鷹富士茄子「幸せを運んで」 (24)
お手々のしわとしわ、合わせて『初投稿』です
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このカードイラスト最高過ぎない?
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1502039244
私は、他の人に比べて少し…いえ、かなり幸運です。
しかし、『幸運』は『幸せ』ということではありません。幸運と幸せは少し違います。少なくとも、私の中では、ですけれど。
―・-・―
片手には、ポップコーン。もう片手にはコーラ。そして目の前には担当のアイドル。
「プロデューサー?」
「え?茄子さん?」
大きな仕事も終わり、気まぐれに取った二日間の有給休暇。普段の激務から、今日と明日は解放される。
そんな俺は昨日、これからの休日の過ごし方をのほほんと計画立てしていたときに、先輩プロデューサーからとある映画のチケットを受け取っていた。
その映画はとある恋愛小説を映画化したもので、先輩の担当である三船さんが出演しているらしく、『結構重要な役で出てるし、観てくれよ。お前、明日から休みだろ?んで出来れば感想聞かせてくれ。美優に注目してな』と頼まれた。
好意と依頼を受けた俺は早めに観に行くことに決め、翌日、つまり今日その映画を観に映画館へ来た。来た、のはいいけれど。
「奇遇ですね!プロデューサーもこの映画を?」
伊達眼鏡をかけ、長髪のウィッグをつけて変装をしているにしてもすぐに分かるその佇まい。偶然にも、茄子さんが俺の座るべき席の隣にいた。
「あ、ぁあ、まぁ、そんな感じですけど…」
人間というものは得てして、不測の事態に弱い。一人電車とバスに揺られ映画館に来たら、担当のアイドルがいた。予測できるかこんなの。いや確かに茄子さんもお休みだけれども。
…いや、『茄子さんなら』という点を考慮すると案外不思議なことではないのかもしれない。
彼女曰く、自分はとても幸運で、その大きすぎる運を他人に(無自覚に)分け与えることもあるのだとか。
最初は半信半疑だった俺も、茄子さんと二人一緒にいるときに、来世間違いなしだった交通事故を鼻先三寸で回避出来たことから茄子さんの幸運を信じるようになっている。
今のこの、彼女と偶然出会うというシチュエーションは俺にとって幸運なことだろう。…出会う場所さえ違えば。
出来れば映画館では出会いたくなかった。どこかの買い物途中とか、駅のホームとか、そんなところで出会いたかった。
「…?座らないんですか?」
「あ、はい、そうですよね…」
コーラとポップコーンを座席のドリンクホルダーに置き、席に腰掛ける。
「楽しみですね~♪」
「そうですね…」
スクリーンは番宣映像を流している。まだまだ映画本編まで時間があるだろう。横目で見ると、茄子さんはホットドックを美味しそうに頬張っている。朝早いし、もしかしたら朝食代わりなのかもしれない。
俺はコーラーを少しだけ吸い上げた後、ポップコーンの器を茄子さんの方のドリンクホルダーへと移動させた。
「これ、食べますか?」
「え、いいんですか?」
「ええ、というかむしろお願いします。間違えて大きいやつ買っちゃったんで、一人で食べ切れるか心配だったんですよ」
「では、お言葉に甘えて♪」
茄子さんがポップコーンを一つつまみ上げ、口に運んだ。俺もそれに倣って二つつまみ口へ。サクッと言う食感と共にバターと醤油の味が口いっぱいに広がる。手を止めずにまたつまみ上げ口に運ぶ。
「手が止まりませんね…おいしっ」
茄子さんも同じようだ。これなら上映が終わる少し前にはカップが空になるだろう。まあ俺にとっては、ポップコーンよりも大きな懸念事項が一つあるのだけれど。しかしこれは、映画の内容次第で解決できる問題だ。色眼鏡で見てしまうことを避けるためにも、あまり今から不安がるのはよくないだろう。
「あっ、始まりますよ…」
茄子さんのその声にあわせるように、劇場内の明かりが落ちる。少しずつ暗くなる劇場内で、俺はひとりくだらない思考をする。
今この状況は、傍目からどのように見えるのだろうか?
