歩「飛車さん。僕も、いつかあなたみたいに・・・」 (38)


歩「くっ・・・。敵襲!敵の銀がこちらに突っ込んで来ます!」

角「ど、どうすんだよ!このままじゃ突破されちまう!」

歩「どうするって言われても,このまま突っ込んで来られたらひとたまりも・・・」


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「任せろ!」

角「その声は!」


飛車「ここは通さん、さっさと失せろ!」

歩「飛車さん!」

角「飛車!」

銀「チッ」スゴスゴ


飛車「危ない所だったな」

歩「助かりました、飛車さん」

角「ふぅ、ヒヤッとしたぜ」


飛車「ここはひとまず大丈夫だ。お前達、あとは任せたぞ!」

歩「飛車さん、ありがとう!」

角「俺はちょっと下がっておこう」


歩「飛車さん、かっこいいなぁ・・・」

歩2「全くだ。オレらとは全然動きが違うよな」


歩「僕たちなんか、前に一歩づつしか進めないで・・・」

歩2「そりゃあ、オレ達は歩だからな」

歩「僕も、いつか飛車さんみたいになりたいな」


歩2「バカな夢を持つんじゃないよ。オレらが出世したとしても」

歩2「せいぜい、と金になるくらいだからな」

歩「そ、そうだけどさ」

歩2「それも、そうなる前にほとんど討ち死にしちまうって話だぜ?」

歩「けど、せめてと金になって、少しでも飛車さんに近づきたいな・・・」


歩2「ま、その前に討ち死にしないように」

歩2「神様にでも祈っておいた方がいいぜ」

歩「はぁ、夢がないなぁ」


・・・

・・



歩「な、何だって・・・」

歩「飛車さんが、討ち死に?」

歩2「ああ・・・」


歩2「戻ってきた角さんが言ってた。敵陣に深く切り込みすぎて、気がついたら囲まれて・・・」

歩「そんな・・・」

歩2「戦局はかなり悪いらしい。オレ達も覚悟を決めておいた方がいいかもな」

歩「飛車さん・・・」


歩「飛車さぁーんっ!」

歩2「歩・・・」



歩「・・・。こうなったら、僕は絶対と金になる!」

歩「と金になって、少しでも飛車さんに近づいて・・・」

歩2「・・・」


歩2「なれるわけ、ないだろ・・・」

歩「歩2君?」


歩2「と金になんて、絶対なれるわけないだろ!その前に100パーセント死ぬぞ?」

歩2「いいかげん、目を覚ませ!適いもしない夢を見るのはやめろ!」

歩「そ、そんな・・・」

歩「そんな事、やって見なきゃわからないだろ!」


歩2「ならやって見たらいい。せいぜい、桂馬あたりの餌食になるのがオチさ」

歩「・・・」

歩「・・・なってやる」

歩「僕は、絶対と金になってやる!」

・・・
・・


歩「はぁ、はぁ、やっとここまで来れた・・・」

歩「ようやく、あと一歩で、と金になれる・・・」

歩「・・・途中、何度ももうダメだと思った」

歩「でも、飛車さん、飛車さんの勇姿が僕に勇気を与えてくれた」


歩「・・・飛車さん。僕は、あなたに少しでも近づけたでしょうか?」

歩「きっと、あなたには及ばないけど・・・」

「待て」


歩「・・・」

歩「そんな、まさか・・・あなたは・・・」

歩「飛車さん!」

飛車「久しぶりだな」


歩「飛車さん・・・」

歩「どうして・・・。敵側に居るんですか・・・?」

飛車「・・・」

歩「答えてください、飛車さん!」

飛車「・・・全く、物分りの悪いボウヤだな」


飛車「裏切ったからに決まっている」

歩「そんな・・・。嘘ですよね、裏切っただなんて!」


飛車「敵軍に捉えられた時に、悟ったのさ・・・」

飛車「この戦いは負けると」

飛車「だから、勝てるほうについたまでだ」

歩「飛車さん、お願いです、目を覚まして!」


飛車「悪いが、ここは通さん」

飛車「お前の頑張りもここまでだ」

歩「飛車さんっ!」


飛車「フン、と金になろうだなんておこがましい」

飛車「最弱は最弱らしく、前に一歩だけ進んでればいいんだ」

歩「そんな・・・」


飛車「さぁて、お喋りは終わりだ。行かせて貰うぞ!」

歩(・・・飛車さん、僕の憧れだったのに)

歩(僕は、今まで一体何のために・・・)

歩(・・・やっぱり、歩2君の言ってた通りだ)


歩(僕なんかが、と金になんてなれるわけがなかったんだ・・・)

「待てっ!」

飛車「誰だっ!」


歩2「歩!諦めるのはまだ早いぜ!」

歩2「オレが絶対、お前をと金にさせてやるっ!」

歩「ふ、歩2君!?」

飛車「な、何だと!?」


歩「ど、どうしてここに?」

歩2「ああ、実はあのあとオレも敵軍に囚われて・・・」

歩2「けど、角さんが助け出してくれたんだ。それより」


歩2「やい、この飛車の大威張りヤロウ!」

歩2「確かに、歩は一人じゃ最弱・・・」

歩2「だけど、そんなオレ達でもお前になんか負けないって事を見せてやる!」

飛車「なに・・・?」


歩2「いくぞっ、連携技だ!」

歩2「どうだ、こうやって二人で並んで連携を組めば!」

飛車「くっ!?」


歩2「いくらお前が最強でも、手も足も出ないだろう!」

歩2「どうだ、突っ込んできた瞬間に瞬殺だ!」

歩「歩2君!」

歩2「最弱のオレらも、力を合わせればお前に並べる・・・お前にだって、勝てるんだ!」

飛車「そっ、それは・・・」


飛車「二歩です」

歩・歩2「あっ」


終わり

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