【モバマス】乃々「もりくぼは、輝子さんのことが………」輝子「…………」 (118)

基本百合ものです
地の文あり

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1話『もりくぼの気持ち』

事務所

乃々「おはようございます………。………誰もまだ来てないみたいですね………」


机の上に置いてある今日の予定を確認します。まぁ、一応覚えてはいるのですが。

乃々「はぁ……」

大きなため息をつきます。………誰もいないので問題ないでしょう。
………もりくぼは、このところ『ある問題』について悩んでいました。

輝子「ぼ、ぼののさん、おはよう……フヒ」

乃々「お、おはよう………ございます……」

輝子「…………」

乃々「…………」

……あぁ……またです……
また、目を逸らしてしまいました……

いつからでしょうか、輝子さんと目が合わせられなくなったのは……
ある時から、輝子さんと目を合わせようとすると妙に恥ずかしくなって、思わず目を逸らしてしまいます……
この『輝子さんと目が合わせられない』がもりくぼの悩みなのです
この何日かは話したりするだけで恥ずかしいような不思議な気分になり、常にギクシャクしてしまいます……
このままでは輝子さんに嫌われてしまうかもしれない……それだけは避けたいんですけど……
とにかく何か目を合わせる方法を考えなければ……

輝子「ぼ、ぼののさん……?」

乃々「ふぁいッ!?…………し、輝子さん………どうかしましたか………?」

輝子「………いや、遠い目をしていたから何かあったのかと思って……な」

そう言って輝子さんはこちらの顔をのぞき込んできます………
心配してくれるのは嬉しいですが……やはり目を合わせることが出来ません。思わず目線を逸らしてしまいます………

乃々「………いえ、今日のお仕事について………」

輝子「お、おぅ……それは私にもどうにも出来ないな………
………が、頑張ってくれ……」

乃々「はい………」

輝子「…………」

乃々「…………」

うぅ……沈黙が気まずいんですけど……。

輝子「あ、あのさ……ぼののさん」

乃々「な、何でしょう……」

輝子「………………ぼののさんは……」

ガチャリ

まゆ「おはようございます……」

輝子「あ、まゆさん、おはよう………」

乃々「おはようございます……」

まゆ「………2人とも朝から暗い顔で何話してたんですかぁ……?」

乃々「えっと……」

輝子「べ、別に大したことではない……ぞ」

まゆ「そうですかぁ…
でも、何か悩みがあったりしたら相談してくださいね……
まゆもお2人の力になりたいですから……」

輝子「もちろん……
私も、相談するし、頼っても欲しいぞ……」

乃々「も、もりくぼもですけど……」

まゆ「みんなで助け合いましょうね……」

輝子「そうだな……」

その後、他愛もない会話をして、それぞれのお仕事に行きました。
輝子さんが何を言いかけたのかは聞けずじまいに終わり、解決法も見つからずモヤモヤとしたままお仕事をしました……

