女「5年間叶わない片想いなんてゴミくそでゲスwww」 (23)

「ごめんなさい……」

男「うん……でも、また告白するよ」

「私の気持ちは変わりません」





女「ざまぁあああああああでゲスwwwww」

女「ま、また想い人にふられてるでげすwwwふぇぇご飯がとまらないでげすwwwwwふりかけいらないでげすwwww」ムシャムシャムシャムシャムシャ!!!

男「また見てたのか。本当に俺のことが好きなんだな」

女「そ、そうに決まってるでげすwww私と付き合ってほしいでげす!!!!!」

男「ごめんなさい」

女「おぇえええええ!!!げ、ゲロ吐きそうでゲス!!!!!」ビチャビチャ

女「吐いてしまったでげす……」

女「でも私の気持ちは変わらないでゲスよ」

男「本当にもったいないな。お前ほど美人なら、俺みたいな根暗じゃなくて、普通にモテる男子と付き合えるのに」

女「見た目が好みなら私と付き合ってくれないでゲスか?」

男「あの子の代わりはいないから」

女「私の性格が悪いからとかでゲスか?」

男「自分の親よりもお金持ちで、やさしくて教養溢れる人が現れて、本物の親の代わりになってあげるって言われたって断るだろ?」

男「いくらあんたが性格がよくなっても、あの子よりよくなっても、俺は好きにはならないと思うよ」

女「ほらな?見たか私?この世は地獄だろ?努力しても無駄なんだよウゲェエエエエ」ビチャビチャ…

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女「はぁ…はぁ…。5年間片想いしてるんでゲスよね」

男「うん」

女「私があんたに何年片想いしてるか知ってるでゲスか」

男「5年間」

女「私ほどあんたの良き理解者はいないと思わないでゲスか」

男「だろうな。でも俺は、あの子をもっと理解して、あの子にもっと理解されたい。それしか考えてないんだよ」

女「…………」

男「そっちもおんなじ?」

女「い、一緒にするなでゲス!どんだけ自信過剰なんでゲスか!」

男「ごめんなさい」

女「わ、わわ、私の夢は」

女「この街の音を塗りつぶしてやることでゲス!」

女「この町のお祭りのお囃子も、授業中のキンコンカンコンも、夕方五時に流れる音楽も、電車が発車するアナウンスの音も、私の告白と告白に伴う嘔吐で覆い尽くしてやるんでゲス!!」

