飛鳥「どうしてボクは″くん″付けされるのか」 (106)
P「……」
飛鳥「……」
P「え、俺? 俺に振ってるの?」
飛鳥「うん」
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P「どうしてと言われても、そう呼びたい人がいるからとしか」
飛鳥「その理由を尋ねているつもりなんだが」
P「俺は別に飛鳥を飛鳥としか呼ばないからわからないよ」
飛鳥「それもそうか……いや、プロデューサーなら担当アイドルのことくらい誰よりも解っているべきじゃないか?」
P「一理ある」
飛鳥「じゃあ考えてみてくれ。ボクのどの辺に″くん″付け要素があると思う?」
P「うーん……。>>4、とか」
男の娘っぽさ
飛鳥「男……の子……?」
P「違う違う、男の娘。ムスメと書いてコ」
飛鳥「……参考までに、それってどう違うんだい?」
P「前者の男の子は読んで字の如く、だな」
飛鳥「だろうね。後者は?」
P「主に女の子のような容姿の男を言う。だいたい内面も女性的な場合が多いけど」
飛鳥「やっぱり男じゃないかっ!」
P「まあ待てまあ待て」
P「知っているか? 今はもうあまり声を聞かなくなったけど、幸子にも男の娘説が唱えられていたんだ」
飛鳥「幸子が?」
P「ああ。だから飛鳥もそのうち男の娘っぽく見られないないようになるさ」
飛鳥「うん……うん? ところで何故ボクが男の娘っぽいと判断されるんだい?」
P「それはまあ、いろいろあるんだろう」
飛鳥「投げ出さないでくれ。ボクと幸子に共通する何かがその男の娘という解を導いたというなら、共通項を示して貰おうじゃないか」
P「んー、>>7とか?」
僕呼び
P「やっぱり自分をボク呼びしてるのが2人の共通点かなと」
飛鳥「つまり一人称がボクなだけで男の娘? 安直すぎやしないか?」
P「俺に言われても……。それ以外にも理由あるかもしれないし」
飛鳥(なんだかすっきりしないな。さてどうするか――>>11)
①自分と幸子の共通項をもう一度問い直す
②他に″くん″付けされる要因を尋ねる
1
飛鳥「他にも何かあるはずだ。というより、それだけでその扱いはどうかと思う」
P「あんまり気にするなよ、俺が今考えただけのことだし」
飛鳥「せめてもう一つ提示して欲しいな。ボクと幸子の共通項を」
P「え、また俺?」
飛鳥「他に誰がいるのさ」
P「と言われてもなあ…………>>14?」
髪が短い
飛鳥「髪?」
P「短めだとさ、ボーイッシュに見えるじゃん」
飛鳥「それはそうかもしれないが、ボクや幸子に限る話ではないよね」
P「まあ……うん」
飛鳥「むしろボクらよりよほど短い人だっているような」
P「……」
飛鳥「P?」
P「はい」
飛鳥「Pは髪の短い人はあまり女性として見れなかったりするのかな」
P「すみませんでしt……え?」
飛鳥「え? とはなんだよ」
P「てっきり的外れだって怒られるものかと」
飛鳥「外れてはいないだろう。ただ今回はその的が大き過ぎたってだけさ。それで、どうなんだい」
P「どうなんだい、とは」
飛鳥「髪が短めだと、Pはあまり女性として意識しないのかということだよ」
P「……。どうして今それを?」
飛鳥「別に。まぁ、参考までに」
P「そ、そう? そうだなあ、髪か。俺は>>19かな」
↑
P「飛鳥が好きかな」
飛鳥「……えっ」
P「俺個人としては、飛鳥ぐらいの長さが好きだよ」
飛鳥「あ、あぁ……そういうことか。……急に何を言い出すかと思えば……まったく」 フイッ
P(よくわからんがそっぽを向かれた。怒ってるのかな)
飛鳥「……まぁ、いいよ。本題に戻ろう。幸子のことはとりあえず置いておくとして、どうしてボクは″くん″付けされるのだろう」
P(しかしまわりこまれてしまった)
飛鳥「可及的速やかに原因を突きとめよう。いいね?」
P(しかもさっきよりやる気でいらっしゃる)
飛鳥「それで、他に意見はないかい?」
P「俺に求められても」
飛鳥「いいから早く」
P「ぐぬぬ……じゃあ、>>24とか」
蘭子とカップリング妄想するファンの方々の影響
飛鳥「ん?」
P「あすらんとかよく言われてるじゃないか。年も同じ、そして似たようなものを患っている者同士、ユニットも組んでるしいろいろ妄想がはかどるわけだ」
