――22:15――
大淀「はい。今回の敵の動きは通信の後に急激に変化、こちらの警戒網をかいくぐっての襲撃でした」
大淀「もしも、通信の傍受がなされているのなら。提督が死んだという噂を流して相手の出方を見る、というのはいかがでしょうか」
提督「それは……良いのか?」
大淀「混乱による誤報であれば、叱責程度で済むかと」
提督「それを受けるのは俺だろう……まあ、いいさ。だが俺が姿を隠す間の報告はどうする?」
大淀「間宮さんと伊良湖さんを経由しましょう。あの二人ならほかの艦娘とかかわる時間は少ないですから」
提督「そうか……わかった。愉快な芝居ではないだろうが、ひとつ打ってみるとしよう」
大淀「では実際の伝達は各艦隊及び後詰めの旗艦までにして、後は全体放送で死亡を臭わせる報を出しますね」
提督「任せたよ。さて、そうなると俺の隠れ場所とここからの脱出か」
大淀「艦娘達が報告に来る前に移動しましょう。幸い、こそこそ逃げるには十分隙間がありますから」
提督「ああ……なにせ、建物自体がボロボロだからな。全く夜の闇に乗じてとはいえ、鎮守府が攻められるとはとんだ失態だよ。さすがにクビかな」
大淀「私には分かりかねますが、少しでも取り戻せば違うかもしれません。では行きましょう。ちょうど裏の雑木林まで通れるように崩れていますし、敵も撤退したようです」
提督「着替えだけは後で持ってきてくれよ。さすがにボロのままじゃ、隠れるのはツラいからな」
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――05:00――
『――既に聞き及んでいる人も多いでしょうが、昨日の襲撃の後、提督の行方が分かっていません』
『……砲撃は司令棟に直撃、幸い執務室への直撃ではありませんでしたが被害は甚大。執務室は半壊状態です』
『執務室には血痕がありましたが、遺体の確認はされていません。もし提督を発見したら、すぐに司令部まで連絡を』
『また、昨日の今日ですから鎮守府近海に深海棲艦が滞留している可能性があります。後方支援を含め全艦隊は厳戒態勢、予備隊及び非番予定だった艦娘のみで瓦礫の撤去、提督の捜索にあたります』
『では現時刻をもって長門秘書官を提督代理とし、艦隊の指揮を執ります。以上、緊急放送終わり』
加賀「……」
赤城「加賀さん、顔色が悪いですよ。少し休んだ方が」
加賀「いえ、大丈夫。少し寝不足なだけ……行きましょう、直ちに抜錨して哨戒にあたります」
加賀「ええ、少し、頭が痛いだけ。少し、息が、しにくいですが、大丈夫です」
赤城「加賀さん……」
赤城(酷い顔ね。足取りも良くない、体も震えてる。前線に出るのは難しいかしら)
赤城(誤情報による敵部隊のかく乱。けれど味方にまで強い影響が出るのなら困りものね)
――05:45――
鳳翔「瓦礫撤去班をいくつかに分けます。半分は司令棟へ向かい提督の捜索へ向かってください」
鳳翔「残り半分をさらに分割。最優先は入渠施設、工廠です。残りは運動場に帰還した艦隊の休む場所を設営します」
鳳翔(予備隊は駆逐艦が多いせいか動揺も大きいですね。けれど本当の事を話しては……せめて深海棲艦が動きを見せるまでは)
鳳翔「では各自、全力を尽くすように! 私は間宮さん達と炊き出しの準備をしますから、何かあれば運動場へ来てくださいね」
鳳翔「……あら、朝潮さん。どうかしましたか?」
朝潮「せ、僭越ながら、あの、よろしいでしょうか。なぜ、司令棟を全員で探さないのですか? い、今すぐに、早く探さないと!」
