姫川友紀が増えた日 (70)

【事務所】

P「よっと」プス

P「ん…もうちょい上のが良いかな」

ガチャ


姫川友紀「おはようございまーす!」

P「おう、おはよ」


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友紀「プロデューサー、おっはよ!今日も気持ちのいい朝だね!元気にいってみよーっ!」

P「…なに、妙にテンション高いのな」

友紀「んんー?あれあれ~?…んっふっふ~、さては昨日のキャッツの試合を見ていないなぁ~?」

P「うざっ」

友紀「投げては完封!打ってはホームラン!もう完勝だったんだから!」

P「そんなこったろと思った…よっ、と」プスッ

友紀「わぁ!あたしのポスター!」

P「うん、CDとかLIVEとかでもらったやつがたっくさんあってさ」

友紀「みんなのもいっぱいあるー!」

P「貰いすぎても逆に困るって言ってるんだけど、向こうがどうしてもって」

友紀「へぇー…ていうか珍しいね、事務所にポスター貼ってるの」

P「たまにはね。みんなに埃被らせるのもなんか嫌だし」

友紀「でも、同じの横に貼るって変じゃない?」

P「そう?似たようなのずらずら貼ってるなんてそう珍しくないだろ」プスリ

P「ほい1枚目」

友紀「わーい!ザ・あたし!」

P「お前のだけでもう4枚あるんだよな、これ」

友紀「え゛っ…5枚も貼るの?なんか恥ずかしいよ…」

P「んー…まぁ2枚ぐらいにしとくか。残りはどうしよっかな」

友紀「あたし、1枚欲しいな!」

P「おう、持ってけ持ってけ」

友紀「あっ、そうだ!ポスター争奪でドラフト会議!みんなでやらない?」

P「あぁそれ面白いな。みんなに配ろうか」プシリ

友紀「よおし!そうと決まったらあたし、くじ作ってるね!」

P「はいよ」

友紀「いらない箱とかどっかになーいっかなー♪」

P「ほんっとご機嫌だな…、っと」プス


P「よし2枚目。次は誰のを…」

ガチャ


友紀「おっはよー!」

P「おう、おは…よ……?

