デレマスですよ
祭り囃子をBGMに3人がダラダラと話します

杏「正座」

未央「はい」

李衣菜「ここアスファル

杏「正座」

李衣菜「はい」

杏「いいですか、これは拉致です」

未央「はい」

杏「英語で言うとAbductionです。これは犯罪です」

李衣菜「はい」

杏「なにか言うことはありますか」

未央「はい」

李衣菜「はい」

杏「はいじゃないが」

未央「大変申し訳ございませんでした」

李衣菜「大変申し訳ございませんでした」

杏「よろしい」

杏「で、結局なんで杏は拉致られたの」

未央「そこに杏ちゃんがいたから」

杏「山みたいな扱いしないで」

李衣菜「せっかくの拉致だしサイコロふる？」

杏「実家を目指した結果博多まで行っちゃうじゃないか」

未央「いやね、お祭りやってるんだけどリーナと二人ってのもどうかなぁと思って」

李衣菜「そしたらちょうど杏ちゃんがいたからね」

杏「うん」

未央「さ、屋台回ろっか」

杏「いやいやいや」

李衣菜「なんかあっちの方に変な屋台有ったよ」

杏「というか藍子ちゃんとかみくちゃんとか誘いなよ」

未央「お仕事でした」

李衣菜「お仕事でした」

杏「なるほど」

未央「ので半ばヤケクソ気味に拉致しました」

杏「そこがわからない」

未央「えーいいじゃんいいじゃん未央ちゃんと杏ちゃんの仲じゃーん」

李衣菜「どんな仲？」

杏「殴り合い」

李衣菜「超愛されてるじゃんみおちゃんやったね」

未央「リーナ、普通は暴力は愛情表現じゃないんだよ」

杏「正論だ」

李衣菜「えっそこで裏切るの」

未央「もしかしてみくにゃんもお仕事ではなくリーナに拉致監禁されているのでは……？」

杏「正論だ」

李衣菜「正論じゃないよ！　してないよ！　テレビ出てるよ！」

杏「まぁいいや、リンゴ飴で許してあげようー。9個でいい」

未央「杏ちゃんはリーナと違って優しいなぁ」

李衣菜「まって私めっちゃ優しいよ。優しさの権化だよ」

杏「奈緒みたいなこと言い出した」

未央「つまりリーナはかみやんだった……？」

李衣菜「男女平等パンチ」ﾍﾟﾁ

未央「いて」

杏「違う、そうじゃない」

未央「リーナに愛されてしまった……」ｻｽｻｽ

李衣菜「うわぁそこはかとなく嫌な響きだ」

杏「未央ちゃん何喜んでるの？」

李衣菜「うわぁそこはかとなく嫌な響きだ」

未央「アイドル未央ちんがせっかく喜んであげたのに……」

李衣菜「今まで黙ってたけど私もアイドルなんだ」

杏「実は杏も」

未央「知らなかったそんなの……」

李衣菜「今まで私の事なんだと思ってたの」

未央「みくにゃんのヒモ」

李衣菜「働いてるから！」

杏「でもほらヒモってちょっと……ロックじゃない？」

李衣菜「クズをロックに置換しないで！」

未央「引っ張ると湯気が出てきて中にはホカホカのシウマイが」

李衣菜「何のヒモの話してるの」

未央「リーナを引っ張るとシウマイが温まるんだよ」

杏「何そのバタフライエフェクトこわい」

李衣菜「だからヒモじゃないってば……あ、かき氷だ」

未央「あっ食べたい食べたい。買ってこっか」

未央 ｼｬｸｼｬｸ

杏 ｼｬｸｼｬｸ

李衣菜「ｳｯ」ｷｰﾝ

未央「どしたの」

李衣菜「かき氷でキーンてした……」

未央「かき氷に起因するキーンというわけですね」ｼｬｸｼｬｸ

李衣菜「そういうの良いから」

杏「アイスクリーム頭痛だね」

未央「その心は」

杏「アイスクリームだって頭が痛い日ぐらいあるよ。女の子だもん」

未央「ちょっとかわいい」

李衣菜「だいぶ痛い発言だと思う」ｼｬｸｼｬｸ

未央「リーナそれブルーハワイ？」

李衣菜「昔から色が好きで選んじゃうんだよね。何味なんだかよくわかんないけど」