女「げばばばば!!いつか、私と結婚するでゲス!!!」

女「その日まで覚悟してるといいでゲス!!」

女「ケッケラケラケラケラ!!!!!」

スタタタタ……

男「ナルト走りで去っていった」

女「人は、自分より優れた人を好きになるんでしょうか」

男「うわぁ。机の下からいきなり話しかけるなよ」

女「曖昧な容姿という概念にも確実に序列が存在するように、人の価値にも明確な序列が存在するとはおもわないでゲスか?」

男「だったら女優とか好きになるだろう」

女「どうしてあの子のことが好きなんでゲスか」

男「中学生の時に俺のために怒ってくれたから」

女「そのエピソード聞き飽きましたが聞き慣れません。メシマズでゲス。また吐きそうでげす」ビチャビチャ…

男「ほら、ハンカチやるから拭け」

女「使用済みですか」

男「安心しろ新品だ」

女「布市場では中古が新品を上回るんですゲスよ」クンカクンカ…

女「洗って返すでゲス」

男「べつにいい」

女「汚して返すでゲスか?」

男「やるっていってんの!」

女「ご主人様が!!ご主人様が私めに衣類をくださった!!」

男「ハンカチだからな」

女「私は自由よりも、ご主人様の束縛を選びます」

「女さん、今日の放課後」

女「氏ねでげす」

「ちょっとお願いがあるんだけどさ」

女「てめぇのつらみてるとゲロ吐きそうでゲス」

男「性格悪いな。自分に好意をもってくれる男の子に対して」

女「ブーメラン顔に投げつけるでゲスよ」

男「もっと柔らかいものにして」

女「くちびるでいいでゲスか?」

男「やらないくせに」

女「やらないでゲスよ、軽々しくキスなんて。好きでもない人には絶対に。心の底から好きな人には、絶対の絶対に」

女「自分のことをずっと好きだと言ってくれてた人が、他の人を好きになったら、どんな気持ちなんでゲスかね」

男「純粋に、綺麗事じゃなくて、幸せになって欲しいって思うんじゃないかな。さみしいというよりも」

女「私を幸せにしろでゲス」

男「付き合うってこと?それとも他に好きな人をつくらせろと?」

女「どっちでもいいでゲス」

男「なんだか今日は元気が無いな」

女「好きな人が振り向いてくれなくて疲れたんでゲス」

男「お互い頑張ろうな」

女「あんたは頑張るなでゲス」

女「最近私が妄想しているのは」

女「5年後、あんたは孤独。私、めちゃめちゃ素敵な男と付き合ってる」

女「あんたは私の魅力に気づいて後悔する」

男「ありえるけどさ」

男「一番好きな人に向き合わずに今あんたと付き合っても、それはそれで後悔が残るだろ」

男「1番に向き合って何も得られなかった人生に対する後悔と、2番目に向き合って1番に向き合っておけばよかったと後悔する人生」

男「「天秤にかけたら、今のほうがいいと、今思ってるだけだ。未来の自分は激しく後悔するかもしれないと思うけどさ」

女「くっそムカつく野郎でゲス」

女「私を選ばない理由をつらつら並べて」

女「人のこと2番呼ばわりして、喜ばせながら悲しませたり」

女「よりにもよって、どうしてあんたを好きになってしまったんでゲスかね」

男「俺も、どうして君じゃなく、あの子を好きになったんだろうと思う」

男「あの子に向いてる気持ちがもしも君に向いてたら、どんな人生だったんだろう。でも、そんな俺だったら、きっと君は俺を好きになっていなかったんだよ」

男「もしも付き合ってたら何をしたい?」

女「二人で大きなゴミ袋をかぶって野原を駆けまわりたいでゲス」

男「なにそれ」

女「誰にも理解されないような無邪気さを共有したいんでゲス」

女「誰にも理解されなくていい、ということを自分に改めて理解させて、幸せを噛み締めたいでゲス」

女「周囲に理解されなければされないほど、あなたに理解されているようでうれしんでげす」

男「ほんとうにやるかなぁ。バレンタインデーのチョコレートに髪の毛いれたりするかなぁ」

女「やってほしいんでげすか」

男「3日間髪を洗ってないってのはやめてね」

女「あんたはそれで引くような男じゃないからやる意味がないでげす」

男「理解してくれてて嬉しい」

女「あなたが同じようなことをしたいと他の人に思ってるとわかってて私は悲しいでげす」

男「ああ、まぁやってみたいな。あの子に変態なこと」

女「どんなことをでゲスか」

男「郵便ポストに毎日一本ずつ抜いた髪の毛を入れる」

男「ある日あの子は突然気づく」

男「髪の毛を抜く痛みを毎日あじわってまで髪の毛をいれてくる男がいることに」

女「…………きもっ」

男「ちょ、ちょっと!!語尾のゲスは!?普通に引くなよ!!」

女「私にやってくれたら引かないであげるでゲス」

男「君の場合は気づかないふりして溜めそう」

女「自信過剰でゲスね。でもそのとおりでげす」

男「つるっつるになっちゃうよ」

女「それでも好きでゲスよ」

男「ぬんっ」

女「高校生活最後の日に改札の陰から驚かそうとするなでゲス。そんなことよりも好きな人に告白したんでゲスか」

男「昨日したからいいよ」

女「知ってるでゲス。その女性に彼氏ができていたことも。その5分後に私があんたに告白したんでゲスからね」

男「くだらなくないか?」

男「これから先も、ずっと恋の呪縛にとらわれるんだぜ俺達」

女「彼氏ができても未練が消えないとか、ストーカーの風上に置けるやつでゲス」

男「俺が28才になった時も、この苦しみを引きずっているのかな。限りなく薄まっているだけで」

女「28才になったら子供がほしいでげす」

女「自分が好きになった人の半分と、自分の半分があわさってできた命は、どれほど愛おしいものなんでげすかね」

女「夢にあなたが出てくるだけで幸せでゲス」

女「目がさめた時にそのあなたの寝顔が目の前にある毎朝というのは、どんな感覚なんでゲスかね」

女「大嫌いな混雑した朝の電車も、あなたが私を押しつぶしそうになってしまうなら、ただの楽しいアトラクションになってしまうんでゲスかね」

女「こんなにひねくれてる私も、クリスマスイブとクリスマスは、遊園地に遊びに行ったりして。ちょっといいお店でディナーをとったりして」

女「どんなに幸せなんでゲスかね」

女「自分を愛してくれる両親のもとに生まれて」

