小鳥「千早ちゃんがネトゲにハマった?」 (67)


春香「そうなんです……気分転換にでもなればと思って私が紹介したんですけど、ギルドマスターになってからというもの、毎日ほとんど眠らないでやってるみたいで」

小鳥「それはまずいわね……今日、千早ちゃんは?」

春香「それが、来てないんです!携帯にも出なくて」

小鳥「実生活に支障をきたしはじめたら終わりよ。一緒に千早ちゃんのところに行きましょう」

春香「はいっ!」


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ーー如月家


春香「ちーはやちゃん!春香だよ!一緒に事務所いこっ」ピンポーン

………………

小鳥「返事がないわね」

春香「寝てるのかなぁ」

小鳥「いいえ、それはないと思うわ。少し近くで時間を潰してからもう一回来ましょう。私に考えがあるわ」



ーー1時間後


小鳥「如月さーん。宅急便です」ピンポーン

千早「はい……新しいモニターかしら……っ!?」

小鳥「やっと出てきたわね……」ガッ

千早「音無さん……それに春香!」

春香「千早ちゃん!なんでさっきは出てくれなかったの!心配したんだよ!」

千早「その……ちょっと手が離せなくて」

小鳥「それもそうよね。だってレイドイベントの時間だもの」

千早「何故それを!?」

小鳥「〈神速の〉コトリ……聞いたことくらいはあるはずよ」

千早「まさかっ!ソロで『深淵に潜む者 マイ=オーガ』を討伐したというあの!でも彼女は17才の女子高生だったはず!」

小鳥「千早ちゃん。ネトゲの性別、年齢なんて9割が偽装よ」

千早「くっ……、それで、その神速のコトリがなんの用ですか!あなたならわかるはずです!私達の闘いがいかに崇高なものなのかを!」

小鳥「いいえ。私はもう引退したの。千早ちゃん、目を覚ましなさい。あなたは大量の金銭と引き換えにマウスをクリックし、ただのデータを集めたり、壊したりしているだけよ」

千早「違うわ!私のこの肩には全大陸の平和がかかっているの。それに、私についてきてくれている仲間を簡単に見捨てるわけにはいかないわ」

小鳥「仲間……本当にそうかしら?あなたの持つアイテムやゲーム内での権力にすがっているだけのただの赤の他人じゃないの?」

千早「これ以上、私の仲間を愚弄するな!」

小鳥「!?」

千早「いくら神速のコトリといえど……それ以上の無礼を働くようでは覚悟はできているんでしょうね?」

小鳥「どうする気?」

千早「二度と家から出ません!」バタンッ 

春香「えええええ!」

千早「それと春香!あなたにはイベントアイテムの『ヤーネハルトのペンダント』500個の回収を頼んでいたはずよね?何故こんなところで油を売っているの」

春香「学校も仕事もあるのにそんなの無理だよ~」

千早「そう。ならあなたは私のギルドには相応しくないわね。退団措置をしておくわ」

春香「もう勝手にしてよ……」

訂正です

ヤーネハルト→ヤーネフェルト



ーー事務所


P「なるほど。そんなことがあったのか」

小鳥「もう私じゃ手に負えません……プロデューサーさんがどうにか……」


P「わかりました。なんとかしてみましょう」

小鳥「本当ですか!」

P「でも、その為には皆の協力が不可欠です。事務所の皆を集めてください」

小鳥「わかりました」



ーー2時間後


律子「プロデューサー……スケジュールを潰してまで全員集めろなんて、余程大事な用なのでしょうね?」

P「皆には今からネトゲをやってもらう」

全員「……は?」
  
ざわ……ざわ……

律子「ちょっとどういうことですか!そんなくだらないことで仕事を全部キャンセルしたんですか!?」

P「全部じゃない。伊織は海外ロケに行ったままだろ」

律子「そういう問題じゃありません!」

P「千早を助けるためなんだ。頼む」

律子「千早を……?どういうことです?」

P「それはだな……かくかくしかじかうっうーくっくっというわけで……」



律子「なるほど、そういうことなら仕方ないですね。でも、たかがネットゲームをやめさせるのになんでこんなに大人数が必要なんです?」

P「今、千早は幻想の優越感や責任感、連帯感などにギルドリーダーとなることによって浸っています。そこから目を覚まさせるためには……」

小鳥「まさかっ!」

P「そうです。俺達で千早のギルドを崩壊させます」

小鳥「な、なんですって!」

真「あのー、話にまったくついていけないんですけど」

雪歩「私もですぅ……」

響「ふふーん!完璧な自分が解説してあげるさー。ようはゲームの中の千早と千早の仲間を仲間割れされるってことさー!」

やよい「それってひどいですー」

亜美「そーだよひびきん!」

真美「ひびきんさいてー!」

響「な、なんで自分が攻められてるんだー!?」

P「そうだ。響は悪くないぞ。だいたいお前らはいいのか?千早がお前らのことを忘れて、知らないおっさん達との顔の見えない絆を選んだりしても」

亜美「それは……」

真美「嫌に決まってるっしょー」

P「だったら容赦はするな!全力で千早のギルドを叩き潰し、あいつを現実に引き戻すんだ!」

全員「おーっ!」

P「まずは各自、ネトゲで使うキャラクターを作ってくれ。正体がバレるようなのはダメだぞ。30分後にまた様子を見に来るからな」

全員「はーい」


ーー30分後

P「これは……」

【各キャラ名】

春香=Nowano

律子=Pine

やよい=たkうきよよえ

真=??まこりん??