__________________

ディレクター「カットー!撮影終了です!お疲れ様ー!」

乃々「お、お疲れ様でした……」

今日はミスを沢山してしまいました……
……………素早く帰るんですけど……

凛「乃々、お疲れ様」

乃々「あ…凛さん。お疲れ様です……」

凛さんとはあのラジオの収録以来、仲良くなりました……
もりくぼなんかよりよっぽどキラキラしていて尊敬します……

凛「調子が良くなかったみたいだけど、大丈夫?」

乃々「あぅ……大丈夫です……
ご心配かけてすいません…………」

凛「そんな謝ることじゃないよ、
………………ちょっと事務所に戻る前に、喫茶店にでも行かない?
最近オープンしたいいお店があるんだ」

乃々「え、えっと……」

凛「プロデューサー、大丈夫だよね?」

P「ああ、いいぞ。あんまり遅くにはなるなよ」

凛「ほら、プロデューサーも大丈夫だって言ってるし、行こ?」

乃々「……分かりました…」

喫茶店

お互いに頼んだドリンクを一口飲んだあたりで、凛さんが尋ねてきました

凛「それで………どうしたの?」

乃々「どうしたの?………というのは?」

凛「何か悩んでるんでしょ?」

乃々「ど、どうして分かったんですか?」

凛「いつかの卯月みたいな顔してたから。
…………話してくれたら力になるよ」

乃々「…………………」

凛「ね?」

乃々「…………最近、輝子さんと目が合わせられないんです……」

凛「目が合わせられない?」

乃々「はい……。顔を見ると緊張するというか、ドキドキするというか……
とにかく目が合わせられないんです……」

乃々「人と目を合わせられないのはいつものことですけど……、輝子さんとは今まで合わせられていましたし……
こんな気持は初めてなんですけど……」

凛「…………輝子といえばさ、乃々がこの間のラジオで『好きですけど…』って言ってたよね」

乃々「す、好き!?!?と、突然何を言うんですか!?////」

凛「嫌いなの?輝子のこと」

乃々「え、えっと、そんなことは、ないですけど、でも好きっていうのは、友達としてであって……あぅぅぅ……」

凛「乃々」

乃々「は、はい」

凛「乃々の気持ちは乃々の気持ちだから、私に全部は分からないけど、その気持ちは…『恋』なんじゃないかな」

乃々「……『恋』ですか……?」

凛「うん」

乃々「もりくぼが輝子さんに恋……?」

凛「うん」

乃々「……そうなんでしょうか……?」

凛「あれ、違った?」

乃々「わ、分かりません……」

凛「まあ、私もこういうことは詳しくないからね……
まゆとかなら、わかるんじゃないかな」

乃々「そうですね……。聞いてみます……」

凛「役に立てなくてごめんね?」

乃々「そんなことないんですけど……。聞いてもらえただけで気持ちがちょっと楽になったので……
ありがとうございます……」

凛「ふふっ、なら良かった」

凛「じゃあ事務所に戻ろっか」

乃々「あ、はい……」

もりくぼは、輝子さんが好き…なんでしょうか……。自分で自分の気持ちが分かりません……。

その日は家に帰ってからもその事で頭がいっぱいで、いつの間に寝たのかも覚えていませんでした…………。


翌日

気がつくと朝になっていました……。全然寝れた気がしないんですけど……
とにかく急いで準備しないと……


事務所

乃々「おはようございます……」

P「おはよう」

乃々「あれ、まだ誰も来てないんですか……?」

P「いや、卯月がレッスンルームにいるはずだ。まゆと輝子は今日はオフだな」

乃々「そうですか……。」

今日は相談できそうにないですね……

乃々「今日はレッスンだけですよね……?」

P「ああ、そうだな。そろそろトレーナーも来る頃だろうし、卯月もいるから先にレッスンルームに行ってるといい」

乃々「分かりました…」

P「CD発売まであとすこししかないからな、しっかりがんばれよ!!」

乃々「うわっ!?」

P「す、すまん、驚かせたか……?……ガラでもない大声を出すといかんな……」

乃々「大丈夫です……。レッスン行ってきます」

普段大きな声なんて出さないのに……心配してくれてるんでしょうか……

P(渋谷が『悩みがあるみたいだけど、むしろプロデューサーが下手に干渉しないほうがいいかも』と言ってたが、心配だなぁ……)

レッスンルーム

乃々「失礼します……」

卯月「あ!乃々ちゃん!おはようございます!」

乃々「おはようございます、卯月さん……」

卯月「トレーナーさんはまだ来てない、みたいですね
…………顔色が悪いですけど、大丈夫ですか?」

乃々「実は昨日、あんまり眠れなくて……」

卯月「体調悪かったら、すぐに言ってくださいね?」

乃々「はい、ありがとうございます……」

このところ、人に迷惑をかけてばかりです……
……もりくぼの個人的な悩みで皆さんに気を使わせて……申し訳ないんですけど……
まゆさんも昨日ああは言ってましたけど、もりくぼは普段から頼ってばかりなのに、これ以上相談なんてしてもいいんでしょうか……

卯月「…………二人でストレッチでもしましょう!」

乃々「あ、えっと……そんなに気を使ってもらわなくても……」

卯月「いえ、レッスン前と後のストレッチを疎かにすると、怪我をしますから、ね!」

結局流されてしまいました……
やっぱりもりくぼは人に頼ってばっかりで、だめ久保なんですけど…………

卯月「…………悩みがあるなら、相談してくれていいんですよ?」

乃々「…………もりくぼ、そんなに顔に出てますか……?」

卯月「昨日凛ちゃんから、乃々ちゃんがちょっと悩んでるから気にかけてあげてって言われましたし……。すごく悩んでそうな顔してますよ」

卯月「だから、私で力になれるか分かりませんけど、相談したかったら、相談してくださいね?」

乃々「で、でも、もりくぼなんかが相談して……迷惑なんじゃ……」

卯月「…………乃々ちゃん。誰だって一人で抱え込んでいたら、いつかは潰れてしまうんです。
だから、誰かに助けてもらって、自分は誰かを助けるんです。普通でしょう?」

乃々「でも、もりくぼの場合、助けてもらう一方でちっとも返せていないんですけど……」

卯月「そんなことはないですよ!乃々ちゃんが気付いてないだけで、色んな人が助けられてますよ!」

乃々「そうでしょうか…………?」

卯月「私が保証します!」

乃々「…………ありがとうございます。ちょっと元気が出ました。」

卯月「なら、良かったです!あ、今からお悩み相談してくれてもいいんですよ?」

乃々「そ、それは…」

そ、相談してみましょうか……。卯月さんは明るいですし……いいアドバイスがもらえるかも…

…あ、でも……

…………恋愛事かもしれないと思うと、なんだか急に相談するのが恥ずかしくなってきました……
いや、でも、まだそうときまったわけではないですし……

…………やっぱり、もうちょっと、心の整理ができてからにしましょう

乃々「ま、またの機会にします…」

卯月「そうですか…」ショボーン

乃々「あ、でも、相談する気にはなったし、げ、元気も出たので!ありがとうございます」

卯月「ふふ、そんなに焦らなくても伝わってますよ。」

乃々「なら良かったです……」

ガチャリ

トレーナー「おはよう!ふたりとも早くから来て感心だな。レッスンを始めるぞ」

卯月「じゃあ、頑張りましょうか!」

乃々「はい…」

_______________________________

今日のレッスンもハードでした……
プロデューサーも言ってたように、CD発売も近いし、仕方ないかもしれませんね……

乃々「お先に失礼します……」

卯月「はい!また明日!」

外に出ると、ビルの間に沈む夕日が見えました……
いつもなら、ポエムの1フレーズぐらいは思いつきそうですが、今日は肉体的にも精神的にもそんな余裕がありません……
今日も早く帰って寝ましょう……