飛鳥「……」
P「で、カップリングにした時、きっと飛鳥を攻めというか男役に見立てる人が多くて、そういうイメージが定着したんじゃないかと」
飛鳥「…………。一ついいかな」
P「どうぞ」
飛鳥「自分がそういう妄想の捌け口にされるのって、なんというか全身の毛が逆立つような感覚に陥るね」
P「言いたいことはわからなくもない」
飛鳥「くっ、人の業はかくも深いというのか……そうだ蘭子、蘭子はこのことを知っているのかい?」
P「飛鳥とのカップリング妄想をよくされていることをか?」
飛鳥「当たり前だろう。蘭子だってそう簡単に受け入れられるものではないはずだ」
P「いや、それが……」
飛鳥「?」
P「むしろ喜んでる節がある、ように思えなくもない」
飛鳥「」
飛鳥「ちょっ、何を言ってるんだ、キミは」
P「……。俺の勘違いならそれでいいんだ、うん」
飛鳥「まさか根拠があったとでも……?」
P「もうやめようか、この話は」
飛鳥「ここでやめたらボクは明日からどう蘭子と接したらいいかわからないよ」
P「話を聞いたら聞いたで接し方わからなくなるかもしれないぞ」
飛鳥「……フッ、甘く見ないでくれ。もう遅いのさ。だが目の前に蜘蛛の糸が垂らされているなら手に取り昇ってみるしかないだろう?」
P(つまり俺の勘違いという可能性に賭けたいってことだな)
飛鳥「さて、P。キミは何を以て蘭子がボクとのカップリング妄想を喜んでいたと判断するに至ったんだい? 答えてくれるね」
P「いいけどさ。>>31ってことがあって」
蘭子のノートに飛鳥と蘭子が全裸で絡み合ってる絵があった。
飛鳥「……………………」
P「ラフ画っていうのか? 俺が見た時はまだ下書きっていうか、顔もブリュンヒルデだったしシュールな絵だなと思ったもんだけど」
飛鳥「今ごろ裸婦画になっているというわけか……」
P「そういえばダークイルミネイトでもっと仕事がしたいって蘭子にせがまれるようになったのもその絵を見た頃からだ」
飛鳥「解散しよう。慎ましく」
P「大丈夫大丈夫、蘭子が飛鳥に直接何かしようってことはないと思うし」
飛鳥「どうしてそう言い切れる?」
P「何かちょっかい出されたりしてないなら、蘭子は妄想を絵にすることで満足できてるんだろう。まあ飛鳥から手を出せば傷ついた悪姫もたちまち子猫ちゃんに転生よ」
飛鳥「出さないよ! ボクにそんな趣味はない」
P「とにかく、妄想くらいはさせてやってくれ。根は素直な良い子なのは知ってるだろう? 間違いはおかさないさ」
飛鳥「……。なんか、ずるいな」
P「聞かない方がよかった?」
飛鳥「いや、どうせ背負うなら得体の知れない恐怖より、余計な気苦労の方がマシ……かもね。うん」
P「じゃあダークイルミネイトとしての仕事をガンガン取ってきても?」
飛鳥「それはもう少し待って」
P「はい」
飛鳥「そうか、だから頑なにスケッチブックを見せてくれなかったのか。蘭子」
P「俺も盗み見たようなもんだからな」
飛鳥「蓋を開ければとんだ魔境に繋がっていそうだ……そこで、なんだが」
P「ん?」
飛鳥「あれを見てくれ」
P「あれは……蘭子のカバンか。隙間から見えるのはスケッチブックかな?」
飛鳥「……最後に希望が残るなんて思えないけど、あのパンドラの箱を開けてみてくれないか? もしかしたら一時の気の迷いだったかもしれないだろう?」
P「お前がそんな希望的観測をするなんて、よほど追いつめられてるんだな」
飛鳥「天からの一縷の望みは先ほど塵芥と消えてしまったからね。もうなりふり構わないことにしたよ」
P「そうか……わかった。正直俺も怖いもの見たさというか、あの後蘭子がどこまでいってしまったのか気にはなる」
飛鳥「さあ、行くんだP。あ、でもあまり方向性が変わってないようならさっさと閉じてくれよ?」
P「どうして?」
飛鳥「どうしてって……たとえ妄想を具現化させた絵だろうと、見られたくないものだってボクにもあるさ」
P(自分が裸にされてる絵なんてそりゃ見られたくないよな、だったら自分で確認すればいいのに)
P「じゃあ、ちょっと失敬して……いくぞ」
他のページに何が描かれてた?