友紀「あ、おはよう!」

友紀「ねえ!昨日のキャッツ見た?すごかったよね!」

友紀「見た見た!6回までノーノーだったのに、すっごく落ち着いてた!」

友紀「終盤にランナー出しても、慌てず騒がず完璧だったね!流石はエース!」


P「…は?」

友紀「あと、クリーンナップの連続ホームランね!」

友紀「わっかるー!打った!…って思ったら、スーッと伸びてライナーでスタンドイン!」

友紀「直後にあの特大アーチ!膝元の直球を…フルスイング!狙い打ちだよ!」

友紀「あれで完全に流れを掴んだもんね!」

友紀「やっぱり強豪キャッツが最強だー!」

友紀「今年も日本一~!」

友紀友紀「「イエーー!!」」


P「うるっさ!」

P「ちょちょちょ、待って。え?ちょっと待って」

友紀友紀「「なに?」」

P「うっわステレオユッキかよ」


P「…じゃなくて!なんだお前!いや、お前ら?」

友紀「なにって…」

友紀「姫川友紀だよ?」

P「俺が知ってる姫川友紀は1人しかいないんだけど」

P「…もしかして昌葉?立体映像とかそういうアレ?」

友紀「いや、触れるよ?ほら、グータッチしよ!」グッ

P「お、おう…」コツ


P「…なら、あやめだろ。変装してるんだな?」

友紀「あやめちゃんなら、忍術の修行で山に籠ってるってさ!」

P「あ、そう。最近見ないと思ったら」


P「…いやそれもおかしいけど」

P「いやいやいや…え?なに?ホントに2人いる?」

友紀「さっきからそう言ってるじゃん」

P「なんで」

友紀「なんでって言われても…」

友紀「ね?なんでだろ」

P「…誕生日は?」

友紀「9月14日!」

P「血液型」

友紀「A!」

P「みなぎる闘志で?」

友紀「流し打ち!」

友紀「キャッツキャッツ、オーオー♪」

P「昨日の晩飯は」

友紀友紀「「唐揚げとビール!!」」イエー


P「こりゃ本物だ」

友紀「なんか今日のプロデューサー変じゃない?」

P「えっ待って俺がおかしいことになるの?」

友紀「普段そんなギャーギャー騒がないじゃん」

友紀「声張ることあんまりないよね」

友紀「もしかしてエナドリ飲んだ?元気いっぱいなのは良いことだね!」


P「交互に話しかけてくるんじゃねえ!頭が狂う!」

P「一体何が起きてるんだ…マジに頭がおかしくなったのか俺…?」

ガチャ


P「っ!」ビク


日野茜「おっはようございます!日野茜です!!」ドーン


P「あ、茜かぁ…良かった……」

茜「プロデューサー、おはようございます!」

P「助かった…3人目かと……」

茜「やや!泣きそうな顔をしています、一体どうし…」

友紀友紀「「茜ちゃんおはよう!!」」バーン


茜「ま…し……?」

P「さっきから息ピッタリすぎてちょっと引く」

茜「…………!!、!?、??」

P「まぁ驚くよな、そうだよな。良かった、俺だけがおかしいんじゃないよな…」


茜「ぅおはようございまぁす!!!!」ズガーン


P「うるっさ!!」

――


P「耳まで狂うかと思った」

茜「負けていられないと思いまして!!」

P「心意気は素晴らしいと思う」

茜「ありがとうございます!…それで、これは一体…?」

P「俺にもさっぱり分からないんだよ…」


茜「友紀さんが2人もいたなんて知りませんでした!」

P「ちょっとズレてんだよなー」

友紀「かくかくしかじか」

P「ポジポジファンファン」

茜「なるほど!」


茜「わかりません!!」

P「だろうな」

友紀「知ってた」

茜「…ハッ。もしかして、巷に聞く"そっくりメンバー"なるものではないですか?」

P「それ多分ドッペルゲンガーだと思う」

友紀「あはは、意味は通じたけどね!」

友紀「いやいや、あたし、ちゃんと姫川友紀だよ?」

茜「では、ここに鏡があるとか!ドーンと!」

友紀「ないよ?」

茜「…そうですね!では、ご家族の方でしょうか!双子とか!」

友紀「あたしにはお兄ちゃんしかいないかなぁ」

茜「そうでしたかっ!」

P「…なんか茜が俺よりまともなこと言ってる気がしてきた」

友紀「確かにさっきのプロデューサー、動転しててまともじゃなかったかも」

P「まともじゃなくした原因は確実にお前なんだけどな」


友紀「…おっと、同点じゃあないよ?昨日のキャッツは完封勝利だったんだから!」にゅっ

P「お前は今まで茜と話してた方だろ!こっちに混じるな!」

友紀「はーい」

茜「ムッ、プロデューサー!差別はいけません!!」

P「やってらんねえんだよ区別しなきゃ!頼むから茜は味方してくれ!」

茜「はいっ!」

P「埒が明かない」


P「えーっと、とりあえず…先にいたユッキ!」

友紀「はい!」

P「お前が友紀Aだ」

友紀「えー?あたし、1番が良いな!」

P「…1番な」

友紀「守備位置は?」

P「どうでも良いっつーの」

友紀「じゃあセンターが良い!」