気になり俺は劇場内を見渡すが、平日の朝と言うこともあってか10人ほどしか観客はいない。それに全員既にスクリーンを観ていたので、そもそも俺たちのことなど眼中にないのかもしれない。
…じゃあ、茄子さんは?
今日はここまでです、続きはまた
前作までのまとめです、時間があればご一読を→http://twpf.jp/vol__vol
当SSはシリアスの予定でしたが変更しました。
再開します、短くてごめんなさい
―・―・―
「お待たせしました、オムライスとサンドイッチです」
料理を持ってきたウェイトレスさんに一礼し、俺はオムライスを、茄子さんはサンドイッチを受け取る。映画を見終わった俺たちは劇場近くの喫茶店にいた。
ポップコーンを食べたとは言えそれだけでは腹はふくれず、近くの喫茶店へ場所を移し、少し早めの昼食を取ることになったのだ。
「プロデューサーって、とっても涙もろいんですね♪」
「もう言わないでくださいよ…」
俺は上映中ボロ泣きしていた。映画はとても感動的で、特に三船さんが決意と共に街を発っていくシーンなど涙なしでは見ることなんか出来なかった。
これが、俺が映画館では茄子さんと出会いたくないと思っていた理由である。俺は人一倍涙もろく、映画などでは(コメディ以外では)九分九厘泣いてしまう。
茄子さんはうっすらと涙を浮かべる程度だったのに、隣で俺が滝のように涙を流しているのを観るときょとんとしていた。ああ、こうなりそうだったから嫌だったんだよ。それに恥ずかしすぎる。
劇場を後にしてから、茄子さんは何故か少し嬉しそうに俺をからかい、その間俺は赤くした目を元に戻すことに必死だった。
「私の初ライブ以来ですよ、プロデューサーが泣いているところを観るの」
「そうでしたっけ…」
そういえばあのときは今回以上に大泣きしていたな、と思い返す。初ライブの後は俺も茄子さんも涙を流し、互いの健闘をたたえ合った。
その後のライブでも俺はちょくちょく感極まって泣いているため、涙を見せまいとするためすぐに茄子さんのもとに行くことが出来ていないのが現状。
当然茄子さんはもうライブの後に泣いたりしないが、依然として俺は涙をこぼしている。担当のアイドルよりも成長出来てない俺はプロデューサーとしてどうなんだ。
「でも、なんだかホッとしましたよ」
「ホッと?…あぁ、色々ありながらもハッピーエンドで素晴らしい映画でしたね」
「…そうですね、プロデューサーがワンワン泣いちゃうくらい」
「だから言わないでくださいって」
また茄子さんにからかわれてしまった。事実故に否定できないのがなんとも言えない。
映画の感想もそこそこに、俺たちは料理に手をつける。
「いただきます…んっ♪」
「…いただきます」
美味しそうにものを食べる人だなぁとつくづく思わされる。美しい人の一挙手一投足はそれだけで魅力的だが、茄子さんは食事の時が一番素敵だと思う。オムライスを今食べているというのにサンドイッチも追加注文したくなってきた。今度食レポの仕事でも入れてみよう。
「それで、プロデューサーはこれからどうするんですか?」
不意に茄子さんから声をかけられた。口の中のオムライスを二度咀嚼し、飲み込む。
「どうって…特に予定もないし、ブラブラしようかと」
「それでは」
俺の答えを聞くと、茄子さんは少しだけ口角を上げ俺に一枚の紙切れを見せる。
「これに、一緒に行きませんか?」
『〇〇水族館ペアチケット』と印字されたその紙を観た俺は、昨日の先輩とやりとりをデジャブする。
「…どうしたんですか、これ?」
「昨日福引きで当たったんですよ」
なるほど、これ以上にないほど納得できる理由だ。というか、訊く前からだいたい分かってはいたけれど。
聞くに今日は映画とこれが茄子さんの大きな予定だったらしい。本来は一人で行くつもりだったのだが、俺と偶然出会い、一緒にどうかと思ったそうだ。
「じゃあ、ご一緒させてもらっていいですか?」
「勿論♪お願いしますプロデューサー」
水族館なら感極まって泣いてしまうなんてこともないだろう。会計を済ませ、喫茶店を後にして水族館へ向かう。
その道中の足取りは軽かった。
今日はここまでです、続きはまた
投下が短いのは全部私のせいだ!ハハハハハッ!全部私のせいだ!フフッ!