………結局、もりくぼは輝子さんのことをどう思ってるんでしょうか……
………やっぱり明日、まゆさんに相談してみましょうか……

まゆ「あ、乃々ちゃん」

輝子「ホントだ……やぁ、ぼののさん」

乃々「まゆさんに輝子さん?……どうしたんですか、こんなところで
お二人とも今日はお休みでしたよね……?」

輝子「う、うん……。だから帰ってきた……」

まゆ「まゆたちは事務所横の女子寮に住んでますから……」

乃々「あ、そうでしたね……。忘れてました……」

輝子「ぼののさんは、いまお仕事終わりか……?」

乃々「あ、え、はい……。れ、レッスンだけでしたけどね……」

輝子「CD発売が近いんだったな……。が、がんばって……」

乃々「ど、どうも……」

あうぅぅ……いろいろ考えているせいか、ますます緊張してしまうんですけど……

乃々「まゆさんと輝子さんは今日は何をしてたんですか……」

輝子「……ふ、二人で買い物に行ってたんだ……」

乃々「そうなんですか……?」

まゆ「ええ、まあ……」

輝子「服とか、色々見て回ったんだ……」


乃々「そうですか……」

輝子「あと、新しくできたレストランにも行ったぞ…
デザートが美味しかった……」


乃々「…………」

輝子「そ、そういえば……その店の近くに、」


乃々「…………も、もりくぼ、急ぎの用事があるので、帰りますね。……ご、ごめんなさいっ……」ダッ



輝子「え、あ、うん……
……怒らせてしまったかな……」

まゆ「ちょっと疲れてただけですよぉ……きっと。
それより、まゆ、買い忘れたものがあったので、ちょっと買ってきますね。先に寮に戻っててください」

輝子「お、おう……分かった」

__________________

……もりくぼは、近くの公園にいました……

どうして逃げてしまったんでしょうか……
輝子さんに悪いことをしてしまいました……。嫌われても仕方ないんですけど……
で、でもさっきの気持ちは……

まゆ「乃々ちゃぁん……♪」

乃々「ヒィッ!?……あ、まゆさん……。輝子さんは……?」

まゆ「大丈夫です、先に戻ってもらいました……」

乃々「そう、ですか……。……えっと、さっきはごめんなさい……」

まゆ「気にしなくていいんですよぉ……。それよりも、相談があるんですよね?」

乃々「ど、どうしてそれを…?」

まゆ「凛さんから連絡がありましたから……」

凛さん、仕事が早すぎるんですけど……

乃々「えっと…実はかくかくしかじかで……」

まゆ「なるほど……。
………………それで、率直に言って、乃々ちゃんは輝子ちゃんのこと好きなんですか……?」

乃々「えっと……好きかどうかは、分からないんですけど、好き、なのかもしれませんけど……。どう思いますか……?」

まゆ「…………じゃあ、さっき輝子ちゃんが私と買い物に行った話をした時、どう思いました?」

乃々「…………………なんだか、嫌、というほどでもないですけど……、悲しいような気分でした……
…………あ、まゆさんが嫌いなわけでは全然ないんですけど、その…ごめんなさい…」

まゆ「ふふ、謝らなくてもいいんですよぉ……。でもきっとそれは『嫉妬』ですね…」

乃々「やっぱりそうなんでしょうか……?」

まゆ「そうだとおもいますよ……」

乃々「じゃあやっぱりもりくぼは、輝子さんが好きなんでしょうか……?」

まゆ「それは、やっぱり、自分じゃないと分かりませんから……」

乃々「まゆさんはプロデューサーさんを好きになったとき、どんな感じだったんですか……?」

まゆ「まゆはプロデューサーさんを見た瞬間に、一目で運命の人だと分かりました……///
でも、『好き』の気持ちも人それぞれですから、どれが正しいなんてことはないと思いますよぉ……」

乃々「そうなんですかね…」

まゆ「そうだとおもいますよ……
それに、『好き』だったとして、『その人とどうしたいのか』、も人それぞれでしょう?
……だから乃々ちゃんも、乃々ちゃん自身の気持と真剣に向き合ってあげてくださいね……?」

乃々「……自分の気持ちと、向き合う……」

まゆ「ええ……。
……そろそろ、戻らないと輝子さんが心配するので、戻りますね」

乃々「あ、はい………ありがとうございました」

まゆ「お礼なんていいんですよ、昨日も行ったようにまゆはお二人に頼ってもらいたいんですから……
じゃあ、また明日」

乃々「ま、また明日……」


もりくぼの気持ち……………
確かに、人に聞いてばかりで今まできちんと向き合ってこなかったかもしれません……
もりくぼが輝子さんのことをどう思っているのか……、確かめてしまうと戻れないような気がして
誰かに答えをもらって済ませようとしていたのかもしれません……
もりくぼは……輝子さんとどうしたいんでしょうか……

__________________

翌日・事務所

乃々「おはようございます……」

輝子さんのことをどうおもっているのか、昨日一晩考えましたが……答えは出ませんでした……

輝子「お、おはよう……」

乃々「あ、輝子さん………」

輝子「き、昨日はゴメンな……
疲れてたのに、私だけ話して、ウザかっただろ……?」

乃々「そんなことはないんですけど……もりくぼの方こそ、途中で帰ってしまって申し訳なかったんですけど……」

輝子「怒ってないのか……?」

乃々「怒ってなんてないんですけど……」

むしろ、もりくぼが逃げたのに、怒らない輝子さんがすごいと思います……

輝子「そ、そうか……なら良かった……
……………そ、それでな……昨日買い物したときにこれ、買って、渡そうと思ってたんだ……」

乃々「これは……?」

輝子「温めるアイマスクだ……。レンジでチンして目に当てると気持ちいい……。私で実証済みだ……フフ」

乃々「……どうしてこれを、もりくぼに……?」

輝子「ぼ、ぼののさん、ここ最近疲れてそうだったからな……。ちょっとでも元気が出ればいいかなって……」

乃々「……ありがとうございます、嬉しいです……」

輝子「あ、あとな、昨日行ったレストランの近くで見つけたお店なんだけど……これ」

そう言って輝子さんはスマホで撮った写真を見せてきました……

乃々「あ、このお店って……」

輝子「……ぼののさんが前に行きたがってた絵本屋さん……
このあたりに最近できたらしい……」

乃々「……このお店の話したの、かなり前だったと思うんですけど……」

輝子「た、たまたま覚えてたんだ……。それで……良かったら今度行ってみないか……?
CD発売後にはなるだろうけど………………………も、もちろん皆で」

乃々「……はい……。楽しみですけど……」

輝子「よ、良かった……
あ、他にもいろんなお店見つけたんだ…、例えば…………」

この時、もりくぼはやっと分かりました。
もりくぼは、昨日、まゆさんに嫉妬していたんだと。
絵本屋さんも、できれば輝子さんと二人で行きたいなと思ったんだと。
そして、そんな小さなことまで覚えてくれていて、周りがとても見えていて、おまけに人にすごく優しい
……そんな輝子さんのことを、『好き』なんだと。


閑話1『卯月とビデオ電話』

どうも!卯月です!
今日は撮影のお仕事でした。未央ちゃんと凛ちゃんは、それぞれTVの撮影に行ってたみたいです。
最近はそれぞれの仕事も増えて、しばらく三人で集まることも少なくなっています
まあ、その一番大きな原因は、私の参加しているシャイニーナンバーズでのCD発売が二週間後にあるということなんですが……
でもそれが終わったら、三人で遊びに行く予定ですし、時々電話もしているので、寂しくはありません!

