助けて!お願いたすけて!」と、思いの丈を叫んだ!

なな子「わかった!忍ちゃん!忍!しんちゃんが大変!ちょっと来て!はやく!」

ななこは緊急事態ということを察して忍をよんだ。

神田鳥忍、大原なな子の友達でしんのすけとも何度か3人で遊ぶこともあった。大学の女子プロレス研究会に所属し、アルバイトはジムのインストラクターをしている。いつも鍛えており、当然、ひろしやみさえよりも力持ちである。しんのすけは力持ちと言ったら忍のことを思い出した。

忍「しんちゃん!?どうしたの?その身体!?」

しんのすけ「忍ちゃん!いた!良かった。大変、お家でひまわりがピンチ!ひまが死んじゃう!忍ちゃんの力が要る!お願い、お願い助けて!たすけて!はあ、はあはあ!」と、叫び!荒い息をあげながらその場に倒れてしまう。

なな子・忍「!!」と互いに目を合わせる。一瞬で野原家に何か大変なことが起きたことを悟る。

が、忍は一瞬躊躇したが状況がわからない、このまましんのすけを病院に連れていこうとも考えたが、しんのすけの話だとひまわりも心配だ。
しんのすけを背負って移動しながら状況を聞こう、としんのすけを背負った。

忍「ななこ!状況がよくわからないけど、あたしはしんちゃん家に行ってくる!
しんちゃんの体と様子から、しんちゃん家に警察と救急車呼んで!何かあったらあたしが責任とって謝るから。」と駆け出した。

ななこ「わかったけど!私も行く!ひまわりちゃんが心配だもの!」と慌てている。

忍「わかったけど!まずは先に警察と救急車を呼んで!それから来て!」

ななこ「わかった。気をつけてね!無理しないでね?」

忍「わかった、伊達に鍛えてないよ!」と野原家に走り出した。

忍「しんちゃん、ひまちゃんとしんちゃんに何があったの?」
と走りながらしんのすけに状況を聞いている。

しんのすけ「オラたちの家に変なおじさんが来て、オラたち沢山殴られた。」

忍「どうして!?しかも赤ちゃんにまで。」

しんのすけ「殴られるその前に・・・・、」

忍「その前に?」

しんのすけ「その前にオラたちが迷惑をいろんな人にかけた様子のDVDを見せられて、その人たちに頼まれたみたい。オラたちがわるいみたい。」

忍「そうなんだ・・・、とにかく急ごう!(とは言え、ここまでやるのはやりすぎだ。)」と走るスピードをあげた。

数分後、野原家の前まできた。

うぇええええええええん!うぇえええええええええん!

ワンワンワンワンワンワンアンアンアンアン!

ひまわりの泣き声が聞こえる。家の外にも響いている。シロもようやく目を覚ましていた。ひまわりのあまりにも異様な泣き声に驚き、鳴き声を上げていた。

しんのすけ「ひま・・・、良かった、まだ大丈夫みたい。」

忍「ひまわりちゃん!しんちゃん!どこから入れば良い?」

しんのすけ「玄関から!」

忍「わかった!」と忍は急いで玄関から入る。背負っていたしんのすけをリビングの床にゆっくり横にさせた。

忍「何これ?」と驚愕した。

忍は大人のため、ひまわりの状況がひと目でわかった。

しんのすけ「ひまわり!」ひまわり「たいあい!!!」

正方形状のベビーサークルの中にひまわりがいて、泣き叫び暴れている。ひまわりもしんのすけ同様、いやそれ以上に血まみれである。

上に漬物石が円錐状に大量に置いてある。これはしんのすけでもわかる。ただ、忍が上から見るとベビーサークルの上に薄い鉄板があり、その上にまず敷き詰められた9個の漬物石、その上に4つの漬物石、一番天辺に1つの漬物石が置いてあった。一瞬でこれは子供のいたずらではないことがわかった。漬物石が1つ10キロぐらいあるため、140キロの重りが天板の上に置いてあるのだ。ベビーサークル自体も左右に揺れており、柵もこのままでは折れるか倒れる。

忍「しんちゃん!動ける?シロちゃんを犬小屋に入れてあげて!時間がない。外に重りを出すよ。」

しんのすけ「ほい!シロ!」
シロ「アン!アン!」とリビングの窓を開けて外に出てシロを犬小屋に入れた。

忍「よっしゃ!」と気合を入れて、

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!と漬物石を次々に庭に投げこむ。
さすがは鍛えているだけある。

