悠貴「岡山のいいところ、ですか?」 (40)


岡山親善大使が岡山を紹介するSSです


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唯「あ、いたいた。ヤッホー☆」

肇「唯さん、お疲れさまです」

悠貴「お疲れさまですっ」

唯「お疲れちゃーん! ね、ね、ちょっとふたりに聞きたいんだけどさ」

肇「はい、なんでしょう?」

唯「岡山のいいとこ、教えてくれない?」

悠貴「岡山のいいところ、ですか?」


唯「そーそー。こんどお仕事で岡山に行くことになってさー。ゆい、ぜんっぜん知らないから誰かに聞いちゃおって」

肇「それで私たちに」

唯「ふたりとも岡山出身じゃん? 岡山親善大使じゃん? もー聞くしかないじゃん!」

悠貴「いいところいいところ……」

唯「どんなことだっていいから、ばーんってゆいに教えちゃってー!」


肇「ちなみにどこへ行かれるんですか?」

唯「んー、あんま覚えてないんだけど、海の方? とか言ってたよー」

肇「県南ですね。よかった、北はあまり行ったことがなかったので」

唯「ふたりともそっちの方なの?」

肇「私は備前市というところですね。多分、今回唯さんが行くところじゃないですよ」

唯「そうなの? ざーんねん」

肇「海に面してるところなんですけど、なにかあるところかと言われたら……といった感じです」

唯「ふーん。でも肇ちゃんのお家には行ってみたいかも!」

肇「実家は山の中なので、そのときは案内しますね」

唯「やったー! 楽しみー☆」


唯「悠貴ちゃんは?」

悠貴「……」

肇「悠貴さん?」

悠貴「……」

唯「ゆーき、ちゃんっ!」ガバッ

悠貴「わひゃあ!」

唯「ムシはさすがのゆいも傷ついちゃうなー」

悠貴「ごっ、ごめんなさいっ。考え込んじゃって」


肇「悠貴さんは確か、倉敷?」

悠貴「ですねっ。白壁の町ですっ!」

唯「シロカバ? 白いカバがいるの?」

肇「美観地区と呼ばれる昔の町並みが保存されている場所があるんです。そこの建物の壁が真っ白で『白壁の町』って言われているんですよ」

唯「へぇー、ビカン地区かー」

悠貴「いろんなお店があって、歩くだけでも楽しいですよっ」

肇「倉敷駅は通るとおもうので、時間があったら行ってもいいんじゃないかと」

悠貴「駅からえびす通り商店街を抜けてすぐですから」

唯「プロデューサーちゃんに言っとくね! ビカン地区のオススメ、もーっとちょうだい!」


悠貴「商店街から美観地区まで行く途中にお肉屋さんがあるんですっ」

唯「お肉屋さん?」

肇「あ、もしかしてコロッケ?」

悠貴「そうですっ。『肉のいろは』さんでひとつ35円のコロッケが食べれるんですよっ!」

唯「35円ってハンバーガーより安いじゃーん!」

肇「アツアツのコロッケを結構みんなその場でいただいていたり」

悠貴「行儀はよくないかもですけど、美観地区を歩きながら食べるのもいいですよ!」

唯「ふたつ買っても100円玉でお釣りがきちゃうんだよねー! たまにはプロデューサーちゃんにおごってあげよーっと」


悠貴「あとコロッケでもうひとつオススメがあるんですっ」

唯「なになにー?」

悠貴「ももクリームコロッケですっ!」

唯「コロッケにモモ!? モモってくだものの!?」

肇「確かに岡山は桃やぶどう、マスカットが有名だけど……」

悠貴「すっごくおいしいんですよっ」

唯「ちょーっと想像できないなー……」

肇「揚げ物に桃……でもクリームコロッケだからいけるのかなぁ……」


悠貴「クリームの中に小さい桃が入ってて、ちょっぴり桃の風味がして……」

唯「それおいしいの?」

悠貴「はいっ。普通のコロッケがおかずだったら、もっコロはおやつですねっ」

唯「もっコロ?」

肇「ももクリームコロッケでもっコロ……なるほど」

悠貴「地元の清水白桃を使ったB級グルメなのでぜひっ!」


肇「あっ、あと岡山といえば」

唯「あっ、もしかしてもしかして!」

悠貴「むらすずめですね?」

唯「むらすずめ? きびだんごじゃないの?」

肇「きびだんごは他県の方に贈ると確かに喜ばれますけど……」

悠貴「地元の人は食べませんからね。すごいおいしいってものじゃないですし、きびだんご」

唯「あー、埼玉でゆー草加せんべいみたいなカンジかー」

肇「マスカットきびだんごとかあるんですけど、味が濃いので食べている途中で飽きてしまうんです」

悠貴「マスカットときびだんごって岡山の名物足したものなんですけど」


肇「むらすずめは運がよければ橘香堂で手焼き体験して出来たてを食べられますよ」

悠貴「すっごい大きなむらすずめもありましたよねっ。白玉団子入りのっ」

唯「焼く? 白玉? お菓子なの、それ?」

肇「簡単に言うと……和風クレープです」

唯「なにそれー! スッゴイオシャレじゃん!」

肇「お、おしゃれ、ですか」

悠貴「お茶と一緒に食べたくなるものですよねっ。つぶあん好きですっ」

肇「むらすずめに合う備前焼の皿があるんですよ。今度持ってきますね」

悠貴(むらすずめに合うお皿ってなんだろう……?)