雪歩=†堕天使ユキホエル†

亜美=kirito

真美=Asuna

あずさ=クラウド

響=xxxxxGNHxxxxx

貴音=四条貴音と申します

美希=くぁwせふじこ

P「はい、春香と律子はそのままキャラメイクでいいぞー。他は集合ー」

P「まずはやよい。ローマ字打ちは難しかったか?」

やよい「はい!でも頑張りました!」

P「そうか。やよいは偉いなぁ。でもこれだと名前がそのままだから次は音無さんに打ち直してもらってくれ」

やよい「わかりましたー!」

P「はい、次は真」

真「どうですかっ!可愛いですよね!」

P「まず、この名前のプレイヤーに大抵の奴は近づかん」

真「えー、なんでですか!」

P「名前をハートで囲むなんてネカマだとバレバレだからだ」

真「誰がオカマですか!」ドゴォ!

P「まごりんっ!」ドシャァ!

P「ま……真がプリティな女の子なのはよく知ってるが、それはここでは逆効果なんだ。だからなるべく目立たない名前に変えてきてくれ……」

真「プリティ……///なーんだ、最初からそう説明してくださいよ」

P「説明する前に殴ったろお前」

P「はい、次。雪歩」

雪歩「違います。私は堕天使ユキホエルです……」

P「キャラ付けバッチリじゃねえか」

雪歩「悩める冒険者達を真の理想郷へと導くのが私の役目なのです」

P「あっちゃー、ネトゲやらせちゃダメなタイプだったわこの子。律子ー!キャラメイクついでに目を覚まさせてやってくれ!こいつダメだわ!」

雪歩「大丈夫だ。問題ない」

P「それが問題なんだよ」


P「はーい、亜美真美!」

亜美「やっぱりネトゲと言ったら」

真美「SAOっしょ!」

P「うん。すごく中学生らしいな。だからやめておけ」

亜美「ええっ!?」

真美「別にいいっしょ!カッコイーじゃんか!」

P「あのなぁ……亜美と真美みたいに考えて同じような名前にする子どもはいっぱいいるんだ。そういった子たちは大抵ネトゲのマナーがよくわかっていない。そりゃそうだ。子どもだからな。中には普通の人もいるが、SAOやそういったアニメキャラの名前にはまず、ネトゲのユーザーは近づいてこないと思っていいだろう」

亜美「ちぇーキリトカッコイイのにー」

真美「アスナもちょーカッコ可愛いっしょー」

P「SAOはゲーム内の容姿は現実世界とリンクしているからそうだが、実際のネトゲは9割おっさんだからな。そんな夢を抱くなよ」




P「あずささんは……その……亜美や真美と同じ理由なのですが……」

あずさ「あらあら~」

P「正直言って迷いました。今その名前を使う人はだいたい、いいとs……ヒィッ!」
 
あずさ「あらあら~、なにか言いましたかプロデューサーさん?」

P「な、なんでもないです。なんでもないですからその目をやめてください」

P「はい、次。響ー」

響「はーい!どうだプロデューサー!自分の名前かっこいいだろ!」

P「うん。もう典型的な地雷!」

響「うぎゃーなんでだー!」

P「名前をxxxなどで囲むのは、アニメキャラや記号入りの名前と同じくらい敬遠されるんだ」
 
響「でも!自分がやってるオンラインゲームにもよくいたさー!」

P「その人達、いい人だったか?」

響「うっ……」

P「わかったなら変えてきなさい」



P「はい、次。貴音ー」
 
貴音「お呼びですかあなた様」

P「うん、貴音は名前というより名乗ってるからな」

貴音「武人たるもの正々堂々、名乗りを上げてから戦うものかと……」

P「ネトゲは不特定多数の人がプレイしているんだ。そんな中で本名を晒すなんて危ないぞ。まぁ、貴音の場合は成りすましどころかファン程度にしか思われないだろうが」

貴音「肝に銘じておきます」



P「美希ー」

P「おーい、美希ー!」

美希「zzz」

P「やっぱり寝てやがる……キャラ名決めるときにキーボードに崩れおちやがったなこいつ」



【訂正後のキャラ名】

春香=Nowano

律子=Pine

やよい=もやし炒め

真=トゥルース

雪歩=スノーホワイト

亜美=ガズエル

真美=ガズアル

あずさ=F91

響=なんくるガール

貴音=ヤーネフェルト

美希=おにぎり大魔神


P「一部、問題がある気もしないが、まぁこれでいいだろう。とりあえず、チュートリアルを各自終わらせて最初の町で集合だ」

P「俺も新しいキャラ作っておくか……さすがにアレをそのまま使うのはまずいよな……」

P=変態紳士



ーー始まりの町 リゾラ


変態紳士『さて、じゃあまずは全員のキャラクターのジョブを確認しよう。今回は純粋なプレイがメインではないからあまり関係ないがな』

Nowano『私は戦士です!』

変態紳士『うん。知ってた。一番普通だもんな』

Nowano『なんかひどくないですか!?』

Pine『私は付与魔術士です。皆を補助魔法でサポートしますよ!』

変態紳士『うん。これまた律子らしいな。エンチャンターは頭を使うからなピッタリだと思うぞ』

Pine『ありがとうございます!』

もやし炒め『私は狂戦士ですっ!』

変態紳士『ぅゎゃょぃっょぃ』

トゥルース『ボクは格闘家です!』

変態紳士『うん。知ってた』

真「ふんっ!」ドゴォ!