しんのすけ「おおお!」シロ「アン!アン!」と流石だと、しんのすけとシロは犬小屋で驚愕していた。

ギャシャン!と鉄板も庭に投げた。

忍「ひまわりちゃん!えらいぞ!よく頑張った。」と忍はひまわりを抱え上げた。

ひまわりの体は傷だらけであった。髪の毛は無理矢理刈られ、不自然なまでに髪の毛と眉毛が無く刈り取られている。
顔はひどく腫れあがり、眼は泣きはらして真っ赤、両耳も血だらけ、そして一番ひどかったのは両手両足の爪が全て血まみれであったことである。さらに口の周りとよだれかけは血が混ざったよだれでベトベトになっており、酸っぱい異臭も感じた。
忍も良くこの状態で生きているとひまわりの生命力に感心した。

しんのすけ「ひま!」シロ「アン!アン!」

ひまわり「たいあい!うぇええええええええん!ごふっ!ごふっ!」とひまわりは安心のあまりまた泣き出した。

なな子「ひまわりちゃん!しんちゃん!忍ちゃん!大丈夫!?大変!?」と警察と病院に電話したなな子が野原家にやってきた。

パトカーと救急車のサイレンが聞こえる、しんのすけはほっとしたように意識を失った。

忍となな子はしんのすけとひまわりを助けた後、警察から事情聴取を受けたが幸いにもすぐに家に帰ることができた。

ただし、なな子と忍は犯人(おじさん)を見ておらず、証拠は漬物石とベビーサークルと鉄板のみで、犯人はなかなか捕まらないだろう?しんのすけの記憶だけが頼りだと警察は言っていた。忍となな子は犯人に対しての怒りが収まらなかった。

その後、みさえとひろしはなな子から携帯で連絡を受けて急いで病院に向かった。しんのすけとひまわりが何者かに監禁されて暴力を受け、怪我をしたとの連絡を受けた。
家に帰って、しんのすけやひまわりが部屋を汚す、モノを壊すであれば日常茶飯事なので、まだそのことで怒る方が何倍もマシだった。

しんのすけ!しんのすけ!

オラを呼ぶ声がする。体中が痛む。

病院のベッドの上でしんのすけが目を覚ます。しんのすけを呼ぶ声はひろしである。

ひろし「良かった。本当に良かった!大丈夫か?体、まだ痛むか?」

しんのすけ「とおちゃん。うん、まだ痛い。ここ病院?あれからどれぐらいたったの?ひまは?かあちゃんは?」

ひろし「病院だよ。うん、二人はな・・・・、ひまわりがとにかく泣きっぱなしなんだよ。まあ痛ぇよな、あれだけ傷だらけだったら。みさえがひまわりをひたすらあやしている。ななこちゃんや忍ちゃんに一応話は聞いたけど、しんのすけ、一体何があったんだ?どうして、お前らがこんなひどい目にあったんだ?話せるか?お前は丸一日寝てたよ。」

しんのすけ「うん。」と拷問された経緯をひろしに話した。

ひろし「なんなんだよ!そいつ!そりゃこいつらはわがままで、嘘つきで人の悪口ばっか言ってるし、身勝手で俺たちの言うことなんて全然聞かねえし、人のものは壊すし、反省はしねえし。」

しんのすけ「とうちゃん・・・。」と呆れている。

ひろし「でも、だからって俺たちのかけがえのない子供たちなんだよ!許せねえ、ぜってえ許せねえ!」と泣き出した。


ひまわり「うぇえええええええええええん!べえええええええええええええええええん!」

みさえ「ひまは良い子だねえ、早く痛いの痛いの飛んでいけえ!」

病院の屋上、もう当たりはすっかり暗くなってしまった病室ではひまわりの泣き声は騒音となってしまい、周りに迷惑がかかるため、みさえはひまわりを抱いて屋上にいた。

もうどれぐらいあやしたのだろう。ひまわりは拷問時の緊張が切れたせいで体中の痛みを感じるようになり、何時間も泣き通しである。更にひまわりはプライドが高く、鏡で自分のスキンヘッド姿を見るのが嫌で泣き出すため、みさえは帽子をかぶらせている。

