【グリマス】P「歩のヘタレを直したい」 (26)
歩「い、いきなり何?プロデューサー」
P「だーかーらー!お前のそのヘタレ根性を叩き直すってんだよ!」
歩「ひぃ、いきなり怒鳴らないでよ…」
P「ここに一冊の本がある…」
歩「えと、週刊誌?」
P「このページを読んでみろ」
歩「…緊急アンケート…765プロのアイドル勝手にランク付けしちゃいmaster?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379379014
歩「何々?『一番かわいいアイドル』『お嫁さんにしたいアイドル』『いい匂いのしそうなアイドル』『介護してもらいたいアイドル』」
歩「へー、なんだか楽しそうな記事だね」
P「問題は下の方だ」
歩「下?えーと…『一番ヘタレなアイドル』三位 百瀬莉緒、二位 我那覇響」
歩「一位 舞浜歩…」
P「しかも二位を大きく引き離してだ…」
歩「この舞浜歩ってアイドル、そんなにヘタレなの?」
P「おめーの事だよ!」
歩「アタシってそんな風に思われてたのか?ちょっとショック」
P「自覚はなかったのかよ」
歩「アタシってば結構頑張ってるほうじゃん」
P「そんな事言っちゃう時点でお察しだな」
歩「何がいけなかったんだろ?」
P「あー、アレじゃないか?結構前のバンジージャンプ」
歩「あー、あんなの無理に決まってるじゃん!無理無理絶対飛べないよ!」
P「だが、一緒に行った星梨花と環は飛んだからな…」
歩「CG合成とは卑怯な…」
P「現実逃避すんな!」
P「あとはアレだろ?この間の…ビート板」
歩「泳げないんだから仕方ないじゃん」
P「ビート板使っても北陸出身のひなたに負けるとか有り得ない」
歩「…あれだろ?ジャッキー・チェンがよく使う」
P「早回し使ってねーから!」
P「まぁ、他にも『足が疲れたから今日はパス』だの『今日は早く休もう』だの、お前の発言からはやる気を感じる事ができん!」
歩「…シュン」
P(あ、やべ!強く言い過ぎたか…)
歩「プロデューサー、長い話はちょっと…」
P「あー!心配して損したー!」
P「大体お前、ダンス得意なんだろ?好きなんだろ!」
歩「得意ってか、…それしかできないっていうか…」
P「ならせめてダンスだけでもNo.1目指そうぜ」
歩「二位では駄目なんでしょうか?」
P「そのネタ辞めろ!イラッとする。大体アイマスのコンセプトを真っ向から否定する発言だぞ!」
歩「…シュン」
P「なぁ、もっと自信を持てよ、歩。お前ならできるよ」
歩「…うぅ…ひっぐ…」
P「泣くな、これくらいでへこたれてはいかんのだ。」
歩「うぅ…プロデューサー…」
<公園>
P「てな訳で特訓だ」
歩「うう、特訓かぁ…ねえプロデューサー、特訓は明日にして今日はもう帰ろうよ」
P「お前のそういう所を直す特訓なのにそれでは意味が無かろう」
歩「わかった、わかったよ。で?何するの?ダンス?」
P「そうだな、試しに踊ってみろ。曲は好きなの選べ」
P「やっぱりダンスは上手いじゃないか」
歩「そ、そうか?」
P(自信ある事なら普通にこなせるんだよなぁ。ならば作戦結構だ)カクレカクレ
P(作戦①、変な外人の絡みから逃げられるか?だ!エレナ、ロコ、頼んだぞ!)
謎の外人1?「ヘーイ!そこのユー!イッタイ誰のキョカでダンスしてるんだョ?」ワサワサー
謎の外人2?「ソーデスヨ!ダンスインザパークをプレイならみかじめマネーをフォーリンマイポケットデスヨ」ゴテゴテ―
P(二人とも謎の外人と言うよりも仮装した只の変な人じゃないか)
歩「うわ!外人だ!」
P(外人だ!じゃねーよ!アメリカ帰りの意地を見せろよ)
歩「プロデューサー…外人、外人がって、アレ?プロデューサー?」
エレナらしき変な人「ヘーイ、ユー!聴いてるのか?メーン?」
ロコらしき変な人「ソーデスヨ!ちゃんとリッスンしてクダサイ!」
歩「あー、えーと…あ、あいあむざぱにーず。あいむのーいんぐりっしゅ?えーとあーと…」
P(壊滅的な語学力だ。よくそんなんでアメリカ行ったよ。ある意味尊敬する。)
歩「うぅ…グスン…プロデューサー、どこに行っちゃったんだよぉ…」
P(あーあ、泣きそうだな…、ここが潮時なのか)
その時、歩の中で封印されていたアメリカ遠征中の思い出が蘇る
たった一人のアメリカ修業…通じない言葉、慣れない習慣、孤独、不安…相手に舞浜歩を認知させる方法は一つしかなかった
エレナ「泣いたってプロデューサーはコナイヨー」
ロコ「さあさあ!Doするですか?」
歩「…ったら」
エレナ&ロコ「?」
歩「こうなったら…踊りで勝負だ!」
一同『な、なんだってー!』
ロコ「ダ、ダンスで勝負?」
エレナ「アハハハ!楽しそうじゃないカ。ワタシ受けて立つヨ!」
歩「ルールは簡単。まずは二人同時にダンスして客を集める。客が集まったら交互にダンスしていき、相手より多くの客を魅了したほうが勝ち。途中で客からブーイングを受けたらその場で負けだ!」
エレナ「OKOK。それじゃ、ハヤく始め
ヨー!どうせ歩が負けるんだヨー」