P「どずるざびっ!」ドシャァ!

変態紳士『ダイレクトアタックはやめてくれ』

スノーホワイト『私は吟遊詩人にしましたぁ』

変態紳士『そうか。頼むから全体チャットで詩を流すのだけはやめてくれよ』

ガズエル『亜美は黒魔道士!』

ガズアル『真美は白魔道士だよ!』

変態紳士『案外まともだな……』

F91『私は踊り子ですよ~』ドタプーン

変態紳士『千早にPKされなきゃいいんですけど……』

なんくるガール『自分は獣使いさー!』

変態紳士『響は現実世界とそのままって感じだな』

なんくるガール『ふふーん!最初のパートナーはハムスターにしたんだぞ!もちろん名前はハム蔵さー!』

変態紳士『貴音は……異星人?こんなジョブあったかな……』

ヤーネフェルト『ふふっ』

変態紳士『美希は……観光客?おいおい!これ玄人向けの最弱ジョブじゃないか!』

おにぎり大魔神『ねむいnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnn』

P「寝るなっ!」バチコーン!
 
美希「なのっ!」


豆タンク『ギルド【バンナーム】は初心者にも優しいギルドですっ!始めたばっかりで何をすればいいかわからないって人いませんかー!なんでもサポートしますよ!』

もやし炒め『なにか叫んでる人がいますよー』

変態紳士『あれは新設されたばかりのギルドだな。人数集めのために必死なんだ。だからああやって弱い初心者でも良いから勧誘しようとしているんだよ』

なんくるガール『ギルドマスターってのも大変なんだなー』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『そこの貴女。誰の許可を得てこの町で勧誘をしているのですか』

トゥルース『なんかすごいキラキラしたキャラクターが話しかけてきましたよ!』

おにぎり大魔神『しかもあのキャラクター、すっごくムネおっきいの、あふぅ』

変態紳士『称号持ち……それにあの名前と異常なほどのバスト……!春香!』

Nowano『ええ。間違いありません千早ちゃんです』

Pine『あれがっ……』

ヤーネフェルト『千早、ですか』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『この町、リゾラは我々【Arcadia】の管轄です。それを無視して勧誘活動など、いい度胸ですね。』

豆タンク『でもっ!ゲームのルールにそんなの書いてありません!』

エリー『やめておいたほうがいい……豆タンクも知っているはず……この町、ううん。この大陸では【Arcadia】に逆らうことは許されない……』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『そちらの貴女はよくわかっているようね。私は何も勧誘を禁止などしていないわ。1時間につき500000マニーを払えば自由にやってくれて構わないわ』

豆タンク『そんな大金!できたばっかりのうちのギルドには……』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『そう。なら野良ヒールでもしながら地道にメンバーを集めることね』

豆タンク『うぅ……』

ガズエル『ちょっと!いくら千早お姉ちゃんとはいえこれは見過ごせないっしょー』

ガズアル『そうだよ兄ちゃん!もーこーぎだよ!もーこーぎ!』

変態紳士『いや。俺達の目的は千早のギルドの内部、及び外部からの崩壊だ。ここで目立つのは得策じゃない』

なんくるガール『でも、こんなのおかしいぞ!』

P(……俺があのキャラで、いや、それはまだダメだ。今は耐えるしか……)

〈熱き信念〉甘党魔『そこまでにしておけよ。チヒャー』


〈孤高の歌姫〉チヒャー『あら、【Jupiter】のギルドマスターがこんなところになんの用?』

〈熱き信念〉甘党魔『たまたま寄ったら、自己中女がキーキー騒いでたものでな』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『口の聞き方に気をつけなさい。次の大陸間戦争、【Arcadia】が手を引いたらどうなるか。わからないわけじゃないでしょうね?』

〈熱き信念〉甘党魔『さぁな。俺達第一大陸がより団結するんじゃねえか?』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『戯れ言を……、まぁいいでしょう。仮にも第一大陸のNo.2ギルドマスターの貴方に免じて今日のところは見逃してあげます』スタスタ

〈熱き信念〉甘党魔『そりゃどうも』

豆タンク『ありがとうございます!おかげで助かりましたー!』

〈熱き信念〉甘党魔『いいってことよ。勧誘頑張れよ』スタスタ

トゥルース『すごい……千早を退かせた』

変態紳士『人も悪くないみたいだし、あの人に話を聞いてみよう』



変態紳士『あの、すいません。聞きたいことがあるのですが』

〈熱き信念〉甘党魔『なんだ?って!うおっ!結構な大所帯連れてんな。あんたもどっかのギルドマスターか?』

変態紳士『いえ、そういうわけではないのですが』

〈熱き信念〉甘党魔『そうみたいだな……全員Lv5以下か』

Pine『私達、【Arcadia】について知りたいんです』

〈熱き信念〉甘党魔『なんだ!?お前らあそこに入りてえのか!?やめとけやめとけ!あそこは入団条件がレベルカンストの上に1000000マニーの入団金が必要なんだ。お前らみたいな初心者じゃ相手にもされないぞ』