>>46
上
P「……」 パタン
飛鳥「……だめだったか」
P「とりあえず、蘭子が飛鳥のこと凄く好きなんだなってことはわかった」
飛鳥「ボクはますます複雑な心境になっていくんだが」
P「もしかしたら蘭子自身あすらんを流行らせようとしてるんじゃないかまである」
飛鳥「え……マッチポンプ? ん? この場合なんて表現するのが正しいんだろう」
P「蘭子があすらんを流行らせる→飛鳥に″くん″付けされるようなイメージが定着する→そんなダークイルミネイトにいつもとは違う方面から新しい仕事が舞い降りる→蘭子大勝利……全ては繋がっていたんだよ」
飛鳥「なにそれこわい」
P「というわけで、魔王を打ち倒せば平和を取り戻せるんじゃないか?」
飛鳥「うーん……そんな安易に結びつけていいものなんだろうか」
P「どうするかは飛鳥の自由だけども。じゃあそろそろ俺は仕事の続きを」
飛鳥「待った、もう少し付き合ってくれ。それだけが原因なはずはないんだ」
P「……まあ、蘭子一人の力で飛鳥のイメージを世間に定着させるってのは普通は無理だわな」
飛鳥「きっと他に″くん″付けされるような何かがあるんだと思う。ボク自身に秘められた何かがね」
P「とは言っても、俺にはもう思いつかないぞ?」
飛鳥「キミなら出来るさ。二宮飛鳥を誰よりも知っているはずのキミなら」
P「ハードルも上げるか……。えっと…………じゃあ、>>50」
名前が中性的な上、中二がラノベ主人公っぽいから
P「飛鳥って名前は男女両用で″くん″付けでも違和感ないのと、お前自身がラノベ主人公っぽい中二っぷりだからかな」
飛鳥「」
P「あ、でもハ○ヒの佐々木なんかは飛鳥系だよな」
飛鳥「……か、勝手に人をカテゴリーとして扱わないでもらおうか」
P「ちなみに佐々木は男子相手にだけ飛鳥みたいな口調で喋るんだっけ。飛鳥の口調も男性的というか中性的というか、一人称まで男性的な喋り方の女の子はそういないだろう」
飛鳥「否定はしないが……」
P「お、ということは黙ってればただの美少女でいられたのかも?」
飛鳥「ワケありみたいに言わないでくれないかな」
P「ブギー○ップなんかもそうだよな。あれは本体(?)が女の子ではあるけど摑みどころのない存在としていろいろ中性的って表現されてる。見た目はあまり関係ないってことだな」
飛鳥「キミ、結構読んでるのかい? ライトノベル」
P「なるほど見えてきたぞ。飛鳥のそのいろんな中性的要素が″くん″付けを容認させているんじゃあないか?」
飛鳥「中性的……か。そんなつもりはなかったけれど、そう受け取られていたならそういうことなんだろう。ふむ……」
P(あれ、勢いに任せてみたら意外と核心に迫っていたのかもしれないな?)
飛鳥「中性的……中性的とはいったい……」
P「あまり思い悩むなよ。飛鳥は飛鳥だろう?」
飛鳥「そうは言っても、ボクがボクである限り″くん″付けもやまないってことじゃないか」
P「それは、たしかに」
飛鳥「辿り着いた答えがこれなんだとしたら、なんとも皮肉な話だね……」
P「……。飛鳥は″くん″付けされるのが嫌か? それで原因を探っていた?」
飛鳥「え?」
P「いいじゃないか言いたい奴には言わせておけば。そういうヤツじゃなかったのか、飛鳥はさ」
飛鳥(嫌かどうか、か。……盲点だった。ボクはそれが気に入らなくて理由を探していたんだろうか?)