ひまわりの状況は、髪と眉を剃られ、頭皮は真っ赤になっていた。血がにじんだ部分もあり、その部分と血まみれの両耳、赤く晴れ上がった両頬、若干火傷している首、手首には絆創膏が貼られ、舌や口の中は何カ所も切れており、口内、両手指、両足指も殺菌剤を塗られただけでまだ爪は血で滲んでいた。酷いことに両手指、両足指の全ての爪がである。ひまわりが眠っている間にまた爪に楊枝を刺されたのである。また、赤ん坊にとって尋常ではない量の飲み物や食べ物、刺激物を飲まさせられたせいで腹痛と脱糞するたびに肛門の痛みがあった。

幸い、ひまわりもしんのすけも、耳のホッチキス針は全て抜かれ、まだ、ひまわりには歯が生えておらず体の傷は残らない診断となった。

ただ、ひまわりにとっての病院生活は酷いものである。苦味のある痛み止めも飲めないし、飲まない、飲ませても吐き出してしまう。
ゼリーやオブラートに包めば良いのだが、ひまわりの早熟は味覚もであり、薬の苦さも敏感に感じてしまうため、やはり吐きだしてしまう。
さらに、痛みのためにみさえがどんなに押さえつけても暴れまわり、落ち着いて注射も打てない、自然治癒に任せるしかない。
口の中は離乳食やミルクも口の中の傷にしみて、栄養が余り取れない状況である。今、みさえはひたすらひまわりを泣き止ますため、胸元に抱えなだめていた。
これが恐らく1週間は続くと診断した小児科医は言っており憂鬱であった。ひまわりは昨日からほぼ眠れず、ほとんど栄養も取らずに泣き続け、脱糞、嘔吐をしてやつれていた。

まだ二人を拷問した犯人は捕まっていない。そのあとにしんのすけは警察から事情聴取を受けることになる。

ひろしは有給休暇を使う決意をした。
ひろし「しんのすけ、俺、みさえの所に行ってくるわ。ひまわりをなだめてくる。待ってろ、母ちゃん呼んでくるから。」

しんのすけ「わかった、ひま・・・。」とひろしはしんのすけから離れ、病室を後にした。

屋上に行ったひろしはみさえにしんのすけから聞いた情報を話し、みさえはひまわりをひろしにあずけた。

数分後

しんのすけ「かあちゃん!」

みさえ「しんのすけ!大丈夫?大変だったね?」と今度はみさえがしんのすけの病室にやってきた。思わず抱きしめたかったがしんのすけが痛がると思い、ぐっとこらえた。

みさえ「本当になんてやつ!仮にも0歳児と5歳児相手に!」

しんのすけ「仮にって・・・・、ひまは・・・?」

みさえ「ぜんぜん泣き止まない。あたしは今のところ良いけど、あのままだとひまわりの体力が持たない。食欲もあまりないし、一日中痛くて泣いてばかりだから少しやつれてる。何回か吐いているし吐いては泣くし、うんちするたびに泣くし、何で?あんたたちを何であんたたちが・・・・・。」

としんのすけの寝ているベッドの足元に顔を突っ伏して泣いていた。

みさえは、しんのすけとひまわりが人様に恨まれるような子供になってしまったのか?
あたしたちのしつけが間違っていたのか?
それともあたしが悪いから?
あたしの生き方が子供に影響したのか?と口に出そうになったが出さなかった。考えているうちに眠くなり、眠り始めた。

そんな野原一家の惨状をスーツを着ているおじさんが今度はメガネとカツラをつけ、杖をT字杖をつきながら病院内をうろつき、ほくそ笑んでいた。

おじさん「・・・・。(まだまだ、お前ら一家の地獄は終わらせないよ!まあ今のうちにせいぜい家族の幸せとやらを謳歌しな。)」

春日部から離れる車に三人組の家族がいた。運転席に男親、助手席に女親、後部座席に子供がいた。
子供はしんのすけの友達、しょうだった。

母「ぼくちゃん・・・、しんちゃんからおもちゃ返せてもらえたのね。」

しょう「うん、やっと返せてもらえた。」

父「マサルはそのアクション仮面の人形、大好きだもんな。」

しょう(マサル)「うん、ママが買ってくれたやつだからね。」

マサル「うん・・・・。(僕はマサル、しょうじゃない。将軍の将と書いてまさると読むんだけど、先生が僕の名前を読み間違えてから皆、しょう、しょうと呼ぶから。あいつら幼稚園の連中はもうちゃんと名前も覚えてもらえない。だから、まさると名乗るのは止めた。どうせ、ちゃんと話を聞いてもらえないし。園長先生も顔が怖いから、組長先生と呼ばれてるし。ママも僕のことをぼくちゃんとか変な呼び方で呼ぶ。へへへへ、アクション仮面のフィギア、勇気を持って、あのおじさんに頼んで良かった。)」
と、いろいろと思い出す。