スノーホワイト『そんなの無理ですぅ……』

〈熱き信念〉甘党魔『それよりさっきの、バンナームだっけか?あそこに入ってやったらどうだ』

変態紳士『【Jupiter】への勧誘はしないんですね』

〈熱き信念〉甘党魔『別に入りたいってんなら、初心者だろうと断りはしねーが、そんな人集めに躍起になるほどでもねーさ。俺達は来るもの拒まず、去るもの追わずだ』

変態紳士『よくそれでNo2のギルドにまでなれましたね』
 
〈熱き信念〉甘党魔『俺達は色んな境遇の奴らが集まったギルドなんだ。学生や社会人、主婦やフリーターに夜勤の運ちゃんとかな。だからそれぞれが自分に都合のいい時間にプレイすることによって常時ギルドがうまく回ってるんだ。もちろん、何人かはいわゆる廃人プレイの奴らもいるけど、そいつらも他に強制したりはしねぇ』

なんくるガール『なんだかすっごい楽しそうだぞー!』

〈熱き信念〉甘党魔『楽しいに決まってるじゃねえか。ゲームは楽しむもんだぜ』

F91『あらあら、素敵ね~』

変態紳士『素晴らしいと思います。色々と情報ありがとうございました』

〈熱き信念〉甘党魔『おうよ。また何かあったら呼んでくれて構わないぜ。まぁ俺もリアルの生活があるからいつもいるとは限らねえけどな』ピロン

変態紳士『フレンド申請……ありがとうございます』

〈熱き信念〉甘党魔『じゃあな!』


ーー現実世界 事務所

P「甘党魔さんの言っていたように、どうやら【Arcadia】に入団するには一定の条件があるらしい。皆にはその条件を満たすように努力してもらう」

春香「でも千早ちゃんの言ってた条件って……睡眠時間を削っても2.3週間はかかりますよ?」

P「ああ。だから765プロのアイドルは全員1カ月間の海外ロケに行っているということに関係各社には伝えておいた」

響「そんなの通るのか!?」

律子「悲しいことに通ってしまうのが765プロなのよ……」

P「そういうことだ。今から皆にはレベル上げと金稼ぎに全力で取り組んでもらう!」

真「でもゲームでレベルを上げてもお金を貰っても現実じゃなにもならないんじゃ……」

雪歩「ま、真ちゃん!」

P「真の言うとおりだ。ミイラ取りがミイラにならないように、今の真の言ったことは肝に銘じておいてくれ、わかったな」

全員「はい!」

P「それと、春香。春香にはNowanoのキャラじゃなく、以前使っていたキャラクターを使ってもらう」

春香「ええ!でもそれじゃあ千早ちゃんに私だってバレちゃうんじゃ……」

P「それでいいんだ。春香には内部崩壊が上手くいかなかった場合に備えて【Arcadia】に対抗できるようなギルドを作って欲しい」

春香「私にそんなこと……」

P「できる。春香には人を惹きつける力があるんだ。頼んだぞ」

春香「……はい!」




ーー3週間後


P「みんなよくやった!10人中10人がノルマを達成して【Arcadia】に入団できるなんて……正直思ってもみなかったぞ!」

美希「うぅ……眠すぎておにぎりの幻覚が見えるの……またピネだぁ!」パクッ

律子「こら美希!離れなさい!」

貴音「このらぁめん……まこと、美味ですね」ズルズル

響「うぎゃー!貴音ー!それは自分の髪の毛だぞ!」

雪歩「動かないで真ちゃん……すぐ終わるから……」ガバッ

真「ゆ、雪歩!目がすわってるよ!?」

亜美「亜美が真美?あれ?真美が亜美で亜美真美あれ?亜美?ううん真美」

真美「真美が亜美だから真美は亜美は亜美じゃなくて真美は亜美は亜美が真美に亜美を……」

やよい「あーっ!あっちでもやし祭りがやってますぅ」

あずさ「あらあら、ほんと。私の運命の人も待っているわ~」

P「……1回睡眠を取らせるか」


ーー8時間後

P「よしっ睡眠も十分に取れたし、作戦決行だ!」

全員「お、おー!」



【ネカマ説流行作戦】

P「千早のギルドでの人気の理由の1つに、自らが女性だと公言していることがある!まずはそれを疑わせるんだ!」


ガズエル『チヒャーさん、実はネカマらしいっすよー』

ギルメンA『マジ?でも女しかわからないようなこと結構知ってたぜ』

ガズアル『今はグーグル先生がなんでも教えてくれるっしょー』

ギルメンB『それもそうだな。それに前に〇〇さんがブラの話し聞いた時、答えがチグハグだったんだよなぁ』

ガズエル『ほらほらーやっぱネカマっしょ!』

ギルメンC『失望しました。ギルド抜けます』


【Arcadia】ギルドメンバー 300人→270人


亜美「やったぁ!」

真美「30人も減ったよ!」

P「よくやったぞ二人とも!」



【疑心暗鬼作戦】

P「千早のギルドが人気な理由の1つにギルド倉庫のアイテムが豊富なことがある」

響「ギルド倉庫?」

P「ああ。そこにあるアイテムはギルドメンバーなら誰でも自由に取って行っていいんだ。勿論、みんな節度を守っているがな」

響「へー、便利だな!」

P「今回は、そのギルド倉庫の中身を響には一つ残らずとってきてもらう」

響「なるほど!って、ええ!?そんなのすぐバレちゃうぞ!」

P「それがだな。ギルド倉庫のアイテムを誰がとったかはギルドメンバーどころかギルドマスターの千早にもわからないんだ」

響「そうなのか!?だったらなんでみんなとっていっちゃわないんだ?」

P「ギルド倉庫にあるアイテムの内容はたかが知れているんだ。千早もレアアイテムを置いておくほど馬鹿じゃない。『あってもなくてもいいが、あったら少し便利』程度のアイテムしかないんだ。だからそんな根こそぎとっていく奴はいないのさ」

