…………

葵（月に一度、無性にファミチキが食べたい日がある。それが今日）

葵（正直お昼過ぎからファミチキの事ばかり考えていて今日の授業内容は全く覚えていない）

葵（柔らかいお肉、たっぷりな肉汁、カリカリの衣）

葵（一刻も早く、かぶりつきたい！）

葵「えっと、ファミリーマートは……違う、あそこはローソン」ｷｮﾛｷｮﾛ

葵（落ち着きなさい、葵。私は今ファミチキが食べたいの。求めているのはＬチキでもからあげ君でもないわ）

葵（ん、ここはサークルＫ？　まだ残っていたのね）

葵（もう全部ファミリーマートに変わったと思ってたけど……ファミチキは好きだけど、サークルＫが消えるのは残念だわ。焼き鳥、好きだったし）

葵（あ、待って。まだ変わっていなくてもファミリーマートと統合してるなら……）

ウィィィン←自動ドア

店員「いらっしゃいません」

葵（あった！　ファミチキ！！）ｸﾞｯ

葵「すいません、このファミチキって何時揚げましたか？」

店員「えっと、１５分くらい前ですねん」

葵（よし、まだ十分揚げたてね）

葵「それじゃあ……ファミチキ１つ下さい」

店員「ありがとうございます。楽天のＲポイントカードはお持ちですか？」

葵「あ、今日は家に忘れて……Ｔカードは使えないんですよね？」ｶﾞｻｺﾞｿ

店員「はい、もうしばらくしたらファミリーマートに変わりますのでそれ以降なら使えるのですが……」

葵（くっ、Ｒポイントカードを忘れるなんて不覚……サークルＫがなくなったら私はあまり使う機会もないというのに）

店員「少々お待ちください」

葵（実のところ、我が家では学校帰りの買い食いは禁止されている）

葵（特にジャンクな食べ物は口にするなと小さい頃からお兄様に言われてきた）

葵（だけど私は今、隠れてファミチキを購入している）

葵（ごめんなさい、お兄様。葵は悪い子です……でも月一、月一だけですから……）

店員「お待たせしました。１８０円になります」

葵「２００円でお願いします」

店員「ありがとうございました～ん」

ウィィィィン

葵（さて、無事にファミチキを購入出来たけど何処で食べましょうか？）

葵（家では食べれないし、かと言って歩きながら食べるのは流石に憚れるわね。やはりいつも通り公園のベンチにでも行きましょうか……ん？）

男性「…………」ｶﾞｻｺﾞｿ

葵（あの男の人、店の前で食べるのかしら？）

男性「…………」っファミチキ＆玉子のサンドイッチ

葵（あの人もファミチキを買ったのね。しかし玉子サンドまで付けるなんて豪勢ね）

男性「…………」ｶﾞｻｺﾞｿ

葵「！」

葵（サンドイッチに、ファミチキを挟んだ……ですって！？）

男性「～♪」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

葵（そういえば以前ネットでもあの食べ方を見た事があるわ。その時もとても美味しそうだなって思った）

葵「…………」ｼﾞｭﾙﾘ

葵「！？///」ﾊｯ

葵（だ、駄目よ！　流石に駄目よ、あれは！　だってファミチキとパンと玉子よ？　炭水化物のオンパレードじゃない！）ｵｸﾁﾌｷﾌｷ

葵（そもそもあんな食べ方、女の子がするものじゃないわ！　でも……でも……！）

男性「～♪」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

葵「…………」

葵「…………」ｸﾙｯ

ウィィィン

店員「いらっしゃいません」

公園……

葵「…………」

ファミチキ＆玉子サンド

葵（買ってしまった……改めて見てこれ本当にカロリーの塊ね）

葵（一応保険として野菜ジュースも買ったけど果たしてこれでどれだけの効果があるか……）

葵「どうしよう、お兄様……私もう引き返せない所まで来てしまったわ……」

葵（とにかく買ってしまったのなら仕方ないわね。今は周りに人も居ないし……ささっと作って食べてしまいましょう）

葵（とりあえず１回玉子サンドを剥がして……くっ、ギッシリ詰まっているせいか結構難しいわね。破れそう）

葵（慎重に、慎重に……よし、剥がれたわ。これに後はファミチキを挟んでと……）

葵「で、出来た」ﾎｯ

葵（何か凄いズッシリするわ……ファミチキも思いっきり玉子サンドからはみ出てるし）

葵（本当にこれを私が食べるの？　こんなカロリーの塊を……？）

葵「…………」

葵（いえ……逃げてどうするのよ、葵）

葵（範馬勇次郎だって言っていたじゃない。『毒も喰らう、栄養も喰らう』……それこそが食なのよ！）

葵（私は戝前葵……そしてリンク・ヴレインズではカリスマデュエリストのブルーエンジェル！！）

葵（自分にだけは、絶対に負けない！！）

葵「いただきます」

葵「…………」

葵「…………」ﾊﾑｯ

葵「…………」ﾓｷｭﾓｷｭ

葵「！」ｶﾝｺｰﾝ☆

葵（……美味しいわ）

葵（いえ、美味し過ぎる）

葵（肉汁が口の中に広がり、玉子がそれを優しく包み込んでいる）

葵（流れるようなコンボが、私の中で繰り広げられている）

葵（でもこれはジャンクの味……いいえ、違うわ）

葵（ジャンクだからこそ、この美味しさが引き出されているんだわ！！）

葵（ああ、浮かぶわ……私の頭の中に、夢と希望のサーキットが！！）

～～～葵ちゃんの脳内映像～～～

ブロローーン！

蟹頭の人「俺はレベル２のスピード・ウォリアーにレベル３のジャンク・シンクロンをチューニング！！」

蟹頭の人「集いし星が新たな力を呼び覚ます！　光差す道となれ！　シンクロ召喚！　出でよ、ジャンク・ウォリアー！！」

ジャンク・ウォリアー「ハァッ！！」ﾎﾟﾖｰﾝ

蟹頭の人「いくぞ、戝前葵！　君のお口に……スクラップ・フィストオオオオオォォォォォォ！！！！」



ドゴオオオオオオオオン！！！



葵（…………）

葵（……ああ）

葵（私は今、ジャンクを、食べている……）

葵（…………）

…………

葵「～♪」ﾎｸﾎｸ

葵（ああ、美味しかったわ……でも流石に胃の辺りが少し重いわね）

葵（今日はもう夕飯はいらないかも。後運動ね、食べた分はしっかり消費しないと……ん？）

遊作「…………」ｽﾀｽﾀ

葵「…………」

遊作「…………」ｽﾀｽﾀ

葵「…………」ｽﾀｽﾀ

遊作「……おい」ﾋﾟﾀｯ

葵「……何かしら？」





遊作「口の横にパン屑付いてるぞ」

葵「！？///」ﾌｷﾌｷ!!

＜おわり＞

読んでくれた人、ありがとうございました。