杏「ハワイ味だよ」

李衣菜「ハワイおいしい！」ｼｬｸｼｬｸ

杏「素直すぎる」

未央「そういえばしぶりんもブルーハワイ好きだって言ってたなぁ」

李衣菜「凛ちゃんはほんと青好きだよね」

未央「しぶりんはNationBlueってよりTrueBlueって感じだから」

李衣菜「るなしいなぁ」

杏「LunaSeaを形容詞にしないで」

未央「杏ちゃんはメロンかー、なんかわかる」

杏「と見せかけて青りんご。なんとなーく昔から好き」

李衣菜「フェイントだ」

未央「味変わらない筈なんだけどやっぱりなんか違う気がするよね」

李衣菜「定期的に思うけどあんまり味覚参考にならないよね」

未央「わあひどい」

杏「超辛辣だ」

李衣菜「でそのみおちゃんは何食べてるの。なんか一人だけカップいかついけど」

未央「よくぞ聞いてくれました！　なんとイチゴ、レモン、ブルーハワイのニュージェネミックスカラーなのです」

李衣菜「味違う気がするなら混ぜちゃ駄目でしょ」

未央「いやー、でも見てこの三色揃った三位一体トリニティー感まさにニュージェネ」

李衣菜「意味被ってるよ」

杏「でもそれ底のほう色混ざってどす黒くなるよね」

李衣菜「ニュージェネもどろどろ黒いのかな」

未央「しまむーもしぶりんも超ホワイトでしょ」

李衣菜「じゃみおちゃんが汚れてるのか」

未央「なんでさ見てよこの眩しい清さ。清すぎて透き通ってるから」

杏「本田……消えるのか……？」

未央「消すと増えるよ。倍にね」

杏「くりまんじゅうかな？」

李衣菜「みおちゃんすぐ嘘言う」

未央「嘘じゃないよ。チャン・ミオ嘘つかない」

杏「でたベトナムの人」

李衣菜「じゃあほら、あそこにおでんがあるでしょ」

未央「うん」

李衣菜「潔白ならアレに手を突っ込んでも大丈夫なはず」

杏「魔女裁判じゃないか」

未央「ここは日本だよ」

李衣菜「大丈夫日本でもやってたから」

杏「盟神探湯じゃないか」

未央「それ有罪だった場合はどうなるの」

李衣菜「あっちにお好み焼きあったでしょ」

未央「うん」

李衣菜「あの鉄板の上で土下座」

杏「焼き土下座じゃないか」

未央「あのいちいち発想が猟奇的なんですけど……」

李衣菜「まぁそれも日ごろの行いだと思う」ﾁｬﾘ

未央「あれ、リーナそんなネックレス持ってたっけ」

李衣菜「ああこれ？　みくから貰ったんだ。誕生日のプレゼントって」

未央「首輪つけられたの？」

李衣菜「人聞き悪いからやめてよ」

杏「本物のシルバーだ」

李衣菜「箱開けて私もびっくりしたよ。思わずいいの？　って聞いちゃったけど、李衣菜ちゃんに似合うと思ったからって」

杏「なんなら持ち主よりロックだと思う」

李衣菜「なんでさ、私は立てばロック座ればロック歩く姿はフジロックとまで謳われた女だよ」

杏「たとえロックだったとしてもそのフレーズの偏差値が低すぎる」

李衣菜「ロックあふれる李衣菜様のエピソード聞かせてあげるよ」

杏「例えば？」

李衣菜「お盆の予定が全部海」

杏「ロックが過ぎるよ」

李衣菜「またロックが溢れだしてしまった……」

杏「ところでさっきから未央ちゃんがすごい顔して見てるけど」

李衣菜「うわ能面みたいな顔してる」

未央「猫岩石のお二人は仲睦まじいようですね」

李衣菜「何その呼び方」

杏「すごい羨ましがってる」

未央「違うし……羨ましくないし……」

李衣菜「どんな気持ち？ねえどんな気持ち？」

未央「うﾞらﾞやﾞまﾞしﾞいﾞ」

杏「正直ものだ」

未央「私も『君の誕生日には僕の苗字を貰ってくれないかハニー♥ちゅっ♥』とかやりたい！」

杏「頭のなか原生花園だコレ」

李衣菜「除草剤撒いてやりたい」