鳳翔(涙はとっくに流した後……それはみなさん同じですね)
鳳翔「ええ、ですから半分の人員をあてがいます。けれど、大淀さんの放送通り深海棲艦が近海に潜んでいる可能性もあります。露払い程度ならともかく、大艦隊が居座っていた場合、入渠や補給ができないと嬲り殺しにされてしまいます」
朝潮「それは……ですが、司令官がいないと、指示が!」
鳳翔「既に長門さんが代理で指揮を執っています。今は一刻一秒を争う時。お喋りをする暇はありませんよ」
朝潮「っ……わ、わかり、ました……失礼します……」
鳳翔「……大丈夫、提督は無事ですよ。あの人はこんな簡単に死ぬような人ではないでしょう?」
鳳翔(言えるのはここまで、ですね。本当に人が悪い。どれだけ好かれているか、自覚が薄いんですから)
鳳翔(本当に通信が傍受されているのなら、敵の動きも早いでしょう。提督不在なら相手には好機のはず)
鳳翔「炊き出しも急がないといけませんね。すぐに口にして、戦場へ戻れる食事を」
――10:58――
長門「陸奥、艦隊からの連絡はどうだ」
陸奥「各旗艦からの深海棲艦発見の報は無し、士気には乱れあり。怒り狂ってたり意気消沈してたり、色々みたいね」
長門「『網』の方は?」
陸奥「そっちは順調よ。幸いというか、こっちは湾だもの。侵攻方向は一方向しかないから、島風を中心に高速艦でありったけの機雷を設置してもらってるわ」
長門「分かった……そろそろ時間だな」
陸奥「そうね。どうする? 事情を知ってる旗艦だけに絞って、殉職確定の無線でも出してみる?」
長門「いや、どの無線が傍受されているか分からん。今は誘い込みのために全体に出すべきだろう」
長門「まったく、嫌になるな。さっき出て行った第五遊撃部隊の顔を見たか?」
陸奥「吹雪ちゃん達のところね。金剛、北上、大井が殺気立ってるって泣きながら連絡が来たわ。逆に加賀と瑞鶴は調子が悪いみたい」
長門「球磨型は全員姉妹だな。どの部隊も手が付けられんらしい」
陸奥「お葬式で使えないよりはマシよ。さ、提督の死亡の可能性が高まったことにしましょう。艦隊の配置もそろそろ終わるわ」
長門「電撃決戦、か。日暮れまでに終われると良いが」
陸奥「あら、もしかしたら通信傍受なんてなくて、敵さんも全員撤退してるかもしれないわよ?」
長門「それで終わればそれでよし。警戒しつつ通信の変更、提督も見つかって一段落だ」
長門『定時連絡をおこなう。提督の捜索状況だが芳しくない、全体の修復作業も遅れ気味だ』
長門『それと多少鎮守府の守りが薄くなるが哨戒中の艦隊は警戒網を広げるように。繰り返す――』
――11:03――
吹雪(き、きたっ! 敵艦隊の誘導作戦! 私たちも外海に向かってから転回しなきゃ……でも)
吹雪「あ、あの、みなさん! これより針路を外海へ……」
金剛「シット! テートクの仇、×××!」
北上「ほんっとさー、早いとこ出てきてくんないかなー。イライラするんだよね、凄く、ねえ大井っち」
大井「ええ、それはもう! 引きずり出して引き千切っても足りないくらいです!」
加賀「……」
瑞鶴「……」
吹雪「あ、あの……加賀さん、瑞鶴さん、大丈夫ですか?」
加賀「大丈夫よ。ええ、私は大丈夫。頭が、少し、痛いけれど」
瑞鶴「……大丈夫な奴がいたら頭イカれてるわよ。でも、仕事はするわ」
吹雪「は、はい。じゃあ針路を変えます! みなさんついてきてください!」
吹雪(早く終わらせて本当の事を知らせないと……! こ、怖すぎるよぉ!)