P「えぇいわかったわかった!1番!センター!」

友紀1「うん!」

P「んで、次に入って来た方」

友紀「はーい」

P「お前が2番」

友紀「あたし、打つなら4番が良い!」

P「だから野球の話はしてねえっつってんだよ!2番だ2番!」

友紀2「ちぇー」



茜「では、私は3番でしょうか!!」

P「茜はそのままでいてくれ」

茜「はいっ!!」

P「見た目も見分けがつかないな…どっちか帽子被って」

友紀1「キャッツの帽子、持ってるよ!」スッ

友紀2「あたしも!」スッ

友紀1「お揃いだね!」

友紀1・2「「イェイ!」」

P「趣旨を理解しろよ!なんで同時に被るんだ!」

茜「安心して下さいプロデューサー!文章なので、外見までは伝わりません!」

P「何の話だ」

茜「なので大丈夫です!!」

P「何が」

――


友紀1「なんやかんやであたしがキャップを被ることになったよ!」

P「よ、よし。とにかくこれで、なんとか落ち着いて話ができそう…」

ガチャ


P「今度は誰だ!」


若林智香「おはようございまーすっ!」


P「…おぉ、智香」

智香「プロデューサーさん!おはようございます☆今日も元気に…」

友紀1・2「「おっはよー!!」」

茜「おはようございます智香ちゃん!!燃えてますか!!!」

智香「きゃっ!お、大きな挨拶ですね!ビックリし…た……」



智香「えええ!?♪☆なんで友紀さんが2人いるんですかっ!☆?」

P「落ち着いて智香。すっげーごっちゃになってる」

智香「あわわ…プロデューサーさん、友紀さんが2人いるんですけど…」

P「…うん、そうなんだよ」

智香「どうしよう…夢?アタシ、疲れてるのかな…」

P「…嬉しいぞ智香、お前は俺の味方だ」グス

智香「ってええ!な、なんで泣いてるんですかっ!?」

P「いや、なんか感覚が俺と近くて…うれしくて…」

智香「は、はぁ…?」

茜「プロデューサー!私も味方ですよ!!」

P「うん、サンキュ…でもお前の反応にはあんま期待できないんだ、俺」

茜「努力します!!」

友紀1「かくかくしかじか」

茜「チアチアボンボン!!」

友紀2「というわけ!」

智香「…なるほどっ☆」

P「分かるのかよ」

智香「ユニットの団結力のおかげです♪」

P「こんな状況じゃなかったら泣いて喜ぶところなんだけど」


P「いや今も割と泣きそうだったわ」

P「ちょっと麻痺してた」

智香「だ、大丈夫ですか?」

P「大丈夫。智香がいてくれるからまだ頑張れる」

智香「そうですか?…へへ」


友紀2「プロデューサー、さっきから智香ちゃんばっかり」ブー

友紀1「あたしにもなんかないのー」ブーブー

P「いつも通りに戻ってくれたら何でもしてやるよ」

友紀2「そんなこと言われたってー」

友紀1「あたしはいつも通りなんだけどなぁ」

P「お前と俺の日常がこんなにもかけ離れてたなんて知りたくなかった」


茜「プロデューサー!私には!!」

P「茜はそのままでいてくれ」

茜「はいっ!!!」

P「返事は良いんだけども」

――


智香「どうして友紀さんが2人いるんでしょう?」

P「全っ然分からん。さっぱり」

友紀1「確かに、増えるといったら若葉ちゃんの出番だよね」

P「何の話?」

友紀2「ボナペティとかって叫んでおいた方が良いのかな?」

茜「任せてくださいっ!」

P「お前が叫ぶのかよ」

茜「ボンバァーーー!!!」

P「うるっさ!!!」

P「鼓膜が破れるかと思った」

智香「……何か心当たりはないんですか、友紀さん」

P「わぁ、お見事。頼りになるなぁそのスルースキル」

友紀2「心当たり?」

友紀1「うーん…」

智香「昨日やったこと、とか」

P「何か変なの食ったとか」

友紀1「んー。昨日は…家帰って、テレビつけて…」

友紀2「その前にシャワー浴びたよ?」

友紀1「そうだった!」

友紀2「ストレッチもしたね」

友紀1「で…キャッツの試合見て、ビール飲んで」

友紀2「勝って、またビール飲んで…」

友紀1「あとは覚えてないね!」

友紀2「あたしも!あっはは!」

智香「…2人の友紀さんが喋ってるの見てると…その…不気味、です」

P「わかるぞその気持ち」

智香「プロデューサーさんは冷静なんですね」

P「慣れちゃったんだ、もう」

智香「そうなんですか…」

P「慣れたくなかった」

智香「(目が疲れてる…)」

友紀1「どうせならもう5人いれば、みんなで野球できるのにね」

友紀2「それ良いね!チアフルボンバーズ・スペシャルチームだっ!」

友紀1「半分以上あたしだけどね!」


P「ポジションと打順で仲間割れする未来がはっきり視えるよ俺には」

智香「なんで増えてることに対してこんなにポジティブなんでしょう」

P「違和感とか感じないんだろきっと。アホだから」

