親潮「く、黒潮は~ん、どないでっか~!」龍驤「……」 (48)





親潮「そう↓です↑やねん!」

親潮「わ、私も、めっちゃ↓元気にしてまん↑ねんっ↓」

親潮「えっ、ワテ↓にたこ焼きを頂けるんですか?」

親潮「あ、ありがとうございます↑やでっ↓」

親潮「そんな黒潮さん↓、めっちゃ好き↓やねんっ↑」






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親潮「ど、どうでしょうか……」

龍驤「あのねぇ……」



龍驤「……めっちゃ、違和感感じるわッ!」バァァァァン

親潮「ひっ!」





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龍驤「なんかすんごいムズムズする!」ゾワゾワッ

龍驤「ほんまは大阪人とちゃうウチですら、どす黒いもんが心に湧き上がるくらい酷い!」ビシッ

龍驤「それはもう琵琶湖の水止められようが文句言えんレベルや!」



龍驤「3点ッ!」ドバァァァァン









親潮「……えぐっ……グスッ」

親潮「ごめんなさい……ごめんなさい……っ」ポロ…ポロ…

龍驤「げげっ……」ビクッ


龍驤「あぁも~、泣かんとってえやぁ~っ」オロオロ

龍驤「ア、アメちゃんあげるさかいっ、な?な?」

親潮「……」グスッ

龍驤「ほぉらねぶってねぶって、コロコロして~っ」

親潮「……」コロコロ…

龍驤「よ、よ~しよしっ」ナデナデ








親潮「うぅ……すみません、龍驤さん……」

親潮「私、まだまだ勉強不足で……」

龍驤「いや……こっちこそ、かんにんな」

龍驤「流石に3点は、ウチもちょっち言い過ぎやわ……」

龍驤「やし、100点中5点にしといたげる……」

親潮(あまり変わってない……)








龍驤「しっかし……困ったでぇ」

龍驤「久々に再会する黒潮と、今一度なかよーなりたいってのはよう分かる」

親潮「……」コクッ

龍驤「せやけどな、親潮」

龍驤「相手が大阪の人やから言うて……」

龍驤「そない無理して、大阪弁なんて覚えようとせんでええんやで?」

親潮「で、でも」


龍驤(てか、この子も生まれは関西の舞鶴やなかったかな……)

龍驤(まぁ生まれて早々呉に籍置いとったらしいし、細かいことはええか)








龍驤「大阪弁喋れんから相手にせん、っちゅーような心の狭い人なんてまずおらんし……」

龍驤「むしろ、変な大阪弁で喋られる方がかえってムカッてなる人多いと思うわ」

親潮「うぅ……」



龍驤「……それに」

龍驤「あれはどう考えても黒潮が悪いで……」

親潮「え、どうしてですか?」

龍驤「だって、ねぇ……?」


……
…………
………………







――2時間前


親潮(うふふ……)テクテク

親潮(黒潮さんとお会いするのは、本当に久しぶりですね)

親潮(親潮、とても嬉しいですっ)

親潮(でも……黒潮さんは私のこと、ちゃんと覚えているでしょうか……)








親潮(このドアの向こうに、黒潮さんが……)

親潮(あぁ……ちょっぴり緊張してしまいます……!)