響「じゃあ自分がとっても意味ないんじゃないか?」

P「そんなことはないぞ。問題はアイテムが無くなることじゃなくて、『アイテムを根こそぎ取っていった奴がいる』ということだ。ギルド内にそういう奴がいるってだけで不信感に繋がるんだ」

響「わかった……やってみるぞ」


なんくるガール『大変だ!ギルド倉庫のアイテムが全部なくなってるぞ!』

ギルメンD『いやいや、なんくるさんの見間違いじゃないですか?あんなアイテム全部とってもインベントリの無駄ですよ』

ギルメンE『今見てきたがほんとに消えてるぞ!』

ギルメンD『マジかよ……』 

なんくるガール『もしかしてギルド内に裏切り者が……』

ギルメンE『まさか……、いやでも、この間のマスターのネカマ疑惑騒動の時も結構抜けたし……ありえるかも』

ギルメンD『俺達も危なくなる前に抜けといたほうが……』

ギルメンE『馬鹿いってんじゃねえよ!……でも、Jupiterや、最近出てきたなんだっけかあのギルド、あそこも良さそうだよな』

ギルメンD『紅の騎士団のことか……?たしかに、最近よくイベントとか企画してるよな』


【Arcadia】ギルドメンバー270人→250人



【資源枯渇作戦】

P「千早のギルドは大量の人員や資金の他に大量の資源を持っていることが強みだ」

美希「しげん?」

P「ゲーム内で色々な物を作るのに必要なアイテムだな。木材とか鉄材とか。それを無くすために美希には、あることをやってもらう」



おにぎり大魔神『リーダーさん!ミ……私ついにこれを手に入れたの!』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『これはっ!ゲーム内最高額の船【白い木馬】!相当な課金をしなければ手に入らないはず!おにぎりさん!一体いくらつぎ込んだの!』

おにぎり大魔神『んー内緒なの。でも、ミ、私的にはこの船を作り上げたらギルドに寄付したいって思うな!』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『それは本当!?待っていてね、おにぎりさん!すぐに建造用の資源をかき集めてくるわ!』



ーー2時間後


〈孤高の歌姫〉チヒャー『できたわ!これが白い木馬……この船があれば海戦で負けることはまずない……大陸の統一も夢じゃないわ!』

ギルメンF『すげー、ついにArcadiaに白い木馬が来たのか!』

ギルメンG『Arcadiaにいてよかったな!』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『そうでしょう。そうでしょう。さあ、おにぎりさん!資源は提供したわ!ギルドに所有権を移してちょうだい!心配しなくても船長はあなたよ!』

おにぎり大魔神『うーん、やっぱり、や、なの』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『え?』

おにぎり大魔神『ミ、私、船あげる気なくなっちゃったの。なんか紅の騎士団?とかいうところのほうが楽しそうだし』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『何を言ってるのおにぎりさん!資源は全部私が調達して……』

《おにぎり大魔神さんが Arcadia から脱退しました》

〈孤高の歌姫〉チヒャー『嘘……ギルドのほぼ全ての資源が……』

ギルメンF『資源が全部なくなったってことか?そしたらこのギルドにいても意味なくね?』

ギルメンG『そうだな。白い木馬もあるし紅の騎士団に行こうぜ』

《ギルメンFがArcadiaから脱退しました》

《ギルメンGがArcadiaから脱退しました》

〈孤高の歌姫〉チヒャー『待って!待って、みんな!』

ギルドメンバー250人→200人


【戦闘妨害作戦】

P「前回の白い木馬騒動で、Arcadiaからは相当なメンバーが抜けた。中には千早の信頼していた幹部もいたらしい。そこで千早はArcadiaの力を見せつけるため次の大陸間戦争で先頭に立って戦うらしい。そこでだ、二人にはあることをしてもらう」

真「あること?」

雪歩「なんですか?」

P「それはだな……」



ーー大陸間戦争


〈孤高の歌姫〉チヒャー『今回も第一大陸はこのArcadiaが指揮をとるわ!他のギルドも異論はないわね!』

〈熱き信念〉甘党魔『俺達Jupiterは別に構わねえが……他の連中はどうかな』

ギルマスA『うちはArcadiaには従わない』

ギルマスB『同じく、我々もだ』

ギルマスC『右に同じにゃー』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『何故なの!あなた達とは友好な関係を築いてきたはずよ!』

ギルマスA『友好な関係だと?うちの商団を襲撃しといてよく言うな』

ギルマスB『我々の初心者養成部隊もArcadiaに襲撃されている』

ギルマスC『うちの副リーダーもだ』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『そんな!何かの間違いよ!』

