飛鳥「キミと一緒に」 (21)
・蘭子は普段は標準語喋ろうとしてるけどテンションあがると熊本弁になっちゃう設定
・中学生は合法
・Co14歳の4人が女子寮で同室だったりする
以上の点をご了承くださいませ
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飛鳥(ボクがアイドルとして活動を始めてから早いものでもう半年が過ぎようとしている)
飛鳥(長いようで短く、短いようで長い。半年とはそれくらいの時間だろう)
飛鳥(そんな時間を飽きることもなく過ごしてこれたのはきっと―――)
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ガチャ
飛鳥「おはようございま――」
蘭子「翼を抱きし羽鳥よおおお!!」(ガバッ
(飛鳥ちゃああああん!!!!)
飛鳥「むぐっ…んーっ! んーっ!!」
蘭子「照らし示すは闇の宿命! 永き時が…今此処に満ちた!!」(ギューッ
(やったよ! ついに…ついにやったんだよ!)
モバP「落ち着け蘭子。あと多分飛鳥が呼吸できてないから一旦離してやれ」
蘭子「あっ…ご、ごめんね飛鳥ちゃん! 大丈夫?」
飛鳥「ぷはっ…ま、まあなんとかね…それで一体何事かな?」
モバP「ああ、ほら、近々大規模なイベントがあるだろ?」
飛鳥「そうだね。たしか渋谷先輩のシンデレラガール記念…だったっけ? 蘭子はその関連で今日は早めに出たって聞いたけど」
モバP「そうそう。で、そのイベント期間中にいくつかそれなりの規模のライブがあるんだが…」
飛鳥「ふうん。流石シンデレラガール、ってところかな。それほどの規模の祭典を催すとはね」
モバP「他人事じゃないぞ飛鳥。その中の最初のライブでお前と蘭子のユニットでメインを張ってもらうことになった」
飛鳥「……へ?」
モバP「なんだ、気の抜けたような返事だな。もっとわかりやすく言ってやろうか?」
飛鳥「いや……ちょっと待ってくれないかな、頭の整理が追いつかなくて…」
モバP「まあ要するに、だ」
モバP「初の大舞台だ。おめでとう飛鳥」
飛鳥「あ…うん……」
モバP「まあまだ実感がわかないかもしれないけどまずは今日のレッスンだな。車の準備しとくから支度できたら降りてこいよー」
ガチャ、コツコツ・・・
飛鳥「……」(ボーッ
蘭子「飛鳥ちゃん?」
飛鳥「……」(ボーッ
蘭子「おーい飛鳥ちゃーん」(ヒラヒラ
飛鳥「……えへへ……」(ニヤニヤ
蘭子「」(キューン
飛鳥「…おっと、すまないね蘭子。ちょっとぼーっとしてたみ」
蘭子「飛鳥ちゃーん!!」(ギューッ
飛鳥「むぐっ…ちょ、蘭子…苦し…」
蘭子「頑張ろうね、飛鳥ちゃん。絶対成功させよう!」
飛鳥「…うん、そうだね。頑張ろう」
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トレ「はい、今日はここまで! また明日も同じメニューをやるからちゃんと体休めてね!」
蘭子「はぁっ、はぁっ…や、闇、飲ま、よ!」
(お、お疲、様、で…)
飛鳥「はぁっ…はぁっ…お、お疲れ様…」
