―レッスン室―
♪~♪~♪~
マストレ「ワン、ツー!ステップ!ステップ!」パンッパンッ
友紀「ハァッ…ハァッ…!」バッ!タンタン!
響子「ふぅ…ふぅ…!」バッ!タンタン!
菜々「ゼェー…ゼェー…」フラフラ…
マストレ「安部! 姿勢がブレてる!」
菜々「は…はぁい!フヒュー!!」フラフラ
♪~♪~♪~
マストレ「ラスト!大きくターンからのポーズ!軸足でキレイに回れ!さんはいっ!」パンッ!
友紀「フンッ!」キュッキュッ!ババッ!
響子「ハイッ!」キュッキュッ!ババッ!
菜々「ふぁ~!!あわわわ…」キュッキュ…
\ズデーン!!/
友紀「うわっ!っとぉ!?」ビクッ!
響子「きゃあ!」ビクッ!
菜々「ゼェ…ゼェ…」ピクピク…
響子「だ、大丈夫ですか?菜々さん!」
友紀「なんか泡吹いてるけど?!」
マストレ「ハァ…またか…」
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響子「はい!ドリンクどうぞ!」
菜々「でも…運動中の水分補給は体に悪いって…」
マストレ「いつの時代の話をしてるんだ?バカな事言ってないで飲め!」
菜々「は、はい…」ゴクゴク
菜々「…ふぅ~」
友紀「落ち着いた?」
菜々「はい…あの、ごめんなさい…付いていけなくて」
響子「大丈夫ですよ!私も付いていくのにやっとでした。友紀さんは動きにキレがありましたね!」
友紀「そんなことないよ~。やっと振り付け覚えたばっかりだし!ウサミンもがんばってたじゃん!」
菜々「へ…へへ?そうですかね…?」
マストレ「いいや、違うな。」
友紀「麗さん!?そりゃないよ!みんな頑張ってたよ!」
響子「そうですよ!…それは、たどたどしい部分もあったけど…」
マストレ「お前たちではない!」
マストレ「安部、お前だ」
菜々「…ふぇ?」
響子「う…」チラッ
友紀「あ…」チラッ
マストレ「今までの楽曲はなんとか付いてこれているようだが、今回はダンスで魅せる部分が多い。お前は特にダンス中心のパートになるとひどいぞ」
菜々え…えと…あの…ウ、ウサミン星人は地球に来た時に身体能力の低下が…」
マストレ「その言い訳はオーディエンスの前でも使える代物か?」
菜々「うぐっ…」
マストレ「お前がウサミン星人だろうがグルコサミン星人だろうがそんなことはどうでもいい」
友紀「言い過ぎだって!」ガバッ!
響子「友紀さん!お、落ち着いて…!」ガシッ!
マストレ「ファンはLIVEの『成功』を見に来ている。そしてその成功は出来て『当然』なんだ…失敗するLIVEをわざわざ見に来るファンがいるか?」
友紀「…」
響子「…」
菜々「…いません」
マストレ「いいか。お前たちのユニットは『元気』と『愛嬌』で推し進めていく、とプロデューサーから聞いている、そうだな?姫川」
友紀「…はい」
マストレ「もちろんLIVEに来たファンはそんなお前たちを求めてやってくるんだ。ヘロヘロ、フラフラなダンスを誰が待っているというんだ!!」
マストレ「…安部、お前が志願して入ったユニットだ。よく考えてレッスン、そしてLIVEに挑め」
菜々「…分かりました」
マストレ「今日のレッスンはここまでだ。直後のケアを怠らないように!以上」
友紀・響子「あ、ありがとうございました!」
菜々「…ありがとうございました」
-数分後、事務所廊下-
友紀「麗さんもそんなに言わなくてもいいのにさー」
響子「まぁまぁ…トレーナーさんも真剣に取り組んでくれてるってことですよ!」
友紀「でもあんなにガミガミ言わなくても…」チラッ
菜々「…」トボトボ
友紀「そんなに落ち込まなくても大丈夫だって~!これまでもLIVEずっとやって来たじゃん!」
響子「トレーナーさんも意地悪したくて言ったわけじゃないですよ!前向きに捉えましょう、菜々さん!」
菜々「…な、菜々は…」
友紀「…うん?」
響子「…はい?」
菜々「菜々は…ユニットの『お荷物』なんじゃないですか?」
友紀「…は?」
響子「…え?」
菜々「本当は、後からプロデューサーに入れてもらったくせに、ダンスも出来ないって…!バカにしてるんじゃないですか?!」
菜々「ウサミン星人(笑)とか、わ…わけわからない電波だとか!思ってるんですよね!」
友紀「ちょ、ちょっと…」
菜々「菜々みたいな!動きもトロいメンバーなんていらないでしょ!そうでしょ?!」
響子「や、やめてくだ…」
菜々「なんだったら、プロデューサーに頼んでメンバーから抜け…」
友紀「菜々さん!!」
バチィィン!!