未央「あっ、お祭りの定番があるよ」

李衣菜「わかる、王道だよね」

未央「タコ焼き」

李衣菜「イカ焼き」

未央「は？」

李衣菜「は？」

未央「イカ焼きとかイカ焼いただけじゃん」

李衣菜「タコ焼きとかタコ焼けてないじゃん」

杏「そこに気付くとは……やはり天才か」

未央「ほんとだ……え？　タコ焼きなのに一番焼けてないのがタコ……？　やだこわい……」

李衣菜「その点イカはほら、イカがちゃんと焼けてるからイカの勝ち」

未央「いやいやここは民主主義でいこう」

李衣菜「そうしよう」

未央「どう思うね杏ちゃん」

李衣菜「どっち？　どっち？」

杏「どっちもだよ！　好きな方食べて」

未央「大正論だ」

李衣菜「ぐぅの音も出ない」

杏「ぐぅ……」

李衣菜「出た」

未央「あまりに狸寝入りすぎて狐に化かされた気分だね」

杏「狸か狐かはっきりしなよ」

李衣菜「どっち？　どっち？」

未央「どっちもだよ！」

李衣菜「すごいやキメラだ」

未央「今ならワンコもつけちゃう」

杏「狐狗狸さんじゃないか」

未央「わたしコックリさん。今あなたの後ろでゴキゲンPartyNight」

杏「二段階右折してあさっての方向行ったね」

李衣菜「人の後ろで何してくれてんの」

未央「イカ焼き買った」

李衣菜「タコ焼き買った」

杏「熱い手のひら返しだ」

未央「イカとタコによって東西に割れたお祭りが再び一つになったのであった……」

杏「歴史的和解だなぁ」

未央「もうすっごい握手とかするから」

杏「そりゃイカもタコもあれだけ足があればね」

李衣菜「ていうかノリでああは言ったけど普通にタコ焼きも好きだしね」

未央「まぁどっちも美味しいよね」

李衣菜「ほらこのタコ焼き外はカリカリ……」ﾓｸﾞ

李衣菜「中はカリカリ！！！！」ﾊﾌﾊﾌ

杏「何言ってんの」

未央「それ絶対タコ焼きじゃ無いでしょ」

李衣菜「あっちゅいの！」ﾊﾌﾊﾌ

杏「ほら水飲みなよ」

李衣菜 ｺﾞｸ

未央「お水おいしいー？」

杏「厄介だ」

李衣菜「甘露」

杏「なしたの」

未央「キャラぶれすぎでしょ」

李衣菜「いやほんっと熱いの食べてみなよ」

未央「いやいや、言うてそこまででしょー」ﾊﾟｸ

未央「んおﾞっ」ﾊﾌﾊﾌ

杏「アイドルからしてはいけない声が聞こえた」

李衣菜「だから言ったのに」

未央「みじゅちょうだいみじゅ！」ﾋﾟｮﾝﾋﾟｮﾝ

杏「水を得られなかった魚が跳ねているようだ」

未央「はー熱かった……」

杏「熱いで思い出したんだけど」

未央「どんな思い出し方なの」

杏「李衣菜なんでまゆちゃんに壁ドンしてたの」

未央「は？」

李衣菜「ちょ……なんで知ってんの」

杏「仁奈にきいた」

未央「やだ不潔……みくにゃんという物がありながら……」

李衣菜「違うんだよあの……違うんだよ」

杏「えなに不倫は文化とか言い出すの」

未央「裸足に革靴でも履いてにゃ」

李衣菜「なんなの」

未央「そういうことしてるとみくにゃんに三行半叩きつけられるよ」

李衣菜「なんでさみくも別に怒ってなかったよロック嘘つかない」

杏「ほんとは？」

李衣菜「死ぬほど拗ねられました……」

未央「自分は曲げないけどヘソは曲げるみくにゃん」

李衣菜「猫の手も借りたいぐらい拗ねてた」

杏「その猫が拗ねてるわけで」

李衣菜「泣く猫には勝てないしもう絶対あんな顔させない。首輪までもらったしね」

未央「そしてついにみくにゃんにも首輪をつけて監禁してしまうリーナ」

李衣菜「やめてあんまそういうの言うとなつきちと拓海さんまで胃がやられて死んじゃうから」

未央「まだ疑われてるの？」

李衣菜「疑われてないよロック嘘つかない」

杏「ほんとは？」