ギルマスA『いいや。トゥルースという格闘家はお前のギルドに所属しているはずだ』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『トゥルースさんが……なんで!?』

ギルマスB『とにかく、我々は協力できない』

ギルマスC『そういうことだにゃー』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『くっ……いいわ。こうなったらArcadia単独で第二大陸を倒してやるわ!』



ギルメンH『マスター!敵集団来ます!』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『来たわね……人数が多い。一気に対軍魔法で片付けるわ!』

ブブーッ

〈孤高の歌姫〉チヒャー『魔法が出せない!?』

《残り59秒 騎士への賛美歌 が発動中です。 物理攻撃翌力200% 物理防御力200% 魔法防御力50% 魔法使用不能》

〈孤高の歌姫〉チヒャー『バフがかかってる……!?誰なの!こんな時にこんな付与魔法を使ったのは!』

スノーホワイト(ごめんね千早ちゃん……)

ギルメンI『人数が多くてわかりません!』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『くっ……このままではやられる!』

敵A『いけ!奴には何故か騎士への賛美歌のバフがかかっている!全員魔法をぶち込むんだ!』

敵集団『おー!』

〈孤高の歌姫〉チヒャー『くっ……耐え切れない!』

《〈孤高の歌姫〉チヒャーが力尽きました》

ギルメンJ『マスターがやられた!もうダメだ!』


この戦いで【Arcadia】の戦力はほぼ壊滅。
駆けつけた【Jupiter】及び【紅の騎士団】により第二大陸の勢力が押し返され、辛くも第一大陸側が勝利したものの、【Arcadia】の評価は内外部ともに著しく低下したのであった。


【Arcadia】ギルドメンバー200人→120人


【引き抜き作戦】

P「前回の大敗後、Arcadiaに残留したメンバーの中でも他ギルドへの移行がもっぱらの話題となっている。そこで二人にはそれをうまくリードして欲しいんだ」

律子「わかりました。もう一息ですね」

やよい「ちょっとかわいそうですけど……千早さんのためですもんね」


Pine『紅の騎士団からから引き抜きの誘いが来たのですけど、どうすればいいでしょうか』

ギルメンK『羨ましい……俺も引き抜きでもくればいっそ踏ん切りがつくのに』

ギルメンL『たしかになぁ……』

Pine『それが……ギルド内で良い人がいたら一緒にと』

ギルメンK『マジか!連れて行ってくれ!』

ギルメンL『うーむ、だけどマスターを敵に回したら怖そうだ……』

もやし炒め『私も紅の騎士団にいきまーす!』

ギルメンL、M、N、O、P、Q『もやしちゃんが行くなら俺も行く』


【Arcadia】ギルドメンバー120人→50人


【カリスマ擁立作戦】

P「いよいよ作戦も大詰めだ。残ったメンバーを一気に離脱させるぞ」

貴音「承知いたしました」

あずさ「あらあら~やっと出番ですねぇ~」


ヤーネフェルト『チヒャーの時代はもう終わりました!度重なる自己中心的な言動と無様な失態!もはやあるかでぃあの存在意義はありません!』

F91『皆さ~ん、私達についてきてくださ~い』

ギルメンR『二人ともたしかに頼りになるが……』

ギルメンS『うーん。でも人数が少なくなればそれだけもらえるアイテムとかも増えるし、残っておく価値もあるんじゃないのか?』

F91『判断材料になるかわかりませんが……掲示板に画像を貼っておきますねー、私達の現実での画像ですー』

《掲示板に画像がアップロードされました》

ギルメンR『うおおおお!顔は隠れてるけど二人ともすごい胸だ!』

ギルメンS『こっちの尻もそそられるぜ!』

ギルメンR、S、T、U、V、W、X、Y、Z『一生ついていきます!』

F91『あらあら~』

【Arcadia】ギルドメンバー50人→5人


P「よし、残りは亜美と真美に響と雪歩が脱げるだけだ」

亜美「ほんとにいいのかなぁ」

真美「さっきから千早お姉ちゃんから『あなただけは信じているわよ!』とかチャットが送られてくるんだけど……」

響「自分もだぞ……」

雪歩「伝説級の装備まで送られてきましたぁ……」

P「ここは心を鬼にするんだ。千早を取り戻すためなんだからな」


【Arcadia】ギルドメンバー5人→1人



ーー如月家


千早「ううっ……なんで、なんでなの!私の築いてきたギルドがっ!仲間がっ!」

千早「全てはあの新設ギルド……紅の騎士団のせい……絶対に許さない……」



ーー紅の騎士団ギルドハウス


春閣下『これで千早ちゃんも懲りてくれればいいんだけど……』

ガズエル『さすがに1人じゃなにもできないっしょー』

スノーホワイト『た、大変ですぅ!』

春閣下『どしたの雪歩!』

スノーホワイト『ち、千早ちゃんがこっちに向かってきてます!』

トゥルース『なんだって!』

春閣下『落ち着いてみんな!話し合うチャンスだよ!』

変態紳士『そうだな。ギルドハウスは中立地帯、つまりPK不可地帯だ。攻撃されることもないだろう』

なんくるガール『よーし!それなら自分。出迎えてくるさー!』

ヤーネフェルト『響!お待ちなさい!』

なんくるガール『へーきへーき!なんくるないさー!』


なんくるガール『ちは……チヒャーさん。ようこそ!紅の騎士団へ!なんの用さ……かな?』

チヒャー『雑魚は退いてなさい』ズバッ!

