フレデリカ「c91ごっこ」 (22)

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フレデリカ「ふんふんふふーん、フェス」


杏「やめろ」


フレデリカ「フェスティバルだよフェスティバルー」


文香「そう言えば…明日からは、年に2度のお祭りですからね…」


肇「何のお祭りなんですか?」


杏「肇ちゃんはきっと縁のないお祭りだよ」


フレデリカ「毎年沢山の人が倒れるらしーねー」


肇「年二回開催してる分、御柱際より危険じゃないですか…」


杏「まぁあれは戦争だからね…文香ちゃんはお目当あるの?」


文香「前回、美味しい麻婆豆腐本や全国の味噌本があったらしいので…今回も、そのような物を探しに…」


肇「不思議なものも売っているんですね」




杏「よし、しょうがない。大雑把な概要を肇ちゃんに教えてあげよう」


フレデリカ「おっ、杏ちゃんのレクチャーだ」


文香「私はそのあいだ、地図にマークを付けて待っております…」


杏「じゃあまず、正式名称は出すと危ない気がするからこのイベントをc91としよっか」


肇「それはつまり、既に90回も開催されているという事ですか?」


杏「そうなるね、まぁ年二回だから単純に45年は続いてるイベントだよ」


フレデリカ「歴史ある由緒ただしいお祭りなんだねー」


肇「先程、戦争と聞きましたが…」


杏「それはまぁ後々」


杏「言っちゃえば文化祭みたいなものだよ。んでクラスの代わりにサークルって言って、その数の規模がとんでもなく大きいんだけどね」


フレデリカ「3日にわたって行われるんだよねー?」


肇「3日間も…サークルの在庫は保つんですか?」


杏「いや、むしろ余る事の方が多いよ。それに3日間とは言っても基本的に同じサークルは一日しか出店出来ないから」


フレデリカ「一日に何万何千何百ものサークルが一気に出すからねー」


杏「大手って言って毎回参加してるサークルは直ぐに売り切れたりするけど、設立されたてのサークルはまず知名度が低いからね」


肇「なるほど…だから、目当の物を手に入れる為にみな急ぐから危ないんですね」


杏「何と言っても年に二回だからね。全国各地の人が集まれば、それだけで事件や事故は起きるし」


肇「ところで、サークルは何を出品するんですか?」


杏「そこからがこのc91の本題になってくるんだけど、まぁ簡単に言っちゃえば自分で作った本や漫画やアニメのグッズだよ」


肇「アニメのグッズ…?」


杏「イラストやストラップとかクリアファイルとか、もっと凄いところだと抱き枕カバーとかね」


肇「…売れるんですか?」


杏「そこなんだけど、c91は文化祭って言った様に利益を求めて出品してるってだけじゃないんだよ」


杏「例えば杏は飴が好きだし肇ちゃんは陶芸が好きでしょ?そんな時写真集や解説本を作って呼んで貰えば手っ取り早く布教が出来るよね?」


肇「なるほど…自分の好きな物を広める機会になるんですね」


杏「あとは例えば、事務所にも居るけど趣味で漫画を描いてる人もいるよね?で、折角描いたなら誰かに呼んで貰いたいじゃん?」


文香「もちろん、小説だって同じです。それに、レビューや解説本等…様々なジャンルがあります」



肇「成る程…確かに私は陶芸が好きですが、万人がその本を買って行って下さるとは思えませんね…」


杏「そこで次は売り子って言って、行き交う人達の目を引く要素もあったりするんだけど」


フレデリカ「例えばだけどさー、フレちゃんがコンビニの前でお菓子売ってたら皆んな一瞬立ち止まって見直すよね?」


杏「そんな感じで、アニメのキャラクターにコスプレしたり描いたイラストをポスターにして貼っておいたり」


文香「そして、少しでも気になって下さればあとは流れです…立ち止まり、出品された作品を見て頂き…そのまま購入といった風に」


杏「もちろん全員が全員そうなる訳じゃないけど、買って行ってくれる人を増やす一因にはなるからね」


肇「話を聞いている限りは本当に大規模な文化祭なんですね。少し気になってきました」


杏「まぁここだけならね。問題は並ぶ時間とかになってくるんだけど」




杏「さて肇ちゃん。もし自分がすごく欲しい商品があって、それが当日以前から人気って分かってて売り切れる可能性があったらどうする?」


肇「もちろん、できる限り早くいって並びます」


フレデリカ「ちなみにそのお祭りの開場は朝10時なんだけど、だったらどのくらい前にいく?」


肇「そうですね…9時には着いて起きたいです」


文香「…甘い…甘過ぎます。それではもう、決着がついています」


杏「全国各地の人が集まるから、何万人といるんだよ?」


肇「で、では始発で…」


フレデリカ「それが一番なんだけどねー」