ある日の幼稚園でのしんのすけとマサルの会話

マサル「しんちゃん、僕のアクション仮面フィギュア、いい加減に返してよ!いい加減、自分のやつを見つけてよ!」

しんのすけ「うーん、まだ見つからない、ひまがどこかにやったんだと思う。」

マサル「それ、何回目?」

しんのすけ「うーん、何回目だろう?」

マサル「じゃあ、しんちゃんのおうちに僕も探しに行っていい?あれ、大切なんだよ!ひまちゃんにも聞いて良い?多分知ってるよねえ。」

しんのすけ「いやあ、それは、ひまは気難しいから。」

マサル「返せないなら借りないでよ!」

しんのすけ「・・・・。(ひまわりが壊したなんて言えない。)」

マサル「もう良いよ!」と幼稚園を出て行ってしまう。

近くの公園である。ベンチの端に座るマサル。

マサル「はーあっ・・・・。(ママが首と腰を痛めてまで買ってくれたのに。)」
マサルは大きなため息をつくと同時に、しんのすけの態度に悲しさと悔しさで涙がこらえきれなかった。顔を抑えて声を潜めて泣いている。誰か、人が来た。気配がする。誰だろう?でも、だからといって涙を止められるわけでもない。

小さな40代の男がマサルのいる公園に近づいている。男は歩きながら考え事をしていた。男はベンチに座っている目の前の幼稚園児に目をやった。
おじさんは目の前の子供のスモック姿で幼稚園児ということが直ぐにわかった。

マサル「すんすんすんすんすん。」

おじさん「・・・。(なんだ?なんで子供がおっさんみたいな泣き方してんだ?)」

騒音になるからだろうか?泣き声があまりしない泣き声に逆に引っかかった。

おじさん「・・・。(ったく!)おい、坊主どうした?」

マサル「何でもない。」

おじさん「何でもなくはないだろ?何泣いてんだ?話すだけ話してみたらどうだ?楽になるかもな。」

マサル「おじさん、名前は?」

おじさん「は?ああマサル。」

マサル「そうなの!?一緒なんだね?」

おじさん「一緒なのか?名前!」と親近感を覚えるおじさん。

マサル「うん!」と少しだけ笑った。

おじさん「マサル、何があった?言ってみろ。話すだけなら損はないと思うけどな。」

マサル「うん。ママが怪我させられた。怪我をさせたやつが僕のおもちゃも取った。」と自分の境遇を話した。

おじさん「誰に?」

マサル「5歳児と0歳の赤ん坊の兄妹に。」

おじさん「はあ?」

マサル「そうだよね、普通はそう言うこと言うよね。でも、その兄妹は頭がとても良いし、運動神経もすごい、口もまわる、運もいいし。それで嫌な奴らなんだ。わがままで身勝手で大嘘つきで兄妹そろってものすごいエッチで、兄はサギ師?ってやつ?で妹は悪魔だ、本当に。しかも僕の名前すら覚えてくれない。僕は将軍の将って書いてマサルって読むんだけど、しょうだったりボクさんだったりって呼ぶんだ。」