親潮「……」ゴクリ

親潮(でも……きっと、大丈夫!)グッ


コンコン









親潮「く、黒潮さん!親潮ですっ」


親潮「す、少しだけお邪魔しても……」

黒潮『邪魔するんやったら帰ってぇ~』


親潮「ッ!」ガーン









親潮「黒潮……さん……」グスッ

親潮「も……申し訳ありませんっ!」ダッ

親潮「うわあぁんっ」タッタッタッ…


ガチャッ


黒潮「えぇっ!?」ガーン


……
…………
………………







親潮「……」シュン

龍驤「いやあんなコテコテの吉○ネタ、もはや大阪人ですら普通は使わんやろ……」

龍驤「伝わらんネタ振って勝手に滑ったあの子の責任やさかい、親潮が気にせんでもええんよ?」

親潮「……」


親潮「……でも私、黒潮さんがそういった大阪の方のノリ……というのですか?」

親潮「もし、そういったものが通じる雰囲気の方が話しやすいのでしたら……」

親潮「私が頑張って、合わせてあげられるようになりたいんです」

龍驤「むぅ」

親潮「だって、彼女はとても大切な……私のお友達ですから」ニコッ

龍驤(な、なんちゅう健気な子や……)ジーン








龍驤「そこまで言うんやったら、しゃーないなぁ」

龍驤「ウチが教えてあげられることやったら、なんでも教えたげるわっ」ニコッ

親潮「ほ、本当ですか!?」

親潮「龍驤さん、ありがとうございますっ!」

龍驤「ええんよ、おねーさんの“胸”にどーんと飛び込んでき!」



龍驤「……ところで」

龍驤「さっき親潮が言ってたあのエセ大阪弁、何がおかしいと思う?」

親潮「えっ……あれですか?」

親潮「……申し訳ありません、それがさっぱり……」シュン








龍驤「まずな、最初の方で自分……“そうですやねん”って言うとったやろ?」

親潮「は……はい」

龍驤「まず前提としておかしいんやけど、何でもかんでも“やねん”って付ける必要はないで?」

親潮「えっ、そうなんですか?」

龍驤「うん、たまーに同じ勘違いしとる人もおるんやけどな」

龍驤「あれ……意味を正すと、“そうですです”って言っとるのと同じになるんよ」

親潮「そうだったんですか……」シュン

龍驤「せやし、あの場合は“そうやねん”でええからね」

親潮「は、はいっ」

龍驤(ちなみに“せやねん”でも良かったかも……まぁこっちはあんま聞いたことないけど)








龍驤「それから……“私も、めっちゃ元気にしてまんねん”やったかな」

龍驤「“まんねん”なんて今どき、実際使っとる人なんかほとんどおらんで?」

親潮「えっ!?」ガーン

龍驤「イメージ的には確かにそれっぽいんやろーけど……」

龍驤「それこそ、コッテコテの漫才師か沢田ユ○オ先生の漫画くらいでしかもう使われんわ」

親潮「そんなぁ……」ガクッ

龍驤(なんでショック受けてんの!?)