…………そう思いながら、スマホを手に持って十五分。
表示されているのは、りんちゃんの電話番号。
ボタンを押せばすぐに繋がるんですが……やっぱり緊張してしまいます。何回経験しても、好きな人に電話をかけるのは勇気がいります。
…………私、島村卯月は凛ちゃんに恋をしているのです。
もちろん、凛ちゃんは私の気持ちを知りません。未央ちゃんには以前から相談に乗ってもらっています。

卯月「……悩んでてもしょうがないですね、かけましょう」

私は気が変わらないうちに、通話ボタンを押そうとしました。

卯月「……そういえば、この、ビデオ通話ってやったことないですね……。何なんでしょうか」ポチ

試しに押してみると、いつもと同じ発信中のマーク。

卯月「あっ!まだ心の準備が…!」

自分でかけておきながら、今更焦ってしまいます。
凛ちゃんはスマホを使っている最中だったのか、すぐに繋がりました。
画面に凛ちゃんの顔が映し出されます。

卯月「えっ!?」

凛「もしもし、卯月がビデオ通話してくるなんて珍しいね。……卯月?」

卯月「あ、えっと……」


ビデオ通話ってそういう意味だったんですか!?
ま、まずいです。お互いに顔の近くで持っているからか、普段よりも顔が近いような気さえします。
とにかくここは一度落ち着かないと……

卯月「じ、実はビデオ通話ってしたことなくて……」

凛「そうなんだ
まあ私もあんまり使ったことはないかな」

卯月「………………」

凛「………………」

ドキドキしすぎて、話そうとしてたこと全部忘れてしまいました…

凛「……今日はやけに静かだね…
何かあったの?」

卯月「………り、凛ちゃんの顔を見てると、なんだか緊張しちゃって……」

凛「私ってそんなに顔怖いのかな……」シュン…

卯月「あ、えっと、そういう意味ではないですし、凛ちゃんの顔が怖いとも思いませんよ!」

……というか、今の、声に出てた事に気づいてませんでした。

凛「なら良かった……。あ、顔を見るといえばさ」

卯月「はい?」

凛「…………あー、いや、あんまり関係はないというか、いやあるんだけど……」

卯月「どうしたんですか?」

凛「いや、今日もりくぼに悩みを相談されてさ……
卯月明日一緒にレッスンだから気にかけてあげてねって言おうと思ったんだけど
人の悩みを勝手にバラすのは良くないなと思ってさ」

卯月「なるほど!…分かりました!任せてください!」

凛「……ありがと。そういえばCDのレッスンは順調?」

卯月「まだまだ失敗も多いですけど、順調ですよ!皆頑張ってます!」

凛「乃々はどう?」

卯月「……乃々ちゃんは上手なんですけど、やっぱり自分に自信が持てないみたいです……
でも、頑張りやさんですし、大丈夫ですよ!」

凛「そう、だね……頑張ってるみたいで良かった。もうすぐ本番だしね。
…………私も今度のオフに三人で行く場所考えておくから。」

卯月「凛ちゃんおすすめの場所、楽しみにしてますね!」

凛「こういうのは、未央のほうが詳しいんじゃないの?」

卯月「せっかくですから、凛ちゃんおすすめの場所が知りたいんです。」

凛「まあ、卯月や未央がそういうなら、頑張るけど……」

卯月「あ、でも、ほんとに無理だったら、言ってくださいね?」

凛「大丈夫、たぶんなんとかなる、と思う
そういえば、この間、美味しい喫茶店を見つけたからそこにも行こうか。」

卯月「そうなんですか?」

凛「昨日乃々とも行ったんだけど、パンケーキが美味しくてね……
……………卯月、どうしたの?」

卯月「………なんでもないですよーだ」

>>47訂正

卯月「そうなんですか?」

凛「今日乃々とも行ったんだけど、パンケーキが美味しくてね……
……………卯月、どうしたの?」

卯月「………なんでもないですよーだ」

凛「何突然すねてるのさ……
……もしかして、乃々と先に行ったから?でも、他の人とも何回か行ってるよ?」

………そういうことではなくてっ

卯月「……凛ちゃんって、意外と乙女心を解しませんよね」

凛「え、ちょっと待って、私一応乙女だしその言われ方はショックなんだけど」

卯月「………ふふっ」

凛「え?」

卯月「冗談ですよ、冗談。ちょっとからかってみたくなったんです。」

凛「も、もう……。本気でちょっと傷ついたよ……」

卯月「ごめんなさーい。」

凛「いいですよー。……ふふっ」

卯月「ふふっ……
じゃあ明日も早いのでそろそろ切りますね」

凛「あ、うん、おやすみ」

卯月「おやすみなさい」ピッ




…………凛ちゃんの鈍感!鈍感!超鈍感!

