ウオオオオ!! バン!!
冗談じゃねえ...
「弾が切れた!!補給部隊はどうした!?」
「こっちも弾切れです!!」
「もうこの陣地は守りきれません!!第二防衛線へ撤退の許可を!!どうぞ!!」
『駄目だ、まだ防衛陣地の構築が完全ではない。陣地を守り抜け、どうぞ』
「補給部隊はまだこんのですか?!どうぞ!!」
ドーン! ドーン! ドーン!
『補給部隊を前線に派遣する程我が戦線にも余裕が無い。すまないが持ちこたえて
くr ビー!!ガガガガガガガガガ
「砲撃で通信線を切られました!!」
「工兵隊!!線直して来い!!工兵!!」
「工兵隊は全員第二防衛線へ陣地構築に!!」
兵士「隊長!!どうしますか!!?」
隊長「...各員持ち場に戻れ、後ろにも前にも進めないなら、敵を一兵でも多く殺せ、以上」
兵士(冗談じゃない...)
伍長「皇太子のバカが...ハナッからこの戦争は無茶だったんだ…くそっ…」 ブツブツ
曹長「隊長!!現陣地でまともに動ける兵はもうおりません、弾も物資も不足しています!撤退しましょう...!」
隊長「それでも戦え!!弾が切れたら銃で殴り殺せ!」
「う、うぁぁぁ!」ダダッ
隊長「逃げるか腰抜け!」 ッパーン
「アッ...!」バタッ
隊長「貴様!見てないで持ち場に戻れ!!」
兵士「は、はい!!」タタッ
兵士「...」 チラッ
「...」 ガタガタガタ
兵士「...」チラッ
「かあちゃん...!!かあちゃん...!!」
兵士(ココが俺の死に場所か...泥水ん中で死にたくはなかったなぁ...)
隊長「...潮時か」
兵士「は...?」
隊長「思えばこの戦いは我が中隊で最初で最後の激戦であった...戦友も数多く散り、皆敵の顔を見る事なく
無念のうちに息を引き取ったことであろう、戦友の無念を晴らすため、我が隊は最期の突撃を敢行する!!総員着剣!!」
兵士「...」 カチャ
「...」カチャ
隊長「...全軍、突撃に...
兵士「...」ゴクッ
隊長「前ぇぇぇぇ!!!」
「突撃ィ!!!!!」
「ワアアああああああああ!!!!」
「バンザーーーイ!!」
ダダダダンッ!! ダダダンッ!!
「かぁちゃーん!!うぁっ...!」バタッ
兵士「ッハァ...ッア"ァ...」ッタッタッタ
隊長「敵陣まであと少しだ!!帝国男児の本懐を今見せろやぁ!」
「報告!騎兵隊らしき部隊がこちらに向かってきております!!」
隊長「騎兵隊...っは!騎兵隊か!貴様、今見えるそれは騎兵隊では無いぞ!
敵国の過去の栄光...驕りの元凶!騎士団だ!」
兵士(この時代に騎士団...?)
「ど、どう迎え撃つのでありますか!!我が隊にはもう弾薬は!」
隊長「貴様のその根性はなんのためについている!!突け!突き殺せ!!」
兵士(尽きた弾薬...騎士団という精鋭の出現...戦線は彼奴混交...逃げるなら...今か...)
隊長「貴様らぁ!迎え撃つぞぉ!!!」
「は、はいぃぃ」ガタガタガタ
「む、無理だろぉ...」
兵士「...みんな...すまねぇ...」ッダダ
兵士「ッハァ...ッハア!」
兵士「すまねぇ...!!すまねえ!!」ッタッタッタッタ
兵士「ほら穴...前に斥候に来たときにここいらにほら穴があった気が...」キョロキョロ
兵士「あった!ここで数日篭れば逃げ切れるか...」ッタッタタ
ッダ-ン... ウァァァァ...
兵士「...」
ピチョン... ピチョン...