蘭子「…飛鳥ちゃ、大丈夫…?」
飛鳥「蘭子、こそ…とりあえ、水……」(スッ
蘭子「ありがと…んっ」(コクコク
飛鳥「…ふう。ちょっと落ち着いたかな…それにしても今日のレッスンは随分とハードだったね?」
蘭子「ぷはっ…そうだねー…それだけ今回のライブが大事ってことなのかな?」
飛鳥「ライブ、か……ねえ蘭子。今回ボクとユニットを組むって聞いた時どう思った?」
蘭子「んー? もちろん嬉しかったよ! 飛鳥ちゃんと一緒にやれたら、ってずっと楽しみにしてたもん!」
飛鳥「……そっか」
蘭子「飛鳥ちゃんはどう?」
飛鳥「ボクかい? そうだね…正直なところ嬉しい、というより先に不安に思ったかな」
蘭子「不安…?」
飛鳥「ああ、蘭子に対してじゃないよ、心配しなくていい」
飛鳥「今まで大きな舞台に立ったことがなかったからね。ボクには荷が重いんじゃないかと、そう思ったんだ」
飛鳥「…ましてや今回、蘭子と2人とはいえ突然メインをやれ、と言われたからね」
蘭子「…そっか、そうだよね。初めてのライブでいきなりこんな大きな舞台なんて言われたらやっぱり緊張するよね」
飛鳥「まあ…そのあたりはボクも並の感性しか持ってなかったということかな」
蘭子「私も初めてのライブの時はすごく緊張したなあ…でもね、飛鳥ちゃん。その時にプロデューサーが私にこう言ってくれたの」
蘭子「『蘭子ならきっと出来る。俺はそう信じてる。だから自分が信じられなくなったときは蘭子を信じる俺を信じろ』…って」
飛鳥「プロデューサーが…?」
蘭子「うん! そのおかげで頑張ろう、って思えてそのライブの時は上手くやれたの!」
蘭子「だから今回も同じじゃないかな? 飛鳥ちゃんならきっと出来るって、プロデューサーはそう信じてると思うの」
飛鳥「…そう、かな…」
蘭子「きっとそうだよ! だから…」
トレ「神崎さーん! 二宮さーん! プロデューサーさんが待ってますよー!」
飛鳥「おっと、つい長話しすぎたかな。さ、早く着替えて出ようか」
蘭子「うん、そうだね…ねえ、飛鳥ちゃん」
飛鳥「ん?」
蘭子「…ライブ、絶対成功させようね!」
飛鳥「…そうだね。一緒に頑張ろう」
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ガチャ
飛鳥「ただい」
乃々「せ、せーの…」
七海「飛鳥ちゃん、蘭子ちゃんおめでとう、なのれす~♪」
パンッ! パンッ!
蘭子「きゃっ!? あ、ありがとう…?」
飛鳥「…2人ともありがとう。でもいきなりクラッカーを向けるのは驚くからやめてほしかったかな」
七海「サプライズとしては大成功でしょ~?」
乃々「あ、あの七海さん…サプライズの方向性が少し違うと思うんですけど…」
七海「気にしない気にしない~♪」
飛鳥「ん…おや、これは…」
七海「実は私と乃々ちゃんでささやかながらお祝いの準備をしていたのれすよ~♪」
蘭子「甘美なる誘い…そして身を癒す清き滴か! 慎ましき祝宴を思わせる有様よな!」(キラキラ
(お菓子にチョコレート…それにジュース! 小さなパーティみたいだね!!)
