山田「超高校級のプレゼント」 (22)
山田「セレスティア・ルーデンベルク殿に何かプレゼントいたしましょうぞ!」
山田「パシリとはいえ、僕のようなデブオタと会話をしてくれる女子はセレス殿くらいなもの」
山田「その上なんだかんだ言ってセレス殿のおかげでぼっちは回避できておりますゆえ!」
山田「今日は効率的にモノモノガチャと友人を往復している苗木誠殿を見習って」
山田「プレゼントで日頃の感謝を伝えますぞ!」
山田「しかし僕のセンスでは女子にドン引き必至……うーむ」
山田「ここは>>3に相談してみますぞ」
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十神
――図書室
山田「あのなかで女性の気持ちに明るいのは十神白夜殿でしょう」
山田「やたら高価なものを助言されそうで怖い気持ちはありますが……」
「あれ~? エロ本漬けのひふみんが図書館なんて今日グングニルの槍でも降るんじゃね~?」ゲラゲラ
山田「む、その声はふか――いえ、ジェノサイダー翔殿ですか」
ジェノ「はーい良妻賢母殺人鬼のジェノちゃんどぇーす! つーかせーっかくわかりやすいようにベロ出してやってんだからひと目で見分けつけろよ」
山田「あ、やっぱりそれキャラ付けだったんですな、ところで十神殿を探しているのですが」
ジェノ「白夜サマなら奥で読書してるわよ、うーん物思いに耽る白夜サマ……白とか赤とかの液体で染め上げたい……」ウットリ
山田「やっぱりジェノサイダー翔殿とは畑が違いますなぁ」
山田「十神白夜殿~」
十神「……見苦しいモノが2つに増えたな」
十神「気安く呼ぶな、愚民が」
山田「うぐぅ、相変わらずの俺様ドSっぷり……少女漫画の男キャラも裸足で逃げ出してしまいそうですぞ」
十神「動き回るな、部屋が油臭くなる。それと腐川、貴様も目障りだ」
ジェノ「んもう白夜サマったらいけず」
山田(話しかけただけなのに辛辣ですなぁ……これはとりつく島ナシですか)
十神「……それで」
山田「えっ?」
十神「キサマ、俺になにか用があったのだろう。さっさと言え、これ以上俺をイライラさせるな」
十神「もし用もなしに話しかけたのだとしたら貴様には一人目の被害者になってもらうことになるがな」
山田「いやあ実はですね」カクカクシカジカ
十神「フン、愚民らしい下らない相談事だ」
十神「人心掌握など俺にとっては基本中の基本だ」
十神「あのギャンブラーの機嫌を取りたければ>>8を与えればいい」
いちご牛乳
十神「いちご牛乳を与えてやればいい」
山田「いちご牛乳……ですか?」
十神「よくよくその足りない頭で考えても見ろ」
十神「セレスは何かにつけて貴様にロイヤルミルクティーを淹れさせるだろう」
山田「あっ」
十神「奴の好むものは牛乳から煮出すロイヤルミルクティー――正確にはロイヤルミルクティーというのは和製英語だがそれは今はどうでもいいことだ」
十神「つまりセレスは甘く、且つミルク感の強い飲み物を好む傾向があるのだろう」
十神「しかしいつものようにロイヤルミルクティーを与えたところで有り難みなどないはずだ」
十神「それでは奴が好むもので、更に特別感のある飲み物は何か――」
十神「それは『いちご牛乳』以外に他ならん」ドヤァ
山田「おお! さすがは十神白夜殿! んんwww なんだかロジカルですぞ!」
十神「十神の名を持つものであればこの程度は”推理”とも呼べんがな……」ドヤドヤァ
十神「では早速調理場に向かうとするぞ、山田」
山田「調理場、まさか……!」
十神「ああ、ここは最高級とは言えないがそこそこの食材が揃っている」
十神「当然ながら食材から作り上げていくぞ――この俺がいる限り”最高の”いちご牛乳以外は許さん」メガネチャキッ
十神「ついてこい、特別に誰よりも優れた舌を持つ『超高校級の御曹司』たるこの俺が味見をしてやる、有り難く思え」カツカツ
山田「と、十神殿ぉぉぉーーー!」ドスドス
山田「こうして十神白夜殿の全面協力で素材から選び抜いた最高のいちご牛乳ができましたぞ!」
山田「なんだか物陰から腐川冬子殿の羨ましそうな目が突き刺さっていた気がしますがきっと気のせいですな」タラ
十神「フン、まあ貴様のような有象無象であればこの程度が限界か」
十神「この俺を満足させるには足らんが、庶民相手であれば十分だろう」
十神「まったく、この俺をこのような下らないことに突き合わせるとはな……」
山田「十神殿にお褒めいただき幸甚の至りですな!」
山田「僕だけではここまでのものは作れなかったでしょうし……本当に有難うございます!」
山田「では早速この不肖、山田一二三二等兵! 逝ってまいるであります!」
十神「フッ……」
――食堂
山田「セレス殿~」
セレス「あら山田君、どこにいってたんですか?」
セレス「もうアフタヌーンティーの時間でしょう、下僕としてタイムマネジメントは最低限の仕事でしょうに」