智香「アタシ、友紀さん7人と野球はやりたくないかな」


茜「そこにもう6人追加して、ラグビーチームも作りましょう!!」

P「ほら出た!そういうとこだよ!お前の信用ならんのは!」

智香「頭痛くなってきたかも…」

P「が、頑張ってくれ智香!お前が俺の最後の希望なんだ!」

――


P「原因について考えても仕方ない気がしてきた」

智香「知りようがないですもんね…」

P「現状と、今後どうするかを考えようか」

智香「そうですねっ☆」

友紀1「あたしと、智香ちゃんと、茜ちゃんでしょ?」

友紀2「そこにあたしも入れて、ネオチアフルボンバーズってのはどう?」

友紀1「良いねっ!野球するのには人数が足りないけど、パワフルさなら大型補強だよ!」



P「いや全然良くないが」

智香「2人と2人って感じになりそうですね」

P「周りになんて説明したら良いんだ」

友紀2「せめてもう1人なら、5人ユニットになるんだけどなー」

友紀1「あたし、智香ちゃん、あたし、茜ちゃん、そして…あたし!」

友紀2「デレステでも踊れるよ!」

友紀1「でもあの画面、同じアイドルは一緒に出られないからなー」

友紀2「ならあたし、唯ちゃんと夕実ちゃんに助っ人頼んでみるよ!」

友紀1「ナイスアイディアっ!」



P「あの2人を巻き込むのだけは絶対に阻止しなければ…」

智香「アタシ、さっき事務所のドアに立ち入り禁止って貼っておきましたよっ☆」

P「でかした!」

智香「これ以上混乱を広めないようにと思って」

P「流石だ頼りになる…!」



ガチャ



智香「え!」ビク

P「!?」ビク


友紀「おっはよー!こんなの貼ってあったけど、何かあったのー?」ピラピラ

【立ち入り禁止です☆】


P「…そういうとこあるよなぁ友紀は」

智香「友紀さんのばかー!!」エーン

P「よしよし頑張った頑張った」ナデナデ

友紀2「あ、おっはよー」

友紀1「昨日のキャッツ見た!?」

友紀3「見た見た!もう最っ高の勝ち方だったよね!」


P「なんであいつら自分と同じ顔と平然とキャッツの話できるの」

智香「折角貼ったのに…」クスン

P「被害者は増えてない。プラス思考でいこう」


P「落ち着いた?」ナデ

智香「はい。ありがとうございます、もう大丈夫っ!」

智香「すみません、急に泣いちゃって」

P「こういう極限状態では急にクるからな、呑まれないようにしないと」

智香「せっかくプロデューサーさんが頼ってくれてるのに、申し訳ないなぁ…」

P「お互いが精神的に支えにならないと狂気にもってかれる…これからも協力していこう」

智香「…はいっ☆」

P「よし、頼もしい返事だ」

智香「…ん、あれ?」

P「どうした?何か気付いたか」

智香「その、貼るといえば…というか。全然別のことなんですけど…」

P「大丈夫、言ってみ?」

智香「じゃあ…えと、あのポスターは?友紀さんのだけ貼られてますけど」

P「あぁ…アレか。業者からいっぱいもらったやつ」

智香「アタシが来た時、2枚じゃありませんでした?」

P「…あ?」


P「…って本当だ、1枚増えてる。3枚も貼ってないぞ!」

智香「いつの間に増えたんでしょう……?」

P「いやちょっとマジやめろよそういうのこわいこわい」


茜「私が貼りました!!」グッサー

P「お前か!」

智香「静かだなーって思ってたら…」

茜「見たところ、作業途中のようだったので!」

P「善意が眩しい」

智香「でも、良かったです♪怖い話じゃなくって!」

P「もしもーし、お前も麻痺してきてるぞー、現状も十分怖いんだぞー」

智香「そうでした…」

P「……ん?ポスター?」

智香「……ハッ」

茜「?どうかしましたか!!」

P「友紀のポスターがここに3枚」

智香「友紀さんも3人」

P「…どう思う?」

智香「そうですね…」



茜「あっ!もしかして、"謎解きパート"とかいうものが始まるのでしょうか!」

P「ちょっと静かにしててくれるかい」

茜「はい!!!」

智香「少なくともアタシ達は…3人目の友紀さんがやって来てから、3枚のポスターを確認しています」

P「そういえば最初に友紀が事務所に来たのは、俺がポスターを貼ってる時で…」

茜「…!」

智香「2人目は?」

P「確か…。2人目も、2枚目を貼り終えた直後だった!」

茜「……!!」

P「まさか、ポスター貼ったから増えたってのか…?」

智香「そんなことってあるんですか!?」

P「いや俺だって聞いたこともないけど」

茜「………!!!」

智香「貼る度に1人ずつ増えるだなんて…」

P「…これ以上は分からん。でも、試しに剥がしてみる価値はある気がする」

茜「ええっ!剥がしちゃうんですか!?折角のポスターですよ!?」

P「すまんな、茜…」

P「いいからその手をとめろ 増えてんだよユッキが!」

茜「手持無沙汰だったものですから!!」ブスリ!