李衣菜「心配されてます……」

未央「さすがに可哀想になってきた……みくにゃんが」

杏「みくちゃんかよ」

李衣菜「これに関しては全面的に私が悪いから、ね」

杏「まぁなんか、仲良さそうでよかったよ」

李衣菜「杏ちゃんにまで心配されてた」

杏「解散したらもう解散できないじゃないか」

李衣菜「こいつ」

未央「悪魔みたいなこと言い出した」

李衣菜「そういう杏ちゃんだって最近菜々ちゃんお家に呼んだりしてたじゃん」

未央「は？」

杏「え？　うちに盗聴機でも仕掛けてるの？」

李衣菜「加蓮ちゃんから聞いた」

杏「え？　うちに加蓮でも仕掛けてるの？」

李衣菜「何どうなってんのそれ」

杏「電源タップの中にギチギチに収まった加蓮が逐一報告してくれる」

李衣菜「うわ夢に出てくるやめてこわい」

未央「僕らのウサミンに引き続きかれんまで家に連れこんで……？」

杏「いや加蓮はいないからね」

未央「かみやんに殴られるよ？」

杏「いや加蓮はいないからね」

李衣菜「やっぱ菜々ちゃんは呼んだんだ」

杏「呼んだというか泊めて欲しいってお願いされたというか」

未央「『ナナ、今夜は帰りたくないんです……』」

杏「絶望的に似てなくて誰だか」

李衣菜「ﾀﾞﾚﾀﾞｰﾀﾞﾚﾅﾝﾀﾞｰ」

未央「みっおでーす！ ｷｬﾊｯ」

李衣菜「ミオミンだ」

杏「語呂悪いなぁ」

未央「どうせ杏ちゃんもウサミンと熱い一夜をウサミンウサミングルコサミンしたんでしょ。ｹｯ」

杏「柄悪いなぁ」

李衣菜「やさぐれてるなぁ」

杏「アイドルとしてこれでいいものか」

李衣菜「でなんで泊めてってお願いされたの？　杏ちゃんが話に出したってことは言える理由でしょ」

未央「李衣菜にしては鋭い推理だ」

李衣菜「一言余計なお口が次働いたらホチキスで開かないようにしてやる。I can do it.これは演習ではない」

杏「よくわからないけど部屋に霊がいっぱい居るから帰れないって」

未央「なにその事故物件みたいな」

李衣菜「なんでそんな墓場みたいになってるの」

杏「小梅ちゃんとユッコちゃんに言われたって」

未央「居るなぁ」

李衣菜「居るなぁ」

杏「居るよねぇ」

未央「満員電車みたいになってそうだね」

李衣菜「コミケぐらい酷いかもね」

杏「というわけで人道的見地からウサミン星からの難民を受け入れたのであった。完」

李衣菜「じゃ除霊してもらおっか」

杏「誰にさ」

未央「茜ちんとかすごいよ。ボンバーって」

李衣菜「ああ家ごと吹っ飛ばすの？」

未央「茜ちんは核エンジン積んだカブみたいな感じだからね」

李衣菜「それメルトダウンしてない？」

杏「ウサミン星が超新星爆発してしまう」

未央「いよいよ杏ちゃん家のメイドさんになるね」

杏「流石に菜々ちゃんが橋の下チルドレンになるのは忍びない」

李衣菜「じゃあ藍子ちゃんに除霊してもらおう」

杏「ああ、カメラでね」

李衣菜「『ぱしゃっ、うふふ♪（除霊）』って」

杏「破ァ！　みたいな」

李衣菜「寺生まれのTakamoriさんかぁ」

未央「なにこの中身が零の話」

杏「ちょっとうまい」

未央「あ、人形や……おっと、ネコ型ロボット焼きだ」

李衣菜「あっちには夢と魔法の国焼きがあるよ」

未央「そしてその間には身長リンゴ5個体重リンゴ3個の彼女によく似た何かのお面が」

杏「なにここ無法地帯」

李衣菜「夢と魔法とシュガーソングとビターステップと俺とお前と大五郎と愛しさと切なさと心強さと激しさとこの胸の中で絡みついた灼熱の闇って感じだね」

杏「なにそのスタバの全部乗せ」

未央「結局なんなの？」

李衣菜「よくわかんない」

未央「だと思った」

杏「知ってた」

李衣菜「でもほら、この辺の物もよくわかんないし……権利関係とか」