山田「も、申し訳ありません……」
セレス「まあいいですわ、汗を垂れ流してぶひぶひ走ってくる山田君は滑稽でしたから許してあげましょう」
セレス「のどが渇いてしまいましたからいつものロイヤルミルクティーをお願いしますわ」
山田「あっ、それなんですが……」
セレス「? 何か?」
山田「今日は特別なものを用意しましたぞ!」
山田「セレス殿にもきっと喜んでもらえるはずです!」
セレス「あら、山田君にしてはなかなか気が利くじゃないですか。さあ、早くその特別なものをここに」ニコ
山田「ではではこちらをご賞味あれ!」テッテレー
セレス「!」
セレス「こ、このほのかにピンクめいた飲み物は……?」
山田「『いちご牛乳』ですぞ!」ムフー
セレス「…………」
山田「セレス殿がお好きではないかと思い頑張って――」
セレス「…………」笑いながらいちご牛乳床にダバー
山田「あぁっ!? ご無体なぁ!?」
セレス「私にこのようなお子様じみた飲み物を飲めと?」ニコ
セレス「ナメてんのかラードがぁ! ハラワタ引きずり出されてソーセージにされてぇのかァ!?」ビッ
山田「……せ、ん……」
山田「さすがにそれはセレス殿でも許せませんぞぉ!」
セレス「あぁ?」
山田「これが僕一人で作ったものでしたら構いません」
山田「セレス殿を満足させられなかった僕の技量の問題です」
山田「でもこれは十神白夜殿が一緒に作ってくれたもの」
山田「こんな僕の相談にのって、調理まで手伝ってくれた、そんな【友達が協力して作ってくれたもの】を粗末にするの許せませんぞ!」
セレス「ッ!」
山田「……すみません、少々口が過ぎてしまいましたな……」
山田「し、失礼奉るぅ!」ダッ
セレス「あっ、ちょっ……」
セレス「…………」
山田「申し訳ありません十神殿! 十神殿にも手伝って頂いたのに……」ドゲザッ
十神「……まったく、実に不愉快だ」
十神「この俺が手ずから助力してやったというのに何だあの醜態は」
十神「目障りで、見苦しく、見るに耐えない無様さだ」
十神「俺にあのような茶番を見せつけるとは貴様は愚民中の愚民だな」
十神「……不愉快なものは一片残らず視界から消し去る、それが十神の、そして俺のやり方だ」
山田「うぅ……」
十神「……故に、次こそは奴をひれ伏せさせるようなものを作り上げてやろう」
山田「えっ?」
十神「何を呆けた顔をしている、貴様のためではないぞ。作らせたいちご牛乳を飲まずに捨てられたままとあれば十神の名が泣く」
十神「――それだけだ」
山田「と、十神殿ぉ……!」
十神「フン、次は至極のバナナオレの作り方でも研究してくるとするか……」フッ
腐川「白夜サマと一緒にお、お料理なんて山田のクセに……」コソッ
腐川「ああでも照れくさくてあえて『友達』と言われたことに言及しない白夜サマもイイ……」ウットリ
【十神白夜の好感度が上がった!】
【腐川冬子の好感度が下がった……】
山田「十神白夜殿は意外といい人でしたなあ」
山田「やはり『超高校級の御曹司』ともなると人望というか、頼りがいも違うのでしょうか」フムフム
山田「しっかし結果は大失敗でしたぞ……日頃の感謝を伝えるどころか喧嘩別れとは……これは良くない非常に良くない」
山田「くぅ~空回りしてしまう系のツンデレヒロインの気持ちが今なら身に沁みてわかるぅ~!」
山田「――ハッ!」キュピーン
山田「もしやこれはもう僕はツンデレ系美少女と言っても差し支えないのでは?」
山田「なんてふざけてる場合ではありませんんんん! どうにかして謝らなくてはヤバイ、世界がヤバイ」
山田「きっと最高の贈り物をしてキチンと謝罪すればセレス殿も許してくれるはずですぞ。なに、セレス殿も鬼では――」
セレス『このゲロブタがあああああ!』
山田「――ない、はずです……よね?」タラー
山田「情けない話ですがここもまた超高校級の友人を頼るべきと僕のアンテナが電波を受信していますぞぉぉぉぉ」ビンビン
山田「今度は>>18殿に頼っちゃおーっと!」
↑
山田「舞園さやか殿~」
舞園「どうしたんですか山田君もしかしてセレスさんにプレゼントを贈ろうとして失敗、困った挙句私に泣きつきに来たんですか?」
山田「さすが舞園殿話が早い」
舞園「エスパーですから」ニコッ
舞園「あの人の気持ちがわからない十神君を最初に頼ったのは間違いでしたが」
舞園「私を選んだのは良い判断ですね」
舞園「私としても(もしこれで苗木きゅんを狙うライバルが減るとしたら)都合がいいですし、協力してあげますよ」
山田「さすが舞園殿腹黒い」
舞園「メインヒロインですから」ニコッ
舞園「さて、超高校級のアイドルたる私からおすすめできる女の子が喜びそうなものは」
舞園「>>22です。国民的美少女アイドルが言うのですから間違いありません」
セレスを主人公にした漫画
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