みく「炭火焼レストランさわやか?」 (38)
飛鳥「その反応は、やはり知らないようだね。ボクの故郷である静岡に存在する、ローカルチェーン店さ」
みく「静岡?明日は飛鳥チャンと静岡でイベントだけど、そのお店が何なの?」
飛鳥「確かハンバーグが好物なのだろう?なら是非とも一度は訪れるべき場所と言いたいんだよ」
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みく「そ、そんなに美味しいの?」
飛鳥「食に対しての関心がそこまで高くないボクだが……さわやかは、別だね。それほどの衝撃を受けた」
みく「そんなの行くしかないにゃ!明日Pチャンに頼んでみる!」
飛鳥「ボクも久しぶりにあのセカイを味わいたいからね、協力するよ」
みく「うん!明日のお仕事が俄然楽しみになってきたにゃ!」
翌日 イベント終了後
モバP(以下P)「2人ともお疲れ」
飛鳥「こんな故郷への凱旋というのも、悪くないね」
P「今日のみくは出発前から妙に気合入ってたし、ケータリングも全然手を付けなかったな」
みく「にゃはは……と、とーぜんなのにゃ!」
P「じゃあ準備ができ次第、撤収だ。俺は車回してくる」
みく「あ、Pチャン!今日のみく達、よかった?」
P「ん?もちろんよかったぞ」
みく「ならご褒美が欲しいのにゃ」
P「ご褒美?」
飛鳥「打ち上げ、とまではいかないが、食事でも御馳走してくれないかい?」
P「飛鳥までそんなことを言うなんて珍しいな、何が食べたいんだ?」
2人「ハンバーグ(にゃ)」
P「ハンバーグ?名産的にてっきり鰻とか言われるかと覚悟したんだが」
飛鳥「そうだね、この地域の名物という点は変わらないよ」
P「ほう?詳しくは車で聞くから、とりあえず撤収準備するぞ」
P「さわやか、ね。そういえばこの地方だったっけか」
みく「Pチャン知ってるの?」
P「話だけはそこそこ、食べたことはないなぁ」
飛鳥「他県からしても有名なのかい?」
P「芸能人やスポーツ選手でも好物と公言してる人もちらほらいるし、いまはネットで情報も広まりやすいから知名度自体はあるんじゃないか?」
みく「みくは知らなかったにゃ……」
P「ほら、もうすぐ着くぞ。俺も一度食べてみたかったし、ちょっと楽しみになってきた」
P「うわ、店内めっちゃいい匂いする!」
みく「この匂いだけで相当期待できるにゃ……それにしても、混んでるね」
P「飯時からは少し外れてるんだが、それでも人が多いな。けっこう待ちそうだ」
飛鳥「休日なら、この程度は普通だね」
みく「ほんとに人気なんだねぇ」
P「店には俺がいるから、2人は車で待っててくれ。騒ぎになりかねん」
飛鳥「心得たよ。キミばかりに押しつけて、すまないね」
P「こういうのもプロデューサーの役目さ。車のキー渡すぞ」
みく「やっとお店の席につけたのにゃ!」
P「メニューも色々あるなぁ。飛鳥、おすすめは?」
飛鳥「愚問だね、勿論げんこつハンバーグさ」
みく「これが一番人気のメニューらしいにゃ」
P「その下のおにぎりハンバーグっていうのは?」
飛鳥「おにぎりはサイズが少し小さめなだけで、それ以外はげんこつと変わらないよ」
P「なら俺はげんこつだな」
みく「折角だし、みくもげんこつにするにゃ」
P「飛鳥は既に決まってる感じだな……すみませーん、注文お願いします」
店員「ご注文は?」
P「このげんこつハンバーグのAセットを2つと」
飛鳥「ボクはおにぎりのAセットを」
店員「お肉の焼き加減は、中がまだ少し赤い程度がお勧めですが、どうされますか?」
P「どうする?」
みく「郷に入っては郷に従うにゃ」
P「それもそうだな。そのお勧めでお願いします」
店員「ソースがオニオンソースかデミグラスソースがお選びいただけます」
P「んーどっちにしようかな……」
飛鳥「全てオニオンソースで」
みく・P「!?」
店員「かしこまりました。セットはライスかパンが選べますがどちらになさいますか?」
P「あー、俺はライスで」
みく「じゃあみくはパンにしてみようかな」
飛鳥「ではパンは2つで」
店員「最後にセットのドリンクをお選び下さい」
みく「みくは紅茶」
飛鳥「コーヒーをひとつ」
P「俺もコーヒーをお願いします」
店員「ではご注文繰り返させていただきます。げんこつのAセットが――」
P「飛鳥、さっきの注文なんだが何故オニオンソースに?」
みく「デミグラスも捨てがたいにゃ」
飛鳥「ふっ、さわやか初心者にありがちな発言だね」
P「というと?」
飛鳥「さわやかではオニオンソースが鉄板なのさ。勿論デミグラスも美味しいが、初めてなら尚更オニオンで食べてみてほしいからね」
みく「な、なるほど……」
飛鳥「オニオンとデミグラスのハーフ、なんて裏メニューも存在するらしいが、ボクにしてみたら邪道だ。それよりもソースなし塩胡椒のみ、の方がまだ賛同できるさ」
P(ハンバーグについて嬉々として語る飛鳥って面白いな……)
みく「テーブルに紙のシートが置かれたにゃ」
飛鳥「この紙シートは鉄板が来たら使用するものさ」
P「おすすめメニューが書いてあるな。季節のフルーツフェア開催中か」
みく「パフェにフルーツジュース、かき氷まであるにゃ」
飛鳥「苺やメロンなどの果実は県内産にこだわっていて、これもまた美味なんだ」
P「ほう、苺の季節にはありすを連れてきてやりたいな」
みく「きっと喜ぶにゃ」
店員「お待たせしました、げんこつハンバーグのお客様」
P「あ、こっちの2人です」
店員「油がはねますので、シートの両端を手に取って持ち上げてください」
P「なるほど、このためか」
みく「じゃあペロっと持ち上げるにゃ」
店員「では奥から失礼します。げんこつハンバーグです」
みく「わ、大きい!」
P「ほんとに拳骨みたいだな」
店員「これから半分にカットして、中身が赤い程度に焼き上げます」ジュウゥゥ!!