菜々「痛っ…」
響子(今、菜々さんって…)
友紀「言っていいことと悪いことがあるよ!!で、今のは言ったら悪いことだ!」
菜々「…でも!」
友紀「まだ言うの?!今度は黄金の右でひっぱたくよ!」グググ…
菜々「やればいいじゃないですか…菜々も黙ってませんよ…!」ドンッ!
友紀「お?!やったなぁ?!」ガッ!
響子「二人ともや、やめてください…!だ、誰か…!」オロオロ
ちひろ「~♪」スタスタ
ちひろ「…?!な、なにやってるんですか!二人とも!」
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ちひろ「…で、なにがあったんですか?」
友紀「…別に」ブスー
菜々「…」
響子「えぇっと…」ソワソワ
ちひろ「あなたたち別に何もないのに取っ組み合いのケンカをするんですか?」
友紀「…」
菜々「…」
響子「…」
ちひろ「…なにがあったのか知らないけど、ちゃんと話し合いで解決してください。この件はプロデューサーさんにも報告しておきます」
ちひろ(いつも仲良しの3人がこの雰囲気…まずいわね)
ちひろ「さぁ、レッスンも終わったんでしょ?今日のところは帰って、また熱が引いてからお話ししたらどうです?」
友紀「…お疲れ様でした」
菜々「…」ペコッ
響子「あ、あの…お、お疲れ様でした!」ペコッ
-ウサミン星付近、道路-
菜々「…」トボトボ
菜々(何やってるんだろう…あんな事言っちゃって…)
友紀『言っていいことと悪いことがあるよ!!で、今のは言ったら悪いことだ!』
響子『トレーナーさんも意地悪したくて言ったわけじゃないですよ!前向きに捉えましょう、菜々さん!』
菜々(皆私のこと気にしてくれてるのに…ワガママなのは私だけ…)
菜々「…」ポロポロ
菜々(やっとアイドルになれたのに…)ポロポロ
菜々(やっと…夢がかなったのに…!)
菜々「…」ゴシゴシ
菜々「…帰ろ」トボトボ
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ガチャ
菜々「お、おはようございます…」
\アハハハ…/
菜々「…?あ、あの~…?」
P「お、菜々か、おはよう」ニコニコ
菜々「お、おはようございます、プロデューサーさん…」
友紀「あ、おっはよ~!ウサミン!」ニコニコ
菜々「…?!お、おはようございます」
響子「おはようございます!菜々さん!」ニコニコ
P「菜々も来たことだし、早速話をしようか」ニヤリ
菜々「話…?」
友紀「いいから~こっちこっち!」グイグイ
響子「ウフフフ…」グイグイ
菜々「ちょ、い、痛いですから!自分で歩けます~!」ズルズル
-会議室-
P「よ~し、じゃあ話すぞ」
菜々「あ、あの…プロデューサーさん…」
P「ん?なんだ?」
菜々「き、昨日の事なんですけど…」
友紀「『もう』いいのいいの!こっちもゴメンね!」ニコニコ
菜々「は、はぁ…」
P「おぅ、聞いてるぞ。『別に大丈夫だ』」ニヤニヤ
菜々「え…?ひ、姫川さんもプロデューサーさんも何か言葉に棘がないですか?」ゾクゾク
響子「まぁまぁ、気にしなくてもいいじゃないですか!『どうせ』!」ニコッ
菜々「きょ、響子ちゃんまで…」ブルブル
P「それじゃあそろそろ本題に入るぞ」
P「菜々にはユニットを抜けてもらう!」
菜々「…はい?」
友紀「やっぱりかぁ!ま、仕方ないよね!」ケラケラ
響子「ウフフ!…そうですよね~!仕方ない、仕方ない!」
菜々「え?!ちょ、ちょっと待って…」アタフタ
P「ん?なんだ?お前が抜けたいって言ったんだろ?」
菜々「え、えぇっと…昨日のは言葉の綾、というか…」
友紀「はぁ?」ギロッ
菜々「ひっ!…こ、怖いですよ姫川さん…」
友紀「何?勢いだけで『抜けたい』とか言ってたの?ふざけてるの?」ズイッ!
響子「こっちは心配してたのに…幻滅ですよ、菜々さん」シラー
菜々「え…え?み、皆今日は何かおかしくないですか?!」オロオロ
P「冗談って言われてもなぁ…もう正式に離脱をさせるつもりでいるんだが…」
菜々「」
P「今回の曲は渾身の出来だと作曲家さんも言っていたんだ…付いてこれないメンバーはちょっとなぁ…」
友紀「そうそう!フラフラなダンスしか出来ないようなメンバーなんていらないよ!」
響子「足を引っ張られる身にもなってくださいね、菜々さん」フフフ
菜々「じょ、冗談はやめてください!…しかも微妙に響子ちゃんの言葉はえげつない!」
P「まぁ離脱は決定してるから!あと…そうだな、プロダクションも辞めてもらう」
菜々「?!」
P「弱音吐くアイドルなんていらないし、明日から来なくてもいいぞ」アッサリ
友紀「寂しくなるね~!まぁ、次もがんばって!」
響子「プロデューサーさん!次のメンバーも決まってるんですよね!紹介してください!」
P「そうだな!…じゃあ菜々さん今までお疲れさまでした!」
菜々「ちょ、ホントに待って…こんなの…嫌だぁぁぁぁ!!」
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-早朝、ウサミン星-
菜々「フゴ?!」ガバッ!