兵士「薄暗くてよく見えない...マッチも無いしなぁ...」
「貴様!!!何者だ!!!」
兵士「っひ...!」
?「その姿...貴様敵国の兵か?」
兵士「っだ誰だ...!」カチャッ
?「ほぅ...そのなりじゃぁ大方脱走兵か?」
兵士「し、質問に答えろ貴様ぁ!」
?「まぁ、貴様の命も残り少ない事だ、私は公国騎士団の女騎士...まぁ簡単に言えば貴様の敵だ」
兵士「騎士団...あんたは何でここに...」
女騎士「斥候の途中で貴様らの兵から銃撃を受けてな、運良く腹部にかすり傷だ」
兵士「そ、そいつは…」
女騎士「殺したに決まっているだろう?」
兵士「じゃ、じゃああんたは脱走した訳じゃ無いのか?」
女騎士「貴様私を愚弄しているのか?あまり出すぎた口を叩くな、今は貴様を殺す元気は無いんだ。
君はどうするんだ?仲間を見捨てて脱走してきたんだから、その粗末な銃の中には弾薬が詰まっているだろう?」
兵士「お、俺は突撃中に逃げた...だから弾は残っていない...」
女騎士「ふん...どうかな、もうじき救援がくる、それまでに武器を捨てろ?いいか?」
兵士「っよ、よくねえ!!俺は五体満足で武器もある!お前こそ降参しろ!!」
女騎士「お前...っぐ!...傷口がちょっと開いたか...包帯は...ッチ、切らしてる...」
兵士「お、おい...かすり傷でも結構切れてるぞ、ちょ、ちょっと待て、包帯あるから...」
女騎士「はぁ?敵兵を助ける輩が貴様の国にも居たとは...しかもこのタイミングでか、結構驚きだぞ...」
兵士「お、女に死なれると後味悪いしな...巻いてやるから動くなよ...」
女騎士「ちょ、自分で巻ける!触るな!あと私を女扱いするな」
兵士「ッチ、チンコ付いてないならどう足掻いたってお前は女だ、諦めろ...巻くぞ」
女騎士「わ、分かった...でも巻かなくていい...包帯は置いといてくれ」
兵士「っへ、平気か?」
女騎士「自分を治療できる程の元気はあるさ...あといつまでキョドっているんだ、いい加減まともに喋れ」
兵士「し、仕方ないだろ...敵の、しかも騎士団が目の前にいるんだ...」
女騎士「なら敬語で話せば良いじゃないか」
兵士「敵国の人間に敬語だぁ?ば、バカ言うな」
女騎士「おかしな奴だ...っと、そろそろ来るな」
兵士「っく、来るって誰が...」
「騎士団長様~!」
女騎士「お前、この白布を持ってろ」
兵士「っへ?」ガッチリ
女騎士「私はここだ!!すぐそちらに行くぞ!」
「この声は!ご無事で何よりです!」
兵士「ちょちょちょちょ、チョイ待ち!!」
女騎士「ん?どうした?」
兵士「お、俺ぁ降参するなんて一言も言ってねえぞ!?」
女騎士「はぁ?貴様と我が隊の戦力でどう逃げ果せるんだ?どうせ捕まるんだ、捕まるなら早いうちがいいだろう?」
兵士「お、俺の事は黙ってて、お、お前一人で行ってくれ!」
女騎士「あぁめんどくさい!お~い!捕虜が暴れてるんだ!何人か着てくれ!」
「「「おーー!!」」」
兵士「ヒエエエエエエ」
ーー
ーーー
兵士「ちょちょちょちょ、チョイ待ち!!」
女騎士「ん?どうした?」
兵士「お、俺ぁ降参するなんて一言も言ってねえぞ!?」
女騎士「はぁ?貴様と我が隊の戦力でどう逃げ果せるんだ?どうせ捕まるんだ、捕まるなら早いうちがいいだろう?」
兵士「お、俺の事は黙ってて、お、お前一人で行ってくれ!」
女騎士「あぁめんどくさい!お~い!捕虜が暴れてるんだ!何人か着てくれ!」
「「「おーー!!」」」
兵士「ヒエエエエエエ」
ーー
ーーー
ーーー
ーー
「あんな態度を他の騎士様に取っていたらお前、即切捨てだぞ?身の程は弁えた方が良い」
兵士「ご忠告どうも...」
「これが...俺の弟...」
「うっ...うぅ...」
兵士「...」
「先ほど大規模な戦闘があってな、大方敗残兵の悪あがきと行った所だな...最期は貴様らの国王の名前を叫び
突貫してきた、騎士団が来てくれなかったら恐らく数多くの兵を失ってたな」
兵士「...突撃して来た中で生きてる奴は...」
「居ない。突撃してきた敵兵はすべて騎士団が打ち払ってくれたんだ騎士団さまさまだな」
兵士「そうか...」
「...お前の服についている部隊章と同じやつを付けてる死体を沢山見かけたが、誰も生き残ってねぇぞ」
兵士「...ッ」
「後悔先に立たずってな...そろそろ司令部だ」
兵士「...」
「入ります!」
騎士団員「入れ」
「はっ、例の捕虜を連れてまいりました」
騎士団員「おう、ご苦労さんっと...へぇ~こいつが敵だったんだねぇ、まぁ見窄らしいこと...」
兵士(んだこの茄子野郎が...)