飛鳥「ボクは――>>58」
Pの好みを知りたかった
飛鳥「ボクは――Pの好みを知りたかった、それだけなのかもしれない」
P「好み? 俺の? え、どういう?」
飛鳥「キミが導いてくれたアイドルの世界で、ボクはPの思い描く二宮飛鳥になれているか? ということさ」
P「??」
飛鳥「さっき言ったよね。二宮飛鳥はそういうヤツじゃなかったか、と。キミの中にあるボクという偶像がファンに、あるいはセカイに、ちゃんと映し出されているのかどうか。それこそをボクは知りたかったんじゃないかなって」
P「俺の好みがそんな小難しい理由に結び付くのか……」
飛鳥「今のボクはPのプロデュースによって再構築された存在でもあるんだ。キミの導きにより″くん″付けをされるようになることが運命付けられていたのなら、それでいい」
P「あー、つまりー…………飛鳥が″くん″付けされるようになるのは、俺のプロデュース方針に想定されていたものなのかってこと?」
飛鳥「そう、だね。キミがそう求めるのなら、ボクはそれを受け入れよう」
P(結果的にそうなったとか言えない雰囲気だ……)
飛鳥「それで、どうなんだい? ボクが″くん″付けされているのはキミの望むセカイの在り方なのかな」
P「えっとー、そうだなー…………>>63」
貧乳で中性的なら君呼びされるようにしてる。ちなみに俺はくるみや雫みたいな娘がタイプだ。
P「実は、貧乳で中性的なアイドルは″くん″付けでも親しまれるように狙ってるんだ。事務所の方針で」
飛鳥「えっ」
P「ついでに言うと、俺の好みはくるみとか雫のような、あとは分かるな?」
飛鳥「……P?」
P「そういうわけだから、もうこの話は終わりにしよう。俺もそろそろ現場に向かわなきゃ」
飛鳥「う、嘘だ。なあ……P、つまらない冗談を軽く流せるほど、ボクは出来た人間じゃないんだよ……」
P「飛鳥、悪いな。俺は事務所にもおっぱいにも逆らえない男だったんだ。じゃあ俺、もう行くよ」
飛鳥「違う……違う違う違う、違う…………こんなの、Pのはずがない……」 ブツブツ
P(……さすがに言い過ぎたな。仕事が終わったら、うん。謝ろう)
飛鳥「…………セカイは、Pは、道化に過ぎなかったボクをずっと嘲け笑っていたというのか……?」 ブツブツ
その夜
?『――ああ、電話してもずっと繋がらなくてさ。もし飛鳥を見かけたら俺が謝りたがってたと伝えておいてくれ』
??「……解ったわ。我が友の言伝、その贖罪の意思、確かに伝えよう」
?『助かる。それじゃあ、気をつけて帰るんだぞ』
??「ええ……」 ツー ツー
飛鳥「終わったかい? 蘭子」
蘭子「う、うん。プロデューサーが飛鳥ちゃんに謝りたいって」
飛鳥「ふぅん。何を謝ろうというんだろうね。持たざる者に同情でもするつもりなのかな」
蘭子「?? あの、飛鳥ちゃん……」 モジモジ
飛鳥「ん?」
蘭子「えと、私に用があるって、言ってたよね? 何、かな……暗くなってきたし、こんな人通りの少ないところで」
飛鳥「……。先に謝っておくよ、蘭子。これからボクの身勝手に付き合ってもらうつもりだから」
蘭子「そう、なの? わ、私に出来ることなら何でも言って!」
飛鳥「ああ、助かる。ありがとう、蘭子」 スッ
蘭子「!?!? ひゃっ、ち、近っ……!」
飛鳥(そうさ、全ては繋がっていたんだ。蘭子もまたPの手のひらで踊らされていたに過ぎなかった)
飛鳥(蘭子にあって、ボクにないモノ。……彼は大きい方が好きなようだから、蘭子の成長性を高めるべくしてあすらんなんてものが仕組まれていたのだとすれば。蘭子ではなく、彼らが闇に隠れつつ率先的にあすらんを流布させていたのだとしたら)
飛鳥「フッ、いつもの調子はどうしたんだい、お姫様?」
蘭子「だ、だって、だってええぇぇっ……!」
飛鳥(……P、ボクは敢えてキミ達の思惑に乗ってあげる。だがただの道化で終わるつもりなんてないよ。セカイがボクを否定するなら、ボクもセカイを否定しよう)
飛鳥(蘭子、すまない。キミの踏み台になるはずだったボクは、何も知らないキミをこれから踏み台にしようとしている。ボクの嫌いな大人のやり方さ――だけど)
飛鳥「さあ、キミが隠しているもの、見せてもらおうか」
蘭子「あっ――――」
飛鳥(どうしたらそんなに大きく育つのか、その秘密を……!)