肇「ずっと食べもののことしか言ってませんね」

悠貴「言われてみれば……」

唯「ゆい、食べるの好きだしいいよー。ちなみに食べもの以外だとなにがあるの?」

肇「えっと、美術館がありますね」

悠貴「大原美術館ですねっ。小学生のときに行きましたよっ」

唯「美術館かー……むずかしいなー」

悠貴「私も、すごかったなーって感想しか……」

肇「モネの『睡蓮』とか、あとは『受胎告知』が有名かな?」

悠貴「あっ、そういえば建物はなんというか、かっこよかったですっ!」


肇「あとは倉敷民芸館とか阿智神社ですかね……?」

唯「うーん、行ってみたら楽しーんだろうけど、どうなんだろ?」

肇「春なら阿智の藤が見られるんですけど……」

悠貴「美観地区の奥の方に行くと平翠軒っていう全国の食べものを売ってるお店がありますよっ」

唯「これもお菓子?」

悠貴「2回くらいしか行ったことないんですけど、確かおつまみみたいなのとかお酒を売ってたような……」

唯「ちなったんのお土産そこで買おっかなー」

悠貴「ちょっとお値段はお高かったですけど、店長さんがおいしいっておもったものを置いてるって聞きました」

肇「そういうところがあるんですね。知らなかったなぁ」

悠貴「家族と一緒じゃないと行かないですねっ」


肇「美観地区はとりあえず見て回るだけでも十分楽しめますから、カメラなんか持っているといいかもしれませんね」

唯「うんっ、撮るよ撮るよ~!」

悠貴「あとで見せてくださいねっ。私も久しぶりに行きたいなぁ」


唯「お菓子とかばっかだけど、ご飯はなにかないの?」

肇「そうですね……瀬戸内海に面しているのもあって、海の幸が豊富ですよ」

悠貴「サワラってこっちじゃ見ないですよね?」

肇「ですね。季節は過ぎましたけど、岡山じゃよく食べられてるんですよ」

唯「やっぱそーゆーのあるんだねー」


悠貴「ばら寿司の具もこっちとは違うんですよっ」

唯「ばら寿司?」

肇「こっちではちらし寿司って言えば伝わるでしょうか? ただちらし寿司は上に具が乗せられていて、ばら寿司は酢飯にいろんなものが混ぜられているんです」

悠貴「レンコンとか穴子とか入ってないんだってビックリしましたからっ」

肇「高野豆腐、干し椎茸、茹で蛸、錦糸卵……酢でしめた鰆やままかりが入っていることもありますね」

唯「いいないいなー。海が近いからってことかな? 埼玉って海ないからなー」

肇「スーパーで売ってますから高級なものって感じはないです。もちろん高いものもありますけど」


悠貴「あとえびめしもおいしいですよっ」

唯「エビって、あのエビ?」

悠貴「入ってますよっ。茶色いピラフって言ったらわかるかな?」

肇「ソースで炒めているんですよね、確か。実は私もあまり食べたことがないんです」

悠貴「見た目よりあっさりしてて、ハンバーグとかエビフライ、オムライスにしたりホワイトカレーがかかってたり! いろんな種類があるんですよっ」

唯「それって岡山ならどこででも食べれるのー?」

悠貴「岡山市とか倉敷市に『えびめしや』ってお店がありますから、そこでどうぞっ」

肇「すごい宣伝っぽい」

悠貴「岡山に来たならぜひ食べてみてくださいっ」


唯「ご当地丼とかあるんだよねー」

肇「ご当地丼?」

唯「あれ? この前テレビで見たんだけど知らない?」

悠貴「もしかしてデミカツ丼のことですか?」

唯「それそれ! カツにデミグラス?ソースがかかってるんだってね!」

肇「そんなものがあるんですね」

悠貴「名前は知ってるんですけど食べたことないなぁ……」

唯「あれー?」

肇「B級グルメって県民の人はあんまり食べなかったりしますからね」

悠貴「ホルモンうどんとか、ひるぜん焼きそばとか……」

唯「まーそんなもんだよねー。ゆいもトマトカレー食べたことないもん」


唯「あっ!」

悠貴「どうしたんですか?」

唯「思い出した! 児島ってとこ! ジーンズの!」

肇「お仕事で行くところです?」

唯「そーそー! ジーンズストリートってとこがあるんだよね?」