騎士団員「さぁてこいつの処遇は...ん?お前いつまでいるんだ?用がねぇなら
さっさと敵の死骸片してこい」
「は、はぁ...失礼しました」
騎士団員「さぁてと?お前がどんな理由で逃げたとか、騎士団長の目にかかったなどを聞くとするかね」
兵士「お目にかかったってぇのは知らん」
騎士団員「っち...俺が話せるようになったのも、つい最近なのに何でこいつが...」ブツブツ
兵士(ただの嫉妬じゃねえか...)
兵士「そんなのただの気のせいじゃないか?」
騎士団員「いんや、団長はお前の事に興味を持っている、捕虜に対する扱いじゃあねぇ」
兵士「俺以外に捕虜がいねぇからじゃないのか」
騎士団員「ふん、どうだかね」
兵士「まぁんなこたぁどうだっていい...で?俺はこれからどうなるんだ?殺すのか?」
女騎士「おや?死にたくないから逃げたんじゃないのか?」
騎士団員「団長!ご無事で何よりです!」
女騎士「あぁ、ちょっと怪我をしたがこいつがくれた包帯で何とかなったよ」
兵士「そりゃどうも」
女騎士「人の厚意を素直に受け止められないと苦労するぞ?」
兵士「お前らに見せるこたぁねぇよ、で?俺はこれからどうしたら良いんだ?」
騎士団員「っへ、関心するほどの減らず口だなおい?ちょっとは自分の立場を
理解しとけ?お前なんざいつでも殺せるんだぜ?」
兵士「殺す?ならば貴様の喉を噛みちぎって、刺し違えて死んでも構わねぇぞ鉄仮面野郎」
騎士団員「」ブチッ
騎士団員「てんめぇ...いよいよ立場ってのをわからせねぇとなぁ...!!」チャキッ
女騎士「落ち着けバカモン...どうしたさっきまでと違い随分と達観するようになったじゃないか...
お前は生き残りたいから脱走したんじゃないのか?それとも其処此処に転がっている戦友の亡骸を見て死にたがるように?」
兵士「...」
女騎士「ま、話したくないなら話さなくてもいい」
騎士団員「もうこいつ殺しましょう、重要な情報も持って無さそうです」
女騎士「はぁ...君はちょっと出ててくれないか?」
騎士団員「っし、しかし」
女騎士「君も戦い疲れただろう?少し休んで来い、後は私が処理するよ」
騎士団員「は、はい...じゃぁお言葉に甘えます...おい兵卒」
兵士「あぁ...?」
騎士団員「あんま調子こいてんなよ?」ゲシッ
兵士「うっせぇ白茄子」
男騎士「ッチ...」ツカツカ
女騎士「フウー...彼は私に好かれようと必死なようだ...」
兵士「分かってんなら思いに答えてやれよ」
女騎士「生憎、タイプでは無い、貴族の生まれで騎士団に入ったのも
コネで入ったような奴だ...私生活は元より剣術も馬術も見られた物ではない...しかし上の立場上騎士団へ入れないことにはいけないらしい...