《なんくるガールが力尽きました》
《なんくるガールが牢獄に送られました》

Pine『どういうこと!ここではPKはできないんじゃ!』

F91『それに、牢獄に送られたって……』

変態紳士『いや……よく見ろ。千早の称号が変わっている』

〈全能者〉チヒャー『ギルドマスターを出しなさい』

春閣下『全能者!?』

変態紳士『知っているのか春香!』

春閣下『最近追加された新しい称号です!あの称号を持つプレイヤーは全地帯でのプレイヤーキルと逮捕権を手に入れるんです!』

変態紳士『そんな無茶苦茶な……』

春香『でも、称号の獲得条件は200を越える全メインジョブのレベルのカンストと500を越えるサブジョブのレベルのカンストです!運営側も一種のパフォーマンスとしか思ってなかったと思います!』

トゥルース『そんなレベル……一体どうやって』

変態紳士『課金アイテムのEXPポーション……アレを大量購入すれば可能だが……それこそ3桁、下手をすれば4桁は必要なはずだ。まさか千早……アイドルでの収入を全部つぎ込んだのか!』


ガズエル『よくもひびきんをっ!真美!パワーをメテオに!』

ガズアル『いいですともっ!』

ゴォォォォ!!

トゥルース『やったか!』

変態紳士『いや!よく見ろ!』

〈全能者〉チヒャー『今のは何?石ころが飛んできたように見えたけど』

《〈全能者〉チヒャー ダメージ0》

春閣下『誉れ高き雪花の壁……シールダーのレベルをカンストさせないと使えないスキルです。あのスキルは一定時間どんな魔法も通しません!』

〈全能者〉チヒャー『消えなさい……約束された勝利の剣!(エクスカリバー)』

ガズエル『うわああああ』

ガズアル『アッシマーがあああああ!』

《ガズエルが力尽きました》
《ガズエルが牢獄に送られました》
《ガズアルが力尽きました》
《ガズアルが牢獄に送られました》


トゥルース『魔法がダメなら!物理で!』ドゴォ!

スノーホワイト『援護しますぅ!』ポロロン

《瞬間火力・極 物理攻撃翌力500% 体力半減》

〈全能者〉チヒャー『裏切り者が何人来たところで同じことよ!』ガキィン!

トゥルース『止められたっ!?』

変態紳士『それだけじゃない!真!離れろ!』

トゥルース『えっ!』
 
ドゴォ!

《トゥルースが力尽きました》
《トゥルースが牢獄に送られました》

Pine『攻撃を反射した……?』

春閣下『Equ.Accelerator……物理攻撃を完全に反射する装備です。でもあれはイベント専用装備……通常時には使えないはず!』

変態紳士『全能者……何でもありかよ!』


〈全能者〉チヒャー『今のでわかったわ……あの大陸間戦争の時、私にバフをかけたのは貴女だったのね』

スノーホワイト『ひっ……ご、ごめんなさいぃ!』

〈全能者〉チヒャー『いいわ。チャンスをあげる。今から10秒。全力で逃げなさい』

スノーホワイト『いやっ……』ダッ

〈全能者〉チヒャー『10.9.8.7.6.5.4.3.2.1.』

スノーホワイト『こ、ここまでくれば……当たる攻撃なんて……』

〈全能者〉チヒャー『喰らいなさい……貫き穿つ死翔の槍!』ズドォ!

スノーホワイト『い……や……』

《スノーホワイトが力尽きました》
《スノーホワイトが牢獄に送られました》

春閣下『あれも槍兵の最終スキルです!普通なら1回でMPが尽きるようなスキルをまるで初期魔法みたいに!無理です!あんなの勝ち目がありません!』

変態紳士『くそっ……下がるぞ春香!こっちだ!』

春香『ええっ……でも!』

変態紳士『いいから来い!』


Pine『っ……』

もやし炒め『うー』

F91『あら……』

おにぎり大魔神『なのっ!』

《Pine、もやし炒め、F91、おにぎり大魔神が力尽きました》
《Pine、もやし炒め、F91、おにぎり大魔神が牢獄に送られました》


〈全能者〉チヒャー『残りは貴女だけですね。大人しく抵抗をやめてギルドマスターを出しなさい』

ヤーネフェルト『圧倒的な力……それを手にした気分はどうですか?』

〈全能者〉チヒャー『何をわかりきったことを……愉快に決まっているでしょう』

ヤーネフェルト『はたして本当にそうでしょうか?あなた自身、虚しさを感じていることに気づいているはずです』

〈全能者〉チヒャー『そんなことっ……』

ヤーネフェルト『それは全能者になる前、ぎるどますたぁであった頃にも同じこと。かつて対等に話していた仲間も、いつしかただあなたに従い、媚び諂う関係となっていった』

〈全能者〉チヒャー『ちがうっ……そんなこと……』

ヤーネフェルト『いつしかあなたは仲間が信じられなくなった。そして思ったのです。現実の友人ですら偽りの関係なのではないかと……』

〈全能者〉チヒャー『……』

ヤーネフェルト『そしてあなたは決めたのです。いっそ、この偽りの世界に閉じこもってしまうことを』

〈全能者〉チヒャー『あなたに私の何がわかるっていうの!』

ヤーネフェルト『わかりませんっ!顔も見えぬ偽りの仲間と、固い絆で結ばれた現実の仲間を同じように考えてしまうあなたの気持ちなどっ!』

〈全能者〉チヒャー『……っ!?』

ヤーネフェルト『皆、あなたを思っています。皆、あなたを救おうと懸命になっています!何故それがわからぬのですか!千早!』

〈全能者〉チヒャー『何故、私の名前を……あなた……いや、あなた達まさか!』

ヤーネフェルト『あなたは全能者などではありません。チヒャーなどという冷たい騎士などでもありません。あなたは、あなたはアイドル、如月千早です!それを思い出しなさい!』