その夜、
紅蓮の夜姫はアブソリュート・ゼロして春暁の紅姫になった――
飛鳥(――あの日、セカイを否定してから幾つの夜を迎えただろう)
飛鳥(永く、遥かな旅路だったように感じるし、刹那に過ぎ去っていったようにも思う)
飛鳥(その過程でボクが得たものをここに記し、この物語の幕切れとしようか)
飛鳥(そうだな……まずは蘭子の話をしよう。あれからボクと蘭子は>>76で、今は>>80といったところかな)
夫婦
離婚調停中
飛鳥(そう、ダークイルミネイト、というよりあすらんの人気が思いの外伸びてしまってね。もはや夫婦扱いされるようになってから、事務所が悪ノリして公式設定にしてしまったんだ)
飛鳥(何を言ってるのかわからない? 当時のボクはヤケになっていて気付かなかったけど、本当にその通りだと思う)
飛鳥(そして今は飽きられまいと、第2章ということでボクら夫婦の仲は離婚調停に至るほど危機的状況だそうだ。原因は蘭子というものがありながら、ボクが他のアイドルに魔の手を差し向けた、だったかな)
飛鳥(そう、設定の話。設定のはずだった。どうやら蘭子はそうは思っていないようで、裁きの庭でボクを待っているとかなんとか)
飛鳥(これは……無垢だった彼女を利用したボクへの罰なのだろう。そういうことにしておく。ボクと蘭子についてはこんなところだね)
飛鳥(さて次は、蘭子を利用してまでセカイに抗ったボクの末路について。結局ボクの胸は>>87)
つるぺったん
飛鳥(……蘭子の夫をしている時点で答えは出ていたか。今もボクは″くん″付けされているよ。Pが言っていた通りの人材、それがボクの抗いきれない運命だったのさ)
飛鳥(天は二物を与えないという。ボクは与えられなかったモノの代わりに何を授けられているのだろうね。蘭子はそれはもう健やかに育ったというのに)
飛鳥(まぁ、いいさ。キミらが敗者を嗤おうというなら、存分にそうしてくれて構わない。ボクは戦い、抗い、敗れた。その事実は変えようがないのだから)
飛鳥(だがただで膝を屈したつもりもない。最後に彼……Pについてだ)
飛鳥(たしかにしばらくはボクの方からPを避けていた。でも今は違う。>>91ということがあってから、ボクとPは>>95なんだ)
性戦
飛鳥をトップアイドルにした
飛鳥(あれはいつだったか、主にアルコールだけどいろいろな要因もあってついに理性を失ったPがアイドル達の胸を思いのままにしようと荒れ狂ったんだ。後に性戦と呼ばれることになった、ってそれはどうでもいいね)
飛鳥(とはいえ足元もおぼつかない状態の人間に追い掛けられても捕まるヤツなんてそういないし、むしろ騒ぎに便乗した愛海による被害の方が甚大だったけど、それもどうでもいいな)
飛鳥(PはPで明らかに胸が大きいアイドルにしか見向きもしなくて、その時見向きされなかったアイドル達はきっとボクと同じ業を背負ったのだろう)
飛鳥(一足先に背負っていたボクしか、まともに動けて且つ被害を受けずに彼に近付いて止められそうなヤツはいなかった)
飛鳥(だから仕方なく、ボクは止めに入った。止めることは簡単だった。元よりいつ倒れ込んでもおかしくないような歩調なんだから)
飛鳥(ただ、まぁ。それでも身体はボクよりよほど大きな相手だ。急に全体重をこちらへ預けられて支えきれるわけもなく、必然のようにボクらは倒れ――)
飛鳥(漫画やアニメによくある展開のように、ボクを押し倒しながら胸まで触る形で体勢を崩したPが)
P『……これからはシンデレラバストの時代だ』
飛鳥(とか小声で口走った瞬間、ボクを助けようと蘭子が思いっきり助走をつけた勢いでPの股間を蹴り上げて騒ぎの元凶は撃沈し、多くの者に傷を残して性戦は終わりを告げた)
飛鳥(ボクはセカイへの抵抗にこそ敗れはしたが、Pに新たな趣向を目覚めさせることは出来たらしい)
飛鳥(それをキッカケにボク達の関係は改善され、おぼろげながらボクを押し倒すようなことになったことも覚えているのか、プロデュースという形でPはボクへの謝罪の意を表したのさ)
飛鳥(おかげで今、ボクはトップアイドルという存在としてこのセカイに降り立っている)
飛鳥(あの時ボクが望んだモノは手に入らなかったし、今も″くん″付けされているけれど)
飛鳥(Pがボクを″飛鳥″と呼んでくれるなら、そんなの些細なことなんだ。ボクはようやく自分自身を取り戻せた気がするよ)
飛鳥(……こんなところか。これでボクの物語は幕を引こうと思う)
飛鳥(これでも忙しい身でね。仕事も増えたし、裁判所まで蘭子を迎えに行かなきゃいけないんだ)
飛鳥(早く済ませて、ボクを″飛鳥″と呼んでくれる人のもとへ戻りたいし――ね)
終わり
リハビリがてら気軽に書きました
楽しかった(小並感)
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