おじさん「ほう・・・・。(そういうお前も充分頭が良いけどな。うん?さっき聞いた話と似ている話だな。)」

マサル「信じられないよね。相手は5歳児と0歳児だから、別に信じなくても良いよ。」

おじさん「ああ、信じられない、想像もつかない。が、おもちゃ取り返したいし、母ちゃんの仇打ちたいか?」

マサル「打ちたいけど・・・。」

おじさん「だったら、やってやっても良いが、母ちゃんにも誰にも言うなよ。明後日の今頃またこの公園に来れるか?」

マサル「うん、わかった。」

おじさん「お前はそいつら兄妹とは違って約束を守れるよな!嘘つきは俺も嫌いなんだ。」

マサル「おじさんも約束守ってね。僕も嘘つきは大嫌いなんだ。」

おじさん「わかった。」とマサルの肩を軽く叩いて去った。

マサル「ふふふ・・・・、(へんな人だ)でも、約束はしちゃったからなあ。」
とマサルの機嫌は治っていた。

それだけ、マサルが幼稚園の人間は先生も生徒も「いいかげん」だということを感じていたことを伝えたかっただけです。

翌日。

若い男「たかだか、赤ん坊の女の子と5歳児の坊主に?はははははっははあ!いったい何をかんがえてるんですかね?」

若い男が広い和室の中にいる。真向かいに白ひげを蓄え、紋付袴を着ている、鬼瓦のような顔の男が上座に座っている。白ひげの男の左右には高級なスーツを着た男たちが何人もいた。

おじさん「お話中失礼だが、おい!若えの!おかえりいただこう。」と部屋の外から大声が聞こえた。

若い男「へいへい、帰ります。子供は天使!」と部屋から出ていってしまった。

おじさん「親分さん、そのお話やはり、私がお受けしましょうか?ただし、500万円、いや1500万円でやります。公害の悪魔二匹!」とニヤッとした。
親分と呼ばれる男は静かに頷き1500万円をおじさんに渡した。

親分「さすが閻魔のマサと言われた男。気が変わられたんですか?しかし1500万円もの大金でなぜ受けようと思ったんです?確認しますが相手は仮にも子供と赤ん坊。この二人です。」

としんのすけとひまわりの写真を見せた。

おじさん「ほう。(やっぱり・・・・。マサルが言った通りの二人だ。5歳児と赤ん坊の拷問なんて世界中探しても無い、どんだけ他人に迷惑かけて恨まれながら生きてるんだこいつら。)」

おじさん「本気で殴ったら死ぬのが子供、当然殺しちゃだめだ。そして、残酷なのも子供、途中でこの二人を殺したくなる。しかし後遺症はつけられない。でも、怪力で化物と聞きました、タチが悪い。だからこそやりがいがあるし、金もかかる。若造なんかにゃわかりゃしませんよ。念を押しますが1500万円でかまいませんか?」

親分「マサさん、良く言ってくれた。それで良い、お好きにお使いください。こいつらは子供の皮をかぶった悪魔です。沢山の人間が私に泣きついてきた。」

おじさん「へい。1500万円の仕事です、親分さんにも依頼主の方々にも後悔はさせません。」
とおじさんは1500万円を受け取り親分に頭を下げて、和室から出た。

1500万円のうちの一部は野原一家の調査や身辺の調査費用。しんのすけのおもちゃ、ひまわりのおもちゃ、場面セッティング、拷問器具、町内会の食べ歩きツアーのセッティング、イケメンのバスの運転手と添乗員さん、綺麗なスタイル抜群のバスガイドさん二人(ひろしやみさえ、おばさんを誘惑用。)の代金となった。

翌日、マサルとおじさんは再び、公園で会った。

おじさん「マサル、約束はお互いに守ったようだな。」

マサル「おじさん!そうだね。それで?」

おじさん「ああ、野原しんのすけ、野原ひまわりの兄妹のことだな?」

マサル「そう、そういや名前言って無かったのにどうしてその二人ってわかったの?」

おじさん「いやな、お前以外にあの兄妹に苦しめられている人間がたくさんいてな。やっぱりか。」

マサル「おじさんを試すつもりなかったんだけど、ごめんなさい。」

おじさん「なーに、物のついでよ、気にすんな。」

マサル「で?ママの仇はとってくれるの?」

おじさん「ああ、やってやるよ。相手は強敵だからな。こっちは味方もいるからな。」

二人はしんのすけとひまわり、いや野原一家に鉄槌を下すための情報交換をした。
野原家の図面、趣味、好きなもの、弱点などである。さらに親分を介して映像などをみて二人がどれだけのことをしたのかを互いに理解した。

特に、映像を見たときにマサルは死ぬほど動揺した。

マサルの母が腰を痛めた直接の原因と、首の傷の原因がしんのすけとひまわりだったことを知ったためである。
マサルの母、姫子はマサルに、腰と首の怪我の理由を一切言わず「転んだ」としか言わなかった。

