子供「ぼく、将来はお医者さんになりたい!」
大人「あ~、絶対ムリ! なれるわけない!」
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子供「どうして……?」
大人「医者ってのは、当然だけどめちゃくちゃ頭がよくなきゃなれない」
大人「君はお世辞にも頭がよさそうには見えないなぁ~」
子供「なんだと!」
大人「それにさ、医学部ってのはお金がかかるんだ」
大人「国公立ならともかく、私立の医学部に6年間通えば、数千万円飛んじまう」
大人「果たして君のおうちが、そんな大金を出せるのかな~?」
大人「医者になるなんて、やめといた方が身のため親のためだよ」
子供「うう……」
おえかき少年「ボクは漫画家になるんだ!」
大人「ムリムリ! 漫画家になんてなれないよ!」
おえかき少年「なんだよ、いきなり!」
大人「漫画家ってのは、才能の世界なんだ」
大人「大手の漫画雑誌で長期連載できるようになるのは、それこそ一握りの漫画家だけだ」
大人「一発ヒットさせた漫画家でも、その後ヒット作に恵まれず、なんてことも多い」
大人「それとこれが君の絵かい?」
大人「ハッ、平凡な絵だ! これじゃ売れないよ!」
大人「せいぜい、WEB上で漫画家ごっこするのがせいぜいってとこじゃない? ハッハッハ」
おえかき少年「うぐぐ……」
少女「あたし、アイドルになりたーい!」
大人「アイドル? ハハッ、なれないなれない!」
少女「なによー!」
大人「今の世の中、AKBあたりに憧れてアイドルになりたいなんて女の子はごまんといる」
大人「とんでもない競争率だ」
大人「歌とダンスが完璧で、しかも運にも恵まれてなきゃ売れっ子になんかなれっこない」
大人「っていうかさ、そもそも君、アイドルを目指せるような容姿かい?」
大人「ブスとはいわないけど、美人でもないよね」
大人「ちゃんと鏡を見て、地に足のついた夢を見た方がいいと思うよ」
少女「うぇぇぇぇぇ~~~~~~ん!!!」
ガキ大将「オレ、ボクサーになるんだ!」
大人「こりゃ、腕白小僧らしい夢だ! だけど、やめといた方がいいと思うよ!」
ガキ大将「なんでだよ!」
大人「ボクシングのプロテストに受かること自体はそう難しいことじゃない」
大人「社会人やりながら受かってる人も大勢いるからね」
大人「だが、はっきりいってボクサー一本じゃ食ってけないよ?」
大人「チャンピオンクラスですら、副業しなきゃ食ってけないなんていわれてるしね」
大人「それに、下手すりゃ目がダメになったり、パンチドランカーになることだってありえる」
大人「プロボクサーなんてやめとくべきだ」
ガキ大将「そうなのかなぁ……」
坊主「俺、農家になるんだ! のどかそうだし!」
大人「農家? ムリムリ、やめときな」
大人「テレビとかじゃ、のどかな職業みたいなイメージになってるけど、実際はキツイぞ~」
大人「毎日が自然との戦い、休みなんかありゃしない」
大人「台風や害虫なんかで農作物がダメになったら、収入もまともに得られやしない」
大人「のどかどころか、こんなに過酷な職業もないっての!」
坊主「そんなもんなのか……」
メガネ「ボクは公務員になります!」
大人「本当になれるかな~?」
メガネ「なんですって?」
大人「公務員になるには、当然公務員試験をパスしなきゃならないし、その勉強がキツイ」
大人「それにそこらの市役所ですら倍率何十倍なんていわれてるしな」
大人「結局コネがものをいう世界だともいうし、君がいくら勉強してもなれないかもよ~?」
メガネ「自信がなくなってきました……」
幼女「あたし、およめさんになるのー!」
大人「お嫁さんか、いい夢だね!」
大人「だけど、相手が見つかるかなぁ~?」
大人「今の若者はあんまり結婚願望ないっていうし、相手が見つからず30代40代になっちゃうかもよ?」
大人「そうだったら、お局さんコース!」
大人「なんとか相手を選ばず結婚できたとしても、男が甲斐性なしならこりゃまた大変!」
大人「子供はできたが、男は失踪して、極貧シングルマザーコース一直線なんてこともありえる!」
幼女「ふえええ……」
茶髪少年「宇宙飛行士になりたい!」
大人「宇宙飛行士? ムリムリ! なれないなれない! なれるのはたった一握りだし……」
男「……なんなんだあいつ? さっきから子供の夢にケチばかりつけて」
男「夢を見るのは子供の特権だし、あんな風にけなすこともないだろうに……」
男「きっと自分の夢を叶えられなかったから、ああやって未来ある子供にイジワルしてるんだろうな」
友「いや、そんなことないと思うぞ」
男「どういうこと?」
友「これ見ろよ。あいつが小学生の頃の作文」
友「“将来はひねくれた大人になりたい”……だってさ」
男「なるほど、あいつは夢を叶えたのか……」
―終―
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