未央「あぶないわこの話」

李衣菜「やめようやめよう」

杏「食べちゃえばわかんないよ」ﾓｽﾓｽ

未央「いつの間にか夢と魔法の国が焼けてる」

李衣菜「その言い方だと焼き討ちになるね」

杏「お嬢ちゃんおまけしとくからねって何個か多めに貰っちゃった」ﾓｽﾓｽ

未央「ちっちゃい子だと思われてる……」

杏「私ぃー若く見られることが多くってぇー」

李衣菜「小さじ一杯ぐらいイラっとするキャラだ」

未央「確かに恐ろしいほどの擬態能力だと思う」

李衣菜「そんな人をナナフシみたいな」

杏「せめてハナカマキリとかにして」

未央「結局昆虫の範疇から出れずに暗中模索五里霧中っていう」

李衣菜「今韻踏もうとして失敗したでしょ」

未央「失敗した」

杏「潔いな」

未央「人間五十年諦めが肝心」

李衣菜「なんで敦盛なの」

未央「あ、謎焼きおいしい」ﾓｽﾓｽ

李衣菜「なんで美味しいんだろ。権利怪しいからかな」ﾓｽﾓｽ

未央「その話引っ張るのまずいからやめよ。でもほんとに美味しいね」

杏「サービスで焼きたてのくれたからかな」ﾓｽﾓｽ

未央「やっぱりちっちゃい子だと思われてる……」

杏「お姉ちゃん達と来たのかいって聞かれたのは秘密だよ」

李衣菜「お姉ちゃんで思い出したけどみおちゃん」

未央「黙秘します」

杏 ｽｯ

未央「あっやめてごめんスマホしまって流さないで」

李衣菜「呼んだの？」

未央「呼びました……」

李衣菜「藍子ちゃんのことお姉ちゃんって呼んだの？」

未央「あーちゃんのことお姉ちゃんって呼びました……」

李衣菜「どうだった？」

未央「頭なでられました……」

杏「何この言葉責め」

未央「リーナに酷い辱めを受けてしまった……」

李衣菜「人聞きが悪すぎるんですけど」

杏「セクシュアル・ハラスメントって同性同士でも当然成立するんだよ」

李衣菜「えっまってそこまでの重罪だった……？」

杏「さぁ、お前の罪を数えろ」

李衣菜「清廉潔白」

未央「えー、未央ちゃんはどうなるのさ」

李衣菜「今日は湿度が高めだからね」

杏「なんだ湿気ってただけかぁ」

未央「おせんべみたいな扱いやめて」

李衣菜「湿気るし割れるしそっくりだと思う」

未央「そう思うならもうちょっと優しくして」

杏「正論だ」

未央「ていうかね、最近あーちゃんにも茜ちゃんにもなんかすごく甘やかされるの」

杏「良かったじゃない」

未央「良くないよ……このままじゃ駄目になるよ……」

李衣菜「今まで駄目じゃないと思ってたの？」

未央「いや、ほんとねあーちゃんも茜ちゃんもあったかくてなんかこう……溶けちゃう」

李衣菜「今でも十分脳溶けて出たようなこと言ってるから」

杏「李衣菜が塩対応過ぎる」

李衣菜「でろでろだから塩かけたら身がしまるかなって」

杏「魚みたいな扱いだなぁ」

未央「ねえきいて」

杏「きいてるきいてる」

李衣菜「念仏ぐらいきいてる」

未央「李衣菜馬だったの？」

杏「馬の耳にも八丁念仏だ」

李衣菜「刀刺さっちゃってるんですけど」

未央「じゃなくてきいて、あのね、握手会にこっそり応援に来てくれたりもするしね」

杏「うん」

未央「レッスンでうまく行ったときもね、最近はやったーって喜んでたらニコニコしながら頭なでられるようになったの」

李衣菜「なんで話し方幼児退行したの」

未央「そうなの完全にちっちゃい妹みたいな扱いなの。なにこれ」

杏「一ノ瀬博士のお薬でちっちゃくなっちゃったの」

李衣菜「テトロドトキシンみたいなやつだ」

杏「それはフグ毒だ」

未央「未央ちゃん死んじゃうじゃん」ﾌﾟｸｰ

李衣菜「あっフグみおちゃんだ」

杏「フグ本田かぁ」

李衣菜「フグ田……」