歩「アタシは…負けない!」
ロコ「えーと、プロデューサー…どうするんですか?何かスタートしちゃいましたよ?」
P「ロコ。とりあえずその格好は恥ずかしいから着替えてこい」
P「大体なんでダンスで勝負なんだ?」
ロコ「わからないですよ、そんな事…って、プロデューサー!見てください!」
P「うわ!あっというまにオーディエンスが集まったな」
ザワザワザワザワ
歩「よーし。これくらいで十分だな」
エレナ「フフフ、さあ!ハジメルヨー!」
エレナの着ていた服が宙に舞い、セクシーなサンバの衣装が姿を表す。
激しい腰使いと派手な衣装が聴衆を魅了していく。
ただの公園が野外ライブ会場へ姿を変えていく。
一通り踊り終えると会場は熱気と興奮に包まれていた。
『スゲー!』
『なんだ?あの動き』
『衣装がなんだかエロいけどカッコいい!』
ザワザワザワザワ
エレナ「フフフン、歩、どう?コーサンするなら今のウチダヨ!」
歩「その程度で、勝った気にならないでよね!」
言うや否や、歩の身体が空中に舞う。
ノーモーションのバク宙で観客を釘付けにした歩は、すぐさまBGMに合わせたダンスを披露する。
その様はまるで能楽の『舞』の如く、一分の隙もない洗練された動きであった。
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
『なんだ?あの子!』
『バク宙スゲー!』
『ダンスもカッコ良かった!』
歩「へへへ、見たか!変な外人!」
エレナ「スゴイスゴイ!さっすが歩!ダンスだけは凄いネー!」
歩「ダンスだけって言うな!」
エレナ「でもエレナもそれくらいできるんダヨー!」
クルッ!スタッ!
オオオオオオオオ
エレナ「連続ジャンプイクヨー!」
クルッ!スタッ! クルッ!スタッ!…
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
『スゲー!スゲー!よこいつら!』
『いったい何者なんだ?』
エレナ「アハ?どうかな?」
歩「ダンスはジャンプだけじゃないよ…」
地面に手をついた歩は、そのまま両手を支点に身体を宙に浮かせたまま回転させていく…
その遠心力で時には肩、頭、背中を支点にして回転を続けていく。
そのまま首の力で倒立を行い、身体のバネの力で起き上がった。
ブレイクダンス
かつて歩がアメリカで会得した技術、そして今まで封印してきた記憶。
かつて舞浜歩には、人に自慢できる事がなかった。
少なくとも歩自信はそう思っていた。
高校時代、文化祭で踊ったブレイクダンスがきっかけだった。
素人のなんちゃってダンスだったが歩は夢中になった。
生まれて初めて彼女は自分が輝ける場所を見つけた気がした。
のめり込んだ歩は、授業中はブレイクダンスに関する本を読みあさり、授業後は学校の裏手でダンスの練習、帰宅後はDVDを鑑賞し続けた。
学校の成績は下がり、親に叱られる事もあったが、歩のブレイクダンスにかける情熱は大きくなるばかりだった。
高校3年生の時、担任の勧めでアメリカ留学をした。
本場アメリカでダンスの勉強ができる。
期待に胸を膨らませ、渡米した。
そこで歩はレベルの違いをまざまざと見せつけられる。
歩(アメリカで、あれだけボコボコにされて、プライドも粉々にされた。ダンスバトルはもうやらないと思ってたのに…)
歩(でも、今はなんだか血が騒ぐよ!)
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
P「歩、ブレイクダンスもできたのか…」
歩「いっえーい!どうだぁぁぁ!」
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
エレナ「スゴイ!スゴイヨ歩!みんな盛り上がってるヨ!」
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
歩「は、はははは…凄いな、アタシ…凄かったんだな…」
エレナ「歩はスゴイヨ!スゴイスゴイヨ!」
歩「そ、そーか…凄かったのか…凄かったか!」
エレナ「でも…エレナもまだまだ負けないヨ!」
歩「望むところだ!」
P「…なんだかんだで自信ついたみたいだな」
警察「あのー?許可取ってますか?」
P「……………………え?」
<翌日 事務所>
P「なんだよ…ダンスバトルって。警察に説明するの面倒だったろうが」
歩「プロデューサーが、ワタシの記憶を呼び覚ましたのが悪い」
P「でもさ、なんであんなに踊れるのに隠してたんだよ?」
歩「別に隠してたワケじゃないよ。アイドルのダンスと違うし、今まで必要なかったしね。まさかフリフリの衣装でブレイクダンスは無理でしょ」
P「まあいいか。それじゃあレッスンに行くぞ」
歩「…」
P「どうしたんだよ?」
歩「いや…昨日のダンスバトルで、その…筋肉痛が…ねぇ、プロデューサー…今日は大事をとって休みにしようよ…」
終わり
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