悠貴「ですですっ。ストリート内にジーンズが吊るしてあるんですよっ」

肇「……ちょっと怖いかな、それ」

唯「海賊みたいだよねー☆ あっちは人だけど!」


悠貴「ジーンズのショップがいっぱいあるところで、まさにジーンズの商店街ですっ!」

唯「るーみんと一緒にオーダーとか藍染め?体験とかするらしいんだ~」

肇「留美さんと唯さん……」

悠貴「おふたりともジーンズが似合いますからねっ」

唯「うひひ、ありがと☆」

肇「確かに唯さんはネコっぽいところがありますね……」

唯「んー、肇ちゃんが言ってることはわかるよーなわかんないよーな」


悠貴「児島には『塩羊羹』とか『塩まんじゅう』ってお菓子がありますよっ」

唯「悠貴ちゃん食べものばっかだね~」

悠貴「だ、だめですか?」

唯「ううん、ぜーんぜんいーよ☆ やっぱ旅って言ったらおいしいものってちなったんも言ってたし♪」

肇「児島は港町で昔から製塩業が盛んだったんですよ」

唯「せいえんぎょー?」

肇「塩作りですね。だから塩を作ったお菓子が多いんです」


肇「普通、甘味に入れられる塩は甘さを引き立てるくらいなんですけど、この塩羊羹はすごい塩味があるんです。おと……父がお酒と一緒によく食べていました。ワインともよく合うらしいですよ?」

悠貴「入れものがデニムなんですよっ」

唯「またちなったんのお土産が増えちゃったなー」

悠貴「ふふっ、唯さん楽しそうっ」

唯「もちろんみんなにも買ってくるね! なに買ってくるかはおたのしみ~☆」

肇「お土産探しも旅の楽しみのひとつですからね」

唯「旅ってゆーかお仕事だけどね~」


悠貴「もう1個、オススメというか、試して欲しいものがありましたっ」

唯「お? なになに~?」

悠貴「その名も……」

唯「ごくり……」


悠貴「デニムまんですっ!」

肇「デ、デニムまん……?」

唯「デニムって、あのデニムだよね? ジーンズのさぁ」

肇「デニムで……肉まん……? えぇ、どういうこと……?」


悠貴「美観地区にデニムストリートってお店ができたんですけど、そこで売ってる肉まんですっ」

唯「ふつうの肉まんとどう違うの?」

悠貴「まず色が青いですっ!」

肇「肉まんが……青……?」

唯「スライム肉まんみたいな?」

悠貴「あれよりずっと濃くて暗めの青ですっ。えっと、写真が……これですっ」

肇「……わからない」

唯「うわぁ、これ食べていい色じゃないよー……」


悠貴「他にもデニムソフトクリーム、デニムバーガー……」

肇「えぇ……」

唯「それ本当に大丈夫なの?」

悠貴「中身はすごいおいしいですよっ! 肉まんは普通に肉まんですから。観光地にあるからちょっと高いですけど……」

唯「それ以前の問題だとおもうなー」

肇「さ、さすがに食べものが青いのは……」

悠貴「そういえば、お店のポップにも『食欲をなくす色は青』ってありました……」


唯「おなか痛くなんなかった? なんで食べたの?」

悠貴「えっと、好奇心に負けて……」

肇「真っ青なものを口にしようとすることがすごい……」

悠貴「でもでも、ホントにおいしかったんですよっ! ウソついてませんっ! オススメなんですっ!」

唯「うん……覚えてたら、ね?」

悠貴「ホントにホントにおいしいんですから~!」


瑛梨華「はいはいはいどうもーっ! ここで真打、みんなのアイドル瑛梨華ちん登場!」

瑛梨華「……えっ? もう終わり? 出番これだけ?」

瑛梨華「岡山のことならO・MA・KA・SE☆ ってキメるんじゃなかったの? え?」

瑛梨華「出オチ? 出オチなの? なーんにもしてないよ? マジ?」

瑛梨華「最後にひと言? え、いきなり言われても、えー、えーっと! みんな岡山にKI・TE・NE☆」



おわり

おいでんせえ岡山。
肇ちゃんが備前市で、悠貴が倉敷市、瑛梨華ちんは岡山市。
いつか3人で岡山親善大使として再登場しないかなぁ、と期待しています。

ごめんなさい、トリップ付け忘れてました。

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