―・―・―
「クラムボン…」
と、水槽の中のクラゲを見ながらひとりごつ。パッと頭に浮かんできたものだが、何だったか思い出せない。とても懐かしい感じはするのだが。
「あっ、『やまなし』でしたっけ、懐かしいですねぇ」
そうだそうだ、やまなしだ。宮沢賢治だった。
「結局、クラムボンって何だったんでしょうかね?」
「さぁ…?」
茄子さんは俺に問うが、答えることは出来なかった。そもそもクラゲと響きが似ているから『クラムボン』という単語が口をついてきただけで、詳細なんて一切知らない。
「クラゲなんでしょうかね、あれって」
「かぷかぷはしてますね」
茄子さんが指さす先には、悠然と泳ぐクラゲの姿が。なるほど、その姿は確かにかぷかぷしていた。笑っているようにも見えなくない。
「俺、なんかこうクラゲが泳いでるのを見ると癒やされるんですよね」
「あ、分かります!可愛いですよね~♪」
可愛い、と言うのもそうだが、俺はクラゲのこの漂うだけの緩慢な動きも好きだ。茄子さんもそこが気に入っているらしい。
現に館内を一回りしたが、互いにこのクラゲの展示が一番気に入り、二人してここでずっとクラゲを眺めている。イルカショーまでの暇つぶしのつもりだったが、もしかするとアナウンスに気づかずこのまま見続けてしまうかもしれない。
「でもクラゲって、いいことばかりじゃないですよね」
「そうですか?」
「だって、クラゲが出ちゃうと海に入れなくなっちゃうじゃないですか」
「…そうですね」
クラゲの中には当然毒を持った種も居る。見る分には可愛いし癒やされるし可愛いけれど、海水浴では気をつけなければいけない存在だろう。
「クラゲに刺されたことは?」
「幸運にも、一度もありません」
まあ分かっていたけど。
「プロデューサーは?」
「あー…何度かありますね、学生の頃とかよく」
「それは…不幸なことで」
数えると片手で足りるほどだが、それでも二度とあんな痛い思いはしたくない。
「…だったら、私と一緒に行きませんか?」
「え?」
「いえ、ほら、私と一緒に海水浴にでも…私と一緒なら、クラゲに刺されるなんてことありませんよ」
「…今度、海辺での仕事も入れ」
「プライベートで、ですよ。プロデューサー、私、海に行きたいです」
俺の方へ顔を向けながらニコリとほほえむ茄子さん。それに対し平静を装いつつも装いきれていない俺。漂うクラゲ。この場に人間はなぜか俺たちしかおらず、空気が固まったようにも感じた。
人間というものは不測の事態に弱い。クラムボンの話をしていたはずが、いつの間にか海に行く話になっていた。しかもプライベートで。
茄子さんと海。行きたい。いやダメだ。スキャンダラスなことになったらどうする。ああでも茄子さんの水着も。いやダメだからって。
『ボッ…ただいまより、イルカショーの会場を開園します。ぜひ皆さん一階観覧席までお越しください』
一度ノイズが入った後、イルカショーの開演を告げるアナウンスが館内に響く。同時に空気が動き出すのを感じる。
「あ、ああ!イルカショーですよ!観に行きましょう!」
「え、ちょ…プロデューサー?」
俺は彼女の手を引いて一階の観覧席を目指す。海水浴へのお誘いは無回答と言うことにしてしまった。申し訳ないけれど、これでいい。だって俺は茄子さんのプロデューサーさんだから。今度、本当に海での仕事も入れよう。罪滅ぼし、と言うわけではないけれど。
…罪滅ぼし、と思う時点で自分の中に後ろめたいことがあるのを自分でも分かっている。
イルカショーでは運良く一番前の席に座ることが出来た。そもそも、観客が少ないことも最前列に座れた要因だろう。
しかし、調教師曰く「いつもよりも高く飛んでいる」とのことで、俺は頭から思いっきり水しぶきを浴びてしまった。
隣の茄子さんには、水滴一つとしてかかっていなかった。
再開します、今回で終われ
夏といえど、すぐに濡れた衣服が乾くわけではない。茄子さんが偶然にも持ってきていたタオルを借り、とりあえず体を拭う。