乃々「あんまりたくさん用意してもよくないと思ったので…本当にささやかですけど…」
飛鳥「…ううん、嬉しいよ。ありがとう、乃々、七海」
七海「喜んでもらえたようでなによりれす~♪ ささ、座って座って~」
七海「それじゃ飛鳥ちゃんと蘭子ちゃんのユニット結成を祝って~♪」
四人「乾杯!」
蘭子「あむっ…ん~♪ 美味しい!」
飛鳥「へえ、そんなにかい? どれ、ボクも一つ…」(パク
乃々「あっ、それは……」
飛鳥「……うん、美味しいね。これは?」(モグモグ
七海「それに目をつけるとはお目が高いのれす~♪ 実はれすね~」
乃々「あ、あの七海さんそれは内緒にって…」(アワアワ
飛鳥「どうしたんだい乃々。さっきからなんだか様子がおかしいけど」
乃々「ええと…その…」
七海「そのチョコレートは乃々ちゃんが作ったんれすよ~♪」
蘭子「乃々ちゃんが? …手作り!?」
乃々「あうぅ……」(カァァ
飛鳥「へえ…すごいじゃないか。どこで覚えたんだい?」
乃々「えっと…ずいぶん前にお仕事で…その…」
蘭子「あっ! 私覚えてる! バレンタインの時のだよね?」
七海「バレンタインの…? 私が来る前のお話れすか?」
飛鳥「そうだね。七海が来たのはあれからすぐだったかな」
七海「へえ~…どんなお仕事だったんれすか?」
乃々「その…自分たちでチョコを作って、イベントに来てくれた人たち一人ずつに渡す、っていう感じだったんですけど…」
飛鳥「岡崎さんや冴島さん、それにフレデリカさんや相葉さんが一緒だったんだよね。乃々が参加してるって聞いた時は驚いたよ」
七海「たしかに乃々ちゃんそういうの嫌がりそうれすね~」
乃々「わ、私は何度もむーりぃー…って言ったんですけどプロデューサーが…」
蘭子「プロデューサーが?」
乃々「えっと…『勇気を出してまず一歩踏み出してみるんだ、そうすればきっと楽しいと思える。』」
乃々「『それでもし少しも楽しいと思えなかったらその時は我慢せずに言うんだぞ、すぐにこの仕事は断らせてもらうからな』って…」
七海「へえー…それで最後までやり遂げたんれすか?」
乃々「はい…その、からかわれたりして恥ずかしいこともありましたけど…皆さんとてもよくしてくださって…私もなんだか楽しいな、って…」
蘭子「そうだったんだー、頑張ってみてよかったね!」
乃々「はい…えっと、でも、プロデューサーがああ言ってくれなかったら、やっぱり逃げ出してたと思うので…だからプロデューサーのおかげだと…」
飛鳥「んー…蘭子の話を聞いてるときも思ったけどまるでプロデューサーは魔法使いみたいだね?」
七海「魔法使い…れすか~?」
飛鳥「うん。緊張していたり逃げ出したいって思っててもプロデューサーに励まされたらなんだかやれる気がする…そんな魔法みたいな不思議な力があるんじゃないか、ってね」
乃々「…なんとなくわかる気がします…なんとなくですけど…」
七海「蘭子ちゃんのときの話聞かせてくれませんか~? 七海はまだちょっとよくわからないのれす~」
蘭子「うん、いいよ。えっとね、私の初めてのライブの時にね…」
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飛鳥「…ということがあってね」
モバP「…あいつら…人の恥ずかしい話をペラペラと…」
飛鳥「まあいいじゃないか。キミが2人に与えた影響はそれほどに大きいということだろう?」
モバP「だから恥ずかしいって言ってるんだよ…俺に出来ることなんて仕事を取ってくることとそうやって皆を勇気づけてやることくらいしかないんだ」
モバP「最終的にどうなるかはその子次第。なのに俺のおかげですべて上手くいきました、みたいに言われるとどうもな…」
飛鳥「…はあ…まったくキミという奴は…」
モバP「な、なんだ? なんか変なこと言ったか?」
飛鳥「いいかい? 蘭子も乃々も、他ならぬキミに激励されたからこそ頑張ろうと思えたんだろうし、2人にそう思わせるほどのことをしてきたのはキミ自身だ」
飛鳥「…そのキミが自分のことをそうやって低く見るというのはキミを信じた2人の想いを裏切ることになるんじゃないのかな?」
モバP「ん…まあ…そう…か?」
飛鳥「少なくともボクはそう思うよ。2人の信頼をどう受け取るのかはキミ次第だけどね」
モバP「…そうだな…飛鳥はどうだ?」