…………こういうときは未央ちゃんに電話しましょう。
まだ起きてるかな……






凛「卯月なんですねてたんだろ…」

今日は以上です
もっと砂糖たっぷりな話を作ろうとしたのになんだかビターになってしまった

あと本編2話を予定しています

誰も見てないだろうけどこっそり生存報告
やっとリアルに余裕が出来そうなので来週中に続きを投下したい(願望)

短いですが投下します

二話 深まる気持ち

喫茶店

明くる日、もりくぼはとりあえず、まゆさんに報告することにしました……


まゆ「そうですかぁ……。まあ、そうなんでしょうと思ってました……」

乃々「はい、やっぱりもりくぼは輝子さんが……好き、です……」

まゆ「……それで、目は合わせられるようになったんですか……?」

乃々「……まだ恥ずかしいですけど、この間よりはましになりました……」

まゆ「それは良かったですね……」

乃々「まゆさんのアドバイスのおかげです……」

まゆ「まゆは何もしてないですよぉ……。それで、どうするんですか……?」

乃々「どうするって……?」

まゆ「告白したり、するんですか……?」

乃々「どうなんでしょう……?今はまだ、分かりません。ただ……」

まゆ「ただ?」

乃々「輝子さんと、もっと仲良くなりたい、とは思います……。今はそれでも、いいですか……?」

まゆ「恋愛は人それぞれですから、乃々ちゃんがしたいようにすればいいいですし、まゆはそれを応援しますよぉ」

乃々「ありがとうございます……。……でも、どうすればもっと仲良くなれるでしょうか……」

まゆ「どうすれば、ですか……。やっぱり、お互いのことを知ることでしょうかね……」

乃々「輝子さんのこと……」

まゆ「相手のことを知ればきっともっと仲良くなれるはずです……」

乃々「でも、突然そんなに質問したら怪しまれませんかね……」

まゆ「一番早い方法は一緒に出かけることですかね……。今度誘ってみたらどうですか?」

乃々「が、がんばってみます……」

まゆ「あとはメールとかLINEですかね……。そういえば、乃々ちゃんってスマートフォン持ってるんですか……?」

乃々「……一応持ってます……」

まゆ「まゆとも連絡先交換しませんか」

乃々「あ、はい………。……実は、家族以外と連絡先交換したことなくて……、どうするんですか?」

まゆ「そうなんですか……?どうして?」

乃々「その………ただでさえ話しかけられないのに、連絡先の交換なんて、ハードルが高すぎるんですけど……」

まゆ「あぁ…………なるほど……」

乃々「ですから、輝子さんとの連絡先交換なんて………できる気が」

まゆ「輝子ちゃんは話せるんですし、なんとかなりますよ」

乃々「でも、やっぱり、もりくぼなんかが言うのは、迷惑じゃ………」

まゆ「そんな心配ないですよ、輝子さんなら喜んでくれます」

乃々「そうでしょうか……?」

まゆ「間違いないですよ。それに、乃々ちゃんは輝子ちゃんとLINEとか、したくないんですか……?」

乃々「それは…………したいですけど」

まゆ「だったら善は急げですよ。今なら輝子ちゃんも事務所にいるはずなので、行きましょう」

乃々「い、今からですか……?」

まゆ「今すぐですよぉ……」


事務所

まゆ「おはようございます」

乃々「おはようございます……」

凛「おはよう。二人とも、今日はオフじゃなかった?」

乃々「あ、えと……」

まゆ「どこかに出かけようかなと思ってたんですが……遠出する気分でもなかったので。あとは……まあ。」

乃々「そ、それでですね……、輝子さんはいますか……」

凛「ああ、なるほどね……。
輝子ならそこの机の下にいたのをさっき見たけど……」

輝子「い、今もいるぞ……。二人ともおはよう………」

まゆ「おはようございます……」

乃々「お、おはよう……ございます……」

輝子「そ、それで………私に何か用事か…………?」

乃々「あ、えっとですね…………。
…………もりくぼと連絡先交換しませんか……?」

輝子「え………?」

乃々「あ、やっぱり、嫌ですよね……すいません……」

輝子「…………あ、ああ……!
……………いや、そうじゃなくてな……!……今まで、他人に連絡先とか聞かれたことなかったから、脳が理解しなかったんだ……
ぜ、ぜひ、交換しよう……」