杏「ああフグ田……」

未央「やめて」

杏「まぁ、当たる、ってことで良いんじゃないアイドルとしては」

未央「嬉しくない……」

李衣菜「あっ！　ねぇあれあれ」

未央「！　ソーセージマルメターノだ！　買ってくる！」ﾀﾞｯ

杏「一心不乱に駆け出したぞ」

李衣菜「そんなとこまで子どもにならなくても」

＜うわー、実物始めてみました！

杏「めっちゃ話してる」

李衣菜「コミュ強番長かぁこわいなぁ」

＜ドイツの方なんですか？！　本場の味じゃないですかー

杏「李衣菜はどうなの」

李衣菜「私はほら、ソリストだから……」

杏「あーうん、わかる。杏も」

＜えっ、おまけ？　ありがとうございます！　よっドイツ一ぃ！

李衣菜「インタビューとかで仲のいいアイドルとか聞かれたとき困らない？」

杏「あー自分が言っても相手がどう思ってるかわかんないっていうね。きらりは安定して上げてるけど」

李衣菜「私も最近はみくって言えるから良いけどさ……」

杏「杏って言っちゃっていいよ。李衣菜って言うから」

李衣菜「やった協定結ぼ？」ｽｯ

杏「そうしよう」ｸﾞｯ

未央「握手までしてどうしたの」ﾓｸﾞ

李衣菜「友達になった」

未央「今までは何だったの」

杏「知人」

李衣菜「微妙にリアルで心がこう……ザラザラする」

未央「ヤスリで磨いてつるつるにしよう」

杏「というかソーセージ買いすぎでしょ」

李衣菜「なんでソーセージバルログ持ちしてんの」

未央「皆の分もと思って3本買ったら千切れちゃって売り物にならない奴3つもおまけしてくれた」

李衣菜「わぁ太っ腹」

杏「ドイツのサービス力も世界一だったのかもしれない……」

李衣菜「マルメターノ見てるとアレ思いだすよね」ﾓｸﾞ

未央「なると？」ﾓｸﾞ

杏「ドリキャス」ﾓｸﾞ

李衣菜「内耳」

杏「うっそでしょ」

未央「ないじってなに？」

杏「耳のあの……中の方」

未央「リーナどうかしてると思う」

杏「杏もそう思う」

李衣菜「しょうがないでしょ思い出しちゃったんだから」

杏「どういう世界で育ってきたの」

未央「核の力で進化した猿の惑星とかから来たんだと思う」

李衣菜「なにおう。じゃあ二人はどうなのさ」

未央「ウサミンはウサミン星からだよ」

李衣菜「知ってる」

未央「未央ちゃんはM81星雲からやってきた光のアイドルだよ」

杏「杏はほらきらりと同じでネズミの国とかだから」

未央「実はネズミーすきでしょ杏ちゃん」

杏「割と」

李衣菜「人の生まれた星だけアトミックな力で荒廃させたなこいつらめ。いや生まれてないけどそんなところで」

杏「言ったの未央ちゃんだけだよ」

李衣菜「今からお好み焼きの屋台行ってもいいんだよ」

未央「やだ未央ちゃんこんがり焼かれちゃう」

杏「まぁお好みって言うぐらいだし未央ちゃん焼いても許されると思う」

未央「人道的に許されないよ未央ちゃんしんじゃうよ」

李衣菜「火傷は温めて治すとか流行ってるし大丈夫じゃない」

杏「やめろやめろぉ」

未央「本気で危ないわその話」

李衣菜「今のは私が悪かった」

杏「というかなにゆえ急にそんな世紀末な世界観が出てきたの」

未央「猿の惑星が無料配信されてたからね」

李衣菜「そんな話じゃなかったと思うんですけど」

杏「というかどんな話だったっけ」

未央「暴れん坊の猿が僧侶たちと共に天竺へと旅を」

杏「それは西遊記だなぁ」

李衣菜「二人組がヒッチハイクでロンドンへと旅を」

杏「どう考えても李衣菜も杏も世代じゃないんだけど」

李衣菜「私も実際に見たことは無いよ」

未央「？　猫岩石の二人がヒッチハイクするの？」

杏「ものすごーく正解に近い」

李衣菜「普通にロンドンに行くなら良いけど……」