「タオル、ありがとうございました。洗濯して返します」
「いえいえそんな、お気になさらずに」
いえいえ俺が、いえいえ私がと言うやりとりを数回繰り返した後、結局タオルは茄子さんの手に渡った。そして茄子さんはタオルを綺麗にたたみ、自分のバッグの中に入れる。
「で、海に行く話ですけど」
そして話題はイルカショーまでプレイバック、いやこの場合はリターンか?先ほどと同じようなにこやか顔の茄子さん、動きが止まる俺、バクバクとエサを食べるイルカ。
しかし、いい機会なのかもしれない、はっきりと言うんだ。
「あの…行きたいのは山々なんですけれど…」
「山に行きたいんですか?」
「いや、海の話です…その、あなたは今や人気アイドルなんですから、男と二人って言うのは控えた方が…」
はっきり言えてないぞ俺。でも、断った。これでいいんだ。俺は茄子さんのプロデューサーさんなんだから、これが正解なんだ。
「今も、男の人と二人っきりですよ?」
「…あ」
そりゃあそうだ。今も中々に危険な状態だ。そんなときに『二人きりではダメ』なんて理由として通用するわけがないだろう。
「もしかして…プロデューサーは私と海に行きたくないんですか?ごめんなさい、わがまま言って、無理して誘って…」
「い、いえ!そういうわけじゃ!さっきも言った通り行きたいんですけど…!」
「そうですか!じゃあ決定ですね!」
「え?」
茄子さんは伏せていた顔を上げ、俺に満面の笑みを見せつける。そのままカバンから手帳を取り出し、開いている日を指でなぞり始めた。
「そもそも、スキャンダルなんて、私と一緒にいるときに心配する方が損ですよ」
にこやかな顔でかなりとんでもないことを言ってのける茄子さん。しかしこれは彼女の幸運を鑑みる限り事実だろう。事実故に否定できないのがなんとも言えない。
プロデューサーとしての心構え。彼女との関係。スキャンダル、バッシング。理性とかエトセトラ。それら諸々が俺にブレーキをかけさせる。
しかしそれらは、まだ見ぬ茄子さんの水着と海に一蹴された。
俺は茄子さんの手帳に刻まれた日付を指し、休日を指で告げる。
プロデューサー失格だな、と心の中で一人自虐した。
海に行く日付も決まり、水族館を出る。ちょうど駅へ向かうバスがバス停に止まっていたので、二人して乗り込む。乗客は少なかった。二人がけの席に茄子さんが窓側、俺が通路側になるように座った。
「今日はいいことがいっぱいありました♪」
「そうですか?」
「はい!」
会話もそこそこに、バスに揺られる。俺たちの間に会話はなかったが、その沈黙も心地よく感じた。
不意に睡魔が俺を襲う。眠気に抗おうとするが、眠るな眠るなと思えば思うほど余計に眠たくなる。
自分の精神と格闘すること数分、勇戦虚しく俺はついに寝てしまった。
―――
――
―
窓から見上げた空は、赤紫色になっていました。夕焼けと夜空がまざったような景色。私は隣のプロデューサーにも見てもらおうと隣に目を向けます。
「あ…」
どうやらお疲れのようで、すやすやと寝ていました。私はカバンからスマートフォンを取り出し、写真を撮り、彼に画像を送りました。
寝て起きて、見てもらったときの反応が楽しみです。
「今なら…」
と私はプロデューサーの方へ頭を傾け、彼の肩を枕のようにします。私は寝ていないけれど、目を閉じて、少しだけ彼の方に身を寄せます。
触れているのは顔と体の側面だけなのに、全身、特に胸辺りからぽかぽかとしてくる感じがするのはどうしてでしょう。いえ、理由なんて分かりきってることなんですけれど。
「…今日はありがとうございました、プロデューサー」
と、彼の耳には届かないであろう感謝の言葉を独り言のように呟きます。
「それに、本当に安心しました」
また独り言をぽつりと。喫茶店で私、『ホッとした』と言いましたよね。あれ、映画の内容に関してじゃないんです。プロデューサーと私のことなんです。