女「おいしいご飯を毎日食べて、変わり者を認めてくれる同性の友達に囲まれて」

女「それでも、好きな異性がたったひとり手に入らないと言うだけでこの人生を否定したくなる気持ちをもっているのは、下衆なことなんでゲスかね」

女「私は、幸せになれないんでげすかね」

男「…………」

女「慰めなくてもいいでげすよ。あなたも私と同じってこと、よくわかってるんでゲスから」

女「私があなたの理解者であるのと同時に、あなたも私の理解者であるのでゲスよ。実らない片想いが人生からどれだけ希望を奪うか」

女「お互いが、お互いにとって、良き”理解者の理解者”でゲスからね」



女「同じ大学に通ってみたかったでゲス」

女「隣で授業を受けてみたかったでゲス」

女「ということで。電車が来ました。あんたの電車は5分後に来るでゲスね」

女「これで、さようならでゲス」

男「…………」

女「…………」

男「…………」

女「……ちくしょお」

女「ちくしょおちくしょお!!」

女「私を、幸せにさせるでげす!!!」

女「ひきとめるでげす!!!最後の最後の一秒まで、わたしはあなたに期待してるんでゲス!!!」

女「ハッピーエンドじゃないんでゲスか!!自分が好きな人が振り向いてくれない地獄を見たから、他人も地獄を見ればいいと思ってるんでゲスか!!!」

女「嘘でもいいから1番っていうでゲス!!!!」

女「妥協でもいいでゲスからぁ…」

女「引き止めてくれないんでゲスね」

女「……さようならでゲス」

女「発車の合図がなったでゲス」

女「悲しくてホームを見れないでゲス」

女「どんな表情をして見送っているんでゲスかね」

女「どんな……」

男「見送ってないんじゃない?」

女「……え」

男「いつも来てもらってばっかりだったから」

男「たまには、追う立場になろうかなって」


女「そ、そんなこと!この電車に乗ってしまったら、あ、あんたの帰宅時刻が数十分遅れてしまうんでゲスよ!!」

男「ああ、そうかもしれないな」

女「高校を卒業したくらいで、諦めるつもりはなかったでゲスよ!私から地獄の底まで追ってやるでゲスよ!」

男「それは俺が地獄にいて君は地獄じゃないところにいるってことだろ。俺が行ったほうがお得だろ」

女「あなたといる場所は、地獄でも地獄になり得ないでゲスよ」

女「それだけ大切に思ってるんでゲスから!」

男「知ってる」

女「あなたが知ってることを知ってるでゲス!」

女「わ、わたしは……」

女「あなたのこと、ずっと」

男「言うな」

男「今度は、俺から追わせてほしいんだ」

女「…………」

男「世界で1番好きになります。俺と、お付き合いしてください」

女「………なっ」

女「な、なんでゲスかそれ!!」

女「長年の片想いが叶ったんでゲスよ!!こんなの、世界で数人しかいない事例なんでゲスよ!!」

女「同情で好きになってるのはわかってるでゲス!!それにしても!それにしても!!」

女「こ、こんなに、殴りたくなるセリフよく思いつくでゲスね!!嘘でもいいから1番って好きだっていうでゲスよ!!」

女「本当、ゲスでゲスね!!!」

女「人を怒らせる天才でゲスね!!!」

女「ゲスゲス、あんどゲス野郎でゲスね!!」

男「返事は、どうかな」

女「…………」

女「……はい」

女「私もずっと惹かれていました。よろしくお願いします」

女「世界で、あなただけの女になります」

女「付き合ってから2年経ったでゲスね」

男「そうだな」

女「好きな人のことは今でも思い出しますか?」

男「別に」

女「未だにSNSで友達登録されておりますが」

男「それは、友達ってことだろう。片想い登録ではないだろう」

男「好きだった過去を思い出したりはするよ。でも、過去を変えたいとは思わないよ」

女「それは私も同じでゲスね」

女「好きな人のことなら何でも許せると思ってたのに。この2年間でどれだけ喧嘩して、むかついたことか」

男「ストレスで生理がとまったことがあったな」

女「それで、してもなかったのに生理こなかったもんだから、それであなたが疑って喧嘩になったりして」

男「いや、俺が疑ってるっていきなりわめき出しただろ。俺はとまってたことすらしらなかったんだ」

男「昔はさ、好きな人が自分の全部を救ってくれると思ってた」

男「でもそんなことはないんだな。好きな人と心で繋がっていることと、好きな人といる以外の時間で苦しむことは全く別の問題だった」

女「大変なことだらけでゲスよ。あなたにとって世界で1番の女になれないでゲスし」

男「1番だよ」

女「本音でげすか」

男「本音だよ」

女「誰かを傷つける真実よりも、突き通すほうがいい嘘のほうがいいとかおもってるでゲスよね」

男「女心を無視した発言をしてもいい?」

女「最後に私が喜ぶセリフなら」

男「女より、容姿も、性格も、ありとあらゆるところが優れていて、女よりも俺のことがすきになってくれる人が現れたとしても」

男「俺は女のことを好きで居続けるよ」

女「……そのセリフ撤回するでゲス」

男「よ、容姿は1番だと思ってるよ」

女「私よりあんたを好きになる物好きなんかいないでげす」

男「喜んでいいのかな?」

女「悲しむことでゲス」

男「そうかなぁ…そうかもなぁ」

女「でもあなたには私がいるでげす。幸せでしょ?」

男「ああ。幸せだ」

女「ということで。むっさい一人暮らしのあんたの部屋からそろそろ帰るでゲス」

男「まだ夕方なのに」

女「明日もバイトで早いんでゲス」

男「もっと遊びたかったな」

女「鬼ごっこでもするでゲスか」

男「いいかもな。ビニールぶくろをかぶって走り回ったらなおさら」

女「もってるでげすか」

男「あるけど、もっと大きなものがある。ちょっと来て」

女「カーテンじゃないでゲスか」

男「入って。ほら」

女「ぎゃ、ぎゃー!く、くるまれる!!」

女「ぎゃー!!」

女「ぎゃー……」

女「…………」

女「……あ、あの」

女「ち、ちかいでゲ…」

女「んっ……」

夕方5時を知らせる音楽が街中に響き渡った。

~fin~

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