――13:29――
大和「……」
武蔵「大和、腹が減ってはなんとやらだぞ。握り飯だ、一つでも食べておけ」
大和「ありがとう、いただきます。敵艦発見の報は?」
武蔵「まだらしいな。しかし、ここに留まらねばならんのは口惜しいものだ。もう少し足が速ければな」
大和「仕方ないわ。私たちにできることは固定砲台として、敵が来たら叩き潰すまで。機が来るまでは身を隠し、守りが薄いように見せないと」
武蔵「それはそうだ。どれ、私も座禅でも組んでおくか……どうした?」
大和「……何か、空気が変わった気がする。来るわ」
武蔵「そうか。よし、抜錨準備と行くか」
大和「ええ、一匹たりとも逃がさないわ。生意気な鼠は、すべて駆除しないとね」
武蔵「ふ、こそこそしている提督もそろそろ表に出してやらねばいかんからな。さあ来い、いつでもな!」
――13:33――
龍驤「なんや、アンタはあんま動揺しとらんなあ。司令官への愛情が薄いんちゃう?」
扶桑「そうかしら? これでもはらわたは煮え滾っているのだけれど……」
扶桑(私が旗艦じゃなくて提督の無事を知らされていなかったら、悲嘆したかもしれないわね)
龍驤「ま、その方がええよ。愛宕もパンパカ言わへんし、隼鷹も酒飲む気にならなへんっちゅーし。こっちまで気が滅入るわ」
扶桑「そうね。でもそれくらい真剣に鎮守府と提督を想っているということでしょう?」
龍驤「んー……ちょい待ち、来よった! 五時の方向、一直線に鎮守府に向かっとる! 艦種は……あかん、戦艦、空母、重巡に鬼や姫までおる!」
扶桑「私も確認したわ。こちら扶桑、敵艦隊を発見。構成は姫級や鬼級の混在した全艦種。数は確認されただけで40!」
長門『了解した。予定した針路を取って敵を撃滅せよ!』
扶桑「了解! みんな、急速転回ののち速度最大、出現した深海棲艦の掃討に移ります!」
龍驤「急がんと、鎮守府は今駆逐艦がほとんどやろ!? この哨戒範囲拡大、長門秘書艦の失策なんちゃう!?」
扶桑(大和さんを中心に迎撃部隊が控えているけれど……作戦だからって、長門秘書艦にはとばっちりね)
――13:40――
島風「こちら島風、機雷の設置終わってます!」
長門『良し。既に大和型が抜錨している。機雷設置部隊は後退、補給部隊に再編だ』
島風「りょーかい! 行くよ、急がないと敵が来るってさー」
天津風「ふうん……いい風。これなら勝てるんじゃない?」
島風「なにそれ? てゆーか余裕じゃん、朝は提督がいなくて泣いてたのに」
天津風「ばっ!? ぐ、だ、だって生きてるんでしょ。よくわかんないけど、作戦ってことだろうし」
島風「あー。やっぱりそーだよね」
天津風「じゃなかったら朝まで無茶苦茶キレてた大和さんが、長門さんに呼ばれた後いきなり大人しくなったりしないでしょ」
島風「あれ怖すぎだったし……っと。機雷設置部隊、後退完了です! これより補給部隊に合流します!」
大和「お疲れ様でした、後は任せてくださいね……一匹残らず吹き飛ばしてやるわ」
島風「はい! ……でもさー、やっぱりキレてるよね?」
天津風「キレてるキレてる。早いとこ行くわよ、こっちまで怒られたら敵わないわ」
――14:24――
アイオワ「fire、Fire、FIRE! 撃って撃って撃ちまくりなさい!」
榛名「着弾確認の要ありません! 同士討ちのみ注意、これだけの規模を潰せば大金星です!」
摩耶「逆にぶち破られれば今度こそ鎮守府全壊だ! 全員気張りやがれ!」
皐月「お待たせっ! 砲弾の補給、たっくさん持ってきたよ!」
アイオワ「Thank you! Full powerで行くわ!」
摩耶「気を付けろよ、袋の鼠って言うには敵が強いからな! クソが、姫なんてもん連れてきやがって!」
榛名「っ、長門さん、こちら榛名! 敵軽巡と駆逐艦数体が砲弾を抜けて鎮守府へ!」
長門『かまわん、こちらで対処する。そちらは引き続き姫と鬼の注意を引いてくれ』
榛名「了解! みなさん砲撃を続けてください! 撃て、撃て、ってー!」
――15:07――