P「鉄板に押しつけて焼くのか……肉の匂いがたまらん」
みく「中身、ほんとにまだ生くらい赤かったにゃ」
飛鳥「厨房で炭火焼をして遠赤外線で熱は通っているから、食品衛生的にも問題はないらしいよ」
店員「最後にソースおかけしてよろしいですか?」
みく「はい、お願いします」
店員「ソースの撥ねが収まりましたらお召し上がりください」ジュワァァァァ!!
P「仕上げを目の前でしてくれると、食べる前から五感で楽しめていいな」
みく「早く食べたいにゃ~!」
P「みくは猫舌だからもう少し待て。火傷したら仕事にも影響でるぞ」
みく「わ、わかってるにゃ!」
P「それじゃあ、いただきます!」
みく「……わ、すっごい美味しいにゃ!」
P「荒目の肉は噛むほどに旨味が溢れてくる……!」
みく「ソースとの相性も最高!」
P「表面は香ばしくしっかりと焼かれ、中はレアのコクと食感。これは美味い!」
飛鳥「ふっ、そう言われると何だか自分のことのように嬉しいね」
P「いや、お世辞抜きで美味くてびっくりだ。肉の後のライスがまた美味い」
みく「このもっちりパンにもよく合うにゃ……普通のパンとちょっと違う?」
飛鳥「ここのパンはライ麦パンさ。このパンも、中々どうして馬鹿に出来ない味なんだ」
みく「うん!パン屋さんで売ってたら普通に買っちゃうかも」
P「みく、俺のライスとちょっと交換しよう」
みく「いいよー。はい、Pチャン」
P「おう、ありがとう……あ、たしかにこっちも美味いわ」
みく「ご飯も美味しいにゃ~。ハンバーグと一緒にどんどん食べれちゃいそう!」
P「こういう付け合せの野菜も嬉しいな」
みく「人参が甘いにゃ~♪」
飛鳥「食材を切って焼いただけ。なのにどうしてこんなにも味に変化が出るのだろうね」
P「火を使い始めた先人に感謝だな……お、このポテト、ソースと肉汁吸わせると最高」
みく「それは試さずにはいられんにゃ!」
P「いやぁ、美味かった……」
みく「みくもペロッと食べちゃった」
飛鳥「来られて良かったかい?」
みく「うん!教えてくれてありがと、飛鳥チャン!」
飛鳥「礼を言われる事でもないさ。ボクも食べたかったなんて、個人的な動機もあったわけだしね」
P「またこっちで仕事があるときは、また寄るか」
みく「えっほんまに!」
P「約束するよ。また来れるようにこれからも頑張ろうな」
みく「うん!みく、これからもっともっと頑張るにゃ!」
飛鳥「まさか会計の時にサインを頼まれるとはね」
みく「あれだけしゃべってたらバレても無理ないにゃ」
P「気付いたの店員さんだけだったようだし、まぁこれくらいはいいだろ。ほら、これ」
みく「なにPチャン?これは……飴?」
飛鳥「さわやかは会計の後に、口直しとしてハッカ飴をくれるのさ」
P「がっつり肉食べた後にはありがたいな」
みく「こういう細やかなサービスって嬉しいにゃ」
P「よし、腹も膨れたし帰るぞ。さらばさわやか!」
みく「あた来る日まで!にゃ!」
みく「――なんてことがあったんだ。思い出しても……美味しかったにゃあ♪」
蘭子「く、我も彼の地で魔力の補給を……!」
みく「蘭子チャンもあっちでお仕事があったら、是非行くべきにゃ!」
蘭子「無論よ、ふふふ……既に胸が高鳴っておるわ!」
みく「それにしても、飛鳥チャンがあれこれ言うことってあんまりないから、新鮮だったかも」
蘭子「それは……自らが産声を上げた地故、なのかも知れぬ」
みく「自分の地元のことだからってこと?確かに静岡出身って地元愛がある子が多いというか……現にいまも」
飛鳥・春菜「おれたちにゃ明日がある♪」
泉・亜子「オレたちにゃ夢がある♪」
さくら・仁奈「オレたちにゃ掟が~ある~♪」
全員「がくせいふく~は やまだ やまだ~♪」
蘭子「彼の地より伝わりし禁断の呪歌!?」
みく「静岡出身の子が集まると突然歌いだすのにゃ……」
さわやかに行ったので勢いで書きました。
ここまで読んでくださった方にハッカ飴を。
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