いてもあまり使えんから後方に回したが、私と一緒に行動することが多くなってからは自惚れのような症状が...な」
兵士「お偉方の御付きかと思ってんだな、あの性格はうちのクソ皇太子と同じだ」
女騎士「ほぅ...君達はあの皇太子に忠誠を誓っているものだと思っていたが違うのか?」
兵士「冗談言うな、みんなは国に忠誠を誓っていた...あの皇太子には間違っても誓っていない」
女騎士「国に忠誠か...どこの国でも軍の根本は同じなんだな」
兵士「そっちも訳ありなんだな」
女騎士「そうだ、今上層部が君達の処分を決めている所だ」
兵士(達...?他にも捕虜が居るのか)
女騎士「処分が決まるまで私とあいつで君を監視する、まぁ何か要望があれば
言ってくれ」
兵士「ほぉあの白茄子騎士団もねぇ、それは光栄な事で...」
女騎士「先ほど飯を持ってこさせるように言っておいた、そろそろ飯が来るから
一緒に食べよう」
兵士「いや、飯くらい一人で食わせろよ、ってか檻かどっかに移動させないのか」
女騎士「今の君に決定権はない、どこで食わすかは私が決めるさ。それに君の話も聞きたいのでね」
兵士「...勝手にしろよ」
女騎士「勝手にさせてもらうよ」
「団長、昼食を持ってまいりました」
女騎士「ありがとう」
「こちらは捕虜の分です」
兵士「どうも...」
「失礼しました」
女騎士「あぁ、ご苦労」
兵士「毒でも盛ってるんじゃなかろうな」
女騎士「我々が捕虜にそんな事はしないさ、さぁ食べたまえ」
兵士「頂きます」
女騎士「おい、飯を食べるのならまずは神に感謝をだな...」
兵士「俺が崇める神はいねぇ、神が戦場に送り出すような運命を賜りやがった神に感謝するいわれはねぇよ」モグモグ
女騎士「屁理屈を言うな...」
兵士「...」モグモグ
女騎士「君の両親はどんな職に就いているんだ?」
兵士「どん百姓、俺はその跡取り息子」
女騎士「百姓か、私も百姓の生まれでね、まぁもう百姓稼業はやってないが」
兵士「もう?両親は別の仕事してんのか?」
女騎士「はは...その両親を亡くしてな」
兵士「亡くしたって...何かあったのか?」
女騎士「幼少の頃に内戦が起きてね...私の村が激戦区になった...親類も、友人も...全部失ってしまった...」
兵士「そうか...嫌なこと話させちまったな」モグモグ
女騎士「まぁそのおかげと言ってはおかしいが、内戦後に当時の騎士団長に
拾われてね、今じゃその人と同じ役職につけるまでは生きながらえた」
兵士「しかし意外だな、お前も良いとこの生まれじゃ無いんだ、てっきり金持ちの家かと」
女騎士「うーん、百姓が悪いところとは思わないが」
兵士「いやぁアレは人間のすることじゃねぇ...」モグモグ
女騎士「はは...君の両親は元気なのか?」
兵士「あぁ、俺の父ちゃんは一昨年出征して死んだ。母ちゃんは病院船で看護婦してたけど
昨年にボカチン食らって行方不明、まぁ生存者が見当たらなかったらしいから死んだんだろうな」
女騎士「...」
兵士「両親が居ないって所は共通点だな」モグモグ
女騎士「すまない...」
兵士「お前が謝ってどうすんだよ」
女騎士「それでも...すまない」
兵士「父ちゃんは戦って死んだし、父ちゃんも敵を殺した、お互い様だろ。母ちゃんはまぁ...だとしても、
お前の国はうちの国の市民も戦闘員っててめぇの国民に報道してるらしいしな、お前らの気持ち的にゃ問題はなかろう」
女騎士「それでも...!!」バンッ!!
兵士「うおっ」
女騎士「申し訳ないことをした...」
兵士「...お前が謝ったって親は帰ってこねぇし、父ちゃんも母ちゃんも軍に入ったなら死は覚悟の上だろ、
覚悟してたのに、やったお前らに謝られちゃあそれこそかなわねぇよ」
女騎士「...」
兵士「...」モグモグ
兵士「ま、この戦争は俺らの負けだな...」
女騎士「...生きているだけで儲け物だ」
兵士「いやぁ生き残りの兵は惨めなもんだぜ、特に俺みたいな脱走兵は」
女騎士「まぁそれは分からんでもないが...っと今日の寝床を伝えてなかったな、ここで寝てくれ」
兵士「ここって...土やんけ、さっさと収容所かどっかに送ってくれよ」」
女騎士「毛布くらいくれてやる」
兵士「そりゃどうも...」
ーーーー
ーーー
兵士(...体が動かない...どこだ)
『俺の母ちゃんの作ったオハギうめえぞ~?帰ったらワシ食わしちゃる!』
『へっへっへお前が作るわけじゃあるめぇが』
兵士(八浜?...前樫?...)
『俺もそのオハギ食ってみたいなぁ』
兵士(伍長...?)
兵士(生きてたのか...?みんな...?)