乃々「よ、良かったです……。
……実はもりくぼもさっきまゆさんとしたのが初めてなんです……」

まゆ「輝子ちゃん、まゆとも交換しましょう?」

輝子「も、もちろんだ……。……………LINEに友だちの名前がある……なんだか新鮮だな……フヒ」

乃々「不思議な気分ですよね……」

凛「ふ、二人とも私とも交換しよ!!ね!」

乃々「あ、はい……」

輝子「もちろんだ………」

その後、事務所に来た何人かの人とも連絡先のやり取りをしました……
一気に連絡先が増えました………



夜、森久保宅

ピロンッ

……何でしょう……。

………LINEの着信でしたか
あんまり聞かないので覚えていませんでした…


輝子『送ってみました。』

輝子『よろしくお願いします。』

乃々「………何か返した方が、いいんですよね」

………とりあえず、よろしくお願いしますを返しておきましょうか

乃々『こちらこそよろしくお願いします』

…………何か付け足した方がいいんでしょうか…
雑談………するような事が思いきませんね………

ピロンッ

あ……またですね

輝子『ぼののさん』

乃々『はい』

輝子『今日は何がありましたか』

……何がありましたっけ

乃々『今日はオフだったのでまゆさんとお茶をしました』

輝子『そうですか』

……………………………………

乃々『………終わり、ですか?』

輝子『あ、ごめんなさい……』

……あ、フォローしないと……ポチポチ

乃々『あ、おこるてふわけてはないです』

輝子『どどうした?』

乃々『怒っているわけではないです』

乃々『ただ、どうして聞いてきたのかなと、思いまして』

輝子『あーー
それは』

輝子『まゆさんに聞いたら』

輝子『お友達は皆、今日あった事とかをお互いにLINEで話すものだって言ってたので』

乃々『な、なるほど』

乃々『じゃあ、輝子さんは今日は何をしたんですか?』

輝子『今日は』

輝子『レッスンでした』

乃々『そうですか』

乃々『会話が続きませんね』

輝子『そうですね』

輝子『今思ったんだけど、なんで敬語なんでしょうか』

乃々『……何ででしょうか?』

輝子『じゃあ』

輝子『ここからは敬語じゃなくても、いいかな』

乃々『そうしましょう』

輝子『そうしましょうは敬語じゃ無いのか……?』

乃々『気のせいです……だ』

輝子『面白い口調だな…』

乃々『つい、話そうとしたとおりに書いてしまいます……だ』

輝子『無理はしなくてもいいぞ……だ』

乃々『諦めますけど…』







輝子『会話が続かないな……』乃々『会話が続きませんね……』


乃々『えっと、じゃあ、夜も遅いので寝ますか?』

輝子『そうだな』

乃々『じゃあ、おやすみなさい。また明日』



輝子『おやすみなさい。また明日』



…………到底何かを聞き出したりできそうにないんですけど……




2週間後

輝子『明日は、CD発売イベントだろう?』

乃々『そうです』

輝子『私も仕事だから見には行けないけど、応援、してるぞ』

輝子『頑張って、』

乃々『ありがとうございます』

輝子『それと、この間言ってた、みんなで遊ぼうって話だけど』

乃々『はい 』

輝子『明後日でどうだろう』

乃々『そうですね、そうしましょう
時間はどうするんですか?』

輝子『……じゃあ、9時に事務所前、でいいかな』

乃々『はい、大丈夫です』

乃々『そう言えば、他に誰が来るんですか?』

輝子『実は……』

輝子『誘ってみたけど、他に来れる人がいなかった』

輝子『すまない』

輝子『もっと多い方が良かった?』

乃々『そんなこと無いですよ』

乃々『絵本屋さん、楽しみにしてます』

輝子『なら良かった……

あ、それと』

乃々『はい』




輝子『いや、やっぱり何でもない』

乃々『そうですか……?』

輝子『うん、それじゃあ、おやすみ…』

乃々『おやすみなさい』

………明日は、頑張れそうな気がします




日後

今日はあんまりに早く起きてしまったので、少し早く待ち合わせ場所に来てしまいました……
……だってこれ、いわゆるデートみたいなものですよね……
もちろん輝子さんはその気は無いので、違うんでしょうが……もりくぼ的には1大イベントです……

そう思っていたら、輝子さんは既に来ていました……

乃々「輝子さん、おはようございます……。待たせてしまいましたか……?」

輝子「お、おはよう……いや、今来たところだ……」

輝子「……昨日のイベント、テレビで見たぞ……
凄かった……」

乃々「輝子さんが応援してくれたので、頑張れました……」

輝子「そ、そうか……?なら良かった……」

乃々「それで……どこに行きますか……?」

輝子「………ぼののさんは、どこに行きたいんだ……?」

乃々「えっと……絵本屋さんと、カフェと……
あと、輝子さんの好きな場所に行ってみたいです……」

輝子「私の好きな場所……?変な場所ばっかりで、楽しくないと思うぞ……」

乃々「………もりくぼ、輝子さんの事、もっと知りたいので……」

輝子「わ、分かった……
じゃあ、よく行くCDショップでも行こうか…
で、その後は、ぼののさんの知ってるカフェに行こう……」

乃々「完ぺきなプランですね……」

輝子「カンペキなプランだな……」

乃々「もりくぼ、カフェ以外の場所知らないので、道案内をお願いしても、いいですか……?」

輝子「任せろ…
ここからだと絵本屋さんの方が近いな……
先にそっちに行こう……」



絵本屋さんには、たくさんの可愛らしい本がありました……
木を基調にした作りの店内には、色とりどりの表紙の絵本が並び、暖かい空間を作り出しています……

乃々「す、凄いです……!絵本が、こんなに沢山…!」パァァ…

輝子「……今までにない輝きを放ってるな……」

あまりに楽しくて、どんどんテンションが上がっていきます……

乃々「ど、どっちから回りましょう!?はしから順に……?
……あ、この本読んだことありますよ
……これ、新作出てたんですか…!買いましょう……!
……わぁ、かわいい動物特集なんですけど…!」