未央「と言うか何の話してたんだっけ」

杏「猿の惑星の話だよ」

李衣菜「いつの間にか記憶がすり替わっているモンキーマジックだね」

未央「故郷での戦争で記憶まで曖昧に……ほろり」

李衣菜「なってないしそんなところで生まれてないよ」

杏「まぁまぁほらウサミン星も戦争のまっただ中だし」

李衣菜「ああ菜々ちゃんも亡命してきたぐらいだしね」

未央「でもなんかウサギってそんなに強そうなイメージ無いよね。ニンジンでポコポコ叩き合ってそう」

李衣菜「多分十分痛いと思うよ」

杏「いやいや世の中には円卓の騎士の首を次々切り落とすウサギも存在するからね」

李衣菜「突如現れてニンジャを爆発四散させるニンジャもいるしね」

杏「唐突に現れるニンジャ」

李衣菜「ニンジャは唐突に現れるものでしょ」

未央「やだなにその常識こわい」

李衣菜「そして始まるヴォーパルウサミンと裸あやめ殿の首の刎ねあい。うーんサツバツ」

未央「うぃざーどり過ぎでしょ」

杏「Wizardryを動詞にしないで」

李衣菜「あっ、このっ」ﾍﾟﾁﾝ

未央「自傷に目覚めたの？」

李衣菜「違うよ蚊に刺されてたの……あーもー」

杏「すぐ温めるといいらしいけど」

未央「鉄板乗る？」

李衣菜「そんなことしたら痒みも何もわからなくなるよ」

未央「そんなものに私を乗せようとしたの？」

李衣菜「ポジティブパッションなら大丈夫かなって」

杏「ポジティブパッションは無敵だからね」

未央「なんで杏ちゃんが自信満々なの」

杏「まぁ絆創膏でも貼っとくといいと思う。はい」

李衣菜「ありがと……なんで二人共刺されてないの？」

杏「昔からあんまり刺されないんだよね」

未央「加蓮から貰ったハッカ油の虫除けスプレーがべたつかないしめっちゃ効くの」

李衣菜「あー、ハッカ、ハッカかー……ハッカはちょっと」

杏「みくちゃんいるからね」

未央「ああ、にゃんこにハッカ毒だもんね」

李衣菜「じゃなくて私がスースーするの苦手なの知ってるでしょ！」

未央「刺されたとこにも効くのになー、えい」ｼｭｯ

李衣菜「ひゃん」

杏「ひゃんて」

李衣菜「あ、でもちょっと痒くないかも」

未央「でしょでしょ」

李衣菜「絆創膏も貼っとくね。ありがと」

杏「たまたま持ってただけだよ」

未央「苦しゅうない」

李衣菜「みおちゃんは今度殴る」

未央「また愛されてしまう」

李衣菜「おえ」

未央「そこまで嫌がらなくても」

杏「あ、やっとあったリンゴ飴」

未央「結局歩いてきて一番端っこだったね」

杏「9本ください」

李衣菜「あ、ほんとに買ってくんだ」

杏「支払いは任せたよ」

李衣菜「まぁそういう約束だったから良いけどね」

未央「任せたよっ」

李衣菜「みおちゃんは半分出して」

未央「はい」

李衣菜「でもそんなに食べれる？　お腹壊すよ」

杏「んー、まだ事務所にきらりとか菜々ちゃん居るはずだしちょっとしたおみやげになるかなーって」

未央「杏ちゃんやっさすぃー☆」

杏「うーんちょっと似てる」

李衣菜「私もたい焼きとか買ってこっかなー」

杏「あっちにお好み焼きたい焼きあったよ」

李衣菜「アイデンティティの崩壊でしょ」

未央「ほんとに魚入ってるたい焼きもあった」

李衣菜「うーんみく食べれなくなっちゃうから」

未央「じゃあ私があーちゃんと茜ちんに買ってこう」

杏「チャレンジャーだなぁ」

李衣菜「頭撫でてほめて貰えるかもよ」

未央「……なるほど」

杏「今ちょっといいかもと思ったでしょ」

未央「うっ」

李衣菜「みおちゃん割と顔に出るよね」

杏「ちょろい」

李衣菜「ちょろい」

未央「なんだとーこっの待てー！」ﾀﾞｯ

李衣菜「うわ逃げろ！」ﾀﾞｯ

杏「なぜ杏まで……」ﾀｯ