チュン、チュン…
菜々「…」ボー
菜々「夢…?」ゴシゴシ
菜々「…」チラッ
張り紙<目指せ!トップアイドル! ウサミン ~追記:ユニット全員で!~>
菜々(…)ジィー
菜々「…よし」
ガバッ!
菜々「…」ガサガサ
菜々「…あった」
-レッスン室-
カチャ、キィ~
パチッ、チカチカチカッ!
菜々「…」テクテク…ストッ
菜々「え~っと…」ゴソゴソ
<よくわかる!ダンス特訓>
<体力維持のコツ!~目指せスタミナマスター~>
菜々「…」ペラペラ
菜々「…ふむふむ」ペラペラ
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-30分後-
P「あ~!すがすがしい朝だ!」スタスタ
P「さぁて、今日も一日頑張って…ん?」
…ハッ!…トォ!
P「誰だ?…まだ7時だぞ?」コソコソ
菜々「…フンッ!…やあ!」バッ!バッ!
P「…」
菜々「ぬぬぬ~!キャハッ!」クルクルクル…バッ!
P(…ふむ)
ちひろ『あのユニットが喧嘩するなんて…きっと彼女達なりに壁にぶつかったのでは、と…』
マストレ『少し心無い物言いをしたかも知れない、だがそれすらもバネに飛躍する力を持っていると私は信じているよ』
P(…やっぱり最高のユニットだよ、見込んだ通り)カチャ…
P「…」ソォー…
菜々「ハッ!…むん!」タンタンタン!ババッ!
P「…少しだけ貸しとくからな」ボソッ
カシャ
P「…」ソォー
カチャ…パタン…
菜々「ハァ…ハァ…えぇーい!」
友紀「ねむ~!…プロデューサーも突然『レッスン室に来い』って電話してきてなんのつもりかなぁ?」
響子「ホントになんでしょうか?…菜々さんの事ですかね」
友紀「…本気で辞めるつもりじゃないだろうね」
響子「それは…あれ?」
友紀「ん~?…なんかウサミンの声しない?」
ガチャ
菜々「ハッ!トォ!」
友紀「ウサミン…!」
響子「な、菜々さん…」
菜々「ほいっ!…っつぁぁぁ?!」フラフラ…
\ステーン!/
友紀「お!おぉぉ?!」ダダダッ
響子「だ、大丈夫ですか?!」ダダダッ
菜々「ハァハァ…あれ、二人とも…?」
友紀「こ、こんな時間からなにやってんの?!」
響子「無茶しないでください!」
菜々「あの、菜々は…」
友紀「な、何?」
響子「はい?」
菜々「菜々は…友紀さんと、響子ちゃんと、アイドルしたいです…!!」
菜々「頑張ってダンスも覚えるから…一緒にトップアイドルになりたいんです…!」
友紀「…どうしたの突然…ははっ…バカみたい…!」グスッ
響子「菜々さん…私達もですよ…グスッ」
菜々「だから…菜々も二人に置いて行かれないように…自主練習を…」
友紀「ウサミン…みずくさいよ!あたし達も一緒にやるよ!」
響子「そうですよ!私たちは3人でユニットなんですからね!」
菜々「…菜々、このユニットにいても良いんですよね?」
友紀「あったりまえじゃん!」
響子「もちろん♪」
菜々「うぅぅ…」
菜々「菜々、頑張っちゃいますよー!ウッサミ~ン!」カツッ!
菜々「…ん?」ヒョイ
友紀「なにそれ?」
響子「CDケース、ですか?」
<姫川、五十嵐、安部 新曲本音源>
菜々「これ…今度の新曲の音源…」
友紀「本音源って…プロデューサーしか持ってないよね。借りたの?」
菜々「…いえ、今日はプロデューサーには…」クルッ
<ちゃんと仲直りしなさい P>
友紀「なんか書いてあ…る…?」
響子「Pさん…」
菜々「…二人とも、昨日は取り乱してすみませんでした、ごめんなさい」ペコッ
友紀「…あたしも叩いたりしてゴメンね、ウサミン」ペコッ
響子「…あはっ!これでまた仲良しですよね!」ニコニコ
菜々「…な、なんか恥ずかしいですね!こんなの高校生の頃…今現在!17歳ですから!つい最近経験しましたね~!」
友紀「なんか文法おかしーよウサミン」ハハハ
響子「せっかく音源も借りたんだし!通してやってみましょうか?」
菜々「あ!最後の部分!教えてください!」
友紀「よ~し!バッチリ踊れるようになって麗さんをビックリさせちゃおう♪」
\あはははは…/
-事務所-
ちひろ「おはようございます、プロデューサーさん」
P「おはようございます」カタカタ…
ちひろ「あの…昨日の件なんですが…」
P「ん?あぁ…大丈夫じゃないですか?」
ちひろ「え?ど、どういうことです?」
P「大丈夫、大丈夫。ははは…」カタカタ…
ちひろ「???」
おわり
終わりです。ありがとうございました。
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