兵士『伍長!前樫!八浜!』
『『『...』』』
兵士『みんな...?どうした生きてたんだろ?』
兵士『みんな...?』
『お前、逃げたな』
『なぜお前だけが生きてる?』
『お前以外みんな死んだ』
兵士『っで、でも生きて』
『『『お前だけが生き残ったんだ』』』
兵士『...俺だけが』
ーーーー
兵士「おおおおおおおおおおおっ!!」
兵士「...夢か」
女騎士「締まりの無い怒号だな」
兵士「...今何時?」
女騎士「昼前だ、さっきは何があったんだ?嫌な夢でも見たか?」
兵士「...嫌な夢っつーか自業自得っつーか...」
女騎士「...まぁ詮索はせん、飯にしよう」
兵士「起きたばっかでコンビーフとかスパムはキツイぞ」
女騎士「ふふっ...温かいスープを作ってやった、これでも食え」
兵士「あの白茄子野朗なら這いずってでも食いそうだな」
女騎士「飯を作るのは好きでな、よく皆に振舞っているよ」
兵士「ありがたく頂戴いたします騎士団長」
女騎士「...今朝、君の処分が決まったよ」
兵士「意外と早いな、収容所送りですか?それとも食い扶持減らす為に?」
女騎士「いや、まぁ収容所だが...」
兵士「なんかあんのか?」
女騎士「いや、本来は収容所に送られたら特に何もしない、軽い労働はするが収容所送りは
それをすると決まっているんだ」
兵士「はぁ?」
女騎士「しかし君の場合は何やら別命がある可能性が...」
兵士「はぁ、さいですか」
女騎士「明日付近の収容所へ向かう、準備しておけ」
兵士「つっても持って行くもんなんて...愛用の銃くらいしか...てか俺の銃どこやった、お前持ってっただろ」
女騎士「あぁ、まだ持っているよ、そして君の持っていた銃を調べさせて貰ったよ、一世代前の銃なのに整備が
よく出来ていたね」
兵士「ほぉ、俺の銃のよさが分かる奴が居たか」
女騎士「あくまで整備が行き届いていると言ったまでだ、銃自体は一世代前の古式だ」
兵士「古式だぁ?あの銃は俺が入隊した頃から俺を守ってくれている相棒だ、あまり悪く
言わないで貰いたいね、それにお前ら騎士団だってもう何世代も前のお古じゃねぇか」
女騎士「騎士団は代々国王に仕えてきた歴史ある象徴だ、騎士団を存続させるのは建国して以来何百年も続いてきた
伝統で、国民の心を支える為必要なものだ」
兵士「ならあんたも分かるだろ?いかに古くとも、自分の相棒や大切なものが虐げられるってのがどれだけ辛いか」
女騎士「それは...っまぁ...すまない」
兵士「隊長が言ってたなぁ兵器武器は時代で移り変わるモンだが、俺はこの時代に、あの銃を授かったから
生きながらえてる、あの銃が俺にとっては一番なんだ、で銃どうすんの」
女騎士「あぁ、私が保存しておくよ、団員の連中が戦利品に欲しがっていた」
兵士「銃をもし誰かにあげでもしたらそいつの首を有刺鉄線で縛り上げてやるからな」
女騎士「おや?私は縛り上げられないのか?」
兵士「...いや、まぁ恩人ではあると思ってるし」
兵士「んな事より、別命ってなんだ?」
女騎士「それは私にも分からない、まぁでも君一人の仕事ではないらしいから安心しろ」
兵士「おーおーそりゃ安心ですこと」
女騎士「そうまくれるな、仕方がないだろう?上の考えることは私にも分からん」
兵士「まぁそりゃそうだな」
女騎士「では私は仕事に戻るよ、もうこの先君とはもう会うことはないだろうが、まぁ
健闘を祈るよ」
兵士「あぁ...そっちも大きい怪我せず...まぁ死ぬな」
女騎士「ははっ、私なりに頑張って生きながらえてみるよ...では」
兵士「...別命ねぇ」
ーー
ーーー
ーーー
ーー
ガタンッ! ガタンッ!!
「うぉお...ケツいてぇ...」
兵士「イチチ...このトラック懸架装置が貧弱すぎんだよクソッタレ」
「ホントホント、ときにお前さん、どこの所属だったんだ?」
兵士「第11大隊の第五中隊」
「第五...あの最期の突撃した中隊か?全隊員が死んじまったって噂に聞いたが...」
兵士「あぁ...まぁその...」
「脱走か?」
兵士「まぁそういうこと...」
「んでぇそんな位、しょーもないことでは負い目感じるな負い目を」
兵士「いや、まぁ...仲間見捨てたし...」
「お前さんだけが負い目を感じることはないぞぉ、俺ぁ第二防衛陣地で機銃手やってたが...