吹雪『こちら吹雪! なんとか抑えてますけど、押し返せません!』
大和『こちら大和、敵を倒しきれない……! 左翼が崩れかねないわ!』
榛名『こちら榛名! 鬼種が押し寄せてきます! 姫種も加わってきて、戦線維持できません! 後退の許可を!』
長門「左翼には陸奥を向かわせている! 今少し、時間を稼いでくれ!」
扶桑『こちら扶桑! 新たな敵艦隊が出現、後方から戦艦一体と駆逐艦五体! 龍驤大破、神通中破! すみません、撤退します!』
長門「く……! 戦艦が抜ければ完全に穴が開く。姫はほとんど倒せず、鬼も半分残して逃がすか……ここまでか……」
提督「すまん遅れた! 長門、今すぐ抜錨しろ。アイオワ、ビスマルク、伊勢、ローマは護衛艦とともに包囲を維持したまま扶桑の穴を埋めるよう時計回りに移動!」
長門「提督! ここは任せた! 長門、抜錨する!」
大淀「後方にいる艦娘達への装備換装、抜錨も完了しました。これで鎮守府は予備隊を残して文字通りもぬけの殻ですね」
提督「こちら提督、全艦隊に告ぐ! 驚く者も多いだろうが悪いが後にしろ!」
提督「こっちは轟沈なし、敵は姫と鬼を残して壊滅。このまま逃がしても打撃を与えたには変わりない」
提督「だが、お前達の家を壊した敵をみすみす見逃せるか? お前らの中に、ぶん殴ったらそれで満足な奴がいるか?」
提督「敵は潰せ。一匹逃がせば蛆のように湧いて出る。撃滅せよ! 一切の禍根を残すな!」
提督「総員、砲雷撃戦用意! 資源も使い果たしてかまわん!」
――15:10――
熊野「ですって。わたくしはまだまだ忙しいのですけど、貴方はどうしますの?」
鈴谷「……言ってくれるじゃん。どうもなにも、やれって言われたらやるだけでしょ」
熊野「あらあら、それなら良いのですけど。さっきまで府抜けたツラでしたから、てっきり泣きべそ掻いて提督の所まで戻るかと思ってましたわ」
鈴谷「そんなの駆逐艦じゃあるまいし……っよし! 全力全開、行くしかないっしょ!」
熊野「あらまあ、本当に分かりやすい。なら競争ですわ! より多くの敵を沈めた方が提督に抱き着く権利でどうですの?」
鈴谷「いや、意味わかんないんだけど。っていうか敵って、後はほとんど鬼か姫じゃん?」
熊野「淑女たるもの姫の一匹も吹き飛ばしてナンボですわよ。ではお先に失礼しますわ!」
鈴谷「あーもー、別にいいけど勝つのは私だから! 姫でも鬼でもぶっ飛ばーす!」
――15:15――
如月「きゃあっ! う、くぅ……もう、せっかく司令官の声が聴けたのにぃ……」
睦月「如月ちゃん! こちら睦月、如月大破! 護送のため戦線離脱します!」
如月「だ、だめよぉ……司令官が、撃滅って、言ったんだもの……全部撃ち尽くすまで、休めないわぁ……」
睦月「そんなの、沈んだら元も子もないよ! 掴まって!」
如月「睦月ちゃんは、敵を……っ! だめ、離れてっ! 爆撃が来ちゃうっ!」
睦月「え、きゃ、ああああああああっ!……あ、あれ?」
天龍「ったく、何やってんだよお前ら。投げちまったらもう刀も使えなくなっちまったじゃねーか。戦えないならさっさと戻れよな」
睦月「天龍さん! あ、あの、如月ちゃんが全弾撃つまではって」
天龍「あ? あー、なら他の駆逐艦に弾渡してさっさと戻れよ。あのバカ提督、オレ達には心配させるくせに、自分が心配させられると怒りやがるからさ」
睦月「そうだよ如月ちゃん……早く戻ろう?」
如月「……そう、よね。司令官に会えなくなる方がずっと嫌……ごめんなさい。如月、離脱します」
天龍「おう。睦月は戻ってくるときに弾の補充ありったけ頼む。啖呵切りやがったんだ、出し惜しみさせんなよ」
睦月「は、はい! 大丈夫だよ如月ちゃん、如月ちゃんの分も、私が戦うから!」
如月「ふふ……そうね、ありがと」
――17:44――
長門「おおおおおおおおおっ!!!」
戦姫『カアアッ! シズメ……シズミナサイ!』
長門「ぐっ!? はは、はははっ! この程度で沈むものか! たまには、殴り合いも、悪くないッ!」
戦姫『オノレ……! ジャマ、ダ……ガッ!?』