プロデューサーはライブの後、かなり後になってから私の所に来ますよね?どうしてか、ずっと心配していたんです。お仕事の関係かな、とか他の用事があるのかな、とかいろいろなことを考えてたんですよ私。優先順位が私は低いのかな…なんて。嫉妬めいたことも思っちゃいました。
でもまさか、涙もろいのが原因だったなんて思いもしませんでしたよ。
今思い返せば、プロデューサーってライブの後に目が赤いこと何回かありましたし、今日も泣いていたところを恥ずかしそうにしていたので、確信が持てました。
あの、私が言ってしまうのもあれですけれど、可愛い理由ですね。…いえいえ、からかってるわけじゃないんですよ、嬉しかったんです。
「気になんてしませんよ」
私のライブで涙を流してくれるなんて、アイドル冥利につきますし。
「…幸せ者だなぁ、私」
自分のライブで涙を流してくれる人が、こんなに近くにいる。ああ、なんて恵まれているのでしょうか。
プロデューサー、私は、他の人に比べて少し…いえ、かなり幸運です。
しかし、『幸運』は『幸せ』ということではありません。幸運と幸せは少し違います。少なくとも、私の中では、ですけれど。
私にとって、あなたが私のプロデューサーになってくれたことが大きな幸運で、あなたが隣にいてくれることが私の大きな幸せです。
私と居てくれてありがとうございます、私のわがままを聞かせてしまってごめんなさい。
そしてこれからも、私のそばにいてくれますか?それだけで、私は幸せですから。
私の心の中だけの、感謝と謝罪とお願いは、彼の耳に届くはずなんてなく。
バスは駅に着いて、私は彼の体から離れました。
―――
――
―
ほっぺが痛い。痛気持ちいい。ぷにぷにとされている。
「プロデューサー、起きてください。到着しましたよ~」
「…ぁあ、ありがとうございます……」
頭がまだ完全に覚醒していないけど、歩いている内に元に戻るだろう。茄子さんの後についてバスを降りた。
「それでは、また」
「はい、また♪」
俺は駅の改札口の方へ足を向け、茄子さんと別れた。電車が来るまであと3分ほど、ちょうどいい時間だ、運がいい。電車に乗ってもあつらえ向けのごとく席が空いていて座ることも出来た。本当に運がいい。
自宅近くの駅で降り、家へと向かう。その間に、海に行くときの予定を立てていた。昨日のようにお願いがない限り、きっと大丈夫だろう。
歩いていると、本屋が目に入った。そういえば、あの映画は小説が原作だったな。ついでにここで買って帰ろうか?
「…いや、明日でいいか」
空腹だったし、そんなに急ぐことでもない。それに、明日また雑貨とその他諸々を買いに出る用事もある。今日買えなかったものが主だけれど。そのときついでに買おう。ああ、いっそのことまた電車とバスを乗り継いで遠くまで行こうかな。それも悪くないかもしれない。
浅ましい希望を持っているわけじゃないが、もしかしたら明日また出会うことが出来るかもしれないという考えもある。
幸せなことに、あの人の幸運は本物だから。
~終わり~
ここまでです、ありがとうございました。
このSSの元ネタは吉良吉影です。
ちひろさん!ちひろさん!!(SSRを)出してくれ…(SSRを)出してくれェッ!
(SSRを)出してくれ…(SSRを)出してくれェッ!!ちひろさん!ちひろさん!!!(SSRを)出してくれェッ!!
ちひろさんッ!ちひろさんッ!!ちひろさぁん!!(SSRを)出してくれっ!(SSRを)出してくれよぉっ!!
俺はお迎えしなくちゃいけないんだ、俺の事務所に!!
……いやだ……いやだァッ!!(SSRを)出してくれ……(SSRを)出してェ!!
あぁ……なんで爆死(こう)なるんだよ……!俺は……俺は……幸せになりたかっただけなのに………………!!
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