龍驤「つ、次に……“えっ、ワテにたこ焼きを頂けるんですか”って言うとった所やけど」

龍驤「これも酷いなー……ワテなんて自称してる大阪人なんて、もはやとっくに絶滅危惧種やで」

親潮「うぅ……」

龍驤「その上こんなコテコテの一人称使っとるわりに、後半はほとんど素の自分やし」

龍驤「一人称は統一してもらわな、いかにもキャラ作っとる感じがするんよなぁ……」

龍驤「せやし、ここは“私もたこ焼きもうていいんですか?”くらいの方がまだ自然やで」

親潮「な、なるほど……」メモメモ








龍驤「残りも、“ありがとうございますやで”とか」

龍驤「“そんな黒潮さん、めっちゃ好きやねんっ”とか……」

龍驤「言わずもがな、これだってキャラ作りの一環にしか見えへんのよ」

親潮「あぁ、言われてみれば確かにそうかも……」


龍驤「“ありがとうございます”に“やで”は要らんし……」

龍驤「“めっちゃ好きやねん”も、変に使われるとなんかムズムズしてまうわ」

親潮「はいっ」

龍驤「せやし、感謝するときは素直に“ありがとうございます”か」

龍驤「少しコテコテになってもええんやったら“おおきに”とかにしといて……」

龍驤「大好きって言う時も、“ホンマ大好きっ”くらいの方が印象はええかなぁ」








龍驤「そして最後に、一番感じた違和感は……自分のイントネーションや!」

親潮「!」

龍驤「全体的に、抑揚の付け方が滅茶苦茶おかしかってん……」

龍驤「いくら文章で覚えたところで、ここを疎かにするといっぺんに台無しなるしなっ」

親潮「き、気をつけます……!」

龍驤「めんどくさいかもしれんけど、この辺はめっちゃデリケートな部分やし……」

龍驤「頑張って覚えよーな?」

親潮「はいっ!」








龍驤「ちなみに、さっきの自分の挨拶……ウチやったら」


龍驤『そう↑やねん!↓』

龍驤『ウチもめっちゃ元↑気やでっ↓』

龍驤『えっ、ウチもたこ焼きも↑ーてええ↑ん!?』

龍驤『うわーっ、おおきに↑な!』

龍驤『黒潮、ほんーっま↑大好きっ!』


龍驤「……みたいな感じかなぁ」

親潮「ふむふむ……」メモメモ

龍驤「言うても、これでもまだ違和感あるかもしれんね」

龍驤「さんざ偉そうなこと言っとるけど、ホンマはウチも大阪の人ちゃうしな……」ガクッ








龍驤「どうやろ、少しは理解できたやろか?」

親潮「はいっ、おかげさまで!」ニコッ


親潮「ただ……まだ不安はあります」

親潮「私自身がどれだけ意識をしていても……」

親潮「やっぱり頭のイメージにある凝り固まった大阪の言葉が、まだついつい出てしまいそうで」

親潮「それで黒潮さんに不安感や、違和感を与えてしまうと……」

龍驤「うーん、それはまぁそうやろなぁ」








龍驤「そしたら……その変な大阪弁の使い方というもんを、実際にその目で見てみたらどうやろ?」

親潮「えっ?」

龍驤「最近、ちょうど自分と同じように大阪弁を覚えよった子がおるんやけどな……」


龍驤「あんま間違ってはないんやけど、変に型にはまってしもうて……そのせいで大変な目に遭っとるんや」

龍驤「まぁ実際に見てみたら分かるわ……もうじき始まる頃やろうし」

親潮「?」

親潮「は、はいっ」


……
…………
………………







テクテク…


赤城「~♪」モグモグ



??「ほぉ~、美味そうにボーキ頬張ってまんなぁ……赤城はん」

??「えぇ身分でんなぁ~」

赤城「!?」ビクッ








赤城「あ、あなたは……!」ビクビク

霧島「正規空母の会の依頼で取り立てやっとる、霧島いうもんですわ」スチャ…

霧島「部屋に送らしてもうた督促、読んでくれとらへんのでっしゃろか……?」ジリ…ジリ…

赤城「さ、さぁ……なんのことやら……」

霧島「とぼけたらあきまへんでぇ!!」クワッ

赤城「ひっ……!」ビクッ


霧島「分かってはるやろうなぁ?利息はトイチ、もうこれで6か月や……よろしおまんな?」

霧島「さぁ、元ボーキと利息合わせて28,000……今すぐ払うて貰おかいッ!!」








赤城「霧島はん堪忍しておくんなはれ~っ!」ビエーッ

霧島「地獄の沙汰もボーキ次第、ゼニ(資材)が無ければ針の山から逃れられんちゅうことや」

霧島「ボーキがないのやったら……震電解体してでも作らんけぇッ!!」ドンッ

赤城「お……鬼……!霧島はんは鬼や……!」

霧島「借りたんはそっちや……」

霧島「つまりワシを鬼にしてるのは、アンタや」

霧島「世の中、爪伸ばし過ぎると剥がされるいうことですわ……」

霧島「まぁ、よ~肝に銘じときなはれや」フンッ

赤城「うっ……うぅ……」ヘナッ








霧島「……はぁ……」ガクッ




親潮「り、龍驤さん……あ、あれは一体……?」ビクビク

龍驤「あの子はなぁ……」

龍驤「双子の榛名がある日、たまたま変な関西弁を霧島に教えて遊んどったらしいんやけど……」

龍驤「それが妙にしっくり来る言うて、赤城のボーキ独占被害に悩んどった正規空母の会の目に止まってしもたんよ」

龍驤「それで、半ば強制的に雇われてあんなことを……」

親潮「あぁ……」








龍驤「あんな風に、使い方一つでおかしなイメージがついてまうのも、この言葉の魔力なんや……」

親潮「……」ゴクリ

龍驤「この辺で止めとくって言うんやったら、ウチも止めん」

龍驤「親潮の決めたことに……」

親潮「私、それでもがんばります!」

龍驤「!」

親潮「さっき申し上げたように、黒潮さんは私の大切なお友達です……」

親潮「黒潮さんともっと仲良くなるためなら、私はなんだって!」グッ

龍驤「……そか」クスッ








龍驤「ほな、ウチも親潮を徹底的にシゴいたらんとな!」

龍驤「これからめっちゃ厳しなるけど、頑張ってついてきーや!」

親潮「はいっ!」

龍驤「そしたら、まずはあの夕陽に向かって走るで~っ!」

親潮「はぁいっ!」ニコッ


タッタッタッ…



……
…………
………………







――数日後


親潮「ふふふ……」

親潮「龍驤はんの地獄のシゴキを耐えに耐え、ウチはよーやくこの日を迎えたんや……」グッ

親潮「これでウチもナニワのハイカラ都会女っ、黒潮はんと対等に話ができるっちゅうわけや!」

親潮「待ってなはれ黒潮はん!」

親潮「今度こそもう一度仲よーなって、一緒になんばウォークの洒落乙なサテンで茶ぁしばきまっせ~!」








コンコン


親潮「黒潮はん、邪魔すんで~!」

黒潮『お、親潮じゃ~ん!チーッス!』



親潮「ん?」

黒潮『へ?』


――――――――――fin―――――――――――




俺の親潮はもう一生掘れへんのやで?分かる?この罪の重さ(哲学)

ここまで読んでくださった方、楽しく書かせていただきありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年06月06日 (月) 05:07:35   ID: RjURD85R

龍驤が「~さかい」っていうのはものすごい違和感

2 :  SS好きの774さん   2016年06月10日 (金) 02:07:26   ID: hPWm_Tpb

龍驤おまゆう
けど脳内龍驤&黒潮は関西弁完璧なのよね
たまにボイス聞くと驚く

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