輝子「お、おう……テンション上がってるな…」

乃々「雑貨も売ってるんですね……。あ、このノート可愛い……
……まだあっちにも、良さそうな絵本がたくさん……
……………ここは本当に素晴らしいですね……!」

乃々「こんなに可愛いものに囲まれて……………あぁ、生きてて良かったです………」

輝子「ぼののさん!?そのまま天に登りそうだぞ!?」

乃々「…あ……」

輝子「お、落ち着こう…な…?」



乃々「………………」

乃々「……えっと……思わず、はしゃぎすぎました……」

乃々「その……すいません……」

輝子「いや、気持ちはわかる……」

輝子「それに……はしゃいでるぼののさんも、可愛かったぞ……」ボソッ

乃々「え?」

輝子「あ、いや、何でもない……

ぼののさんは、やっぱり、絵本が大好きなんだな……」

乃々「はい、好きですけど……

……この歳で絵本は、やっぱり子供っぽいでしょうか……」

輝子「いや、そんなことはないと思うぞ……」

乃々「でも、やっぱり中学生にもなって、絵本読んでる人なんて……」

輝子「……メタルも、きっと中学生で好きな人は少ないと思うけど、
誰がなんと言おうと、私がメタルを『好きだ』って気持ちは変わらないから……」

輝子「ぼののさんも、好きなものは好き、でいいと思うぞ……」

乃々「……ありがとうございます……」

輝子「……そういう意味では、私達は似たもの同士…かもな……」

乃々「そうかもしれませんね……」

確かに、もりくぼと輝子さんは似ているのかも知れません……

輝子「そ、そうだ
ぼののさんオススメの絵本を教えてくれないか……」

乃々「オススメの絵本、ですか……?」

輝子「わ、私も、ぼののさんの事もっと知りたいからな……
どんな絵本が好きか、少し気になったんだ……」

乃々「……もりくぼが好きな絵本は、森の動物達が仲良くしているお話ですけど………
……あ、この本にはたくさんのキノコが出てきます……」

輝子「キノコだって……!?」

乃々「リスとキノコが、月の下で踊るお話です……」

輝子「私たちみたいだな……
買ってみようかな……」

乃々「読んでみれば……どうでしょうか……」

輝子「そうだな……」






乃々「……いつの間にか、お昼になっていましたね……」

輝子「本当だな……」

乃々「ご飯、食べに行きますか……?」

輝子「そうだな……
……どこで食べよう……?」

乃々「……あ、あそこにファミレスがありますよ」

輝子「あそこにしよう……」

ファミレス

乃々「何頼みますか……?」

輝子「うーん……
ぼののさんは何頼むんだ……?」

乃々「そうですね………
『ハンバーグランチ』にしようかと思います……」

輝子「じゃあ私は………『キノコの和風スパゲティ』にしよう」

乃々「………………」

輝子「………………」

乃々「あ……呼ばないといけないんでしたね」

輝子「そうだな……ボタンを押さないと……」

乃々「………………」

輝子「………………」

乃々「……こ、ここはもりくぼが、押しますね……」

輝子「だ、大丈夫か……?」

乃々「だだ大丈夫です…………
…………では、押します」

ピンポーン

店員「ご注文はお決まりでしょうか?」

乃々「『ハンバーグ』と」

輝子「『キノコの和風スパゲティ』で」

店員「かしこまりました」




輝子「や、やったぞ、ぼののさん…」

乃々「初めて、自分達だけで注文しきりましたね……」

輝子「やったな……!」

乃々「はい……!」

輝子「………」

乃々「………」

乃々「……もっと凄いことで喜びたいですね……」

輝子「……そうだな……」




'



輝子「…………よく考えたら、2人だけで出かけるのは初めて、なんだな」

乃々「……そう言えばそうですね…」

輝子「なんだか新鮮な気分だな……」



店員「お待たせいたしました。
『ハンバーグランチ』と『キノコの和風スパゲティ』です」

輝子「じゃあ、食べようか……」

乃々「はい、頂きます…」

輝子「頂きます」


'

乃々「美味しい……!」
輝子「美味しいな…!」

ハンバーグランチなんて何度も食べたことがあるのに、なんだかすごく美味しく感じます……
輝子さんと一緒だからでしょうか……?
輝子さんはというと一心にスパゲティを食べています……
乃々「……美味しそうですね…………」

輝子「……一口いる?」

乃々「あ……声に出てましたか……?
輝子さんがあまりにも美味しそうに食べるので、つい……」

輝子「そ、そうか……
……じゃあ、はい」

乃々「えっと……?」

輝子さんは自分のフォークでスパゲティをとり、もりくぼの前に差し出します……
食べろってことでしょうか……?
か、間接キス……?
ど、どうしましょうか……

輝子「……い、いらないのか…?」

…………いえ、こういうことは今までにもありました
もりくぼが自分の気持ちに気づいて、意識しすぎているだけです…
………ですからこれはスパゲティを一口もらうだけで他意はありません
他意は無いですから……

乃々「えいっ」パクッ


乃々「………すごく美味しいです……!」

輝子「そうか……なら良かった……」

乃々「ありがとうございます…」

輝子「おう、
……そ、それで……」

乃々「?」

輝子「出来れば私も、ハンバーグ一口食べたいなー、なんて……」

乃々「あ、も、もちろんですけど……」

輝子「じゃあ……」

そう言うと輝子さんは、こちらを向いて待っています……

…………先ほどの流れからすると、もりくぼがあーんする訳ですね……
……まあ、あくまでハンバーグを一口あげるだけで、他の意味は一切無いですから……

乃々「……どうぞ」

輝子「んっ」パクッ

輝子「美味しいな……」

乃々「良かったです……」

輝子「ありがとう……」

乃々「いえいえ……

…………フォークとスプーン、記念にもらって帰れませんかね……

以上です

生存だけ報告
完結はさせるけど今回のイベントでむしろ走らざるをえなくなったので投下は先になりそうです

投下します

輝子「…次は、CDショップだな……」

乃々「楽しみですね……」

輝子「ぼののさんは普段音楽とか聴くのか……?」

乃々「今までは、あんまり聴いてなかったんですけど、
アイドルになってからは、事務所の皆の曲とか聴くようになりました……」

乃々「も、もちろん、輝子さんの曲も聴いてますよ……」

輝子「そ、そうなのか……」

乃々「……メタルモードの輝子さんは、普段とはまた違って…かっこいいと思います」

輝子「……な、なんか照れるな…フヒ///」

照れてる輝子さんもかわいいですね……





輝子「……つ、着いたぞ…
ここが普段私が来てるお店だ……」

乃々「……なんだか、見たことないCDがたくさん……」

輝子「こ、ここは、ただのCDショップじゃなくて、メタルとか、ロック専門だからな……。私にとっては、宝の山だ……」

乃々「そうなんですか…。確かに、BGMも激しい曲が流れてますね」

輝子「……う、うるさくて、嫌だったりしないか……?」

乃々「そんなことないです……。かっこいいと思いますし…、輝子さんのことを知りたいと言ったのはもりくぼなので……。……そういえば、輝子さんはなんだか大人しいですね……。もっとテンションが上がるんじゃないかと思ってたんですけど……。」

輝子「…………あんまり騒ぐとぼののさんに引かれるんじゃないかと思って……」

乃々「その、普段から見てるのに、今さら引いたりしないですし……。いえ、ヒャッハーされるとビクッてなりますけど、そんなに気を使わなくても、いいと思います……」

輝子「そ、そうか……?」

乃々「はい…。………だいたい、もりくぼも、さっきの絵本屋さんでは、人のこと言えない状態でしたし……。
……あうぅ、思い出すと、恥ずかしくなってきました……//」

輝子「確かに、今日のぼののさんは、テンションが高いな……」

乃々「あううぅ………///」

輝子(かわいい)

