幼馴染「い、いや、待って！　なに？　ねとられ？」

男「寝取られモノ」

幼馴染「それ。寝取られモノ？　どういうこと？」

男「寝取るの意味は知ってるよね」

幼馴染「うん。まあ、一応……他人の恋人とそういう関係になって、取っちゃう、みたいな」

男「僕はそれをされる側の人間なんだ」

幼馴染「いやいやいや、そんなのわかんないでしょ！？」

男「分かるんだよ！　僕はそういう星の下に生まれてきたんだ！」

幼馴染「私に告白されて混乱してない？　変なこと言ってるわよ」

男「僕の家、父子家庭で二人兄弟だよね」

幼馴染「突然なに？　そうね。子供のころからの付き合いだし、よく知ってる」

男「二人とも下の方がすごいんだ」

幼馴染「は？」

男「母さんは親父とのやりすぎで死んじゃったし、兄貴は大学生になってからやりまくってる」

幼馴染「そ、そう……お兄さんの方は、昔を知ってるだけあって、なんか複雑ね」

男「きっと幼馴染と付き合ったら、幼馴染は……くそ、誰のちんぽが家族の最底辺ちんぽだと！？」

幼馴染「なに？　あんたのシミュレーションでなにがあったの！？」

男「それだけじゃない。僕の部活にはヤリチンの先輩がいるんだ」

幼馴染「私、あんたと部活が違うから知らないんだけど……」

男「あの人、いつも誰かの彼女を寝取ったって自慢してくるんだ！」

男「きっと幼馴染と付き合ったら……誰が部活以外でも負けてるちんぽだと！？」

幼馴染「言ってないから！　というか、あたしはそんなにち――それを比べると思われてるの！？」

男「他にもクラスメイトに黒人のジョンがいるし、体育教師はガチムチだし、近所に金持ちのおっさんがいるし――」

幼馴染「わかった、わかったから！　……あんたが不安なのはわかった」

男「それなら」

幼馴染「でも、嫌。そんな理由で私をふらないで」

男「幼馴染……」

幼馴染「私は絶対、あんた以外になびかない。なにかあったら、あんたに言う！」

幼馴染「だから、まずはあたしを信じて。私たち、ずっと昔からの仲でしょ……」

男「……ごめん」

幼馴染「そんな」

男「いや、そうじゃない。僕は幼馴染に失礼なことした。それに対してのごめん、だよ」

男「卑屈になって、幼馴染の気持ちを無碍にしようとしてた」

男「――僕も幼馴染が好きだ。他の誰にも渡したりしない！」

幼馴染「男……ありがとう」

男「これからもよろしく」

幼馴染「うん！」

男「親父、兄貴。俺、幼馴染と付き合い始めたんだ」

父「ほー、そうか。幼馴染ちゃんと……お似合いだと思うぞ」

兄「お前にもとうとう彼女か。ははは、おめでと」

男「二人とも、手出すなよ！」

父「はぁ？　父さんは母さん一筋だっての！」

兄「俺は……はぁ、お前に勝てる気がしねえよ」

男「勝つ？」

兄「子供のころ、お前と風呂に入ったころから、俺のプライドはズタボロ！」

兄「大学入って、少しでも自信をつけようと女を抱いたが……はぁ」

男「よくわからないけど、それならいいかな」

男「先輩、僕、彼女ができたですよ」

先輩「げ、マジ！？」

男「取らないでくださいね！」

先輩「……あー、それなんだがよ。実は、今までの寝取り話、嘘なんだ」

男「え？」

先輩「その、部活でお前の方が活躍し始めて、妬んじまってさ」

先輩「馬鹿みたいだけど、お前にすごいって思われたくて、とっさに話を作っちまったんだ！」

先輩「すまんかった！」

男「先輩……僕なんてまだまだです。先輩のことは、いつだって尊敬してます！」

先輩「男……へへ、お前の前に行けるよう、これからも頑張らなくちゃな！」

男「幼馴染が彼女になってから、いろんな人に祝福されたなぁ」

男「ジョンはホモらしいし、体育教師もホモらしいし、金持ちのおっさんもホモらしいし」

男「ははは、なんだか一人で空回りしてたな」

男「今日はとうとう、幼馴染と二人っきりで家デート……よし、頑張るぞ！」

幼馴染「あ、あはは、なんか緊張するよね……」

幼馴染「――うぇ？　なにそれ、大根！？」

幼馴染「む、無理無理無理！　入らなっ、あぁん💛」

幼馴染「んほっ、あへっ💛　しゅ、しゅごいぃいいいいい💛」

幼馴染「はじ、初めてなのにぃ💛　男ちんぽしゅごいのぉおおお💛」

幼馴染「おっきくてぇ💛　ずっと、ずっとかたくてぇ💛　いっぱいだされてるぅ💛」

幼馴染「らめ、らめぇええ💛　おちちゃううぅうううう💛」

男「はぁ、はぁ……そ、その、僕はすごくよかったんだけど、幼馴染は？」

幼馴染「……よかった」

男「え？　ごめん、小声で聞き取れなくて」

幼馴染「あんたさ、寝取られモノの主人公じゃないわよ」

男「はい？」

幼馴染「寝取りモノの主人公よ」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おしまい