友紀4「三角ベースやろ!あたし4番ね!」

智香「あぁ!いつの間にか4人目が!」

茜「なにかお力添えしたかったんです!!」

P「なんで今日に限って努力のベクトルが明後日向いてんのかな」

P「とにかく剥がしてみよう!」

智香「はい!」

茜「お手伝いしますっ!」

P「サンキュー茜!今日イチ輝いて見えるぞ!」

茜「トラーーイ!!」ベリィ

智香「画鋲も回収っ☆」

P・智香「「どうだっ!?」」

友紀2「4人で三角ベースって、案外できるものなんだね!」

友紀1「だね、ランナーはいるものとしてやれば…。……んー」

友紀4「?どしたのー」

友紀1「ごめん、あたしちょっとトイレ!」

友紀3「場所わかる?」

友紀2「出てすぐ左だよ!」

友紀1「分かってるって。居酒屋じゃないんだからさー!」


バタン



智香「…これは」

P「…一応、減ったな」

智香「はい、一応…」

P「やるだけやってみよう!」

智香「はいっ!」


茜「全部剥がしましたよ、プロデューサー!!」

P「でかした!」

智香「は、速いっ」

P「やる時はやってくれるって信じてたぞ茜!」

茜「光栄ですっ!!」

P「さあどうだ!」

友紀4「バッターがいなくなっちゃったから、ゲーム中断だね…」

友紀3「何してよっか」

友紀2「ダンスの練習でもしてよっか?」

友紀3「すごい!自分の動きが自分で見れる!」

友紀4「ダンス…練習……はっ!」

友紀2「なに?」

友紀4「ダンス!今日レッスンあるんじゃん!」

友紀3「…あー!忘れてた!!」

友紀2「今何時?」

友紀4「…5分前!」

友紀2・3「「ヤバイ!」」

友紀3「行かなくちゃ!」

友紀2「うあぁ、遅刻しちゃうよ~」

友紀3「じゃね、プロデューサー、茜ちゃん智香ちゃん!レッスン行ってくる!」

友紀2・4「「行ってきまーす!!」」


バタバタ…


ガラーン


智香「…」

P「…減ったな」

茜「…減りましたねっ」

智香「…跡形もなく、唐突に」

P「…っておいおいちょっと待て!3人でレッスン室に行くな馬鹿ー!」


【廊下】

シーン


P「…?廊下にいない!もう!?そんな馬鹿な…」

智香「ええっ!?部屋を出てから5秒も経ってないのに!?」

茜「まるで煙のようです…っ!」

P「足音とか聞こえたか?」

茜「い、いいえ!!」

智香「アタシも…」

P「……あいつ、こんなに足早かったか?」

――


【事務所】

茜「……ただいま戻りましたっ」

智香「女子トイレからここまで、探してきました…」

P「お疲れ…どうだった?」

茜「影も!形も!見当たりませんでしたね!!」

P「そっか…悪いな、変なことさせて」

智香「いえっ、これくらいどうってことないですよっ!」

P「うーん…ユッキ1号がなかなか帰って来ないから、おかしいとは思ったんだけど」

茜「見当たらない…ということは!?」

智香「1番の友紀さんもどこかに行っちゃった…ってことかな」

P「…何とも言えない」

智香「一体、何だったんでしょう?」

P「分からん…正直、常識外れすぎてなんも思い浮かばない」

茜「……少なくとも!」

P「おぉ?」

茜「少なくとも!ポスターと友紀さんの部屋の出入りは、関係していたように思いますっ!!」

P「…確かに。あれをきっかけに、みんなスーッと部屋から出てったように見えた」

智香「あの状況から抜け出すには、ポスターを剥がして正解だった、ってことなのかな」

茜「恐らくですが!」

P「そういう意味ではお手柄だったな、茜。よくやったよ」

茜「……っ!はいっ!お力になれたようで、何よりです!!」

P「…3番と4番を召喚したのもお前ってことになるけど」

茜「あぁーっ!それは、その…うぅ……申し訳ありません!!」

P「いいよいいよ、終わったことだ。智香も、ありがとう。お前がいなかったら、正直ヤバかった」

智香「いいえっ!お互い様ですよ、プロデューサーさん♪」

P「俺1人だったら、あのままユッキの波に頭をやられていた。確実に。本当に感謝してる」

智香「あ、あはは…お互い様です……」

P「…さて。分からんことだらけだし、何も解決してない気がするけど」

