男「絶対に逃げ切ってやる」 (9)

男(僕の名前は男という)

男(この何の変哲もない名前の通り、取り立てて何か特徴があるわけでもない至って普通の男子高校生だ)

男(強いて一つ挙げるとするならば)

男(可愛い幼馴染がいるということくらいだ)

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ピンポーン ピンポーン

男(おっと、噂をすればお出ましだ)

男(気怠い月曜の朝。眠い目を擦りながら僕は自分の部屋を出、階段を降り玄関へと向かう)

ピンポーン ピンポーン

男(チャイムは依然鳴り止まない)

男(ドアを開けると、そこにはいつものように、気怠い顔をした一人の女の子が立っている)

男(この月曜の朝4時から僕の家のチャイムを一心不乱に鳴らし続けるこの女こそ)

男(僕の幼馴染である)

男「…やぁ、おはよう。幼馴染。どうしたの?こんな朝早くから」

幼馴染「どうしたもこうしたもないわよ」

幼馴染「LINE。ずっとメッセ送ってるのにいっこうに返事来ないんだもの」

幼馴染「…心配になるじゃない」

男「寝てただけって判断は下せないの?」

男「…ていうかさ、このやり取り毎朝やってるじゃん」

男「ここ一年くらいずっとじゃん」

男「そろそろ飽きてはくれないの?」

幼馴染「で、でも!もしかしたら今日こそアンタの身に何かあったんじゃないかって思ったら!」

男「お前は僕をどうしても危険な目にあわせたいのか」

幼馴染「…本当に、私、心配で…」

男「……」

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