優花里「でもまあ五十鈴殿のご実家の力で、みんな示談にしてなんとか裁判沙汰だけは避けられましたし」

華「大洗では営業できなくなりましたが、まだ他の学園艦では可能です。さあ、紙芝居の無限の可能性を信じて進みましょう！」

沙織「まだやるの！？」

麻子「一体何が五十鈴さんをそこまで駆り立てるんだ…」

木更津沖、知波単学園の学園艦



華「さーみんな寄っといでー、よい子の紙芝居の時間ですよー」

福田「西隊長殿！紙芝居屋さんが来てるであります！」

絹代「いやあ、懐かしいな。ちょっと見てみるか。お姉さん、よっちゃんイカください」

福田「自分は酢昆布をお願いします！」

玉田「じゃあ自分はボンタンアメを！」

細見「私は梅ジャム！」

華「はーい、どれも５０円ですよー」



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華「はーい、今回のお話はこれ！私のオリジナル作品、『忠戦車チハ公物語』ですよー」

沙織「一体どんなお話なのよ…」

華「…『チハ公、一緒に日本に帰ろう。戦車長殿はもう帰って来ないんだよ』みんなにそう言われても、チハ公は
行方不明になった戦車長殿の帰りを信じてそこから動こうとはしませんでした。雨の日も風の日も、戦争が終わっても、
じっと戦車長殿の帰りを待ち続けました。その忠君愛国の姿が評判になり、チハ公は回収されて靖国神社の遊就館に
展示されることになりましたとさ♪めでたしめでたし♡」

絹代「うう…なんていいお話なんだ…、涙が止まらん…」

福田「感動したであります！」

細見「靖国神社のチハに、そんなサイドストーリーがあったなんて…」

沙織「ちょっと華！みなさん信じちゃってるじゃないの！みんな！全部ウソだから！信じないでね！」

優花里「いや、真に受ける方がどうかしてるというか…」

麻子「知波単の人たちって、純真な人ばっかりなんだな」

華「では、次は黒森峰女学園に行ってみましょうか」

麻子「投げっぱなしかよ」

熊本、黒森峰女学園


華「さーみんな集まれー、よい子の紙芝居の時間ですよー」

まほ「おいエリカ、紙芝居屋が来てるぞ」

エリカ「なんで高校に紙芝居屋が…」

まほ「いいじゃないか、ちょっと見ていこう」

エリカ「はあ！？私ら高校生ですよ！？」

まほ「いいじゃないか、すみません、ココアシガレットください」

華「はーい、５０円ですよー」

まほ「ほらエリカ、お前もなんか買え。ただ見はダメだぞ」

エリカ「ええ…、じゃ、じゃあマーブルチョコを…」

華「はいどうぞ、すみませんねえ、催眠ハンバーグは置いてなくて」

エリカ「なんじゃそら！」

華「すみません、紙芝居の方も普通にしゃべるだけで、催眠音声には対応してないんですが…」

エリカ「だからなんだよそれ！」

まほ「ダメだぞエリカ、わがままを言っては」

エリカ「言ってねーよ！」

華「はーい、今日の出し物はこれ！あの戦争映画の超大作が満を持して遂に紙芝居化！『バルジ大作戦』ですよー」

まほ「おお、それはすごいな」

エリカ「ちょっと！それ何時間かかるのよ！」

華「…一生懸命に戦車の歌を歌う少年兵たちを見て、ヘスラー大佐はこう言いました。『命令だ、貴様も歌え』
はいみなさんご一緒に♪寒風吹きすさぶ雪の夜も♪太陽輝く炎天下も♪砂塵にまみれても我らが意気は天を衝く♪」

まほ「戦車よ進め我らと共に♪　ほらエリカ、お前も歌え」

エリカ「え…ええ…」

一同「…命運は尽きて我らを撃ち抜く敵弾♪戦車よ眠れ我が墓標♪」

優花里「…なんでこの歌ってこんなに最後が縁起悪いんでしょうねえ」

沙織「さあ…」


～更に２時間経過～　



華「…火のついたドラム缶が転がってきて、大爆発してヘスラー大佐は死にましたとさ、めでたしめでたし♡」

エリカ「や…やっと終わった…」

まほ「うう…いいお話だったな…」

エリカ「はあ…よかったですね…」

華「途中で休憩を入れるべきでしたね、３時間半も語ってたら喉が痛くなりました」

優花里「でしょうねえ…」

沙織「もう真っ暗だよ…」