肇「え、不正解なんですか?」


杏「いんや、合ってるよ。と言うかまぁ大正解なんだけど」


文香「肇さん、これは戦です…皆それぞれ、手にするべき宝があるのです」


フレデリカ「まーつまりみんな始発で参加するって事だねー」


杏「で、皆んな始発でくるから結局長時間並ぶ羽目になる。6時に会場に着いてから開場まで4時間、そこから入るまでに1時間弱。それだけで大変なんだけどね」


フレデリカ「夏は熱中症とか脱水症状になっちゃうし、冬は寒くて急に動くと倒れちゃうもんねー」


肇「確かに、それは危険ですね…」


杏「500mlのペットボトルがヤク◯トみたいに一瞬で溶けてくよ」


肇「…あれ?始発に乗ったのに入るまで時間が掛かるんですか?」


文香「良い所に目を付けましたね…Fポイントを3つさしあげましょう」


肇「結構です」


杏「始発に乗ってれば、在庫が少な過ぎない限りは当然目当はてにはいるよ…本来ならね」


フレデリカ「でもねー、世の中にはズルいひとがいるんだよ」


フレデリカ「始発に乗っても手に入らない可能性があったとして、じゃあ確実に手に入れるにはどーしたらいいと思う?」


肇「ええと…取り置きしてもらう、でしょうか?」


文香「仲の良い知り合いが出品しているのならまだしも、その様な事を一人許すともう大変な事になりますね…」


杏「じゃー肇ちゃん、始発よりも早くに並ぶにはどうしたらいい?」


肇「…あ、それよりも前から徹夜して並んでいればいいんですね!」


フレデリカ「そのとーり!いわゆる徹夜組ってやつだねー」


杏「一応徹夜は禁止されてるんだけど、まぁやる人はいるんだよね」


文香「気持ちは分からなくありませんが…そのせいで、始発に乗って並んだ方々が目当ての物を買えなんて事態にもなりますから」


杏「始発で行ったのに買えなかった時は、次は自分も徹夜でやってやろう、ってなっちゃう人もいるしね」




杏「まーネガティブな話はおいといて、っと。c91で大事なのは体調に気をつける事と楽しむ事だよ」


フレデリカ「夏なら冷えピタやウィダー、冬ならカイロがあると良いよ」


文香「大崎や新木場付近のファミレスで時間を潰すのも、また一つの楽しみ方ですから…」


杏「目当てのサークルに丸つけて順番決めたり役割分担するのも楽しいよね」


フレデリカ「徹カラするとテンション上がるよー体力しんどいけど」


肇「なるほど…遠足ではないですけれど、会場に着くまでも楽しめるんですね」


杏「もちろん会場はランナーズハイで乗り切れるけど、お手洗いだけは気を付けてね。あそこは壁サーより並ぶ事もあるから」


肇「壁サー?」


杏「あ、そうだったね。例えばだけど、道のど真ん中に大人気のサークル配置すると行列が出来て他の人の邪魔になっちゃうでしょ?」


フレデリカ「だから壁際に配置して、建物の外に並んでもらったり壁に沿って並んで通行を妨害しないようにするんだよー」


文香「人気のサークルは、壁際に配置される…つまり、壁際に配置されたサークルは人気という事です」



杏「だからオールでファミレスでドリンクバー飲んでると後々痛い目をみるよって事」


フレデリカ「始発が出る1時間以上前には控えておきたいねー」


文香「それと、ですが…冬ではありますが、会場内はすごい熱気で汗をかく事もあります…」


杏「下手にヒートテック着込むより、貼らないカイロにしておくと便利だよ」


フレデリカ「それと手に入れた戦利品を直ぐにしまえるトートバッグがあるといいねー」


肇「なるほど…ちなみに、お金はどのくらい用意しておけばいいんですか?」



杏「欲しいものにもよるけど、なんやかんや会場のテンションで色々欲しくなるから電車賃含めて2万くらいかな」


フレデリカ「お釣りが出ないよーに、100円玉と500円玉を多めに用意しておくといいよ?」


文香「おっと、もうこんな時間…私は出発しますね」


杏「文香ちゃん体力保つの?」


文香「…私は、ダンスをやっていますので」


フレデリカ「じゃーフレちゃんもいこっかなー」


杏「杏も久し振りに自分で参加しよっかな」


肇「な、なら私もせっかくですし」


杏「半端な気持ちで入ってくるなよ!」


フレデリカ・文香「c91の世界によぉ!」


肇「どっちなんですか!」


始発で行ったのに目の前で蘭子のプレマ売り切れた時はシベリア送りにしたくなりました
今始発を待ってカラオケやファミレスで時間を潰している初参加勢の皆様を応援しております
歴戦の勇者達はきっと僕以上に詳しいでしょうし、その方々からアドバイスを頂くのが一番でしょうが
お付き合い、ありがとうございました

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