姫子は外で働いている時は、コンタクトレンズをつけて長い髪を縛っている。
家にいるときやみさえたちのママ友と会うときは髪を縛っておらずにメガネをつけている。

託児所でひまわりに首を引っかかれ、傷のせいで声が少しかすれてしまった。彼女は託児所をすぐにクビになった。
そのあとに働いたおもちゃ屋でしんのすけに腰を痛めつけられたため、おもちゃ屋もクビになり、歩きが若干不自由になったのである。

しんのすけもひまわりも姫子とは面識はあるものの、髪を縛っておらずにメガネをつけていて声がかすれた状態しか知らないのである。
そのためしんのすけもひまわりもDVDを見ても姫子のことは一切気づかなかった。

さらに、姫子はしんのすけやひまわりに対してもこのことを一切恨んでいないのである。

マサルがふたば幼稚園に転入して数日の出来事である。
マサルは喜んでおじさんに協力した。迷いはなかった。

そしてある日の日曜日、作戦は決行された。
マサルはしんのすけの家に普段通りに親友を装い遊びに行っていた。

その日の10時15分
野原家では睡眠薬入りプリンを食べたしんのすけ、ひまわり、シロは眠っていた。

マサル「よし!」としんのすけとひまわりが起きないことを確認し、携帯電話にておじさんを呼んだ。

すぐにおじさんが駆けつけた、おじさんはマサルと同じ格好、子供服を着ていた。

おじさん「来たぞ!マサル!おい、来てくれ!こっちだ!」と数人の仲間を引き連れてやってきた。
おじさんの仲間はつなぎを着ていて大量に台車を使い道具を持ってきた。

マサル「おじさん、その格好は?何で僕と同じ服装なの?」

おじさん「万が一、外から他人に見られても子供同士で遊んでいると見えるからな、それとお前の服を奪ったとしんのすけとひまわりの二人に思わせておけばお前は悪くないと思うだろう?」

マサル「なるほど」

おじさん「それより、マサル、人形は?早く探せ!」

マサル「うん!」としんのすけがいつもいれている「おもちょ箱」と書いている箱の中を漁り始めた。

おじさんはしんのすけとひまわりが眠っているかどうかを確認し、粘着テープ付きの椅子に座らせ、二人の体を後ろ手をプラスティックの手錠で鎖で身体を椅子に縛り始めた。

おじさんの仲間はある者はカメラのセッティング、またある者は窓の周辺に透明な大きなガラスをおいたり、ある者はテーブルを片付けたりしていた。

ごく!マサルはその光景に思わず戦慄を覚えた。やっぱり僕は間違ったことをしたのかもしれない。

マサル「おじさん、本当にやるの?」

おじさん「マサル早く見つけろ、これは正しいことだ。お前は間違っていない。それともそのままでいいのか?」

マサル「嫌だ!」と人形探しを続け、ようやくアクション仮面人形を見つけたが右手と左足がちぎれていた。

マサル「ああ・・・。」マサルはひまわりが壊したことを悟った。

マサル「おじさん、ひまわりを殴って良い?」と許可を得ずに縛られたひまわりに殴りかかろうとした。

おじさん「よせ!」とマサルを抑えた。

おじさん「お前は俺やこの二人みたいになるな!待ってろ!」と睨みつけた。

マサル「おじさん?」とその場に踏みとどまった。

おじさんは持ってきた荷物からアクション仮面人形をマサルに渡した。

マサル「おじさん?これは?」

おじさん「お礼だよ。いろいろありがとうな、母ちゃんに買ってもらったやつじゃないけど、だめか?」

マサル「ううん、ありがとう、大事にする。」

おじさん「これから、お前やお前以外にこいつらに酷い目に遭わされた奴らの仇を取る。もう行け!かあちゃん体治るといいな!じゃあな。」

マサル「わかった。ありがとう。サヨウナラ。」とアクション仮面人形を持つと野原家をあとにした。マサルは後ろを振り返ることは無かった。

そんなことを思い出しながら車の後部座席に座っていた。車は春日部を離れ西へ西と向かっていた。
マサルはマサルの父から西には良い整体師さんや鍼灸師さんがいることを聞いた。おかあさんよくなるぞと言っていた、楽しみである。

あと、しんのすけのせいでバイトをクビになる女性とか。

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