《ヤーネフェルトが スキル 幻想の終焉 を発動しました》




〈アイドル〉如月千早『名前が……それに称号も……』

〈アイドル〉四条貴音『さあ、行くのです。本来のあなたを一番待っている者の所へ!』

〈アイドル〉如月千早『四条……さん……』


〈アイドル〉天海春香『千早ちゃん……』

〈アイドル〉如月千早『やっぱり……あなただったのね。春香』

〈アイドル〉天海春香『千早ちゃん。もう帰ろう?また一緒にアイドルしようよ!』

〈アイドル〉如月千早『ええ。そのつもりよ。私も目が覚めたわ』

〈アイドル〉天海春香『ほんと!?じゃあ!』

ガキィン!

〈アイドル〉天海春香『千早……ちゃん?』

〈アイドル〉如月千早『でも、これは私なりのケジメなの!私を連れて帰りたいなら!まずは私を倒してからにしなさい!』ガキィン!

〈アイドル〉天海春香『……わかったよ千早ちゃん!絶対に千早ちゃんを倒して、連れて帰る!』ザシュッ!



〈プロデューサー〉P『どうやら、俺が出る幕は無さそうだな』

〈アイドル〉天海春香『千早ちゃぁぁぁぁぁぁぁん!』

ズバッ!

〈アイドル〉如月千早『春香ァァァァァァァァァ!』

〈プロデューサー〉P『……それにしても、貴音のスキルでジョブもレベルも同じにされたからなのか……なかなか決着がつかないな』


ーー30分後


〈アイドル〉天海春香『千早ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!』

ガギィィ!

〈アイドル〉如月千早『春香ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

ズドォ!

〈プロデューサー〉P『いや……そろそろいい加減に……』

ピロンッ

《サーバーとの接続が切断されました。ゲームを終了します》

P「は?」

春香「えっ?」

千早「……?」



ーー事務所


伊織「……ったく、何やってんのよあんた達」

P「伊織!?お前、海外ロケは?」

伊織「小鳥から事情を聞いて戻ってきたのよ。この事態を解決するためにね」

律子「じゃあ……さっきのサーバー切断って……」

伊織「ええ。私がやったわ。そのゲーム、水瀬が運営してる会社のものだもの」

春香「え……」

伊織「千早のアカウントはもうBANしたからログインもできないわ。安心しなさい、課金した分の料金は返しておくわ」

P「お、おう」

伊織「いくらゲームをやりたくたって、物理的にできなきゃやることもないでしょ。はい、これで解決。さっさと仕事に戻るわよ」

全員「……」


ーー翌日 事務所


千早「おはようございます……」

春香「千早ちゃん!やっと来てくれたんだね!」

千早「ええ……今まで積み重ねてきたものが一瞬で消えて、その、ただのデータだったことが身にしみて本当の意味で目が覚めたわ……」

春香「よ……よかった、のかな?」

P「ああ……結果オーライじゃないかな」

真「そ、そうだねよかった……よかったよ」

やよい「ち、千早さんが帰ってきてうれしーかなーって」

千早「ねぇ、春香」

春香「な、なに?千早ちゃん」

千早「自分で言うのもなんなんだけど……皆、反応薄くないかしら?」

春香「そ、それがね……」



ーー我那覇家


響「ハム蔵~飲み物持ってきてくれぇ」

ハム蔵「ヂュィ!ヂュヂュィ!」

響「今、手が離せないんだ!この間にやられたらどうしてくれるんだ!」

いぬ美「ワン!」

響「いぬ美!飲み物持ってきてくれたのか!ありがとな!」ゴクゴクッ

響「うー、飲み物飲んだらトイレ行きたくなったぞ……ハム蔵ーペットボトルー」

ハム蔵「ヂュィ……」


伊織「ところで貴音……」

貴音「どうしましたか、伊織。響が今度ハマッたげぇむは水瀬のげぇむではありません。伊織も響の救出に力を貸すのですよ」

伊織「それは構わないけど……その話じゃないのよ」

貴音「はて?」

伊織「ヤーネフェルト……あの名前はゲーム内にも存在するワードよ。キャラクターネームにはできないはず」

貴音「……」
 
伊織「そもそも、異星人なんていうジョブは存在しないわ。それにキャラクターネームやジョブを強制的に変えるスキルなんてまずあり得ない……あんた一体どうやって……」

貴音「ふふっ……それはとっぷしーくれっと、ですよ」




おしりちん




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P「アイドルのセキュリティをチェックする」 : エレファント速報:SSまとめブログ
http://elephant.2chblog.jp/archives/52177453.html?_f=sl

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