飛鳥「…と、いうと?」
モバP「飛鳥は…その、なんだ、蘭子や乃々と同じように俺のことを信頼してくれてるか?」
飛鳥「……」(ジトー
モバP「…いや、頼むからそんな目で睨まないでくれ。真剣なんだよ」
飛鳥「…ねえプロデューサー。ボクがキミにスカウトされてアイドルを始めてからどれくらい経ったか覚えてるかな?」
モバP「たしか…12月の中頃を過ぎたあたりだったから…そろそろちょうど半年ってところか?」
飛鳥「そうだね。その間にキミは色んな活動を体験させてくれた。ボクが求め続けていた非日常の世界を、ね」
飛鳥「けれど日常と非日常の境界という奴は実に自分勝手なものでね。慣れてくるとだんだん非日常が日常に、つまりその世界の当たり前になってくる」
飛鳥「…かつての日常がそうだったように、ね」
モバP「…あー…要するに初めは新鮮で興味を惹かれても慣れてくると飽きると?」
飛鳥「その認識でおおよそ間違いはないかな。実際これまでのアイドルの仕事も似たようなものだったとボクは感じているよ」
飛鳥「それでもアイドルという仕事を…この世界を飽きることなく過ごしてこれたのはキミのおかげだとボクは思ってる」
モバP「いや、そんなことは…」
飛鳥「キミはいつだってボクに新しい何かを見せようとしてくれた。まあ時には空回ってることもありはしたけど…」
飛鳥「そうやってアイドルのことを第一に考えて行動してくれる。ボクも含めて、皆そういう姿を見ているからこそキミのことを信じられるんだ」
モバP「…そんなことで?」
飛鳥「ただキミの悪いところの一つにそうやって自分の行いを卑下するところがあるかな…」
飛鳥「そんなこと、じゃないんだよ。ボク達からすれば自分のために一生懸命になってくれることが何よりも嬉しいんだから」
モバP「…なるほど、そういうもんなのか」
飛鳥「キミは自分のやるべきことをやっているだけなのかもしれないけどね。もうちょっと胸を張ってくれたほうがボク達も落ち着くよ」
モバP「…そうだな。過剰な謙遜はかえって失礼、って言うしな」
飛鳥「…さて。なんだか慣れないことをしたからかな、疲れてしまったしそろそろ帰ることにするよ」
モバP「ん、ああ…悪かったな。せっかくのオフなのに話し相手になってもらった挙句こんなに付きあわせて…」
飛鳥「気にすることはないさ。ここに来たのもボクの意志だしね」
モバP「そういえばなんで事務所に来たんだ? 何か用事でもあったのか?」
飛鳥「…あっ」
モバP「…おい」
飛鳥「…ごほん。なに、問題はないさ。ちょっとキミに聞きたいことがあっただけだからね」
モバP「お? なんだなんだ?」
飛鳥「…と言ってもたった今あんな話をした後に聞くのも憚られるようなことなんだけど…」
モバP「遠慮なんてすることないだろ? ほら、言ってみろ」
飛鳥「…その、キミはボクのことを信頼してくれているのかなって…」
モバP「…なるほど。聞くのが憚られるって言った意味がなんとなく分かるぞ」
飛鳥「…仕方ないじゃないか。どれだけ偉そうなことを言ってみても初めての大舞台なんだ。ボクだって緊張とか、することだってあるさ」
モバP「そうだなあ…今更飛鳥に言うようなことでもない気もするんだが…」
モバP「ま、それでも言うとするなら…俺を信じろ。蘭子を信じろ。そしてなにより…自分を信じろ。なあに、飛鳥なら絶対にやれるさ」
飛鳥「…うん」
モバP「…っと。よし、こっちも一段落ついたし送ってくぞ。下で待っててくれるか?」
飛鳥「それじゃお言葉に甘えようかな…雨も降ってるみたいだしね」
モバP「げ、本当だ…」
飛鳥(ボクがアイドルとして活動を始めてから半年が過ぎた)
飛鳥(長いようで短く、短いようで長い、そんな時間が、だ)
飛鳥(そしてこれからもまだまだこの非日常の世界で歩き続けていこうと思う)
飛鳥(未だ見ぬ輝きと…その向こう側の世界を見るために…)
飛鳥「キミと一緒に―――ね」
おしまい
飛鳥ちゃんSRおめでとう!
まさかロワの上位で来るとは思ってなかったけど…
スペシャルライブユニットではたっぷり堪能させていただきました。何をとは言わんが
無事一枚取り達成できて本当によかった…
それでは見てくださった皆様、ありがとうございました
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