乃々「と、とにかく、輝子さんも、もっとはしゃいでも大丈夫、だと思います…」

輝子「そうだな……フフ」

乃々「ところで、輝子さんオススメのCDのレッスンはとかありますか……」

輝子「そうだな…………
このバンドなんかは、メタル初心者でも聞きやすいと思う……。
あとはこっちのバンドとか……。……この人達は、すごく好きだけど、オススメは出来ないかな……。あと……」

____________

_______

輝子「結局、色々買いこんでしまった……」

乃々「もりくぼも輝子さんのオススメを一枚買いました…」

輝子「今度、私が持ってるCDも貸してあげようか……?」

乃々「いいんですか……?じぁあ、ぜひ……」

輝子「また、事務所に持って行くな…
次は、カフェだな……どこに行くんだ……?」

乃々「この先を曲がったところに…………あれ?」

輝子「どうした……?」

乃々「…………『CLOSED』?」

輝子「……ホントだな、今日は休みにするって貼り紙があるぞ…」

乃々「す、すみません……もりくぼがきちんと調べていれば……」

輝子「いや、今日行くことにしたんだから、これは仕方ない……」

乃々「で、でも……」

……せっかくの二人だけのお出かけだったのに
もりくぼは、こんなところでも失敗する、だめくぼ……

輝子「えっと……

……………そ、そうだ、また次のときに来よう……」

乃々「次…?」

輝子「また今度、こうやって二人で出かけよう……
その時は、開いてるかも調べて、このカフェに行かないか……?」

…………それは、つまり、また後日、二人でデートということですか……?
いえ、デートとは違いますが、二人でまたお出かけ……。怪我の功名、でしょうか……

乃々「そうですね…そうしましょう。今度はもっと別の店にも行ってみませんか……?」

輝子「そうだな、……今から楽しみになってきたぞ……」

乃々「もりくぼも……、楽しみですけど……」

輝子「じゃ、じゃあ、とりあえず、今日は帰ろうか…」

乃々「あ……

……………えっと、せめてそこのクレープ屋台に行きませんか……?」

輝子「い、行こう……。やっぱりちょっとお腹が空いてたんだ……」

乃々「向かいの公園で食べましょうか」

輝子「そうだな……」

公園


公園のベンチに並んで、クレープを食べました……
特に会話をないけれど、不思議と気まずさもなくて。
なんだか心地良い時間が流れていました……

輝子「あ……」

乃々「どうしたんですか……?」

輝子「いや、その……」

乃々「?」

輝子「…………えっとな」

輝子「……私は、ぼののさんともっと仲良くなりたいと思ってて」

乃々「……それは、もりくぼも同じですけど」

輝子「それは嬉しいな……
そ、そこでだ…………呼び方を変えないか?」

乃々「呼び方ですか……?」

輝子「ほら、二人とも、『さん』づけだから……」

乃々「確かに、他人行儀な感じもしますね……」

輝子「ああ…。だけど、呼び捨ては、私にはハードすぎるから、ぼののちゃん。
……か、かまわないか?」

乃々「も、もちろんですけど……、じゃあ、輝子ちゃん。で、いいですか?」

輝子「い、いいぞ……。ぼののちゃん」

乃々「じゃあ、今日から、輝子ちゃん」

輝子「フフフフ…」

乃々「えへへへ…」

輝子「なんだか、今日一日で、一気に仲良くなった気がするな、ぼののちゃん。」

乃々「そうですね、輝子ちゃん。」

輝子「じゃあ、帰ろうか、ぼののちゃん」

乃々「寒くなってきましたしね……、輝子ちゃん」

輝子「……なんだか文脈がおかしくないか、ぼののちゃん」

乃々「そうですね、輝子ちゃん」

輝子「フヒヒヒ…」

乃々「ふふふふ…」

________

_____

輝子「じゃあ、また事務所でな、ぼののちゃん」

乃々「はい、また今度………
……えっと、輝子ちゃん」

輝子「おう…?」

乃々「……また、二人で遊びましょうね」

輝子「……も、もちろんだ……」

乃々「今の、すごく仲良しみたいでしたね……//」

輝子「リア充っぽかったな……//」

乃々「じゃ、じゃあ、またね、輝子ちゃん」

輝子「お、おう、またな……ぼののちゃん」




自宅

家に帰ってからも、もりくぼは浮かれたままでした……
両親にさえ逆に心配されるほどでしたが、それさえ気にならないほど幸福な気持ちだったのです……
お互いのことを知って、似た者同士だなんてことも知れました
ちょっと失敗もありましたが、結果的には次の予定まで立ったので収支は明らかにプラスでしょう……
そして何と言ってもおたがいにちゃん付けになりましたし……
とにかく今日は素晴らしい一日でした……

輝子ちゃんとの距離も一気に縮まった気がします……。
この調子でもっともっと仲良くなって……

…………仲良くなって、それから?

……気持ちは、気付いたあの日から、加速度的に募っていました………。
もりくぼの『好き』は友達としてじゃなくて。
だから、もりくぼは輝子ちゃんと…… 『友達以上』 に、なりたい
そのためには……


乃々「……やっぱり、告白、しましょうか」



……………でも、断られてしまったら?


輝子ちゃんはきっと、もりくぼのことをただの友達だと思っているはずです……
伝えてしまったら、戻れなくなるのは、少女漫画の常ですし……
何より、もりくぼなんかが告白して、上手くいくとは思えません……
輝子ちゃんは優しいので、直接的には言われないかもしれませんが、やんわりと断られる様子がありありと浮かびます……

もりくぼの告白で輝子ちゃんとの関係が崩れてしまうなら、伝えないほうが……今のままの関係でも、それはそれで……
けれど、それでいいんでしょうか……?

_____________

布団に入る頃には、さきほどの幸せな気持ちはどこへやら、新たな悩みがもりくぼを悩ませていました……。

二話終わりで今日は終わります
めっちゃ遅筆で申し訳ない

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