久しぶりに書きました。
元々、薫ちゃんをイメージして書いたけれど...
今まで書いたやつ
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凛「ふーん、アンタが私のプロデューサー?」 - SSまとめ速報
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【モバマス】「――――かおる、いらない子なの?」 - SSまとめ速報
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【モバマス】小梅「カラスが鳴いた」 - SSまとめ速報
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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1492936799
「また、いっしょにあそぼうね」
夕日を背景に、朱に染まる野原で
彼女は、そういいました。
その日は、いつもと同じ一日を過ごすはずでした。
静かに教室で息をひそめ、
存在を隠し、ただ荒波に飲まれないようやり過ごす日々。
周囲では、活発なクラスメイトが、
テレビや、ラジオや、アイドルや、雑誌や、漫画の話をしています。
しかし、僕には、
テレビや、ラジオや、アイドルや、雑誌や、漫画の話についていけないのです。
クラスメイトとの交流を、
あまり持たなかった私は、
さぞや悪い意味で浮いた存在だったことでしょう。
そんな私とそれ以外の溝を、
彼女は、飛び越え、
壁を破壊し、こう言いました。
「いっしょにあそぼう」
良く通り、発音の良い声がクラスに響きます。
恥ずかしいことですが、
最初、私は、自分に向けられた言葉とは
気が付きませんでした。
仕方がないのです、だって、
クラスで私に声をかける人間など、
いままでいなかったのですから。
「ねぇ、いっしょにあそぼうよ」
彼女は、再度そう言いました。
さすがの私でも、2回目には、
自分に向けられたことに気が付きました。
しかし、普段されないクラスメイトの対応に、
驚きと動揺が隠せず、
ただ、頷くことしかできませんでした。
きっと、その時の私は、壊れたくるみ割り人形か、
出来の悪い香具師の猿のようだったでしょう。
「じゃあ、今日の放課後、学校の校庭で」
そう彼女は、日時を告げると、
私の前から消えました。
それから、放課後までの記憶がありません。
次の日、だれにも怒られなかったので、
おそらく、おおきな失敗はしていなかったのでしょう。
私は、放課後、家に荷物を置くと、
母に「いってきます」とだけ告げ、
彼女の言った「学校の校庭」に早足で向かいました。
校庭に到着すると、
彼女以外に見知った顔が何人もいます。
複数の人物に声をかけていたようです。
それから、
おにごっこをし、かくれんぼをしました。
遊びが一段落すると、誰かが言いました。
「丘へ行ってみよう」
少なくとも彼女ではありません。
なぜなら、私はその時、
息を切らし、肩で息をし、
地面に落ちていく自分の汗を眺めていたので、
発言者の顔を見る余裕などなかったのです。
ぞろぞろと、幾人の子供たちが、
町はずれの丘を目指します。
その丘は、学校の遠足でも、
利用されるハイキングコースがある、
ちいさな山ですが、クラスメイト達の間では、
丘と呼ばれているようでした。
皆で、ゆったりと、
舗装された山道を登っていきます。
体力のない私は、
集団のいちばん後ろをついていきました。
おにごっこなどで消耗をしていた
私は、集団から遅れること数分、
やっとの思いで、登り切ろうかという時、
彼女が、私を待っているのが見えました。
彼女は、私に右手を差出し、
私の細い腕を引きながら言いました。
「また、いっしょにあそぼうね」
夕日を背景に、朱に染まる野原で
彼女は、そういいました。
その後、門限の為、
皆、丘を取って返し、帰路につきました。
彼女と遊んだことで、
私の生活に大きな変化がありました。
私が、彼女を目の端で追うようになったこと。
いつ彼女に話かけられても良いように、
テレビや、ラジオや、アイドルや、雑誌や、漫画の話ができるようになったこと。
しかし、その後、
私は、彼女と遊ぶことは
二度とありませんでした。
それから数か月後、
彼女は、家の事情で、
引っ越しをすることになったからです。
彼女は、その後、引っ越し先で、
スカウトされアイドルになりました。
私は、テレビの前で、
テレビの中の彼女を見つめています。
彼女の、
あの言葉を信じて。
了
とりあえず、全文投下。
html依頼だしてきます。
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