実は戦闘が始まる直前に上級将校様たちはな、後方へ下がった」
兵士「上級将校って...参謀連中がか?」
「あぁ、謎の参謀連中だけ陣地転換命令、前線にいた将兵らは大混乱だった」
「その時だった、第一防衛陣地の切り込み攻撃を聞いたのは」
兵士「そう...なのか」
「俺もそん時は切り込みに参加する決意だったがな、切り込む直前に砲撃食らって、気絶」
兵士「...」
「お前さんはみんなと切り込んだだけまだマシってもんよ、俺ぁ皆が
取っ組み合いしてる間にグースカ寝てたらしい...」
兵士「...」
「俺、こう見えても軍曹なんだ、階級章は外した」
兵士「なんでそんなことを?」
「情けなくてなぁ、部下が戦ってたってぇのに...俺だけ...」
兵士「...生きてるだけで儲けものだ」
「っへ、それもそうかな...」
運転手「そろそろ着くぞ、下車用意しろ」
「あいよ...ありがとよ、なんかスッキリしたぜ。中ついても会えるといいな」
兵士「あぁ、しぶとく生きようぜ」
「そこの貴様はコッチだ」
「じゃあな」
兵士「あぁ」
「お前が噂のイレギュラー捕虜か」
兵士「なんでぇ、普通の捕虜だ」
「どんな仕事をさせられるのかねぇ、まぁいい、こっちに来い」
ーー
ーーー
ーーー
ーー
兵士(通されたはいいものの...)
「ブツブツブツ...」
「成功する可能性は大だ」
「あぁ、ここを脱走したのち部隊の隷下へ...」
兵士(なんか普通じゃねぇ奴ばっかだな)
「さぁて、ようこそ新米、ここは隔離収容所だ」
兵士「隔離って...赤痢とかコレラか?」
「ちゃうちゃうんだなぁ、病気とか、精神的にイカレたヤツを隔離する
ところではないんだな」
兵士「はぁ、さいですか」チラ...
「ブツブツブツブツ....」
「あ、化学君は精神的にイカレた訳じゃないんだ、なぁ?」
化学「ん?班長、それが新人?」
班長「ああ、ってか班長と呼ぶな班長と」
上等兵「仕方がないでしょうよ、敵さんが直々に統率役をって言ったんだ」
班長「しらねえやそんな事...まぁいい、ほら」
兵士「あー自己紹介する感じか...えーっと自分の所属は第250師団の本部付第11大隊の
第五中隊、しがない兵長を勤めさせてもらった」
化学「んじゃあ次、自分は第三防疫隊第二小隊所属、階級は上等兵です」
班長「第二歩兵連隊第三小隊所属、階級は曹長だ」
上等兵「自分も同じく第二歩兵連隊第三小隊所属、階級は上等兵」
班長「上等兵の癖にやけに態度でけえが、まぁ堪忍してくれ」
班長「それにいる場所が場所だしな、今更階級にこだわる必要はねえ」
兵士「あぁ、別に気にしちゃいねえよ」
兵士「で、さっき話していた企みは」
班長「ああ、集められて二週間も経つってのに...俺らは未だに労役に就かされていない...これが
どういう意味か分かるか?」
兵士(え、何?分かる?)
化学(いや...分かりません)
班長「ここ何日か別の収容部屋にいる仲間の動きを見ていたんだが...俺らだけ、俺らだけがなんの仕事もしていない」
兵士「よくね?別に」
班長「いやなんか...不安になるじゃん」
上等兵「それで不安紛れに脱走計画の真似事をしとったんよ」
兵士「あ、ふーん」
班長「っだってさぁ何週間も放置だぜ?」
兵士「まぁ不安にはならあな」
化学「なんかそう言われると、自分もちょっと不安になってきました」
上等兵「...戦犯...とか?」
班長「せ、戦犯だぁ?」
化学「えぇ?自分は防疫隊所属っても水汲みしかしたことないですよ」
上等兵「いや...よう分からんけど...ワシなんか心当たりが...」
このSSまとめへのコメント
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