智香「…はい」

P「とりあえずは。本当にとりあえずは、一段落着いたってことにしていいのだろうか…」

智香「良い、と思います」


茜「…このポスター、どうしましょうか!」

P「うーん…何枚か事務所に飾って、残りをみんなに配るつもりだったんだけど…」

P「いる?」

智香「…いりません☆」

茜「ノーサンキューで!お願いします!!」

P「だよね」


P「このポスターは…いや、事務所か?この部屋が悪いのか…?」

智香「お祓いとかした方がいいのかな…?」

P「…かもしれない。でも何を祓うんだ…?壁にポスター貼ったら人が増えましたってか…?」

智香「うーん…」

P「……あれ」

茜「?どうしましたか!?」

P「壁見ててちょっと思ったことがある」

茜「はて…?」

智香「壁…今は何も貼られてませんけど」

P「そう。元々ポスターなんて貼ってなかったんだ。俺が貼るまでは」

智香「?それがどうかしましたか?」

P「お前らのも」

智香「……あれ?」

茜「……!?では、私たちは!?ここにいていいのでしょうかっ!?」

P「いや、良いんだよ。むしろ居てくれ」

P「つまり…ポスターを貼ったことで友紀が増えて」

P「剥がしたらどっかに消えるってのが正しい現象だと仮定して、だ」

P「何も貼ってないのに、ここにオリジナルの…」


P「…ごめん。オリジナルって表現は2人に失礼かもしれない」

P「とにかく、ポスターがなくても茜と智香がいるってことは」

智香「オリジナルの友紀さんも!」

茜「どこかにいるはず!ということですねっ!?」

P「そう。それが1番の友紀だと、何となく心のどこかで思ってた」

智香「でも友紀さん、戻ってきませんよ…」

P「いや分からないんだ、何もかも。帽子被らせたユッキ1号が本当にオリジナルかもしれない…そいつが今どこかで油を売ってるだけなのかもしれない」

智香「だとしたら、戻ってくるのを待つだけなんですけど…」

P「でも、そうじゃなかったら?帽子の1号も、ポスターによってこの部屋に現出した分身の1体なのだとしたら?」

茜「本物の友紀さんは…一体どこにいるのでしょうかっ!?」


P「……分からん…」

智香「…分からない」

茜「くっ…分かりません…っ!」

茜「……あぁっ!!」

P「うわビックリした…どした?」

茜「私も思ったことが、1つあります!!」

智香「?」

茜「そろそろ、無理矢理にでもオチを付けなければならない頃だと思うんですよっ!!」

P「は?」

智香「…何の話?」

P「いきなり何言ってんだこいつ…」


pipipi…


pipipipi…


P「…っと、内線か」


P「はいお電話変わりまし…あ、どうもお世話になってます…はい……はい?姫川がレッスンに来ていない?」

茜「なんと!?」

智香「友紀さん、レッスン行ってないの!?」

茜「あれだけいて、1人もですか!?」


P「す、すみません!ええと、今すぐ連絡を取りますので…はい、えぇ、とりあえず、他の娘だけでも見てやって下さい…はい、すみません、はい、失礼します…」


P「……俺、電話してみる」prrr


智香「……そういえば、昨日キャッツが勝ってビール飲んだって」

茜「その後のこと、覚えていないとも言っていましたっ!!」

智香「友紀さんがキャッツの試合で、機嫌が良くなってお酒を飲んだ次の日は…」

茜「だいたい、ほぼ!9割9分9厘パーセント!!」

智香「…アレだよね」

茜「アレですねー…」

友紀『…はぁい、もしもし…』

P「…おい、友紀か?」

友紀『ふぇ…ぷろでゅーさー?…どしたのぉ……?』

P「お前今どこいるの」

友紀『どこ…って、ここ…家だよ?今電話で起こされて…ふわぁあ…ねむ…』

P「…」

友紀『………ぐぅ……』




P「………姫川ァ!!!」






おわり

とあるガシャの話です。アイドルが増える(被る)とポスターも増えるのです

逆に言えばポスターが増えればアイドルも増えるのです。つまりそういうことなのです

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