長門「は! さすがに鼻っ面を殴られれば怯むらしいな! そら、おかわりだッ!」
戦姫『グ、ギッ!? ギ、ザマァッ! シズメテ、ヤル!』
長門「やってみろ! 伊達にこの長門、ビッグセブンと呼ばれてはいないぞ!」
長門「はははは! たまには、最前線で体を動かさないとな! ぐ、らあッ!」
――18:46――
長門『でいとく……こちら、長門、だ。敵の、戦艦棲姫を討ち取ったぞ……鬼どもも、皆が倒してくれた』
提督「ご苦労さん、一旦引いて体を休めてくれていいぞ」
長門『心配ない、と言いたいところだが難しいな。言葉に甘えさせて貰おう。では、また後で』
提督「ああ……全艦隊、こちら提督だ。長門が戦艦棲姫を撃破、これで残るは五体だ! 敵も疲弊している、現時点で戦線にいる者は包囲及び牽制を怠るな!」
神通『提督、敵は波に潜んで脱出口を探っているようです。牽制弾で押し戻してはいますが、どうしますか?』
提督「破れかぶれの突撃はありそうか?」
神通『今のところその兆候はありませんが、この状態が続けばおそらく打って出るでしょう。けど、私達もほとんど中破か大破で、とどめを撃つには……』
提督「分かった、そのまま包囲を続けてくれ」
提督「……予備隊! 後はお前たちに任せる。川内以下六名、直ちに抜錨し敵艦隊を沈めてこい!」
川内『了解! こんなに良い夜戦なんてそうそう無いからね、一匹たりとも獲物は逃がさないよ!』
望月『ぅあー、めんどくせー……一発で沈んでくんないかなー』
文月『よぉーし、頑張るよぉ~!』
提督「……というわけだ。それとも神通、お前に任せた方が良かったか?」
神通『ふふ、いいえ。こんな栄誉ある夜戦を奪われたら、姉さんしばらくふてくされてしまいますから』
――19:00――
川内「ほらほらほらっ! そんなんじゃ戦いにならないよ!」
駆姫『キャアッ! イタイ、ジャナイカッ!』
長月「酸素魚雷の力、思い知れ! 貴様らがちょっかいを出した相手がこれだ、死んでも覚えてろ!」
望月『こちら望月ぃ、敵艦の轟沈を確認ー』
望月『あとは、そっちだけだよぉ~』
川内「了解! さーて、そろそろ楽しい時間もお終いだね。何か言いたい事ある?」
駆姫『ク……ミンナ……!』
川内「お、仲間が大事だった? でも残念、喧嘩を売ったからには仕方ない。悪いとは言わないよ。当たり前の反撃だもん」
川内「じゃ、おやすみ」
駆姫『ガ……ッ! ア、アア……あ、ああ……月が、きれい……』
川内「お、夜戦の良さがわかってるじゃん。そうだよ、今日は月がとっても綺麗……もう沈んじゃったか」
川内「こちら川内。提督、敵艦隊の全滅を確認したよ」
提督『そうか。ご苦労さん、早いとこ戻ってきてくれ』
――19:05――
提督「全艦隊、こちら提督だ」
提督「現時刻をもって敵艦隊の撃滅を確認した! 我々の損害も多大なれど、轟沈は無し! 大戦果だ!」
提督「今夜は祝勝会といこう。酒も食い物も解禁とする! みんな、よくやってくれた!」
提督「入渠施設のバケツも全て開放するから、帰還次第入渠、その後運動場に来てくれ。以上、通信終わり」
提督「……やれやれ、本当に忙しい一日だったな」
大淀「ええ、まったくです。それより提督、何人もの艦娘からいろいろな問い合わせが来ていますよ」
提督「……中身は」
大淀「生きていて良かった、という娘もいれば、怒り心頭の子もいますね。上への報告は私が準備しておきますから、艦娘の説得はお任せします」
提督「おいおい……まあいいか」
大淀「あ、それともう一つ。どうしてもという艦娘がいたので、一人だけ今お会いしていただけますか?」
大淀「なにぶん一番練度の高い艦娘ですから……カッコカリとはいえ、奥さんの怒りは旦那様が解いてあげてくださいね」
大淀「それでは失礼します。ああ忙しい、これからの事を思うと、頭が痛くなりますね」
これでおしまいです。徹頭徹尾突然で尻切れトンボ。
ありがとうございました。
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